ー先生sideー
アスナとプリンとハピナスと交戦している才羽姉妹と先生に、ハレからの通信が入った。
「ハレ先輩から連絡! カリン先輩を抑えられなくなって、ウタハ先輩が捕まっちゃったって!」
「この状況を見れば分かるよ!」
「あっ、マキからも連絡! 『アカネ先輩』がシャッターを爆発させて脱出したみたい! 同時に、スゴイ数のロボットがコッチに向かってきてるって・・・・!」
「ええっ!?」
「あははっ、何が何だか分からないけど、私たちが優勢って感じ? もしかして、もうそっちの計画は失敗寸前かな!」
「ううっ・・・・!」
「失敗・・・・」
完全に手詰まり状態に、才羽姉妹はーーーー。
「・・・・違う、まだ失敗じゃない・・・・!」
ミドリが断言した。
* * *
作戦開始の15分前、『ヴェリタス』の部室にて。
【うぅっ、どう考えても結局ここで詰まっちゃう・・・・】
【『プラァ・・・・』】
頭に乗せたプラスルと共に、モモイが頭を抱える。
【扉を破壊して、皆の注意を引きつける所までは先ず成功する筈】
【次にアカネ先輩とアスナ先輩を封じて、カリン先輩を阻止。生徒会の警備ロボット達と対峙する。ここを突破すれば、差押保管所に侵入するまでは難しくないけど・・・・】
ミドリも眉毛を寄せながら作戦の概要を呟く。
【その内の、どれか1つでも失敗した場合・・・・】
【『マァイ』】
【そしたら、計画が丸ごと駄目になる。キッチリ身構えた『メイド部』を相手にするなんて、〈ミレニアム〉のどんな集団でも無理。もし『ヒマリ先輩』の名前を出して混乱させたとしても、多少時間を稼げるだけで、最終的にはそのまま包囲される筈。侵入から2分以内にアカネ先輩、もし一緒にいればアスナ先輩も合わせて2人を封じる。5分後にカリン先輩を阻止、11分後にロボットを突破、13分後に『鏡』を確保、その後・・・・】
【・・・・どう頑張っても、20分後には全員捕まっちゃう】
【デンチュラ・・・・】
と、モモイの話に入ってきたのは、ロッカーに引きこもっていたユズと、ユズを連れてきたデンチュラであった。
【・・・・・・・・『全員』じゃなければ、良いんじゃない?】
どうするか悩んでいる一同に、ミドリが声を発した。
【え?】
【例え私達の内の何人かが負けたとしても、最後に勝つ方法・・・・もしそのタイミングで・・・・】
【み、ミドリ、何を言ってるの?】
ブツブツと呟き続ける妹に、モモイは困惑気味に問う。
【・・・・計画通りに行かなかった場合の事も、計画しておかないと】
***
と、慎重な性格のミドリの立てた作戦は・・・・。
ーアリスsideー
ここは『ミレニアムタワー』にある『生徒会所有の反省部屋』。
ソコには、昼間大暴れして捕らえられたアリスがいた。
『デデン!』
「・・・・あっ」
ソレまで瞑目していたアリスが、通気口から出てきたデデンネの声を聞いて目を開いた。デデンネが何故通気口から出てきたのか。
ソレは、モンスターボールに入れられて没収されないようにする為であったからだ。
『ヴェリタス』から、『ミレニアムタワー』の通気口から反省部屋までの通路を覚えさせられたデデンネ達は、先生の手によって通気口に入り、デデンネはアリスのいる反省部屋にやって来たのだ。
「電力遮断、このイベントが来たと言う事は・・・・」
そう呟くアリスの耳に、反省部屋の扉のロックが解除された音が聞こえた。
「EMP発動・・・・ハレ先輩のハッキングを使った設定の変更・・・・。タワーの電子式の扉を自由にできる、シャッターにしたのと同じ方法・・・・把握しました」
ハレのEMP攻撃により、ミレニアムタワーのセキュリティシステムが『ヴェリタス』に戻り、アリスはデデンネを連れて反省部屋を抜け出す。
「アリスとデデンネ、脱出します!!」
『デデン!』
ソレは事前に決めていた『合図』であり、部屋を出たアリスは通路に置かれた棚の傍らに立てかけられていた『スーパーノヴァ』を手にすると、充電ケーブルをデデンネに持たせた。
