ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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個性豊かな問題児達

ー先生sideー

 

『阿慈谷ヒフミ』。ガルーラをパートナーとした〈トリニティ〉に在籍する自称『普通の生徒』の2年生。

先生が〈キヴォトス〉に来て初めての依頼である『アビドス高等学校の支援要請』にて、ブラックマーケットで知り合い、共に『銀行強盗』をやり、更には〈キヴォトス〉でも有数の悪徳企業『カイザーコーポレーション』の陰謀の撃破にも協力してくれた生徒。

流されやすそうな所はあるが、知り合って間もない『アビドス対策委員会』の為に行動してくれたとても優しい女の子である。

そんな良い娘が、〈トリニティ総合学園〉の落第生の集まり、『補習授業部』に入ってしまった事に、先生とピカチュウ、ルカリオとイーブイと言った、ヒフミの事を知っている4人は眉根を寄せて半眼で見据える。

 

「え、えっと、そのですね・・・・こうなった『やむを得ない事情』、と言うのは・・・・」

 

〈トリニティ〉の教室にて、対面する先生達の視線に耐えかねて、ヒフミがこうなった経緯を説明する。

 

「『ペロロ様』のゲリラ公演に参加する為に、テストをサボってしまって・・・・ソレで(ゴンッ)あいたっ!? が、ガルーラ、何も先生の前でゲンコツをしなくても・・・・!」

 

『ガル?』

 

「いえ・・・・何でもないです・・・・」

 

しょうもない理由でテストをサボったヒフミの脳天に、ガルーラがゲンコツを炸裂させたので少し涙目になり、情けない顔となったヒフミが見上げて文句を言いそうになるが、ガルーラが「文句言える立場なのかい?」と半眼で睨むと、ヒフミが小さくなったように引っ込んだ。

 

“・・・・・・・・”

 

『・・・・・・・・』

 

その理由を聞いて、先生達は妙に納得した。何しろ初めてヒフミに会ったのは、〈アビドス〉にあるブラックマーケット、ソレも『モモフレンズ』の『ペロロ様』の限定グッズを得る為だったのだ。

『ペロロ様』と言うキャラの熱狂的、嫌最早、『崇拝』や『狂信』の域にまで達しているヒフミならば、ゲリラ公演の為にテストを放棄するのも、やりかねないとも思えた。

しかし、ソレはソレとしても、やらかしてしまったヒフミに対して、先生とピカチュウ達も冷たい視線を送る。

 

「うぅ・・・・み、皆さん、そんな冷たい目で見ないでくださいぃ・・・・! ちゃんと試験の日程は確認していた筈なんですっ。何かの間違いと言いますか、手違いと言いますか・・・・」

 

『ガルッ』

 

『カルッ』

 

言い訳を並べるヒフミの頭をガルーラが下げさせると、ガルーラと子ガルーラも「ウチのヒフミがすまないね」「ごめんなさい」と言いたげに一緒に頭を下げた。

 

「あうぅ・・・・ご、ごめんなさい・・・・」

 

どちらが『トレーナー』と言うか、『保護者』なのか分からない関係性を見せられた。

 

“いや、私達に謝らなくても大丈夫だけど・・・・”

 

一応フォローを入れる先生に、ヒフミは恐る恐る呟く。

 

「は、はい、えっと、ソレで・・・・その・・・・ナギサ様に、先生のサポートを頼まれまして・・・・」

 

ヒフミが、ナギサに言われた事を先生に伝えた。

成績も平均のヒフミをナギサは、その内にある『愛』と言うものを高く評価し、『補習授業部』を導く『部長』を任されたらしい。

 

“部長だったんだ・・・・!?”

