ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さて、今回でミライドンの被害者と、あのヌシが・・・・。


アリス、冒険に出る。

ーアリスsideー

 

喜んでいた『ゲーム開発部』に向けて、ユウカは冷静にそう告げ、一同は訳が分からないと言いたげな態度をとる。

 

「どうして! 規定人数も満たしたのに!?」

 

「あら、知らなかったのかしら。今は“部活の規定人数を満たす”だけじゃなく、同時に“部としての成果を証明しないといけないの”。勿論、急に変わった要件だから、猶予期間はあるけれど・・・・。その期間は今月末まで。今月中に結果を出さなければ、あなた達の部は例え4人いても400人いても、廃部になるのよ」

 

ユウカは淡々と説明した後、キッパリと言う。

 

「つまり、あなた達の責任よ」

 

「くっ・・・・卑怯者め!」

 

「『鬼』とかならまだ分かるけど、規則通りに事を運ぶ事の何が『卑怯』なのよ・・・・」

 

モモイがせめてもの抵抗の一言も、ユウカには通じなかった。

 

「正直な所、アリスちゃんの正体も怪しいし、本当なら今日すぐにでも退去を要請しようと思っていたのだけれど・・・・」

 

「!?」

 

アリスがビクッと肩を震わせ、ユウカはパートナーのサーナイトをチラリと見ると、サーナイトはコクンと頷いた。

 

「・・・・正体はさておき、ゲームが好きっていう純粋な気持ちは本物だと私は思ったし、サーナイトも嘘の感情はないって言ってるわ。猶予を与えたのは、その気持ちに相応しい成果がきちんと出せることを期待しているからよ」

 

ユウカはすぐに退去させず、『猶予期間』を与えた理由をモモイ達に話す。

 

“(ちょっと意地悪だけど、ユウカはやっぱり優しいな)”

 

何のかんの言っても、ユウカは優しいのを先生は理解したが、『ゲーム開発部』には届いていないようである。

ユウカは薄く笑みを浮かべて、モモイに話しかける。

 

 

「モモイ、あなた言ったわよね? 『ミレニアムプライズ』で、ビックリするぐらいの結果を出して見せるって」

「そ、それはそうだけど・・・・」

 

「新しいメンバーも増えた事だし、前よりもちゃんと面白いゲームが作れるんでしょうね?」

 

挑発的な台詞を言って、ユウカはサーナイトを連れて部室を出ようとした。

 

「それじゃあ、楽しみにしてるわよ。じゃあね~」

 

『(ペコリ)』

 

「ちょっ、待って! 詐欺師っ、杓子定規っま、もぉぉぉぉぉっ!」

 

モモイの言葉に耳を貸さず、ユウカとサーナイトは『ゲーム開発部』の部室から立ち去っていった。

 

ーーーーねぇサーナイト? 先生と何か親密な雰囲気出していたけど何をしてたの・・・・?

 

ーーーー待ってサーナイト! 何でお淑やかな笑みを浮かべたまま先に行っちゃうの!?

 

ーーーーねえってばぁ! あなた最近ノアに似てきてない!? ねえ! サーナイトってばぁ!!

 

ユウカが部室を立ち去ると、何やら廊下で騒いでいるが、モモイ達にソレに構う余裕は無い。

 

「行っちゃった・・・・」

 

ソレから、少し気持ちを落ち着かせようと時間を置いていると、ユズとデンチュラが帰ってきた。

どうやらユウカが部室に入った辺りから戻ってきており、部室の扉に聞き耳を立てながら話を聞いていて、ユウカとサーナイトが出る時は、デンチュラが糸を使って天井にへばり付いてやり過ごしたとの事。

 

「うーん・・・・。結果的に、またゲーム開発部は存続の危機・・・・って事だよね」

 

「でもこんなの、どう考えても詐欺だよ! 謀略だよ!!」

 

「・・・・ごめん。私が、部長会議に参加できなかったせいで・・・・」

 

「ゆ、ユズちゃんのせいじゃないよ! こういう場合って、お姉ちゃんが代わりに参加することにしてた筈でしょ!?」

 

「・・・・仕方なかったの」

 

落ち込むユズをミドリがフォローすると、モモイが深刻な顔で説明する。

 

「だってその時は、アイテムドロップ率2倍キャンペーン中で(ドゴォォォォン!) あぼぉぅっ!!」

 

