ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回はオリジナルと、わざマシンの説明があります。


共闘しよう、便利屋68

ーチナツsideー

 

場所は変わり、アビドスに向けて進軍する一団があった。黒を基調とした制服を着込んだ生徒達が、軍隊よろしく整列している。

彼女達こそ、〈ゲヘナ学園〉の治安維持部隊『ゲヘナ風紀委員会』であった。

 

「それでチナツ。昨日うちの学区内の『薬局』を襲った一団が、アビドス地区に逃げ込んだって言うのは本当か?」

 

その一団の先頭を歩いている風紀委員会の生徒が、隣にいる火宮チナツに話しかけた。

 

「ええ。『ーーーーー』が追跡したから間違いないわ。どうやらアビドスにいるみたい」

 

「分かった。・・・・それにしても、私達『風紀委員会』がマークしていた店が襲われるとはな。『委員長達』は?」

 

「先に現場検証、と言う名目で『薬局』の捜査をするそうよ」

 

「大丈夫か? 『委員長達』だけで?」

 

「大丈夫よ。『委員長達』をどうにかできる相手なんて、そうそういるようなものじゃないわ。私達は襲撃犯の一団を追いかけますよ」

 

「了解」

 

チナツが言うと、ニヤリと口角を上げる風紀委員会の生徒であった。

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そしてここは『柴関ラーメン』。今は平日の昼前なのもあって、客は先生と便利屋68だけであった。

 

『ごちそうさまでした』

 

『ーーーー!』

 

便利屋とポケモン達はラーメンを食べ終えていた。

 

“うん。あ、これテイクアウトで頼んでおいた餃子ね”

 

便利屋が食べている間、先生はルカリオを外に向かわせ、ウソッキーが持ってきた餃子の入ったタッパーを入れたビニール袋を渡す。

会計は既に済ませており、柴関ラーメンの代金を経費で落ちないか考えていた。

 

「ええ。ありがとう先生。この借りはいつか返すわ」

 

『バフッ』

 

「ありがとねー先生。昨日から何も食べてなかったから、もう大満足!」

 

『ウッホホー!』

 

「・・・・他の味も食べられてよかったよ。ありがとね、先生」

 

『ニャォン』

 

「あ、ありがとうございます・・・・先生・・・・」

 

『マ〜タドガ〜ス』

 

“気にしなくて良いよ。皆も私の生徒だからね。それと先生としては、日頃からちゃんと食事をして欲しい所なんだけど・・・・”

 

『ピカチュウ』

 

 

「・・・・それで? 先生。私たちを呼んだ理由は、なんなのかしら」

 

アルは格好つけると、空気がピリッとなる。

すると、先生は『本題』へと入る。

 

“・・・・まず一つ、君達便利屋68は、カタカタヘルメット団の後に、アビドスを襲撃しに来た。さらに、アビドスが所有している珍しいポケモンの捕獲も依頼されている”

 

「えっ? 何でそんな事知ってるの!?」

 

「・・・・ムツキ」

 

「あははー。ゴメーン♪」

 

「ムツキー!!」

 

アルがムツキの両肩を掴んでグワングワン揺するが、ムツキはカラカラと笑うだけだった。

カヨコがハァ、溜め息を吐いてから話を戻す。

 

「・・・・先生、話を続けて」

 

“うん。と言う事は、君達の依頼人‹クライアント›は同じ人物、って事で良いんだよね?”

 

「うん。そうだよ」

 

“アビドスが借金をしていてそれを、ある金融業者から借りているって事も知ってるよね?”

 

「・・・・ええ。この間、ここで聞いていたわ」

 

ムツキを解放したアルが頷いてくる。

 

“・・・・実はね、その借金を返済した金融業者の集金確認の書類を、『偶然』手に入ったんだ”

 

「えっ? 金融業者の集金の書類??」

 

「そ、それって、もしかして、昨日の・・・・」

 

“『偶然』、だよ”

 

アルとハルカの言葉を、ニッコリと笑みを浮かべて答える先生の顔に、何やら有無を言わせない迫力があり、便利屋はそれ以上言及せず終えた。

 

“それで、その書類を確認した所、アビドスの皆が働いて稼いだお金の大部分がーーーーカタカタヘルメット団の『任務補助金』として払われていたんだ”

 

「は・・・・? はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

アルは驚愕に白目を剥いて、カヨコとムツキはパチクリと目を丸くした。ハルカはオドオドしているが。

 

「ちょちょちょちょっ! ちょっと待ってよ!? それって、あのブラックマーケットの闇銀行が、アビドスの子達の借金を受け取り、それをカタカタヘルメット団に渡していたの!? 何で!?」

 

“その様子だと、アル達は補助金を受け取らなかったようだね?”