 

「あ、あくまでも臨時の、ですが・・・・『補習授業部』は、特殊な形で限定的に作られた部活ですし・・・・ぜ、全員が落第を免れたら・・・・自然に部はなくなる筈です」

 

『・・・・・・・・』

 

ヒフミが謙虚な態度を取るが、ガルーラは憮然としていた。何となくだが、ガルーラはこの『補習授業部の部長の役』に、何かしらの『違和感』と言うか、ナギサに対して『疑念』を抱いているように先生とピカチュウとルカリオは感じていた。

 

「な、なので・・・・その時まで、よろしくお願いします。先生、皆さん」

 

『ガル』

 

『カル』

 

“うん。よろしくね、ヒフミ。ガルーラ”

 

『ピカピカ』

 

『ルオル』

 

『ブイブイ』

 

『キゥ』

 

『ミジュ!』

 

『チャモ♪』

 

お互いに挨拶を済ませた。

 

「こんな状況ではありますが・・・・担当の方が先生で良かったです」

 

先生の方も、見知った生徒であるヒフミがメンバーである事は心強いと思った。

すると、ヒフミが思い出したように、先生の持つ名簿と同じものを取り出した。ナギサが『部長』として必要だからと渡していたのだ。

 

「あ、『補習授業部』の他のメンバーには、まだ会われてないんですよね? 名簿を確認した所、メンバーは私を含めて『4人』、手持ちポケモンは、私のガルーラを含めて『3匹』みたいです。1人は手持ちポケモンを所持していないようです」

 

“うん”

 

「取り敢えず会いに行きましょうか、先生。先ずは皆で、どうすれば落第せずに済むのかの計画を立てないと・・・・」

 

そして、ヒフミ達と共に、先生は〈トリニティ総合学園〉の校舎を歩いていき、『正義実現委員会』の部屋へとついた。

 

“『正義実現委員会』の部屋?”

 

「あ、あぅ・・・・あんまり来たくはなかったのですが・・・・」

 

ヒフミが少し怯えていた。『正義実現委員会』は言うなれば〈ゲヘナ〉における風紀委員会であり、お嬢様学校のである〈トリニティ〉でも武闘派部隊だ。関わりのない『普通』の生徒のヒフミが必要以上に緊張するのも仕方ないと言える。

意を決して、部屋の扉を開いて中に入る。

 

「えっと、失礼します・・・・どなたかいらしゃいますか?」

 

「・・・・・・・・」

 

「あっ、こ、こんにちは」

 

「・・・・・・・・」

 

「え、えっと・・・・」

 

部屋に入ると、正義実現委員会の制服と制服帽を着た1人の少女が座っていた。

〈トリニティ〉の生徒らしく、背中に小さな黒い羽を持ち、さらに背中だけでなく帽子を被った頭部にも動く羽を持ち、ピンク色の瞳と癖っ毛をツインテールにし、恐らく1年生なのか小柄な体型をした女の子であった。

ヒフミが彼女に挨拶をするが、彼女はただ黙っていた。

 

「・・・・何?」

 

「あ、あう・・・・そ、その・・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

「あうぅ・・・・わ、私、何かしてしまったんでしょうか・・・・」

 

“ただちょっと、『人見知り』なんだと思うよ”

 

一向に話が進まない状況に、若干涙目になってしまったヒフミに、先生がボソッと呟くと、その女の子は声を張り上げた。

 

「・・・・だ、誰が人見知りよ!? た、ただ単純に知らない相手だったから、警戒してるだけなんだけど!?」

 

“多分、それを『人見知り』って言うんじゃないかな・・・・?”

