ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さて、残す所後2話! 頑張っていきます!


時渡る友達と、新たな仲間達

ー先生sideー

 

ホシノへのお仕置きが一通り終わると、先生は『シッテムの箱』に表示された地図に目をやって。

 

“よし。次はーーーー”

 

色違いイーブイを肩に乗せたまま先生は、ホシノが閉じ込められていた部屋の隣にある部屋に向かった。

対策委員会の皆も付いていき、ピカチュウとルカリオで扉をブチ破るとソコにはーーーー。

大型ポケモンくらいの大きさをした、まるでブラックホールのような渦が宙にあり、それを囲うように、まるで巨大な指輪のようなリング状、その上に宝石のように設られた円柱型のカプセルがある機械が置かれ、さらに周りには色々な計器や制御盤が置かれていた。

さらにその近くには、ネットランチャーや対ポケモン用のテーザーガン(ワイヤーで繋がった電極を対象に撃ち出し、電流を流して制圧する銃)の他に、大きな檻が置かれていた。

 

「先生・・・・これは・・・・!」

 

あまりにも物々しい光景に、対策委員会全員が目を見開き、アヤネが戸惑いがちに問うと、先生は確信を込めて言う。

 

“・・・・これが、〈アビドス〉にパラドックスポケモン達が現れるようになった原因、『時空間の特異点』。そして、それを使って可動する『時空転移装置』、つまり『タイムマシン』だよ”

 

「えぇっ!? これが『タイムマシン』!?」

 

「ん。コレを使えば過去や未来に行けるの?」

 

セリカは先生からの話に聞いていて、もっと未来的な、ソレこそ、ネコ型ロボットに出てくるような『タイムマシン』を想像しており、その違いに少し驚き、シロコが改めて聞くと、先生は『シッテムの箱』をタイムマシンの近くに設られていた端末に繋げて、諸々のデータをアロナに調べてもらう。

するとーーーー。

 

“ーーーーいや、自由に過去と未来の行き先を決める事はできないみたいだ。この『特異点』は行き先がランダムのようだね”

 

「ランダム?」

 

「つまり、過去と未来、どっちに行くかはこの『特異点』の気まぐれ次第って事だね?」

 

“そう。カイザーは過去と未来にいるパラドックスポケモン達を、まるで川を泳ぐ魚ポケモン達の進む先に網を設置して捕らえるように、この『特異点』に入ってしまったパラドックスポケモンをコチラで捕らえていたようだね”

 

「所々にある武器は捕獲用ですか。半ば無理矢理連れてきてなんて酷い事を・・・・!」

 

ホシノの考察に首肯してさらに説明する先生。ノノミはカイザーのやり方に、不快そうに渋面を作る。

 

“でも、この『特異点』は『制御装置でもある核』を使って、これ以上大きくならないようにしていたみたいだ。さもなければ、この『特異点』は後数年後には〈アビドス〉を呑み込み、さらに十年後には〈キヴォトス〉全体を呑み込む程に巨大になっていたようだ”

 

「えぇぇっ!? そ、そんなに大きくなるのっ!?」

 

「〈キヴォトス〉すらも飲み込むって、天変地異レベルの厄災じゃないですか!」

 

セリカとアヤネが悲鳴染みた声を張り上げる。まさか自分達の近くに、〈キヴォトス〉を滅ぼす程の厄災が存在していたのだから当然だろう。

 

“そしてこの『特異点』を制御し、タイムマシンを使う為の『核』、それがーーーーあのポケモンだ!”

