ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回、先生の性癖を歪めた諸悪の根源と、先生の未来のペット(笑)と出会います。
そして、アニポケのあのポケモンも!


襲来、ゲヘナ風紀委員会

ー???sideー

 

「・・・・・・・・・・・・やっぱり、〈カイザーコーポレーション〉が絡んでいたのね」

 

ヘルメット団によって襲撃された『薬局』の地下施設にて、『ゲヘナ風紀委員会』の制服を着た一人の小柄な生徒が、書類やデータに目を走らせている。

 

『・・・・・・・・』

 

すると、その生徒の背後から近づく一匹のポケモン。

しかしその生徒は振り向くまでもなく、それが自分のパートナーだと察しており、声を発する。

 

「『ーーーー』、外の方は?」

 

『ーーーー』

 

そのポケモンが一声鳴くと、外で他の手持ち達が『薬局』の警備員達を全滅させたと報告した。

 

『ーーーー』

 

そして、ヘルメット団が〈アビドス〉に逃げ、他の風紀委員会のメンバーが追跡していると告げた。

 

「・・・・ふぅ、面倒だけど、行くしかないわね」

 

書類とデータを回収したその生徒は、パートナーの頭を撫でてから、共にその地下施設を出て他の手持ち達と合流し、〈アビドス〉へと向かった。

 

 

 

 

 

 

ーアルsideー

 

そして、戦闘はーーーー。

 

「ウォーグル! 【ブレイククロー】!」

 

「マフィティフ! 【ハイパーボイス】!」

 

『ウォー!!』

 

『バァァァフゥゥゥゥゥゥンン!!』

 

『サダー!?』

 

『ワルビー!?』

 

ウォーグルとマフィティフによって倒されるボスワルビアルとボスサダイジャ。

 

『『ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・・!』』

 

しかし、流石はボスの座に着いているだけはあり、前回の不意打ちや消耗もない全快状態でかなり手強く、ウォーグルとマフィティフは体力を使い切ったように息を切らしていた。

 

「あ、あぁ・・・・!」

 

ヘルメット団リーダーが周囲を見ると、他のカタカタヘルメット団や傭兵達や自軍のポケモン達が目を回して倒れていた。

 

「コイツら・・・・!」

 

ヘルメット団リーダーが、悪足掻きに銃を向けた。

その時ーーーー。

 

ーーーードゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーーン!!

 

ーーーーズガガガガガガガガガーーーーン!!

 

ーーーードッカーーーーーーーーーーーン!!

 

「イヤな感じー!?」

 

「でぇぇぇぇ!?」

 

「何事ー!?」

 

突然の砲撃に、ヘルメット団リーダーと他の団員と傭兵達は空高く吹き飛んでいき。

巻き添えで対策委員会も便利屋も吹き飛び地面を転がった。

 

「うっわ!? 今度は何なのさ!?」

 

『ウホホー!?』

 

「・・・・これは・・・・!」

 

『フー!』

 

ムツキとエテボースが慌て、カヨコは一瞬思案した後、目を鋭くし、レパルダスも威嚇するように唸り声を上げる。

 

 

 

ーシロコsideー

 

「何・・・・?」

 

『ルガル?』

 

「この音は・・・・」

 

『ウォー!』

 

《敵襲です!! 三kmの距離に多数の擲弾兵を確認! 50mmの追撃砲です! 標的は私達ではなく便利屋とヘルメット団の方みたいなのですが、もう少し確認を・・・・》

 

アヤネがそう報告した。

 

「追撃砲、ですか・・・・?」

 

『サイ?』

 

「50mmの追撃砲と言えば・・・・」

 

シロコは一瞬、ヘルメット団かと思ったが、そのヘルメット団も諸共に吹き飛んでしまったので、その考えを捨てた。

すると、アヤネがさらなる報告をする。

 

《兵力の所属、確認しました!! 〈ゲヘナ〉の『風紀委員会』! 一個中隊の規模です!》

 

「『風紀委員会』・・・・!」

 

 

 

ーカヨコsideー

 

そして、カヨコがメンバーに向かって声を張り上げた。

 

「社長! ムツキ! ハルカ! 早く隠れよう! 『奴ら』が来た!」

 

「『奴ら』って?」

 

「ゲヘナ‹うち›の風紀の連中だよ! ここまで追ってくるなんて! それもこのタイミングで・・・・! いや、こんなタイミングだからこそ・・・・!?」

 

カヨコが何か思案するが、それよりも早く、追撃砲の砲弾が降ってくる。

 

『ニャァッ!!』

 

ーーーーズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーーーー!!

