ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回で、〈キヴォトス〉によるポケモンバトルのルールも説明します。とある機動武闘伝を参考にしています。


吠えろイワンコ! 恩知らずのポケモンバトル!

ー先生sideー

 

そして、学校に戻った先生と対策委員会の面々(バイトを終えたセリカとウォーグルも含め)は、突然の襲撃に、即座に臨戦態勢を取った。

 

“アヤネ。相手は?”

 

「はい!ーーーー校舎より15km地点付近で大規模な兵力を確認!」

 

「まさか、ヘルメット団が?」

 

報復に来たのかとシロコは思ったが、アヤネは否定する。

 

「ち、違います! ヘルメット団ではありません!・・・・傭兵です! それも日雇いの傭兵!」

 

“そんな生徒もいるんだ・・・・”

 

「まあね。でも雇うにしても結構高い筈だけど」

 

「これ以上接近されるのは危険です! 先生、出動命令を!」

 

“うん。出動だー!”

 

『ピカピカー!』

 

先生とピカチュウの言葉を受け、アヤネとビブラーバと寝ているヤドキング以外は外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

校門に出ると、見た事がある一団がいた。

 

《前方に傭兵を率いている集団を確認!》

 

「あれ・・・・ラーメン屋さんの・・・・?」

 

『サイ?』

 

「ぐ、ぐぐっ・・・・」

 

『バフンッ』

 

アルとマフィティフ。そして先程柴関ラーメンで仲良くなった生徒達だった。

 

「誰かと思えばアンタ達だったのね!! ラーメンと餃子も無料で特盛&サービスしてあげたのに、この恩知らず!!」

 

『ウォーッ!!』

 

セリカが怒り心頭に怒鳴り、それに合わせてウォーグルも吠える。

 

「あははは、その件はありがと。でもそれはそれ、これはこれ、こっちも仕事でさ」

 

『ウホホッ』

 

ムツキが笑みを浮かべ、エテボースも笑みを浮かべながら尻尾と両手を合わせる。

 

「残念だけど、公私はハッキリと区別しないと。受けた仕事はキッチリこなす」

 

『ニャォッ!』

 

カヨコとレパルダスもやる気になっている。

 

「・・・・成る程。その仕事っていうのが、便利屋だったんだ」

 

『ワンッ』

 

シロコとイワンコはある程度の理解を示したようだ。

 

「もう! 学生なら、他にもっと健全なアルバイトがあるでしょう? それなのに便利屋だなんて!」

 

『サイドン!』

 

ノノミとサイドンが怒ると、アルは戸惑いがちに弁明する。

 

「ちょっ、アルバイトじゃないわ! れっきとしたビジネスなの! 肩書だってあるんだから!」

 

そう言って、自分達を紹介する。

 

「私は社長の『陸八魔アル』! 室長の『浅黄ムツキ』! 課長の『鬼方カヨコ』! 平社員の『伊草ハルカ』!」

 

「はあ・・・・社長。ここでそう言う風に言っちゃうと、余計薄っぺらさが際立つ・・・・」

 

カヨコが苦々しく言うと、シロコが口を開く。

 

「誰の差し金?・・・・いや、答える訳無いか」

 

そう言って、シロコはアサルトライフルをカチャッと構える。

 

「力尽くで口を割らせるしか」

 

「ふふふ、それは勿論企業秘密よ」

 

アルが不敵な笑みを浮かべてそう言った。

が、内心ではーーーー。

 

「(ーーーーどうしようっ!!!)」

 

白目を剥いて絶叫していた。

〈アビドス〉の彼女達はラーメンと餃子を奢ってもらったし、気が合う良い子達だ。そんな子達に対して、こんな恩を仇で盛大にバットで打ち返すようなやり方、アルの善性が酷い罪悪感を感じてしまう。しかし、一度請け負った仕事を放り出すのもアルの美学に反する。

そうしている内に、つい勢いでここまで来たが、いざ戦闘をしようと思うと混乱してしまった。

 

『・・・・・・・・ワフゥ・・・・バウッ!』

 

「・・・・マフィティフ?」

 

すると、そんなアルを見兼ねたのか、マフィティフが前に出て、対策委員会と向き合いそしてーーーー。

 

『バフゥゥゥゥゥンンッ!!』

 

雄叫びを上げた。

すると、エテボースが楽しそうに、レパルダスが「仕方ないわね」と言わんばかりに、ガラルマタドガスは無表情に、マフィティフの横に並んだ。

 

「あれ?」

 

「???」

 

「えっ?」

 

ムツキ、カヨコ、ハルカは、パートナー達の突然の行動に首を傾げると、マフィティフは対策委員会を見据えて。

 

『バフッ!!』

 

と、一声鳴いた。

 

“・・・・・・・・”

その時、先生は何かを察したように少し目を見開くと、小さく笑みを浮かべて、前に出る。

 

「先生?」

 

“・・・・皆、ここは一つーーーーポケモンバトルで決めないかな?”

 

『えっ?』

 

『おっ』

 

先生の言葉に、対策委員会だけでなく、便利屋までも目を丸くし、傭兵達は興味深そうに声を漏らした。

 

“どうやらマフィティフ達は、自分達とバトルしろって言ってるようだから、『アビドス対策委員会』と『便利屋68』がポケモンバトルをして、お互いに白黒をつけるってどうだろう? 対策委員会が勝ったら、便利屋と傭兵の皆は大人しく帰る。便利屋が勝ったら、対策委員会は降伏するって感じで・・・・”

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ先生! それ私達にメリット殆ど無いじゃん!」

 

《そ、そうですよ先生! そんなバトル受けるわけーーーー》

 

「(キランっ) 面白いね」

 

「はい! やっちゃいましょう☆」

 

「うへ~。ま、その方が後腐れないかなぁ」

 

《「えぇーっ!?」》

 

セリカとアヤネの一年組は反対するが、先輩達はやる気満々だった。

 

