ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回でホシノのかつてのパートナーと、〈トリニティ〉の所有タイプが分かります。それと、オリジナル展開もいれます。


ホシノ救出戦、いざアビドス砂漠へ。

ー四獣sideー

 

「は・・・・反省文・・・・やっと後百枚・・・・!!」

 

「ソー、ナンス・・・・」

 

「ニャァ・・・・」

 

あいも変わらず千枚の反省文を書いていたアコは漸く終わりが見え、疲労と寝不足でボロボロになった精神を奮い立たせ、ペンを持って反省文を書く。

その隣では見張り役のソーナンスと、アコの近くで正座して待っていたマニューラの顔にも、疲労と寝不足が色濃く出ていた。どうやらずっとアコに付き合っていたらしい。

そしてヒナは、ドンカラスからある報告を聞いていた。

 

「・・・・マコト達は、まだ〈カイザーコーポレーション〉の本社で『理事を出せ』と騒いでいるようね」

 

そう。〈カイザーコーポレーション〉が〈キヴォトス〉に大規模なテロ活動をすると聞いて、いち早く手柄を立てたい万魔殿‹パンデモニウム・ソサエティー›の議長マコトが、陣頭指揮を執ってカイザーコーポレーション本社に殴り込みに行った。

 

「よろしいのですか委員長? 万魔殿‹パンデモニウム・ソサエティー›の狸共にカイザーを捕縛する手柄を奪われて・・・・?」

 

何かと生徒会である自分達よりも目立っている風紀委員会、主に風紀委員長のヒナを一方的に目の敵にしているマコトが、手柄を得る為に万魔殿‹パンデモニウム・ソサエティー›の兵力を総動員して向かったのだ。風紀委員会には、ゲヘナの治安維持と言う名目で残らせて。

コレでカイザーPMC理事をあの議長達が捕まえたら、唯でさえウザったいあのマコトが、さらにウザったくなる事を懸念し、アコは難しい顔を浮かべていた。

しかしヒナは、自分の執務机の椅子に座り、『ゴロンダ特製のシフォンケーキ』を食べ終え、ナプキンで口を拭い、ゴロンダが淹れたハーブティーを一口飲んでからアコに返答した。

 

「心配しなくても大丈夫よアコ。マコトは先走って出かけたけど、カイザー理事は本社に戻っていないわ」

 

「えっ? それはどういうーーーー」

 

と、アコが問いかけるのを遮るように、数匹のヤミカラス達が風紀委員の執務室に入ってくると、ヒナのドンカラスに報告するように鳴いた。

ソレを聞いてフムフム、と言わんばかりに頷いたドンカラスが、報告を聞き終えると、ヒナの傍に行き報告する。

 

『ドンガー、ドドガドンガー』

 

「ーーーーやはり、『アビドス砂漠』の方、例のパラドックスポケモン達がいる基地の方に逃げた。しかも、かなりの兵力を動員させて・・・・」

 

そう。ヒナはあのカイザーの大規模テロの話を聞いてから、ドンカラスに指示を出し、ヤミカラス達を向かわせ、カイザーの動きを監視させていたのだ。

 

「では委員長。こちらも風紀委員会を総動員してアビドス砂漠へ?」

 

「前回のアビドスに対しての事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用と、アビドス生徒達との衝突した事で、万魔殿‹パンデモニウム・ソサエティー›からネチネチと嫌味を言われたばかりでしょう? それに、他の問題児集団が騒ぎを起こしたら対処できないわ」

 

「それでは・・・・?」

 

と、二人の会話を遮るように、一匹のヤミカラスが跳んできて、ドンカラスに報告すると。

 

『ドン、ドンカー』

 

ドンカラスがヒナに、『ヒナ、待ち人来たりだよ』と、言っている気がした。

 

「少し行ってくるわね」

 

「あっ委員長・・・・!」

 

引き止めようと手を上げたアコを置いて、アブソル達を連れてヒナは執務室を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、正門まで歩いていくと、遠目で良く見えないが、シャーレの先生がイオリに土下座しているように見えた。

 

「・・・・自分の望みの為に膝をつく姿なら、これまで何度も見てきたけど、生徒の為に跪く先生見たのは初めてね」

 

そう言って、近づこうとするヒナだが。

 

『『『ーーーー!!!???』』』

 

アブソル達は先生とイオリが何をしているのかが分かって目を見開くと、速攻でお互いに視線を合わせアイコンタクトを済ませて、ドンカラスがゴロンダの肩から飛び立ち、ゴロンダが一瞬でヒナの前に回り込むと。

 

『ゴロ〜ン☆』

 

