ーアカネsideー
『ゲーム開発部』と先生がエレベーターに入ったのと同時刻。
ーーーー侵入者を発見。緊急時の為、セミナー専用の各セクションを閉鎖します。
「コレは・・・・シャッターが!?」
『マル!?』
『ゴローニャ!?』
ーーーーガシャンッ!
けたたましいサイレンと共に放送が流れると同時に、アカネ達のいる廊下の前後にシャッターが下りてきて閉じ込められてしまった。
「はぁ、全くもう・・・・」
「へへっ、仲良く閉じ込められちゃったね〜?」
「・・・・そんな事はありません。あなた達と違って、私はシステムに指紋登録がされてますから。痛い思いをしたくなかったら、大人しくしていて下さいね。お会いできて光栄でしたが、私はコレで・・・・」
してやったりの笑みを浮かべるマキに、少しムッとなりながらも、アカネはシャッターを開けようとスマホロトムの液晶に表示されたセキュリティシステムに指を押した。
が・・・・。
ーーーーデータ不一致、未登録の指紋です。
「えっ・・・・!?」
ーーーーセカンドシャッター、作動します
「そ、そんな!?」
ーーーーゴゴゴ・・・・ガシャン!
驚くアカネを他所に、更にシャッターが下りてきて、完全に閉じ込められてしまった。
ーユウカsideー
その光景は、オペレーションルームのユウカ達も見ていた。
「アカネ、閉じ込められてしまいました!」
「誰か生徒会役員を・・・・ノアが近くにいる筈、開けてもらって!」
オペレーターからの報告を聞いて、ユウカはすぐに指示を飛ばしながら、思考を巡らせる。
「(一体どういうつもり・・・・? この状態だと、『本物』のモモイとミドリも閉じ込められて)ーーーーっ、もしかして・・・・!?」
「ノアから連絡! 彼女達も閉じ込められたそうです!」
「ノアの指紋でもシャッターが開かない事で、エルレイドの【テレポート】を使用して良いかと言っています!」
「な、な、なんですって!?」
ユウカが察したように肩を揺らすと、オペレーターからの報告を受けて、驚気の声を張り上げる。
「このタイミングで故障!? 新しくしたばっかりなのに、ソレにちゃんと指紋データも移行して・・・・いや、まさか!? 既にハッキング済み!? と言う事は初めからコレを狙って、最初にアリスちゃんに扉を破壊させた・・・・!?」
ー先生sideー
その頃、先生と『ゲーム開発部』は〈ミレニアムサイエンススクール〉の校舎内部、外側の廊下は大きな窓ガラスが張られ、廊下全体を見られる程であった。
「先生、お姉ちゃん、ハレ先輩から連絡! アカネ先輩を閉じ込めるのに成功したって!」
『マァイ!』
「よし、指紋認証システムは“正常に”作動したね。生徒会の役員は全員隔離できた筈だし・・・・コレで今タワーの中を自由に動けるのは、私達だけ!」
『プラプラ!』
「本来のエンジニア部製よりほんの少し弱そうに見える、最新型のセキュリティ・・・・上手くいったみたいだね。名前を騙してたし、多分アレもエンジニア部製だとは思わなかっただろうね。その辺の塩梅も、流石は『エンジニア部』。さ、【テレポート】で逃げられる前に、早く行くとしましょうか!」
とソコで、ピピッと館内放送が流れた。
ーーーー才羽モモイ、プラスル、才羽ミドリ、マイナン、先生、ピカチュウ、ルカリオ、7名の承認を確認しました。
「なんか、デジャヴみたいな感じがするね・・・・?」
「あー、『廃墟』のアレじゃない? 懐かしい、なんかもう随分昔の事のみたいな感じがする」
モモイが少し懐かしむように言うと、気持ちを切り替える。
「取り敢えずアカネ先輩を封じられたのは良かった。どうせなら、『アスナ先輩』も一緒に閉じ込めたかった所たけど・・・・まだ、居場所が分かってないんだよね?」
「ハレ先輩が、できるだけ〈ミレニアム〉全域を調べてくれたけど・・・・見つからなかったみたい。〈ミレニアム〉の外にいるんじゃないのかな?」
“『アスナ先輩』・・・・?”