 

そう言って先生は、リング状の機械の頭頂部にある、円柱型のカプセルを指差した。

そして一同がそれを目を凝らして見ると、カプセルの中に、身体に幾つものコードが貼り付けられて繋がれた一匹のポケモンが眠っていた。

そのポケモンを見て、ホシノとヤドキングとピジョットが目を見開いて、ホシノがその名を呟く。

 

「ーーーー『セレビィ』・・・・?」

 

植物の種子を思わせる頭部に、小人の様な、ピカチュウくらいの小さな体躯。透明な一対の翅が閉じられ、まるで妖精のような姿が特徴的なポケモンが瞼を閉じ、眠っているような姿であった。

ソレは『幻のポケモン』と分類される、〈キヴォトス〉でも中々見つからない上に、捕まえるのが非常に難しくて、大変珍しい、更に言えば『特異な能力』を持ったポケモン、『ときわたりポケモン・セレビィ』である。

 

「セレビィって・・・・『時を渡る能力』を持った幻のポケモンですか!?」

 

「何でそんなポケモンがこんな所に!?」

 

「・・・・セレビィはね、私の先輩の、もう一人のパートナーだったんだよ」

 

アヤネとセリカが、セレビィを見て驚きの声を上げると、ホシノが更に驚く事を言った。

 

「ん? ホシノ先輩の先輩のパートナー?」

 

「そう。私の先輩はね、当時はヤドンだったキンちゃんをパートナーにしていたけど、セレビィの他に『二匹のポケモン達』もパートナーにしていたの。私も、当時ピジョンだったピジョットの他に、『二匹のポケモン』を所有していた。でも、先輩がいなくなり、ヤドンは私に託されてヤドキングに進化したけど、このままだと〈カイザーコーポレーション〉や、その後ろにいる黒服が所属する組織(ゲマトリア)に狙われると思って、他の子達は野に逃がしたの」

 

ホシノがセレビィの事を話した。

 

“・・・・取り敢えず、あの子を解放しよう。ピカチュウ。ルカリオ”

 

『ピカッ!』

 

『カルッ!』

 

先生の意図を察し、ピカチュウとルカリオはリング状の機械の両端から登り、セレビィが閉じ込められたカプセルに向けて【アイアンテール】と【はっけい】を放つ。

 

ーーーービキビキビキビキビキビキビキビキ!!

 

“ホシノ!”

 

「!ーーーーピジョット!」

 

『ピジョッ!』

 

セレビィを閉じ込めていたカプセル全体をヒビが覆うと、先生が声をかけ、ホシノが直ぐ様ヤドキングと共にピジョットの背に乗り込むと、ピジョットは即座に飛び立ち、そしてーーーー。

 

ーーーーガシャァァァァァァァン!!

 

セレビィが捕らえられたカプセルが砕け、ヤドキングがカプセルの破片を【ねんりき】でどかし、落下するセレビィの重量で、貼り付いていたコードが剥がれ、ゆっくりとセレビィが落ちるがホシノが抱き留める。

 

「セレビィ! セレビィ!!」

 

『・・・・・・・・ビィ・・・・?』

 

ホシノが呼びかけると、セレビィはゆっくりと瞼を開き、

 

『ビビィ・・・・?』

 

「・・・・・・・・違うよ、私だよ、ホシノだよ」

 

『ビィ・・・・? ビビビィ?』

 

ピジョットがゆっくりと地面に着くと、漸く目を覚ましたセレビィがゆっくりと翅を動かし、ホシノの腕から出て、宙を飛ぶ。

 

『ビビビィ!』

 

すると、笑みを浮かべたセレビィが、ホシノの頭の周りを飛ぶ。

 

「どうやら、怪我とかは無いようですね?」

 

“身体の中にも、変な機械とかは埋め込まれてはいないようだね”

 

「ん。でもどうしてセレビィが?」

 

「セレビィ、何でここに来たの?」

 

『ビィ・・・・』

 

アヤネがセレビィの様子から怪我は無いように言い、先生も『シッテムの箱』でセレビィをスキャンすると、身体の何処にも、内部にも異常は無いようであった。シロコが何故こんな場所にセレビィがいるのか首を傾げると、ホシノが聞き、セレビィがその場にいる全員に波紋を放ち、意思伝達するように経緯を伝えた。

 

ーーーーどうやら、一年程前。ホシノと別れてから『時空間』を旅していたセレビィは、寂しさから一度〈アビドス〉に戻ってきた。すると、この『特異点』の存在を感知し、『特異点』を消滅させる為にここに来たのだが、背後から『黒いポケモン』に奇襲を受けて囚われの身になり、ソレからこの機械に繋がれたのだと言う。

 