 

「うん。アルちゃんが『手付金』は受け取らないってさ☆」

 

“それは良かった。話を戻すけど、あの闇銀行はアビドスが借金している〈カイザーローン〉。そしてその親会社が、〈カイザーコーポレーション〉なんだ”

 

「か、〈カイザーコーポレーション〉っっ!!??」

 

その名を聞いた瞬間、アルは目を見開き、カヨコとムツキ、ハルカすらも驚きに目を見開いた。

 

“〈カイザーコーポレーション〉の事も知っているようだね?”

 

「そりゃこんな仕事をしているからね、〈ゲヘナ〉でも有名だよ。勿論『悪い方』でね。限りなく黒に近いグレーな企業なんだけど、証拠がなくて風紀委員会も〈ヴァルキューレ警察学校〉も動けないようだよ」

 

「んで、ヘルメット団の雇い主、つまり私達の依頼人が〈カイザーコーポレーション〉の理事って事? んじゃあの闇銀行って、依頼人の子会社だったって訳だねアルちゃん?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

カヨコがゲヘナでのカイザーの評判を説明し、ムツキが解説すると、アルは白目を剥いたまま固まっていた。

手付金を拒否した依頼人の子会社である闇銀行に融資を求めたなんて、何ともマヌケな話である。

放心状態になってしまった社長(ムツキはツンツンし、ハルカはオロオロしている)に代わって、カヨコが先生に話しかける。

 

「それで? 先生は私達にどうして欲しいの? 確かにカイザーが関わっているのなら、この依頼がかなりキナ臭い物だって事は分かったけど」

 

“・・・・実は、皆に教えておこうと思うんだ。これは、まだアビドスの皆にも教えていない。“私達がアビドスにやって来た『二つの理由』をね”

 

それから先生は、アビドスに来る前、先生とピカチュウに何が起こったのかを話した。

 

 

 

 

 

ーカヨコsideー

 

先生の話を聞いている内に、カヨコは顎に手を当てて思案するように黙り、ムツキはフムフムと面白そうと言いたげに笑みを浮かべ、ハルカは良く分かっていないが何やら大変だと言う事は理解したようだ。

そして、アルは段々顔に生気が戻り、まるでサスペンス映画でも観ているような顔で先生の事を「何かカッコいい」と思いながら話を聞いていた。

先生が話を終えると、カヨコが口を開く。

 

「成る程ね・・・・確かに、そこまでの事がこのアビドスに集約しているなんて、あまりにも不自然過ぎる。それで、その裏に〈カイザーコーポレーション〉が絡んでいると言う根拠は何?」

 

“ーーーー実はね。もう一つ、書類に書かれたお金の流れの中に、こんな場所にも流れていたようなんだ”

 

先生が『シッテムの箱』に表示させた書類に記された『ある薬品会社』の名を指した。

 

“ーーーー実はこの『薬品会社』は、〈カイザーコーポレーション〉系列の会社で、そこから・・・・『R』らしき薬品が流れていたようなんだ”

 

「あ、『R』ですって!?」

 

『R』の名を聞いた瞬間、アルは思わず声を張り上げた。

 

“アル達も、『R』は知っているようだね?”

 

「うん知ってるよー☆ アルちゃん、ポケモンを暴走させて無理矢理に力を引き出させる『R』の事、『下品な物』って言って嫌ってるんだー。まぁ、私も好きじゃないけどねー♪」

 

「先生もしかして・・・・最近〈キヴォトス〉でかなり問題視されている『R』事件もカイザーが関与しているの?」

 

“私はそう見てる。君達の依頼人は〈カイザーコーポレーション〉の理事だろう。アウトローとして、依頼を投げ出す訳にはいかないだろうけど、『プロフェッショナル』として、君達はどうする?”