 

「うっ・・・・」

 

『人見知り』と言われて否定する。しかし、先生の言葉の【カウンター】に、その少女は押し黙るがすぐに口を開く。

 

「・・・・そ、ソレで、『正義実現委員会』に何の用?」

 

「え、えっと・・・・探している方がいまして・・・・」

 

「はぁ!? 『正義実現委員会』に『人探し』を依頼しようって事? 私達の事、ボランティア団体か何かだと勘違いしてる訳? そんなに暇じゃないんだけど?」

 

ヒフミは彼女にここに何をしに来たかを聞かれると、人を探していると答え、ソレに対しその少女は怒りながらヒフミに捲し立てる

 

「いえ、えっと、『ここに閉じ込められてる』って聞いて・・・・」

 

「・・・・はぁ?」

 

「ですから、えっと、その、『良くない事をした方』がここに・・・・・」

 

「え、それってもしかして・・・・?////」

 

しかし、ヒフミがこの『正義実現委員会』の教室に、探している人がいると聞いて、ここに来たと伝えると、何故かその少女は顔を紅くした。

そしてその時ーーーー。

 

 

「ーーーーこんにちは。もしかして、私の事をお探しでしたか?」

 

 

「////////!?!?」

 

「!?」

 

『ガルラ!?』

 

『カル?』

 

“!?”

 

『ピカァ!?』

 

『ブイブイ!?』

 

『カルゥ』

 

『チャモ!?』

 

『ミジュ?』

 

『キュ』

 

突然現れた女子生徒を見た瞬間、『正義実現委員会』の女の子の方は顔を紅くし、ヒフミとガルーラは目を見開いて硬直し、先生も目を見開いたが、肩に乗ったイーブイが尻尾で目隠しをし、ピカチュウは仰天して先生の肩から落ちて、アチャモは目を点にし、子ガルーラとミズゴロウは頭を傾げ、ルカリオとキモリはソっと顔を逸らしつつ、落ちたピカチュウを受け止めた。しかし、全員の反応は仕方ないとか言いようが無い。

その新たに現れた女子生徒の格好に驚いたのだ。

ベビーピンクのストレートヘアを膝丈近くまで伸ばた長髪に、右耳の後ろで一房だけ三つ編みにし、頭頂部からは前側に垂れたゆるめのアホ毛。瞳は若葉色に近く。顔立ちは整っており清楚な雰囲気のある。ソレだけなら問題は無いのだが、問題なのは、その首から下の格好であった。

なんとーーーースクール水着であった。

なんとーーーースクール水着なのだ。

なんとーーーースクール水着であったのだ。

真っ白いお肌に、〈アビドス〉の『対策委員会』所属の十六夜ノノミぐらいの豊満な胸元と、細い腰、適度な大きさをしたお尻と、スラリとした足をした、肉付きの良い豊麗なプロポーションを薄いスクール水着一着で包んでおり、真っ昼間の校舎の教室に現れたのだ。

季節が夏か水泳部所属でなければ紛う事のない露出狂の変質者である。皆がフリーズしている中、『正義実現委員会』の女の子が、猫目になって声を張り上げる。

 

「え、は、何で!? あ、アンタどうやって牢屋から出てきたの!? ちゃんと鍵閉めたのに!?」

 

「いえ、開いていましたよ? 私の事を話されているような声が聞こえたので、こちらに来てみました。何かご用でしたか?」

 

するとそのスクール水着の女の子は、先生の方に目を向けた。

 

「あら。大人の方、ということは・・・・『先生』、ですね。改めまして、こんにちは〈トリニティ総合学園〉の2年生『浦和ハナコ』です。成る程、もしかして『補習授業部』の? あ、すみません。今は私の『パートナーのポケモン』を探している最中なので、失礼しますね」

 

「ま、待って!! その恰好で出歩かないでよ!? ちょっとぉ!!」

 

後に教えられたが、彼女は『補習授業部2年 浦和ハナコ』。水着姿で学校を徘徊し、その現場を正義実現委員会に捕らえられ牢屋に入れた筈、であった。

しかし、そのハナコがこの場にいるのを『正義実現委員会』の女の子は驚き、怒りと羞恥で顔を更に紅くして声を張り上げる。

 

「・・・・? 何か問題でもありましたか、『下江コハルさん』?」

 

「あるに決まってるでしょ!? 何で“学校の中を水着で徘徊するの”!?」

 

