ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さぁ、ここからがクライマックス!

光り輝けピカチュウ!
限界を超えろ御三家!
更なる進化ルカリオ!

独り孤独に悲嘆に暮れる少女に、その手を伸ばせ!!


進化せよ御三家! 手放さなかったもの!

ーシロコsideー

 

便利屋68とヒナ、ユウカとファウスト‹ヒフミ›がパラドックスポケモン達と激戦を繰り広げている頃、最低限の警備を蹴散らしながら、漸く基地の最奥の施設に到達した対策委員会と先生。

 

「ホシノ先輩の位置、確認できました。あそこです、あの施設の地下に!」

 

「・・・・行こう」

 

「はい! ドサイドン! 地面を掘り進んで下さい!」

 

『ーーーードサイ!!』

 

ノノミがドサイドンを出したその時、その施設の前に突然、ゴリアテに乗ったカイザーPMC理事が現れた。周りを見ると、他のカイザー兵士達と、戦闘ヘリ数機と戦車数台を含めた一個小隊が展開されていた。

 

「カイザー理事・・・・!!」

 

「しつこい・・・・」

 

「ああもう、何処まで邪魔すれば気が済むのよ!」

 

「どいてください! さもないと・・・・!」

 

『『・・・・・・・・』』

 

対策委員会の皆が銃を構えようとするが、その一同の前にヤドキングとピジョットが出てきて、カイザーPMC理事を排除しようと前に出ようとする。

しかし、カイザーPMC理事は、静かに、苛立ったような声を発する。

 

「ーーーー対策委員会・・・・ずっとお前達が目障りだった」

 

カイザーPMC理事は独白するように言葉を続ける。

 

「これまで、ありとあらゆる手段を講じてきた・・・・それでもお前達は、滅びかけの学校に最後まで残り、しつこく粘って、どうにか借金を返済しようとして!」

 

段々と、全身をブルブルて震わせ、拳を握り締め、砂を踏み躙り、声量が大きく、荒々しくなってくる。これまでの苛立ちをぶつけるように。

 

「アレほど懲らしめたのに、徹底的に苦しめたのに、毎日毎日楽しそうに!! 極めつけは『シャーレ』の先生!! 貴様が来たせいで私の計画がっ!!! 私が築き続けてきた地位がっ!!! 権力がっ!!! 貴様がぁぁぁぁっ!!!!」

 

『大人』の自分ですら返済するなんて不可能だと分かりきっている返済額を前にしても、どれだけ暴力を駆使しても、権力を駆使しても彼女達は折れずに、笑顔絶やさなかった。ソレがカイザーPMC理事は気持ち悪く、そして不愉快で堪らなかったのだ。

最早敵意を超えて殺意のこもった瞳で、対策委員会と先生を呪い殺さんばかりに睨みつける。

しかし、怒りならば、対策委員会の方が、目の前の惨めな男など足元にも及ばない程に大きい筈である。

 

「ふん、あんたみたいな下劣で浅はかな奴が何をしようと、私たちの心は折れたりしないわよ!!!」

 

『ウォーッ!!』

 

「ホシノ先輩を、返してもらうよ」

 

『ルガルっ!!』

 

「はい! あなたみたいな情けない大人に、私たちは負けません!絶対に!」

 

『ドンドン!!』

 

「戦闘に入ります・・・・先生、お願いします!」

 

『フライ!!』

 

『ルドン!!』

 

“ああ。皆、行こう!!”

 

『ピカッ!』

 

『カルゥ!』

 

『リザ!』

 

『カメ!』

 

『ソウ!』

 

『アギャッ!』

 

先生の言葉に、全員が応じた次の瞬間ーーーー。

 

ーーーードガァァァァァァァァンン!!!!

 

『ドンファァァァァァドッ!!』

 

基地の外壁をぶち破り、巨大ドンファン、否、巨大化したイダイナキバが現れた。

 

「あれって!?」

 

“『パラドックスポケモン・イダイナキバ』!”

 

『ルドンファン!』

 

巨大イダイナキバが、基地の施設を踏み躙りながら突き進んでくる。

 

「ハハハハハハ!! 上手く誘導したな! 来いイダイナキバ! 『シャーレ』の先生ごと、対策委員会を踏み潰せぇ!!」

 

カイザーPMC理事が叫ぶのと同時に、ゴリアテのガトリングと一個小隊が攻撃を開始した。

 

「先生!」

 

“セリカとアヤネはウォーグルとフライゴンに乗って、ピジョットとヤドキングと一緒に戦闘ヘリを! 撃破したらカイザーを! 私はリザードとカメールとフシギソウと一緒にイダイナキバと戦う! シロコとルガルガン、ノノミとドサイドンとアイファンはカイザーと地上部隊を! ピカチュウとルカリオはシロコ達のフォローを!”

 

『了解!』

 

『ーーーー!!』

 

先生がそう指示すると、対策委員会は了解を示し、ヤドキングを乗せたピジョットもカイザーPMC理事を指して「自分達も行く」と言い出した。

 

“ーーーー分かった。皆、気を付けて!”

 

『アギャ!』

 

先生はミライドンに乗り込むと、御三家を率いて巨大イダイナキバへと向かった。

 

「待て『シャーレ』の先生! 貴様は私が!!」

 

ーーーーババババババババババババババババ!!!