『ピカ?』
『ルォ?』
モモイとミドリの話に出てきた『アスナ先輩』と言う生徒の名に先生とピカチュウとルカリオは首を傾げると、ミドリが話し始める。
「ああすみません先生。『アスナ先輩』って言うのは、3年生の『一ノ瀬アスナ』先輩です。『C&C』のメンバーなんです。本人の戦闘力やポケモントレーナーとしての実力はネル先輩に次ぐ実力者なんですけど、凄く明るくて、気さくな先輩なんですよ。プラスルとマイナンにも、良くお菓子をくれたりしましたし」
『マイマイ♪』
「後! ものスゴいナイスバディなの! 『C&C』のメンバーって、ネル先輩以外はもう、アカネ先輩もだけど、身長高い上にボンッキュッボンッ!って女の私達でも羨む程に大きい人達ばかりだけど、その中で『アスナ先輩』は一番だね!」
『プラプラ♪』
ミドリが実力と性格を話しマイナンも頷き。モモイが勢い良くスタイルの良さを話しだし、プラスルがセクシーポーズを取ったりして反応に困ったが。
「いっつも神出鬼没の先輩だし、簡単に見つからないんだよね。何かミッション中に、急にパフェ食べに行ったりする人みたいだし・・・・ま、今の所は計画通りなんだから、気にしない気にしない!」
「誰!?」
と、呑気に話している一同に向かって、鋭い声が響いた。
「ひゃっ!って、生徒会じゃん! まだいたなんて!」
「ど、どうしよう先生!?」
“突破しよう!”
「・・・・うん、突破するしか無さそう」
『プラスル!』
「・・・・はい、そうですよね。ココまで来て逃げる訳にはいきません」
『マイナン!』
“・・・・良し、行こう!”
先生がイーブイと御三家を出して言うと、才羽姉妹とプラスルとマイナンも頷き、銃を構える生徒会の生徒達のその手持ちらしい丸い鉄球の真ん中に黒い点の目があり、左右にU磁石、頭頂部と目下の左右にネジが刺さっている『じしゃくポケモン・コイル』と青銅の鮮やかな体色となり、大きく伸びた白髭など、一見すると神々しい見た目をしたフンコロガシのようなポケモン『ころがしポケモン・ベラカス』を出し、更に警備ロボットやドローンに立ち向かった。
ーアカネsideー
そしてその頃、廊下にアカネを閉じ込めたマキとコトリはニヤニヤと笑みを浮かべていた。
「ふふっ、確かにさっきの合金製とはレベルが違う感じのシャッターだね。さて、どうしよっか? ドーブルの芸術的なペイントで、その真っ白い綺麗なお肌に何かタトゥーでも描いてあげましょうかアカネ先輩?」
『ドブル?』
「それともアカネ先輩? こうして仲良く閉じ込められたのも何かの縁ですし、楽しい相対性理論の講義でも始めましょうか? ソレとも、『ゲーム開発部』に負けてから特訓して進化した私のパモットの実力を見せてあげましょうか?」
『パモット!』
マキとドーブルがニヤニヤ笑いながらアカネにドーブルの尻尾の筆の先を向け、コトリがパモットとジリジリとすり寄っていく。
『マルマル!』
『ゴローニャ!』
が、マルマインとアローニャゴローニャがアカネの前に立って、守ろうとしていた。アカネは急いで耳のインカムに手を当て、声を張り上げる。
「・・・・こちらコールサイン・ゼロスリー! A-11セクションに閉じ込められました! コールサイン・ゼロワン、応答をお願いします!」
《ーーーー相手がオフライン状態です》
アカネが『コールサイン・ゼロワン』、『一ノ瀬アスナ』に通信を送っていたが、インカムがオフライン状態で、通信が通じない状態であった。
「アスナ先輩っ! 一体何処にいるんですか、もう! せめて電源くらい点けておいて下さいよ・・・・!」
気まぐれな所がある先輩に、アカネは頭痛は堪えるように額を抑えた。
ーーーーピピッ。
すると、アカネのインカムに通信がはいった。
ーーーーConnecting New Messasage
『新しいメッセージを接続する』、と音声が流れると、インカムから別の声が聴こえた。
《『アスナ先輩』の居場所は分からないけど・・・・安心して、アカネ》
「げっ!? あの声は!?」
「『カリン先輩』!?」
ドーブルの筆で、アカネのマルマインとアローニャゴローニャの顔にイタズラ描きをしていたコトリとマキが、アカネのインカムから聴こえた声の主の名を、目を見開いて叫んだ。
《ーーーー『ゲーム開発部』はもう、私の射程範囲内だ》
それは、コールサイン・ゼロツー、『C&C』のスナイパーの声であった。
ー先生sideー
先生の指揮で、モモイとミドリ、ルカリオが生徒達や警備ロボットやドローンを撃破し、ピカチュウと共にプラスルとマイナンはコンビネーションでベラカスを倒し、ヒノアラシ、チコリータ、ワニノコの御三家がコイルを撃破していった。
「最後のシャッターを解除! ふふっ、今やこの生徒会専用フロアは私の思うがまま〜♪ さて、もう少しで『鏡』がある差押保管所に・・・・」
『っ! カルゥ!』
《モモイ、伏せて!》
「えっ?(グイッ)ぐへっ!?」
『プラァ!?』
意気揚々と歩くモモイの耳に、ハレの声が響いて間の抜けた声を漏らしたモモイの服の襟首を掴んだルカリオが引っ張ると、尻もちをつかせ、プラスルも床に落ちたその瞬間・・・・。
ーーーードカアァン!