どうやら人見知りなユズの代わりに、モモイが『部長会議』に出る予定だったようだが、あまりにしょうもない理由を言ったモモイの顔面に、プラスルとマイナン、更にはミドリのドロップキックが炸裂し、盛大に倒れそうになるのを先生とルカリオが受け止めた。

 

「やっぱりお姉ちゃんのせいじゃんっ! 今すぐそのゲーム消して!」

 

“ミドリ落ち着いて。もう過ぎた事をとやかく言っても仕方ないよ。今は現状をどうにかする事を考えよう”

 

「・・・・はい。うう・・・・兎に角、もうやるべき事は一つ」

 

「そうだね」

 

「『ミレニアムプライズ』で入賞できるような、凄いゲームを作る事」

 

「って事は、結局『G.Bible』が必要なんじゃん! またあの『廃墟』に行くの!? やだぁ!!」

 

結局、『ミレニアムプライズ』で入賞する以外に、『ゲーム開発部』の存続の道はない。

が、モモイは再び『廃墟』へと行くのに渋面を作る。

 

「・・・・・・・・」

 

『(コクリ)チュラ』

 

すると、ユズがデンチュラに目を向け、デンチュラも頷き、ユズの武器である『グレネードランチャー・にゃん's ダッシュ』を持って来てユズは武器を手に持ち、小さく口を開く。

 

「・・・・『責任』、取らないと」

 

「え、ユズちゃん?」

 

「『G.Bible』を探しに、また『廃墟』に行くなら・・・・私達も、一緒に行く」

 

「え、え!? 嘘!?」

 

ユズは自分が『部長会議』に出なかったからこんな事になってしまったのだと、罪悪感を感じたのか共に『廃墟』へ行くと言い出す。

 

「ユズちゃん、もう半年間近く校舎の敷地内から出てないのに。授業もインターネット受講だけだし・・・・」

 

普段部屋の外にすら出たがらないユズが廃墟へ付いていくと言い出したため、モモイとミドリは驚いてしまった。

 

「・・・・元々は、私のせい・・・・だから。それに、この部室は・・・・もう私とデンチュラだけのものじゃない。・・・・一緒に、守りたいの」

 

『デンチュラー!』

 

「ユズちゃん・・・・デンチュラ・・・・」

 

「パンパカパーン、ユズとデンチュラがパーティーに参加しました」

 

『デンネー!』

 

アリスとデデンネが笑顔で歓迎の声を上げた。そして、ユズとデンチュラの気持ちを汲んだのか、モモイも腹を括ったように声を上げる。

 

「・・・・うん、よし! やるしかない、行こう!!」

 

「アリスちゃんも、武器とか装備とか回復アイテムとかを

持って!」

 

「アイテムを選択、『光の剣:スーパーノヴァ』を装備しました」

 

『デデン!』

 

「良し、行こっか! 今度こそ、『G.Bible』を手に入れる為に!」

 

『プラ!』

 

「・・・・・・・・うん! 皆で、部室を守ろう!」

 

『マァイ!』

 

ゲーム開発部は再び『廃墟』へと赴くのであった。

そして、校舎を出てミライドンで向かおうと先生がミライドンをボールから出した。

 

“ミライドン!”

 

『アギャァス!・・・・アギャ?』

 

ミライドンは一鳴きした後・・・・ユズに目を向け、ユズに近付いて顔をさらに近付ける。

 

『クゥゥゥゥ・・・・』

 

「っ! な、なに・・・・?」

 

自分に顔を近づけるミライドンに、ユズは少し逃げ腰になる。

 

『(クンクン・・・・クンクン・・・・)アギャ♪』

 

ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。

 

「ちょ、や、やめあ、あぁ、あああああああああああああああああ!!」

 

「「「ユズ(ちゃん)!?」」」

 

「た、助けてー!!!」

 

ユズの匂いを嗅いだ後、ミライドンは顔を笑顔にすると、〈アビドス〉のセリカのように、ユズの顔をペロペロと舐め回し、ユズが悲鳴を上げるのであった。

 

 

 

 

 

ーセリカsideー

 

「ーーーーはっ!?」

 

『ヤミ?』

 

「ん。どうしたのセリカ?」

 

『ルガル?』

 

「いや、今何か妙な感覚を感じたわ・・・・。まるで同じ苦難を味わっている同志が現れたような・・・・!」

 

『ウォー?』

 

「うへ、なにそれ?」

 

『ZZZzzz・・・・ZZZzzz・・・・』

 