 

「えっ? 『プロフェッショナル』? 先生私達の事、『プロ』だと思っているの?」

 

アルが自分達を『プロ』だと言ってくれる先生の言葉に、ピクリと反応を示した。

 

“うん。公私をキチンと割り切ってアビドスに戦いを襲撃しつつ、恩義ある相手に対してフェアなポケモンバトルを挑み、正々堂々とバトルをした。私はそんな君達を、自分なりのルールを持っているプロのアウトローだと思っているよ”

 

『ピカピカ』

 

先生の言葉にピカチュウも同意を示した。

そしてそれを聞いて、アルが嬉しそうに顔を緩め、この後の展開を予想してムツキはニヤニヤと、カヨコは溜め息を、ハルカは首を傾げていた。

 

“君達に便利屋68に私、〈連邦捜査部S.C.H.A.L.E‹シャーレ›〉から依頼したい。カイザーからの依頼をキャンセルし、アビドスに協力してもらいたい”

 

「・・・・カイザーコーポレーションは巨大企業よ。いくらシャーレとは言え、私達にメリットがないわね」

 

シリアス顔でそう言っているが、内心はもう決まっている事は見え見えだった。

 

“この依頼を完了させても、君達は必死に学校を守っている子達ーーーーそれも、こんな美味しいラーメン屋を教えてもらって奢ってもらった相手の大切な場所を奪った、ていう心にしこりが残る。それも、カイザーのような悪徳業者の手先として、ね”

 

「・・・・・・・・」

 

“協力してくれるなら、シャーレの依頼を君達にも回るように口利きしておくよ。お弁当と弾薬の補給もする。それに、『シャーレの先生から信頼されている便利屋68』と、『悪徳業者の手先の便利屋68』、どちらが今後の便利屋68にとって有益になるのか、判断して欲しい。『プロ』として、ね?”

 

それを聞いてカヨコはフムと思った。

 

「(確かに。カイザーは大物だけど、そこまでの大金を払っていたカタカタヘルメット団を簡単に切り捨てるんだ。私達の事もアビドスを潰したら、お金だけ渡して使い捨ての駒のように簡単に捨てるだろうね。そして私達に残るのは、『善良な学校を襲撃した悪辣な不良組織』と言う、社長の言うアウトローからかけ離れた不名誉な称号だけ。先生の提案に乗れば、色々とクリーンな依頼を受けて安定収入ができるし、食事や補給も助かるから、後々の事を考えればメリットの方が大きい。カイザーの依頼を続けて大金と不名誉を得るか、先生の依頼を受けて小銭と食事と補給とクリーンである程度安定した仕事先を貰い続けるか・・・・ま、社長の答えは分かりきっているけど)」

 

カヨコがそこまで考えると、アルが先生に向けて口を開く。

 

「先生はどうして、私達に対してそこまでしてくれるの?」

 

“私は先生だからね。対策委員会の皆の先生でもあり、君達便利屋68の先生でもあるんだ。できる事なら争わないで欲しいし。知らない内に悪い人達と関わっているなら、手を引いて欲しいと思っているんだよ。それに、実にアウトローな話だと思うから”

 

「え?」

 

“相手は〈キヴォトス〉で有名な限りなくブラックな巨大企業。その悪巧みに敢然と立ち向かう便利屋68! 理不尽な法にも、悪い奴らの思惑通りにもならない、自分のルールを貫く! それが私の考えるアウトローだと思うよ?”

 

「・・・・・・・・」

 

アルが思案するように黙るが、カヨコはその表情から今アルの頭の中には。

ーーーー強大な悪徳企業に勇敢に立ち向かう便利屋68の勇姿の絵がそれはもう、とことんまで美化された姿で描かれているのだろう。

アルの表情が徐々に笑みを浮かべると、バッと立ち上がり、テーブルの上座に立ち、マフィティフを傍らに立たせると、腕を組んで先生に向けて口を開く。

 

「その依頼、便利屋68が引き受けたわ先生!」

 

『バフッ!』

 

「キャー! 巨大企業に挑むなんて、アルちゃんそれヤバーイ! んふふ♪ 惚れ直しちゃいそう♪」

 

