ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さぁ、これでアビドス対策委員会編は終わります。


エピローグ これからも共に。そしてーーーー

〈キヴォトス〉で大規模テロを引き起こそうとした〈カイザーコーポレーション〉。

しかし、世間はその事は知らされていない。知られれば不安にかられる者。同じような事をしようとする者、まだまだ未解明なパラドックスポケモン達を手に入れようとする者など後を絶たないからだ。

世間では、『カイザーローンによるブラックマーケットでの違法な金融取引の数々が行われていた』と言う体で報じられ、〈連邦生徒会〉による捜査に入る事になった。他校の目がある以上、捜査はマトモに行われていて欲しい所である。

 

そしてあの〈カイザーPMC〉との戦い以来、晴れて『アビドス対策委員会』は『シャーレ』の先生の公的な認証によって、正式な委員会として〈連邦生徒会〉に承認された。非公認だった故にこれまで酷い目にあった事もあったが、正式な委員会となれば生徒会としての役割を担え、学校の存続とアビドス学区の管理も円滑にできるようになる。

アヤネはホシノに生徒会長になってもらおうとしたが、断固として拒否され、生徒会長は未だ不在のままである。

そして、生徒達の日常も元通りになったり、新たな仲間と共に充実していた。

 

先ずはセリカ。屋台として再開し、客も多く来るようになった柴関ラーメンに、アルバイトとして復帰して働いている。すっかり看板娘として板に付いており、ウォーグルも出前の仕事をバリバリとこなし、ヤミラミは主に皿洗いや材料の下準備や掃除などの仕事を頑張っていた。大将も引退はまだまだ先だと笑いながらウソッキーと共に屋台を経営している。

 

シロコは先生から特別にライドポケモンの資格を貰ったコライドンに乗って、アビドス砂漠を走り回っている。元々運動が好きなシロコは、ロードバイクでライディングをするのが日課であるからか、コライドンにルガルガンと共に乗って、ロードバイクとは違った乗り心地を楽しんでいるようである。

因みにコライドンはアヤネが気に入ったのか、ミライドンにペロペロされるセリカのように、コライドンはアヤネをペロペロしていた。

 

『アギャォ♪』

 

「何で私なんですかぁ〜!」

 

「アヤネちゃん、その気持ち分かるわ。・・・・はっ!」

 

『アギャァ♪』

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そのアヤネはノノミと共に、カイザーPMCとの戦闘で破壊された新型の戦車やヘリ等をドサイドンやフライゴンやアイファン、さらにリザードンにカメックスにフシギバナに協力してもらいながら、撤去したり、使える部品とかを取り出して売りに出している。

 

ホシノは相も変わらずヤドキングとのんびりすごし、すっかり外に出すようになったピジョットが二人を連れてくるのがお約束となった。因みに、イダイナキバの事は『キバのすけ』と言うニックネームにしたようだ。時折アイファンと会ってはメンチ切り合うような関係になっている。

そして先生はーーーー。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

「・・・・・・・・」

 

「先生! おはようございます!! 実は凄い事がーーーーうっ!?」

 

先生が真剣な顔でアビドス高校の家庭科室でサンドイッチを作り終えると、アヤネが凄い勢いで入ってくると顔を顰め、後ろにいた他の皆も顔を顰めた。

 

「ん。何この臭い?」

 

「ちょっと! 先生、家庭科室にレモンでもぶち捲けたの!?」

 

「ん〜、この臭い、何処かで嗅いだ事がありますね」

 

「これは『すぱスパイス』の臭いだね〜」

 

そう。『ひでん:すぱスパイス』でサンドイッチを作っていたのだ。

 

“あっ皆、丁度出来たんだ! 『すぱスパイス』を使った特製サンドイッチ!”

 

先生が取り出したのは、酸っぱさと爽やかさが混じった臭いがするサンドイッチであった。

 

「おぉ〜、結構美味しそうだねぇ〜」

 

“それとーーーーデザートも作ったんだ!”

 

先生が冷蔵庫から取り出したのは、『ピカチュウのシュークリーム』に『通常カラーのイーブイのチョコケーキ』、『ヤドンのマカロン』に『ルガルガン(まひるのすがた)のエクレア』や『ルカリオのジンジャークッキー』だった。

 

「うわっ!? どうしたのこれ!?」

 

「全部先生が作ったんですか?」

 

“うん。昨日の夜から泊まり込みで作ったよ”

 

セリカとノノミが、嫌、対策委員会が先生の意外な特技に驚いていた。

 

「でも、どうしてこんなに? 何かのお祝い??」

 

“それはーーーーアヤネ”

 

「あっ! そうでした! 皆さん聞いてください!」

 

シロコの質問に、先生がアヤネを一瞥すると、アヤネは思い出したかのように、タブレットを操作して、何度も画面に表示されたものに目を走らせてから、意気揚々と顔を上げて、タブレットの画面を見せて声を張り上げる。

 

「皆さん! アビドスの借金が・・・・三分の一の、『三億円』になっているんです!! しかも、利息も無効になりました!!」

 

『・・・・・・・・』

一瞬、アヤネの言葉が分からなくなったのか、思考がすっ飛んだのか、対策委員会はポカンとした顔となり、フルフルと首を横に振って、改めてアヤネのタブレットの画面を見据えると、『借金が三億円』となっただけでなく、『利息を無効』と言う文まであったのだ。

