ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さぁ、運命の出会いだ!


廃墟で出会った『少女』。その名はアリス?

ー先生sideー

 

モモイとミドリ、プラスルとマイナンと共に、ミライドンに乗って〈ミレニアム〉近郊にある『廃墟』へと到着した先生。因みに、ミライドンを見て乗って、モモイとプラスルとマイナンが目を輝かせてはしゃぎ、ミドリはドライブモードのスピードにビビっていた。

 

“・・・・・・・・”

 

ミライドンをボールに戻した先生は、目の前に広がる景色に唖然となった。

破壊されたのか、衰退したのか分からないが、少し崩れた建物の数々には草木が纏わりつき、道路もボロボロの状態に割れており、人の気配どころか、ポケモン達の気配すらも感じられない。正に『廃墟』と呼ぶに相応しい荒廃した世界が、ソコにあったのだ。

 

「「・・・・・・・・」」

 

モモイは、『ヘックラー&コッホ・G3A3のトロピカルタイプハンドガードにストレートグリップハウジングモデル』にし、トリガーガードに猫のストラップをぶら下げ、ピンク色に染め、『ゲーム開発部』のエンブレムのステッカーを銃身に貼った『アサルトライフル ユニーク・アイディア』を持ち。

ミドリは『ヘックラー&コッホ・G3SG/1』で、モモイの『ユニーク・アイディア』とは姉妹機であり、全体的に緑色に染め上げ、銃床に『ゲーム開発部』のエンブレムのステッカーが貼られ、トリガーガードにはピンク色の猫のストラップをぶら下げている『スナイパーライフル フレッシュ・インスピレーション』を持って、緊張した面持ちで周囲を見回していた。

 

『プラプラ・・・・!』

 

『マイマイ・・・・!』

 

『ピカチュウ』

 

プラスルとマイナンは、この不気味な雰囲気に少し怯え、先生のピカチュウにしがみ付いていた。

 

「・・・・ねえ、お姉ちゃん」

 

全員が無言で佇んでいると、ミドリがモモイに向けて声を発した。

 

「一体いつまでこうしてれば良いの?」

 

『廃墟』に着いてから無言で佇んでいる状況に、いい加減黙っていられなくなり、ミドリが口を開いたが、モモイがバッとミドリの前に手を上げて抑える。

 

「静かに。あっ先生、もうちょっと頭を下げて・・・・!」

 

モモイがそう言うと、全員が大きな瓦礫に身を潜める。

すると、銃を持ったロボットが何体も現れ、廃墟の街を闊歩していた。

 

『・・・・■■■ ■■■■・・・・』

 

『・・・・■■■』

 

『■■■■ ■■』

 

ロボット達は、電子音のような音で会話していると、コチラに気付いた様子もなく、通り過ぎていった。

 

「・・・・ひゅー、もう行ったかな? 良し、じゃあ行こう(ドカドカっ!)のわっ!?」

 

ヒョコッと隠れていた瓦礫から頭を出したモモイがそう言った。

が・・・・。

 

『プラ!』

 

『マイ!』

 

「良し、じゃない!」

 

プラスルとマイナンがモモイの腰にドロップキックをしてから、ミドリが声を上げた。

 

「一体ここは何!? あんな謎のロボットが、数え切れないくらい動き回ってるし!」

 

「あたた・・・・何って・・・・もう何回も言ってるじゃん」

 

プラスルとマイナンに蹴られた腰をさすりながら、モモイが立ち上がると、堂々と言った。

 

「『廃墟』だよ」

 

ーーーードカドカっ!

 

「ごふっ!?」

 

今度はプラスルとマイナンが、「「そんなの分かっとるわ!」」と、言わんばかりに【ずつき】を繰り出し、モモイはお腹に受けてまた倒れた。

 

“・・・・何だか、凄い所だね。『出入り禁止』ってされているよここ”

 

先生が『シッテムの箱』でこの区域を調べてからそう言うと、モモイは再び立ち上がる。

 

「『出入り禁止の区域』って言うからまあ、ある程度の危険は覚悟してたけど。いやあ、冷や冷やするね・・・・」

 

『プラプラ』

 

「あのロボット、一体何だろ・・・・?」

 

『マァイ』

 

プラスルがモモイの頭の上に乗り、「呑気言うな」と言わんばかりにペシペシと叩くと、マイナンがミドリの肩に乗って一緒に首を傾げた。

 