『ウホホーイ!』

 

「さ、流石です!アル様!」

 

『マタドガ〜ス』

 

『ニャァ!』

 

一瞬だけ静寂に包まれた柴関の店内に、ムツキとエテボースがはしゃぎ、カヨコも歓声を上げ、ガラルマタドガスは優雅に宙を浮いて、レパルダスも珍しく同意するように鳴いた。

パートナーのリアクションを見て、カヨコがやれやれと言いたげな溜め息を吐きつつ話をする。

 

「・・・・はぁ・・・・それじゃ、カイザーコーポレーションとの依頼はキャンセル?」

 

「そうなるわね! 」

 

カヨコの言葉に、アルは元気良く返した。今朝の陰々滅々とした姿を見た後だと、漸く本調子に戻ったので、まぁ良しとしようと、カヨコも納得した。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

便利屋68の協力を取り付けられた先生は、内心ホッとしているとーーーー。

 

『ーーーーカル』

 

何やら中身がパンパンに詰まった袋を携えたルカリオが店に入ってきた。

 

“あっ、ルカリオ、お疲れ様。アル。もしかしてこれって、アル達の? 柴関ラーメンのアチコチに仕掛けられていたんだけど?”

 

ルカリオがテーブルの上に袋を置いて開くと、ドサァと、幾つもの爆弾(解除済み)が現れた。

 

「へ? 何これ? これってハルカのお手製の爆弾よね? えっ? 何でこのお店に仕掛けられていたの??」

 

「あぁ、その・・・・ここは対策委員会の行きつけのお店ですから、一網打尽にしようと仕掛けていました・・・・」

 

「えええええええええぇぇぇぇぇっ!!??」

 

割りかし物騒な理由で仕掛けられていた。社長のアルが白目を剥いて驚いているのが気になったが。

 

「先生良く気づいたねー?」

 

“・・・・偶々ここに来た時、爆弾らしいものを見つけてね”

 

ムツキの言葉に、先生は苦笑して応えた。

この店の近くに来た時、“ボールに入った『友人』が念話で危険を知らせてくれたのだ”。

それでアロナに建物に爆発物反応がないかスキャンしてもらうと、幾つもの爆弾があるのが確認され、さらにその内の一つを見つけて解除したのだ。

後は、先生とピカチュウが便利屋を店の中で交渉している内に、ルカリオが解除作業をしてもらっていたのだ。

 

「・・・・何か、最初から勝てなかったようだね?」

 

「お、怖気づいた訳じゃないわよ・・・・?」

 

「それは分かっているから」

 

カヨコとアルがそう言うと、事前に先生から厨房にいて欲しいと頼まれていた大将とウソッキーが、何やらパックが詰められた袋を持ってきた。

 

「おう先生。どうやら話はまとまったようだなぁ?」

 

“ありがとうございます大将”

 

「良いって事よ。こっちとしても、大事なお客さんとアルバイトが喧嘩しているなんてゴメンだったからな。嬢ちゃん達、またウソッキーの奴が餃子と今度新作として出す春巻きを作り過ぎちまってな。テイクアウトしてくれねぇか? お代は良いからよ!」

 

『ソッキー!』

 

「えぇっ!?」

 

大将とウソッキーの言葉に、またアルが白目を剥く。

 

「良いの?」

 

「なぁに。詳しい事は分からねぇが、アビドスの子達に協力してくれる事への、俺らなりの感謝の証さ。ちょっと待ってな。サービスで炙りチャーシューもサービスするぜ!」

 

「あっちょっ・・・・」

 

そう言って、大将とウソッキーが厨房に戻るのをアルは少し手を伸ばして止めようでしたが行かれてしまった。

 

“・・・・まぁせっかくの好意なんだから、受け取ってあげるのが礼儀だよ”

 

「そうそう♪ 貰える物は病気以外なら何でも貰っておこう☆」

 

ムツキはルンルン気分でハルカとテイクアウト料理を持ち出す準備をする。

 

“・・・・っ!”

 

『ピカッ!?』

 

『っ!?』

 

と、その時、先生の『友人』から発せられた念話を聞くと、ガバっと立ち上がる。

 

「先生?」

 

“皆伏せてぇ!”