 

「レパルダス!? くぅっ・・・・!」

 

砲弾からカヨコを庇うレパルダスに爆風と衝撃波が襲い掛かり、カヨコは腕で顔を覆い、腕を下ろすと、傷を負ったレパルダスが自分を庇っていた。

 

「レパルダス!」

 

カヨコはすぐにレパルダスの容体を見ると、気を失っており、すぐにボールに戻すと、爆煙に紛れて移動した。

が、砲弾の雨は止むことなく降り注いだ。

 

 

 

 

 

ーチナツsideー

 

「ターゲット、沈黙しました」

 

「良し。歩兵、第二小隊まで突入」

 

『ルガ!』

 

擲弾兵からの報告を受け、指示をするのは、銀髪を黒いリボンでツインテールにし、赤い瞳を前髪で片目隠して、長く鋭い耳に褐色の肌をし、チナツと比べるとスレンダーな体型とスラリとした美脚が伸び、悪魔のようなしっぽが伸びている風紀委員会の幹部『銀鏡イオリ』。

そしてその足元には、細くしなやかな体格をし、頭から二本の角が大きく反り返ったように生え、背中には肋骨状、それと胸には髑髏の様な装飾が付き、イオリと同じ悪魔のような尻尾をした『ダークポケモン・ヘルガー』であった。

 

「・・・・イオリ、『あの方達』はどうします?」

 

『ブンネ?』

 

チナツとパートナーのタブンネ(色違い)が、明らかに他校の制服を着た三人を指差す。

 

「ん? ああ、向こう側の生徒? 何だっけ・・・・〈アビドス〉? そんなの当然、公務の執行を妨害する輩は全員敵だ」

 

『ルガァ!』

 

「ならば、大人しくして貰いたいものですね・・・・。しかし、こちらの事情を説明するのが先かと・・・・」

 

「説明? 必要、それ?」

 

「・・・・・・・・」

 

不遜な態度のイオリに、チナツは眉根を寄せる。

 

「うちの縄張りで舐めた真似した馬鹿共と、厄介者共をとっ捕まえる労力が惜しい。もし邪魔するならば、部外者とは言え問答無用でまとめて叩きのめす。そうだな? ヘルガー?」

 

『(ボゥ! ボゥ!) ルガァ!』

 

ニヤリと好戦的な笑みを浮かべるイオリの言葉に応じるように、ヘルガーが口から小さな炎を吐いて応えた。

 

「・・・・・・・・はぁ」

 

『ブンネ〜』

 

血の気の多い二人に、チナツとタブンネは小さく溜息を零した。

 

 

 

 

 

ーシロコsideー

 

「な、何っ!? 風紀委員会が便利屋を捕まえに来たって事!?」

 

《まだ分かりません。・・・・しかし私達に友好的とは判断しかねます》

 

セリカの怒声に、アヤネは比較的冷静に応じる。

 

「確かに。砲撃範囲内には私達もいた、あからさまにこっちを狙った訳じゃないけど」

 

「そんな・・・・」

 

「冗談じゃないっての! 人の学区内で砲撃をバカスカ撃ちまくって! 何なの一体!」

 

「でもゲヘナの風紀委員会は、他校の公認武力組織や、便利屋のような部活とは性質が異なります! 一歩間違えれば、政治的な紛争の火種になるかも知れません・・・・」

 

ノノミが風紀委員会について話した。

 

「アヤネちゃん、ホシノ先輩とはまだ連絡がつきませんか?」

 

《・・・・はい。普段なら、ここまで連絡取れない事はない筈なのに・・・・》

 

「この状況・・・・私達はどうすれば良いのでしょうか?」

 

「「《・・・・・・・・》」」

 

ノノミの言葉に、全員が不安そうに口を閉ざす。すると、先生が口を開いた。

 

“じゃあヘルメット団と便利屋をこのまま風紀委員会に渡しちゃう?”