 

「!!!」

 

カイザーPMC理事が先生を追おうとすると、シロコとノノミが弾丸を浴びせた。

 

「ん。お前の相手は私達」

 

「あなたが先生に逆恨みがあるなら、私達もあなたには怒りがありますよ」

 

「対策委員会・・・・!! いいだろう! 貴様らの屍を、奴に見せつけてやる!!」

 

そう言って、カイザーPMC理事と対策委員会の戦いが始まった。

 

 

 

 

 

ーセリカsideー

 

「ウォーグル! 【ふきとばし】!!」

 

「フライゴン! 【エアカッター】!!」

 

『ウォォォォォ!!』

 

『フライゴーン!!』

 

空中でパートナーの背中に乗って戦闘ヘリと戦っていたセリカとアヤネ。ウォーグルが突風を巻き起こし、ヘリのバランスを崩した所で、フライゴンの空気の刃がプロペラを機体から切り離して落下させていく。

 

「よっし! 次はカイザー理事ね!」

 

「っ! 待ってアヤネちゃん! ヘリの一つがイダイナキバに・・・・!」

 

アヤネの言葉でセリカが目を向けると、落下していくヘリの一機が、巨大イダイナキバのすぐに近くに落下し、爆発を起こした。

しかし、巨大イダイナキバはミライドンに乗り回る先生と御三家との戦いに夢中で気付いていない。が、巨大イダイナキバから『何か』ーーーーポケモンのような物体が爆風で吹き飛び、セリカの乗ったウォーグルに向かって落ちてきた。

 

「うわっ!? 何アレ!?ーーーーうわっとっ!」

 

セリカが思わず抱き止めて『ソレ』を見た。

小悪魔のような姿をしており、身体の各所はトゲトゲしく、両手も鋭いツメになり、ギザ歯が生え揃った大きなクチとなっており、両眼はまるで宝石のようになっている『くらやみポケモン・ヤミラミ』。それも、本来は濃い紫色の全身が金色となっている。『色違いヤミラミ』だった。

 

『ヤミヤミ〜・・・・』

 

「ヤミラミ!? 何でパラドックスポケモンから飛んできたの!?」

 

『・・・・ヤミ!?』

 

目を回していた色違いヤミラミが正気に返ると、セリカの顔をジッと見る。

 

『ヤミ! ヤミヤミ!!』

 

「うわっ!? ちょっと・・・・!」

 

色違いヤミラミはセリカの腕から出て、セリカの背中におんぶするようにぶら下がる。

 

「ちょっと何してんのよ!? 降りなさいって!!」

 

『ヤミー! ヤミヤミヤー!!』

 

セリカは必死に背中から引き剥がそうとするが、色違いヤミラミは引っ付いて離れなかった。

 

「セリカちゃん! 地上に降ろすのは危険だし、ここはヤミラミも連れて行きましょう!」

 

「あぁもう仕方ないわね! さっさとカイザーをブチのめして、先生の所に行こう! アンタ! 落ちても知らないからね!」

 

『ヤミ!』

 

そして、アヤネとセリカを乗せたウォーグルとフライゴンが、カイザーPMC理事が乗るゴリアテと交戦しているシロコ達の方に向かった。

 

 

 

 

 

ーシロコsideー

 

「ルガルガン! 【インファイト】!」

 

「ドサイドン! 【ドリルライナー】!」

 

『ガルゥゥゥゥ!!』

 

『ドサイ、ドォン!!』

 

ルガルガンが飛び掛かりカイザー兵士達を薙ぎ倒し、ドサイドンが回転突撃をして戦車部隊を蹴散らす。

 

『ピカピカピカピカ!!』

 

『カルォッ!!』

 

『ルドン!!』

 

「おのれぇ!!」

 

そしてカイザーPMC理事には、ピカチュウが【かげぶんしん】で撹乱し、その隙にルカリオがゴリアテの関節部分に【はっけい】を叩き込み、アイファンが【アイアンヘッド】で突撃する。ゴリアテからミサイルやガトリングの弾が飛んでくるが。

 

『ヤド〜!!』

 

ピジョットに乗ったヤドキングが【ねんりき】で全ての弾幕をカイザー兵士や戦車、果てはイダイナキバに飛ばしたりしていた。

 

『ピジョット!!』

 

ピジョットの翼が鋼のように煌めいて、ゴリアテに当たると、ゴリアテの巨体をよろけさせた、【はがねのつばさ】だ。

 

「ぐぅぅぅぅ・・・・!!」

 

カイザーPMC理事は、苛立ちを感じながら、目下のディスプレイに表示された『主砲のエネルギーチャージ』に目を向ける。

恐らく、最大出力の限界までチャージして、イダイナキバもろとも先生も対策委員会も葬ろうと考えているのだろう。

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

カイザーPMC理事は、ミサイルではなく煙幕弾を撒いた。

 

「っ!」

 

「視界が!」

 

「ウォーグル! 【ふきとばし】!」

 

『ウォー!!』

 

『ピジョットー!!』

 

ウォーグルとピジョットが同時に【ふきとばし】を放ち、煙を吹き飛ばすと、シロコとノノミ達に向かって、ゴリアテの主砲を放とうとするカイザーPMC理事の姿があった。

 

「「っ!?」」

 

「蒸発するが良い!! アビドス対策委員会!!」

 

主砲が発射されるその刹那ーーーー。

 

『ピィカァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

『ルカァルォォォォォォォォォォォォォォ!!』

 

「フライゴン! 【ドラゴンクロー】!! アイファン! 【ギガインパクト】!!」

 

『フラァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

『ルドンファァァァァァァァァァァァァン!!』

 

ピカチュウが【ボルテッカー】を、ルカリオが【コメットパンチ】を、フライゴンが前足の爪を使った【ドラゴンクロー】を、アイファンが凄まじい勢いの突進【ギガインパクト】をゴリアテの横側に叩き込み、バランスを崩した砲身が横に逸れ、先生との戦いの時よりも凄まじい主砲のエネルギー波が放たれ、遠くにあるドラピオンの縄張りまで到達し、キノコ雲のような爆発が起こった。