つまり、借金が三分の一にまで減り、利息が無効と言う事は、これ以上借金の額が増える事がないと言う意味であった。

 

『ーーーーええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇ・・・・!!??』

 

ホシノとノノミ、セリカが驚き、シロコですら目を見開いていた。

すると、先生に向かって、ホシノが口を開く。

 

「先生・・・・何かやった?」

 

“ん〜? 私は別に特別な事はしていないよ。今回のホシノの誘拐もそうだけど、ゲヘナの風紀委員会が取り調べたカタカタヘルメット団の証言から、カイザーがこれまでのアビドスへの攻撃を裏で糸を引いていた事、パラドックスポケモンを使っての大規模テロ、更にーーーー”

 

先生が、色違いイーブイを出した。

 

『ブイ!』

 

「イーブイ?」

 

「このイーブイが何か?」

 

首を傾げる一同に先生は、イーブイを助けた時に一緒に回収した、『八本のペンライト』の内、『赤いペンライト』の光を当てた。

その瞬間ーーーーイーブイの身体が全体的に大きくなり、毛量も増し、本来は赤くなる身体が黄色みが強くなった姿『ほのおポケモン・ブースター(色違い)』となった。

 

『ブー!』

 

「えぇっ!? ブースターに進化した!?」

 

「ブースターって、イーブイが『ほのおのいし』を使って進化すんですよね?」

 

本来ならば、『進化の石』や『特定の条件』を満たさなければ進化できないイーブイがブースターに進化したのに、アヤネとノノミが驚き、先生が説明した。

 

“そう。調べてみると、カイザーはこのイーブイのように、この『進化の石』と同じエネルギー波を出すペンライトを使って、『イーブイの進化先を自由に変化させられる実験』を行っていたんだ”

 

「どういう事?」

 

“このペンライトのそれぞれ色ーーーー赤。青。黄色。緑。水色。ピンク。白。紫。何を表しているか分かるかい?”

 

「八つの色のペンライトに、イーブイ・・・・もしかして!」

 

アヤネが察したように声を上げると、先生は頷いた。

 

“カイザーはこの光を当てる事によって、『三十分だけ進化できる』ように、このイーブイを改造したんだ”

 

『!!??』

 

ーーーーポケモンの身体を改造した。

あまりにも非道な行いをするカイザーに、対策委員会は絶句した。

 

“さらに調査をしてみると、このイーブイはこのペンライトの『特殊な光』を受ける事で、各々の色にあった形態に三十分だけ進化する。そして、三十分後には元のイーブイに戻り、また別のペンライトの光でその光の色の形態に進化できるように、細胞の改造していたようだ。幸いなのか、その実験体兼成功例が、私のイーブイだけだったようだけどね・・・・”

 

「成る程。赤がブースター。青がシャワーズ。黄色がサンダース。緑がリーフィア。水色がグレイシア。ピンクがニンフィア。白と紫はエーフィとブラッキーなんですね」

 

「ですが、そんなイーブイを大量に作って、カイザーは何を考えていたんでしょう?」

 

「・・・・多分、パラドックスポケモン達を使った大規模テロに使うつもりだった」

 

「えっ!? マジで?」

 

「イーブイは遺伝子が不安定で、色々なタイプに進化できるけど、一度進化しちゃうとそれっきりになっちゃうからねぇ。この子のように時間制限付きの進化にしちゃえば、別々のタイプを使い分けて、一匹で八、イヤ、ノーマルタイプのイーブイを含めれば、合計九タイプの役割をこなせるよ。こんなイーブイが大量に作られ、さらにパラドックスポケモン達まで使われたら、『R』で混乱状態にされた〈キヴォトス〉も保たないかもねぇ」

 

「テロの為にポケモンを改造するなんて・・・・!」

 

対策委員会の面々が、カイザーコーポレーションに怒りを覚える。

 

『ブー!』

 

が、ブースターは気にするなと言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

“まぁ、当のブースターもといイーブイは、あまり気にしていないようだけどね。・・・・話を戻して、カイザーはポケモンの違法な人体実験も含めてね。これ程のものを出されたら、もうカイザーは破滅するでしょう? それで、この事を不問にする代わりに、ホシノとアビドスへの慰謝料と迷惑料、損害賠償と言う事で、借金を減らして、さらに利息も抜きにして貰ったんだよね。〈ミレニアム〉のユウカなんて、『こんなメチャクチャな利息金額なんかあるか!』って、怒髪天を衝いていたよ”

 

「慰謝料と迷惑料と損害賠償にしても、かなり搾り取ったようですね・・・・?」

 

「でもやった! これで借金は三分の一な上に、利息も無し!」

 

「はい! 大きく前進できました☆」

 

“できれば、全額返済としておきたかったけど、これまでが限界だったみたいでね。『これ以上やるとカイザーコーポレーションが完全に倒産してしまい、系列企業にも悪影響を与えてしまう』って、リンちゃーーーー首席行政官にストップされたんだ”

 

「まぁ仕方ないよ先生。ほぼ詐欺同然とは言え、借金はアビドスが作ったものだからね」

 

「ん。それで、カイザー理事は?」

 

