ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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先生の手持ちの1体を紹介。


ポケモントレーナーとパートナーポケモンの絆

ー先生sideー

 

先生の指揮によって、巡航戦車や不良生徒達にポケモン達はーーーーあっさりと制圧された。

 

「何だか、戦闘がいつもよりやりやすかった気がします・・・・」

 

『ジャララ!(ジャララ!)』

 

スズミの言葉に、ジャランゴが同意するように声とウロコを鳴らす。

 

「・・・・やっぱりそうよね?」

 

『サナー』

 

「先生の指揮のお陰で、普段よりずっと戦いやすかったです」

 

『カモ』

 

「成る程・・・・これが先生の力・・・・まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か・・・・」

 

『サナ』

 

ユウカとサーナイトも、困惑気味に頷き、ハスミとネギガナイトは先生の指揮のお陰だと言うと、ユウカも納得する。

 

「それでは、次の戦闘もよろしくお願いします。先生///」

 

“うん。皆もお願いね”

 

ハスミが頬を少々赤らめてそう言うと、先生は頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、立ち塞がる不良生徒達とポケモンを倒しながら、『シャーレの部室』へと向かう一同。

 

「もう『シャーレの部室』は目の前よ」

 

と、ソコで、全員の片耳に付けたインカムに、ヘリに残ったリンから通信が入った。

 

《今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました。『ワカモ』。〈百鬼夜行連合学院〉で停学になった後、〈矯正局〉を脱獄した生徒です。似たような前科が幾つもある危険な人物です。手持ちには二体の『キュウコン』がおり、かなり手強いポケモンとの事です。気を付けて下さい》

 

 

 

 

 

ーワカモsideー

 

そしてここ、『シャーレの部室』の前に、一人の生徒を筆頭に五人の生徒達が現れた。内、四人の生徒達は〈矯正局〉を脱走した不良生徒達であり、先頭に立った同じく脱走した生徒が、一際異彩を放っていた。

光輪、〈キヴォトス〉の人間である証明でもある、『ヘイロー』の形は輪の中に赤い桜の花弁であり、美しく長い裏が赤になっている黒髪と頭に伸びる黒い狐の耳。黒く白や金の桜模様のミニ丈の和服に、九九式短小銃に三十年式銃剣(短刀)を取り付けた銃剣。それだけでも異彩だが、それよりも目を引くのは、赤い模様が描かれ、黒い花を飾りと付けた白い狐面であろう。

この少女が、今回の騒ぎの首謀者『狐坂ワカモ』である。

 

「・・・・あらら。連邦生徒会は来ていないみたいですね。フフッ、まあ構いません。あの建物に何があるかは存じませんが、連邦生徒会が大事にしている物と聞いてしまうと・・・・壊さないと気が済みませんね・・・・」

 

『シャーレの部室』を見上げながら、ワカモが呟いた。

 

「ああ・・・・久しぶりのお楽しみになりそうです。ね? 『タマモ』。『ミクモ』」

 

『『コン』』

 

ワカモの言葉に同意するように声を上げたのは、ワカモの左右からゆったりと現れた二体の『きつねポケモン・キュウコン』だった。

片方は金色の毛並みと九本の尾それぞれの尾の先端にはオレンジがかり、赤い瞳を持つキュウコン。

もう片方は全身がフワフワと波打つ純白の毛に覆われておら、特に頭部の毛が大きく伸び後方に流してポンパドールのようにしているアローラキュウコン。

それぞれワカモから、『タマモ(キュウコン)』、『ミクモ(アローラキュウコン)』と、ニックネームを与えられている。

 

「ウフフフフ♡」

 

「あの、ワカモさん、アタシらはどうすれば?」

 

笑い声を発するワカモに、ほぼ引っ付いてきたと言っても良い四人の不良生徒の内の一人が問いかけた。

 

「ーーーーああ、あなた方はこれから来る連邦生徒会の仔犬達の足止めをしておいて下さい。“その程度くらいはできるでしょう”?」

 