「お願いします、デデンネ」
『デデンー!!』
デデンネはすぐに放電し、『スーパーノヴァ』にエネルギーをチャージする。この為にデデンネは、昼間アリスの側におらず、ずっと先生のピカチュウとサンダース(色違い)、プラスルとマイナンから電気を補充してもらっていたのだ。
「ここからの、アリスのクエストは・・・・まず、生徒会の『差押品保管所』に向かう事」
そう。ミドリの作戦は、自分達が負けた時に際し、アリスとデデンネに向かってもらい、『鏡』を回収する事であった。
アリスはデデンネと共に、『差押品保管所』へと向かって行く。
ー先生sideー
「私達が派手に動けば動く程、一度閉じ込めたアリスへと警戒は薄くなる筈・・・・それに、もしこのタイミングで私達が捕まったとしても、謹慎ぐらいだったら、部室でこっそり『G.Bible』を見ながら『テイルズ・サガ・クロニクル2』が作れる」
「う〜ん、何の相談かなー?」
小声で相談しているモモイ達に、アスナは首を傾げる。
「ちょっとずつ必死さが無くなってる気がするけど・・・・まさか諦めたわけじゃないよね?」
「この状況なら、諦めた方が賢明だとは思いますけどね」
「うっ、ユウカ!」
『チィコォ・・・・!』
『ヒノヒノ!』
『ワニワニ!』
アスナとの戦闘に手こずっている内に、遂にユウカがサーナイトを引き連れてオペレーションルームから降りてやってくる。サーナイトを見た瞬間、チコリータが威嚇するように小さく唸り声を上げて、ヒノアラシとワニノコが抑えた。
「久しぶりね。とりあえず、ここまで状況を引っ掻き回したことについては褒めてあげる。それについては本当に驚いたわ。でもソレはソレ、コレはコレ・・・・こんなありとあらゆる方法を使ってまで生徒会を襲撃するなんて、やり過ぎよ。猶予を与えたこと言い、ちょっと甘すぎたのかしら」
ここまでやるとは思っていなかったのか、やれやれと肩を落としたユウカだが、キッと目を鋭くして、『ゲーム開発部』を見据えて言い渡す。
「もう悪戯じゃ済まされないわよ。『無条件の1週間停学』か、『拘禁』くらいは覚悟した方が良い」
「『停学』!? 『拘禁』!?」
『プラァー!?』
『ヒノー!?』
「そんな、1週間だと・・・・『ミレニアムプライズ』が終わっちゃう!」
『マァイー!?』
『チコ!?』
『ワニィ!?』
『ゲーム開発部』と御三家が悲鳴を上げているが、本来ならばこれだけの騒動をやらかして『停学』と『拘禁』だけで済む訳が無いのだが。
“(やっぱりユウカは優しいね)”
『(ピカピカ)』
『(カル、ルォー?)』
先生とピカチュウはアイコンタクトでそう会話するが、ルカリオは「しかし、どうしたものですかね?」と言いたげな視線を向けていた。
「アリスちゃんも、今は『反省部屋』に入ってもらってるわ。一人だけで可哀想だったけど、あなた達が来ればきっと喜ぶでしょう」
「うぅっ・・・・!」
「お、お姉ちゃん・・・・!」
「捕まっても大丈夫だと思ったけど・・・・このままじゃ・・・・例え『鏡』を奪えたとしても、アリスとユズだけじゃゲームを作れない・・・・。どうにかして、突破しないと!」
「突破? へえ、“私達”を?」
ユウカが意味深に目を細めると、別の通路から灰色の長髪と眼鏡を掛けてメイド服越しでも分かる程の豊満な胸元と豊麗なプロポーションをした女の子と、マルマインとアローニャゴローニャ、更には戦闘ロボットまでもが現れた。
「ふぅ、やっと着きました・・・・。こんなに息が切れるなんてまさか、本当に体重が・・・・いえ、そんな筈は・・・・ないですよね? マルマイン? ゴローニャ?」
『『(サッ・・・・)』』
「二人共! 何で目を逸らすんですか!?」
息が乱れ息づきをし、その動きで豊満な胸元をユッサユッサと揺らすアカネが目を向けて問うと、マルマインとアローラゴローニャは半眼の無表情になって目を逸らした。
「うぇぇ!?」
『プゥラァ〜!』
「あ、『アカネ先輩』達に、戦闘ロボットまで!」
『マァイィ〜!』
“あの子がアカネ?”