「うわあああっ!」
『プラァァァァ!』
窓ガラスをブチ破り、モモイの頭があった所に一直線に飛んできた弾丸が壁をブチ抜いていった。
ソレを見てモモイとプラスルが抱き合って悲鳴をあげた。
「い、今頭の上を、なんか凄まじい威力の弾丸が! 壁に穴が空いてるんだけど!?」
「対物狙撃用の19mm弾!? 良かった、お姉ちゃんの背が後5cm高くて、ルカリオの引っ張るのが後少し遅かったら、オデコにクリーンヒットだったよ・・・・」
『マイマイ〜!』
『プラスル〜!』
「ヒューっ、確かに。小さくて良かっ・・・・じゃないよ!」
マイナンとプラスルがお互いに抱き合って泣き、モモイがガバっと起き上がってミドリの言葉にツッコミを入れた。
が、ミドリはそんな姉の憤慨を無視して、ブチ破られた窓の向こうに目をやりながら、同じ狙撃手として誰がやったのかを察して後ろに下がる。
「この辺りはもう、狙撃ポイントに入ってるって事だね。・・・・『C&C』の狙撃手‹スナイパー›、『カリン先輩』の」
“『カリン』? その子も『C&C』のメンバーなの?”
「はい。『C&C』のメンバーの中では一番の常識的な人ですね」
「後! コレまた身長高くて、褐色お肌で巨乳のナイスバディ! 『アスナ先輩』とアカネ先輩に比べると胸はちょっとだけ小さいけど、それでも私達より全然大きいけどね! 後、胸よりもお尻の方が大きいってウタハ先輩が言ってた!・・・・って! そんな事よりも! 皆、伏せて! また来る!」
ミドリが『カリン』の事を簡潔に説明すると、モモイがまた反応に困る事を説明するが、すぐに全員が頭を伏せて窓から離れ、壁を背に寄りかかる。
が・・・・。
ーーーードゴオォォォォン!
「うわぁぁっ!?」
窓からは見えない筈なのに、『カリン』の弾丸はコチラの位置が正確に分かるように、壁をブチ抜いて正確に狙撃してくる。
“コレは、まるで壁が透けて見えているかのような狙撃だ・・・・!?”
「・・・・見えているんですよ、多分。だって『カリン先輩』の手持ちはーーーー」
ーカリンsideー
ソコは『ミレニアムタワー』から少し離れた位置にある『ミレニアム・第3校舎屋上』では、1人の生徒が狙撃銃を構えていた。
「・・・・成る程、筋は悪くない。小さくてすばしっこくて、当たりにくいし、壁に隠れたようだけど・・・・『レントラー』」
『ガゥ』
黒に近い褐色の肌、その肌よりも黒く長い髪、端正な顔つきと金色の瞳は鋭く、170cmはある長身でありスカートの丈が短い、と言うよりも軽装なメイド服に包まれたその胸元は大きく、スタイルも非常に整っており、見る者によってはまるで黒い女豹を思わせるルックスをした〈ミレニアムサイエンススクール〉の2年生にて、『C&C』のコールサイン・ゼロツー『角楯カリン』。
そしてその狙撃銃『ボーイズ対戦車ライフル・ホークアイ』を構えて片膝をついていた。
そしてその傍らには、青い体色を黒い体毛で覆い、瞳はカリンと同じく金色をしたライオンのような四足獣のポケモン、『がんこうポケモン・レントラー』(首元には蝶ネクタイを付けた首輪が付けられている)であった。
そして、レントラーはその金色の瞳を光らせて、カリンがスコープで見ている階層を見ると、壁の向こうにいる『ゲーム開発部』の姿が見れた。レントラーの持つ『透視能力』である。
『ガゥガゥ、ガゥ』
レントラーがカリンに、相手のいる位置を伝え、カリンがホークアイの銃口を修正してから、引き金を引いた。
ーーーードカアァン!