 

先生が叫ぶと同時に、外から店の壁をブチ破ってきた『エネルギー波』が、ハルカの爆弾を掠めると、目映い光が柴関ラーメンの店内を包み込んで。

 

ーーーードガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッッッ!!!

 

 

 

 

 

 

ー対策委員会sideー

 

激しい爆裂は、ホシノと先生を欠いた対策委員会(会議中)も確認した。

 

「前方、半径十km内にて爆発を確認! 近いです!」

 

「十kmって事は・・・・市街地? まさか襲撃!?」

 

「衝撃波の形状からすると、何かのエネルギー波による爆発と、C4爆弾の連鎖反応と思われますが・・・・もう少し確認してみます!」

 

アヤネはそう言って、タブレットを操作した。

 

「・・・・爆発地点を確認。市街地です! 正確な位置は・・・・柴関ラーメン・・・・!? 柴関ラーメンが跡形もなく消えてしまいました!」

 

「はあ!? どう言う事!? 何であの店が狙われるのよ!」

 

「戦略拠点でもなく、重要な交通網でもないのに。一体誰が・・・・」

 

「ま、まさか私を狙って・・・・?」

 

前回、バイトの帰りに襲われたセリカが顔を青くする。

 

「憶測は後でも遅くない。先ずは何か手を打たないと!」

 

「そうですね! 今はそれどころじゃありません! 向かいましょう!」

 

「ホシノ先輩には私から連絡します、出動を!!」

 

アヤネがそう言うと、シロコとノノミはすぐに向かおうとするが、セリカは窓からウォーグルをボールから出して、その背中に乗った。

 

「シロコ先輩! ノノミ先輩! ウォーグルに乗った方が速いわ!」

 

「でも三人も乗って大丈夫?」

 

「そうですよぉ、私もこの子も結構重いですし・・・・」

 

ノノミが自分と『リトルマリンガンV』を抱えてそう言った。

 

「大丈夫! 少しスピードは落ちるけど、走っていくより全然速いわ! ウォーグルいける!?」

 

『ウォー!』

 

セリカの問いにウォーグルは「任せろ!」と言いたげに鳴くと、シロコとノノミもウォーグルの背に乗り、柴関ラーメンへと向かった。

 

「どうなっちゃったのよ・・・・! 大将、ウソッキー・・・・二人とも無事でいて・・・・!」

 

『ウォー・・・・!』

 

セリカとウォーグル、二人の無事を祈りながら飛んでいった。

 

 

 

 

ービブラーバsideー

 

『・・・・・・・・』

 

ビブラーバは、飛んでいくセリカ達と親友のウォーグルの背中を見上げながら、何処か悔しそうな目で見ていた。

自分が『最終進化形態』となれば、自分も皆を乗せて共に戦えるのに、ここに残るしかできない自分が、歯がゆくて仕方がなかった。

 

「ビブラーバ・・・・」

 

『ビブ!?』

 

アヤネがビブラーバの気持ちを察したように表情を曇らせる。

 

『ビブラー♪』

 

が、ビブラーバは翅を鳴らしながら陽気に中回転した。

 

「・・・・うん。私達は私達のできる事をやろう!」

 

と言って、アヤネは再びタブレットでドローンを操作した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアルsideー

 

対策委員会が出動するのとほぼ同時刻。

モクモクと柴関ラーメンの店だった建物が煙を上げ、その崩れた建物の中から、瓦礫を退かして出てくるマフィティフとエテボースとレパルダスとガラスマタドガス、そしてそこから、便利屋68も這い出てくる。

 

「ゴホッ、ゴホッ・・・・うわぁ、建物なくなっちゃったよ?」

 

「ケホッ・・・・これは一体・・・・」

 

「わ、私の爆弾に・・・・外から来たエネルギー波が掠って、爆発しちゃいました・・・・!」

 

「あぁ・・・・何か思い出してきた。カヨコちゃん、あれってポケモンの技だよね?」

 

「・・・・うん。それにあの色からすると、おそらく【はかいこうせん】だね」

 

「でも、【はかいこうせん】なんて強力で規制もされている技、一般人のお店にぶち込むかなぁ? どう思うアルちゃん?」

 