唯でさえアスナで苦戦しているのに、ユウカだけでなくアカネまでもやって来てしまい、正に絶体絶命のピンチとなってしまった。
「ーーーーふふっ、今度こそ『本物』みたいですね。改めて、始めまして。モモイちゃん、ミドリちゃん、プラスルちゃん、マイナンちゃん。マキちゃんやドーブルちゃん、コトリちゃんにパモットちゃんについては、ギリギリ許せる範囲かも知れませんが・・・・。ここまで入り込んできてしまったあなたたちに、もう言い訳の余地はありませんよ」
お淑やかな笑みを浮かべたかと思うと、頭に血管を浮かばせて優しく声を発するアカネ。どうやらコチラもお冠のようである。
「それに・・・・」
が、アカネは先生にも視線を向けた。
“な、何かな・・・・”
「先生も、シャーレに抗議文くらいは送らせていただきますので。ご承知おきくださいね」
“そんな! リンちゃんに叱られる!”
『ピカチュウ〜!』
『カルゥ・・・・』
ユウカの言葉を聞いて、素敵な笑顔を浮かべてるが目が全く笑っておらず、背中に猛吹雪を吹き荒らしているリンの姿を連想し、頭を抱えて叫ぶ先生とピカチュウ。ルカリオは頭痛を堪えるように片手で頭を抑える。
「ううっ・・・・ここで、本当に・・・・? 嫌だ・・・・っ!」
「お姉ちゃん・・・・っ!」
「ごめん、ごめんね先生・・・・先生は色々助けてくれたのに、私たちの力不足で・・・・私たちのせいで・・・・!!」
『プラスル!』
“プラスルも言ってるよ、諦めないで”
「プラスル・・・・私もそうしたい、けど・・・・もう無理だよ。前には『C&C』、後ろには〈ミレニアム〉の生徒会・・・・〈ミレニアム〉でもトップレベルに強力な二大勢力。こんな状況で、一体どうしたら・・・・!」
完全に追い詰められ、とうとう泣き出してしまうモモイを発破するようにプラスルが声を上げ、慰めるように先生が諦めないでと言うが、モモイはもう折れており、床に膝をついた。
と、その時ーーーー。
「ーーーーターゲットを確認」
ーーーーウィーーン・・・・。
「魔力充電、100%」
『デデン!』
「こ、この音は・・・・」
「お姉ちゃん、伏せて!」
『プラァ!』
『マイ!』
“皆!”
『(サッ)』
「?」
「ん?」
「・・・・?」
近くのエレベーターが動き出すのを見て、ミドリはその正体に気付いたのか伏せるように促す。先生とピカチュウ達もすぐに身体を伏せた。
ユウカとアカネ、アスナは何をしているのかわからず、困惑したように眉根を寄せたり、首を傾げるだけであった。
その瞬間ーーーー。
「光よ!!」
ーーーードカアアァァァァン!!
「くっ!!」
『ゴロォ!?』
『マルゥ!?』
「きゃあ!?」
『プリン!』
『ハピ!』
「あ、アスナ先輩!? 大丈夫ですか!?」
「大丈夫じゃないよー! あははっ、プリンもハピナスも一緒に、思いっきり当たっちゃった! 何これめっちゃ痛い、頭のてっぺんからつま先まで一ミリも動かしたくない!」
『プリプリ〜・・・・』
『ハピナ〜・・・・』
「・・・・大丈夫そうですね」
生徒会の面々の元に飛び込んできたのは、視界を覆うほどの光であった。その正体はもちろんアリスの『光の剣:スーパーノヴァ』である。
アカネが声を上げると、アスナは明るい声で動けないと言い、一緒にプリンとハピナスの気の抜けた声が聞こえて、アカネは安堵したような呆れたような溜め息をこぼした。
「そんな、アスナ先輩達と半分近くのロボットをまとめて行動不能に・・・・!? た、たった一発で、この火力・・・・!」
予想外の攻撃により、『C&C』で2番目の実力者のアスナと、そのアスナの手持ちである、可愛いが武闘派なプリンとハピナス、準備した警備ロボット達が撃破され、その威力にユウカは戦慄した。
「カリン、状況を報告してください! 今のビーム砲はどこから・・・・!?」
《・・・・・・・・・・・・》
アカネがカリンに通信を送るが、応答がない。
「カリン、カリン!? そう言えば、カリンの火力支援が止んで・・・・いつから!?」
ソコでアカネは、カリンからの狙撃支援が無くなった事に気付いて、カリンのいる第3校舎屋上を見上げると・・・・。
ーーーーフォンーーーーッ!