「ううん、それより、あんなのが幾つも徘徊してるこの『廃墟』って・・・・一体何なの?」

 

「うーん、私も『ヴェリタス』からちょっと聞いただけだから、分からない事だらけだけど・・・・本来、ここの出入りは厳しく制限されてた、って何処までは先生にも言ったよね?」

 

“うん、ソコまでは聞いたけど”

 

「もう一回説明しとこっか。ここの出入りを制限して、存在自体をできるだけ隠そうとしてたのは・・・・『連邦生徒会長』だったの」

 

『連邦生徒会長』の名が出てきて、ミドリもピクリと反応した。

 

「『連邦生徒会長』って・・・・あの、〈キヴォトス〉の生徒会長達の頂点にいたのに、突然いなくなっちゃった人?」

 

「そう。あの人がいなくなってから〈連邦生徒会〉の兵力も撤収しちゃって、そのまま放置されてるみたい。そのお陰でこうして入り込めたんだけど・・・・兎に角! 〈連邦生徒会〉の警備がいなくなって、『ヴェリタス』の助け舟も得てこの場所に来られた訳だけど」

 

先生はこっそりと『ヴェリタス』の事をアロナに聞くと、〈ミレニアム〉の生徒会『セミナー』と反発し合っているホワイトハッカーを自称する非公認の部活との事。

生徒会である『セミナー』に反発しているから、『ゲーム開発部』に協力しているのかと、疑問を抱いてしまう。

ソレに構わず、モモイは話を続ける。

 

「『ヒマリ先輩』によると、ここは、『キヴォトスから消えて忘れ去られた物が集まる、時代の下水道みたいな場所なのかも知れない』・・・・って」

 

「『ヒマリ先輩』って・・・・『ヴェリタス』のあの車椅子に乗って、『ブースター』と『メタグロス』をパートナーとして連れている美人の『ヒマリ先輩』? いつもRPGの賢者みたいに『私は何でも知ってますよ』って感じのヒマリ先輩が『かもしれない』って言葉を使うのも珍しいね・・・・それくらい未知の世界なんだ。でも、何でこんな所に『G.Bible』が・・・・あれ、ちょっと待って!?」

 

どうやら、『ヒマリ』と言う先輩が手を貸しているようだが、ソコでミドリがモモイをジト目で見ながら疑問を口にした。

 

「まさかとは思うけど・・・・お姉ちゃんが『ここに『G.Bible』がある』って言ったのは、ヒマリ先輩の言葉を聞いたから!? そ、それだけの理由でこんな所に!?」

 

「それだけじゃないよ、『ヴェリタス』に『G.Bible』の捜索を依頼したら、座標を教えてくれたの。『最後に『G.Bible』の稼働が確認された座標』をね。その座標が指していたのは、『普通の地図には存在しない場所』だった」

 

「って言う事は・・・・!?」

 

「そうーーーー」

 

ミドリも察したように呟くと、モモイはエッヘンと、その平坦な胸を張って言った。

 

「その二つを合わせて考えると、『G.Bible』はきっとここ・・・・ずっと存在が隠されていた『廃墟』にある筈」

 

『プラ!?』

 

『マイ!?』

 

プラスルとマイナンが、「マジで!?」「嘘!?」と言わんばかりに声を上げると、先生はモモイに問いかけた。

 

“ーーーーそれで、『G.Bible』?・・・・って、結局何なんだっけ?”

 

『ピカァ?』

 

「そう言えば、ソレも説明の途中だったね。簡単に言うと昔の〈ミレニアム〉には、ううん、昔の〈キヴォトス〉にはね・・・・伝説的な、ゲームクリエイターがいたの。その人がミレニアム在学中に作ったのが、『G.Bible』。詳しい内容は分からないんだけど・・・・その中には、『最高のゲームを作れる秘密の方法』が入っているんだって」

 

「・・・・ソレ、何処かのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」

 

意気揚々と言う姉に、ミドリは半眼でツッコむが、モモイは反論する。

 

「違うよ! 『G.Bible』はあるって! 読めば最高のゲームを作れるようになる『ゲームの聖書』は、絶対にある!」

 

モモイが断言するように言った。

 

「その『G.Bible』を読めば、最高のゲーム・・・・『テイルズ・サガ・クロニクル2』が作れる筈! 『ヴェリタス』から貰ったこの座標に向かって行けば、ソコにきっと『G.Bible』が・・・・」