「ですが、学校の敷地内であるプールでは、皆さん普通に水着になられますよね? ここもあくまで学校の敷地内で・・・・あ、もしかして下江さんは、プールでは水着を着ないタイプですか?」

 

「え、は? それってどういう・・・・」

 

ハナコの言葉に驚いているのは、『正義実現委員会』に所属している1年生の『下江コハル』である。彼女はハナコの言葉に振り回されつつあった。

 

「そうでしたか、下江さんは“全裸で泳ぐのがお好きなんですね”。流石は『正義実現委員会』、そういった分野まで網羅されているなんて」

 

「ばっ、バカじゃないの!? 着るに決まってるでしょ!? そ、そんなことするわけ・・・・!」

 

「それにしても裸こそが正義、とは・・・・かなり前衛的ですね。あまり考えたことはありませんでしたが、なるほど。試してみるのもまた一興・・・・」

 

コハルが否定するが、ハナコは話を聞いていないのか、無視しているのか、はたまた遊んでいるのか(先生はこっちだと思った)、ウンウンと頷いていき、コハルは必死に否定していく。

 

「と、とにかく早く戻って、早く! もうすぐ先輩達が来ちゃうから!」

 

「あら、でもこの方々は私に会いにーーーー」

 

「うるさいうるさいっ、この公共破廉恥罪!! 早く戻れ!! ヘラクロス!!」

 

ーーーーポンッ!

 

ハナコの背中を押して牢屋に戻そうとするが、体格やウェイトの差で中々動かせず、焦れったくなったコハルが懐からモンスターボールを取り出して投げると、中から大きく立派な一本角をしたカブトムシのポケモン『1ぽんヅノポケモン・ヘラクロス』が現れた。

 

『ヘラクロス!』

 

「ヘラクロス! その変質者を持ち上げて牢屋に連れて行って!! 鍵もちゃんと閉めておくのよ!!」

 

『ヘラクロ』

 

コハルからの指示を受けて、ヘラクロスは羽根を広げて飛び、ハナコの両脇にツメで傷つけないようにして持ち上げると、ハナコの足が床から数センチ離れて宙を浮く。

 

「すみません、どうやら色々と混乱している状況のようですので、また後ほどお会いしましょうね? ソレまで私の『パートナー』の事、しっかり預かって下さいね」

 

そう言って、ハナコはそのままヘラクロスに運ばれていった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

“・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・”

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

あまりの展開に、ヒフミも先生も、ピカチュウ達も唖然となってしまっていた。

 

「はあ、はあ・・・・」

 

漸くハナコを撃退し、肩で息をするコハル。

 

「あ、あの・・・・この状況は一体・・・・ハナコさんは、この後どうなるんですか?」

 

「そんなの当然死刑よ! エッチなのはダメ! 死罪!」

 

「そ、そんな筈は無いと思いますが・・・・」

 

「“水着で学校を歩き回ったんだよ”!? 真っ昼間から! 生徒が沢山いる、広場のド真ん中で!!」

 

ヒフミがハナコがどうなるのか聞くと、コハルは死刑だと騒ぎだし、ヒフミがやんわりとフォローしようとするが、コハルはハナコのやらかした事を大声で叫んだ。

 

「・・・・・・・・ですが、校内では校則で決められた服を着るものですよね? ですからキチンと学校指定の水着を・・・・」

 

「どうしてそこで水着なの!? 制服を着ればいいでしょ!? っていうか話に入ってくるな!」

 

一瞬黙ってしまったヒフミがフォローしようとするが、コハルは頑として聞かない。

 

「あうぅ、と、取り敢えず・・・・い、今はちょっとハナコさんとお会いするのが難しそうなので・・・・一旦次のメンバーに会いに行きましょうか・・・・」

 

“・・・・そうだね”

 

「えっと・・・・もう1人は・・・・『転校生』で2年生の『白洲アズサさん』」

 

とその時、扉が開いて、ソコから巨大な2つの球体が、タプンッ、と音を立てて入ってきた。

 

“(わぉっ!?)”

