ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回の話で、ちょっとした『アイテム』が登場します。


『補習授業部』の合宿と大掃除

ー先生sideー

 

先生は『補習授業部』のメンバーと共に、〈トリニティ〉の敷地内にある『別館』の『合宿所』にある『寝室』に着いた。

 

「漸く着きましたね、ここが私達の・・・・」

 

『ジュペ』

 

「はい、合宿の場所です。漸く着きましたね、フゥ・・・・」

 

『ガルラ』

 

『カルラ』

 

一息吐いたヒフミ。ハナコは部屋を見回し、ベッドへと近づく。

 

「暫く使われていない『別館の建物』と聞いたので、冷たい床で“裸になって寝ないといけない”のかと思ってましたが・・・・」

 

“(ん? 今なにかハナコが妙な事を言ったような・・・・)”

 

首を傾げる先生を余所に、ベッドの状態や毛布の状態とかを確認して、笑みを浮かべるハナコ。

 

「広いですし、キチンとしてますし、可愛いベッドもあって何よりです。コレなら皆で寝られそうですね、裸で♡」

 

「さっきから何でチョイチョイ『裸』を協調するの!? ソレにベッドの数もちゃんとあるんだから、皆で寝る必要ないでしょ!?////」

 

『ヘラクロ・・・・』

 

顔を紅くしてハナコに猫目になってツッコミをいれるコハル。またハナコにイジられると確信して、半目になるヘラクロス。

 

「折角ですし、“そう言うお勉強”も必要じゃないですか?」

 

「ダメ! エッチなのは禁止! 死刑!!」

 

「まあ今はまだ明るいですし、そう言う事にして起きましょう。夜はまだ長いですからね・・・・♡」

 

「えっ、は、ど、どう言う意味!?!!?////」

 

さらに調子に乗ったハナコの物言いに、コハルはさらに顔を紅くして後退る。

 

“(・・・・やっぱり、ハナコってかなり頭が良いと思う)”

 

完全に揶揄われている、と言うか遊ばれているコハルだが、いくらコハルがたんじ・・・・純粋だからといって、ここまで話を繋げてくる話術に、先生はハナコは実は切れ者なのではないかと思えてしまう。

 

「その、コレから1週間寝食と勉強を共にするので、皆さん仲良く・・・・って、あれ?アズサちゃんは・・・・?」

 

と、ソコでヒフミは、ここにいない残りのメンバーであるアズサと、先程生まれたばかりのミニリュウの姿がない事に気付いた。

 

「あら、先程までは一緒にいたのですが・・・・」

 

ハナコもアズサがいない事に気付き探そうとするが、すぐにミニリュウを首にかけたアズサがベッドルームに戻ってきた。

 

「偵察完了だ」

 

『リュー♪』

 

「て、偵察・・・・?」

 

戻ってきたアズサはそう言い、ミニリュウも尻尾で敬礼するように挨拶した。ヒフミが首を傾げると、アズサは淡々と説明する。

 

「〈トリニティ〉の本校舎からはかなり離れてるし、流石に狙撃される危険は無さそう。外への入口が2つだけという所も気に入った。いざという時は片方の入口を塞いで、襲撃者達を1階の『体育館』に誘導した上での殲滅戦が有効になるかな。まあ他に幾つかのセキュリティ上の脆弱性も確認できたけど、改修すれば問題無い範囲だ」

 

「え、えっと・・・・」

 

籠城戦でも想定しているのか、『合宿所』の防備力を確認してきたアズサに、ヒフミはどう反応したらいいのか分からず苦笑してしまう。

 

「ソレから、ここが兵舎・・・・いや、居住区か。・・・・綺麗だな。こんな施設を使わずに放置していたなんて・・・・無駄遣いも良い所だ」

 

「あの、アズサちゃん・・・・私達はここへ戦いに来たのではなく、勉強をしに来たんですよ・・・・?」

 

と、ソコで漸くアズサは『寝室』を見て、勿体無いと言わんげの不満げにズレた感想を述べた。

 

「うん、分かってる。1週間の集中訓練だろう? 外出禁止、自由時間は皆無、24時間一挙手一投足まで油断することは許されないハードなトレーニング」

 

「そ、そこまででは無いと思いますが・・・・」

 

「キチンと準備もしてきた。体操着や細かい着替え、衛生面の歯ブラシや歯磨き粉、石鹸、非常食、毛布、水筒、ポケモンフーズ各種・・・・」

 

「流石はアズサちゃん、用意周到ですね」

 

「当然だ。徹底した準備こそ成功への糸口」

 

『リューリュー♪』

 

アズサは合宿の為に準備を万端に整えているのを見せるように、パンパンで大きなリュックサックの中身を伝える。ハナコがアズサを褒めると、アズサは当然だと胸を張り、パートナーが褒められたのが嬉しいのかミニリュウを可愛く鳴き声を上げた。

 

「うふふっ。皆で一緒に食欲を満たし、睡眠欲を満たし、そして皆が欲する『目標』へと向かって脇目も振らず手を動かす・・・・良いですね、合宿」

 

「・・・・・・・・うん、そうだね」

 

合宿の良さを語っているのだが、ハナコが言うと、何処か如何わしく感じてしまう。しかしアズサは笑いながら肯定するが、すぐに難しげな顔を浮かべる。

 

「あ、でも任務は確実に遂行する。キチンと勉強して、『第2次特別学力試験』はどうにか合格する。その目標の為にここに来たんだ。・・・・迷惑はかけたくない」

 

「アズサちゃん・・・・」

 

「大丈夫、万が一の奇襲に備えて対人地雷とクレイモアも用意してきた。あとは即席爆発装置‹IDE›の材料になりそうなもの一式と、対戦車地雷も多少・・・・」

 

「あ、アズサちゃん! ですからそういうのは・・・・!」

 

アズサの健気な発言を聞いて、ヒフミは感動しそうになったが、直後に地雷などを仕込んできたと聞いて、慌てて止めようとする。

 

ーーーードゴォォォォォォォンン!!