 

「それは、で、ですが・・・・それにしても彼女達と戦う訳には・・・・」

 

「じゃあどうしろって言うの?」

 

「・・・・他に選択肢はない、風紀委員会を阻止する」

 

「シロコちゃん・・・・!?」

 

《・・・・・・・・はい、その通りです》

 

シロコの言葉にノノミが目を見開き、アヤネが同意した。

 

《風紀委員会が私達の自治区で既に戦術的行動をしたと言う事は、政治的紛争が生じると言う事・・・・。きっと、ヘルメット団や便利屋の皆さんが問題を起こしたのは事実です・・・・》

 

と、そこでアヤネが一旦息を整える。

 

《しかし。だからと言って、他の学園の風紀委員会が私達の許可もなく、こんな暴挙を敢行しても良いと言う意味ではありません》

 

「その通りだわ! よくもこんな事を! これは私達の学校の権利を無視するような真似よ!」

 

アヤネの言葉に、セリカも同意するように吠えた。

するとーーーー。

 

“よく言ってくれたね、アヤネ。それじゃぁーーーー行こうか! リザード! カメール! フシギソウ!”

 

『リザー!』

『カメー!』

『ソウー!』

 

丁度良いタイミングで、先生の御三家が戻ってきて、対策委員会は急いで自分達のポケモンの体力を回復させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーチナツsideー

 

「・・・・〈アビドス〉の生徒達、臨戦態勢に突入しました」

 

『ブンネ〜・・・・』

 

「はあ、面倒だな。たかが四人と数匹で、こっちは一個中隊級の兵力なのに。だけど、売られた喧嘩は買わないなんて事は、風紀委員会としてできない。総員、戦闘準備!」

 

『ルガ!!』

 

イオリとヘルガーが指示をすると、他の風紀委員がヘルガの進化前『ダークポケモン・デルビル』と二足歩行の黒い猫のポケモン『かぎづめポケモン・ニューラ』を出した。

 

『っ! ブンネ!』

 

「え? どうしたのタブンネ?・・・・っ、ちょ、ちょっと待って下さい。イオリ」

 

チナツにストップをかけられ、イオリは眉根を寄せる。

 

「ん?」

 

「アビドス側に民間人が映りました。確認中なので、お待ち下さい。ーーーーーーーーえ・・・・!?」

 

チナツがアビドスの方にいる『民間人』を見て、顔を青くした。

 

「・・・・あ、あの方は・・・・まさか〈シャーレ〉の先生!?」

 

「ん? 〈シャーレ〉? 何だそれ?」

 

イオリが首を傾げるが、チナツは構わず確認する。

 

「・・・・ちょ、ちょっと待って下さい。〈シャーレ〉の先生があっちにいるとしたら・・・・」

 

チナツの視界に、ピカチュウは勿論、進化して顔つきが修羅場をくぐり抜けた戦士の顔となった御三家が入った。

 

「やっぱりピカチュウも!? しかも御三家の子達、もう進化しているし!? この短期間で!?・・・・この戦闘、行ってはいけません!」

 

「どう言う事だ?」

 

チナツの言葉にイオリが首を傾げるが、部下の風紀委員が声を張り上げる。

 

「アビドス、こちらに接近中、発砲します!」

 

ウォーグルに乗ったアビドス生(セリカ)が銃を乱射してくる。

 

『ウォー!!』

 

ーーーータタタタタタタターン!!

 

チナツ達の上空を飛んでから、旋回したウォーグルとその背に乗った生徒(セリカ)は街の方に飛んでいく。

アビドス側を見ると、既に他のアビドス生も移動し、今はていた。

 

「ちっ、仕方ない、行くぞ!」

 

「あっ・・・・」

 

攻撃をされたので反撃に転じようとウォーグルを追うイオリに、チナツは止めようと手を伸ばすが、その手は虚しく空を切るのであった。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

先制攻撃をしたセリカとウォーグルが風紀委員会の部隊を引き連れて飛んでいくのを確認すると、先生の耳につけたインカムに通信が入る。

 

《お見事です♪ セリカちゃん☆ ウォーグル☆》

 

《当然よ!》

 

《『ウォー!』》

 

《ん。先ずは出鼻を挫けたね先生》

 

“良し。皆、ゲヘナ風紀委員会は統率された部隊のようだけど、個々の実力はそれほど高くないと思う。セリカ。こっちのホームグラウンドでもある地の利を生かして、シロコとノノミ達がいる狭い路地に風紀委員会を誘き寄せて、部隊のを幾つかに分かれさせ、戦力を分散させて”

 

《了解!》

 

“リザード。カメール。フシギソウ。皆のサポート、宜しくね!”