 

「しまっーーーー」

 

「ルガルガン! 【ドリルライナー】!!」

 

「ドサイドン! 【アームハンマー】!!」

 

「ウォーグル! 【ブレイクロー】!!」

 

「フライゴン! 【ドラゴンクロー】!!」

 

『ルーガルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!』

 

『ドサイドォォォォォォォォォンッ!!』

 

『ウォォォォォォォォォォォォォッ!!』

 

『フラァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

『ヤドキィィィィィィィィィィンッ!!』

 

『ピジョットォォォォォォォォォッ!!』

 

急いで起き上がろうとするゴリアテだが、対策委員会が空かさず指示を出し、ヤドキングも【サイケこうせん】を、ピジョットが鳥のオーラの纏った突撃技【ブレイブバード】でゴリアテに襲い掛かった。

そしてーーーー。

 

ーーーーチュドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンッ!!!

 

大爆発が起こった。

 

『ヤド』

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ヤドキングが【ねんりき】で、気を失ったカイザーPMC理事を爆発から救い出して地面に下ろすと、シロコとセリカが持って来ていた縄で簀巻きにした。

 

「ん。次は先生の方」

 

「ピカチュウとルカリオは既に向かっています。急ぎましょう!」

 

対策委員会は、ゴリアテが爆散するのと同時に、巨大イダイナキバと戦う先生の元に向かったピカチュウとルカリオの後を追った。

 

「所でセリカちゃん、その色違いのヤミラミはどうしたんですか?」

 

「何かひっついてきてんの!」

 

ノノミがセリカの背中におぶさっているヤミラミを見て聞くと、セリカは溜め息交じりに応えた。

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“アロナ、イダイナキバのタイプは?”

 

《はい、もう解析済みです! 『じめんタイプ』と『かくとうタイプ』の複合系です!》

 

アロナが、この少ない時間で分析したイダイナキバのタイプを先生に伝えると、先生は「ありがとう」と返信してから、御三家に指示を飛ばす。

 

“リザード! 【かえんほうしゃ】でイダイナキバの気を引いて! カメールとフシギソウは【アクアジェット】と【リーフストーム】!”

 

『リザー!!』

 

『ドンファァド!!』

 

リザードの火炎で気をそらすと、カメールとフシギソウが攻撃をするが、巨大イダイナキバにはあまりダメージを与えていない様子で、突撃してきた。

 

『『『ーーーー!!』』』

 

三匹が慌てて避けると、巨大イダイナキバは基地の施設の一つに頭から突っ込み、抜けなくなってしまったのか脱出しようともがいていた。

 

“三匹とも! こっち!”

 

『アギャ!』

 

ミライドンに乗った先生が、御三家を回収すると、物陰に隠れるのと同時に、巨大イダイナキバが出てきて、先生達を探そうと辺りを見回していた。

 

『リザ・・・・』

 

『カメ・・・・』

 

『ソウ・・・・』

 

御三家は不安そうな顔になる。先生の最も頼りにしているリーダーのピカチュウと、エースのルカリオがおらず、自分達がこの強敵と戦う事に不安を感じるのは仕方ないと言えるだろう。

しかし、先生は三匹に向けて手を差し出した。

 

“ーーーー皆、大丈夫だよ”

 

『『『???』』』

 

“私が『シャーレ』に来て、今日この日まで君達と共に過ごした。皆と巨大ガケガニやサダイジャと群れやワルビアルの群れと戦い続けてきたね”

 

『『『(コクン)』』』

 

先生の言葉に、一応頷いてみせる御三家。

 

“私がアビドスを離れる時に、必ず君達に対策委員会の皆の護衛を任せるのは君達なら絶対に、対策委員会の皆を守ってくれるって信じているからだよ”

 

『『『!』』』

 

先生の言葉に、御三家は目を見開く。

 

“私は君達を信じている。だから・・・・私を信じて、一緒に戦ってくれるかい? リザード。カメール。フシギソウ”

 

『(パァァ〜・・・・!)』

 

御三家は顔を笑顔にした。その言葉は、自分達と先生と初めて会った時と同じであった。

先生は自分達を信じてくれている。そう考えると、勇気が湧いてくるのを御三家は感じ、あの時と同じく、先生の手に自分達の手とツルを伸ばして乗せた。

 

『リザリザ!』

 

『カメカメ!』

 

『ソウフシェ!』

 

御三家が力強く頷いたその時ーーーー御三家の姿が光り出し、メキメキと音を立てながら身体が大きくなっていく。

リザードの身体の色はヒトカゲの時の橙色へ戻り、体格は一気に大きくなり、首も長くなり、背中に大きな翼が生えた。後頭部からは二本角も生え、尻尾も更に長くなり炎もまた大きなり、その姿はまさに西洋竜といって差し支えない『かえんポケモン・リザードン』。

 

『ドォォォォォォォォンン!!』

 

カメールの身体は更に大きくなり、肌の色は青色、甲羅は茶系の色。カメールの際に生えていた耳と尻尾の毛はなくなっただけでなく、全体的な顔つきや体格がごつく厳ついものへと変化している。 最大の特徴は、背中の甲羅に収納されていたが、ソレが開いてせり出てきた二門のロケット砲『ハイドロキャノン』を備えた『こうらポケモン・カメックス』。

 

『ガメェェェェェェェェェ!!』

 

フシギソウの身体もより大きくなり、目は少し気だるげで、背中のつぼみが成長し、立派な大輪の花が咲いた。葉っぱも大きくなり、うち一枚が頭上へ覆い被さっている『たねポケモン・フシギバナ』。

 

『バァナァァァァァァァァ!!』

 

それを見て、先生はフッと笑みを浮かべて、御三家の名を呼ぶ。

 

“ーーーーさぁ行こう! リザードン! カメックス! フシギバナ!”