「わぷっ!? ゴロンダ? どうしたの??」

 

『ゴロゴロ〜♪』

 

「???」

 

ヤンチャムの頃以来、久しぶりに甘えてくれるゴロンダへの嬉しさと戸惑いで、ヒナが一瞬動かなくなる。

その刹那ーーーーアブソルが真っ昼間の学校の正門で変態プレイをしている馬鹿共に突撃した。

 

『ソル! アブソルー!!』

 

ーーーー「お前達! ヒナになんて物を見せようとしているんだー!!」と、言わんばかりの怒りの鉄槌である。

後に正門の上で事の全てを見ていたヤミカラス達から報告を聞いたドンカラスの言葉で、アブソルとゴロンダはドンカラスと共に「イオリお前、そんな趣味があったのか?」と、ソレはもう冷たい視線をイオリに向けるのであった。

 

 

 

 

 

ー〈トリニティ〉sideー

 

そしてこちらは、〈トリニティ総合学園〉の生徒会『ティーパーティー』のテラスにて、長いテーブルの上座の椅子に座り、傍に色々なケーキを乗せたケーキスタンドを置き、紅茶を手に持ち、優雅に飲みながらヒフミの話を聞いているのは、『ティーパーティー』の生徒会長である三年生、『桐藤ナギサ』である。

亜麻色の長い髪に、花のカチューシャを付け、腰には純白の翼を折り畳まれ、まるで天使のような美しさを持つ生徒である。

 

「・・・・・・・・」

 

『ポット』

 

『イエッサン』

 

自分の座るテーブルの上に、ティーポットの中に紫色のお化けのような生き物が入った『こうちゃポケモン・ポットデス しんさくのフォルム』が、ナギサのポットに自分のお茶を淹れようとするが、それを、ツノが上向きに生え、鼻のあたりに蝶ネクタイのようについた青い三角が、一見すると眼鏡の鼻パッドのようであり、ジト目も相まって知的な眼鏡キャラの執事を思わせる『かんじょうポケモン・イエッサン(オスのすがた)』が、ポットデスをどかす。

〈トリニティ〉は色々と内部が複雑になっている学校であり、所有ポケモンのタイプも、『フェアリータイプ』と『ゴーストタイプ』と『かくとうタイプ』の三タイプとなっているのである。

 

『タブンネ』

 

そして紅茶が無くなり、コースタに乗せてテーブルの上に置いたナギサのポットに、ちゃんとしたティーポットでおかわりの紅茶を注ぐのは、イエッサン(オス)が執事ならば、メイドのように付き従う、ゲヘナのチナツのとは違う、『通常のタブンネ』である。

タブンネに「ありがとう」と視線を向けた後、ヒフミとガルーラに話しかける。

 

「成る程。ご説明ありがとうございます。ヒフミさんが仰っている事は良く分かりました。その先生の言葉が本当だとすると、このまま聞き流す訳にはいかなさそうです。『エデン条約』も目前に迫っていますし、今は下手に動く訳にはいかないのですが・・・・」

 

ヒフミは先生から、ホシノの救出に〈トリニティ〉の方でも力を貸して欲しいと頼まれた。勿論、ヒフミもそれを快諾して、ナギサを説得に来たのだ。

 

「・・・・ただ、カイザーPMCと言う下品な企業の存在が、我が校の生徒達に良くない影響を及ぼしそうなのは確かですね。今回はちょっとした『例外』と言う事で、何か考えた方が良さそうですね」

 

『世間知らずの馬鹿なお嬢様達』、とカイザーPMC理事に言われた言葉を根に持っているのか、少し不機嫌オーラを出しながらナギサも了承してくれた。

 

「あ、ありがとうございます、ナギサ様・・・・」

 

『ガルガル』

 

『カルゥ』

 

目を掛けてもらっているが、やはり〈トリニティ〉の代表者を前にして、一応一般生徒のヒフミは緊張しながら、ガルーラと子ガルーラは平然と頭を下げた。

 

「そうですね・・・・確かちょうど、牽引式榴弾砲を扱う屋外授業の予定があった筈です。折角ですし、ちょっとしたピクニックなどいかがでしょう?」

 

「えっと・・・・牽引式榴弾砲と言う事は・・・・『L118』の・・・・?」

 

「はい。他ならないヒフミさんですし、全てお任せします。細かい事は私の方で。『愛は巡り巡るもの』・・・・ヒフミさんがいつか私に愛をお返してくれる時を、楽しみにしてますね。ふふっ」

 

「あ、あぅ・・・・」

 

ナギサの言葉に、ヒフミは困った様な笑みを浮かべながらも、コクリと頷いた。

 