突然、その屋上から光が発させられた。
ーウタハsideー
『ガゥゥゥゥー!?』
『ピィィィィー!?』
「くっ、目が・・・・! 閃光弾だと!?」
カリン達は曲射砲で飛んできた閃光弾によって目を奪われると。いつの間にか『雷ちゃん』から出てきたロトム(色違い)とガケガニによって、カリンから救出されたウタハがすぐに指示を出す。
「ガケガニ【10まんばりき】。ロトム【でんげきは】」
『ガニィィィィー!!』
『ロトロトーッ!!』
『『!!??』』
目が眩んだ一瞬の隙をついて、レントラーとムクホークに効果抜群の攻撃を放つと、防御も回避もできず、マトモに受けてゴロゴロと転がり目を丸した。
「レントラー! ムクホーク!」
「私の後輩は、大事な先輩に爆撃を当てたりしない優しい後輩・・・・で、合っているとも。それでいて、もの凄く賢い。この状況を予測し、そこで的確な選択ができるくらいにはね」
「くっ・・・・これじゃアカネ達の支援が・・・・どうしてここまで・・・・!」
「どうして・・・・? ソレは、部活を守りたいからに決まっているだろう?」
「・・・・噂に疎い私でも、聞いた事はある。『エンジニア部』の事はよく知らないが、あの『ゲーム開発部』は、ちゃんとした部活動とは言い難い。あんな『自己中な問題児達』を、何故助ける?」
カリンは『C&C』に入る前は、『セミナーの保安部』、要するに『ゲヘナ風紀委員会』のような場所にいたせいか、『ゲーム開発部』のような『問題児』には容赦無い所があるのだ。
「・・・・ただの自己中じゃないから、かな。あの子たちは友人たちのために、一生懸命頑張っている」
「別に部活動じゃなくても、ゲームは作れるだろう」
「・・・・それは君の言う通りだ。けれどね、勿論ただの『友達』にも意味はある、それでも・・・・」
ウタハは一拍を置いてから声を発する。
「『同じ部活の仲間』というのは、お互いを強く結びつけてくれるものだ。あの子たちも、あの部活で一緒にやりたいんだという気持ちがあるから・・・・こんなにも、必死に頑張っているんだろう」
「っ、でも・・・・!」
ウタハもまた、『同じ部活の仲間達』と一緒に、面白可笑しく開発や研究を続けているからこそ、『ゲーム開発部』の気持ちを理解し、彼女達に協力しているのだ。
以前所属していた『保安部』の殺伐とした空気が嫌になり退部し、『C&C』と言う新しい場所でそれなりに楽しく過ごしているカリンも、その言葉に何処か理解を示するが、ソレでも任務は任務と銃を構えようとした、が・・・・。
ーーーーヒュー・・・・ドカァァァァァァァン!