 

『ドォンっ!!』

 

『ガメッ!!』

 

『バナッ!!』

 

その言葉に応え、リザードンは空を飛び、カメックスとフシギバナは物陰から飛び出ると、進化の光でコチラに気づき、【ギガインパクト】で近づく巨大イダイナキバを見据えた。

 

“リザードン! 【そらをとぶ】! カメックスとフシギバナはチャージだ!!”

 

『ガメ!!』

 

『バナ・・・・!!』

 

『リザードン!!』

 

カメックスが二門のハイドロキャノンを構え、砲口に高圧に水を圧縮し、フシギバナは背中の花に太陽の光を収束していく。

リザードンは急上昇してからの急降下で、突進する巨大イダイナキバの背中に落下した。最終進化を果たしたリザードンは、『ほのおタイプ』だけでなく、『ひこうタイプ』の能力と技も獲得したのだ。

 

『ドンファァアアアアアアアア!!??』

 

【ギガインパクト】の弱点は、前方からの攻撃には強いが、側面からの攻撃には弱い。しかも、イダイナキバは『かくとうタイプ』で、効果抜群の『ひこうタイプ』の技を受けてしまい、足元がフラつき、地面を削りながら倒れる。

 

『ドン・・・・ファァド・・・・』

 

少しフラつきながら起き上がった巨大イダイナキバの目の前に、発射準備完了したカメックスとフシギバナがいた。

 

『ファドッっ!?』

 

“ーーーーカメックス! 【ハイドロポンプ】!! フシギバナ! 【ソーラービーム】!! リザードン! 【れんごく】!!”

 

『ガァメェェェェェェェェェェェッッ!!』

 

『バァナァァァァァァァァァァァッッ!!』

 

『リザァドォォォォォォォォォンッッ!!』

 

カメックスが『ハイドロキャノン』から高圧縮された水を大砲のように放水し、フシギバナが背中の花に集めた太陽光を集束された綠色の光線を放ち、二匹の上に飛んできたリザードンが全身に炎を纏い、極大の炎弾を放った。

 

『ファアアアアアアアアド!?』

 

巨大イダイナキバは強力な技を三つ同時に受けて、大きく後ろに吹き飛んだ。

が、

 

『ドン!ーーーーファアアアアアアアアアアアド!!』

 

巨大イダイナキバは、全身から黄色いオーラを放ちながら起き上がる。

 

“っ! 最後の抵抗か!”

 

『ピカチュウ!』

 

『カルッ!』

 

と、ソコで、ピカチュウとルカリオが先生の元に駆けつけた。

 

『ピカピカチュウ!』

 

『カルォ!』

 

ピカチュウとルカリオが、後輩の三匹の活躍を見た為か、先生に「『アレ』をやろうと」と言いたげに声を発した。

 

“・・・・うん。良しやろう!”

 

二人に応え、先生は懐から『黒いオーブ』を、服の袖から石の付いたブレスレットを出した。

 

「あれ!? 先生ちょっとそれってまさか・・・・!?」

 

遅れてやって来た対策委員会。アヤネが先生のやろうとしているのを見て、声をあげるが、先生は構わず『黒いオーブ』をピカチュウに向ける。

 

“限界超えて、光り輝けピカチュウ! テラスタル!!”

 

『ピカチュウ!!』

 

先生が手にした『黒いオーブ』、『テラスタルオーブ』が光り輝き、オーブ内のエネルギーが解放され、発光し、ピカチュウの頭上へ投げるとピカチュウの足元から宝石のような、結晶のようなものが隆起してピカチュウを包み込んで、すぐに砕け散ると、ピカチュウの身体が宝石のように輝き、その頭には巨大な電球を冠のように発現させた姿。一部の生徒が研修を受ける事で手にする事ができる、別のタイプとなったり、同じタイプの技を大幅に増幅する事ができる。〈連邦生徒会〉が月一で行われる『研修』を受け、合格されたものだけが得られる『テラスタル』。

 

“ルカリオ! 絆の力でさらなる高みへ! メガシンカ!!”

 

先生のブレスレットにある『キーストーン』が光り輝くと、ルカリオの腕にあるバングルの『メガストーン』も、共鳴するように光り輝き、ルカリオの身体を包み込むと、ルカリオの身体が変貌した。

身体は一回り大きくなり、金属質の黒い部分が流れる模様となって身体の随所を走っているようになる。頭部の黒い帯状の器官が長くなり、トゲが追加された両手両足の先端はより強固となって赤く変色。胴体部分の黄色い体毛も増量された逆立つものとなり、尻尾も腰回りの毛に覆われて見えなくなっている。

一部のポケモンと、トレーナーが固い絆で結ばれていないと到達できない、進化のさらなる進化、『メガシンカ』であり、ルカリオは『メガルカリオ』へとなるのだ。

『メガシンカ』に必要な『メガストーン』と『キーストーン』は、ポケモンの大会やイベント等で優勝や好成績を上げた生徒とポケモンに与えられるのだ。

 

『カルゥォォッ!!』

 

『ドォォォォンッ!!』

 

巨大イダイナキバが、再び【ギガインパクト】で突撃してくる。

 

“ピカチュウ! ルカリオ! 【ライジングドラゴン】!!!”