「あっ、それなら私が・・・・」

 

アヤネが説明を始めた。

 

「カイザー理事はあの後、大規模テロと生徒誘拐事件の主な容疑者として指名手配されているようです。とは言え、〈連邦生徒会〉も『R』事件の詳細と、保護したパラドックスポケモン達の処遇やらで、手が回らない状態ですから、カイザー理事の方は捕まらないかも知れませんが・・・・他校の方達も行方を追っているので、もう何もできないと思います。カイザーコーポレーションは、『全て理事の独断だ』と、自分達とは関係ないと主張する為に、即座に解雇処理を行ったとか、大人って怖いですね」

 

「ふん! あの理事、人望なんて無さそうだったもんね!」

 

アヤネがヤドンの尻尾切りのように理事が簡単に切り捨てられた事に身震いするが、セリカは当然と言わんばかりに吐き捨てた。

 

「ただ、アビドス自治区の大半は相変わらず、カイザーコーポレーションが所有したままです。取引自体は違法で無かったようなので・・・・」

 

「でも、暫くは何もしてこないと思う」

 

「そうだねぇ〜。砂漠の方はドラピオン達とバンギラス達が同盟を組んだのか、協力して守っているから、カイザーも他校の監視の目があるから大きな動きはできないだろうね〜」

 

土地は奪われたままだが、ドラピオン達もバンギラス達も、もう二度とカイザーの好きにさせないように守っているようだ。カイザーが所有者である以上、その土地にはアビドス対策委員会も〈連邦生徒会〉も簡単には介入できないが、野生のポケモン達ならば自由に行動できる。

カイザーも排除したくても、先日の総力戦で兵力の八割以上を失い、傾いてしまった本社を立て直さなければならないので、アビドス砂漠に何かをする余裕がないだろう。

 

「そういえば、便利屋の方々はまた何処かに事務所を設けたようです。ゲヘナの自治区か他の場所なのかは、噂が錯綜していて詳しくは分かりませんが・・・・」

 

「アイツら、ちゃんとお礼させてから立ち去りなさいよ」

 

「でも、柴関ラーメンの事を気に入ってくれましたから、また食べに来てくれますよ☆」

 

「んじゃその時には、おじさんが奢っちゃおうかなぁ〜」

 

 

 

 

ーアルsideー

 

「ヘックシュン!」

 

「社長、風邪?」

 

「んん、埃が鼻についただけよ・・・・」

 

便利屋68は、〈キヴォトス〉の某所に新しい事務所(廃ビル)の一室の掃除をしていた。

 

「ふふ~ん、キャンピングカー生活も悪くないけど、新しい事務所も手に入ったわ! ここからアウトローでハードボイルドな便利屋を目指すわよ!!」

 

「は、はいアル様!」

 

「私はキャンピングカー生活楽しかったけどねー」

 

「まぁ、先生からアビドスの事のお礼として、各自治区で使える『駐車許可証』を貰っているけど、一々移動する手間が無くなったのは助かるね」

 

「じゃぁ取り敢えず、依頼を手に入れるわよ!」

 

『ーーーー!!』

 

アルの宣言に、マフィティフ達が応じる。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

「ゲヘナの風紀委員会に睨まれているとの事だったので、色々と大変そうなのは確かですね」

 

そして、アヤネがさらに話を続ける。

 

「それからあの、先生やホシノ先輩の証言から聞いた『黒服』と言う人物についてですが・・・・」

 

『黒服』の名が出た瞬間、先生とホシノがピクリと肩を揺らした。

がーーーー。

 

「お二人から聞いた情報を元に調べてみたのですが・・・・特にこれと言った情報は何もでてきませんでした。全ての罪がカイザー理事に被せられたようでして・・・・『黒服』の名前も、正体も分からず・・・・」

 

「それでは、黒幕の行方は分からずじまいと言う訳ですか・・・・」

 

「カイザーも、その『黒服』って奴に良いように利用されていたって訳?」

 

「ホシノ先輩。その『黒服』って奴の事は?」

 

「うんや、私も全然分からない。でも、これ以上は私達じゃぁ流石に無理だろうねぇ」

 

「はい。先生、後は『シャーレ』の方に・・・・」

 

“うん。任せておいて”

 

『Rの原料』の事もあり、『黒服』、〈ゲマトリア〉の事は追うつもりでいた先生は首肯した。

そして、ノノミは話を切りかえようと、パンッと手を叩いた。

 

「では! 今日は風も弱いので、屋上に行ってパーティーをしましょう☆」

 

「おっ良いねぇノノミちゃ〜ん。折角先生が作ってくれたサンドイッチにデザートの数々、借金返済の減額と利息の消滅も祝って、パーティーにしよう〜」

 

『おー!!』

 

ホシノの言葉に全員が手を上げ、料理を持って屋上に到着して、ジュースの入った紙コップを片手に持ち、ポケモン達も出してもう準備万全。そしてーーーー。

 

『カンパ~イ!!』

 

『ーーーー!!』

 

乾杯してジュースで喉を潤してから、『すぱスパイスサンドイッチ』を頬張った。最初に来るのは爽やかな酸味が入ってくる。まるで柑橘系のような爽快感があり、それが食欲を増進させて、モリモリと咀嚼し、胃の中で収まっていくと、ここ数日の心身の疲労が全て溶けていくような感覚があった。

 

「ウ~ン、美味しいねぇ〜」

 

「ん。身体が軽くなったような感覚がする」

 

「先生って料理上手だったんですね☆」

 

「大将がこのスパイスで美味しいラーメン作る研究してるけど、これなら人気になるかも♪」

 

「はい! 皆も美味しそうに・・・・えっ!?」

 

『『アギャアス!!』』

 

突如、ミライドンとコライドンの身体が光り出した。

 

「えっ? 何々!?」

 

“ミライドン?”