ムツキが目を向けると、白目を剥いて破壊された柴関ラーメンを見るアルが頭を抱えていた。

 

「・・・・う、うああ・・・・」

 

折角の美味しいく、お金のない自分達にも優しいお気に入りのラーメン店の無惨な姿に、愕然として固まってしまっていた。

 

「(何これ!? 何が起こったの!? 誰がこんな酷い事を!!??)」

 

「アルちゃん、アルちゃん。何か外から【はかいこうせん】が飛んで来て、それが先生が回収したハルカの爆弾と誘爆しちゃったみたいだよ?」

 

「えぇぇぇぇ!? それって、半分は私達のせいって事じゃない!? っ! そ、それよりも、先生は!? 大将は!?」

 

『っ!』

 

アルが先生と大将を探すように辺りを見回すと、マフィティフの垂れていた耳がピンッと上がり、ノッソノッソと走りながら、瓦礫が盛り上がっている所の近くに来て、耳をすませてからスンスンと匂いを嗅ぐと。

 

『バフっ! バフっ!』

 

「マフィティフ! そっちね!」

 

「救助犬マフィティフ☆」

 

マフィティフがアルに向かって、「ここだ! ここにいるぞ!」と叫ぶように吠えると、便利屋はすぐにそこに行き、瓦礫を少しずつ退かしていくと、先生とピカチュウとルカリオ、そして大将と、柱に潰されたウソッキーがいた。

 

『先生!』

 

“皆! ウソッキーが大将を庇って柱の下敷きに!”

 

「ウソッキー! おいしっかりしろ!」

 

「皆! 退かすわよ!」

 

アルの言葉に全員が頷くと、いっせ~の! で柱を浮かせ、ルカリオと先生でウソッキーを救助した。

 

「ウソッキー! ウソッキー!!」

 

『ソッキ〜・・・・』

 

大将が必死に呼びかけると、ウソッキーは弱々しくだが、いつもの笑顔を浮かべて応えた。

 

「ホッ・・・・先生! ウソッキーはどうなんだ!?」

 

“・・・・・・・・特性の『がんじょう』で、致命的なダメージは避けているようだけど、すぐにポケモンセンターに行った方がいい。最寄りのセンターは・・・・くっ、禁止エリアに入っていないか・・・・”

 

〈キヴォトス〉ではポケモンセンターのある地点の半径十km以内での戦闘とポケモンバトルは禁止されている。

しかし、この柴関ラーメンはそのエリアからギリギリ十メートル離れてしまっていたのだ。

先生は御三家を出す。

 

“リザード! カメール! フシギソウ!”

 

『リザ!』

 

『カメ!』

 

『ソウ!』

 

“ルカリオと共に、大将とウソッキーをポケモンセンターへ! センターは人間? の治療もやってくれる筈だ! ルカリオ、頼めるかい?”

 

『カルォ!』

 

ルカリオが任せろと言いたげに頷き、フシギソウが【つるのムチ】で横になるベッドを作ると、リザードとカメールがその上にウソッキーを乗せ、ルカリオが大将に肩を貸しながらポケモンセンターへと避難していった。

 

「ーーーー先生。ポケモンセンターには今連絡しておいた。すぐに救急車も迎えに行くって」

 

“ありがとうカヨコ”

 

「・・・・それじゃぁさ、そろそろアイツらの相手しないとだね♪」

 

カヨコの言葉に先生が礼を言い、ムツキの言葉に全員が振り向くとソコにはーーーー大勢の人員と共に、カタカタヘルメット団が立っていた。

しかも、ヘルメット団リーダーの両隣に、ボスワルビアルとボスサダイジャが、フシュゥゥゥ〜、と小さく威嚇もしている。

 

“あれって・・・・カタカタヘルメット団?”