「は、はい・・・・!」 

 

「・・・・けっ、アタシらは捨て駒かよ・・・・!」

 

「『厄災の狐』とか言われてるからっていい気になってさ・・・・!」

 

「和服の上でも分かる“アレ”と同じくらいデカい態度を取りやがって・・・・!」

 

卑屈に揉み手をする不良の後ろで、他の三人はコソコソとワカモへの不満を吐いていた。

ワカモはそれに気付いていないのか、元々歯牙にもかけていないのか、キュウコン達を連れて、『シャーレの部室』へと入っていった。

ワカモが入るのとほぼ同時にーーーー。

 

「着いた!!」

 

「はい」

 

後方からそんな声が響いて四人が振り向くと、『三大学園』の重役達が現れた。

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“あれがーーーー『シャーレの部室』、か・・・・”

 

『ピカァ・・・・』

 

先生とピカチュウは、眼前に聳えるビル、これから自分の仕事場になる『シャーレの部室』を見上げた。

 

「先生、まだです。『シャーレの部室』前にいる不良達を止めなくては」

 

“そうだね”

 

チナツの言葉に頷いた先生が不良達に目を向けると、四人の不良達は自分のポケモン達を前に出した。『どくばりポケモン・ニドリーノ』に『どくばりポケモン・ニドリーナ』に『ハエとりポケモン・ウツドン』に『2まいがいポケモン・シェルダー』だ。

 

「そんなポケモンで、私達に対抗できると思ってるの?」

 

「大人しく武器とポケモンを下がらせて大人しくすれば、ジャランゴの音を聞かせるだけにするわよ!」

 

『ジャララ!』

 

ユウカとスズミがそう言うが、不良達はニィッと唇の端を上げて、懐からーーーー『石』を取り出した。

細長い石を二つ。葉っぱの模様が着いた石。水に気泡が浮かんだような石。それを見て、先生もユウカ達も目を見開いた。なぜならそれはーーーー。

 

『『進化の石』!?』

 

そう。ポケモンは成長すると次の個体に『進化』するが、中には『進化の石』や『進化のアイテム』といった特殊な方法を使わないと『進化』できないポケモンもいる。

そしてニドリーノとニドリーナ、ウツドンとシェルダーは『進化の石』を使わないと進化できないポケモンである。

しかし、『進化の石』はかなり高価な物で、一般生徒のアルバイト代の半分以上は使わないと手に入らない程の代物が、どうやって脱走したばかりの不良達の手に入ったのか。

 

“・・・・もしかして、〈矯正局〉から盗んだのかな?”

 

「っ! ありえますね。〈矯正局〉には不法取引で押収した『進化の石』や『進化アイテム』が置かれていますから、脱走の時に盗んだのでしょう」

 

「っ、と言う事はまさか、以前ゲヘナで押収して、研究の為に〈矯正局〉に預けた『アレ』も・・・・!」

 

先生が呟いた言葉に、ハスミが肯定するように首肯し、チナツが何か心当たりがあるのか、顎に手を当てた。

そんなやり取りに構わず、不良達は『進化の石』を各々のポケモンに当てると、石が光り、ポケモンに溶け込むように消えて、代わりにポケモン達の身体が光り、メキメキと音を立てて、その体を変えていく。

光が収まるとソコにはーーーー。

 

『ニドオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

『クォオオオオオオオオオオオオッ!!』

 

『ボォォォォォォォォォォォトォッ!!』

 

『パルシェェェェェェェェェェェッ!!』

 

『ドリルポケモン・ニドキング』。『ドリルポケモン・ニドクイン』。『ハエとりポケモン・ウツボット』。『2まいがいポケモン・パルシェン』へと進化した。

 

“うわぁ〜・・・・四対同時の最終進化とは、なかなか壮観な光景だねぇ”

 

『ピカピカ』

 

「そんな暢気な事言ってる場合じゃないですよ先生!」

 