 

「コライドン?」

 

『『アギャ』』

 

ミライドンとコライドンはお互いに頷き合うと、ダッと駆け出し、屋上から飛び出した。

 

『えぇぇ〜!?』

 

全員がフェンスに乗り出す。十階建てのビルの屋上から飛び下りても余裕で着地できるミライドンとコライドンならば、学校の屋上など大した高さではない。

が、なんと、ミライドンは頭から飛行機のような翼を、コライドンは『ツバサノオウ』と言う名に相応しい大きな翼を頭から生やし、まるでハンググライダーのように空中を滑空していった。

 

「空を飛んでますね」

 

「アイツら、あんな能力持ってたのシロコ先輩?」

 

「・・・・ん~ん。少なくとも昨日までなかった」

 

“・・・・もしかしたら”

 

ウォーグルとピジョットが向かって、【ふきとばし】でミライドンとコライドンを誘導させ、屋上に戻した。すると先生は、残った材料から即席でサンドイッチを作り、それに『あまスパイス』をふりかけた。

 

“・・・・コライドン、これも食べて”

 

『アギャォ♪』

 

コライドンは、先生が差し出したサンドイッチを美味しそうに食べると、また光り出し、次はシロコを背中に乗せて屋上から校庭に飛び下りて着地すると、校庭を凄まじいスピードで駆け回った。

 

「うそ!? 今度はメチャクチャ速くなった!?」

 

走り終えると、ピジョットがシロコを、コライドンをリザードンとフライゴンが持ち上げて屋上に戻ってきた。

 

「先生、これって?」

 

“これが『あまスパイス』だよ。一応持っていたんだ。因みに、セリカが誘拐され、傷だらけのワシボンを回復させたのもこのスパイス。多分まだ消化しきれていないスパイスの成分が、ウォーグルに進化するエネルギーと何らかの反応を起こして、ウォーグルを一回り大きな体躯にしたんだと思う”

 

「成る程。それで、コライドンとミライドンは?」

 

“カイザーの研究資料によると、ミライドンとコライドンには、『コンプリートモード』と『完全形態』と言う『戦闘フォルム』があるんだ。だけど、度重なる実験で二体は疲労とダメージでボロボロになり、そのフォルムになる事ができなくなったんだ”

 

「もしかして、『秘伝スパイス』でコライドン達の身体も回復しているのでしょうか?」

 

ノノミに『あまスパイス』の事とウォーグルの体格の事を先生が説明し、アヤネが納得してミライドン達の事を聞くと、カイザーの研究データから先生はそう推察し、アヤネがそう言った。

 

「ん。先生。と言う事は、他の『秘伝スパイス』を食べればコライドンもミライドンも本来の力を取り戻せるの?」

 

“タブンネ、嫌、恐らくね。『秘伝スパイス』はあと三つ。これらを食べれば、そうなるだろうね”

 

「まぁミライドンとコライドンの事は良しとして、パーティーを続けよう〜」

 

そうホシノが言うと、一同はデザートを頬張りながら、パーティーを楽しんだ。

ミライドンとコライドンがセリカとアヤネに襲い掛かり、二人が逃げ出し、ウォーグルとヤミラミ、フライゴンとアイファンが止めたり。

カメックスとドサイドンが力競べをしたり、ルガルガンがルカリオと組手をしたり、シロコがキバのすけに騎乗したり、ノノミがイーブイをニンフィア(色違い)にして可愛がったり、リザードンとピジョットは空を飛んで遊んだり、ツルでお菓子を持って頬張っていたフシギバナに寄りかかりながら、ホシノとヤドキングもお菓子を食べていたりした。

そして先生は、ピカチュウと共にそんな光景を愛おしそうに見つめながら笑みを浮べる。

そして時刻は昼を過ぎていた・・・・。

 

“さて、と。そろそろお開きかな?”

 

「うへぇ〜、もうこんな時間かぁ。時間が経つのは早いねぇ〜」

 

「ではお開きにしましょうか」

 

「・・・・・・・・」

 

「どうしたのシロコ先輩?」

 

黙って座ったままのシロコにセリカが聞くと、シロコはポツリと呟く。

 

「終わってほしくない・・・・」

 

「え?」

 

「ーーーー終わったら、先生が行っちゃうから・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

その言葉に、全員が閉口してしまう。皆分かっていたのだ。コレがお祝いだけでなく、先生達との送別会だと言う事を。

 

「シロコちゃん。気持ちは分かるよ。でもね、先生は『シャーレ』の先生だから、私達の他にも先生の力が必要な子達がいっぱいいるんだよ」

 