恐らく『特異点』をこれ以上大きくさせず、かつ制御するように『核』とされてしまっていたのだろう。

 

“(恐らくセレビィを襲った『黒いポケモン』は、黒服に操られたダークライか・・・・)”

 

見る限り、セレビィは戦闘に特化している訳ではなさそうな上に、不意打ちをくらってしまって囚われてしまったのだろう。

 

「って事はさ、セレビィがいればパラドックスポケモン達を元の時代に戻す事は出来るの?」

 

「どうセレビィ?」

 

『・・・・・・・・』

 

セリカの疑問をホシノが聞くと、セレビィは少し困ったような顔になりながら、再び意思伝達を行う。

 

ーーーー曰く、できなくはないが、『特異点』と『タイムマシン』の制御で力をかなり消費させられてしまい、『特異点』を閉じて消滅させる力しか残っていない。後は暫くの間は『時空間』の中で療養すれば、再び力が戻る。

との事だ。

 

“フム・・・・取り敢えずは、この『特異点』は早めに消滅させた方が良いね”

 

「そうですね。セレビィの制御が無くなって、再び大きくなり始めたら一大事ですし」

 

「カイザーにも、二度と利用されないようにしないといけませんね」

 

「セレビィ、お願いできる」

 

『ビビビィ!』

 

先生は、目下の問題である『特異点』の消滅を言い、それにアヤネとノノミは同意し、シロコとセリカも頷き、ホシノがセレビィに頼むと、セレビィは「任せて!」と言いたげに胸を叩いて、『特異点』の前にまで飛ぶと。

 

『セレーーーービィ・・・・』

 

セレビィの前身が光りだし、両手の先から光の粒子を放出し、『特異点』を包み込むと、渦が段々と小さくなって行き、最終的に消えてなくなってしまった。

 

『ビィ・・・・』

 

そこで力を使い果たしたのか、セレビィはゆっくりと下に降りるのを、ホシノが抱きとめた。

 

「お疲れ様セレビィ・・・・」

 

“(ーーーーアロナ。『特異点』は?)”

 

《完全に消滅しました! これでもう大丈夫な筈です!》

 

“『特異点』は、コレで綺麗さっぱり無くなったよ”

 

『ビィ・・・・』

 

先生がそう言うと、疲れたように溜め息を吐いたセレビィが『時空間』を開いてから、ホシノや皆に向けてさよならと手を振った。

 

「セレビィ。またね」

 

『ビビィ♪』

 

ホシノがそう言うと、セレビィは満面の笑みを浮かべて、『時空間』に去って行った。

 

「・・・・良かったの先輩?」

 

「仕方ないよ。セレビィがパラドックスポケモン達を連れてきていたって知られたら、また面倒な事が起きるだろうし。暫くは『時空間』で休養して貰ってから、改めてパラドックスポケモン達を元の時代に戻すつもりだから、それまではって事だね」

 

色々とお互いに思い出がある相手との再会に、ホシノは少し黄昏たような笑みを浮かべていた。

 

“ーーーーそれじゃ皆、帰ろう!”

 

『はい!』

 

異種異音の声で、アビドス対策委員会は先生の言葉に頷き、ピカチュウとヤドキングとピジョットを除いたポケモン達をボールに戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー皆さーん! ご無事でしたかぁ〜!?」

 

そして基地から出ると、ファウスト‹ヒフミ›とユウカとヒナが、目を回して気絶しているパラドックスポケモン達が入った檻を背に手を振っていた。

 

「やぁやぁファウストちゃん、来てくれたんだねぇありがとう。〈ミレニアム〉の子に、ゲヘナの風紀委員長ちゃんもありがとうね」

 

基地から出るまでに色々と聞いていたホシノが、元気をアピールするかのように手を振って声を上げていた。

しかし、周りを訝しそうに見た先生が口を開いた。

 

“ヒナ。ユウカ。ファウストさん。便利屋の皆とカイザー理事は?”