「それにきっと・・・・いえ、間違いなく、『シャーレ』の先生には『借り』を作っておいた方が良さそうですからね・・・・」

 

と、ヒフミには聞こえないようにボソッと呟いた。ただで力を貸す程、〈トリニティ〉の『ティーパーティー』のホストは甘くない。

 

 

 

 

 

ー便利屋68sideー

 

そしてアル達便利屋68は、すっかり怪我が完治し、退院を済ませ、柴関ラーメン再建の為に、テキパキと屋台を作っている柴大将とウソッキーの元に来ていた。

 

「うん、大体こんなもんかな」

 

『ソッキー♪』

 

屋台が完成し、寸胴鍋やらの調子器具を設置し、さらに暖簾と赤提灯もかけた立派な屋台である。

 

「わっ、屋台も良い感じじゃん」

 

『ウッホホ〜♪』

 

「元々、柴関ラーメンは屋台から始めた事もあってな。懐かしい気分だよ」

 

「わ、私が・・・・私の爆弾のせいでお店が・・・・し、死にましょうか? 死んでも良いですが? 死にま(ドカッ)ずんっ!!??」

 

ムツキとエテボースが立派な屋台に賞賛するが、ハルカは店を壊した責任を感じており、自殺しそうになるが、ガラルマタドガスがのしかかって止めると、ムツキも地面に倒れたハルカを慰めた。

 

「まあまあ、それにしても止めるって聞いてたけど、またお店を開いてくれて良かったよ〜」

 

こんなに安くて美味しいラーメン屋が無くなるのは、極貧の便利屋68としても非常に困る事なのだ。

 

「・・・・ああ、ちょっと前にどっかの誰かさんが、お店の前にお金を置いて行ってくれた事もあったからな」

 

「・・・・・・・・」

 

アルは必死に素知らぬ顔を作っていたが、大将はフッと笑みを浮かべながら答える。

 

「本当なら引退して、ゆっくりしようと思ったんだが・・・・営業して欲しいと言われちゃあ仕方ない」

 

「・・・・・・・・」

 

アルは必死に無関係を装おうとしていた。

が、

 

「580円の柴関ラーメン12杯ならびに、サービスにウソッキー特製餃子、お待ち!」

 

『ウソッキー!』

 

四人の前には、以前の山盛りラーメンと山盛りの餃子が、今度はマフィティフ達の分まで用意されていた。ガチゴラスには、大きな金ダライにどっさりと乗せられていた。

 

「コレ、また量を間違っている気が・・・・」

 

『ニャァン・・・・』

 

『クァァァ・・・・』

 

カヨコとレパルダスが目を見開き、ラムパルドは涎を垂らしていた。

 

「あはっ、まあ良いじゃん良いじゃ〜ん」

 

『ウホ〜!』

 

『ギャァァ!』

 

そう言って、便利屋は手を合わせて。

 

『いただきまーす!』

 

『ーーーー!!』

 

便利屋とポケモン達は柴関ラーメンを食べた。

 

 

 

 

 

 

相変わらずの絶品な味に、全員が大満足して、スープの一滴も残さず食べ終えた。

 

「あー美味しかった。さて、じゃあそろそろ行く?」

 

「・・・・社長、本当に行くの? 確かにホシノって子の事は気になるけど、この戦い、私達には何のメリットもない。報酬も無しに、PMCと戦うなんて・・・・」

 

カヨコが現実的な意見を出すが、アルは、フンとふんぞり返る。

 

「カヨコちゃん、良く見てみなよ」

 

「ん?」

 

ムツキがアルの顔を見るようにカヨコに言ってから、アルの心情を話した。

 

「アルちゃんのその顔を見れば分かるでしょ、『依頼料なんて、このラーメンと餃子を味わえただけで十分よ』って今にも言い出しそうじゃん!」

 

「・・・・・・・」

 

「・・・・・・・」

 

カヨコはムツキの話を聞いて、やれやれとだが納得し、ムツキは楽しそうに笑顔をキラキラさせる。

 

「な、成る程! 流石はアル様です! 多くは語らず、一杯のラーメンと一皿の餃子で地獄へと赴くその姿、まさにハードボイルドです! わ、私も真のアウトローになる為に頑張ります! 今度こそ、ちゃんと全部消してみせますっ!」

 

ハルカがアルを尊敬の眼差しで持ち上げる。正直、今までの便利屋の中でも、彼女もかなりのアウトローだったのだが。

 

「・・・・ふふっ」

 

そしてアルも含み笑いを上げ、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「さあ、私と一緒に地獄の底まで付いてくる覚悟はできたかしら?」