「元々、縄張り争いをしていたポケモン達や、ヘルメット団の撃退の為の『補給の支援要請』で呼んだのに。それだけでなく、アビドスに蔓延っていた最大の問題、借金の減額に利息の無効。さらに言えば、ホシノ先輩の救出だって先生がいなければ解決できなかった。ここまでの事をしてくれたんですよ」

 

「私も、シロコちゃんと気持ちは同じですけど、これ以上先生を引き止めるのは・・・・」

 

「わ、私だって! シロコ先輩と同じだよ! ねぇ先生、無理なのは分かっているけどさ。このままアビドスに残らない?」

 

ホシノとアヤネはシロコを諭し、ノノミも諭そうとするが、セリカはシロコに賛成した。本心で言えば、皆気持ちは同じなのだ。

だがしかし・・・・。

 

“・・・・ゴメン。やらなきゃいけない事が、他にも生徒達もいるから、私は行かなくちゃいけないんだ”

 

先生が対策委員会の皆に向けて頭を下げた。

 

「・・・・先生が頭を下げる事なんて一つも無いよ」

 

「はい。コレは私達の我儘です」

 

「先生には、どれだけ感謝してもし足りない位にお世話になりました。だから、ね。シロコちゃん。セリカちゃん」

 

「〜〜〜〜わ、分かってるわよ! 私だって、先生を困らせたくないし・・・・」

 

「・・・・ん」

 

皆気持ちは同じだ。ソレでも、先生を困らせたくないから、シロコとセリカも気持ちを押し込めた。

 

『・・・・リザドン』

 

『ガメガ』

 

『バナフシェ』

 

すると、リザードンとカメックスとフシギバナが先生達を見つめると、先生とピカチュウとルカリオはコクリと頷き、イーブイは首を傾げた。

 

“・・・・皆、私から一つ、お願いがあるんだ”

 

『???』

 

“リザードンとカメックスとフシギバナを、暫くの間、このアビドスに置いてくれないかな?”

 

『!!??』

 

先生の提案に、全員が目を見開いた。

 

“まだまだアビドスには人手もポケモンも全然足りないのもあるけど。調査してみると、まだあの基地周辺には、パラドックスポケモン達が徘徊しているんだ。〈連邦生徒会〉も入りたくても、カイザーが自分達の所有地だから立ち入り禁止にして入れないんだ。今はドラピオン達やバンギラス達も見張ってくれているけど、いつ彼らがアビドスにやって来るか分からない状況だからね”

 

「ん。リザードン達に私達の手伝いをしてもらうの?」

 

“うん、そうだよ。私もリザードン達が気になるし、『秘伝スパイス』が見つかったら、必ずまた来るよ”

 

「先生、本当・・・・?」

 

“うん。本当。離れていても、君達は私の大切な生徒だからね。皆が困っていたら、また助けに来るから。ピカチュウにルカリオにイーブイと一緒に、ミライドンに乗って必ず。約束だよ”

 

「・・・・ん♪」

 

先生がシロコの頭を撫でると、シロコも納得してくれたように頷いた。その光景に、ホシノ達も笑みを浮かべる。

 

「・・・・・・・・先生。一つお願いがある」

 

“うん? 何?”

 

シロコが次の言葉を放とうと口を開くとーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・いや〜、コライドンとミライドン、どっちが速いか、レースで勝負して欲しいなんてねぇ〜」

 

「はい♧ でも私も、コライドンとミライドン、どっちが速いか気になってましたから、ぜひ見たいですね☆ アヤネちゃん、セリカちゃんも楽しみですね♪」

 

「「それよりも! 私達を助けてよ(下さい)!!」」

 

ホシノとノノミがレースを楽しみにしている横で、ミライドンとコライドンに捕まったセリカとアヤネが、ペロペロと舐め回されていた。特にミライドンは、これから暫くの間はセリカに会えない分も含めて、念入りに舐め回していた。

 

「ん。準備完了」

 

“私も良いよ”

 

サイクルウェアに着替えたシロコがコライドンに跨り、その後ろにルガルガンが座った。

次に荷物の入ったリュックを背負い、ピカチュウとイーブイを両肩に乗せた先生がミライドンに跨り、さらにその後ろにルカリオが座った。

 

「それじゃ始めるよ〜」

 

ホシノがそう言い、顔をハンカチで拭いているアヤネとセリカを他所に、ノノミがスターターピストルを上げた。

 

「よ〜い・・・・どん☆」

 

ーーーーパァンっ!!

 

『アギャォ!!』

 

『アギャァ!!』

 

コライドンが大地を踏みしめ駆け出し、ミライドンがホイールを回してかっ飛ばした。

普通のライドポケモンよりも圧倒的に速い二匹のあっという間にアビドス市街地に到着した。

 

「おっ! 先生! またウチの店に来てくれよ!!」

 

『ソッキー!!』

 

柴関ラーメン大将とウソッキーが、先生に向かって手を振った。

 

『ーーーー先生!!』

 

“ん?”