 

「それが・・・・カイザー理事は私達が来た時にはいなくなっていました」

 

「えぇっ!? アイツ逃げたの!?」

 

「・・・・多分、逃げ出した基地の兵士か職員が救出したのかも」

 

「既にうちの風紀委員会やヴァルキューレに連絡をして、もう〈アビドス〉との境界線あたりに部隊を展開しているから、すぐに捕まると思うわ」

 

「便利屋の皆さんは、パラドックスポケモン達を倒して檻に入れ終わった時には、いつの間にかいなくなってました。ーーーー先生にコレを」

 

ユウカが渋面を作って報告し、セリカが声を上げ、シロコも目を細めて言うと、ヒナが部隊を展開していると話し、ファウスト‹ヒフミ›が先生に便利屋に渡していた『テラスタルオーブ』を四つ手渡した。

 

“皆の手持ちは・・・・?”

 

「パラドックスポケモン達がかなり手強くて、苦戦しました。サーナイト達もキズぐすりで回復させて、今はボールの中で休憩させています」

 

「私のガルーラもです。多分、便利屋さん達も」

 

「それで先生。そのポケモンもパラドックスポケモン?」

 

“あぁ、この子は私のミライドンの兄弟分で、コライドン。モトトカゲの古代の姿だよ”

 

『アギャァス!』

 

ヒナがコライドンを見て聞くと、先生が説明し、コライドンが挨拶した。

 

『っ! ヤミ! ヤミヤミヤー!!』

 

「えっーーーーあっ! 先生、イダイナキバが逃げようとしてる!」

 

すると、セリカの背中にしがみついていたヤミラミが騒ぎ、セリカが目を向けると、巨大イダイナキバがヨロヨロとブチ破った外壁から外に出て、何処かに逃げ去ろうとしているのが見えた。

 

「先生、もしかして・・・・」

 

“うん。『秘伝スパイス』のある所に、逃げようとしているのかも知れないね。追いかけよう”

 

ユウカと先生の会話に首を傾げる一同を連れて、先生達は巨大イダイナキバを追跡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーカイザーsideー

 

「・・・・許さん・・・・! このまま全員生かして帰すつもりは毛頭ないぞぉ・・・・!!」

 

そしてその頃、カイザーPMC理事は、先生達がいるカイザー基地から少し離れた丘の上から、まだ基地にいる先生達を呪い殺さんばかりに睨みつけていた。

 

「基地の自爆装置はどうした!?」

 

「ふ、不明です。コチラからのアクセスも受け付けず、基地内部からの操作も受け付けません。恐らく、もう解除されているものと(ゴシャッ)がはぁっ!?」

 

報告をした職員を殴り飛ばし、カイザーPMC理事は、他の兵士に目を向けた。

 

「ゴリアテの残機は!?」

 

「は、はい! 三機は残っており、主砲発射の準備は整っております!」

 

戦々恐々の兵士の近くでは、残った兵士が乗り込んだ三機のゴリアテが基地に、正確に言えば先生と対策委員会に向けて主砲の照準を合わせている。エネルギーのチャージを終え、すぐにでも発射は可能だ。

 

「良し! ならば三機の主砲を奴等に合わせて同時に放て! これだけのエネルギー砲ならば、対策委員会も! ゲヘナの風紀委員長も! ミレニアムもトリニティも! 『シャーレ』のあの男も抹殺できる!!」

 

小鳥遊ホシノは救出され、自分の兵力もパラドックスポケモンも全滅。基地のデータも奪われたと考えて良いだろう。

最早〈カイザーコーポレーション〉本社に戻ったとしても、今回の責任を全て押し付けられ、自分に待っているのは破滅だけ、こんな事をしても何も変わらない。

だが、あの小鳥遊ホシノと対策委員会の小娘達の笑顔を、あの吐き気を催す程に楽しそうな笑顔を、この世から完全に抹消しなければ、自分の気が収まらない。

最大出力のゴリアテの主砲を三つ同時に放たれれば、如何にヘイローの加護で守られている小娘達でも耐えられまい。生身の先生であれば、蒸発してこの世から消え失せる筈だ。

 

「ーーーー撃てぇぇえええええええええええっっ!!」

 

と、カイザーPMC理事が、腸の底から怨嗟の雄叫びを上げたその瞬間ーーーー。

 

ーーーードガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッッ!!!!