 

『ピィィィィ、カァアアアアアアア!!!』

 

『カァァァァ、ルォオオオオオオオ!!!』

 

ピカチュウが頭の『テラスタ』が光り輝き、全身に力を迸らせながら【ボルテッカー】を繰り出し、メガルカリオが【りゅうのはどう】を撃ち出しすと二つの技が合わさり、カイザーPMC理事の時よりも力強く、巨大イダイナキバと同じくらい巨大な雷龍となり、巨大イダイナキバがぶつかり合った。

 

『ファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアドッ!!!???』

 

巨大イダイナキバは吹き飛び、地面に大きな地響きを上げて倒れると、目を回して気を失った。

 

“良し!ーーーーうわっ!?”

 

『リザードン☆』

 

ガッツポーズをする先生をミライドンの背中から、リザードンが捕まえて空中で抱き締めた。

 

『リザー♪』

 

“あぁ、やったねリザードン”

 

『リザリザ! っ!』

 

リザードンが嬉しそうに頷くと、下から放水が飛んできて、リザードンがビックリして避けた。

下を見ると、カメックスとフシギバナとミライドン、そしてテラスタルを解除したピカチュウと、メガシンカを解除したルカリオ、そして対策委員会の皆が「降りてこい!」と言わんばかりに声を上げているのが見えた。

そして降りると、皆が集まった。

 

「先生。テラスタルがあるなら私達にも渡して欲しかった」

 

“ご、ごめん。皆の分はあったんだけど、アル達に渡しちゃったんだ・・・・”

 

「えぇっ!? 便利屋の皆さんに!?」

 

“パラドックスポケモンがどれだけ強いか分からないから、一応保険として、ね・・・・”

 

「あぁ成る程です☆」

 

“それで皆、理事の方は?”

 

「今頃地べたに簀巻きで這いつくばってるわよ」

 

「ん。リザードン達も最終進化してる。先生のピカチュウととルカリオのテラスタルとメガシンカも凄かった」

 

「皆さん逞しくなりましたねぇ♧」

 

「先生。後は施設内の敵だけです!」

 

“ああ! 皆行こう!”

 

そして、全員がカイザー基地の中へと入っていった。

 

“ーーーー所でセリカそのヤミラミは?”

 

「もう説明するのが面倒だから後で話すわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして基地内部は予想通りと言うか、最低限の兵員しかいなかった。

しかしそれでも、内部は迷路のようになっている上に、通路はそれ程広くなく、天上もあまり高く無い。進化を果たしたが、そのせいで身体が大きくなってしまった御三家とドサイドンとウォーグルとフライゴンは少々動き難くなっていた。

 

“リザードン達とミライドンとピジョットをボールに戻すよ! セリカ、アヤネ、ウォーグルとフライゴンも戻して! この空間じゃ、ピジョット達の機動力は活かせない! セリカはなるべく、アヤネのアイファンの近くにいて!”

 

「分かった! 戻ってウォーグル!」

 

「フライゴン!」

 

セリカとアヤネがパートナー達を戻すと、後ろの通路の曲がり角から、カイザー兵士が銃口をセリカに向けていた。

 

「! セリカちゃん後ろ!」

 

「っ!」

 

『ヤミっ!』

 

「っ! ぐぁあっ!!」

 

ノノミの言葉で振り向くセリカの背後から飛び出したヤミラミが、空中に宝石を生み出すと、それをカイザー兵士達に向けて撃ち出し倒した。

 

「ヤミラミ?」

 

『ヤミヤミ』

 

ヤミラミはフンっと胸を反らすと、セリカに近づき、また背中に張り付いて笑みを浮かべた。

 

「ん。そのヤミラミ、セリカが気に入ったんじゃない?」

 

「はい! きっとセリカちゃんが好きになったんですよ☆」

 

「えっ? そうなの??」

 

『ヤミ♪』

 

呆気に取られるセリカだが、カイザー兵士達が煙幕弾を投げつけてきた。

 

『あっ!!』

 

プシュゥゥゥ〜・・・・と、煙幕が通路を充満していくと。全員の視界が塞がれてしまった。

 

 

 

 

 

ーピカチュウsideー

 

『ピカピピ!・・・・っ!』

 

ピカチュウもまた、先生の肩から降りていたせいか、煙にまかれて先生の姿を見失った。

しかし、一人の人物の背中を見つけた。ソレは、先生の生徒の背中であった。

 

『ピカカ? ピカカ!』

 

ピカチュウはパートナーも連れずに一人で何処かに行こうとする『生徒』を追った。

煙で視界が悪いが、ソレでもその『生徒』の背中を見失わないように進んでいくと、漸く煙が晴れ、ピカチュウの目の前には一際大きな扉があった。

 

『ピカ? ピカカ! ピカカ!!』

 

ピカチュウはこの扉の中に入ったのであろう『生徒』に、扉をトントンと叩いて呼びかけるが、返事はなかった。

 

“ーーーーピカチュウ! こんな所に来てたの!?”

 

『ピカピピ! ピカ?』

 

先生の声が聞こえて振り向いたピカチュウが、ついさっきまで追いかけていた生徒ーーーーシロコがいたのだ。

 

「ん? どうしたのピカチュウ?」

 

『ピカカ? ピカ、ピカカピカ?』

 

『ガル? ガルガル』

 

『ピィカ?』

 

ピカチュウがシロコを見て首を傾げ、シロコも小首を傾げ、ピカチュウがルガルガンに、「シロコといつ合流したの?」「え? シロコはずっと俺といたよ?」と話し、ピカチュウは益々頭を悩ませたが、扉の方を指差した。

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“ここにホシノがいるのかな・・・・?”