 

「ま〜だいたのアイツら。私達のボコボコにされて、もうアビドスからトンズラしたと思っていたのに」

 

「あ、あの・・・・後ろにいる人達、アル様が雇った傭兵達じゃ・・・・?」

 

「あれぇ〜? 本当だぁ! 何でヘルメット団と一緒にいるの?」

 

「ーーーーオラッ! 聞こえているか便利屋68!!」

 

ムツキが首を傾げていると、ヘルメット団リーダーが銃を空に向けて撃ちながら叫ぶ。

 

「お前らよくも私らに対して舐め腐った真似しやがったな! ここがテメェらの行きつけの店だって事は分かっているんだ! アビドスに行く前に始末してやるぜ!!」

 

『『シャァァァァァァ!!』』

 

ヘルメット団リーダーの言葉に、ボスワルビアルとボスサダイジャが同意するように吠えた。

 

「私達への報復に来たみたいだね・・・・」

 

「ちょっと待って! その前に何で私の雇った傭兵がそっちにいるのよ!?」

 

「お前らの倍の金を出すって言ったらあっさりと簡単に寝返ったぞ」

 

「ちょっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

白目を剥いてガビーン! と言う文字が頭に落ちたような衝撃を受けるアル。

それを見て苦笑する先生とピカチュウ。ケタケタ笑うムツキとエテボース。はぁ、溜め息を吐くカヨコとマフィティフとレパルダス。オロオロするハルカ。のんびり浮遊するガラスマタドガス。

 

“いつもこんな感じなの?”

 

「まぁ、だいたい・・・・」

 

先生が思わず聞くと、カヨコが頭を押さえて肯定を示した。

 

『っ! ピカピピ!』

 

“ん? あっ・・・・”

 

すると、上空からバッサバッサと羽が空を切る音がして、ピカチュウが空を指差して見上げると、ウォーグルに乗ったシロコとセリカとノノミがやって来た。

 

「先生!?」

 

ウォーグルから降りて真っ先に近づいていたのは、当然と言おうか、セリカであった。セリカは先生の胸ぐらを掴んでグワングワンと揺らす。

 

「先生! どうしてここに!? いやそれよりも大将は!? ウソッキーは!?」

 

“おちおち、おちち、セリカ、おちち・・・・!”

 

「何がおちちよ!? 私の胸はノノミ先輩と比べるとフライパンみたいだって言いたいの!?」

 

「セリカ。落ち着いてって、言っているみたいだよ」

 

「落ち着いて下さいセリカちゃん!」

 

シロコとノノミが押さえて、セリカが先生を解放すると、先生は少し咳き込んでから、大将とウソッキーはルカリオ達に連れられポケモンセンターへと向かったと伝えた。

すると、ドローンからアヤネが立体映像で出てくる。

 

《確認しました! 大将さんとウソッキーさんはセンターからの救急車で搬送されました! 大将さんは軽傷で、ウソッキーさんは少しダメージがあるようで集中治療を行うようです! ルカリオさんは二人の付き添いをして、リザードさん達は引き返して来ます! セリカちゃん! ウォーグル! 二人とも無事だよ!》

 

「そうか・・・・よかったぁ・・・・!」

 

『ウォー・・・・』

 

セリカとウォーグルがホッとしたように溜め息を吐いて、キッと、便利屋68とカタカタヘルメット団を鋭く睨み付けた。

 

「それで、あんた達のせいでお店が吹っ飛んだって事!?」

 

「あぅ・・・・」

 

セリカに睨まれ、アルが息を詰まらせるが、ヘルメット団リーダーが口を開く。

 

「ヒャハハハハハハ!! 来やがったな対策委員会! 便利屋から先に片付けてやろうと思っていたが、丁度良い! まとめて吹き飛ばせワルビアル! サダイジャ! 【はかいこうせん】!!」

 

『『カァァァァ・・・・ガァァァァァァァ!!』』

 

ヘルメット団リーダーが叫ぶと、ボスワルビアルとボスサダイジャがオレンジ色の光線、【はかいこうせん】を放った。

 

『わわわわ!!』

 

全員が回避すると、【はかいこうせん】は近くの大型トラックに当たり、トラックを大爆散した。

 

「ちょっと! 【はかいこうせん】なんて町中で使う技じゃないでしょう!」

 

「それよりも、ワルビアルとサダイジャって【はかいこうせん】を覚えられるの?」

 

アルが叫び、シロコの疑問に先生が答える。

 

“・・・・確かに普通に育成しても覚えられる技じゃない。けど、『わざマシン』を使えば覚える事ができる筈だよ。でも、もうカイザーからの補助金が無くなってるのに、どうやって・・・・?”