 

「くふふっ・・・・!」

 

ムツキがニヤニヤと笑みを浮かべる。

そしてアルの内心はーーーー。

 

「(言っちゃったーーーー!!!)」

 

いつも通りの白目のパニクり状態であった。

 

「(元々ラーメン食べたら帰るつもりだったのに、何だか流されてカッコいい台詞をーーーー!!? こ、これはもう今さら『やっぱ無しで』とか言えない雰囲気だし・・・・!?)」

 

想定外の事態にアルの心の中は慌てふためいていた。

 

「(今から逃げるって手は・・・・うぅ・・・・で、でも・・・・そ、そりゃぁ、ホシノって子の事も気になるし、ここまで関わっておいて、『はい、さよなら』なんてカッコ悪いし、あの後アビドスの連中から、『ありがとう』とか『見直した』とか、色々言われちゃったし・・・・)」

 

が、それでも、冷静に考えてみると、かなりの危険な橋を渡っている気がしてしまう。

 

「(で、でも今回の相手はマーケットガードどころかPMC・・・・勝敗なんて目に見えてるじゃない!? ど、どうすれば良いのよこの状況!?)」

 

矜持と善性、不利な戦いの現状の間に挟まれ、アルは右往左往し、その内心に気づいているマフィティフは呆れて半眼を作っていた。

しかし、そんなアルの内心に気づいているのか無視しているのか、ムツキがアルの手を引っ張る。

 

「ほら、じゃあ行こ! アルちゃん!」

 

「じ、地獄の底までお供します!」

 

「はぁ、何だか損してばっかりだけど・・・・仕方ないね」

 

社員達も行く気になり、もうアルもほぼヤケクソで歩き出した。

 

 

 

 

ー先生sideー

 

先生は、“色々な子達”に頼み事を終えてアビドス高校の正門に戻ってくると。

 

「ん。準備完了」

 

『ガル』

 

銃のメンテと整備、弾の補充に爆弾、キズぐすりに状態異常用のアイテム。そして手持ちポケモンと自分自身のコンディション調整。

全てを終えたアビドス対策委員会が正門に集まった。

 

「補給も十分、オヤツもたっぷり入れておきました!」

 

『ドサイ!』

 

「こっちも準備できたわ! 睡眠もしっかり取ったし、お腹もいっぱい! どっからでも掛かってきなさい!」

 

『ウォー!!』

 

「私の方も、アビドスの古い地図を全て最適化しておきました」

 

『フラーイ!』

 

全員が準備を万全に整えていた。

 

「先生に教えて頂いた情報ですと、ホシノ先輩はあのバンギラスの縄張りに建てれた施設にいる筈です。一番安全なルートで案内します、行きましょう!」

 

『ルドン!』

 

アヤネがそう言うと、テツノワダチが大声を上げて近づいてくる。

 

「あれ? どうしたの、『アイファン』?」

 

“『アイファン』?”

 

「アヤネちゃんが付けたテツノワダチのニックネームです! 鉄の『アイアン』とドンファンを合わせた名前です♧」

 

『ルドンファン!』

 

テツノワダチーーーーアイファンが、『自分も連れてけ!』と言いたげな態度であった。

 

「いいのアイファン? カイザーと戦う事になるけど?」

 

『ウィィィィ!!』

 

問題なしと言わんばかりに声を上げた。

 

“良し。それじゃぁ、アイファンはアヤネに任せるよ”

 

「えっ? わ、私ですか!?」

 

「ん。アイファンを倒したのはアヤネとフライゴン。それでトレーナーに認められたのかも」

 

「アイファンが味方になってくれると頼もしいです!」

 

「フライゴンなら、空も飛べるから便利だけど、タンク役としてならアイファンの方が役に立てそうよね」

 

「・・・・どうしようフライゴン」

 

『フラフラ』

 

アヤネが聞くと、フライゴンは「良いんじゃないかな」と言いたげに頷くのを見ると、スーパーボールをアイファンに差し出した。

 

「えっと・・・・良いかな、アイファン」

 

『ルドンファン!』

 

アイファンは笑顔で応じると、アヤネの出したスーパーボールのボタンに、コツンと頭を当てるとボールが開いてアイファンの身体が光り、ボールの中に入っていくと、フルフルとボールが震え、中央のボタンが点滅し、その光が消えて震えが収まった。

 

「えっと・・・・テツノワダチ・・・・いえ、アイファン、ゲットです」

 

アヤネがそう言って、またアイファンを出すと、フライゴンがアイファンの上に乗る。

 

『フライゴン』

 

『ファン』

 

ーーーー「しっかり働くんだよ」「へい」と、話している風に見えた。

そして・・・・。

 

ーーーーポンッ! ポンッ!