 

煙に巻かれながらカイザー兵士達を全滅させた一同は、大きな扉を見つけたその時ーーーー。

 

『(ポンッ)ーーーーアギャァァッ!!(ガンッ!)』

 

いきなりミライドンがボールから飛び出て扉に向かって、たいあたりをした。

 

“ミライドン!?”

 

『アギャ! アギャァ!! アギャアァッ!!!』

 

ーーーードガァァァァン!!

 

驚く一同を放って、ミライドンが何度もたいあたりを繰り返すと、扉がひしゃげてぶっ飛んだ。

そして中に入ったミライドンを追って全員が入ると、ソコは何かの『実験室』のような場所で、その中央にある床に大きな台の上に、これまた大きなガラスのケースに閉じ込められた一匹のポケモンがいた。

 

『アギャ! アギャギャ! アギャァァッ!!』

 

『ーーーーアギャォ?』

 

ミライドンが必死に呼びかけると、そのポケモンはゆっくりと身体を起こした。

黄色みがかった色鮮やかな赤、スカーレットの身体が美しく。まるで恐竜のように逞しいトカゲか、竜人の様な姿をし、全身がしっかりと鱗で覆われており、頭部のウォーボンネットを思わせる羽根状のトサカが特徴的で、そこからは一対の一際長いハンドルの様な突起が生えている。

また喉元にはタイヤを思わせる喉袋のようなものが見え、長い尻尾の根元半分は同じようなベルト状になっており、腰部分にも生えた羽根はまるでバイクの背もたれを、腿裏の突起はバイクのマフラーを彷彿させる。

モトトカゲの面影があるその姿を見て、先生と対策委員会は察した。ミライドンがモトトカゲの未来の姿ならば、コチラは古代の姿『パラドックスポケモン・ツバサノオウ』なのだと。

 

『っ!! アギャォ!!』

 

『アギャァ!!』

 

ツバサノオウはミライドンの姿を見るなり顔を喜色に染め上げると、ガラスケースに貼り付きながらミライドンに呼びかける。ミライドンもガラスケースに寄りかかりながら必死に呼びかけていた。

黒服の話から、この二体は兄弟のように仲が良かったようなのだから当然と言える。

 

「ん。先生、操作端末みたいなの見つけた」

 

『アギャォ?』

 

ガラスケースの近くに、操作盤のような物を見つけたシロコ。ツバサノオウは何故かシロコを見ると首を傾げた。

 

“ーーーーちょっと待ってて(アロナ、行ける?)”

 

《はい! システムは結構単純なのですぐに終わります! ついでにここから、ホシノさんの居場所と、色々なデータを貰っちゃいましょう!》

 

先生が『シッテムの箱』を端末に繋げると、アロナに解析を頼むと、アロナがガラスケースの解除の他に、ホシノが何処にいるのかと、この基地で行われていた数々の研究データや、パラドックスポケモン達の情報を次々と手に入れていく。

 

《先生! どうやらこのツバサノオウって子は、『コライドン』って呼ばれていたようです!》

 

“『コライドン』・・・・?”

 

『『コライドン』?』

 

アロナの姿と声が聞こえないシロコ達が、先生の言葉に首を傾げた。

 

“この子の名前。ミライドンの正式名称が『テツノオロチ』って名前だったのと同じく、ツバサノオウも名前が付けられたんじゃないかな?”

 

「ミライドンが未来から来たから、この子は古代をもじってコライドンって名前になったんですね」

 

“多分ね。ーーーーよし! 解除完了!”

 

先生がそう言うと同時に、ツバサノオウ、コライドンを閉じ込めていたガラスケースが上に登り、更に端末からモンスターボールが出てきた。

 

『アギャォッ!』

 

『アギャァッ!』

 

コライドンが床に降りると、ドライブモードのミライドンに合わせたのか、四つん這いとなり喉袋と巻いた尻尾がタイヤに見え、大きく広げた頭と腰部分の羽根がまとまってバイクのような形態に変化した。

 

「えっ? まさかコイツもバイクになるの!?」

 

“ーーーーいや、ミライドンの『ドライブモード』で、コライドンのこれは『疾走形態』と言って、このまま四足を使って走る事ができるようだ”

 

驚くセリカに先生が説明すると、ミライドンとコライドンは再会を喜ぶように涙を浮かべながら笑い合っていた。

 

『ーーーーアギャ?』

 

と、ソコで、コライドンはシロコに顔を近づけた。

 

「ん? 何??」

 

『??? アギャォ』

 

「ん??」

 

『ギャス! アギャォ!』

 

コライドンは首を傾げるシロコの頬をベロンと舐めると、先生達に「一緒に来てくれ」と言わんばかりに声を上げ、ミライドンはすぐに追いかけ、先生達も端末から出てきたモンスターボールを手にして追いかけると、コライドンが閉じ込められていたのよりも小さなガラスケースに、一匹のポケモンが眠っており、そのガラスケースの傍らにはーーーー『八つのペンライト』が置かれていた。

四足でピカチュウと同じくらいの体躯に、首の周りは襟巻きのような毛で覆われて特に毛量が多くなっているポケモン、『しんかポケモン・イーブイ』だ。

本来ならば茶色の体毛をしているのだが、このイーブイは茶色の部分が淡いクリーム色となっている『色違いイーブイ』であった。

 

「わぁ、色違いのイーブイですね☆」

 

「どうしてこんな所にイーブイが?」

 

“・・・・・・・・どうやら、この基地にいるポケモンは、『あと一匹』のようだ”