『ピジョット』

 

『ルドン』

 

「それにしても、今日もアヤネちゃんとコライドンは仲良しですね♧」

 

『ドサイドン』

 

『アギャォス♪』

 

ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。

 

「た、助けて下さーい!!!」

 

『フラーイ!』

 

『ウィィィ!』

 

『ドーン!』

 

『カメカメ!』

 

『バァナ!』

 

『アビドス自治区』にて、『柴関ラーメン』でラーメンを食べている『アビドス対策委員会』は、平和に日々を送っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そして、ミライドンをユズから引き剥がし、意気揚々(ユズは陰鬱)と『廃墟』に向かい(何故かミライドンのスピードが遅かった)到着したゲーム開発部は・・・・。

 

「・・・・先生っ! 伏せて!!」

 

 

 

ーーーードカアアアアァァァァン!

 

 

早速ロボット達に見つかり、猛攻を受けていた。

 

「うぅ・・・・皆、大丈夫?」

 

「私達は平気、でも思ったより火力が・・・・先生、大丈夫ですか!?」

 

“うん、大丈夫”

 

近くの瓦礫に隠れているミドリとマイナン、ユズとデンチュラに向けて声を上げる。

 

「来た、ロボット達・・・・!」

 

ユズが顔を青くして言うと、ロボット達が隊列を組んで迫ってきていた。

 

“皆、さっき指示した通りにお願い!”

 

「了解! プラスル!」

 

「マイナン!」

 

「う、うん・・・・デンチュラ・・・・!」

 

「お願いしますデデンネ!」

 

『プラ!』

 

『マイ!』

 

『チュラ!』

 

『デンネ!』

 

ゲーム開発部の皆が自分のパートナーに指示すると、プラスルとマイナンとデデンネを背中に乗せたデンチュラが、すぐにその場から跳び去る。

 

“ピカチュウ! ルカリオ! イーブイ! ヒノアラシ! チコリータ! ワニノコ! ロボット達を引きつけるんだ!”

 

『ピカッ!』

 

『カルォ!』

 

『ブイブイ!』

 

『ヒノヒノ!』

 

『チィコ!』

 

『ワニワ!』

 

ピカチュウとイーブイが【かげぶんしん】を使って、ルカリオが【はどうだん】を、ヒノアラシが【ひのこ】を、チコリータが【はっぱカッター】を、ワニノコが【みずでっぽう】を放ち、ロボット達を引きつける。

 

「先生! イーブイを進化させてよ! サンダースとかブースターに!」

 

“ごめん。今ちょっとペンライトが無いんだ”

 

モモイと先生が話していると、ザッザッザッと、足音を立てながら接近してくるロボット達の足元に、“糸を咥えたプラスルとマイナンとデデンネが走り回っていた”。

 

“ーーーーよし! 皆、今だよ!”

 

「よぉし! プラスル!」

 

「マイナン!」

 

「デデンネ!」

 

『プラァ!』

 

『マァイ!』

 

『デデン!』

 

プラスルとマイナンとデデンネが糸を引っ張ると、糸に足が絡まり、隊列の一部が倒れた事により、まるでドミノ倒しのように倒れた。

 

“よし皆、今だよ!”

 

「了解! プラスル!」

 

「マイナン!」

 

「デデンネ!」

 

「デンチュラ!」

 

「「「「【ほうでん】!!」」」」

 

ゲーム開発部が指示を出すと、ポケモン達が電気を放電した。デンチュラの生み出した糸には電気が流れている強力な電気伝導体である。

唯でさえ電撃に弱いロボット達は、4匹のポケモン達の電撃を受けて、動きが緩慢になってしまう。

 

「・・・・良し、アリスちゃん! やっちゃって!」

 

そしえその隙に、ミドリがアリスに向かってそう言うと、コクリと頷き、『スーパーノヴァ』の砲口をロボット達に向ける。

 

「今日の私の役割は、『光属性広域アタッカー』・・・・。前方のモンスター達を、殲滅します」

 

ゲーム脳の為か、自分の役割を静かに口にし、トリガーに指を乗せて引く。

 

「・・・・光よ!」

 

ーーーードカアアアアァァァァン!