『ガゥガゥ。ガゥゥ』
ビルの壁を撃ち抜いたのを見てレントラーが「僅かに外れた。修正して」と言っているように鳴き声をあげると、カリンは狙いを修正しようとする。
「次は、100%当てる」
『ガォ』
レントラーの透視で相手の位置を伝え、カリンが銃を向けて再び引き金に引こうとしたその時ーーーー。
「それはどうかな?」
『「!?」』
突然後ろから聴こえた声に、カリンとレントラーはビクッと身体を震わせる。
「私の計算結果は少し違う。君の弾丸があの子達に当たる確率は、0%だ」
カリンは懐のモンスターボールを振り向き際に投げた。
「『ムクホーク』! 」
『ピィーッ!!』
飛び出した大型の鳥ポケモン。頭の鶏冠も大きく、先は赤色で、前方に垂れ下がっており、眼光は鋭く、体色は全的的に黒色や灰色をメインとしている。嘴と爪は黄色。嘴の先は黒となっている『もうきんポケモン・ムクホーク(蝶ネクタイ付きの首輪装備)』が飛んでいった。
ーーーーガキィィィィンン!!
そして、ムクホークとぶつかり、甲高い音を響かせたのはーーーー機関銃を搭載した無人の白い砲台『セントリーガン』を付けた、『椅子』であった。
ーーーーウィーン、ガシャン
『ピーッ!?』
そのセントリーガンが駆動すると、ムクホークは後ろに大きく翼を開いてはためかせ、カリンの側まで後退する。
「・・・・は?」
突然現れたセントリーガンに、カリンは思わず間の抜けた声を発してしまったその瞬間、
『ーーーーロトロト』
ーーーーダダダダダダっ!!
鳴き声が聞こえたセントリーガンの2門の機関銃から弾丸が発射され、カリンとレントラー、ムクホークはすぐに回避した。
「なっ、何だソレは!?」
「ーーーー紹介しよう」
驚くカリンに、セントリーガンの後ろから、1人の生徒が現れたーーーーウタハである。
「『エンジニア部』の新作、全ての天候に対応可能な二足歩行型戦闘用の『椅子』、『雷の玉座』さ。そして、この『雷の玉座』、『雷ちゃん』には、私のロトムが入り込んでいてね。名付けるならばーーーー『雷ロトムちゃん』だ」
「名前くっつけただけだろ。ロトムは元々『でんきタイプ』なのに雷を付ける意味あるのか? ソレに何で椅子を歩かせ・・・・カタパルトまで付いてる!?」
ウタハのネーミングに半眼となったカリンは、『雷ロトムちゃん』の装備にツッコミを入れる。
「この『雷ロトムちゃん』の魅力を理解してもらえないとは、残念だね・・・・」
「・・・・理解できないけど、およそ把握できた。ずっと、気になっていたんだ。どうして『ゲーム開発部』が、ミレニアム生徒会のセキュリティを突破して、ここまで来る事が出来たのか」
残念そうに肩を竦めるウタハに、カリンはココまでの『ゲーム開発部』が有利になるような展開ができたのか理解し、親指でミレニアムタワーの『ゲーム開発部』がいる区画を指す。
「・・・・あなた達が、あの『先生』に協力してたのか。やはり“ヒマリの情報”も、私達を混乱させる為の罠だった・・・・?」
カリンは最後のボソッと呟きながら思案を巡らせる。
「と言う事は・・・・!」
ーーーードカアァン!