“ーーーー勿論。便利屋の皆が承諾すれば、の話だけどね”

 

「良いぞやれやれー!」

 

「割に合わない仕事でやる気出なかったけど!」

 

「ポケモンバトルが見れるなら良いや!」

 

と、傭兵達はスッカリ観戦気分になり、中にはジュースとポテチやポップコーンと言ったお菓子まで持ってきていた。

 

 

 

 

 

 

ーアルsideー

 

「うわ〜、これやらなきゃいけない流れだよ?」

 

「全く、何でこんな事に・・・・」

 

「ア、アル様、ど、どうしましょう・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

周りのムードにムツキが苦笑し、カヨコが息を吐いて肩を落とし、ハルカはオドオドしながらアルの指示を問う。そして、アルは、マフィティフの背中を見据えていた。

 

「マフィティフ・・・・」

 

『(クルリ)・・・・バフッ!』

 

「!」

 

マフィティフがアルの方を見て一声吠えたその時、アルはマフィティフの意図を察した。

長い事パートナーを務めてくれたマフィティフは、自分が内心どうしようと右往左往しているのを察してくれていたのだ。

あまり〈アビドス〉の子達と戦いたくない。しかし、依頼もキャンセルできない。ならば、自分達とポケモンバトルをする事で、白黒つけようと考えたのだ。

 

「・・・・良いわ」

 

『えっ?』

 

アルの言葉に、今度は社員達と〈アビドス〉の一年組の目を丸くした。

 

「あなた達には『借り』があるし、このまま戦闘をして勝ったとしても、私達の心に『しこり』を作る事になるわ。ここは正々堂々と、ポケモンバトルで決着を付けるわよ!!」

 

アルが堂々とした態度で敢然と宣言した。

 

「うわぉ! アルちゃんやる気になった♪」

 

「す、素敵です、アル様・・・・!」

 

「・・・・はぁ、まぁ確かに、彼女達には『借り』があるからね」

 

ムツキは楽しそうに、ハルカは目を輝かせ、カヨコは溜息を吐いたが納得したようだ。

 

「その勝負、受けて立つわ! 私達『便利屋68』と、『アビドス対策委員会』で正々堂々とバトルよ!」

 

二つのチームによるバトルが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そして、ルカリオと御三家達にアヤネとビブラーバとヤドキングを連れてきてもらって、横一列に並んで睨み合う対策委員会と便利屋に、肩にピカチュウを乗せ、後ろにルカリオを控えさせた先生が審判役としてルール説明をする。

 

“〈シャーレ〉の先生として、私は公平な審判をやらせてもらうよ?”

 

『(コクン)』

 

先生が言うと、対策委員会と便利屋は承諾を示すように頷いた。

 

“では、ルールは簡単。お互いのチームの代表四人によるシングルバトル。使用する手持ちポケモンは一体。先に相手より勝ち星を上げた方の勝ちとする。双方、異論はないかな?”

 

『ピカ?』

 

『(コクン)』

 

“では、『キヴォトス・ポケモンバトル条約』を告げる。

第一条。手持ちのポケモンが全て戦闘不能になったら敗北とする。

第二条。ポケモントレーナーは、相手トレーナー及び相手ポケモンへの妨害、攻撃、捕獲をしてはならない。

第三条。自分のポケモンへの回復アイテムならびに、きのみによる回復とサポートへの使用は許可する。

第四条。ポケモントレーナーは自分の手持ちポケモンに責任を持ち、バトルによる二次被害をなるべく出さないように心掛ける事。

第五条。バトルはシングル、ダブル、変則型と、お互いに承諾すれば行われる。

第六条。ポケモントレーナーとして、バトルは正々堂々と戦うべし。

第七条。ポケモンの治療が行われるポケモンセンターの半径十km以内のバトルは禁止とする。

以上、これらを破れば収監。もしくはポケモントレーナーの資格と所持するポケモンを剥奪する。

以上だよ。皆、了解したかな?”

 

『ピカチュウ?』

 

『はい!』

 

対策委員会と便利屋の異口同音の声が響く。

 

〈キヴォトス〉では、ポケモンバトルを行う際に、〈連邦生徒会〉や各校の代表達によって定められた『キヴォトス・ポケモンバトル条約』を守らなくてはならない。

これにより、ポケモンバトルに〈キヴォトス〉の生徒達が参加するような事態や、バトルによる建物や生徒や住人の被害が起こらないようにしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー便利屋sideー

 

「んで、どうしたのアルちゃん?」

 

「わざわざポケモンバトルで決めるなんて・・・・」

 

「それは、その・・・・あれよ! 『借り』を作った相手に、ちょっとした『ハンデ』よ『ハンデ』! これなら後腐れも無いでしょ!」

 

明らかに強がっているアルに、ムツキがニヤニヤと、カヨコがハァっと溜め息を、ハルカが尊敬の視線を向けた。

 

「んじゃさ。より確実に勝てるように、“この子達を出しちゃう”?」

 

ムツキは、小さくSと書かれた青いボール『スーパーボール』を出して人差し指の上でクルクルと回しながら問うと、他のメンバーもスーパーボールを取り出す。

 

「ーーーーいいえ。この子達も『ハンデ』として使わないわ。このバトルにはマフィティフ達で行くわよ」

 

『了解』

 

アルがそう言うと、メンバーが異口同音で返した。

 

 

 

 

 

 

 

ーアヤネsideー

 

“では、先鋒の生徒とポケモン。前へ!”