 

『スーパーノヴァ』から放たれた光の奔流が、痺れて動けなくなったロボットの部隊を呑み込み、一掃した。

 

『デデン♪』

 

「良し、成功!」

 

「アリスちゃん、凄い!」

 

『プラプラ!』

 

『マイマイ!』

 

戻ってきたデデンネがアリスの頭の上に乗り、プラスルとマイナンもモモイとミドリと共にポンポンを持ってはしゃぐ。がーーーー。

 

「ま、まだ! 敵の第二陣が接近中!」

 

『デンチュラ!』

 

ユズが指差すと、向こうのビルの影から再びロボット達が隊列を組んでやってくる。

 

「ここで立て続けはちょっと・・・・さすがに不利だよ、撤退しよう! 先生もいるんだし、安全第一で作戦を立て直した方が、きっと・・・・!」

 

「・・・・ううん。ここで退く訳にはいかない、突破しよう」

 

『プラァ!』

 

「ええっ!?」

 

『マァイ!?』

 

モモイの台詞に、プラスルは同意するが、ミドリとマイナンは仰天する。

 

「多分ここで退いても、状況は悪くなる一方。ロボットは今の戦闘音を聞いて、この後どんどん集まり続ける筈。全部でどれくらいの数がいるのか分からないけど、多分今が一番手薄・・・・『G.Bible』の座標が示している『工場』に入るには、今が最大のチャンスだと思う」

 

「で、でも・・・・」

 

モモイの意外と理に適った言葉に、ミドリは懊悩するように眉根を寄せる。

 

「大丈夫です」

 

「アリスちゃん・・・・?」

 

すると、アリスが笑みを浮かべてミドリに話しかけた。

 

「私達は今まで一緒に、27のダンジョン探索と、139のレイドバトルを成功させてきました。今回もきっと・・・・このパーティーなら、勝利できる筈です」

 

「で、でも、ソレはゲームの話でしょ!?」

 

「どう転んでも、危険はある・・・・私達も、頑張るから」

 

『チュララ!』

 

ゲームでの経験を言うアリスにツッコミを入れるミドリだが、ユズとデンチュラもやる気を示す。

 

「で、でも先生は? 私達と違って、攻撃を受けたら・・・・!」

 

「安心してください」

 

「えっ?」

 

「どれだけ危険な状況であっても、アリスが先生を守ります」

 

キヴォトス人やポケモンではない先生に、この状況は危険だと言うミドリに、アリスが自分が守ると言い、先生に真っ直ぐに目を向ける。

 

「先生・・・・アリスを信じて、私達と一緒に来てくれますか?」

 

“勿論。私達も『仲間』として、私達にできる事をするね”

 

『ピカチュウ!』

 

『ルカリオ!』

 

『ブイ!』

 

『ヒノ!』

 

『チコ!』

 

『ワニワニワニワニワー♪』

 

先生とピカチュウ達は力強く頷き、ワニノコはさらにステップを踏んで陽気に踊った。

 

「・・・・!」

 

『デデン♪』

 

ソレを聞いて、アリスは笑顔を浮かべて、両手を大きく上げる。

 

「パンパカパーン! 先生達が改めて、『仲間』になりました!」

 

「ふぅ・・・・分かった、私も覚悟を決める! ゲーム開発部、敵を突破するよ! 先生、指揮をお願いします!」

 

腹を括ったミドリがそう言うと、先生は指示を出し、ゲーム開発部とピカチュウ達が、ロボットの軍団に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

ビルとビルの隙間から、『ソレ』は先生達を見つめると、足元で倒れているロボットを口の中に入れて、バリバリと咀嚼してから、先生達ーーーー正確には、アリスを見据えていた。

 

『・・・・・・・・(ジュルリ)』

 

生唾を飲んだ後に、ズズズッと音を立てながら何処かへと向かっていった。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

ロボット達を蹴散らし、ミライドンに乗って駆け出し、漸く工場内部へと入り込んだ一同。前回と同じ様に、工場内に入ると、ロボット達は追いかけて来なかった。

 

「はあ、はあ・・・・何とか成功、かな?」

 

『マイマイ』

 

「進入成功。ミッションをクリアしました」

 

『デデン♪』

 

「ねえねえ、私達ってもしかして実は凄く強いんじゃない? 『C&C』とか、他の学校の戦闘集団と戦っても勝てちゃうかも!」

 

『プラ!』

 

一つの激戦を抜けて、モモイもプラスルが鼻高々に言う。

 

「少なくとも『C&C』は絶対無理だと思うけど・・・・確かに、自分でもちょっとビックリ。きっと、先生の指揮のおかげですね」

 

『マイ♪』

 