 

「ただいま戻りました」

 

『クワッ』

 

「任務完了です! “現行犯で『白洲アズサさん』を確保しました”!」

 

『カポカポ!』

 

2つの球体の正体は、『正義実現委員会副委員長』の羽川ハスミの、他の追随を許さない圧倒的かつ暴力的なサイズの爆乳であった。

ハスミとパートナーのネギガナイトが部屋の中に入ってくると更に、肩口まで伸ばした黒髪と、素朴な顔立ちをし、丈の短い『正義実現委員会』の黒の制服の非常に短いスカートから見せる眩しい美脚を晒しているのは、〈トリニティ総合学園〉の『正義実現委員会』の1人である『静山マシロ』と、丸みを帯びた頭と胴体をしており、細いが尻尾が生えていて人型に近く、笠を被ったような頭のてっぺんには一本の角があるパートナーの『さかだちポケモン・カポエラー』も同行している。

 

「はい・・・・はいぃっ!?」

 

『現行犯で確保した』という言葉を聞いて、ヒフミは言っている意味が分からず混乱した。

しかしそんなヒフミに構わず、コハルがハスミとマシロに挨拶をした。

 

「あっ、ハスミ先輩、マシロ」

 

「コハルさん、お疲れ様です。あれ・・・・?」

 

「先生?」

 

コハルは先輩と同級生が来た事に安堵したようだ。マシロとハスミの方は、先生がいる事に驚いていたが、先生達はソレよりも、2人の背後にいる女の子の方に目を向けていた。

 

「(シューッ、シューッ・・・・)」

 

『転校生』と言う事から、制服がヒフミ達とは異なり、腰には小さな花が付けられた白い羽が生え、綺麗な銀色の髪は背中まで伸ばされており、その顔には何故かーーーーガスマスクを被っていたのだ。

 

“・・・・・・・・・・・・・”

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

先生とピカチュウ達は勿論、ヒフミもガルーラも、そのガスマスクを被った生徒にあんぐりとしていた。

 

『イトイト!』

 

『イトイト!』

 

「・・・・惜しかった。弾丸とポケモン達の体力さえ足りていれば、もう少しで道連れにできたのに」

 

その生徒、恐らく『白州アズサ』の後ろから押しているのは、6つの球体がイモムシのように1列に並んだポケモン『じんけいポケモン・タイレーツ』であった。

ソレはそうと、どうやらアズサは『正義実現委員会』の主力を道連れにしようとしていたようだ。

 

“あのタイレーツは?”

 

「あぁそう言えば先生は始めてでしたね。私の手持ちポケモンのタイレーツです。攻撃担当のネギガナイトで、彼らは防御担当なんですよ」

 

『イトイト!』

 

ハスミに紹介され、タイレーツは横一列になって先生に挨拶をした。流石はハスミの手持ち、ネギガナイトもそうだけど礼儀正しいポケモンである。

 

「ーーーーもういい、好きにして。ただ、拷問に耐える訓練は受けているから、私の口を割らせるのはそう簡単じゃないよ」

 

シューッ、シューッ・・・・と、ガスマスクで呼吸しながらアズサは煮るなり焼くなり好きにしろと言い出した。

『補習授業部2年 白洲アズサ』。校内での暴力行為の疑いで『正義実現委員会』から追われていた所、教材用催涙弾の弾薬倉庫を占拠。約1トンの催涙弾を爆破させ、3時間にも渡る抵抗の末に逮捕。逮捕の寸前まで、各種ブービートラップやIED‹即席爆発装置›、更には『レンタルポケモン』を用いて激しく抵抗。被害者多数。

補足:所有ポケモン無し。全ての犯行をレンタルポケモンで行った事により、無期限のレンタルポケモン禁止とする。

 

“「(また強烈な子がきた(きました)・・・・!!)」”

 

先生とヒフミは、幸先の不安から頭痛で倒れそうになり、各々のポケモン達に支えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・成る程、お話は理解しました。先生が、『補習授業部』の担任の先生になられると。・・・・残念です、できればお手伝いをしたかったのですが」

 

“あの2人、連れて行ってもいいかな?”