 

「ん。私が行く」

 

「待ってくださいシロコ先輩」

 

先陣を切ろうとするシロコに、アヤネが前に出る。

 

「まだ相手の実力がどれ位のものか分かりません。ここは私とビブラーバで、相手を測ろうと思います」

 

「うへ~。それって、初戦は捨てるって事〜?」

 

「はい。先に三勝すれば勝ちです。例え引き分けになって延長戦になったとしても、一番バトル経験の低い私が控えているよりは、皆さんの内の誰かが控えている方が安心できます。ビブラーバは空も飛べますし、回避力も高いですから、相手の実力を測るのに丁度良いです」

 

アヤネは、先ずバトルの経験が低い自分を捨て石にして、便利屋の実力を測ろうと言った。

シロコはバトル好きだから、時々ワルビアル達の縄張りに行って、イワンコと共に経験を積んでいる。ノノミのサイドンはこれまでの襲撃で盾役から攻撃までこなしてきた。セリカのウォーグルも進化してパワーアップしている。ホシノのヤドキングは、未だ寝ている。

確かに、相手のタイプは見る限り『あくタイプ』と『どくタイプ』。『どくタイプ』に有利な相性のポケモンはイワンコやサイドンといった『じめんタイプ』だが、『あくタイプ』とは相性が良いとも悪いとも言えない。

 

「ただではやられません。私もビブラーバも対策委員会です。相手に少しでもダメージを与えてきます」

 

「ん。アヤネがそうしたいなら良い」

 

「ファイトですアヤネちゃん、ビブラーバ☆」

 

「無理はしないでね」

 

「ママは応援するからね〜」

 

「ーーーーはい! 行きましょう、ビブラーバ!」

 

『ビブラー!』

 

アヤネとビブラーバが前に出ると、便利屋からは、ムツキとエテボースが出てきた。

 

「あっ、メガネちゃんが来るんだ〜。大丈夫? ポケモンバトル、慣れてるようには見えないよ〜?」

 

「っーーーーご心配なく。エテボースは『ノーマルタイプ』。更に空を飛ぶ能力がないので、私のビブラーバが有利です」

 

「ふぅ~ん。言ってくれるねぇ。で・も、そう簡単に勝てるかなぁ〜?」

 

明らかに余裕のあるムツキに対して、アヤネは少々固くなっている。これがバトル経験の差によるものだろうか。

 

「先生。お願いします!」

 

アヤネに言われ、先生は片手を上げる。

 

“これより、アビドス対策委員会のアヤネとビブラーバ。便利屋68のムツキとエテボースのバトルを行う!”

 

「ビブラーバ! お願い!」

 

『ビブラー!!』

 

「エテボース! 遊んじゃおう!」

 

『ウッホホ〜!』

 

“ポケモンバトル! Fight!”

 

『ピカッ!』

 

先生とピカチュウが上げた手を振り下ろし、バトルが開始された。

 

 

 

 

 

ーアヤネVSムツキsideー

 

「ビブラーバ! 上空に飛んで【むしのさざめき】!」

 

『ビブラー!!』

 

ビブラーバはアヤネの指示で上空に飛び、攻撃音波をエテボースに放つ。

 

「エテボース、【こうそくいどう】!」

 

『ウホホ!』

 

しかし、エテボースは加速して、音波を回避する。

 

「っ! ビブラーバ、【すなじごく】!」

 

『ビブラー!』

 

ビブラーバが小さな砂嵐を巻き起こすと、エテボースが呑み込まれた。

 

 

 

 

ーアビドスsideー

 

「アヤネちゃん! ビブラーバ! 頑張って下さいー☆」

 

「アヤネちゃん、距離を置いてのバトルね!」

 

「ん。中途半端の距離だとエテボースの尻尾のリーチがある。空に逃げて少しずつダメージを与えて、エテボースが動き回る体力を削ってから仕留めるつもりだと思う」

 

「うへー。まぁその戦法は間違ってないねぇ。でも・・・・」

 

意外と善戦しているように見えるアヤネとビブラーバに、対策委員会側の応援は熱が入る。

しかし、ホシノは、全然余裕を崩さないムツキと便利屋を訝しそうに見据えていた。

 

 

 

 

 

 

ー便利屋sideー

 

「フッフッフ・・・・」

 

「悪い戦法じゃないけどね・・・・」

 

「ム、ムツキさんのエテボースには・・・・」

 

「通じないよー☆」

 

余裕綽々な便利屋がそう言った瞬間、ムツキが声を張り上げた。

 

 

 

 

ーアヤネVSムツキsideー

 

「エテボース、【とびはねる】!」

 

ムツキが指示すると、砂嵐の中から、エテボースが飛び出し、上空にいたビブラーバの眼前に現れる。

 

「あっ!」

 

『ビブっ!?』

 

「【ダブルアタック】で叩き落とせ!」

 

『ウホホホ!』

 

『ビブラー!!』

 

ムツキの指示で、エテボースが尻尾の二連撃で、ビブラーバを叩き落とした。

 

「ビブラーバ!」

 

ダメージを受けて【すなじごく】が解除されてしまったが、ビブラーバは何とか体制を整え、地面スレスレで浮遊する。

 

「ほっ・・・・」

 

「安心するのは早いよメガネちゃん!」

 

「はっ!」

 

「エテボース! トドメの攻撃! 【イカサマ】!」

 

『ウホー!』

 

『ビブラー!!』

 

「ビブラーバ!」

 

エテボースの一撃を受けて、ビブラーバは目を回して倒れてしまった。

 

『ビブラ〜・・・・』

 

“ーーーービブラーバ、戦闘不能! エテボースの勝利!”