 

「ん? パラドックスポケモンの残りがいると思ってちょっと楽しみにしていたのに、残念・・・・」

 

先生達は知らないが、実は東方でサケブシッポ達の同種達が戦っているのだ。

 

「それでどうするの先生?」

 

“・・・・この子も保護しよう。カイザーがこの子に何をしていたのか気になるし”

 

先生が端末を操作すると、ガラスケースが上に行く。

 

『ZZZzzz・・・・ZZZzzz・・・・ZZZzzz・・・・』

 

しかしイーブイは、心地良く眠っているだけであった。

 

「この状況で寝てるって、肝の太い性格してるわねぇ」

 

「ん。ホシノ先輩とヤドキングみたい」

 

“・・・・起きて”

 

先生が色違いイーブイを起こそうと揺すると、色違いイーブイはクァァァ〜、と大きなアクビをして目を開けると、先生の顔をジッと見る。

 

『ブイ・・・・?』

 

『アギャォ』

 

『ブイ? ブイブイ!』

 

コライドンが話しかけると、色違いイーブイはピョンっと床に降りると、ピョンピョンと跳ねながらコライドンに話しかけた。

 

『アギャォアギャォアギャォ!』

 

『ブイブイ? ブーイ!』

 

「ここから出られるぞ」「ホント? やったぁー!」と、言わんばかりに話すコライドンと、それを聞いて喜ぶ色違いイーブイ。

そして色違いイーブイは、先生の足元に走ると、先生の足に顔どころか、全身を降り寄せていく。

 

『ブイブ〜イ♪』

 

『アギャォ』

 

そしてコライドンは、何故かシロコの近くにいった。

 

「ん。次はホシノ先輩」

 

“ーーーーああ。ホシノの居場所も分かった。急ごう!”

 

先生は片手に色違いイーブイを持ち、肩にピカチュウを乗せ、傍らにルカリオを控えさせてから、ミライドンに乗り込み、その後ろにアヤネとヤドキングが乗り、アイファンはボールに戻した。

コライドンが身体を低くし、シロコに乗れと言いたげに声を上げると、シロコは跨り、その後ろにノノミとセリカとヤミラミを乗せ、通路を突き進みながら、奥へ奥へと突き進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先生も対策委員会の誰も気付いていない。

色違いイーブイが閉じ込められていたケースの反対側に、コライドンのと同じくらいの大きなケースが『二つ』並び、大きな穴を開けて破られている事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーホシノsideー

 

ホシノは過去を夢で見ていた。まだ『先輩』がおり、ヤドキングがヤドンで『先輩』のパートナーとしており、自分のパートナーはピジョンだった頃。

あの頃は他にも凄い子達もいて、正直〈アビドス〉は〈キヴォトス〉でも『三大学園』に負けない戦力を保持していると自負していた気がする。

 

【ねえ、ホシノちゃん。私ね、ホシノちゃんと初めて会った時、これは夢なんじゃないかなって思って、何度も頬を抓ったの】

 

膝の上にヤドンを乗せ、肩に『ーーーー』を乗せた『先輩』が、またくだらない事を話をしていると、当時の自分は思った。

 

【ホシノちゃんみたいな可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいてくれるなんていう夢みたいなことが、本当に嬉しくて・・・・うーん、うまく説明できてないかもしれないけど・・・・。ただ、こうしてホシノちゃんと一緒にいられることが、私にとっては『奇跡』みたいなものなの】

 

【・・・・毎日毎日、こうして一緒にいるじゃないですか。昨日も今日も、明日もそうです。こんな当たり前のことで、何を大袈裟な事を】

 

肩にピジョンを乗せた自分が素っ気無く答える。我ながら、当時は本当に可愛げの欠片も無い奴だったと思う。

 

【はぅ・・・・だって・・・・】

 

【『奇跡』、と言うのはもっと凄くて、珍しいもの事ですよ】

 

【・・・・ううん。ホシノちゃん。私は、そうは思わないよ】

 

・・・・今の自分も、もうそうは思っていない。本当に、後から『先輩』の言っていた言葉を理解するとは、当時は本物の『天才』なんて言われていた自分だが、本質を全く理解していなかった陳腐な存在であったと、思わず自嘲してしまう。

 

【ねぇ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも可愛い後輩ができたら、その時はーーーー】

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

「・・・・ユメ、先輩・・・・」

 

そこで目が覚めたが、状況は何も変わっていない。薄暗いドームのような部屋に閉じ込められている。もう何もかも諦めてしまい、その部屋に入ってから一切の身動ぎすらも禁止されていて固まってしまった身体が、部屋の外からの振動で微かに震えた。

 

ーーーー先輩はすぐソコにいる筈です!

 

ーーーードサーイ!

 

ーーーーん、壊れない・・・・もう一度・・・・

 

ーーーーガルルルル!

 

ーーーーああもう無駄に頑丈ねこれ!

 

ーーーーウォォォォ!

 

ーーーーバラバラではダメです! 皆一斉に行きましょう!

 

ーーーーフラーイ!

 

ーーーーせ〜の・・・・!

 

と、何やら聞いた事のある声が、ホシノの耳に入ってくる。幻聴も聞こえるようになるとは、いよいよ自分もおしまいかな・・・・と、思ったその時ーーーー。

 

ーーーードカアアアアァァァァンッ!!!