「私も、そう思う・・・・先生がいると、安心感が全然違う・・・・デンチュラの能力も、ここまで使えなかったし・・・・」

 

『(コクン)チュララ』

 

先生の指揮が、自分達とポケモン達の力を引き出していると、ミドリとユズは確信していた。

 

「所で、皆残弾数と回復アイテムは尽きてない?」

 

「バッテリーがチカチカしてます・・・・『マナが足りません』、と言う事でしょうか?」

 

「そうかも、後一回ぐらいしか持たなそう・・・・」

 

アリスのスーパーノヴァは弾は必要とせず、電気を使っているのだが、大砲故にエネルギーの消費も早いのだ。残量が少ないのを示す光が点滅を繰り返していた。

 

“あっ、ソレならウタハが【専用ケーブルも付いているから、でんきタイプのポケモン達に充電してもらえば良い】って言ってたよ”

 

「わぁ! ソレなら安心です! デデンネ、我が光の剣に輝きを!」

 

『デデンネ!』

 

アリスが充電用ケーブルをスーパーノヴァから伸ばすと、デデンネは自分のヒゲに付けてから放電した。

 

『デデン、ネー!!』

 

デデンネが放電すると、ケーブルから電気エネルギーがスーパーノヴァに流れていき、バッテリーの点滅が充電中の色に変わった。

 

“デデンネはあんまり電気を放出できないから、でんきタイプの皆で交代で充電しよう”

 

「それじゃぁ、充電が終わるまで、戦闘は避けていこっか」

 

そして一同が工場内を歩き出した。しかし、以前アリスを見つけた時は、この『工場』が導いてくれたようなものであった。改めて見ると、迷路のように出来ている『工場』の中から、『G.Bible』を見つけるのは至難である。

が、アリスはその場に立ち止まったまま、違う通路に目を向けていた。

 

「ここは・・・・?」

 

『デデン?』

 

「あ・・・・」

 

アリスは、何かを思い出したように、声を漏らした。

 

「アリス、どうしたの?」

 

『プラプラ?』

 

「・・・・・・・・分かりません・・・・ですが、何処か見慣れた景色です。こちらの方に行かないといけません」

 

そう言って、アリスはデデンネを連れてその通路へと歩を進めた。

 

「えっ?」

 

『プラ?』

 

モモイとプラスルは首を傾げると、先生達も戻ってきて、モモイとプラスルと合流すると、アリスの後を追いかけた。

 

 

 

 

ーアリスsideー

 

『デデン、デデネ?』

 

先生達も合流し、迷路のような工場の中をアリスは迷う様子もなく進んでいき、『アリスは、ここを知ってるの?』と、言わんげに声を発するデデンネに、アリスは瞑目しながら応える。

 

「アリスの記憶にはありませんが・・・・まるで『セーブデータ』を持っているみたいです。この身体が、反応しています」

 

ゆっくりと進みながら、アリスは独白を続けながら、一つの広い部屋へと到着した。

 

「例えるなら、そう、チュートリアルや説明が無くても進められるような・・・・或いはまるで、何度もプレイした事のあるゲームを遊んでいるかのような・・・・」

 

「どう言う事・・・・? 確かに、元々アリスがいた所と似たような場所だけど・・・・」

 

「あっ、あそこにPCが一台と大きなコンテナが二つ・・・・あれ?」

 

部屋にあったPCと、その後ろに、大型車が入れそうな程の大きさをしたコンテナが二つも並んで置いてあるのを見て、ミドリが訝しそうに眉根を寄せ、他の皆も首を傾げた。

 

「あのPC、電源が点いてる・・・・?」

 

全員がそのPCに近づくと、勝手に起動していった。

 

[『Divi:Sion System』へ、ようこそお越しくださいました。お探しの項目を入力してください]

 

「あっ、まさかの親切設計。『G.Bible』について検索してみよっか?」

 

「いや、ちょっと怪しすぎない? それより『ようこそお越しくださいました』って事は・・・・『Divi:Sion System‹ディビジョンシステム›』って言うのがこの『工場』の名前・・・・?」

 

モモイとミドリが訝しそうな顔をするが、アリスがスッとPCのキーボードに手を置いた。

 

「キーボードを発見・・・・『G.Bible』、と入力してみます」

 

アリスが『G.Bible』とキーボードで入力すると、画面に映し出された。

 

「あっ、何か出た!」

 

[・・・・@:&%$!#$+;/?@*]

 

すると、PCから理解不能な言語が流れた。

 

『プラプラ!?』

 

「こ、壊れた!? アリス、一体何を入力したの!?」

 

「い、いえ、まだエンターは押していない筈ですか・・・・」

 

戸惑う一同に、『ディビジョンシステム』は文字を表示した。

 

[あなたはAL-1Sですか?]