 

「っ!? ぐぁああああああああああああああああああああああああっっ!!??」

 

突如、三機のゴリアテが盛大に爆散し、その爆風でカイザーPMC理事が地面をゴロゴロと転がり、止まると丘の上から落ちそうになるのを必死に堪えていた。

 

「な、なんだぁ!? 何が起こったぁっ!?」

 

カイザーPMC理事がゴリアテの方に目を向けると、破壊された三機のゴリアテを包む炎の向こう側に、自分を睨みつけるーーーー『三匹の化け物達』がいた。

 

「っ! き、貴様らぁ!?ーーーーん?」

 

怒りと恐怖がゴチャゴチャに混ざり合った視線を向けるカイザーPMC理事だが、上空から凄まじい光が降りて来ているのに目を向けると、膨大な熱量の炎が迫ってきていた。

 

「あ・・・・」

 

そして、カイザーPMC理事は、力無くその場にへたり込み、漸く悟った。

 

ーーーー自分はもう、何をやっても無駄なのだと・・・・。

 

迫りくる炎の向こうにいるーーーー『巨大な鳥の化け物』を見上げて、カイザーPMC理事は、その黄昏時に光る『虹』の美しさに見惚れながら、炎に呑み込まれた・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

遠くで大きな爆発音のようなものが聞こえた気がしたが、先生は巨大イダイナキバを追跡しつつ以前に対策委員会の皆に話したミライドンとの出会いの時の事をヒナとファウスト‹ヒフミ›にも説明をした。

そしてファウスト‹ヒフミ›がユウカに話しかける。

 

「ーーーーつまり、そのガケガニが巨大化したのも、その『秘伝スパイス』の効果なんですか?」

 

「ええ。うちの『エンジニア部』が『秘伝スパイス』の一つ、『ひでん:あまスパイス』を解析してみた結果、スパイスに含まれる特殊な栄養素を大量に摂取する事で、ポケモンの肉体を一時的に巨大化させるみたいなんです」

 

“『一時的』って言うのは?”

 

「実はあの後、『エンジニア部』の皆が実物の巨大ガケガニを見たいって言って、私と『特殊部隊』が付いていって『岩壁エリア』のスパイスがあった場所に行くと、また巨大ガケガニが現れたんです」

 

“大丈夫だった?”

 

「『特殊部隊』が戦って、余裕で勝利したんですけど、その後にーーーー“巨大ガケガニが小さくなったんです”」

 

“小さくなった?”

 

「はい。小さくなったと言っても、普通のガケガニより一回り大きな体格になっていましたけどね。ソコから『エンジニア部』の皆がガケガニを捕らえて、色々と検査してみて、『秘伝スパイス』の影響であると分かったんです。そして、定期的に『秘伝スパイス』を摂取しないと、あの巨体は維持できないって事も分かりました」

 

“成る程ね・・・・”

 

と、話している内に、巨大イダイナキバがその巨体でも入れそうな穴が開いた洞窟に入って行こうとしたーーーーが。

 

『ドン、ファァァァド!!』

 

巨大イダイナキバがコチラに気づいていたのか、振り向くと同時に、【ギガインパクト】で突進してくる。

 

「うわぁっ!? 気付かれてたぁ!?」

 

「ーーーーキンちゃん! ピジョット!」

 

「ーーーーアブソル!」

 

『ヤドキン!』

 

『ピジョット!』

 

『(ポンッ)ソルッ!』

 

セリカが驚くと同時に、ホシノがヤドキングとピジョットを前に出し、ヒナもアブソルを出した。

 

「【リフレクター】!」

 

『ヤドーーーーキン!!』

 

ヤドキングが念動力で巨大な壁を生み出すと、巨大イダイナキバはその壁に、真正面からぶつかった。

 

『ルドブッ!?』

 

巨大イダイナキバは止まると同時に、ピジョットとアブソルが同時に動く。

 

「【エアスラッシュ】!」

 

「【つじぎり】!」

 