 

《リザ!》

 

《カメ!》

 

《ソウ!》

 

インカムから御三家の声が響くと、先生は強く頷いた。

 

“さぁ、戦闘開始だ!”

 

 

 

 

 

 

ーノノミsideー

 

セリカとウォーグルを追った風紀委員達は路地へと移動し、やはり通路が少し狭いのもあり、大勢で動けず幾つかに分かれた。

 

「こっちに来ました。行きますよ、サイドン。フシギソウ♪」

 

『サイ!』

 

『ソウソウ!』

 

路地の建物の屋上にいたノノミの声に応じ、別の建物の屋上にいたフシギソウは、背中の蕾から白い粉、【ねむりごな】を風紀委員達とポケモン達の頭上に振り撒いていく。

するとーーーー。

 

『うっーーーーZZZ・・・・ZZZ・・・・』

 

『っ!ーーーーZZZ・・・・ZZZ・・・・』

 

風紀委員達もポケモン達も、その場に倒れてグッスリと眠ってしまった。

そして、狭い路地の方に来ていた風紀委員達の目の前にノノミが現れ。

 

「いらっしゃいませ♧」

 

ーーーードルルルルルルルル・・・・!!

 

リトルマリンガンVが火を吹き、風紀委員達とポケモン達を蹂躙する。

 

『サァァァァイドォォォォン!!』

 

『キャァァァァァァァァァァ!!』

 

後ろに後退しようとする風紀委員達には、サイドンが【ドリルライナー】で突っ込んで逃げ道を塞いだ。

 

 

 

 

ーシロコsideー

 

「ん。来た」

 

『ルガル』

 

別の路地からセリカとウォーグルを追っている風紀委員達を待ち構えているシロコとルガルガン。

 

「ん? お前、アビドスの生徒(ダンッ!)ぐはっ!」

 

『(ドガッ!)ギャン!?』

 

先頭の風紀委員が尋ねるが、それよりも早く引き金を引いて倒すシロコと、デルビルを倒すルガルガン。

 

「なっ!? 構え「きゃぁぁぁぁぁ!?」っ!? な、なんだぁっ!?」

 

後方から悲鳴が聞こえて振り返ると、リザードとカメールが【かえんほうしゃ】と【ハイドロポンプ】で背後から攻撃していた。

 

「な!? 挟み撃ち(ババババっ!)ギャァっ!?」

 

「先生曰く、地の利と作戦があれば数の差を覆す事ができる」

 

『ルガル!』

 

シロコとルガルガンが前方の風紀委員達とポケモン達を、リザードとカメールが後方の風紀委員達とポケモン達を攻撃していく。

 

 

 

 

 

 

ーイオリsideー

 

そして、最後のイオリ率いる部隊では。

 

「隊長大変です! 他の部隊はほぼ全滅しました!」

 

「何だとっ!?」

 

「隊長! 敵が急接近!」

 

「っ! ヘルガー! 【かえんほうしゃ】!!」

 

『ガァァァァ!!』

 

イオリが他の風紀委員の報告に目を見開き、さらにさっきまで逃げていたウォーグルが急降下して来るのを見てヘルガーに攻撃を指示し、ヘルガーが火炎を放つが、ウォーグルはヒラリと回避すると、爪を突き出す。

 

「ウォーグル! 【ブレイククロー】!」

 

『ウォォォォォォォォッ!!』

 

「やっばっ!!」

 

『ガルッ!』

 

『どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 

イオリとヘルガーはすぐに身を屈めて回避したが、他の風紀委員は間に合わずに受けてしまい、倒れてしまった。

 

「くそっ! ポケモン達! 自分のパートナーを連れてついてこい!」

 

『ガルガルっ!!』

 

イオリの言葉をヘルガー訳すと、デルビル達とニューラ達はパートナーを担いでイオリとヘルガーの後について行き、路地から出ると、最初にいた大通りに出てしまった。

 

「っ!? まさか、元の通りに戻された!?」

 