 

『・・・・プラ、プラプラ・・・・』

 

と、モモイが声高く言っていると、頭に乗っていたプラスルがモモイの頭をペチペチと叩いて、後ろを指差した。

 

「もう何さプラスル! 今良いところ・・・・」

 

モモイが振り向いたその先にはーーーー。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

今し方通り過ぎたロボット達が、モモイの後ろに立っていた。どうやらいつまでも同じ場所に留まり、騒いでいたので気づかれたようだ。

 

『・・・・■■■ ■■■■!』

 

ロボットが警告するように叫んだように見えた。

 

「あ、あれって!」

 

「ロボット!?」

 

“まだ来るよ!”

 

先生がそう言うのと同時に、回りをロボット達が取り囲んだ。

 

『!!!』

 

ロボット達は怒号を上げたかのように銃を構え、コチラに向かってきた。

 

「な、何だか凄い狙われてない!? こっちの方に集まってきてるし!? こ、このままじゃ包囲されちゃう!」

 

『マイマイ!』

 

「うわわわ、ど、どうしよう!?」

 

『プラァ〜!』

 

ミドリとマイナンが悲鳴を上げ、モモイとプラスルも慌て出した。

すると先生が、ある場所を指差した。

 

“あっち! 工場みたいなのが見える!”

 

「え? こ、工場!?」

 

「お、先生ナイス! 急いで! ミライドンに乗ってロボット達を突破して、あの工場に逃げ込もう!」

 

“うん! ミライドン!!”

 

『(ポンッ)ーーーーアギャア!』

 

先生がミライドンを出すと、ピカチュウはミライドンの頭に乗り、先生はミライドンの背に乗り込み、その先生の後ろにモモイとプラスル、ミドリとマイナンが乗った。

 

“フルスロットルだ! 行くよミライドン!!”

 

『アギャァァ!!』

 

ミライドンがブースターを噴射させて全力で走り出し、大きな瓦礫の上を走り登ると、天辺で大ジャンプをし、『グライドモード』になって空を飛んだ。

 

“皆! 下のロボット達に向けて攻撃!”

 

「オッケー! 行くよプラスル!」

 

「マイナン! お願い!」

 

『プラ!』

 

『マイ!』

 

「「連続でーーーー【エレキボール】!!」」

 

『プラァ!!』『マァイ!!』

 

プラスルとマイナンが下にいるロボット達に向けて黄色と青色の電撃玉を次々と放ち、ロボット達を撃破していくと陣形が乱れ、包囲を飛び越えて、そのままミライドンは走り出し、工場の中へと入っていった。

 

「あれ・・・・? あのロボット達、追ってこなくなった・・・・?」

 

モモイが後ろを振り向いてそう言い、ミライドンを停止させて皆で確認すると、ロボット達が追ってくる気配が無かった。

 

「何でか分かんないけど、兎に角ラッキ〜、で良いのかな?」

 

「良くないよ! うわああああん! もういや! 一体何でこんな所で、ロボット達に追われなきゃいけないの!」

 

呑気に笑うモモイと違い、ミドリは泣き言を言い出し、プラスルとマイナンが慰めた。

 

「落ち着いて、ミドリ。生きてればいつか良い日も来るよ」

 

「今日の話をしてるの! そもそもお姉ちゃんのせいでしょ!!」

 

他人事な態度のモモイに、ミドリが盛大にツッコむ。

 

「兎に角・・・・本当にここ、何をする所なんだろ」

 

「〈連邦生徒会〉は、あのロボット達がいるから出入りを制限してたのかな?」

 

「あのロボット達、実は〈連邦生徒会〉が非常時に使う秘密兵器で・・・・とかは考えてみたけど、そういう感じじゃない気がするし・・・・何なんだろう?」

 

ソレは先生も疑問であった。あのロボット達、数の暴力が厄介だが、ポケモンの戦闘力(比較対象・ドラピオン)に比べれば大したものじゃない。

ソレなのに、この廃墟にはロボット達しかおらず、ポケモンすらいない。あまりに不自然だ。

 

「うーん、何か引っかかってるんだよね・・・・大事な事を見落としてるって言うか、ソレに・・・・」

 

元々頭を使うのが苦手なモモイが、必死に思考を巡らせていくが、その時ーーーー。

 