二人が静かに言うと、二匹は一瞬で、二つの閃光が巨大イダイナキバをシュバッ、と交差するように切り裂くと。

 

『ルドン・・・・ファン・・・・!』

 

巨大イダイナキバはゆっくりと倒れた。

そして何と、その巨体がみるみると小さくなっていき、アイファンと変わらない体格になって気絶してしまった。

 

「うっそ〜・・・・」

 

「ホシノ先輩・・・・」

 

「いや〜・・・・先生達が与えていたダメージが残っていたからだね〜、おじさんも可愛い後輩達が頑張ってくれていたから、年甲斐もなく張り切っちゃったよ〜。風紀委員長ちゃんもありがとね〜」

 

「それで惚けているつもり?」

 

「さて、なんの事やら?」

 

『ヤドヤド〜』

 

『ピジョット』

 

ホシノとヤドキングは呑気に惚けるが、ピジョットはクールに「フンッ」と静かにそっぽを向いた。

 

『ヤミ! ヤミヤミ!』

 

「えっ!? ちょっと、ヤミラミ!」

 

すると、セリカの背中から降りたヤミラミが、セリカの手を引っ張って洞窟の奥へと連れて行った。

 

「先生、この中にまさか・・・・」

 

“うん。行ってみよう!”

 

そして一同は、気絶したイダイナキバを放っておいて、洞窟の中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

洞窟の奥へ奥へと歩いていくと、何やらレモンかお酢のような酸っぱい臭いが漂ってきている。

 

「・・・・何これ? まるでレモンのような臭いがするんだけど・・・・?」

 

「これは、ツンとしますけど、爽やかさもある臭いですね」

 

「前に私達が見つけた『ひでん:あまスパイス』は、ケーキ屋さんにいるような甘い臭いが洞窟の中に充満していましたけど・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

セリカとファウスト‹ヒフミ›、ユウカは勿論、皆が鼻をつまみ、ヒナですら少し顔を顰めながら奥へと向かうとソコにはーーーー黄色に光る『秘伝スパイス』の群生を見つけた。

 

「ん。先生、これが『秘伝スパイス』?」

 

“えっとーーーーうん。これは『ひでん:すぱスパイス』。『滋養強壮』の他に、栄養がたっぷり詰まっているようだね!”

 

『シッテムの箱』で検索する。

 

『ヤミヤミー♪』

 

ヤミラミは嬉しそうに『すぱスパイス』の群生の周りを走っていた。

 

「何? アンタこの酸っぱい臭いが好きなの?」

 

『ピカチュウ?』

 

『ヤミラミ!』

 

ピカチュウがヤミラミに聞くと、元々この洞窟は色違いヤミラミの住処だったのだが、突然現れたイダイナキバに占領され、さらに宝石みたいに光るスパイスも食べられて、何とかして追い出そうとしていたようだ。

 

「あっ、先生。『エンジニア部』の皆も研究したいと言っていたので、幾つか貰って良いでしょうか?」

 

「(『給食部』の『フウカ』にも渡しておこうかしら)先生、私の方も」

 

「(大将ならこれで美味しいラーメンとか作れるかも)あっ、私も」

 

“ヤミラミ、良いかい?”

 

『ヤミヤミ! ヤミー!』

 

先生が一応ヤミラミからOKを貰うと、『すぱスパイス』を収穫した。

そして外に出ると、もう空は星が見え、暗くなり初めていた。

 

“ありゃもう暗くなってる。ヒナ達はどうする?”

 

「大丈夫です。私もユウカさんも、部隊の人達は既にパラドックスポケモンが収容した檻を持って、〈連邦生徒会〉に引き渡して貰っておきましたから」

 

「後は私のサーナイトの【テレポート】で、お二人を学校にお送りします。捕らえたパラドックスポケモン達も、〈連邦生徒会〉にお願いしておきますね」

 

“そうか。ありがとう、ユウカ。ヒナ。ファウストさん”

 

「ん。ありがとう」

 

「本当に助かりました☆」

 

「その、あ、ありがとうね・・・・」

 

「ありがとうございました! 皆さんに何かあったら、今度は私達がお手伝いします!」

 

「ありがとうねぇ〜。その時はおじさんも協力するから」

 

「いえ、こっちとしても、『秘伝スパイス』が手に入りましたから」

 

「私は以前、アコ達のやった事を詫びに来ただけ」

 

「皆さん、またお会いしましょうね!」

 

そう言って、ユウカがサーナイトを出すと、ヒナとファウスト‹ヒフミ›を連れて、シュンッ、と【テレポート】で消えた。

 

“さて、と。この子はどうしようか?”