曲がり角が多い路地で誤魔化されていた事に気付かされたイオリは、取り敢えず負傷者達を後方に下がらせ、インカムで他の部隊に連絡を入れるがーーーー。

 

「な、何!? 私達が負けただと?!」

 

既に他の部隊も敗走している事に、目を見開いて驚くイオリの眼前に、アビドス対策委員会とシャーレの先生が集まってきた。

 

『・・・・・・・・』

 

『・・・・・・・・』

 

対策委員会とポケモン達が見据える中、シャーレの先生は肩にピカチュウを乗せ、イオリの隣に来ていたチナツとタブンネに話しかける。

 

「久しぶり、チナツ。タブンネ」

 

『ピカチュウ!』

 

「・・・・先生・・・・ピカチュウさん・・・・こんな形でお目にかかるとは・・・・しかも、御三家の方達もすっかり成長していますね・・・・ルカリオさんがいないのが少し気になる所ですが・・・・」

 

『ブンネ〜・・・・』

 

先生達の姿を見て、チナツは盛大な溜息を吐き、タブンネも苦笑する。

 

「先生達がそこにいらっしゃった事を知った瞬間、勝ち目は無いと判断して後退するべきでした・・・・私達の失策です」

 

チナツがそう言うのと同時に、ドローンから立体映像でアヤネが現れる。

 

《『アビドス対策委員会』の奥空アヤネです。所属をお願いします》

 

「それは・・・・」

 

《ーーーーそれは私から答えさせていただきます》

 

《通信・・・・?》

 

「『アコちゃん』・・・・?」

 

「『アコ行政官』・・・・?」

 

イオリが言い淀んでいると、チナツとイオリの前にドローンが降りてきて、それから立体映像で、一人の少女が現れる。

青色のウェーブのある髪を黒いヘアバンドで止め、リンと同じ、妙に身体にピッタリとし、さらにリンと同じ位に大きな胸の横乳を見せる格好をした少女であった。

 

“(・・・・何か、凄い格好だなこの子・・・・)”

 

先生は半眼を作りながらその少女を見据えていると、少女は自己紹介を始める。

 

《こんにちは、〈アビドス〉の皆様。私は〈ゲヘナ学園〉所属の行政官、『天雨アコ』と申します》

 

《(ポンッ)ーーーーソーナンス!》

 

と、その少女が自己紹介をしてすぐ、その少女の前に被るように現れたのは、水色のノッソリとした体躯、我慢しているような顔をし、二つの目が付いた黒い尻尾をした、何とも言えない姿をポケモン、『がまんポケモン・ソーナンス』が現れた。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

いきなり現れたソーナンスに、その場にいる全員が何とも言えない顔となり、イオリとチナツ、ヘルガーとタブンネは「あちゃ~」と言わんばかりの顔となった。

そしてーーーー。

 

《あなたは出てこなくて良いんです》

 

『アコ』と呼ばれた少女がソーナンスをモンスターボールに戻した。

 

《ーーーー今の状況について少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?》

 

『(何事もなく話を進めた!?)』

 

にこやかに話をするアコに、先生と対策委員会は驚いたように目を見開いた。すると、イオリがアコに話しかける。

 

「アコちゃん・・・・その・・・・」

 

《イオリ。追撃砲は便利屋の『あのポケモン達』が出てきた時に使いなさい、と言った筈ですよね?》

 

「いや・・・・油断している隙に気絶させようと思って、えっと・・・・」

 

《反省文のテンプレートは私の机の、左の引き出しにあります。ご存知ですよね?》

 

「・・・・・・・・はい」

 

アコの言葉に、イオリはガクンと肩を落としながら頷いた。

 

 

 

 

ーハルカsideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その頃、ハルカは追撃砲による爆煙と、ガラルマタドガスがこっそりと出している【えんまく】の中に紛れて、静かに移動していた。

 

「ああ・・・・ああ、皆集まってます。・・・・チャンスですね」

 

そしてハルカは、何処か歪んだような笑みを浮かべる。

 

「許さない・・・・許さない・・・・許さない・・・・許さない・・・・」

 

ゆっくりと静かに、『ターゲット』へと向かいながら呟く。

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない・・・・」

 

壊れた機械のように、同じ言葉を。

 

 

 

ー先生sideー

 

「許さない許さない許さない・・・・」

 

“ん?”