《ーーーー接近を確認》

 

「えっ、な、何?」

 

『プラァ?』

 

「部屋全体に、音が響いてる・・・・?」

 

『マァイ?』

 

ミドリの言う通り、部屋全体にアナウンスでもかけたかのように音声が響き、更に続く。

 

《ーーーー対象の身元を確認します。才羽モモイ、『資格』がありません》

 

「え、え!? 何で私の事知ってるの?」

 

《ーーーー対象の身元を確認します。才羽ミドリ、『資格』がありません》

 

「私も事も・・・・一体どういう・・・・?」

 

音声がモモイとミドリの身元を知っており、『資格』と言うものがないと言うが、モモイとミドリは何の事か分からなかった。

 

《ーーーー対象の身元を確認します・・・・『先生』》

 

次に先生の方にもアナウンスが流れた。

 

《ーーーー・・・・・・・・・・・・》

 

が、先生の身元を確認してから、音声が止まり、読み込みを開始した電子音が流れる。

 

「あれ?」

 

自分達とは違う反応がされ、モモイが首を傾げる。

 

《ーーーー『資格』を確認しました、入室権限を付与します》

 

「えぇっ!?」

 

「え、どういう事!? 先生はいつこの建物と仲良しになったの!?」

 

“建造物と仲良しになった記憶はないよ・・・・”

 

驚き狼狽えるモモイとミドリだが、先生も戸惑っている。

 

《ーーーー才羽モモイ、才羽ミドリの両名を、先生の『生徒』として認定。ピカチュウ、プラスル、マイナン、ミライドンの四体のポケモンを先生の『協力者』として認定。『資格』を与えます。承認しました》

 

どうやら、モモイとミドリ、更にピカチュウ達にも『資格』を与えられたようだ。

すると・・・・。

 

《ーーーー下部の扉を解放します》

 

「・・・・下部の扉?」

 

ミドリが呟くと、先生はイヤ〜な予感がした。

その時・・・・。

 

ーーーーガコンッ・・・・。

 

床が無くなり、全員が重力に従って落ちていった。

 

“「「あああああああああああああああああ!!」」”

 

『ピィカァアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

『プラァアアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

『マァイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!』

 

『アギャァアアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

全員が悲鳴を上げて、暗闇の中に落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『マイマ! マイマ!』

 

『チコチコ』

 

「・・・・・・・・うーん・・・・マイナン・・・・? それに、チコリータ・・・・? ここは・・・・?」

 

マイナンに呼びかけられ、漸く目を覚ましたミドリが目にしたのはマイナンと、先生のチコリータであり、さらに周囲を見ると、今さっきまでの工場の地下に来てしまったようだ。

 

「あれっ、お姉ちゃん? プラスル? 先生!? ピカチュウ!? ミライドン!?」

 

「あっミドリ! やぁっと起きたんだ! いやー、流石に死ぬかと思ったね」

 

『プラ♪』

 

『アギャァ』

 

プラスルを頭に乗せたモモイが、ミライドンと共に近づいてきた。

 

「お姉ちゃん、何が起こったんだっけ・・・・?」

 

「えっ? 覚えてない? 床から落とされてすぐ、ミドリってば気を失っちゃって、先生がチコリータを出して、その蔓で私達を引き寄せて、『グライドモード』になったミライドンに乗って浮遊しながらゆっくりと降りてきて、この場所に来たんだよ?」

 

「えっ? う~ん・・・・あっ、そう言えば身体に何かが巻き付いてきた感覚があった気がする・・・・」

 

ポンッと手を叩いたミドリが納得したように頷くと、チコリータに感謝するように頭を撫でると、先生とピカチュウがルカリオとイーブイとヒノアラシとワニノコを連れて戻ってきた。

 

“ミドリ、起きたんだ、良かったよ”

 

「あ、はい、ありがとうございます先生。お陰で助かりました」

 

“うん。無事で何より。出口らしい通路を見つけたよ”

 

「・・・・ん?」

 

『プラ?』

 

先生がそう言うと、モモイとプラスルが別の方向に目を向けて、その場所に近づくと・・・・。

 

「・・・・・・・えっ!?」

 

『プラ!?』

 

突然、目をパチクリさせた。

 

「ん・・・・? どうしたのお姉ちゃん・・・・?」

 

『マイマイ?』

 

姉の異変に気付いたミドリは肩にマイナンを乗せて近づくと、

 