 

『ピカチュウ!』

 

「イェイ! イェイ!」

 

『ウホッ! ウホッ!』

 

ムツキが両手でエテボースが尻尾でハイタッチする。

 

『ビブラ〜・・・・』

 

「お疲れ様、ビブラーバ」

 

それを見て、外野の傭兵達がやんややんや、と囃し立てる。

負けたビブラーバとアヤネは少し気落ちしていたが、 対策委員会の皆が慰めた。

 

 

 

 

 

ー便利屋sideー

 

「次はあなたよ! 行きなさいハルカ!」

 

「は、はいアル様! い、行きますよ、マタドガス・・・・!」

 

『マ〜タドガ〜ス』

 

アルに言われ手持ちポケモンのように、ハルカとガラルマタドガスが前に出た。

 

 

 

 

ーアビドスsideー

 

「次は私が行くわ! ウォーグルの実力! 見せてやる!」

 

『ウォー!!』

 

「・・・・セリカちゃん。マタドガスは毒ガスとかを使ってくるから気をつけて」

 

気合を入れるセリカとウォーグルに、アヤネがおずおずと助言した。

 

「ありがとうアヤネちゃん! ビブラーバの仇は私達が討つから!」

 

「うへ~。ビブラーバは死んでないよぉ〜」

 

『ビブラ・・・・』

 

セリカの台詞に、ホシノとビブラーバがツッコミを入れた。

そして、セリカとウォーグル、ハルカとガラルマタドガスが相対する。

 

“それではアビドス対策委員会のセリカのウォーグルと、便利屋68のハルカとガラルマタドガスのバトルを行う! ポケモンバトル! Fight!”

 

『ピカッ!』

 

「行っけぇ! ウォーグル!」

 

「マ、マタドガス!」

 

『ウォー!!』

 

『マタドガス〜!』

 

ウォーグルが空高く飛ぶと、ガラルマタドガスもそれを追って浮遊する。

 

 

 

 

 

 

ーセリカVSハルカsideー

 

「(アヤネちゃんは、距離を置いて少しずつ削る作戦だったけど、こっちは距離を置いてガンガン攻めるわ!) ウォーグル、ガラルマタドガスに近づいちゃ駄目よ! 【エアスラッシュ】!」

 

『ウォーッ!』

 

ウォーグルの翼から空気の刃が幾つも放たれ、ガラルマタドガスは浮遊しながら回避する。

 

「マタドガス、【スモッグ】!」

 

『マタドガス〜!』

 

ハルカの指示から、身体の穴から緑色のガスを噴射し、周囲を包んで姿を完全に隠した。

 

「姿を隠しても無駄よ! ウォーグル、【ふきとばし】!」

 

『ウォー!!』

 

ウォーグルが大きな翼をバサバサと動かして、ガスを吹き飛ばすと、そこにガラルマタドガスはいなかった。

 

「えっ?」

 

『ウォッ!?』

 

一瞬唖然となるセリカとウォーグルだが、死角からガラルがスッと現れた。

 

『「っ!」』

 

「・・・・マタドガス、【ワンダースチーム】!」

 

『マタドガース!』

 

二人が気づいて目を向けると同時に、ガラルマタドガスの煙突から、ピンク色のガスの塊が発射され、ウォーグルに当たる。

 

「ウォーグル!」

 

『ウォーッ!・・・・ウォウォ〜・・・・』

 

セリカが声を上げるが、ウォーグルは目を回してクラクラとおぼつかない様子で飛んでいた。

 

「ウォーグル!? どうしたのよ!?」

 

「セリカちゃん! ガラルマタドガスの【ワンダースチーム】は相手をこんらん状態にしてしまうの!」

 

「ええっ!? ウォーグル! 降りてきて! 『キーのみ』を食べさせるから!」

 

『ウォ〜・・・・』

 

ウォーグルはフラフラになりながら、セリカの元に行こうとする。

が、それを呑気に見ているような相手ではない。

 

『マタドガ〜ス』

 

いつの間にかガラルマタドガスが、ウォーグルの背に乗っていた。

 

「っ! まずい! ウォーグル! 背中のガラルマタドガスを振り落として!」

 

「・・・・マタドガス、【だいばくはつ】」

 

『マタドガ〜ス!』

 

ハルカの指示を受け、ガラルマタドガスの体が光り出しーーーー。

 

ーーーーチュドォオオオオオオオオオオオンンン!!!

 

爆発した。

 

「ウォーグルーーーー!!」

 

セリカの悲鳴が上がると、黒焦げになって目を回したウォーグルと、同じく黒焦げになって目を回したガラルマタドガスが、ほぼ同時に地面に落下した。

 

『ウォ〜・・・・』

 

『マタドガ〜・・・・』

 

“・・・・・・・・両者、戦闘不能! 引き分けとする!”

 

『ピカチュウ!』

 

先生とピカチュウがそう言うと、外野がオオー! と、騒ぎ出した。

 

「ウォーグル! 戻って!」

 

「も、戻ってください、マタドガス・・・・」

 

セリカとハルカがそれぞれモンスターボールを取り出すと、お互いのパートナーを戻し、それぞれの陣地に戻った。

 

 

 

 

 

 

ーセリカsideー

 

「ごめん・・・・」

 

「ん。気にしない。相手が少し上手だった」

 

「うへ~。流石、銃撃戦やポケモンバトルが日常の一部になってるって噂の〈ゲヘナ〉の生徒だね〜。バトルの経験が高いよ」

 

「大丈夫ですセリカちゃん☆ 次は私とサイドンが行ってきま〜す!」

 

『サイドン!』

 

ノノミがサイドンと共に前に出た。

 

 

 

 

ーカヨコsideー

 

一方、便利屋の方では、先程のバトルでの感想会が行われていた。

 

「・・・・ハルカ。何も【だいばくはつ】を使うまでも無いと思うけど?」

 

「すすす、すみません! 確実に排除しようと思ってしまうとつい・・・・」

 

「ハルカちゃん、爆破が得意だからねぇ〜。まぁ、結果は引き分けだし、まだまだこっちが有利なんだし、いいんじゃない?」

 

「そうよハルカ! 寧ろ私達の勝利にまた一歩近づいたわ! 次で勝ってば私達の勝利よ! 決めて来なさいカヨコ!」

 

「ハァ・・・・。行こうか、レパルダス」

 

『ニャァ』

 

威勢良く言うアルに、カヨコとレパルダスは溜め息を吐いて前に出ると、ノノミのサイドンと相対する。

 

“それではアビドス対策委員会のノノミのサイドンと、便利屋68のカヨコとレパルダスのバトルを行う! ポケモンバトル! Fight!”