 

先生は小さな声が聞こえてそちらに目を向けると、ハルカと目が合った。

 

「・・・・・・・・」

 

その時のハルカは、何やら獰猛な笑みを浮かべて、姿を消した。

 

『ピカピカ?』

 

“・・・・見なかった事にしよう”

 

「何なのあれ?」と、ピカチュウが指差すが、先生を目を逸らしてそう言うと、改めてアコと言うチナツ達の上司らしき生徒を見据える。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

対策委員会とポケモン達は警戒心を緩める事なく睨んでいると、アヤネが声を発する。

 

《『行政官』と言う事は・・・・風紀委員会のナンバー2・・・・》

 

《あら、実際はそんな大したものではありません。あくまで風紀委員長を補佐する秘書みたいなものでして・・・・》

 

《(ポンッ)ーーーーソー(バキッ)ナンス!?》

 

《ニャァッ!!》

 

また被ろうとするソーナンスを横から飛び出てきたニューラの進化系で、ニューラの爪を更に鋭く、頭部や首回りからは鳥の羽根の様なゴージャスな飾りが扇状に生えている『かぎづめポケモン・マニューラ』が、飛び蹴りをして映像から追い出した。

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

また何とも言えない空気が流れそうになるが、シロコが口を開く。

 

「ーーーー本当にそんな大したものじゃないなら、そこの風紀委員達がそんなに緊張するとは思えない」

 

「だ、誰が緊張してるって!?」

 

シロコに指摘されたイオリが、声を張り上げる。

が、アコは静かにシロコを見据えていた。

 

《・・・・成る程、素晴らしい洞察力です。確か・・・・砂狼シロコさん、でしたか?》

 

「・・・・・・・・」

 

《〈アビドス〉に生徒会の面々だけが残ってると聞きましたが、皆さんの事のようですね。〈アビドス〉の生徒会は五名と聞いてきましたが、後一人はどちらに?》

 

《今はおりません。そして私達は『生徒会』ではなく『対策委員会』です、行政官》

 

アコの相手をアヤネが対応した。

 

《奥空さん・・・・でしたよね? それでは、生徒会の方はいらっしゃらないと言う事でしょうか? 私は、生徒会の方と話がしたのですが》

 

暗に生徒会ではない自分達では話をするに値しないと言われ、セリカとノノミが声を張り上げる。

 

「『アビドスの生徒会』はずっと前に解散したの! 事実上私達が『生徒会の代理』みたいなものだから、言いたい事があるなら私らに言いなさい!」

 

「こんなに包囲して銃を向けられたまま『お話をしましょうか〜』何ていうのは、お話の態度としてはどうかと思いますけどね?」

 

《ふふ、それもそうですね・・・・失礼しました。全員、武器を下ろしなさい》

 

アコがそう言うと、後方に控えていた部隊が武器を下ろし、ポケモン達も気をつけして待っていた。

 

「あら・・・・?」

 

「本当に武器を下ろした・・・・?」

 

「・・・・・・・・」

 

あっさりと意見が通った事に面食らうセリカとノノミだが、シロコは警戒を緩めなかった。

そして、アコが話を続ける。

 

《先程までの愚行は、私の方から謝罪させていただきます》

 

「なっ!? 私は命令通りにやったんだけど!? アコちゃん!?」

 

《命令に、『先ずは無差別に発砲せよ』なんて言葉が含まれいましたか?》

 

「い、いや・・・・状況を鑑みて必要な範囲で火力支援、その後に歩兵の投入・・・・戦術の基本通りにって・・・・」

 

イオリが言い訳紛いな言葉を紡ぐが、アコはにこやかに聞き入れず、バッサリと切り捨てる。

 

《ましてや他の学園自治区の付近なのだから、キチンとその辺りは注意するのが当然でしょう?》

 

《・・・・?》

 

アコの言葉に、アヤネは何か『引っかかり』を感じて首を傾げるが、アコがすぐに謝罪に入った。

 

《失礼しました。対策委員会の皆さん。私達ゲヘナの風紀委員会はあくまで、私達の学区内で強盗事件を起こした不良生徒達と、当学園の校則違反をした方々を逮捕する為に来ました。あまり望ましくない出来事もありましたが、まだ違法行為と言い切れないでしょうし・・・・やむ得なかったと言う事でご理解いただけると幸いです》