「えっ・・・・!?」

 

『マイ!?』

 

同じように、目をパチクリさせた。何故なら、彼女たちの視線の先には・・・・。

ーーーー部屋の中央には、椅子に座って眠っている裸の少女がいたのだ。

こんな廃工場ではありえない状況にモモイとミドリ、プラスルとマイナン、そして先生達も固まってしまう。

更に、眠っている少女の周りにだけ、上から降り注ぐ光が当たっており、神々しさすら感じてしまう。

 

「お、女の子?」

 

「この子・・・・眠ってるのかな?」

 

『プラプラ?』

 

『マイマイ?』

 

プラスルとマイナンが少女に近づき、ツンツンと頰をつつくが、少女は何の反応も示さなかった。

 

「・・・・返事がない。ただの死体のようだ」

 

「不謹慎なネタを言わないで! ソレに死体って言うか・・・・ねえ、見て」

 

しょうもないボケをかますモモイにミドリが怒鳴ると、眠っているような少女を改めて指差した。

 

「この子、怪我とかじゃなくて・・・・『電源が入ってない』みたいな感じしない?」

 

「そう? 確かに言われてみれば、何だかマネキンっぽいね。どれどれ・・・・」

 

モモイは少女の身体を指先でツンツンとつついたり、ツ〜っと指を滑らせる。

 

「凄い、肌もシットリしてるし柔らかい・・・・あれ? ここに何か文字が書かれてる」

 

モモイが、少女に書かれてる文字を発見した。

 

「・・・・『AL-IS』・・・・アル、イズ・・・・エー、アイ、エス? どう読むのか分からないけど、この子の『名前』?」

 

文字を読んでいたモモイは不意に、この少女の名前らしい言葉を口にする。

 

「・・・・『アリス』?」

 

「ちょっと待って、コレ良く見ると全部ローマ字な訳じゃなくて・・・・『AL-“1”S』、じゃない?」

 

「え、そう?」

 

ミドリの指摘した通りよく見ると、『I』の部分は『1』のように見えた。

 

「一体この子は・・・・ソレにこの場所、一体何なんだろう?」

 

「この子に聞いた方が早いんじゃない?」

 

「起きて、話してくれるなら良いんだけど・・・・取り敢えずこのままじゃ可哀想だし、服でも着せてあげようか」

 

モモイが起こそうと言い、ミドリがバッグの中から、着せられる服を取り出した。

 

「へえ、予備の服なんて持ってきてたんだ・・・・ってソレ私のパンツじゃん!」

 

「違うよ、コレは私の。ニャースがアローラの顔でしょ」

 

“・・・・・・・・”

 

今更ながら先生と、オスであるピカチュウとルカリオ、ヒノアラシとワニノコ、どちらか分からないがミライドンも後ろを向いた。

その間に、モモイとミドリが少女を椅子から降ろし、プラスル達に手伝ってもらいながら予備の服を着せていった。

 

「・・・・よし。これで良いかな」

 

ーーーーピピッ、ピピピッ・・・・。

 

すると、何処からか警報音のようなものが響いてきた。

 

「ん?」

 

「な、何この音!?」

 

「警報音みたいだけど・・・・もしかして近くにロボットが?」

 

“ピカチュウ。皆”

 

『ピカッ!』

 

『カル!』

 

『ヒノ!』

 

『ワニワ!』

 

『チコ!』

 

『アギャァ!』

 

先生が呼ぶと、ピカチュウ達は臨戦態勢を取り、ミライドンもいつでもドライブモードになれるように身構える。

が、モモイが首を横に振った。

 

「ううん・・・・『この子』から聞こえた気がする」

 

「え? ま、まさか・・・・」

 

『プラァ?』

 

『マァイ?』

 

ミドリとプラスルとマイナンが首を傾げると、少女から音が鳴る。

 

《ーーーー状態の変化、および接触許可対象を感知。休眠状態を解除します》

 

アナウンスの後、その少女がゆっくりと目を開き、起き上がる。

 

「・・・・・・・・」

 

「め、目を覚ました・・・・?」

 

「・・・・・・・・」

 

その少女は辺りを見回すと、声を発する。

 

「状況把握、難航。会話を試みます・・・・説明をお願いできますか?」

 

「え、えっ? せ、説明? なんの事?」

 