「しまった!?」
「・・・・ふふっ。計算通り、ではないけれど・・・・面白くなってきたね」
再び曲射砲で放たれた閃光弾に、目を眩ませてしまった。
ー先生sideー
そして、才羽姉妹と先生に救いの手を差し伸べる少女とネズミが現れた。
「モモイ、ミドリ、先生! 今です!」
『デデン!』
「アリスちゃん!? デデンネ!?」
『マイ!?』
「どうしてここに!?」
『プラァ!?』
『差押保管庫』に向かっていた筈のアリスとデデンネの登場に、全員が目を丸くした。そんな仲間達にアリスは言葉を発する。
「生徒会の『差押保管庫』に向かう途中に、考えていました。皆と一緒にやったゲームの数々・・・・」
その中には勿論、『テイルズ・サガ・クロニクル』も入っていた。
「どんなゲームでも、主人公達は・・・・決して仲間の事を諦めたりしませんでした! なので、アリス達もそうします!」
『デデンネ!』
アリスとデデンネが満面の笑みを浮かべて言い、『スーパーノヴァ』を構えて、アリスは顔をキリッとさせて言葉を続ける。
「試練は、共に突破しなくては!」
「アリスちゃん・・・・」
「・・・・うん、どうせこのまま捕まったら全部終わり。行こう、『ゲーム開発部』!」
「うん!」
『プラァ!』
『マァイ!』
『デデン!』
アリスの言葉に、再び走り出そうとする『ゲーム開発部』。
しかしソコでーーーー間一髪でサーナイトに守られたユウカが立ち塞がる。
「そうはさせないわよアンタ達!」
『サナ』
「げぇっ! ユウカにサーナイト!?」
「もう手加減ナシよ! サーナイト!!」
ユウカがサーナイトに向かって声を上げると、懐から『キーストーン』を付けたカフスイヤリングを取り出し右耳に付けた。
そうーーーー『メガシンカ』をさせようとしているのぁ。
「うわぁ! マズイ! ユウカとサーナイトがマジで来ちゃうよぉ!」
『プラプラァ!!』
“ーーーーこうなったら!”
モモイとプラスルが慌てると、先生も懐からーーーー『ライトとグリップの中間に八角形のパーツを付けた大型の懐中電灯』を取り出した。
ユウカとサーナイトは訝しそうに見る。一番に目を引くのは『八角形のパーツ』であろう。その八面にはそれぞれ赤、青、黄色、緑、水色、紫、白、ピンクとあり、先生グリップにあるライトのスイッチの先に矢印があり、先生は『八角形のパーツ』を動かし、矢印を紫に合わせてから、上に向かって声を張り上げた。
“ゴメンねユウカ、サーナイト。・・・・・イーブイ!”
ーーーーガタガタガタガタ・・・・バカーン!!
『ーーーーブイ!!』
と、その時、“デデンネと共に通気口から侵入していた先生のイーブイ”が、丁度ユウカとサーナイトの真後ろの通気口から飛び出してきた。
“イーブイ! 行くよ!!”
先生が懐中電灯から紫の光をイーブイに当てた瞬間、イーブイの身体が変貌した。
〈連邦生徒会〉のリンのパートナーであるブラッキーと同じだが、コチラは黄色のラインが青色になり、瞳が赤色から黄色に変化している、『げっこうポケモン・ブラッキー(色違い)』であった。
そして、ブラッキーのタイプは、エスパータイプのサーナイトと相性最悪のーーーーあくタイプ。
“ブラッキー! 【あくのはどう】!”
『ブーーーーラッキー!!』
『サナー!?』
「サーナイト!」
突然の奇襲で意表を突かれたサーナイトは壁に叩きつけられ目を回し、ユウカはサーナイトに駆け寄った。
「先生、ソレって・・・・?」
“前にウタハ達『エンジニア部』の皆に頼んでいたんだ。私のイーブイは専用のアイテムである8色のペンライトの光を浴びせると三十分だけ進化できる特異体質の子なんでね。8本もペンライトを持つのは面倒だから一つに纏めてもらったんだ。ウタハの力作ーーーー『超進化ライト』だよ!”