 

「はぁ!? ダメに決まってるでしょ!? 絶対ダメ、凶悪犯なのよ!?」

 

『ヘラクロ』

 

何とか気を保った先生とヒフミは、改めてハスミ達に話をし、戻ってきたコハルのヘラクロスにまたハナコを連れてきて貰って、ここに来た事情を話した(その際、マシロがヘラクロスから距離を空けており、聞いてみるとマシロはむしタイプが苦手であるとの事)。

納得したハスミに先生がアズサとハナコを連れて行って良いかと聞くと、コハルがダメと騒ぎ出し、ヘラクロスがまぁまぁと困った顔で宥める。

 

「コハル。先生は『シャーレ』の方として、『ティーパーティー』からの依頼を受けてこちらにいらっしゃったのです。規定上は何の問題もありません。『補習授業部の顧問』、担任の先生になるのですから」

 

「え、えぇ・・・・でも、ハスミ先輩がそう言うなら・・・・」

 

ハスミは先生が、『ティーパーティー』から正式な依頼を受けている旨を諭すと、コハルは大人しく食い下がった。

 

「ふ、ふん! まあでも良いザマよ! コッチはこんな凶悪犯たちと一緒にいなくて済むし、そもそも『補習授業部』だなんて! 恥ずかしい! あははっ! 良いんじゃない、悪党と変態の組み合わせ! そこに『バカ』の称号だなんて、私なら一緒にいるだけで羞恥心で死んじゃいそう!」

 

コハルはアズサとハナコが『補習授業部』に送られるのを、嗤いながら恥ずかしいと言ってのける。

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

しかし、先生とピカチュウ達、ヒフミとガルーラは『補習授業部の名簿』に目を向けてから、ハスミとネギガナイトとタイレーツも、“可哀想なものを見る目でコハルを見据えた”。

マシロは目がカポエラーのように点となり首を傾げ、ヘラクロスは察したように口に手を当てると、なんとも言えない顔でトレーナーを見る。

 

「・・・・ふぅ、コハル・・・・」

 

「あぅ・・・・」

 

“あと残りは・・・・”

 

「・・・・はい。その、非常に言いにくいのですが・・・・最後の1人は・・・・『下江コハルさん』、です」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

コハルが『補習授業部』入りする2人をバカにしている様子を見て、ハスミはため息をつく。そして先生とヒフミは、コハルに気まずそうに、彼女も『補習授業部』のメンバーの1人である事を伝えた。

 

「・・・・え、私っ!?」

 

『ヘラクロ・・・・』

 

一瞬思考停止していたコハルは正気に返って驚き、ヘラクロスは居た堪れない気持ちになって、コハルの肩に優しく置いた。

 

『ブイブイブイブイブイブイ♪』

 

『チャモチャモチャモチャモ♪』

 

『ミジュジュジュジュジュジュ♪』

 

『キゥ・・・・!!』

 

『補習授業部1年生 下江コハル』。既に3回連続で赤点を叩き出し、留年目前。

補足事項:成績が向上するまで、『正義実現委員会』には復帰できないものとする。

『補習授業部』のメンバーと告げられ、コハルは『こおり状態』のように固まってしまった。

自分も馬鹿にしていた『補習授業部』のメンバーだったというオチに、イーブイとアチャモとミズゴロウはその場で大爆笑し、キモリは顔を背けて必死に笑いを堪えているように身体を震わせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、『正義実現委員会』の部屋から、ハナコとハナコのパートナーポケモンが入ったモンスターボール。コハルと、コハルのパートナーのヘラクロス。そしてアズサを引き連れて、用意されていた『補習授業部』の教室に戻ったのだが、ハナコは相変わらず、その眩しいグラマラスな肢体をスクール水着で包み込み、アズサはガスマスクを付けたままであり、コハルに至ってはまだ状況を受け入れきれていないのか、両手で顔を覆って黙っていた。