『サナ〜・・・・』

 

先生とピカチュウが感心したように言うと、ユウカがツッコミを入れた。

 

「はーはっはっはっはっ! どうだ! アタシらの切り札! さぁニドキング! アイツらを叩きのめせ! 特にーーーー羽川ハスミ! ヤツのポケモンと、ヤツ自身を徹底的に痛めつけてしまえ! 毎度毎度、視界に入れないようにしても見切れるように視界に入ってきて、見せつけるように揺らしやがって・・・・!」

 

「姉御! アタシは早瀬ユウカをやりますよ! エリートぶったミレニアムの奴等は前から鼻持ちならなかったんで! アタシのニドクインで捻り潰す!」

 

不良生徒Aが、ハスミを指差してニドキングに指示を出した。その際ハスミの、豊満の一言では片付けられない程の驚異的で圧倒的なド迫力に満ちた存在感を放つ胸元を、呪い殺さんとばかりに睨みつけていた。

もう一人の不良生徒Bも、ユウカにニドクインをけしかけようとしている。

 

“・・・・ハスミ。お知り合い?”

 

「・・・・以前トリニティで、ニドリーノとニドリーナを使う二人の不良生徒を捕まえましたが、もしかしたらその子達かも知れません。私を敵視しているのはその恨みからでしょうか?」

 

「それで何で私まで目の敵にされるのよ!?」

 

何やらなし崩し的に巻き込まれたユウカが叫ぶ。

 

「アタシはゲヘナの風紀委員だ! やれウツボット!」

 

「それじゃあアタシは残ったヤツを仕留めるよ! タイプ相性的にもアタシのパルシェンが有利だ!」

 

チナツとスズミの方には、不良生徒Cと不良生徒Dが自分のウツボットとパルシェンをけしかけようとする。

 

『っ!』

 

“・・・・・・・・”

 

『ピィカ〜・・・・』

 

ユウカ達とポケモン達が身構えた。しかし、先生とピカチュウは平然として態度になり、ユウカが下がるように口を開こうとした。

がーーーー。

 

『クァァァァァ〜〜・・・・』

 

『へ?』 

 

何と、ニドキング達は盛大に欠伸をしてから、その場で寝転がりーーーー寝てしまった。

 

『ZZZ・・・・ZZZ・・・・ZZZ・・・・』

 

『ハァァァァ!? 何してんだよぉ!?』

 

コレには不良生徒達は仰天し、必死に起こそうとしていた。

 

「・・・・先生、これは・・・・?」

 

“・・・・多分四匹とも、進化した事で従順だった性格が変わって、トレーナーが力量不足と判断されたんだろうね”

 

そう。ポケモンだって感情がある。自分の主、トレーナーが自分が指示を受けるに値しないと判断されれば、舐められてしまい、今目の前のニドキング達のように戦闘放棄をされてしまうのだ。

先生は進化したニドキング達を見て、そう見極めたから落ち着いていたのだ。

 

“どんなにポケモンを強くしたり、進化させたりしても、トレーナーが未熟じゃあ言う事を聞いてくれないよ”

 

『ピカピカ』

 

「・・・・なんか、他人事じゃない気が・・・・」

 

スズミは戦闘放棄した四匹と、何とか戦わせようと悪戦苦闘する不良達の姿が、ジャランゴが『最終進化』した後の自分達に見えたようだ。

 

“・・・・大丈夫だよ、スズミ”

 

「ええ。スズミさんがジャランゴの特訓や自己研鑽を怠っていない事を私は知っています。その努力する心を忘れず研鑽を続けていれば、ジャランゴが進化しても、スズミさんのパートナーでいてくれる筈です」

 

『ジャラララ』

 

「ぁ・・・・ありがとうございます」

 

先生とハスミがそう言うと、ジャランゴが「大丈夫だよ」と言いたげに身体を擦り寄せ頬ずりをすると、スズミも安心したように笑みを浮かべた。

 