カリンは思い至ったように『ホークアイ』を構えると、『雷ロトムちゃん』に向かって引き金を引いた。
『ロトロト!!』
が、『雷ロトムちゃん』は椅子の足を動かして回避した。
「レントラー! ムクホーク!」
『ガゥ!』
『ピィー!』
「【スパーク】! 【スピードスター】!」
カリンが指示を出すと、レントラーは電撃を浴びせ、ムクホークは星型のエネルギー弾を発射するが、『雷ロトムちゃん』は屋上を走り回って回避をした。
「残念ながら、『雷ロトムちゃん』には耐電コーティングをしているのでね。【10万ボルト】にも耐えられるよ」
「成る程。流石はロトムが入っているだけあって簡単には破壊できないか・・・・。銃を持つ椅子、面白い・・・・」
そう言ってカリンとレントラーとムクホークは構える。
「だけど、私達を本気で止めるつもりなら、奇襲で来るべきだった。その『椅子』があるとは言え、正面から挑んで来るなんて・・・・それは計算ミスだろう、ウタハ。遮るものも無いこんな広い屋上で、私に正攻法で勝てると思ったのか?」
「・・・・・・・・」
カリンがそう問いかけると、ウタハは傍らに『雷ロトムちゃん』を置いて瞑目してから、再び目を開けて説明する。
「君の言う通りだ。ここには遮るものは何もない・・・・そう、天井すらもね」
「?」
ウタハの言葉の意味が分からず、眉根を寄せるカリンの耳に、妙な風切り音が聞こえていた。
ーーーーフォンーーーー。
「・・・・この音は!?」
ーーーードゴオォン!
カリンが上を見上げるのと同時に、自分達のいる屋上に向かって、砲弾が落ちてきて爆発した。
爆煙からカリンを背中に乗せたレントラーが飛び出し、ムクホークは空へと離脱していた。
「まさか、曲射砲!? 一体何処から!?」
「うちのヒビキが『ミレニアムタワー』の反対側から、ね」
驚いているカリンに、『雷ロトムちゃん』に乗って回避したウタハが説明する。
「君がヒビキを狙撃する為には、ムクホークに乗って反対側に飛んで行かなければならない、が。そうはさせないさ。『雷ロトムちゃん』」
『ロトロトロトロトロトロト!!』
ーーーーガルルルルルルルル!!
『ピィーッ!』
ムクホークがカリンの元へ向かおうと降下してくるが、『雷ロトムちゃん』が2門の機関銃を放ってソレを遮った。
「ちっ、レントラー!」
『ガゥウッ!!』
舌打ちしたカリンが、レントラーに『雷ロトムちゃん』を攻撃させようとした。
が・・・・。
「それもさせないよ。ーーーー『ガケガニ』!」
ーーーーポンッ!
『ガァニィーッ!!』
ウタハがモンスターボールを投げて開くと、通常のガケガニよりも、“身体が一回り大きいガケガニ”が現れた。
「! そのガケガニは!?」
カリンが目を少し見開いた。何故ならそのガケガニは、以前の依頼でユウカとノア、『エンジニア部』の面々の護衛として『岩壁エリア』に赴き、『ひでん:あまスパイス』の採集と調査の際に現れた『巨大ガケガニ』であった。
『リーダー』と『リーダーの手持ち』が戦って瞬殺したのだが、その後その巨大ガケガニの身体が小さくなり(それでも通常のガケガニよりも大きかったが)、『ひでん:あまスパイス』を食べた影響と考え、その検査の為にウタハがゲットしたポケモンである。
「ガケガニ、【ロックブラスト】」
『ガァニィ!!』
ガケガニが幾つもの岩を生み出して発射すると、レントラーは器用にバックステップしながら攻撃の回避に専念した。
「くっ・・・・!?」
レントラーはガケガニ、ムクホークは『雷ロトムちゃん』にマークされて動けなくなった。狙撃をしたくてもウタハの指示によって曲射砲がやって来て狙撃に集中できない。かなり不利の状況にカリンが歯噛みする。
「ふふ、もう一度言ってあげようか?」
カリンの様子を見て、ウタハがドヤ顔を浮かべて得意満面に言う。
「計算通りだ」
ー先生sideー
そして、カリンからの狙撃に動きを封じられていた先生達は。
「・・・・狙撃が止んだ」
「ウタハ先輩とヒビキちゃんだ! カリン先輩の相手をしてくれてる間に、急ごう!」
狙撃が止んだのをコレ幸いと、廊下を駆け出そうとした一同。
ーーーーが。
ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴーー!