 

『!?』

 

「? いえ、アリスはアリスで・・・・」

 

ディビジョンシステムは『AL-1S』という文字を表示するのを見て、先生とピカチュウ達、才羽姉妹とプラスルとマイナンは驚き、アリス自身は首を傾げる。

 

「ま、待って!」

 

ミドリがアリスの手を止めた。

 

「・・・・何かおかしい。アリスちゃん、今はとりあえず入力しない方が・・・・」

 

[音声を認識、資格が確認できました。おかえりなさいませ、AL-1S]

 

しかし、どうやら既に『ディビジョンシステム』は、音声認識をしてしまっていたようだ。

 

“音声認識付き!?”

 

『ピカッ!?』

 

『デンチュ?』

 

「えっと・・・・『AL-1S』、って言うのは、アリスちゃんの事なの?」

 

まだその事を話していなかったユズとデンチュラも首を傾げてるのを見て、かいつまんで説明した。

 

「・・・・・・・・」

 

ソレを聞いて、アリスは記憶を探るように目を閉じて呟く。

 

「アリスの、本当の名前・・・・本当の、私・・・・あなたは、『AL-1S』について知っているのですか?」

 

[・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]

 

アリスの質問に、『ディビジョンシステム』は沈黙した。

 

「反応が遅い・・・・?」

 

「何か画面もボンヤリしてきたけど、処理に詰まっているのかな?」

 

才羽姉妹が訝しそうに眉根を寄せると・・・・。

 

[そうで・・・・@:&%$!#$+;/?@*!!!!]

 

『ディビジョンシステム』が何かを言おうとするが、またもエラーが起こった。

 

「え、え? 何これ、どう言う意味!?」

 

[それは・・・・・・・・・・・・緊急事態発生。電力限界に達しました、電源が落ちると同時に消失します。残り51秒]

 

電力が下がったのか、電源が落ちそうになったようだ。しかも、データも消失するという最悪な事態。

 

「ええ!? だ、ダメ! せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」

 

“ピカチュウ!”

 

『ピカ!』

 

ピカチュウが電流を抑えて、『ディビジョンシステム』のプラグらしき部分に電気を流す。

 

[電力が供給されました。残り386秒です]

 

「先生! もっと電気を!」

 

“コレ以上の電流はシステムをショートさせちゃうから無理だ! 急いで『G.Bible』を調べないと!”

 

386秒、つまり6分と少ししか時間を稼げない。

 

[あなたが求めているのは、『G.Bible』ですか?〈YES/NO〉]

 

「!?」

 

「YES! 」

 

[『G.Bible』・・・・確認完了、コード:遊戯・・・・人間、理解、リファレンス、ライブラリ登録ナンバー193、廃棄対象データ第1号。残り時間363秒]

 

「『廃棄』!? どうして!? ソレはゲーム開発者たちの、いやこの世界の『宝物』なのに!」

 

ミドリはシステムの確認にYESと答えると、システムは『廃棄データ』となった『G.Bible』の事を詳細について答えるが、モモイは声を張り上げる。

 

[『G.Bible』が欲しいのであれば、提案します。データを転送するための『保存媒体』を接続してください]

 

「えっ・・・・? 『G.Bible』の在り処を知ってるの?」

 

[あなたたちも知っています。今、目の前に]

 

「どういうこと!?」

 

『ディビジョンシステム』は『G.Bible』の在り処を知っているらしく、『保存媒体』を接続するよう言うと同時に、システムはまたよく分からない事を言い出し、モモイは混乱しそうになる。

 

[正確には、私の中に『G.Bible』があります。しかし現在の私は消失寸前、新しい『保存媒体』への移行を希望します]

 

「そ、そうは言っても急に『保存媒体』なんて・・・・あっ!? 『ゲームガールズアドバンスSP』のメモリーカードでも大丈夫?」

 

[・・・・・・・・・・・・まぁ、可能、ではあります]

 

あまりに理解していないモモイに、『ディビジョンシステム』が、もう一度詳しく説明する。ソレを聞いて理解したモモイは、自分の携帯ゲームであるGGAのメモリーカードを差し出した。