“ーーーーさて、早く彼女達を取り押さえて・・・・”

 

と、先生が不良達に目を向けると、

 

「だぁぁ! こうなったら!ーーーーこれを使う!」

 

いつまで経っても戦わないポケモン達に焦れた不良生徒Dが懐からーーーー“紫色の蓋付き試験管”を取り出し、蓋を開けると紫色のガスが立ち込め、自分達のポケモン達にそのガスを吸わせた。

 

「何あれ?」

 

「っ! あれは!」

 

ユウカが訝しそうにするか、チナツは目を見開いた。

その瞬間ーーーー。

 

『っ! ニドォオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

『クァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

『ボォオオオオオオオオオオオオオオオオドォ!!』

 

『パァァァルゥウウウウウウウウウウウウウウ!!』

 

何と、カッと目を見開いたの四匹の目は紫色に輝き、起き上がりながら雄叫びを上げ、不良生徒達がすぐに後方に逃げて瓦礫に隠れると、四匹は当たり構わず剛腕やツルやビームを放って暴れ出した。

 

“何なんだあれ?” 

 

「前に羽川さんが言っていた、【最近野良や違法ギャンブルのポケモンバトルに、『妙なガス』が使われている】って噂の元凶です! 確か、『R』と呼ばれる薬品のガスで、アレを吸うとポケモンが凶暴化してしまうんです!」

 

「何ですって!?」

 

チナツの言葉にユウカが驚くが、四匹は暴れるのをやめなかった。

 

「このままじゃ、『シャーレの部室』まで壊しちゃいますよ!」

 

「先生。どうしましょうか?」

 

“・・・・チナツ”

 

「はい?」

 

スズミが声を張り上げ、ハスミが先生に指示を問うと、先生はこの中で『R』と呼ばれる薬品を知るチナツに声を掛ける。

 

“あのポケモン達が暴れるのを止めるにはどうすれば良い?”

 

「えっと・・・・時間が経てばガスの効果が消えて大人しくなりますが、私が知っている持続時間は、五分〜十分と言った所です」

 

“トレーナーの生徒が離れているのは?”

 

「見ての通り、『R』を使うと見境なく暴れるので、トレーナーである自分達も巻き込まれると思ったからだと思います」

 

“ーーーー成る程。つまり、今のポケモン達は本能のまま暴れる野生ポケモンとそんなに変わらないって事だね?”

 

「は、はい」

 

“それなら大丈夫。皆なら余裕で倒せるよ”

 

『えっ?』

 

先生の言葉にユウカ達は首を傾げる。

 

“あぁ言う風にただ力を振り回しているだけのポケモンと、強い信頼関係で結ばれた皆のポケモン。どっちが勝っているかなんて、考えるまでもないよ”

 

『ピカピカ』

 

先生の言葉にピカチュウは同意し、ユウカ達は暴れているポケモン達を見据える。

 

“皆は野生ポケモンでも攻略するように、自分のポケモン達を信じて戦えば良い。大丈夫。皆と皆の相棒のポケモン達なら、負けっこないさ”

 

『・・・・・・・・(コクン)』

 

先生がそう言うと、ユウカ達は各々のパートナーのポケモンを見ると、ポケモン達もトレーナー達を見据え、笑みを浮かべて頷きあった。

 

“さぁ、ラストスパートだ!”

 

『はい!』

 

先生が号令すると、各々が暴れるポケモンへと向かった。

 

 

 

 

 

 

ーハスミsideー

 

「ネギガナイト! 【てっぺき】で防ぎなから躱しなさい!」

 

『グワッ!』

 

ネギガナイトは盾を構えながら、ニドキングの剛腕を躱しながら近づく。

ポケモンには『特性』と言う種族別に持つ能力がある。

そしてニドキングとニドクインの特性は『どくのトゲ』。直接触れた相手ポケモンをどく状態にしてしまう能力。ネギガナイトのような接近戦主体のかくとうポケモンにとって相性の悪い相手である。

 

「死ねぇぇぇぇっ! 爆乳ーーっ!!」

 

『ニドォオオオオオオオオオオ!!』

 

不良生徒Aの叫びと同時に、ニドキングが剛腕を振り上げ、ネギガナイト目掛けて力の限り振り下ろした。

 

ーーーードゴォォォォォォォン!