突如、ビル全体が揺れているかのような震動が起こった。
「えええっ!? な、何、地震?」
「『爆発』、みたいだけど・・・・まさか!?」
ミドリは嫌な予感がした。
ーアカネsideー
そしてこちらは、アカネが閉じ込められていた校舎に爆煙が舞っていた。
「・・・・・・・・・・・・」
『マルマル!』
『ゴローニャ!』
サイレントソリューションを片手に持ち、もう片方の手に爆弾を携えたアカネが、顔に落書きをされたマルマインとアローニャゴローニャを連れて立っていた。
「くうっ・・・・講義はまだ、終わって・・・・!」
『パモ〜・・・・』
「ひーっ、死ぬかと思った! マルマインやゴローニャを抑えていたのに、一体何処にそんな大量の爆弾を隠していたのさ・・・・!」
『ドーブル〜・・・・』
どうやらアカネが、隠し持っていた爆弾でシャッターを爆破したようである。爆発による衝撃波をモロに受けたコトリとパモットが目を回し、マキとドーブルはギリギリ回避できたが頭がグラついているようであった。
「ふぅ、あまり学校の設備を壊したくないのですが・・・・。ユウカ、申し訳ないですがシャッターは無理矢理破壊しました。『ゲーム開発部』の現在の位置は?」
《さっきまでカリンが足止めしていたけど・・・・見失ったわ。けど・・・・何処に向かってるのかは分かる》
「『鏡』がある。生徒会の差押保管所の方ですね。では、すぐにエレベーターでソチラに向かいます」
が、ソコでアカネの耳のインカムから、ピピッと、電子音が聞こえると、ユウカとの通信がプツリと切れるのと同時に、通路を薄暗くしていた照明が全て消えてしまい、真っ暗闇の世界へとなっていた。。
「!? どうしました? ユウカ? ユウカ??」
突然の通信不能と停電に、アカネが訝しげに眉根を寄せながら、インカムに手を当ててユウカの名を呼び続けるが、返答はまるでなかった。
「まさか、電力を遮断・・・・!? くっ、ここまでするとは・・・・!!」
すぐに予備電源が機能したが、通信は不能のままでアカネは歯噛みした。
ー先生sideー
校舎内部をコッソリと、そして素早く移動している先生達。ピカチュウとプラスルとマイナンが少し放電して周囲を少し明るくする。
「さっきの停電、ウタハ先輩とヒビキの策が成功したって事だよね?」
「うん、その筈。あ、先生。足元暗いのでら気を付けて下さいね」
“うん”
「ここを抜ければ・・・・」
「うん。もう生徒会の差押保管所の筈! 漸くこれで・・・・!」
遂に目的の場所まで後一歩で到着する。
と、その時ーーーー。
「お、やっと来たね」
聞いた覚えのない声が、先生達の耳に入った。
「?」
「!?」
『プラ?』
『マイ!?』
その声の主を知っているのか、才羽姉妹とプラスルとマイナンは肩を揺らす。
「遅かったねー、だいぶ待ってたよ~。ようこそ、『ゲーム開発部』! それに、えっと・・・・先輩、だっけ? あ、違う違う、思い出した! 『先生』だ! ずっと会えるのを楽しみにしてたんだよ〜」
「あ、『アスナ先輩』!? どうしてここに!?」
“あの子が?”