先生が懐中電灯、否、先生のイーブイ(色違い)専用のアイテム『超進化ライト』を見せた。
『チコチコ! チーコ〜!』
『ブラブラ! ブラッキ〜!』
そしてチコリータとブラッキー(色違い)は隣り合わせになって、サーナイトに向かって『先生に色目使ってんじゃないわよ! べーっだ!』と言わんばかりに舌を出す。
「よっしゃ! 今だよ皆!! トンズラだー!!」
ユウカとサーナイトを撃破し、『ゲーム開発部』はスタコラサッサと駆け出していった。
ーアカネsideー
「くっ、マズイですね・・・・!」
マルマインとアローニャゴローニャもアリスの一撃をモロに受けたせいで完全に目を回してしまい、アカネは所持しているアイテムや医療道具で手持ちポケモン達の回復とアスナの治療をしており、追いかけたくても追いかけられない。
「あはは、面白くなってきたね! けどまだ身体がビクンビクンしてて、マトモに立てない!」
「アスナ先輩、ソレ本当に痛がってます・・・・? ソレよりも、カリンの狙撃が止まっているという事は、やはりアチラでも・・・・」
「っ、逃げられる!」
サーナイトをボールに戻したユウカがアカネとアスナに近づく。
「いえ、そうはさせません・・・・!」
『ハピナス・・・・』
『プリン・・・・』
『マルマイン!』
『ゴロ!』
と、ソコで、ハピナスとプリンがマルマインとアローニャゴローニャが回復が完了したのか立ち上がった。
「ハピナス、プリン、アスナ先輩を連れて出来るだけ下がって下さい」
『ハピ』
『プリ』
ハピナスとプリンがアスナを抱えて後ろに下がるのを確認し、アカネがマルマインとアローニャゴローニャを率いる。
「アカネ、戦闘を開始します! ゴローニャ! マルマインで【なげつける】!」
『ゴローーーーニャ!!』
アローニャゴローニャはマルマインを持ち上げると、砲丸投げよろしく、『ゲーム開発部』に向かって力の限り投げつけた。
『ーーーーどっひゃぁあああああああああああああああああああああああ!!!』
先生と『ゲーム開発部』が共に悲鳴を上げると、アカネはマルマインに次の指示を与えた。
「マルマイン! 【じばく】です!」
“ーーーーマズイ! ピカチュウ! ルカリオ! ブラッキー! ヒノアラシ! ワニノコ! チコリータ!”
『ピカチュウー!!』
『カルゥォ!!』
『ブラー!!』
『ヒーノー!!』
『ワニワニワー!!』
『チーコー!!』
ピカチュウが【かみなりパンチ】で、ルカリオが【はっけい】で、ブラッキーが【ダメおし】で、ヒノアラシが【ニトロチャージ】で、ワニノコとチコリータが【とっしん】で、爆発寸前のマルマインを逆にアカネ達へと投げ返した。
「あら・・・・?」
『ゴロニャ?』
「嘘でしょうおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!
マルマインが爆発し、アカネとアローニャゴローニャが目をパチクリとさせ、ユウカの悲鳴が爆発に消えた。
ー先生sideー
何とか爆発から逃れた一同は、漸くミレニアム生徒会・『差押保管庫』へと到着した。
「はぁ、はぁ、逃げ切れた・・・・!?」
『プラァ?』
頭にプラスルを乗せたモモイが僅かに息を切らせながら、他の面子に目を向ける。
「先生、ピカチュウ、ルカリオ、ブラッキー、ヒノアラシ、ワニノコ、チコリータ、ミドリ、マイナン、アリス、デデンネ、皆大丈夫!?」
「HPは十分です」
『デデン』
頭にデデンネを乗せたアリスが、疲れを感じさせない笑顔で応えた。
「私達も先生達も、大丈夫」
『マイ』
「良かった・・・・」
“全員無事だけど。ピカチュウとルカリオ以外は休んでいて”
ミドリとミドリの肩に乗っているマイナンが応え、モモイが安堵すると、先生はブラッキーと御三家をボールに戻し、部屋に人がいる気配を悟られないように電気を点けないでおき、『差押保管庫』の中を見回すと、保管庫の中は暗いが、ここまでで大分視界が暗闇に慣れた一同が目にしたのはーーーー。
“ココが・・・・『差押保管庫』??”