 

ニドキングの剛腕が振り下ろされ、アスファルトを砕いた。

がーーーー。

 

『クックッ』

 

『ニドォッ!?』

 

何と、ネギガナイトは剛腕を躱し、剛腕はアスファルトに深くめり込んでしまい、ニドキングが動けなくなった。

 

「ウソー!?」

 

「ーーーーポケモンを進化させるのは良いですが。それだけで勝てる程、甘くはありませんよ」

 

 

 

 

 

 

ーユウカsideー

 

「サーナイト! 【テレポート】で撹乱よ!」

 

『サナー!』

 

ニドクインと相対するサーナイト。ニドクインは【みだれひっかき】で攻撃するが、サーナイトは【テレポート】で回避し続ける。

がーーーー。

 

『クォォォォォォ!!』

 

『サナ!?』

 

ニドクインの爪の一撃が、偶然か不運なのか、サーナイトに僅かに当たった。

 

「サーナイト!」

 

『サー・・・・!』

 

身体が紫色に変色しだし、どく状態となってしまうサーナイト。

 

「ラッキー! ニドクイン! そのままやっちまえ!」

 

不良生徒Bの声を張り上げ、ニドクインはサーナイトをキッと睨み、再び【みだれひっかき】を繰り出そうとした、が。

 

『ク・・・・クォォォォ・・・・!』

 

ニドクインの身体も変色し、どく状態へとなった。

 

「はぁっ!? 何? どうなってんの!?」

 

戸惑う不良生徒Bに、ユウカはフッと笑みを浮かべる。

 

「ーーーーサーナイトの特性は『シンクロ』。状態異常にした相手を自分と同じ状態にするのよ。アナタのニドクインは唯でさえ激しく暴れているから、サーナイトよりもどくの回りが早いようね!」

 

「なんですとぉっ!?」

 

「ポケモンの特性を理解しきれていなかったみたいね!」

 

「だ、だけどアンタのサーナイトだって! えっ?」

 

『サー!』

 

サーナイトもどく状態と言おうとしたが、サーナイトがアイテムを取り出すと、どく状態が解除された。

 

「あ、アイテムを持たせていたぁ!?」

 

「ちゃんとその時の対策も講じてあるのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

ーチナツsideー

 

『ボォォォォォトォォォォォッ!!』

 

『ブンネ! ブンネ! ブンネ!』

 

ウツボットは遮二無二に【つるのムチ】は振り回すが、タブンネはステップでもするかのような軽快な動きでそれらを回避していく。

 

「どうなってんの!? 火宮チナツのタブンネは〈風紀委員会〉のポケモンの中では一番弱いって噂はデマだったの!?」

 

「デマではありませんよ。確かに私やタブンネは元々〈救急医学部〉の出身ですから、バトルの経験は殆どありません。ですが、私達の学園ゲヘナは銃撃戦とポケモンバトルが日常茶飯事のようなものですから、弾丸豪雨やポケモンの技が雨嵐と降り注ぐ中を駆けながら、怪我人や戦闘不能となったポケモン達の救出もしています。こんな滅茶苦茶に振り回したムチなんて、それに比べれば余裕ですよ。ね、タブンネ?」

 

『ブンネ〜!』

 

混乱する不良生徒Cに説明するチナツの言葉を肯定するように、タブンネはムチを避けながらウツボットに肉薄する。

 

「・・・・元〈救急医学部〉として、私結構怒っています。こんなポケモンの理性を奪う危険な『薬品』なんかを使って、ポケモン達を無理矢理戦わせるような真似は、断じて許せません!」