「せ、説明が欲しいのはこっちの方! あなたは何者? ここは一体何なの!?」

 

説明を求める少女に対し、モモイとミドリは戸惑い、少女の方からの説明をするように求める。彼女達はもう混乱していた。

 

「本機の『自我』、『記憶』、『目的』は消失状態であることを確認。データがありません」

 

「ど、どういう事・・・・? い、いきなり攻撃してきたりしないよね?」

 

「肯定。『接触許可対象』への遭遇時、本機の敵対意思は発動しません」

 

「うわ、凄い。ロボットの市民やロボットみたいポケモンなら〈キヴォトス〉に良くいるけど、こんなに私達に似てるロボットなんて初めて」

 

『プラプラ!』

 

『マァイマイ!』

 

モモイとプラスルとマイナンは珍しそうに少女の周りを見ていると、ミドリが先生に話しかけた。

 

“『接触許可対象』って、どういう意味か教えてくれる?”

 

「回答不可。本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定されます」

 

先生が問いかけるが、少女はそう応えた。

 

「『深層意識』って、何の事・・・・?」

 

『マァイ?』

 

「うーん・・・・『工場の地下』、『ほぼ全裸の女の子』、おまけに『記憶喪失』・・・・」

 

『プラプラ』

 

ミドリとマイナンが首を傾げると、モモイはコレまで得た情報から、目をキランッと光らせ、プラスルもニヤリと笑った。

 

「ふふっ、良い事思いついちゃった」

 

「いや・・・・今の言葉の羅列からは、嫌な事しか思い当たらないんだけど・・・・」

 

そして、姉がこう言う時、碌な事を思いつかないのを、妹は良く知っている。

 

「???」

 

少女だけが、良く分からず首を傾げるだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして一同は、少女を連れてミライドンに乗り、『廃墟』を脱出して『ゲーム開発部』の部室に戻った。

 

「???」

 

「ねえ、ちょっと!? この子を部室にまで連れてきてどうするの!」

 

「うっ、首絞めないでって! 苦しっ、ゲホッ、ゲホッ!」

 

『プラプラ!』

 

『マイマイ!』

 

ミドリがモモイの胸ぐらを掴んで、首を絞めてしまい、モモイがタップし、プラスルとマイナンが押さえる。

 

“ルカリオ”

 

『(ポンッ)カルゥォ・・・・』

 

はぁ、ため息を吐いたルカリオが、ミドリをモモイから引き剥がした。すると、モモイはゼェゼェと息継ぎをしながら話し出す。ミドリを離したルカリオは、何故か部室のロッカーの近くに陣取った。

 

「し、仕方ないじゃん。そもそもあんな恐ろしいロボット達がいる場所に置いていく訳にも・・・・」

 

『マァイ〜!!??』

 

と、目を離している間に、少女がマイナンの耳を齧っていた。

 

「ああっ、マイナンの耳を食べようとしないで! ペッてして! ペッて!」

 

『プラプラ〜!』

 

『ピカァ!』

 

『カルゥ』

 

ミドリとプラスル、ピカチュウとルカリオが、マイナンが放電する前に、急いで少女をマイナンから引き剥がそうとする。

 

「・・・・やっぱり、放って置く訳にはいかないでしょ」

 

「それはそうだけど・・・・今からでも、〈連邦生徒会〉か〈ヴァルキューレ〉辺りに連絡した方が良くない?」

 

「それはそうだけど・・・・それは“まだ”、私達の『やるべき事』が終わった後にね」

 

「やるべき事?」

 

モモイの言葉に、少女をピカチュウ達に任せたミドリがそう返すと、意味深な言葉を発したモモイに首を傾げる。

 

「さて、取り敢えず名前は必要だよね。『アリス』って呼ぼうかな」

 

「・・・・本機の名称、『アリス』。確認をお願いします」

 

モモイは『AL-1S』をモジッて、少女を『アリス』と名付けた。

 

「ちょ、ちょっと待って! ソレお姉ちゃんが勝手に呼んだ名前でしょ!? 本当なら『AL-1Sちゃん』じゃないの?」

 

「そんなに長いと呼び難いじゃん。どう、アリス? 気に入った?」

 

「・・・・肯定」

 

どうやらアリスという名が気に入ったようで、初めて笑みを見せた。

 

「本機、アリス」

 

「あはは! ほら、見たか私のネーミングセンス!」

 