「・・・・何か大分、滅茶苦茶なんだけど」
モモイの言う通りであった。保管庫の中はガラスが割れ、棚が倒れて、ソコに置かれていたであろう物が散乱しており、あの几帳面なユウカや隙のないノアが所属する生徒会の部屋とはとても思えなかった。
「カリン先輩の跳弾かな・・・・戦闘とか爆発の余波が、ここまで届いたのかも」
「ユウカは、もうさっきの時点でアリスが『鏡』を持ってると思い込んでいるだろうから・・・・きっと、部室の方に逃げたって考えるて筈。まさか私達がここに来てるとは思わないだろうね」
後は『ヴェリタス』か『エンジニア部』に匿ってもらい。『ミレニアムプライス』に使う『テイルズ・サガ・クロニクル2』を完成させ、後はほとぼりが冷めるのを待とうと考えていた。
「とりあえず『鏡』さえ持ち出せれば、後は『ヴェリタス』がどうにかしてくれる筈・・・・」
モモイがそう言うと、ミドリとマイナンが床に散乱した物の中に、件の『鏡』を見つけた。
「見つけた、『鏡』! コレさえあれば・・・・!」
『マイマイ!』
目当ての物が見つかり、喜び合う一同が帰ろうとしたーーーー。
『カルゥォォ!!』
ールカリオsideー
一同が『鏡』を見つけたその瞬間、ルカリオは全身に凄まじい戦慄が走り目を見開いた。
『・・・・!』
バッと扉の方を振り向き、波動を放って感知しようとする。
『ーーーーっ!!?』
その瞬間、“とてつもない波動を4つ感じた”。1つは人間。3つはポケモン。
ーーーーまるで〈ゲヘナ〉の空崎ヒナと四獣。〈トリニティ〉のツルギとそのパートナー達。
彼女達に勝るとも劣らないが、あの二人よりも攻撃的な気配をその人間から感じた。
『カルゥォォ!!』
ルカリオは即座に先生にこの事を伝える。
ー先生sideー
“っ皆、隠れて。ルカリオが強い人が来たって言ってる”
「えっ、う、うん」
『プラ』
「分かりました」
『マイ』
「はい」
『デデン』
ルカリオの警告を聞いた先生が瞬時に理解し、ゲーム開発部に指示を出すと、机の下や棚の後ろなどに隠れる。すると、ミドリがスマホロトムを取り出した。
「ハレ先輩から連絡が来てる」
ーーーー逃げて、いや隠れて! 早く! 何としてもソコ$!#‘!@#j
「えぇ、一体どういう事・・・・?」
隣で覗き込んだモモイが首を傾げる。送られてきたメッセージの最後はグチャグチャだが、前半はかなり焦っているようであった。
「いつも沈着冷静なハレ先輩が、どうしたんだろ。ベトベトンでも出たのかな?」
ミドリも首を傾げると、アリスが目を閉じながら声をひそめて話し出す。
「ーーーー接近対象を確認、ミレニアムの生徒名簿の検索・・・・対象把握。身長146cm、ダブルSMG、赤い髪と赤い瞳、メイド服の上からレックウザ柄のスカジャン・・・・」
「え・・・・?」
『マイ・・・・?』
「ま・・・・まさか・・・・!?」
『プ・・・・プラァ・・・・!?』
「「『C&C』の『ネル先輩』・・・・!?」」
アリスはミレニアムのデーターベースから、こちらへ向かってくる人物を検索する。そして、その人物の特徴的な情報を挙げると、モモイ達は冷や汗が吹き出し顔を青ざめ、ガタガタと震え始めた。
だが、ソレも仕方ない。何故ならば、その『ネル先輩』こそ、〈ゲヘナ〉の空崎ヒナ。〈トリニティ〉の『剣先ツルギ』に匹敵する戦闘力と、ポケモントレーナーとしての力量を持った、〈キヴォトス〉で3本の指に入る実力者であるからだ。
そして、『差押保管庫』の扉が開かれソコからーーーー小柄な女の子と大きなポケモンが入ってきた。
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
一人の少女と一匹のポケモンが保管庫の中を見回し、先生は棚の裏側の隙間からその少女の姿を捉えた。
“(・・・・やんちゃそうだけど可愛いなぁ)”
『(ピカピピ・・・・)』
『(カルゥカルォ・・・・)』
先生がそう呟くと、頭に乗ったピカチュウと、隣に立つルカリオが、守備範囲の広い先生に呆れたように半眼を作った。
新アイテム『超進化ライト』 八角形のパーツにある色を選択する事で、イーブイ(色違い)をそれぞれの進化系(色違い)へとなる。
さて、次回でネルの手持ちの一体が分かります。