 

《ソーナンス!!》

 

《ニャァッ!!》

 

またもアコに被るようにソーナンスが現れ、マニューラが蹴りでフェードアウトさせた。

そしてアコも何事もないように話をする。

 

《風紀委員会としての活動に、ご協力をお願いできませんか?》

 

と、アコが提案するが・・・・。

 

《先程も言いましたが・・・・そうはいきません!》

 

アヤネは毅然とした態度で拒否した。

 

《あらっ・・・・?》

 

意外な返答に、アコは目を丸くし、アヤネが声を発した。

 

《他の学校が別の学校の敷地内で、堂々と勝手に戦闘行為をするなんて! 自治権の観点からして、明確な違反です! カタカタヘルメット団と便利屋68の処遇は、私達が決めます!》

 

「「「・・・・・・・・」」」

 

『・・・・・・・・』

 

他の対策委員会メンバーやポケモン達も、アヤネに同意するようにアコと風紀委員会を睨む。

 

《まさか、〈ゲヘナ〉程大きな学園がこんな暴挙に出るとは思っても見ませんでしたが、ここは譲れません》

 

《・・・・成る程。そちらの方々も同じ考えのようですね》

 

アコはやれやれと言わんばかりに溜息を溢すと、先生の方をチラリと見た。

 

《これだけ自信に満ちているのは・・・・やはり、信頼できる大人がいるからでしょうか?・・・・ねぇ、シャーレの先生?》

 

“・・・・・・・・”

 

《先生。あなたも、対策委員会と同じ考えですか?》

 

“・・・・ヘルメット団の子達には、聞きたい事があるし。便利屋の皆とは協力関係を結んだからね。根は悪人じゃないし”

 

「えっ!? 先生アイツらと協力関係結んだの!?」

 

“うん。ラーメンを啜りながらね”

 

《会議を欠席していたのはそう言う理由だったんですね・・・・?》

 

“大人は生徒の見ていない所でお仕事をするものだよ”

 

「ん。流石先生。それに元々ヘルメット団は私達と因縁があるから、先ずは私達がケジメをつける」

 

「そうですね。ヘルメット団や便利屋の背後にいる方の正体もまだ分かってませんし、先にお話を聞かせて貰わないと」

 

シロコとノノミがそう言うと、アヤネが声を上げる。

 

《そう言う訳で、交渉は決裂です! ゲヘナの風紀委員会、あなた方に退去を要求します!!》

 

《・・・・これは困りましたね・・・・うーん・・・・こうなったら仕方ありません。本当は穏便に済ませなかったのですが・・・・》

 

何処か白々しい雰囲気を出して困った様子を見せるアコは、にこやかに言う。

 

《・・・・ヤるしかなさそうですね?》

 

『!!!』

 

対策委員会が構えたその時ーーーー。

 

ーーーーダダダダダダダダッ! ダダダダダダダダッ!

 

「うわあっ!?」

 

突然の銃声が響き、悲鳴が上がったーーーーーーーー風紀委員側から。

 

ーーーーダンッ! ダンッ! ダンッ!

 

「ぐあっ!?」

 

ーーーーボシュゥゥゥゥ・・・・!

 

「ゲホッ!? ゲホッ!? ゲホッ!?」

 

銃声と煙が上がり、悲鳴と咳が風紀委員側に響いてきた。

 

「な、なんだ!?」

 

『ヘル!?』

 

イオリとヘルガーが戸惑っていると、イオリの背後から。

 

「許さない・・・・!」

 

便利屋のハルカがゴーストタイプよろしくユラリと現れた。

 

「はっ!?」

 

イオリが振り向くよりも早く、ハルカはショットガンの『HK FABARM FP6・ブローアウェイ』の弾丸を叩き込んだ。

 

「許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! 許せない! うああああああああああああっ!!」

 

ーーーーダダダダダダダダダダダダダダッッ!!