 

『ピカッ!』

 

 

 

 

 

ーノノミVSカヨコsideー

 

「サイドン、行ってください〜♧」

 

『サイドン!』

 

「レパルダス、任せたよ!」

 

『ニャォン!』

 

サイドンがノシノシ歩いていくと、レパルダスは俊敏な動きで撹乱する。

 

『サイ!? サイ!?』

 

「レパルダス、【つじぎり】!」

 

『ニャォォンッ!』

 

レパルダスが尻尾の刃でサイドンを切りつける。

 

『サイッ!』

 

「こらえてサイドン! 【じたんだ】!」

 

『サイ、ドンドーン!』

 

ノノミの指示から地面を何度も踏みつけて飛び出た岩石をレパルダスに当てようとする。

 

「躱しながら進んでレパルダス!」

 

『ニャォン!』

 

が、レパルダスは飛んでくる岩石をピョンピョンと飛びながらサイドンに肉薄した。

 

「【バークアウト】!」

 

『ニャァオオンッ!!』

 

レパルダスが漆黒のエネルギー弾を、ほぼゼロ距離でサイドンに当てた。

 

『ドォォォォンッ!!』

 

「サイドン!」

 

『ドーーーードォォン!』

 

『ニャッ!?』

 

「っ!?」

 

倒れそうになったサイドンが、ドンッと踏ん張り、レパルダスとカヨコが目を見開く。

それに合わせて、ノノミが即座に指示を出す。

 

「サイドン! 【ドリルライナー】!」

 

『ドォォォォンンッ!!』

 

『ニャォオオオオッ!!』

 

「レパルダス!」

 

サイドンが鼻のドリルを回転させて突撃すると、レパルダスはカヨコの位置にまで吹き飛ばされた。

 

『ニャァァァ・・・・!』

 

何とか起き上がるレパルダスだが、かなりのダメージを受けたようだ。

 

「レパルダス・・・・!」

 

『ニャァッ!』

 

カヨコが声を張り上げると、レパルダスは大丈夫と言わんばかりの声を上げ、ノノミとカヨコ、サイドンとレパルダスは睨み合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアビドスsideー

 

「ん~、やっぱり結構強いねぇあの子達のポケモンも。スピードと回避力はレパルダスが上だね」

 

「でも、ノノミ先輩のサイドンの方が攻撃力も防御力が格段に上よ! もう一回攻撃が当たればノノミ先輩の勝ちよ!」

 

「でもそれは向こうも分かってる。もう迂闊に接近戦に挑もうとはしない」

 

「ノノミ先輩のサイドンも、防御力が強いからって油断できないですね。少しずつですがダメージはちゃんと受けてますし・・・・」

 

アヤネの視線の先には、サイドンもダメージを受けている影響か、ほんの少し息が乱れているようであった。

 

 

 

 

 

ー便利屋sideー

 

「どんな強力な攻撃も、当たらなきゃ意味ないよね♪」

 

「こ、このままカヨコさんの勝ち、でしょうか?」

 

「いえ油断はできないわ。接近戦を避ける為に遠距離攻撃、それも相手に捉えられないように動き回らなければならないとなると、レパルダスのスタミナの方が先に切れるかも知れないわ」

 

「となるとどうなるのアルちゃん?」

 

便利屋の方でも、カヨコの有利性と不利性を冷静に分析していた。

 

「ここからはーーーー根比べになるわね」

 

 

 

 

 

ーノノミVSカヨコsideー

 

「(私のサイドンが相手の攻撃に崩れて倒れるのが先かーーーー)」

 

「(私のレパルダスのスタミナが切れて動けなくなるのが先かーーーー)」

 

「「(勝負!)」」

 

そして当のトレーナー二人も、自分達がどう攻めるのか指針を決めると、即座に指示を出した。

 

「レパルダス! 【つめとぎ】をしてから動き回って【バークアウト】!」

 

『ニャォンッ!』

 

「サイドン! 【こらえて】!」

 

『サイッ!』

 

レパルダスが爪を研ぐような仕草をして攻撃と回避を上げると、サイドンの周りを動き周りながら【バークアウト】を撃ちまくる。

しかし、サイドンは防御の姿勢となって、それに耐えていた。

 

『ニャァァッ!!』

 

レパルダスがその防御を崩そうと撃ちまくるが、サイドンは堪え続けた。

 

『・・・・!!』

 

が、サイドンは不動の姿勢で受け続けながら、ジッとレパルダスを見据えている。

 

「・・・・・・・・」

 

そしてそれは、ノノミも同じであった。

このままレパルダスが押し切ると、誰もが思ったその時。

 

「ーーーー見えました! サイドン! 【じたんだ】!」

 

『ッ! ドォーン!』

 

ノノミが指差しをして指示をすると、サイドンが【じたんだ】を放つと、レパルダスに当たった。

 

『ニャァァッ!!』

 

「レパルダス!」

 

ヨロヨロになったレパルダスに、サイドンが巨体で走り出し、ノノミが先生の後ろに控えるルカリオを一瞥する。

 

「レパルダスは確かに速かったです。速さに目が慣れるまで時間がかかりました。でも・・・・先生のルカリオさんの方が全然速いです! サイドン! 【ドリルライナー】!!」

 

『サイードォォォォンッ!!』

 

サイドンが再び鼻のドリルを回転させて突撃すると、ダメージで回避が遅れたレパルダスに直撃した。

 

『ニャォォォォォォォォンン!!』

 

「レパルダスっ!?」

 

『フニャァ〜・・・・』

 

レパルダスが地面を何度かバウンドして倒れると、目を回していた。

 

“・・・・・・・・レパルダス、戦闘不能! サイドンの勝利!”