 

 

 

 

 

ースズミsideー

 

そして、一番苦戦しているのは、みず・こおりタイプのパルシェンと言う、不利なタイプと戦っているドラゴン・かくとうタイプのジャランゴだろう。

 

「くそっ! まさかここまでとは! だが、こっちはアタシの勝ちだなぁ!?」

 

不良生徒Dが劣勢になった仲間達を見て苦々しい顔になるが、パルシェンが【オーロラビーム】を乱射し、ジャランゴは躱しきれず受けてしまうのを見て笑みを浮かべる。

 

『ジャラァッ!!』

 

「ジャランゴ!」

 

スズミは悲痛そうな顔となり、ジャランゴを下がらせようと、ボールを取り出そうとした。

が。

 

『ジャラァア!!』

 

「っ、えっ?」

 

自分に向けて大声を発するジャランゴに、スズミは目を向けると、ジャランゴのその目には、闘志の炎がメラメラと燃えていた。

 

「ジャランゴ・・・・分かった! 負けるなジャランゴ!!」

 

『ジャラァッ!』

 

スズミの声援を受けて、ジャランゴは気合を込めて叫ぶと、オーロラビームを放ちまくるパルシェンに向かって突っ込んでいく。

 

『パルー! パルー! パルー! パルー!』

 

パルシェンは突っ込んでくるジャランゴに向かって【オーロラビーム】を放つが、ジャランゴは止まらなかった。

 

「ど、どうなってんの!? タイプ相性はこっちが有利なのに!」

 

「例えタイプの相性が不利でも、私のジャランゴは負けない! 私はジャランゴを信じているから!」

 

スズミの言葉に応えるように、遂にジャランゴがパルシェンを捕まえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“・・・・もう大丈夫だね、行こうかピカチュウ?”

 

『ピカ』

 

ユウカ達の勝利を確信した先生は、懐からポケモンを捕獲・保護する特殊なボール『モンスターボール』を一つ持って、ピカチュウと共に『シャーレの部室』へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

ーユウカsideー

 

追い詰めたユウカ達は、仕上げに入る。

 

「ーーーーポケモンを進化させて強くさせるより」

 

「ーーーー先ずは自分のポケモンの事を理解して」

 

「ーーーー自分自身もトレーナーとして研鑽して」

 

「ーーーーポケモンとの絆を強くしなさい!」

 

そして決め技を放つ。

 

「ネギガナイト! 【インファイト】!」

 

「サーナイト! 【サイケこうせん】!」

 

「タブンネ! 【メガトンパンチ】!」

 

「ジャランゴ! 【ばくおんぱ】!」

 

『クワァァァ!!』

 

『サーーーー!!』

 

『ブンネーっ!!』

 

『ジャラララ!!』

 

ネギガナイトが一瞬消えると、ニドキングが叩きのめし、サーナイトから放たれた光線が、ニドクインに浴びせ、タブンネの鉄拳が、ウツボットを殴り飛ばし、ジャランゴの爆音がパルシェンを吹き飛ばした。

 

『『『『〜〜〜〜〜〜〜〜』』』』

 

四匹のポケモン達は目を回し、目から紫色の光が消えると、グッタリしたように動けなくなった。

 

『アワワワ・・・・!』

 

『何処に行くのですか?』

 

ーーーージャコっ!