 

「ーーーーありがとう先生!」

 

『ウォー!』

 

『ヤミラー!』

 

「ありがとうございます!」

 

『フラーイ!』

 

「先生ありがとうございます!」

 

『ドーン!』

 

「ありがとうね〜!」

 

『ヤドキン!』

 

『ピジョット!』

 

突然、空からホシノ達の声がして見上げると、ウォーグルに乗ったセリカとヤミラミ。フライゴンに乗ったアヤネとその両手にはフシギバナとアイファンが入ったボールが握られていた。リザードンに乗ったノノミとその両手にはカメックスとドサイドンが入ったボールが握られており、そしてピジョットに乗り、キバのすけが入ったボールを持つホシノとヤドキングがいた。

 

「ーーーー先生、本当に・・・・ありがとう」

 

『ルガル!』

 

『アギャォ!』

 

隣に並んで走るコライドンに乗ったシロコとルガルガン、そしてコライドン自身もお礼を言った。

 

“・・・・うん、また会おうね! 『アビドス対策委員会』!!”

 

『ピカチュウッ!』

 

『ブイブイ!』

 

『カルォ!』

 

『アギャァ!』

 

まだまだ借金は残っているし、カイザーコーポレーションも完全に諦めた訳でもない。

しかし、彼女達の笑顔には、そんな不安を吹き飛ばす輝きがあった。

ーーーーだから、先生は安心して行ける。

次の生徒達が、自分達の『大切な居場所』を守ろうとする生徒達がいるのならば、先生は迷わず、その生徒達の元に駆けつけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーホシノsideー

 

その日の夜。

アビドス高校の屋上にヤドキングの【テレポート】でやって来たホシノの目の前に、“この地に戻ってきていたポケモン達”が現れた。

 

「・・・・おかえり、『スイクン』。『ライコウ』。『エンテイ』」

 

先ず一匹は、体色が水色を基調に所々に白い菱形模様が入り、しなやかな体躯を持った麗しい四足獣で、額からはクリスタルを思わせる六角形に繋がった角が生え、体の左右にも白いヒラヒラした尻から出た二股に分かれた尻尾を持ち、その後ろからは波打つ紫色の美しい鬣を靡かせている『伝説のポケモン』、『オーロラポケモン・スイクン』。

 

もう一匹は、同じく四足獣で体色は黄色で、口から牙が生えており、背中には雨雲の様なマントを伸ばし、尻から伸びた尻尾は稲妻状の形状をした『伝説のポケモン』、『いかずちポケモン・ライコウ』。

 

最後の一匹は、獅子の様な逞しい体格と風格を持ち、全身は茶色の毛に覆わ、背中には噴煙を思わせる鬣を持つ。また、体の各部に金属的な器官を持ち、特に口元のそれは形状と相まって口髭の様にも見える『伝説のポケモン』、『かざんポケモン・エンテイ』

 

「久し振りだね、皆。聞いたよ、ずっと・・・・『あの日』からずっと・・・・アビドスを守ってくれていたんだね?」

 

『『『・・・・・・・・』』』

 

かつて、『先輩』と自分の手持ちだった三体に、ホシノはにこやかに挨拶し、三体も頷いた。

そしてエンテイが、額から炎を放出し、その炎に浮かぶ幻影で、ホシノにこれまでの事を説明していた。

曰くーーーーホシノと『彼女』から離れた後、自分達は『主』の命でアビドス砂漠にいるドラピオンの群れとバンギラスの群れがアビドス自治区に向かわないように防衛をしていた。

ところがある日、カイザーによって『R』がばら撒かれ、ドラピオン達とバンギラス達が暴走し、その鎮圧によって負傷し、一時三匹は撤退し、キズが癒えて戻ってくると、セリカのワシボンが追いかけられていたのを手助けし、その後、再びアビドス砂漠の奥へと進むと、今度はパラドックスポケモンや巨大イダイナキバ(キバのすけ)も交戦し、そこでまた負傷して、キズを癒やす為にアビドスから離れていたと言う。

 

「成る程ねぇ〜。でも、また私の前に現れたって事は。ーーーーもしかして、うちの後輩ちゃん達の手持ちになりたいの?」

 

ホシノがそう聞くと、三体は額から水と雷と炎を出し、その中に、後輩達の姿が映し出された。

スイクンの出した水の中にはーーーーノノミが。

ライコウの放った雷の中にはーーーーセリカが。

エンテイの出した炎の中にはーーーーアヤネが。

どうやら三体は、この三人に期待を寄せているようだ。

 

「ありゃ〜、君達に目を向けられるなんて、ノノミちゃん達もコレから大変かもねぇ〜」

 

ホシノがそう言い終えると、三体は上の方に顔を向けてから、ホシノを見る。まるでそれはーーーー。

 

ーーーーあのお方が待っているから、すぐに向かってくれ。

 

と、言っているように。

 

「うん。セレビィや君達がいるんだから、来ていると思っていたよ」

 

ホシノがピジョットとキバのすけを出して、ホシノはヤドキングと共にピジョットの背中に乗り、キバのすけはヤドキングの【ねんりき】で浮かされ、アビドス上空、地上から一万メートル以上の高さの雲の上に到達した。

そしてソコにいたのはーーーー巨大な、巨大化したキバのすけにも匹敵する程に巨大な鳥ポケモンであった。

炎を連想させるような朱色と黄色の体色、虹色の翼と尾羽を持ち、ソコに浮遊しているだけで、色鮮やかな虹を生み出しているそのポケモンこそ、『伝説のポケモン』にしてスイクン、ライコウ、エンテイの主ーーーー『にじいろポケモン・ホウオウ』である。

 