 

『ピカチュウ!』

 

先生とピカチュウがレパルダスの容態を見ると、完全に気を失っていると確認し、ノノミの勝利を告げた。その瞬間、傭兵達から歓声が上がった。

 

「やりましたぁ〜☆」

 

『サイドーン♪』

 

「レパルダス、お疲れ様・・・・」

 

ノノミはサイドンに抱きつき、サイドンも嬉しそうに鳴いた。カヨコはレパルダスをボールに戻し自分の陣地へと戻る。

 

 

 

 

ー便利屋sideー

 

「か、カヨコさんごめんなさい! わ、私が勝っていれば・・・・」

 

「もう終わったバトルの事をとやかく言っても仕方ないよ。今のバトルは相手の我慢勝ちだよ」

 

「まさかレパルダスのスピードに慣れるまで耐えるなんて、中々渋いねぇ〜♪ それでどうするアルちゃん? これで一勝一敗一引き分けだよ?」

 

「フフフッ、寧ろ良いじゃない。やはり最後は社長である私が決めないといけないわ。ねぇマフィティフ?」

 

『バフッ』

 

悪人顔で笑みを浮かべるアルと共に、マフィティフが前に出た。

 

 

 

 

ーアビドスsideー

 

日が傾きだし、夕暮れとなる時刻となる中、ノノミとサイドンは意気揚々と陣地に戻った。

 

「勝ちました〜」

 

『ドンドン!』

 

「お疲れ様ノノミ先輩! サイドン!」

 

「これで振り出しに戻りましたが、流れはこっちにあります!」

 

「それでホシノ先輩。ヤドキングは?」

 

「ん~、まだ寝てるねこりゃ。『ねむけざまし』でも『カゴのみ』でも、起きてすぐ寝ちゃうし」

 

一年生組はノノミとサイドンを賞賛すると、シロコがホシノのヤドキングに目を向ける。しかし、ヤドキングはまだグッスリと寝ていた。

 

「ん。じゃぁ私とイワンコで行く」

 

『ワン!』

 

そして、シロコがイワンコと共に前に出ると、先生が片手を上げる。

 

“それではアビドス対策委員会のシロコのイワンコと、便利屋68のアルとマフィティフによる、最後のバトルを行う! 両者、最後のバトルに相応しい戦いを見せて欲しい! ポケモンバトル! Fight!”

 

『ピカッ!』

 

「イワンコ!」「マフィティフ!」

 

『ワンッ!!』 『バフッ!!』

 

先生が開始を宣言すると、間髪入れずにマフィティフとイワンコが前に出て、額をぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

ーシロコVSアルsideー

 

『『ーーーー!!』』

 

二匹はそのまま押し合いを始める。体格差もあるというのに、イワンコはマフィティフに食い下がる。

がーーーー。

 

『ウゥゥゥ・・・・バフゥゥゥゥゥッ!!』

 

『グゥゥゥ・・・・ワワァァァァンッ!!』

 

やはり体格とパワーに差があったせいか、マフィティフに押し出され、イワンコは吹き飛んでしまった。

 

「マフィティフ、そのまま【かみくだく】よ!」

 

「イワンコ避けて!」

 

『バフっ!』

 

『ワンっ!』

 

マフィティフが大口を開けて噛み付こうとするが、それより早く、ヒラリも態勢を整えて着地したイワンコは、バックステップをしながらその牙から逃れていく。

 

「シロコ先輩! ちょっとやばいんじゃない!?」

 

「・・・・ん。大丈夫」

 

セリカが外野から言うが、シロコは大丈夫と言う。しかし、

 

「マフィティフ、【あくのはどう】!」

 

『バッフゥゥゥゥッ!!』

 

『キャンっ!!』

 

マフィティフが漆黒の波動を放つと、イワンコが吹き飛ぶ。

 

「まだまだ! 【ずつき】!」

 

『バフッ!!』

 

『ワウンッ!?』

 

連続で攻撃を受けて、イワンコが地面を転がる。それでもシロコは慌てた様子を見せなかった。と、そこで、アルが話しかける。

 

「随分と余裕ね? そちらのイワンコとはつき合い長いの?」

 

「アビドスに入学したばかりの頃にパートナーになった。一年くらいのつき合いになる」

 

「あら? たった一年? 私もマフィティフは私が中学に入った頃、まだ『オラチフ』だった頃からパートナーとなったのよ!」

 

「つき合いの長さが重要じゃない。つき合いの濃さが重要」

 

シロコの脳裏に、イワンコとの出会いが鮮明に思い出された。

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

一年生の頃のシロコは、今よりほんの少しだけ過激な性格だった。暇さえあればホシノに勝負を挑むか、ヘルメット団のような不良生徒達か、サダイジャの群れかワルビアルの群れに喧嘩を売って喧嘩まがいの事をしており、ホシノとノノミは相当手を焼いていたと思う。

そんなシロコはある日、不良生徒達から食料を盗んでいく色違いのイワンコを見つけた。色違いのポケモンは大変珍しいのもあって、不良生徒達から狙われるのだが、そのイワンコは食料を持ったままアビドス砂漠へと駆け出していく。弱い奴に興味が無かった当時のシロコは無視しようと思っていたが、ちょうどアビドス砂漠の奥にいるバンギラスやドラピオンに興味があったので、不良生徒達の車を少し拝借して、アビドス砂漠へ向かった。

そして夜になり、砂漠の奥のドラピオンの縄張りに着くと、先程の色違いイワンコが不良生徒達から盗んだ食料を、ワシボンやナックラーといった別のポケモン達に分け与えていたのを見つけた。

そしてシロコは察した。あのイワンコは、仲間の奴らの為に食料を盗んでいたのだと。そう思っていると、ドラピオンの群れが砂漠の中から現れ、イワンコ達に襲いかかってきたのだ。