 

不良生徒達が逃げようとするが、ユウカ達は既に銃口を向けて囲んでいた。

 

『・・・・す、すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!』

 

完全に追い詰められた不良生徒達は、土下座して降伏するしか道は無かった。

とソコで、リンからの通信が入った。

 

《『シャーレ』部室の奪還完了。私ももうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう》

 

『ーーーーん?』

 

と、ソコでユウカ達は気付いた。先生とピカチュウの姿が、いつの間にか消えていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーワカモsideー

 

そして、不良生徒達のポケモンが撃破されたのとほぼ同時刻。

ワカモはゆっくりと『シャーレの部室』の地下の一室に辿り着いた。部屋は申し訳無い程度の明かりしかなくかなり薄暗かった。

 

「うーん・・・・『コレ』が一体何なのか、全く分かりませんね。これでは壊そうにも・・・・」

 

連邦生徒会長がここに『何か』を運び込んだと聞き、それが何なのか確認し、破壊しようと同じように〈矯正局〉を脱走した不良達を言葉巧みに扇動して此処まで来たのだが。

 

「・・・・・・・・あら」

 

と、どうした物かと考えるワカモは、背後から“誰か”が近づいてきている気配を感じていた。

ワカモも『トリニティの正義実現委員長』や『ゲヘナの風紀委員長』や『ミレニアムのメイド隊リーダー』には及ばないが、かなりの場数を踏んできた強者だからできるのだ。

 

「(・・・・足音から一人、建物に入る前に一瞬見た面子から私に対抗できる人物は・・・・正義実現委員会副委員長の羽川ハスミくらいですね)」

 

ワカモは近づいてくる人物をハスミだと推測した。

本人の戦闘能力は勿論の事だが、ハスミには他の三人と違って、“『隠し玉のポケモン』を所持しているのだ”。

自分とタマモにミクモが負ける事はないが、こんな狭い場所でやり合うのは少々分が悪い。

 

「・・・・タマモ、【ひのこ】。ミクモ、【こおりのつぶて】」

 

『『コォン!』』

 

ワカモの指示を受け、瞬時にハスミ?に向けて、タマモとミクモが火と氷を口から放つ。

がーーーー。

 

『ピィカァァッ!』

 

雷を纏った拳を振りかぶったポケモンが、たった一匹で、二匹の攻撃を打ち破った。

雷光から見えたその姿は、一匹のピカチュウで、暗がりで顔は見えないが、トレーナーらしきスーツを着た男性だった。

 

「ピカチュウ? でんきタイプと言う事はミレニアムの関係者でしょうか?」

 

ミレニアムのトレーナーの半数は、でんきタイプかエスパータイプのポケモンを所持しているのでそう推察した。

しかしそれにしても、様子見とはいえ自分のパートナー達の攻撃を、このピカチュウはたった一匹で防いでみせた。

 

『ピカチュウ!』

 

「・・・・タマモ。ミクモ。油断してはいけませんわよ」

 

『『コォン!』』

 

改めて見るピカチュウから放たれる『強者の気配』に、ワカモとタマモとミクモは集中力を全開して臨戦態勢を取った。

 

「タマモ、【かえんほうしゃ】! ミクモ、【フリーズドライ】!」

 

『『コォォォォンンッ!!』』

 

ワカモの指示で火炎と吹雪で攻撃するキュウコン達。

が、しかし。

 

“頼むよ! 『ルカリオ』!”

 

暗がりの通路から現れた人物がモンスターボールを投げると、ボールがポンッと開き、中から光の塊が出てきて床に着くと、その姿を徐々に形つくり、一匹のポケモンが姿を現した。

全体的に青を基調とした身体に、頭部の大半や四肢の先端などは黒くなっており、胴回りの体毛のみ薄い黄色。そして両手の甲と胸には白いトゲ状の突起物がそれぞれ一本ずつ付いき、骨と同じ模様をした凛々しい容姿の獣人のようなポケモン『はどうポケモン・ルカリオ』。

 

『ルオッ!』

 

“ルカリオ! 【はどうだん】!”