 

“(何か凄い光景・・・・)”

 

「では、ここに揃っているのが補習授業部のメンバーという事ですか?」

 

「(シューッ、シューッ・・・・)」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「は、はい・・・・えっと、これで何とか皆集まりましたね。『補習授業部』・・・・」

 

教卓に立ったヒフミが苦言心配そうに言う。

 

「こ、ここからが『本当の問題』なんですが・・・・」

 

「ふふ、何をすれば良いのでしょうか? 阿慈谷部長? 放課後に人気のない教室で、素行の悪い女子高生と大人が集まって・・・・ふふ、始まってしまいそうですね」

 

「始まる・・・・? まあ、何だって構わない。因みに本気を出せば、この教室で1ヵ月は立て籠もれる」

 

「死にたい・・・・本当に死にたい・・・・」

 

ヒフミはここからが問題だ言い、ソレを聞いたハナコは意味深な事を口にし、アズサはソレを変な方向に曲解するが、コハルはハナコの話を聞いても、ソレに反応する精神状態ではなかった。

 

「え、っと・・・・。先生・・・・その、よろしくお願いします・・・・」

 

“・・・・うん、頑張ってみるね”

 

「ありがとうございます・・・・私も、出来るだけ頑張りますので・・・・」

 

『補習授業部』の個性的な問題児達を改めて見たヒフミは、心配そうに先生を見る。そして先生も、彼女達の態度を見て、自分も頑張ると言い、ヒフミも頑張ると言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、簡単な『自己紹介』の際、ハナコがスクール水着から白いセーラー服のような制服に着替え、『正義実現委員会』から返された自分の『パートナー』の入ったモンスターボールを取り出した。

 

「では、皆さん。私のパートナーも紹介しますね。ーーーー『ジュペッタ』!」

 

ーーーーポンッ!

 

『ジュペ』

 

ハナコのモンスターボールから出てきたのは、赤く鋭い目付きに真っ黒で刺々しいぬいぐるみのようなボディに、口にはチャックを付けたホラーチックなデザインが特徴的なポケモン『ぬいぐるみポケモン・ジュペッタ』であった。

 

「じ、ジュペッタですか・・・・? 浦和さんって、『ゴーストタイプ』を使うんですね・・・・」

 

ジュペッタは、『ゴーストタイプのポケモン』の中でも、有数の恐い姿をしている上に、その体内には『呪い』が込められていると言う逸話から、『ゴーストタイプ』を使う〈トリニティ〉でも恐れられているポケモンなのだ。

 

「いえいえ。このチャックの内に秘められた『呪い』、つまりは『強い想い』が込められていると言う事です。いつかこの子の中の『秘められた想い』が解放されるのが、少し楽しみですね」

 

『ジュペ・・・・』

 

ハナコは何やら『熱っぽい視線』をパートナーに向けるが、ジュペッタ自身は身体を両手で覆ってハナコから距離を空けた。どうやらパートナーからも警戒されているようだ。

そして、『補習授業部』についての説明が行われた。

 

「えっと、そういうことですので・・・・短い間ですが、これからよろしくお願いします」

 

『ガルラ』

 

“よろしくね”

 

『ピカァ』

 

『カルゥ』

 

『ブイ!』

 

『チャモ!』

 

『ミジュ!』

 

『キゥ』

 

「「「・・・・・・・・・・・・」」」

 

『『・・・・・・・・・・・・』』

 