 

『ヤドキン』

 

『ヤドキング!』

 

『ーーーー!!』

 

先生の懐に入れていた二つのモンスターボールが開くと、ホシノがシロコ達のリーダーならば、ルガルガン達のリーダーであるヤドキングの登場に、ルガルガン達が集まってきた。

そして、もう一匹。

 

『ピジョットー!』

 

ソコに現れたのは、大きな鳥ポケモンだった。

人間も乗せられるくらいの体格に、その羽は光沢のある美しく、頭部の鶏冠は黄色とピンクのツーカラーのロングヘアーとなった『とりポケモン・ピジョット』である。

 

「ん? このピジョットって・・・・」

 

「聞いた事があります。ホシノ先輩が一年の頃に使っていたのは、『ピジョン』だったそうです。それが進化してピジョットになったんですね」

 

シロコがピジョットを指差すと、ノノミが説明した。

 

『ピジョット・・・・』

 

ピジョットは先生に向かって頭を垂れる。それで先生は、ピジョットの意図が分かった気がした。

 

“ーーーー分かった。ホシノを迎えに行こう”

 

『ピジョット!』

 

その言葉に同意するように、ピジョットも一声鳴いた。

 

“それじゃ、出発!!”

 

『ピカッ!』

 

「はい! 『ホシノ先輩救出作戦』・・・・! 開始です!!」

 

そう言って、先生と対策委員会は、アビドス砂漠の奥、旧バンギラスの縄張りである、カイザー基地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

ー柴大将sideー

 

便利屋を見送った柴大将は、ボソリと呟いた。

 

「・・・・そうだったな。忘れていたよ・・・・ダメになったんなら、やり直せば良い。大事なのは、ラーメンを食べに来てくれる人の方だ」

 

『ソキ?』

 

一時は諦めようとしていた。店を畳んで、アビドスから去ろうとしていた。

 

「お客さんがいる限り、店は消えない。そういうもんだ。だから・・・・」

 

それでも、諦めずに立ち向かおうとする子供達の背中に向かって、自分がしてやれる精一杯の一言を送った。

 

「・・・・行ってこい、『アビドス対策委員会』」

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そして、先生は『ある生徒』と合流した。

 

“ーーーーや、ヒナ。来てくれて助かるよ”

 

「・・・・・・・・」

 

〈ゲヘナ学園〉最強にして、〈キヴォトス〉でトップレベルの実力者、『ゲヘナ風紀委員会風紀委員長の空崎ヒナ』とそのパートナー達である四獣達が来ていたのであった。

 

「げ、ゲヘナの風紀委員長!?」

 

「な、何で!? どうして!?」

 

“助っ人として来てもらったんだ。凄く頼りになると思って”

 

「・・・・カイザー理事は今回の〈キヴォトス〉に対する大規模テロを企てていた張本人。ソレがゲヘナ近くのアビドスに逃げたのなら、捕縛の為に協力に来ただけよ。・・・・表向きは、『先日のアビドス襲撃の謝罪の為に、風紀委員長として赴いた』、と言う体でね。流石に、風紀委員会の兵力を連れて来る訳にはいかなかったから、私達だけで来たわ」

 

『ソル』

 

『ゴロ』

 

『ガー』

 

驚くアヤネとセリカに先生が説明し、ヒナはそう答え、四獣達も頷いた。

 

「ん。手伝ってくれるなら良い」

 

「はい! 宜しくお願いします☆」

 

シロコとノノミはあっさりと受け入れ、アヤネとセリカも頷くと、再び歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一同は、ドラピオンの縄張りにある、砂に埋もれたビルの一室から双眼鏡で、ドラピオンの縄張りとバンギラスの縄張りの中間地点で、軍を展開しているカイザーPMCを見つけた。今隠れている場所は、向こうのドローンの索敵範囲からギリギリ離れた位置である。

因みにポケモン達はピカチュウを除いて波動による索敵ができるルカリオ以外はボールに収まっている。

 

“う~ん、やっぱり凄い兵力だね”

 

「良くもまぁ会社の方も、あんな大馬鹿やらかした奴の為に兵力を出したわね?」

 

セリカの言葉は当然だ。『連邦生徒会』や『三大学園』に盛大に喧嘩を売りまくったカイザーPMC理事に、コレだけの兵力を動かしたのだから。

 

「今カイザーコーポレーションの本社には、うちの生徒会を含め、他の学校の部隊が展開されているわ。だから今の内に、ここで件のパラドックスポケモンを使って、逆転でも考えているのよ」