ミドリの言葉に、先生は『アスナ先輩』と呼ばれた少女を改めて見る。
アッシュグレーの長髪に青色の瞳のツリ目、蠱惑的な笑みに、やや馴れ馴れしくも感じ取れる人懐っこい笑顔とフランクな口調と、ハスミには少し劣るが、ソレでも165センチ以上はある長身に、男女共に目を引くダイナマイトボディを軽装なメイド服で包まれ、白い肌に形も美しく大きさも豊かな胸元の上半球と深い谷間が丸見えで、左胸のほくろが特徴的な少女『一ノ瀬アスナ』である。
「あ、この子達も紹介するね♪ 私のパートナーの『プリン』と『ハピナス』だよ♪」
『プリン♪』
『ハピ♪』
アスナの傍らにいるのは、耳があり前髪を垂らしたピンク色のとても可愛く愛らしい容姿をした球体に、コレまた可愛らしい手足を付け、可愛らしい円らな瞳をしたポケモン『ふうせんポケモン・プリン』。
顔立ちは可愛らしく、左右についていた耳のような髪はカールされており、下半身は白く、腰周りと腕にフリルのようなものが付いて、まるで天使や看護師を思わせる外見となった『しあわせポケモン・ハピナス』。
2体とも、頭にはヘッドドレスを付けており、メイドのようであった。
「さっきのミドリの質問だけど・・・・何となく? 予感とか直感とか、そう言うのってあるでしょ? ココで待ってたら先生にも、あなた達にも会えるんじゃないかなー、って。そんな予感がしてたから!」
「難しい言葉じゃないのに、全然何言ってるか分からない・・・・」
あっけらかんと応えるアスナに、ミドリは困惑してしまう。
「さっ、じゃあ始めよっか?」
「えっと、念のために聞くのですが、何を・・・・?」
「戦闘を! 私、戦うのも、ポケモンバトルも大好きなの! あ、そうだ。先生にはまだちゃんと自己紹介してなかったね。C&Cコールサイン・ゼロワン、アスナ! 行くよっ! プリン! ハピナス!」
『プリン!』
『ハピッ!』
「「や、やっぱりっ!」」
「プラァ!」「マァイ!」
ここまで『セミナー』の人員程度が相手で、簡単に進んできた『ゲーム開発部』だったが、ここにきて強敵とのバトルが始まってしまい、才羽姉妹とプラスルとマイナンはお互いに抱き合って悲鳴をあげた。
ーユウカsideー
場所は変わりオペレーションルーム。
「差押品のロボットを全部出して! 本当なら塗装し直して、学校の掃除用ロボットとして使おうかと思ったけど・・・・背に腹は代えられない、今は侵入者たちを撃退するのが先! メイド部の命令を聞くように、全機プログラムを変更したわ、アカネ!」
《承知しました。ロボットも使わせてもらって、あらためてゲーム開発部を『お掃除』します》
アカネを閉じ込められ、カリンは動きを抑えられ、差押品保管所へ迫る『ゲーム開発部』にユウカは焦りと怒りが込み上がっている。差押品であるロボットまで持ち出して止めようと必死であった。映像では、ノアとエルレイドも脱出できたようである。
〈ミレニアム〉製の建材にはエスパータイプのポケモン達による【テレポート】や【サイコキネシス】を妨害する特殊素材を使われているのだが、まさかこんな形で自分達の首を絞める事になろうとは。
ロボットの援護を受けてアカネは『ゲーム開発部』を追うのであった。
ー先生sideー
そして、アスナ達と交戦している先生と『ゲーム開発部』は。
「プリン! ハピナス! 【チャームボイス】!!」
『プゥリィィィィィィィィン♪』
『ハァピィィィィィィィィィ♪』
アスナ自身の戦闘力もさる事ながら、プリンとハピナスはピンク色の音波を放ってきた。
“ピカチュウ! 【かみなりパンチ】! ルカリオ! 【はどうだん】!”
『ピカァァッ!』
『カルゥォッ!』
ピカチュウとルカリオが技を放って応戦すると、爆風が狭い廊下に吹く。
「うあぁっ!」
『プラァァ!』
「で、でたらめに強い・・・・!」
『マァイマイ・・・・!』
“これが、『C&C』のエージェントの実力・・・・!(アスナの実力は〈ゲヘナ〉のイオリ以上、〈トリニティ〉のハスミクラスって所か・・・・)”
『ヒ、ヒノォ・・・・!』
『チコォ・・・・!』
『ワニィ・・・・!』
『ゲーム開発部』は元々ポケモンバトルはあまり得意ではなく、ヒノアラシ達御三家もまだまだ経験不足と、アスナ自身の実力とトレーナーとしての力量差もあり、本来ならば戦闘向きではないプリンとハピナスが、凄まじい強さを発揮し、徐々に追い詰められていく。
「ふーん・・・・」
そんな『ゲーム開発部』を見て、アスナは笑みを浮かべたまま思考を巡らせる。
「(思ってたより、全然悪くない。戦闘能力は先生のピカチュウとルカリオ以外は、お世辞にもスゴイとは言えないけど・・・・。チームワーク・・・・って言うのかな。まるで2人で1人みたいな動き。その点においては、間違いなくベテラン級。先生のピカチュウとルカリオは『リーダー』の手持ちの子くらいはあるね。御三家の子達も伸び代が大きいし、いや、あの様子だと後間もなく・・・・)」
と、ソコまで考えてから、アスナはニッと笑みを濃くした。
「良いじゃん良いじゃん!」
「くぅっ、まさかここでアスナ先輩と出くわすなんて・・・・」
「お姉ちゃん、一旦退こう!」
「うん、仕方ない・・・・!」
「プラスル!」
「マイナン!」
「「【フラッシュ】!!」」
『プラァー!』 『マイィー!』
モモイとミドリが腕で目を隠してからの指示でプラスルとマイナンが強烈な閃光を放つと同時に、先生達も目を閉ざした。閃光弾の代わりとして用いる技である。
「そうはさせないよっ!」
少し目に閃光が入ったアスナがそう言うのと同時に・・・・。
ーーーードカアァン!