 

まるで親の仇でも見つけたように、ハルカがイオリに弾丸を叩き込んでいく。

 

『ルガーっ!!』

 

ヘルガーがパートナーを助けようとハルカに牙と爪を向けて飛びかかるが。

 

『マタ、ド!』

 

『ガル!?』

 

ガラルマタドガスが間に入り、口から【ヘドロばくだん】を吐き出すと、ヘルガーはそれを正面から受けてしまい、身体が紫色に変色し、『どく状態』となってしまった。

 

「ヘルガー!?(ダンッ!) ぐっ!? うぅ・・・・っ!」

 

イオリは起き上がろうとするが後頭部に、ハルカのショットガンの弾丸を受けて、バタッと気を失った。

 

《・・・・・・・・・・・・》

 

流石に想定外だったのか、アコも目を見開いて固まっていた。

するとーーーー。

 

「ーーーー嘘をつかないで、天雨アコ」

 

風紀委員の側から、他の便利屋が揃って現れて、カヨコが鋭い視線で口を開いていた。

 

「偶然なんかじゃないでしょ、最初からあんたが狙っていたのはこの状況だった」

 

《カヨコさん・・・・》

 

何やら因縁あり気な雰囲気の二人の間に火花が散る。

が、そんな空気に構わず、ムツキとエテボースが明るげに声を張り上げた。

 

「ハルカちゃ〜ん、マタドガ〜スナ〜イス☆」

 

『ウホホ〜☆』

 

「す、すみません! 助けに来るのが遅くなりました・・・・! 死にます!」

 

「まぁまぁ、面白くなってきたから死ななくても良いんじゃない?」

 

《あらっ、包囲網を抜けて・・・・?》

 

「あいつら、いつの間にあんな所に・・・・」

 

「・・・・やるね」

 

対策委員会が戦っている間に、ちゃっかりしている便利屋に、セリカとシロコも呆れ混じりに感心した。

目をパチクリさせるアコに他の風紀委員が報告に上がる。

 

「申し訳ありません、行政官。視線を逸らされた隙に・・・・今から、もう一度包囲をーーーー」

 

《いえ、大丈夫です。大した問題でもありません。・・・・それより、面白い話をしますね、カヨコさん?》

 

「・・・・・・・」

 

アコの問いに、カヨコは鋭い視線のまま話をする。

 

「・・・・最初はどうして風紀委員会がここに現れたのか、理解できなかった。強盗事件を起こした奴らや私達を追って他の自治区まで来た? こんな大部隊を連れて非効率な運用、風紀委員長のいつものやり方じゃない。だからアコ、これはあんたの独断的な行動に違いない。ーーーーまぁ、もっとも、もう風紀委員長の耳には入りそうだけど」

 

カヨコがチラッと、近くの建物の屋上からこちらを見下ろしている二羽の鳥ポケモンの内の一羽が、〈ゲヘナ〉に向かって飛び立って行ったのを確認する

 

『・・・・・・・・』

 

アコは黙って聞くが、カヨコは懐からスーパーボールを出す。

 

「それに、私達の『切り札』であるこの子達を相手にするには、風紀委員長の姿がないし、明らかに他の部隊との戦闘を想定したような兵力にも説明がつく。とは言え、このアビドスの兵力はこの位しかいない・・・・なら結論は一つ」

 

そう言って、カヨコは名探偵よろしく、アコを指差して確信を込めて言った。

 

「アコ、あんたの目的は〈シャーレ〉。最初から、先生を狙ってここまで来たんだ」

 




はい! アニポケのムサシのソーナンスは、アコちゃんの手持ちとなりました!
後、風紀委員会の手持ちはデルビルにマニューラといった集団戦を得意とするポケモンです。
そして次回、便利屋68の『奥の手』が登場!


チナツ&タブンネ(色違い)
〈救急医学部〉の頃からのパートナー。常識人ポジだから苦労が絶えない。チナツが先生関連で暴走しそうになると、タブンネは身体を張って止める。

イオリ&ヘルガー
風紀委員会に入り、デルビルの頃からの付き合いの相棒。後に先生にやらかした事には、ヘルガーは「自業自得」、「身から出た錆」と言って、半眼で呆れている。


アコ&マニューラとソーナンス
マニューラとはニューラの頃からの付き合い。ソーナンスとは〈ゲヘナ〉の湿地エリアの調査の時に、偶々落としたモンスターボールをソーナンスが拾い、そのまま手持ちに。毎度のようにアコに被るように現れては怒鳴るか蹴るかボールに戻すとかをし、風紀委員会の名物扱い(笑)。しかも、ソーナンスは風紀委員長の命令の方を忠実に従っている。




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