 

「そんなにいるのでしょうか、パラドックスポケモンって?」

 

ヒナとノノミがそう言った。

 

“それは分からない。でも先ずは、あの部隊をどうするか、だね”

 

「ん。正面突破?」

 

「それなら私達だけでもできるけど?」

 

シロコがやる気を出し、ヒナは自分と四獣達だけでやろうと言い出して、先生は首を横に振る。

 

“いや、向こうにはカイザーの本隊とパラドックスポケモン、さらに巨大化しているアイファンと対となるドンファンの古代の姿、『イダイナキバ』もやって来る可能性もある。できる限り、余計な消耗は避けたい所だね”

 

う~ん、と先生が悩んでいると、ルカリオがピクリ、と反応した。

 

『っ、リォ!』

 

『!!』

 

全員が、ルカリオが指したビルの一室の奥の闇の中から、コチラに向かってくる複数の足音に向けて銃を構えた。

しかし、闇から出てきたのはーーーー。

 

『ーーーードラ』

 

三匹のドラピオンだった。

 

“ドラピオン?”

 

「何でここに!?・・・・って、ここは元々ドラピオンの縄張りでしたね」

 

「あんた達、あの後縄張りに戻ったのね?」

 

「それで何? リベンジに来たの?」

 

「シロコちゃん、どうやら違うようですよ」

 

「(アレがこのアビドス砂漠を縄張りにしていたポケモンの一角か・・・・)」

 

“それで、一体何のようだい?”

 

『ドラドラ、ドラピオン』

 

三匹の内の一体が、「付いてこい」、と言いたげに腕を動かす。

 

「どうする先生?」

 

“今さら彼らがカイザーに手を貸すとは思えないし、この辺りに詳しいのは彼らだ。とりあえずついて行ってみよう”

 

先生の言葉に頷き、一同がドラピオンについて行くと、ビルを出てすぐに、ドラピオン達が砂漠を掘り出した。

すると砂の中からーーーー。

 

“コレって・・・・『地下鉄』?”

 

そう。地下鉄の出入り口であった。

 

「っ! 間違いありません! ここはアビドスの地下鉄です!」

 

アヤネがスマホロトム・タブレットモードにし、過去のデータから、かつて存在していたアビドスの地下鉄の地図を出し、更に今の地図と照らし合わせると・・・・。

 

「! 先生! ここからあの基地のある場所から少し離れた位置に、地下鉄の出入り口があります!」

 

「! ここからなら無駄な戦闘は避けられるし、何より奴等への奇襲にもなる」

 

「マジ!? でも何でコイツらがそんな事を・・・・?」

 

と、セリカが言うと、一同の後ろの砂の中から、ボスバンギラスが率いるバンギラスの群れが現れた。

 

「!? バンギラス!?」

 

ノノミが驚いてボールを出そうとしたが、ボスバンギラス達は両手を上げて降参、戦闘の意思はないとジャスチャーをした。

 

「・・・・どういう事?」

 

“・・・・もしかして君達、協力してくれるの?”

 

『・・・・ドラ』

 

『ギラ・・・・』

 

ドラピオン達とボスバンギラス達が頷いた。

 

「え? え?? 何でコイツら協力してくれるの?」

 

「・・・・カイザーをぶっ飛ばしたいから?」

 

『(フルフル)』

 

ドラピオン達とボスバンギラス達が首を横に振る。

 

“・・・・もしかして、私達に『借り』を返したいから?”

 

『(コクリ)』

 

先生の質問に、今度は頷いた。

 

「わあ、頼もしいです♧」

 

「意外と律儀な性格してるのね、アンタ達・・・・」

 

ノノミは喜び、セリカは目をパチクリさせた。

 

「先生、コレならどう?」

 

“・・・・うん。コレなら行ける気がする! バンギラス達! 私の指示を聞いてくれるかな?”

 

『・・・・(コクリ)』

 

先生の言葉に、ボスバンギラスを筆頭に全員が頷いた。そして先生は、ボスバンギラス達に指示を飛ばした。

 

 

 

 

 

 

ーカイザーPMC理事sideー

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そしてここは、アビドス砂漠にあるカイザーの基地の司令部。ソコに逃げ込んでいたカイザーPMC理事は苛立っていた。

『化け物』達にぶっ飛ばされ、危うく死にそうになっていたのを、使っている義体から意識を切り離し、今は別の義体に意識を入れたから助かったが、あの時の恐怖と屈辱は、筆舌に尽くしがたいものであった。