 

「な、何だか凄く嫌がってる感じがするんだけど・・・・気の所為?」

 

システムの不満そうな声に、モモイは汗を垂らすが、時間もないので、取り敢えずユズがケーブルを繋げる。

 

「データケーブル・・・・連結完了!」

 

[転送開始・・・・『保存領域』が不足、既存データを削除します。残り時間301秒]

 

「え、嘘っ!? もしかして私のセーブデータ消してない!? ねぇ!?」

 

[容量が不足しているため、確保します]

 

「だ、ダメ! お願いだからセーブデータだけは残して! ソコまで装備揃えるのすっごく大変だっーーーー」

 

[残念、削除]

 

「ちょっとおおぉぉぉぉおおおお!?」

 

ユズがケーブルをパソコンに差し込むと、システムはすぐにデータの転送を開始するが、データの容量が足りないらしく、システムはモモイが苦労して積み上げたゲームのデータを削除しながら『G.Bible』のデータを移行していく。モモイが制止するが、無情にもゲームのセーブデータは消されてしまい、両頬に手を当て、『オーマイガー!』と言わんばかりに上体を仰け反らせた。

 

[・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・]

 

そして、数分が経過すると、ディビジョンシステムはプツン、と画面が消えて、反応しなくなり消えてしまった。

 

“限界、だったか・・・・”

 

『ピカ・・・・』

 

「あれ・・・・電源、落ちちゃった・・・・?」

 

先生が終わったと言うと、ピカチュウも放電を止め、ミドリが見てみると、システムは停止していた。

 

「ああぁぁ!! 私のゲームガールズアドバンスのデータがあぁぁっ!!」

 

『プラプラ・・・・』

 

『マァイ・・・・』

 

そしてモモイは自分のゲームデータが消えたことに絶望し、プラスルとマイナンが慰めた。

しかし・・・・。

 

ーーーーピロリン・・・・。

 

「あ、待って! 何かが画面に・・・・?」

 

モモイのGGAの画面が開かれるのをミドリが気づいた。すると、画面に文字が表示される。

 

[転送完了]

 

「え?」

 

[新しいデータを転送しました。『G.Bible.exe』]

 

「こ、これって!?」

 

システムの電源は落ちてしまったが、どうやらGGAへのデータ移行は完了していたようで、転送完了のメッセージが映し出される。ディビジョンシステムはデータ移行に成功したようだ。

 

「こ、これ今すぐ実行してみよう! 本物なのか確認しなきゃ! 『exe』実行! あ、何かポップアップが出て・・・・って、『パスワード』が必要!? 何それ、どうすればいいのさ!?」

 

「・・・・大丈夫。普通の『パスワード』位なら、『ヴェリタス』が解除できる筈・・・・!」

 

「(コクコク!)」

 

「そ、そうだね、そうすれば・・・・!」

 

『G.Bible』が漸く手に入り、モモイは早速ファイルを開こうとするが、『パスワード』に阻まれ怒り、ミドリが『ヴェリタス』に任せようと言い、ユズも同意するように頷き、モモイも納得した。

 

「コレがあれば、本当に面白いゲームが・・・・『テイルズ・サガ・クロニクル2』」

 

「うん、作れる筈! よしっ! 待っててねミレニアムプライズ・・・・いや、『キヴォトスゲーム大賞』! 私達の新作は今度こそ、キヴォトスのゲーム界に良い意味での衝撃を与えてやるんだから!!」

 

「お、お姉ちゃん、声大き過ぎ、そんな大声で叫んだら・・・・」

 

ーーーーザッザッ、ザッザッ、ザッザッ・・・・

 

意気揚々と声高く叫ぶモモイをミドリが諌めようとするが時既に遅く、ロボット達が迫ってきていた。

 

『・・・・・・・・』

 

「ここにいるって、言ってるような、も、の・・・・」

 

「あちゃー・・・・」

 

『□□□ □ □! □□□!』

 

「な、何だか物凄く怒ってる!?」

 

何やら怒っているような挙動をするロボット達が、銃を構え、発砲しようとしたその瞬間ーーーー。

 

ーーーーグシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

突如、『工場』の外から凄まじい音と同時に、震動がゲーム開発部とロボット達を襲った。

 

「警告! 外から何者かによる攻撃を受けてます!」

 

「な、何者って、誰が?」

 

アリスの言葉にユズが戸惑いがちに聞くと、ロボット達はゲーム開発部を無視して外へと向かった。

 

「せ、先生・・・・これって・・・・!?」

 

“取り敢えず、私達も外に出よう!ーーーーミライドン!”