『・・・・・・・・』

 

「久し振りだね、ホウオウ。君も、カイザーと戦ってくれていたんだね」

 

ホシノは、かつてセレビィと共に『先輩』の手持ちだったホウオウに話しかける。

 

『・・・・・・・・』

 

そしてホウオウは足に乗せていた、かつて自分が入っていたハイパーボールを、ホシノに投げ渡した。

 

「私は・・・・『ユメ先輩』のようにはなれないよ?」

 

『・・・・・・・・』

 

ホウオウは「私が、あなたを選んだのです」と言っているように見えた。ホシノは頬を掻くと、肩をすくめながら答える。

 

「分かったよ。それじゃーーーーホウオウ!」

 

ホシノがホウオウにハイパーボールを投げつけると、ボールが開き、ホウオウが収まった。

そして学校の屋上に舞い降りると、スイクン、エンテイ、ライコウがホシノを見つめる。その眼差しには、「ホウオウ様を、よろしく頼む」と言っているように感じた。

 

「・・・・うん。任せて」

 

そう言うホシノのオッドアイの瞳には、決意が込められていた。

それを見て、スイクン達はその場を去った。いずれノノミ達が、自分達のトレーナーとして相応しくなる日を心待ちにしながら・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーヒナsideー

 

そしてその頃、ゲヘナ学園の屋上にいたヒナは、カタカタと震える四匹目の四獣が入ったハイパーボールを取り出し、ボールからそのポケモンが飛び出てきた。

 

『・・・・・・・・』

 

全身はまるで翼竜のようで丸みを帯びている。また、翼の先はまるで水を掻くのに適した手のような形になっており、鋭い目元や背中、尻尾の先から姿勢制御用と思われる藍色のフィンが生えており、腹部はそれより少し薄い青色となっており、その身体は銀色に輝く『伝説のポケモン』ーーーー。

 

「そう、ホウオウが戻ったのねーーーー『ルギア』」

 

『せんすいポケモン・ルギア』である。

ルギアは屋上の床に降りると、小さく笑みを浮かべ、ヒナを包み込むように抱き締めた。

 

「・・・・・・・・」

 

ヒナも久し振りのルギアの抱擁に、笑みを浮かべて身を委ねた。

そしてルギアは、遠く離れた〈アビドス〉に戻ってきた自身の対となる存在に目を向けていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーシロコsideー

 

そして先生が去った翌日の昼。

 

「ん。何だろう・・・・?」

 

『アギャォ?』

 

『ルガ?』

 

ドラピオンと勝負をしにコライドンに乗ってアビドス砂漠のドラピオンの縄張りにやって来たシロコとルガルガンは、ある一角に目を向けた。

爆発があったようなクレーターと、その近くの砂が吹き飛んだのか、建物の姿が露わになっていた。どうやら、『博物館』のようだ。

 

「・・・・ここは確か・・・・」

 

クレーターを見てシロコは、あの総力戦の時、カイザーPMC理事が放った最大出力のゴリアテの主砲の着弾地点である事を思い出していた。

恐らくその余波で博物館を呑み込んでいた砂が吹き飛んだのだろうと思った。

 

「・・・・・・・・ん。行ってみよう」

 

『ルガル♪』

 

『アギャォス!』

 

自分達以外誰もいない無人の博物館。

つまりーーーー金目の物がある。

しかも土地はカイザーのものだが、建物、つまり博物館の中の物はその限りでは無い筈。

そう考え、シロコはキランと目を光らせると、鞄の中から『覆面水着団 No.2』の覆面を被り、さらにルガルガンとコライドンにも覆面とアイマスクを被らせ、コライドンに指示を出し、博物館の中に入っていった。

 

「ん。即席『覆面水着団』、参上♪」

 

『ガルガ』

 

『アギャォ』

 

そしてコライドンから降りてポージングを決めると、博物館の中をルガルガンとコライドンを連れて歩いていく。

すると、大きな二体の石像が、まるで祭壇のように祀られたような物が置かれた、広々とした広間に入った。

 

「ん? 『剣の勇者と盾の勇者』?」

 

祭壇の近くに砂に少し埋れたキャプションを見つけ、シロコは砂を払って読むと、かつての二人の勇者と呼ばれた英雄の事が記されていた。

 

「んん?」

 

シロコは訝しそうに眉根を寄せながら首を傾げた。この石像がその二人の勇者をモデルにしているのなら、“剣と盾がない事に”。

自分より一足先に、誰かが来て持っていってしまったのかも知れない。

 

「ん。取り敢えず、他を探そう」

 

『ルガル』

 

『アギャォ』

 

シロコはルガルガンとコライドンを連れて、『館長室』と記された部屋に入った。豪奢な作りの執務机と椅子とソファと本棚、さらに壊れた美術品が幾つも置かれている。ここの館長はかなり贅沢好きだったのがよく分かる。

 

「ん〜・・・・ん?」

 

ルガルガンとコライドン部屋の中を探し、館長の執務机の中を漁っていたシロコは、不意に机に隠されていたボタンを見つけ、ソレをカチッと押すと、本棚がガコンッ、と少し浮き出た。

 

『っ! ルガル!』

 

「ん。コライドン」

 

『アギャォ!』

 