ヒフミとガルーラ、先生とピカチュウ達が改めて一同に挨拶をするのだが、それに対し3人とヘラクロスとジュペッタは、静かに彼女達を見つめるのであった。

 

「え、えっと、何か分からない点とか気になる点がありましたら・・・・」

 

「大丈夫。これからは普通の授業に加えて、毎日放課後に『特殊訓練』があるってだけでしょ」

 

「えっと、訓練と言って良いのか分かりませんが、そうです。私たちが目指すのは、これから行われる特別学力試験で、『全員同時に合格する』事。先生も手伝ってくれますし、み、皆で頑張って落第を免れましょう・・・・!」

 

ガスマスクを外し、〈ゲヘナ〉のヒナのようなお人形のような可愛らしい顔立ちと紫色の鋭い瞳をしたアズサは、問題ないと言いながら、少しズレた解釈をし、ヒフミは先生達も手伝ってくれると話した。

 

「『特別学力試験』は第三次まで、つまり“3回あるようですが”・・・・その内1度でも全員同時に合格すれば、そこで補習授業も終わりとのことです事!」

 

“私はその為ののスケジュールの調整とか、色んな補習をするから”

 

「うん、理解した。3回のミッションの内、1度でも良いから全員で成功を収める。その為に、ここに毎日集まって訓練を重ねる・・・・それほど難しい任務じゃない。この集まりはつまり、各自リタイアを防ぐための措置・・・・私としては特に、サボタージュする気も理由も無い」

 

テストは3回行われ、、その内の1度でも4人全員が合格点を取れれば終了との事だ。

『補習授業部』の4人はこれから放課後にこの『教室』に集まり、先生の補習を受けると言う事だ。

 

「そ、そうですね、頑張りましょう! えっと、アズサちゃんは、転校してからあまり時間も経ってないんですよね? まだこの学園に慣れてなかったせいもあるでしょうし、皆で頑張ればすぐに何とかなると思います!」

 

「あら? 白洲さんはこちらに転校されて来たのですか? 〈トリニティ〉に転校だなんて、珍しいですね・・・・?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

アズサの名簿を見たヒフミが、彼女が転校してまだ間もないことを口にする。ソレを聞いたハナコは何やら探るような質問をすると、アズサは黙ってしまった。

 

「あ、書類上はそう書いてあって・・・・も、もしかして私、余計なことを・・・・?」

 

黙ってしまったアズサを見て、余計な事を言ってしまったと思ったヒフミに、アズサは気にしないと返した。

 

「いや、別に隠すことじゃないから気にしないで良い。れっきとした事実だ。こう言われるのは慣れるべき事だし、その為の努力もする」

 

「成る程・・・・。それでは私も、『アズサちゃん』って呼んでいいですか?」

 

「・・・・? 別に良いけど?」

 

「では、『アズサちゃん』。『ヒフミちゃん』。それから『コハルちゃん』。うふふふ、何だか良い響きですね。私たちはこれから『補習授業部の仲間』という事で」

 

ハナコは転校生で余り周りに馴染めていないのを察したのか、『補習授業部』のメンバーをちゃん付けで呼ぶようにした。

 

「アズサちゃんは一見冷たそうに見えますが、なんだか可愛らしいですね。ふふふっ」

 

「?」

 

アズサはハナコの言っている事が良く分からず、キョトンと首を傾げていた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

しかし、仲良しこよな和やかな雰囲気を出す中、下江コハルは憎悪に満ちた瞳でコチラを睨んでいた。

 

「あら、そんな憎悪に満ちた目で、どうしたんですかコハルちゃん?」

 

「言っておくけど、私は認めないから・・・・!」

 

「えっと・・・・?」

 

「あら、何の事ですか?」

 

「わ、私は、『正義実現委員会』のエリートだし! 私の方が年下だからって、アンタ達を『先輩』だなんて呼ぶつもりは無いから!」

 

コハルは大きな声でそう言い出した。




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