 

『(ポンッ)アギャァス!ーーーーアギャ♪』

 

「ひっ・・・・!?」

 

『デンチュ・・・・!』

 

ミライドンはユズを見て目を光らせ、ユズは小さく悲鳴をあげてデンチュラの後ろに隠れ、デンチュラが電気が迸る糸を引いて臨戦態勢をとった。

 

“ミライドン! ユズに甘えるのは後! 急ぐよ!”

 

『アギャァ!』

 

先生がミライドンの背に、ピカチュウがミライドンの頭に乗り、先生の後ろにモモイ(頭にプラスル)、ミドリ(肩にマイナン)、アリス(頭にデデンネ)、ユズ(背中にデンチュラが乗って糸で固定)が座り、ミライドンがいつもより少し遅く走り出して工場から外に飛び出るとソコにはーーーー。

 

『ーーーーミミズズゥゥゥゥー!!』

 

『□□、□□□□!!!』

 

真っ赤でぷっくりとした、節のある細長い出立ちで、「環帯」に当たる胴体部分が金属質になっており、顔の先に目と口があり、体の所々に窓のような青い円形の部位があるその全体は、まるで新幹線やリニアモーターカーを連想させるフォルムになっているミミズのようなポケモン『ミミズポケモン・ミミズズ』。

しかも、本来ならば2m位の体躯なのに、そのミミズズは10倍以上の体躯をしロボット達を食べていた。

 

「な、何アレ!?」

 

「アレってミミズズだよね!? 何であんなに大きいの!?」

 

「しかも・・・・ロボット達を、食べてる・・・・!?」

 

「アリス知ってます! ミミズズは鉄も食べる事もあるので、ロボットの義体をした住人達からは恐れられている恐怖のポケモンです!」

 

「いや、アリス! ソコもだけど、あの大きさが異常なんだよ!!」

 

ゲーム開発部が目を見開くが、先生とピカチュウとミライドンは瞬時に理解した。

 

ーーーーこのミミズズも、『秘伝スパイス』を食べて巨大化したんだと、と・・・・。

 

『ミミズ』

 

あらかたロボット達を食い荒らした巨大ミミズズは、ゲーム開発部、もっと詳しく言うと、アリスを見据えた。

 

『・・・・(ジュルリ)』

 

『!!??』

 

「???」

 

巨大ミミズズがアリスに向けてヨダレを垂らすのを見て、アリス以外が肩を震わせた。

 

「あのミミズズ、アリスちゃんを食べる気だよ!!」

 

『マァイ!?』

 

「迎撃準備! アリスを守るよ!!」

 

『プラァ!』

 

「先生・・・・指示をお願いします!」

 

『デンチュ!』

 

“うん! ピカチュウ! 皆も!”

 

『ピカチュウ!』

 

「緊急クエスト開始ですね♪」

 

『デデン!』

 

『G.Bible』を手に入れたゲーム開発部は、巨大ミミズズと戦闘を開始した。

しかし、『G.Bible』を手に入れてしまった事により、彼女達ゲーム開発部の運命も大きく変わる事を、彼女達は勿論、先生ですらも今だ知らない。

 

[ーーーー危険な敵対勢力を確認。『MAGEARNA』ならび『VOLCANION』を起動させます]

 

GGAの『exe』が文字を表示するが、モモイ達にソレに気付く余裕が無かった。




次回、潜鋼のヌシと対決!


ユウカ&サーナイトとノア&エルレイド
ユウカが野生の兄妹ラルトスを見つけて一目惚れしてしまい、手持ちにしようとノアに協力してもらい、兄をノアが、妹をユウカがゲットし、ソレから『ミレニアムポケモンタッグトーナメント』で優勝し、2人のラルトスをキルリアに進化させ、『岩壁エリア』を探索中に野生ポケモンを撃退し、また進化する寸前、ノアのキルリアは道に落ちてた『めざめいし』を踏んでしまいエルレイドに進化。
サーナイトは何かと感情的になりやすいユウカのストッパー役。最近では先生に色目を使っている『ミレニアムポケモンコンテスト』の『かしこさ部門』と『美しさ部門』でトップの成績。
エルレイドはノアの執事兼ボディーガードの役。コンテストでは『かっこよさ部門』で常に1位に輝いている。

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