イワンコはドラピオンの一匹に【ずつき】をして怯ませると、他のポケモン達を逃がし、自分は殿として残ったのだ。圧倒的に数が多い敵を相手に、そのイワンコは果敢に挑んでいった。三〜四匹を一匹で倒したイワンコだが、遂に一回り大きな体躯をしたボスドラピオンが現れ、絶体絶命となった。

その時ーーーーシロコが銃を使って助太刀に現れたのだ。

イワンコもドラピオン達も、突然の人間の乱入に驚くが、シロコ自身も内心驚いていた。どちらかと言えば弱肉強食な思考の自分が、こんな弱いイワンコを助ける理由がない。しかし、シロコはこのイワンコを、何故か見捨てられなかったのだ。

シロコの乱入に驚くボスドラピオンだが、構わず群れの奴らを使ってシロコとイワンコに襲いかかる。

しかし、一人と一匹は、協力しあってそれらを撃退していく、それからの事は良く覚えていない。途中からほぼ無我夢中の状態であったが、最終的にイワンコが、ボスドラピオンに【ずつき】をして怯ませてから、シロコの放った銃弾がボスドラピオンの片目を撃った所は覚えていた。

痛みに悶絶するボスドラピオンを尻目に、シロコとイワンコはそのまま車に乗り込み、縄張りから走り去っていった。

翌朝、自分達が学校の正面玄関で仲良く寝ていると、ホシノてノノミが自分達を起こし、事の顛末を伝えると、こっぴどく叱られた。

それからだ。イワンコがシロコのパートナーとして共にいる事を選び、モンスターボールを差し出すと、イワンコも快く受け入れてくれた。いつか二人で強くなって、ボスドラピオンを倒そうと誓い合ったのだ。

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

「・・・・だから分かってる。イワンコは負けないって!」

 

『ワンっ!』

 

シロコの言葉に応えるように、イワンコが一声を上げて立ち上がった。

 

「その根性は認めてあげるけど、これで決めるわ。マフィティフ、【かみくだく】!」

 

『バァゥフッ!!』

 

マフィティフが大口を開けて噛み砕きにきた。普通は後ろに退こうとするだろう。

しかし、

 

「イワンコ! 今!」

 

『ワウンッ!!』

 

なんと、イワンコは真っ直ぐ進み、その勢いで大きく跳躍すると、マフィティフの鼻先を踏み台にして見事回避した。

 

「【がんせきふうじ】!」

 

『ワォン!』

 

着地したイワンコの足元の地面から岩石が飛び出し、マフィティフの身体を囲んで封じ込めた。

『バフっ!?』

 

「マフィティフ!」

 

マフィティフは脱出しようとするが、囲んでいる岩が邪魔で動けなくなる。

その隙を、シロコとイワンコは見逃さない。

 

「イワンコ、【いわなだれ】!」

 

『ワオォォンンッ!!』

 

イワンコが吠えると、岩が飛び出てマフィティフにぶつかる。

 

『バフッッ!?』

 

「マフィティフ!」

 

「やったイワンコ」

 

『ウゥゥゥ、ワォォォォォンンッ!!』

 

シロコの言葉に応えるように、イワンコが雄叫びを上げたその瞬間ーーーーイワンコの身体が光り出した。

 

『おおっ!!』

 

周囲から驚きの声が漏れると、イワンコの身体が光り出し、メキメキッと音を立てながら大きくなっていき、光が収まるとその姿が露わになった。

四足歩行の凛々しい狼のような姿で、頭部には岩のタテガミが、首回りの白い体毛も増量されモフモフとしているが逆立っており、その体毛の色はまるで空のように美しい青色である。

 

「ルガルガン・・・・!」

 

シロコが目を見開いて呟いたその名、『オオカミポケモン ルガルガン たそがれのすがた(色違い)』であった。

 

『ルガァァァァァァァァァァ!!!』

 

ルガルガンの雄叫びが、辺りに響いた。

 

「くっ! 進化したからって、勝てると思わないでよね! マフィティフ、【とっしん】よ!」

 

『ーーーーバフッ!!』

 

一瞬怯むアルだが、マフィティフに指示を飛ばすと、マフィティフがダッと駆け出した。

 

「ルガルガン! 【ずつき】!」

 

『ーーーールガル!』

 

シロコが指示すると、ルガルガンも勢いを付けて飛び出し、マフィティフと再びぶつかり合った。

 

『バフゥゥゥゥゥッ!!』

 

『ガルゥゥゥゥゥッ!!』

 

お互い、今度は完全に拮抗した状態で押し合っている。

しかしーーーー。

 

「ルガルガン!」

 

『ウゥゥゥゥゥゥーーーールガァァァァァァァ!!』

 

『バフっ!?』

 

何と、ルガルガンがマフィティフを押し出し、マフィティフの足元の地面僅かに削れ、電車の路線のような轍が生まれた。

 

「ルガルガン、【じゃれつく】!」

 

『ルガルッ!!』

 

マフィティフがバランスを崩した瞬間を狙って、シロコが指示すると、ルガルガンがマフィティフに襲いかかる。

しかし、【じゃれつく】にしては少々技の威力が上がっており、マフィティフのダメージも尋常では無さそうだった。

 

「うへー。あれは【じゃれつく】じゃないね。新しい技になったようだよ。『あくタイプ』の苦手な『かくとうタイプ』の技だね」

 

「【インファイト】・・・・!」

 

ホシノがルガルガンが新しい技を編み出したと言うと、シロコがその技の名を呟いた。

そして、効果抜群の技を受けたマフィティフは。

 

『バフゥゥ〜・・・・』

 

「ああっマフィティフ!!」

 

アルが白目を剥いて愕然とした顔になった。先生がマフィティフの様子を見ると、目を回して気を失っていた。

 

“・・・・・・・・マフィティフ、戦闘不能! ルガルガンの勝利!”