「うーん・・・・本人が気に入ってるなら良いけど」

 

平坦な胸を反らしてドヤ顔を浮かべるモモイに、ミドリも受け入れたように頷いた。

 

「さあ、それじゃ次のステップに行ってみよっか」

 

「お姉ちゃん、一体何考えてるの・・・・? 可愛いポケモンを拾ってきたとか、そんなレベルじゃないんだからね!」

 

姉がこう言う時は大抵碌な事を言わないので、ミドリは呆れ顔で忠告したが。

 

「ミドリの方こそ、良く考えてみてよ。そもそも私達が危険を冒してまで、『G.Bible』を探していた理由は何だったけ?」

 

「ソレは・・・・良いゲームを作って、部活を廃部にさせない為でしょ?」

 

「そう。今一番大事な問題はソレ。良いゲームを作りたいけど、先ずは部活の維持が最優先。ソレで、その為には『二つの条件』の内、どっちかをクリアする必要がある」

 

『『???』』

 

プラスルとマイナンが首を傾げる。

 

「『ミレニアムプライス』で受賞を狙うのは、あくまでその内の一つに過ぎない」

 

「あくまでも何も、方法は実際の所一つしかないでしょ? お姉ちゃんがそう言ったんじゃん、だってコレ以上『部員を増やす』のは無理・・・・あれ?」

 

『プラ!』

 

『マイ!』

 

と、ソコまで言ってミドリは気づいたように肩を揺らし、プラスルとマイナンも気付いた。

 

「お、お姉ちゃん、まさかとは思うけど・・・・この子を〈ミレニアム〉の生徒に偽装して、ウチの部に入れようとしてるんじゃ・・・・!?」

 

不安そうなミドリに構わず、モモイはアリスに向かって堂々と言った。

 

「アリス! 私達の仲間になって!」

 

と、言うが、アリスは何やらゲーム機を齧ろうとして、ピカチュウとルカリオに押さえつけられていた。

 

「ああっ! 私の『ゲームガールズアドバンスSP』食べちゃ駄目!」

 

「ああもう・・・・。先生、大丈夫なんでしょうか・・・・」

 

“・・・・先ずは、アリスに一般的な常識と教養を教えて置かないと、ユウカを誤魔化しきれないかもね”

 

先生はそう言って、改めてアリスを見た。マイナンの耳やゲーム機を食べようとしており、まるで生まれて間もない赤ん坊のような状態である。

 

「・・・・・・・・」

 

「うーん、やっぱり心配・・・・」

 

そんなアリスを見つめて、ミドリが不安そうな顔をする。

 

「この子をウチの部員に偽装するなんて・・・・本当に大丈夫?」

 

「『大丈夫』の意味を確認・・・・『状態が悪くなく問題が発生していない状況』の事と推定、肯定します」

 

「・・・・いやいや、肯定できないって! この口調じゃ絶対疑われるよ! やめておこう!? コレは無理だって!」

 

ロボットかアンドロイドのような受け答えをするアリスを見て、ミドリは頭を抱えて、止めるよう声を上げた。

が、モモイは(珍しく)シリアスな顔で首を横に振る。

 

「今やめるって選択肢の方が無理だよ。何としても、私達の『ゲーム開発部』を守らなきゃ。そうしないと、『ユズ』の居場所が・・・・寮に戻る訳にはいかないし・・・・」

 

「・・・・そう、だったね・・・・」

 

『ユズ』と言う名前が出た途端、ミドリも思い直したかのように頷いた。

そして才羽姉妹は改めて、ボーッとしているアリスに目を向ける。

 

「服装もある程度整ったし、後は『パートナーとなるポケモン』と『武器』と・・・・学生登録をして、学生証を手に入れないと」

 

この〈キヴォトス〉では、『武器』を所持していない事は“裸で過ごしているのと同じ ”くらい恥ずかしい事であり、ポケモンを持っていないのも不自然とされるのだ。

 

「学生証については、私の方で何とかするから」

 

「取り敢えずミドリはユズと一緒に、アリスに『話し方』を教えてあげて」

 

「は、話し方?」

 

「今のままだとミドリが言った通り、疑われちゃうかもしれないから。唯でさえ『友達のいないあなた達に、新しい部員の募集なんて出来る筈ないでしょ』って言われてるし・・・・。もし、何かの拍子にユウカに『本当にゲーム開発部なのか』って聞かれたとして・・・・」