 

『オォォォォォ・・・・ルオォッ!!』

 

ルカリオは気合を込めると、トレーナーの指示でルカリオが両手にエネルギーを集め発射すると、タマモとミクモの攻撃を相殺した。

 

「なっ!?」

 

『『・・・・・・・・(ニッ)』』

 

驚愕するワカモを余所に、ルカリオはピカチュウの隣に立ち、ピカチュウと視線を交えるとニッとお互いに笑みを浮かべて、鋭い視線でワカモ達を見据える。その姿は共に死線をくぐり抜けて来た『戦友』のようであった。

 

「・・・・厄介、ですわね」

 

見た瞬間分かった。今の攻防で理解した。

このルカリオもピカチュウと同じくらいの半端ではない実力である。時間をかければ外の仔犬達もやって来てますます不利になる。

となればーーーー。

 

「手加減抜きです! タマモ! 【ほのおのうず】! ミクモ! 【ふぶき】!」

 

『『コォォォォォォォォンンッ!!』』

 

“ピカチュウ! ルカリオ!”

 

『ピカァ!』

 

『カルゥッ!』

 

最大出力で一気にケリをつけようと、タマモの炎にミクモの吹雪が纏った強烈な技がピカチュウとルカリオを襲うが、トレーナーの指示でピカチュウが電撃を纏い突撃し、ルカリオが波動を放った。

その瞬間ーーーー。

 

 

ーーーードゴォォォォォォォォォ゙ォンンッ!!

 

 

強烈な閃光と共に、爆裂が起こった。

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

『シャーレ』の地下にやって来た先生は、敵意と攻撃を仕掛けてきた相手に反撃をしたのだが、

 

“あいたた・・・・ピカチュウ。ルカリオ。無事かい?”

 

『ーーーー(プルプル)ピッカァ!』

 

『ーーーー(フルフル)ルォ』

 

強烈な爆裂に呑み込まれた先生が目を開けると、頭を振るピカチュウとルカリオが「大丈夫」と答えた。

 

“(ありがとう。助かったよ)”

 

キヴォトスの人間でない先生が、あの爆発で無傷でいられる訳がない。しかし、“懐の『ボール』にいる『友達』が守ってくれたのだ”。

地下施設の壁や床や天井が少し焦げ、そして目を回した二体のキュウコンと、妖しい生徒が倒れていた。

 

“ーーーー大丈夫かい?”

 

先生が生徒を抱える。

 

「・・・・ん、んん? あら? あら、あららら・・・・」

 

狐面を被った生徒が意識が戻ると、先生と顔を合わせ、自分の現状を把握した。

 

「・・・・あ、ああ・・・・///////」

 

何故か、狐面の生徒が顔を赤くしているのが分かる。

 

「も、戻りなさい、タマモ、ミクモ・・・・///////」

 

生徒が二つのモンスターボールを取り出してキュウコン達に向けると、ボールから一本の光線が放たれ、キュウコン達に当たると包み込み、キュウコン達は吸い込まれるようにモンスターボールに入っていった。

 

“えっと?”

 

「し、し・・・・」

 

“???”

 

『『???』』

 

「失礼いたしましたー!!」

 

そう言って、飛び起きた狐面の生徒は、凄まじい勢いで立ち去って行った。

 

“・・・・?”

 

『ピ〜カ〜(ニヨニヨ)』

 

『ルォォ・・・・』

 

先生は首を傾げたが、ピカチュウは何かを察したのかニヨニヨと笑みを浮かべ、ルカリオはやれやれと言わんばかりに溜め息を吐いた。




次回、先生は『彼女』と出会い、さらに新たな『仲間』も得る。

先生の手持ちポケモン
ピカチュウ:先生の最高の『相棒』
ルカリオ:先生の手持ちの『エース』
???:先生の『友達』。正体はリンと“一部の者達”しか知らないが、緊急時以外の使用と外に出す事は禁止とされている程の『存在』。


ワカモ&タマモ(キュウコン(♀))とミクモ(アローラキュウコン(♂))
ワカモは、ロコンの頃から大切に育てた大事なパートナー達と思っている。タマモとミクモは恋人同士でもあり、ワカモの事は心から信頼しているが、先生関連で暴走するワカモには半眼で呆れており、先生に迷惑をかけた時は、「「うちのワカモは毎度毎度すみません」」と、謝罪をしている。
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