 

『ピカチュウ!』

 

「ん。ルガルガン♪」

 

『ガルっ!』

 

ルガルガンがシロコに近づき、二本立ちになると前足をシロコの肩に乗せ、そのままシロコの顔をペロペロと舐めると、シロコも笑みを浮かべて頭を撫でた。

 

「マフィティフ〜」

 

『バフゥ〜・・・・」

 

アルがマフィティフの身体を抱き締めながら、労わるようにその身体を撫でた。

そしてーーーー。

 

 

 

ーーーーキーンコーンカーンコーン。

 

 

 

 

丁度良い所で、放課後を示すチャイムが鳴り響いた。

 

「あ、定時だ」

 

「今日の日当だとここまでね。結構楽しめたし良いか。皆、帰るわよ」

 

外野の傭兵達が帰ろうとしていた。

 

「は、はあ!? ちょ、ちょっと待ってよ! あなた達何もやってないじゃない!」

 

「ポケモンバトルで白黒つけるって勝手に決めたのそっちじゃん」

 

「しかも一勝二敗一引き分け。完全に負けじゃん」

 

「んじゃそういう訳で。まあバトルの見物料として依頼料の二割くらいは返金してやるわよ」

 

そう言って、傭兵達はさっさと帰ってしまった。

 

「コラー! ちょっ、帰っちゃダメ!」

 

「・・・・・・・・」

 

「ダメって言われても、勝敗は決まっちゃったしね。“アビドスにいる珍しいポケモンの捕獲もできてないし”。 どうするアルちゃん逃げる? レパルダスもマタドガスもマフィティフも、ポケモンセンター(無料)で治療させたいし」

 

「あ・・・・うう・・・・」

 

カヨコが頭痛を堪えるように頭を抑え、流石にムツキも苦笑し、アルは汗を垂らすと、対策委員会に向けて指差した。

 

「こ、これで終わったと思わないことね! アビドス!!」

 

「あはは、アルちゃん、完全に三流の悪役のセリフじゃんそれ」

 

「うるさい! 逃げ・・・・じゃなくて、退却するわよ!」

 

「それじゃぁ、お約束の台詞言ってみよー!」

 

「ぬぐぐ・・・・!」

 

ムツキがニヤニヤしながら言うと、アルは口ごもるが。

 

「ーーーーや、やな感じーっ!!」

 

と、お約束の捨て台詞を言って、マフィティフをボールに戻すと、便利屋68はそそくさと逃げ出したのであった。

 

「待って!・・・・あっ、行っちゃいましたね」

 

「うへ〜逃げ足速いね、あの子達」

 

「・・・・詳しい事は分かりませんが、敵兵力の退勤・・・・いえ、退却を確認」

 

終わって一安心したいが、アヤネの顔をあまり優れなかった。

 

「でも困りましたね・・・・妙な便利屋にまで狙われるとは、先が思いやられます・・・・一体、何が起こっているのでしょうか・・・・」

 

「まあ、少しずつ調べるとしよう。先ずは社長のアルって子の身元から洗ってみたら? 何か出てくるよ、きっと」

 

「はい。では皆さん、お疲れ様でした。教室に戻りましょう」

 

アヤネがそう言って、対策委員会は教室に戻ろうとした。

が、先生は先程、ムツキの言っていた言葉に、気になる言葉があった。

 

【ーーーー“アビドスにいる珍しいポケモンの捕獲もできないよ”】

 

“(・・・・彼女達の言っていた珍しいポケモンって・・・・)”

 

先生は何故か、懐のモンスターボールに入っているミライドンを見る。

 

“(・・・・もしかしたら、『当たり』が来たのかも知れない)”

 

「ん? 先生、早く戻ろう」

 

『ルガルっ!』

 

“ーーーーうん。今行くよ”

 

『ピカチュウ!』

 

『カルッ』

 

先生とピカチュウとルカリオは、対策委員会の皆と共に校舎へと戻っていった。




アルちゃん達の『隠し玉ポケモン』も、いずれ出てくるかも知れない。
そして次回、ブルーアーカイブの主役?が登場します!



アル&マフィティフ
中学の頃に、野生のオラチフをゲットする。それから噛みつかれながらも世話をしている内に、何とか心を開いてもらい、そのまま共に過ごし、アルがアウトローを目指すと言い出してゲヘナ風紀委員会とも戦うようになってからマフィティフに進化した。
マフィティフはアルの事を、世話が焼けるがやればできる子だと思っている。便利屋68のポケモン達の頼りになる親分。

ムツキ&エテボース
中学の頃、ゲヘナ学園でイタズラをしまくっていたエイパムを見つけ、お互い一目で気が合い、そのままマブダチ&パートナーとなる。ムツキの天才的なポケモンバトルセンスと、エテボースに進化してのトリッキーな戦法で基本負けなしのコンビとなった。
アルの事は一緒にからかったり焚き付けたりしている。便利屋68のポケモン達のムードメーカー。

カヨコ&レパルダス
迷子のチョロネコを拾い、そのまま面倒を見ている内に懐かれパートナーとなる。レパルダスに進化し、カヨコは一日のブラッシングを仕事が無い時は欠かさず行っている。
レパルダスはアルの事を若干舐めており、カヨコがリーダーになれば良いと思っている。便利屋68のポケモン達の姉御なサブリーダー。

ハルカ&ガラルマタドガス
虐められていたハルカが、自分は臭い場所にいるのがお似合いと思いそこで蹲っていると、その臭い匂いを食べに来たガラルマタドガスと出会う。それから何故かそばに居続けたガラルマタドガスに、何となくモンスターボールを差し出すと、ガラルマタドガスはボールに入り、そのままパートナーとなった。
マフィティフ達を空中に運んだり、空気を洗浄したり、ガスを噴射して撹乱&逃走の手助け、【だいばくはつ】での広範囲攻撃などを行う、便利屋68のポケモン達の縁の下の力持ち。
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