 

と、アリス以外の全員がその時のアリスの対応を想像してみた。

 

『ーーーー肯定。あなたの質問に対し、アリスの回答を提示。私はゲーム開発部の部員』

 

あまりにも機械的かつ事務的な回答をする姿が容易に想像できた。

 

「・・・・なんて言っちゃった暁には、全部台無しになりかねない」

 

「いや、ソレはそうだけど・・・・」

 

ミドリも肩を落としながらため息を吐いた。

 

「はぁ・・・・。仕方ない、やるだけやってみるよ」

 

「よし、じゃあ任せた! 行くよプラスル!」

 

『プラ!』

 

そして頭にプラスルを乗せたモモイは、ピュンッと部室から飛び出していった。

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

ミドリは引き留めようとするが、既にモモイとプラスルは通路の向こうに消えてしまっていた。

 

『・・・・マイマイ?』

 

「うーーん・・・・」

 

「???」

 

ミドリの肩に乗ったマイナンが、「どうするの?」と言わんばかりに小首を傾げ、ミドリも腕組みして悩むが、アリスも小首を傾げるだけであった。

 

「え、えっと・・・・アリス、ちゃん?」

 

「肯定。本機の名称は、『アリス』です」

 

「うん、じゃあアリスちゃんって呼ぶね。それにしても話し方かあ・・・・よく考えると、どうやって習得すんだろ。普通に動画を見たり、周りの言葉を真似していく内に自然に、って感じだと思うけど」

 

ミドリはスマホロトムのネットで調べる。

 

「・・・・うーん。子供用の教育プログラムって、インターネットに落ちてるのかな・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・?」

 

アリスが部室の中をキョロキョロと見回していると、ある物に目を止めた。

 

“どうしたの、アリス?”

 

「正体不明の物を発見、確認を行います」

 

「ん?」

 

『マイ?』

 

アリスの言葉に、ミドリとマイナンも目を向けた。

 

「あっ、そ、それは・・・・っ!?」

 

ミドリが目を見開いた。それは、付箋が付けられたゲーム雑誌であり、アリスはソレを手に取り、付箋が付けられたページを開いた。

 

「えっと・・・・ちょっと恥ずかしいけど、実はソレ私達が作ったゲームなの。まあ、凄い酷評されちゃったやつなんだけどね。あ、そうだ!」

 

すると、ミドリは何かを思い付いたように声を上げた。

 

「『クソゲーランキング』では1位になったゃったし、アリスちゃんがどう思うかは分からないけど・・・・アリスちゃん、私達のゲーム・・・・やってみない?」

 

『マイ?』

 

自分達の作ったゲーム、『テイルズ・サガ・クロニクル』をアリスに見せて、ミドリはそう言い、マイナンは「それで大丈夫?」と言いたげに小首を傾げた。

 

「『会話』をしながら進められるから、ゲームをやってみるのも勉強になるかも」

 

「・・・・? ここまでの言動の意図、完璧に把握しかねます。しかし・・・・肯定、アリスはゲームをします」

 

アリスはコクリと首を前に倒す。

 

「ほ、本当に!? ちょ、ちょっと待ってて、すぐにセッティングするから!」

 

すると、ミドリは大急ぎでゲームの準備を整えた。

 

「よし、準備完了!」

 

「・・・・・・・・」

 

アリスはコントローラーを持って座り、ゲームを始めようとした。

 

「アリス、ゲームを開始します・・・・」

 

そして、謎の少女アリスは、人生初のゲームを始めるのであった。ソレを見ながらルカリオは再び、部室のロッカーの近くに陣取り、チラッとロッカーを見据えるのであった。




ーモモイ・ミドリ&プラスル・マイナンー
ゲーセンのお菓子のクレーンゲーム機の前でお菓子を物欲しそうに見ていたプラスルとマイナンに、丁度ゲーセンに遊びに来ていたモモイとミドリが、「取ってあげる」と言って挑戦するも、何度も失敗を重ね、残り最後の一回で正解し、皆で勝利を分かち合いながらお菓子を食べ、ソレからプラスルとマイナンが才羽姉妹に付いてきてしまい、そのまま手持ちとなる。可愛いポケモン好きのユウカに【あまえる】で撃退したりしている。ユウカの事は時々お菓子をくれたりしてくれるから、才羽姉妹ほど敵視していない。
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