シャーレの先生とアビドス対策委員会の次の行動など手に取るように分かる。ーーーーここに来る事だ。

最早カイザーコーポレーションに自分の椅子はないと言っても良い。今は役員達が〈連邦生徒会〉と他の学校の部隊を抑えているが、ソレも時間の問題だ。せめて、シャーレの先生とアビドス対策委員会を亡き者にして、今持てるパラドックスポケモン達を『洗脳』し、自分達の兵力にして、〈キヴォトス〉をぶっ潰すしか、自分が生き残る道はないのだ。

と、そう考えているカイザーPMC理事の耳に、PMC兵からの報告が入る。

 

「理事! 敵が攻めて来ました!」

 

「兵力を集中させろ! シャーレの先生と対策委員会の小娘共を捻じ伏せてやれ!!」

 

「い、いえ・・・・攻めてきたのは、対策委員会ではありません!」

 

「何だとっ!? では誰だ!?」

 

「ーーーーバンギラスの群れです!!」

 

「何だとぉぉぉぉっ!!??」

 

カイザーPMC理事が映し出されたモニターに目を向けると、ボスバンギラスを筆頭としたバンギラスの群れが、防衛の為に展開していた部隊に向けて【はかいこうせん】を放っている姿が出されていた。

『化け物』の中でも上位に入る威力を持つ【はかいこうせん】を、十数匹のバンギラスから一斉に放たれたのだ。部隊の被害は甚大のものであった。

 

「理事! さらに地中からドラピオンの群れが奇襲を仕掛けて来ました!」

 

「なにぃぃぃぃぃっ!!!???」

 

モニターには更に、地中から飛び出してきたドラピオン達が、バンギラス達の砲撃で混乱しているカイザーの部隊に襲い掛かり、次々と報告が上がってきてた。

 

「理事! 正面の部隊はほぼ壊滅! このままでは・・・・!」

 

「狼狽えるな! 北と東からも部隊を呼び寄せておけ、北方の『対デカグラマトン部隊』もだ!!」

 

「はい!」

 

カイザーPMC理事がそう指示を飛ばすと、さらに別の兵士から報告が飛び込んできた。

 

「・・・・!? 理事! 北方にも襲撃あり!」

 

「何っ!? 一体誰が・・・・!?」

 

「こ、これは!? 理事! 見て下さい!!」

 

そこに現れたのはーーーー〈ミレニアム〉の校章を付けた色々な形をした兵器軍であった。

 

「み、〈ミレニアム〉だとぉっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

ーユウカsideー

 

「全く、先生も無茶を言うなぁ・・・・」

 

《そう言わないでユウカちゃん。カイザーコーポレーションの理事はここに逃げ込んだって言うし、ここにもガケガニのように『ひでんスパイス』で巨大化したポケモン、それも先生曰く、古代のドンファンであるパラドックスポケモンって言うのがいるみたいだから、先生も無茶を承知で頼んできたんだよ》

 

アビドス砂漠に展開しているカイザーPMCに向けて、『エンジニア部』特製の兵器を引き連れて、後ろにサーナイトを控えさせてやって来たユウカがボソリと愚痴ると、ノアが通信越しで宥める。

そう。先生は〈トリニティ〉だけではない。〈ミレニアム〉の方にも協力を頼んできたのだ。ユウカとノアとしても、前回の巨大ガケガニの脅威を知っているので、パラドックスポケモンの調査と『ひでんスパイス』の回収も兼ねて来たのだ。本来ならばこう言う事には『ミレニアムの生徒会長』の許可も必要なのだが、

 

『ーーーーあなた達の好きなようにしなさい。私は少し手が離せないの』

 

と、メールが送られて来たのだ。少し前から、行方を眩ませている生徒会長に首を傾げるが、今は仕方ないと割り切った。

そして、『エンジニア部』に兵器を使わせて欲しいと頼むと、前から自分達のお手製の兵器を使用したかった『エンジニア部』は二つ返事でOKし、寧ろ堂々と兵器の実戦テストができると、テンション高く、嬉々として快諾して使わせてもらっている。

お陰でユウカは兵器のデータとか、できればパラドックスポケモンのデータを事細かく記さねばならなくなったが。

 

「ーーーー先生。露払いはしておきます。頑張って下さい」

 

と、ユウカが呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そしてドラピオンに案内された先生達は、ピカチュウが発光して多少明るくなったが、それでもまだ暗く、足元には少し砂が残っているアビドスの地下鉄の線路の上を歩いていた。

 

「・・・・所々に砂がある」

 

「昔はここにも、ちゃんとした電車が走っていたんですね・・・・」

 

「はい。ですが、砂嵐によって地下鉄に閉じ込められた人達は皆救助されましたが、地下鉄はそのまま廃棄され、今では誰も覚えていないようです」

 