 

洞窟を出ると、いつの間にか起きていたイダイナキバが、ホシノの頭を下げていた。

 

「え~と・・・・何かな?」

 

『・・・・・・・・ルドンファン』

 

『ヤドキン』

 

ヤドキングが、イダイナキバが「ホシノの手持ちになりたいって言っている」と、伝えたような気がした。

 

「えぇ〜、おじさんの手持ちになりたいの〜? おじさんこういうゴツい系はちょっと困るなぁ〜」

 

『ルドン』

 

イダイナキバが更に頭を下げた。

 

「良いじゃない? ホシノ先輩? 私も何故かヤミラミに懐かれたし・・・・」

 

「そうですね♧ ホシノ先輩が気に入ったんですよ☆」

 

「ん。強いやつが仲間になるなら良い」

 

「今回の責任として、イダイナキバの面倒を見てあげて下さい」

 

「うへ〜・・・・」

 

後輩達にそう言われ、ホシノは仕方ないと言わんばかりに、スーパーボールを取り出す。

すると、コライドンがシロコの腰に頭を擦り寄せた。

 

『アギャァ』

 

「ん? 何?」

 

『アギャギャ』

 

シロコが首を傾げると、コライドンはシロコに擦り寄った。

 

“ーーーーどうやら、コライドンはシロコの手持ちになりたいみたいだね。どうするシロコ?”

 

先生は、先程手に入れた『コライドン専用のモンスターボール』をシロコに差し出した。

 

「・・・・ん。決まってる」

 

シロコは迷いなくモンスターボールを手に取る。

 

「コライドン。私の手持ちになる?」

 

『アギャァス♪』

 

コライドンは嬉しそうに頷いた。

 

『ブイブイ♪』

 

すると今度は、色違いイーブイが、先生の足元にすり寄ってきた。

 

“・・・・君は私と一緒に行くかい?”

 

『ブイ!』

 

先生がそう聞くと、色違いイーブイは満面の笑みで応えた。

そして、先生とシロコとセリカがモンスターボールを、ホシノがスーパーボールを取り出して、それぞれの手持ちになりたいと願うポケモン達に投げた。

 

ーーーーカチッ・・・・×4

 

ボールが開き、ソコから溢れた光が色違いイーブイを、コライドンを、色違いヤミラミを、イダイナキバを包み込み、ボールの中へと納まるとボールは閉じ、プルプルと震え中心のボタンが点滅すると、やがて震えが収まり点滅が消える。

それは、ポケモンをゲットした完了を意味するのであった。

 

“色違いイーブイ、ゲットだね”

 

「ん。コライドン、ゲット」

 

「色違いヤミラミ、ゲットよ」

 

「うへ〜、イダイナキバ、ゲットだよ〜」

 

それぞれがボールを持った。

 

「お仲間が増えましたね〜」

 

「ではホシノ先輩。ヤドキングの【テレポート】、お願いします」

 

「はいは〜い」

 

と、全員が帰ろうとしたその時、先生は遠くの砂漠を見ると。

 

“ーーーー皆、あれ・・・・”

 

『???ーーーーあっ』

 

先生の指差した先を見て、対策委員会は目を見開いた。

ソコにはーーーーボスバンギラスを筆頭にしたバンギラスの群れと、ボスドラピオンを筆頭にしたドラピオンの群れ。

対策委員会と先生とヒナ、そして便利屋68にカイザー基地への近道と、前線の部隊を引き付ける囮役をしてくれていたポケモン達が、少し土汚れを付けながらコチラを見据えていた。

その目には敵意と言った害意は全く感じず、薄くだが笑っているようにも思えた。

 