ルガルガンが本棚の異変を伝えると、コライドンに本棚を動かさせ、その奥に小さな小部屋があるのを見つけた。

部屋の中央にはガラスケースに囲まれた台座があり、シロコがガラスケースに一発の弾丸を撃って破壊すると中を見る。

中にあったのはーーーー六角形の小さな石だった。

 

「んん?」

 

シロコはソレを手に取った。透き通るような青、否、藍色のソレは宝石の類ではないように見えた。こんな隠し部屋まで作って保管していたのだから相当な額のお宝なのではと思った。

 

「(今売ったら足がつきそうだし、暫くは隠し持っていこう)」

 

ルガルガンがガラスケースを破壊した時に使った弾丸を見つけ、証拠隠滅として回収すると、シロコは石を懐に隠して、博物館を出るとコライドンに乗り込み、その場から立ち去って行った。

 

ーーーー・・・・ドクン・・・・。

 

その石が、脈動するように鼓動しているのに気づかず・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

「・・・・・・・・」

 

そしてそのシロコの姿を、離れたビルの屋上で見つめる人影があった。

 

『『・・・・・・・・』』

 

そしてその人影の両隣には体格の大きい『剣を咥えた狼』と『盾を携えた狼』が佇んでいた。

そして一陣の風が吹き抜けると共に、その人影と二頭の狼はその姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“ーーーーやっと終わった。事後処理・・・・”

 

先生は『シャーレ』に戻り、今回のアビドスでの諸々の事件の事後処理に追われ、漸く書類整理を終えたのだ。

近くのソファでは、イーブイがスヤスヤと眠り、ピカチュウとルカリオは人がいない事を告げると、先生の近くに集まった。

 

“・・・・アロナ。監視システムを一時停止してくれる?”

 

《はい先生! でも、三分間だけですよ?》

 

“うん”

 

先生が頷くと、アロナがシャーレの監視システムを一時停止し、先生は懐から昆虫のような顔をした紫のモンスターボール、『マスタークラス』と呼ばれるトレーナーにのみ与えられる“どんなポケモンも確実に捕らえる事ができるボール”、『マスターボール』を取り出すと、ポンッとその中から、『友人』が現れた。

 

“どう? 久しぶりの外の空気は?”

 

《ーーーー私とあなたは“感覚を共有していますから”、あまり久しぶりと言う感覚がありせんね》

 

その『友人』は、念話‹テレパシー›で先生と会話をしていた。

この『友人』はボールの外に出る事はできないが、ボールの中から力を放出し、先生と五感を共有したり、時に銃弾や爆発から先生を守る為にバリアを張ったりしているのだ。

 

“どうだったかな? アビドスーーーーこの〈キヴォトス〉は?”

 

《中々面白いですね。退屈だけはしませんよ》

 

『友人』は素っ気ない風に言うが、その口元は笑みを浮かべていた。

 

“ごめん。まだ『R』の原料は見つかっていないんだ”

 

《あなたが出してくれれば、私が直接『黒服』に問い詰めても良かったのですが?》

 

“いや。恐らく近い内に、『R』の原料を持っているヤツは現れると思う”

 

《その確信は?》

 

“『黒服』は、いずれ私の前に現れると言った。そして、『R』を使うなら、大きなイベントが行われる場所が最も最適だ。そしてソレはーーーー『この日』だ”

 

先生が『シッテムの箱』に表示された、〈キヴォトス〉で行われる『一大イベント』、否、『式典』を『友人』に見せた。

 

《成る程。『この日』ーーーー『Xデー』が最も最適ですね》

 

“うん。まだこの日まで時間はある。その間に、コッチは戦力の増強と、生徒達との繋がりを広げておきたいんだ”

 

先生が寝ているイーブイの他に、リザードン達の代わりにリンから託された『三匹のポケモンが入ったモンスターボール』に目を向ける。

 

《ーーーー分かりました。では私も、その『Xデー』が来るまで、あなたと生徒達とポケモン達の日々を、楽しませていただきますよ》

 

“うんありがとうーーーー『ミュウツー』”

 

そう言って先生は『友人』、『ミュウツー』を隣に立たせ、寝ているイーブイを抱き上げて傍らにきたルカリオと、肩にピカチュウを乗せて、窓の外に広がる〈キヴォトス〉の夜景を見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

〜対策委員会編・完〜




さて、アビドス対策委員会は各々伝説級ポケモンをゲットしたり、フラグを建てたりしてます。そしてヒナの方も『隠し玉』登場! 私の私感で、ヒナにピッタリだと思いました。

さぁ、次回は『時計じかけの花のパヴァーヌ編』。お楽しみに(笑)。


先生のイーブイ♀(色違い)
カイザーコーポレーションによって改造され、特殊なペンライト、『進化ライト』を使う事で、それぞれの色の進化系(色違い)へと進化する。
詳しくは。
・一回の進化では三十分。時間がくれば自動的に元のイーブイに戻る。
・三十分後は、三分〜五分のインターバルを必要とする。
・同じ進化は連続でできない。
例:イーブイ→ブースター→イーブイ→ブースター×
イーブイ→ブースター→イーブイ→シャワーズ◯
・同じ進化形態には、一日に二〜三回しかできない。
以上です。まだまだポテンシャルを秘めているルーキーと言う設定です。
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