「きゃぁっ!?」
『マイ!?』
突然窓をブチ抜いてきた弾丸に悲鳴を上げた。
『プラプラ!』
「大口径弾!? 何で!?」
驚くモモイに、壁にめり込んだ弾丸を抜いてきたプラスルがミドリに弾丸を見せる。
「これ、カリン先輩の・・・・って言う事はまさか、ウタハ先輩・・・・!?」
ーウタハsideー
「・・・・・・・・??」
そして第3校舎屋上でカリンを足止めしていた筈のウタハは目覚ますと、自分は横に倒れており、視線を横にすると、レントラーとムクホークに踏まれた『雷ロトムちゃん』とガケガニが目を回して気絶しているようだ。
視線を上にすると、目の前に形は良く大きな安産型のお尻があった。
「どうして私は、横になって・・・・それに、この大きなお尻は一体誰の・・・・?」
「・・・・大きくて悪かったな」
不満気な声をしたのは、カリンであった。
「結構キツイ所に当たった筈だけど・・・・思ったより早いお目覚めだ」
カリンが気絶したウタハに跨りながらゲーム開発部たちを狙撃している。
「・・・・ごめん、手加減する余裕は無かった」
「まさかヒビキの攻撃の中でも、正確に私を狙撃できるなんてね。それに、君がこうして私のすぐ傍にいるのは・・・・」
「そう。この状態なら、先輩思いの彼女はまさか撃ってこないだろう」
手こずったようだが、カリンは手加減無しで狙撃してウタハを倒し、トレーナーが倒されて隙ができた二匹をレントラーとムクホークに撃破させた。
そして、向こうのビルから曲射砲を構えているヒビキに自分を撃たせない為にウタハに跨っていた。
「はあ、コレは計算外だった。あの防煙の中で、どうして私の事を正確に狙えたんだい? レントラーの透視にも見つからないように立ち回っていたつもりだが?」
「視覚でしか敵を捕捉できないような狙撃手なんて、『C&C』にはいない。ソレより、あまり離れないでほしい。余計な事をしても、身体を痛めるだけだ。私も心が痛む」
「・・・・・・・・ほんの少しで良いから離れてもらえるかい。この状態だと君のお尻が近過ぎて、知らない人から見られたら変な噂が立ちそうでちょっと困る」
確かに、今の2人の状態は、ウタハにカリンが跨っているような姿なので、見る人によっては百合の花が咲き乱れる光景に見えるだろう。
因みに2人の恋愛価値観は極めてノーマルである。
「ソッチが背を向ければいいだろう!?」
思わず声を荒げるカリンだが、後に『先生の(悪い意味で)お気に入りの生徒』で、イオリと並ぶ存在になるのであった。
オリジナルロトム・『雷ロトムちゃん』
プラズマポケモン でんき・はがねタイプ
全長1.5メートル 重さ80kg 特性ふゆう
ガトリング砲から【ジャイロボール】と【エレキボール】を弾丸として放つ事ができるが、射撃精度はあまりよろしくない。
カリン&レントラー&ムクホーク
『保安部』にいた頃からの付き合い。レントラーは『透視能力』で狙撃のサポートをし、ムクホークは狙撃ポイントからの離脱と仲間達の移動手段としている。
アスナ&プリン&ハピナス
プリンは【うたう】でアスナの脳機能を休ませて寝かし、ハピナスは日常生活が難しくなるアスナのサポートをしており、『戦闘』と言うよりも『介護』でアスナの力になっている。
スパロボYに夢中になりましたので、投稿はしばらくお休みします。申し訳ありません。