 

部屋の扉が、外から激しい衝撃音が響いた。

すると、それと同時に、ホシノの身体の拘束も解かれた。

 

「(一体・・・・何が・・・・? 体が自由に・・・・? 夢でも見てるのかな?)」

 

拘束が解かれて倒れるホシノは、先ほど耳に入ったのは後輩達の声であった。

 

「(皆の声が聞こえたし・・・・夢か)」

 

ホシノが顔を上げ、ゆっくりと立ち上がると、声のする方に歩いていく。

 

「(こっちの方、かな・・・・? 夢でも良いから・・・・最後に、もう一度だけ・・・・)」

 

最早自分には何もない。しかし、夢でも幻でもいいから、とホシノは歩を進める。

そして、この部屋の扉らしきものが視界に入ったその瞬間ーーーー。

 

ーーーーガシャンッ!!

 

扉が破られた事で視界に入ってくる光に目が眩み、目がなれると複数の影が現れ、一斉に声を張り上げた。

 

『ホシノ先輩!!!!』

 

『ーーーーっ!!!!』

 

目の前に、信じられない事が、いる筈のない事が、『奇跡』が起こっていた。

シロコが、ノノミが、セリカが、アヤネが、ヤドキングが、ピジョットが、ルガルガンが、ウォーグルが、何故かドサイドンとフライゴンと機械ドンファンにヤミラミ、ミライドンに似たポケモンや色違いのイーブイ・・・・そして先生とピカチュウとルカリオとミライドン、リザードンとカメックスとフシギバナがそこにいたのだ。

 

「あ、あれ・・・・どうやって・・・・どうして・・・・だって、私は・・・・」

 

理解が追いつかず、軽い混乱状態になるホシノに、ポスンッと柔らかい衝撃と、ホシノの身体を包み込むように、温かな翼が覆う。

 

『ヤドキン・・・・!』

 

『ピジョ・・・・』

 

「キン、ちゃん・・・・? ピジョット・・・・?」

 

“ホシノ”

 

目に涙を浮かべたヤドキングがホシノに抱きつき、同じく目に涙を浮かべたピジョットが、そんな自分達をその大きな翼で抱き締めたと理解すると、先生の声を聞いて、漸くホシノは正気に帰り、理解した。

 

「・・・・ああ。そっか・・・・皆が、先生が・・・・大人が、ね・・・・はは」

 

散々大人に騙され、裏切られ、踏み躙られ、全てを奪われたホシノ。

しかし、そんな自分を助けに来て、手を伸ばして、救い出してくれたのもまた、先生と言う大人であった。

ソレを理解し、ホシノは小さく笑ってしまった。

 

「・・・・お、おかえりっ、先輩!」

 

「ああっ、セリカちゃんに先を越されてしまいました! 恥ずかしいから言わないって言ってたのに、ズルいです!」

 

「う、うるさいうるさいっ! 順番なんてどうでも良いでしょ!////」

 

「・・・・無事で良かった」

 

「ホシノ先輩、おかえりなさい!!」

 

「おかえりなさい、です!!」

 

「おかえり、ホシノ先輩」

 

『ーーーー!!!』

 

セリカが照れ臭そうに良い、それをノノミに指摘されると顔を赤くしている。シロコが安堵したように肩を竦めると、アヤネが涙交じりに言い、ノノミがいつも柔和な笑みで言い、シロコがいつものように静かに、しかし優しい声で言うと、ルガルガン達が心底嬉しそうに叫び声をあげた。

 

「あはは・・・・何だか皆、期待に満ちた表情だけど。・・・・求められてるのは、あの台詞?」

 

『ヤドヤドン』

 

『ピジョッピジョット』

 

照れ臭そうに苦笑するホシノだが、ヤドキングとピジョットが「言いなさい」と、言わんばかりに声を上げる。

 

「ああもうっ! 分かってるなら焦らさないでよ先輩!」

 

セリカも照れ臭いのか、声を荒げた。

 

「うへ〜・・・・全く、可愛い後輩達のお願いだし、仕方ないなあ・・・・」

 

そう言って、ホシノは先生の前で初めてーーーー満開の笑顔を見せてくれた。

 

「ーーーーただいま」

 

とーーーー。

 

『・・・・・ーーーーヤド』

 

「(ギュム)ふへ? ふぁにふるのヒンひゃん!?(うへ? 何するのキンちゃん!?)」

 

ホシノが言い終わると、「うんうん」と頷いてから、ヤドキングがホシノの両頬をつまんで引っ張った。

 

『ピジョッ』

 

次にピジョットが、ホシノの頭のアホ毛を食いつまんで引っ張る。

 

「アタタタタタタタ! ぴ、ぴしょっふぉも!? も、もひかしへおふぉってふ?(ぴ、ピジョットも!? も、もしかして怒ってる?)」

 

どうやら自分を置き去りにしたトレーナーに、ポケモン達がお仕置きを始めたようだ。

 

「ーーーーん。ヤドキング、次は私がホシノ先輩の右のほっぺを引っ張る。ルガルガンはピジョットの後でホシノ先輩の頭にかみつく」

 

「では私は左のほっぺですね♧ ドサイドンはグリグリで☆」

 

「じゃ私は右耳ね。ウォーグルはルガルガンの後でアイアンクロー」

 

「私は残った左耳です。フライゴンは尻尾でおうふくビンタです」

 

『ルガ!』

 

『サイ!』

 

『ウォー!』

 

『フライ!』

 

「えぇっ!? おじさん皆に集団リンチの刑!? ご、ごめんよぉ皆ぁああああああああああ!!」

 

ホシノが必死に謝罪するが、お構い無しで皆からお仕置きを受けるのであった。




色違いヤミラミと色違いイーブイと出会い、ホシノを救出

さて、次回で、タイムマシンと秘伝スパイスが手に入ります!
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