「ドラピオン達・・・・」

 

「ホシノ先輩の救出の為の囮役やこの基地への近道も教えてくれたんですよ」

 

「へぇ〜、あのドラピオン達とバンギラス達がねぇ〜」

 

ホシノは取り敢えず、その二つの群れに対して、大きく手を振り、先生もシロコ達も、感謝するように手を振った。

すると、ボスドラピオンはシロコを見据えると、シロコも「決着はいずれ」と言わんばかりに笑みを浮かべ、ボスバンギラスも笑みを浮かべて、そのまま群れを率いその場を立ち去った。

 

「・・・・ホシノ先輩の救出。他の学校の人達だけじゃなく。ポケモン達の協力があったからこそできたんでしょうね」

 

“そうだね・・・・”

 

アヤネの言葉に、先生は笑みを浮かべてそう答えた。

そして、全員を見回して言う。

 

“さぁ、皆帰ろう。アビドス高校へ! 皆の学校へ!!”

 

『はい!』

 

先生の言葉に、全員が笑顔で答え、ヤドキングの周りに集まり、【テレポート】でアビドス高校の正門に到着し、やっと帰ってこれた安心感で、大きく息を吐き出す一同。

 

「ーーーーただいま・・・・」

 

そして、小さく呟いたホシノの言葉を、先生だけが聞こえて小さく笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡りーーーーミライドンがカイザーの基地に囚われていた頃。

 

 

ー???sideー

 

【・・・・・・・・・・・・・・・・】

 

その少女は、基地の物影に隠れながら、ミライドンとコライドンを見ていた。

二匹とも、度重なるカイザーの実験で心身共に疲弊し、戦闘形態になる事もできなくなってしまった。

カイザーはソレでも彼等を酷使し、このままでは保たないかも知れない。

 

【・・・・・・・・・・・・!!】

 

ーーーーカチッ・・・・ドガァッ!!

 

少女がスイッチを押すと、ミライドンとコライドンがいる区画の壁が爆破されて破壊され、外の景色が見えたミライドンは、コライドンと共に逃げようとした。

しかし、コライドンは疲労で動けなくなり、ミライドンだけでも逃げろと言っているように見えた。ミライドンは「嫌だ!」と言わんばかりに首を横に振っていると、カイザー兵士達がやってくる。

 

【!!】

 

その少女は外套に身を包んで、ミライドンとコライドンを守るように立ち、カイザー兵士達を撃ち破っていく。

そして、カイザー兵士の一人が投げた手榴弾を撃ち抜くと爆発し、その爆風で、一瞬だがミライドンとコライドンに顔を見られてしまった。

が、その少女は静かに口を開いた。

 

【ーーーーミライドン。ここからあっちの方角に逃げて。真っすぐ飛んで行って。そしたら必ず、あなたの兄弟を助けてくれる人がいる筈だから】

 

そう言って、外套の少女はカイザー兵士達に向かって行った。

コライドンはミライドンに「行くんだ!」と言わんばかりに叫ぶと、ミライドンは目に涙を浮かべたような顔になりながら、滑空で飛んで行った。

そして、そのどさくさに紛れて、イダイナキバとテツノワダチも逃げ出し、カイザー兵士達はその対応でミライドンにまで手が回らなかった。

カイザー兵士達を全滅させ、それを確認した少女は、静かにその場を去った。

『黒服』に『六体のパラドックスポケモン』を引き渡し、代わりに渡された二体のポケモンを基地に連れてきたカイザーPMC理事が、その事を知って、慌ててアーマーガア達を向かわせた。

 

【・・・・・・・・・・・・先生。お願い】

 

少女は外套を脱ぐと、長い髪を靡かせながら、ミライドンに指し示した方角にいるーーーーー『最愛の人』に向けて言葉を発し、一陣の風と共にその場から姿を消した。




さて、イーブイ(色違い)は先生に。
ヤミラミ(色違い)はセリカに。
イダイナキバはホシノに。
そしてコライドンはシロコに行きました!
次回で漸く対策委員会編は終わります。そして、のちの伏線を書いておきます!
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