「そして今では、『ドラピオン達の巣』になっちゃったって訳ね・・・・」

 

ここまで来るまで、途中で乗り捨てられた電車を見つけ、中を覗いて見ると、ドラピオンとその子供らしい『さそりポケモン・スコルピ』が、少し怯えながらコチラを見ていたのを思い出した。

基本夜行性で地面も掘り進めるドラピオンならば、廃棄された地下鉄を『住処』にするのも当然と言えるだろう。

 

「先生。バンギラス達とドラピオン達は大丈夫なの?」

 

“・・・・うん。今〈ミレニアム〉のユウカに確認してもらっているけど、向こうは結構優勢になっているよ”

 

「そう」

 

ヒナの質問に先生がそう答えると、ヒナは短く応えた。

 

“でも、バンギラス達もドラピオン達も、先日のダメージがまだ残っているだろうから、あまり長続きはしないだろうね。その為にも、コチラも急がないと”

 

「ん。ドラピオン」

 

『(ポンッ)ルガル』

 

そうこう言っている内に、幾つもの岩で塞がれた出入り口に辿り着くと、ソコにはシロコとルガルガンの宿敵ボスドラピオンが腕組みしながら立っていた。

ソレを見た瞬間、シロコの目が細まり、ルガルガンも飛び出して睨んだ。

 

『・・・・・・・・ドラ』

 

ボスドラピオンはそんな二人の視線を睨み返すが、すぐに出入り口の方に向かい、その両腕を振り上げると。

 

『ドラァァァァァァァァァァッ!!!』

 

ーーーードガァァァァァァァァァァンンッ!!!

 

『ーーーー!!』

 

全力で【シザークロス】を叩き込むと、出入り口を塞いでいた岩を全て砕き飛ばし、外の明かりが暗闇に少し慣れた全員の目を眩ませる。

が、十秒程で目が慣れ、コッソリと顔を出すと、出入り口の後ろのおよそ数百メートルの辺りに、あのカイザーの基地を見つけた。

すぐに双眼鏡で見ると、兵力はバンギラス達とドラピオン達、〈ミレニアム〉のいる地点に向かっており、コチラには気づいていないようであった。

 

“ーーーー良し。行こう!”

 

『はい!』

 

「・・・・ドラピオン」

 

『ルガガルガ』

 

『ドラ・・・・?』

 

「ありがとう」

 

『ルガルガン』

 

『・・・・・・・・フン』

 

シロコとルガルガンが礼を言うと、ボスドラピオンは案内をしてきたドラピオン三匹を率いて、地面に潜り、戦闘中の仲間達の元へと向かった。

ソレを見送ってから、皆はポケモン達を出し、先生はミライドンを出して乗り込み、後ろにシロコが座る。ヒナがアブソルに乗り、ピジョットにノノミ、ウォーグルにセリカ、フライゴンにアヤネが乗り込むと、先生が声を出した。

 

“ーーーー出発!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーイダイナキバsideー

 

そしてここは、巨大ドンファン、もといイダイナキバが寝床にしている洞窟の中、先日、ボスドラピオンとボスバンギラスの戦いの負傷が癒えると、昨日から自分にチクチクと鬱陶しく攻撃している小さなポケモンを睨む。

 

『ヤミ!!』

 

そのポケモンは「かかってこい!」言わんばかりの態度だが、イダイナキバは無視し外がまた騒がしくなってきて、また侵入者が来たのかと思い、ソチラに向かってノッシノッシと歩き出す。

 

『ドンファド』

 

『ヤミ! ヤミヤミ!!』

 

そのポケモンは、自分を無視して進むイダイナキバの尻尾にしがみつき、そのまま連れ出されてしまった。

 




はい。ホシノのかつてのパートナーは、ピジョットにしました。ホルスと呼ばれているホシノには、メガシンカもできるピジョットがいいと思いました。

〈トリニティ〉は三タイプ。一般生徒とかは『フェアリー』。正義実現委員会のような武闘派が『かくとう』。シスターフッドが『ゴースト』と言った感じです。

ナギサの手持ち、イエッサンとタブンネは執事とメイドのポジションで、ポットデスはイタズラ好きのペットポジションですね。勿論、『隠し玉』もあります。

〈ミレニアム〉も参戦させました。パラドックスポケモンの調査も兼ねて。『生徒会長』はこの時、ある事情から不在だったので、ユウカとノアで動いています。

そして、テツノワダチはアヤネの手持ちとなり、ニックネーム『アイファン』となりました。

次回、パラドックスポケモン達と戦います。
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