 

ポケモンの使う技は、ポケモンが成長したり、進化したりする事で自然と体得する事ができる。しかし、タイプが違う技やもっと威力のある技を取得する為に用いられるのが『わざマシン』である。『わざマシン』は市販でも売られているが、『進化の石』と同等に高価な代物である。

しかし、中には【はかいこうせん】のような使用するポケモンによってはビル一つは破壊しかねない強力な技の『わざマシン』があり、一般生徒が得るとどんな被害が出るか分からない。

そうして簡単には得られないように、【はかいこうせん】のような強力な『わざマシン』の購入には、生徒会からの許可を得ないとならない。

それでも、正規のルートで手に入る【はかいこうせん】の『わざマシン』は、安くてもセリカのバイト代の四ヶ月分は必要とする程の高額である。

 

「まさか、ブラックマーケットで購入したのでしょうか?」

 

「・・・・いや、ブラックマーケットならある程度安くなるけど、二つも手に入る程のお金をアイツらが持っているとは思えない」

 

「って事は・・・・もしかしてアンタ達! ブラックマーケットから盗んできたの!?」

 

ノノミの疑問にカヨコが応え、セリカがヘルメット団リーダーに向けて声を張り上げると、クックックと含み笑いを上げながら声高らかに言う。

 

「その通り! テメェらをまとめてブチのめす為に、ブラックマーケットの『わざマシン』を根こそぎ奪ってやったのさ! 丁度、“『闇銀行』で強盗事件が起こって、マーケットガードはそっちの方に戦力を集中していたし、露天商達も泡食って逃げたから仕事がやりやすかったなぁ”!!」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

ヘルメット団リーダーの話を聞いて、便利屋は半眼で先生達と対策委員会を見ると、先生と対策委員会はサッと目を逸らした。

 

『(・・・・と言う事は、この騒動の原因ってーーーー私達!?)』

 

正確に言えば、便利屋もかなり絡んでいるのだが。

 

“で、でも、無関係な柴関ラーメンを破壊するのは許せないよね?”

 

「え? え、ええそうね先生! 善良な一般人を巻き込んで良い理由にはならないでしょう!? しっかりしなさいよ対策委員会!」

 

「アンタ・・・・」

 

先生とアル(便乗)の言葉に、対策委員会が顔を上げる。

 

「柴関ラーメンの破壊の責任は半分くらいはうちにあるけどねぇ☆」

 

「ややこしくなりそうだから黙っていよう・・・・」

 

「は、はい・・・・!」

 

便利屋のメンバーも、あまり突っついてバレないようにした。

 

「と言う訳で! 私達便利屋68の行きつけの店を壊したアンタ達! 覚悟はいいんでしょうね!?」

 

「クックック・・・・! こっちも『切り札』がある! お前達! やってやれ!!」

 

『了解!』

 

ヘルメット団リーダーの言葉に応じるように、ヘルメット団団員と傭兵達が、『紫色のガスの入った試験管』をアスファルトに叩きつけて、自分のワルビアル達とサダイジャ達や傭兵達のポケモン達に吸わせた。

するとーーーー。

 

『キシャァァァァァァァァァァッ!!!』

 

ポケモン達の目が紫色となり、獰猛な雄叫びを上げてきた。

 

「先生、あれって・・・・?」

 

“うん。最近〈キヴォトス〉で問題視されている薬品、『R』だ”

 

《『R』!? あのポケモンを凶暴化させるあの違法薬品ですか!?》

 

ノノミの問いに先生が答えると、アヤネが驚いたように声を張り上げた。

そして、ヘルメット団リーダーがボスワルビアルとボスサダイジャに向けて指示を出す。

 

「【はかいこうせん】! そして、突撃だぁ!!」

 

ボスワルビアルとボスサダイジャが【はかいこうせん】を放つと同時に、他のポケモン達が迫ってきた。

 

“皆、ここは協力して乗り切ろう!”

 

『了解!』

 

全員が先生の言葉に応じると、それぞれのポケモン達が飛び出していった。




かなり強引な展開をしてしまった気がするが、後悔はない!
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