 

「えっ!? 今の何!? 何の爆発!?」

 

「先程仕掛けた対人地雷に誰か掛かったようだ。やはり襲撃者が来たか」

 

「いえ、地面を掘っていた野生の『ノコッチ』が誤って引っ掛かってしまったようですね」

 

コハルが突然の爆発に驚き、アズサが襲撃されたと言うが、窓から眺めたハナコが黒焦げになって空を飛んでいる『つちへびポケモン・ノコッチ』を指差してそう言った。

 

“・・・・・・・・・・・・”

 

「す、すぐにノコッチの治療と、地雷の撤去をしてきます!」

 

片手で顔を覆った先生に、アズサの手を引いたヒフミが、ガルーラを連れて『寝室』から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・と言う訳で、改めて」

 

30分後。皆で地雷の撤去を終え、傷ついたノコッチを治療し、逃がしてから『合宿所』に戻り、改めてヒフミが概要を説明する。

開始早々に、疲労の色が出ているヒフミには、後で何かスイーツでも差し入れでもしようと先生は思った。

 

「ナギサ様から言われた通りです。『第1次特別学力試験』には残念ながら落ちてしまったので・・・・この『別館』で合宿をすることになりました。私たちは『2次試験』までの1週間、ここに滞在することになります」

 

ヒフミはあらかじめナギサから説明を受けていたようである。

 

「長い間放置されていたそうですが、少しお掃除すれば全然使えそうですし、『体育館』や『シャワー室』等も充実しているようですし・・・・」

 

「うん、そういえば外にも『プール』もあった。暫く使われていないようだったけれど」

 

「あ、そうだったんですね。後、此処は〈トリニティ〉の『本校舎』から頑張れば歩ける距離ですし、地下に食堂設備のようなものもありましたから、特にお腹を空かせる心配も無さそうです」

 

さらにヒフミは施設は掃除すれば使える事を説明し、アズサはプールを見つけた事を話し、地下に食堂設備もある事をヒフミが説明した。

 

「ソレに私達がここにいる間、先生達もずっと一緒にいてくれる予定ですので、何かあっても大丈夫だと思います!」

 

“うん、任せて”

 

「ありがとうございます。えっと、通路を挟んで向かい側にもお部屋があるのですが、先生はーーーー」

 

「!!・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「ダメっ、絶対ダメ!! 『同衾』とかエッチじゃん!!!! 死刑!!!////////」

 

そして最後に、先生とピカチュウ達も一緒に『合宿所』に居てくれるとの説明し、先生が寝泊まりする部屋の説明を始めようとすると、ハナコがヒフミの元へ、ススス・・・・と、近付いてきたが、そうはさせまいとジュペッタがハナコの前で通せんぼをし、ハナコが反復横跳びで避けようとするが、ジュペッタも左右に動いて遮る。まるでバスケの攻防のようである。

ハナコとジュペッタのやり取りで『ナニ』を感じ取ったのかコハルはハナコを指差し、赤面&猫目になって騒ぎ出し、ヘラクロスは呆れ目でハナコを見ていた。

 

「えっと、コハルちゃん? 私、まだ何も言っていませんが・・・・?」

 

「何を言い出すのか大体分かるわよ!! ダメったらダメ! そういう事はさせないんだから!」

 

「コハルちゃんは厳しいですねぇ・・・・」

 

「私は先生もここで一向に構わないけど? ベッドも余ってるし、ミニリュウの育成についてのアドバイスも欲しいし、無駄に部屋を幾つも使う事もない」

 

『リューリュー』

 

“皆で交流を深めておいて。何かあったら呼んでくれれば良いから”

 

ハナコの行動と言動を先読みしたコハルがジュペッタと共にハナコを遮り、流石のハナコも苦笑して諦めたが、アズサは良く分かっていないようであり、合理的な考えから、先生と一緒でもいいと言い出すが、当然先生は大人の対応を取るのであった(まぁコレが〈ゲヘナ〉のヒナかイオリ、〈ミレニアム〉のネルかカリンだったら悩んでいる所ではあるが)。

 

「で、では一旦そういう事で。そうしたら、荷物を片付けて早速お勉強を・・・・」

 

「あら、でもその前にやることがあると思いませんか? ヒフミちゃん?」

 

「えっ・・・・?」

 

「!?」

 

「なるほど、敵襲を想定してトラップの設置を?」

 

先生の寝床もベッドルームの向かい側にある部屋に決まり、ヒフミは試験の為に勉強を始めよう促すが、ハナコがの前にやる事があると言い出し、ヒフミは首を傾げ、コハルはまた変な事を言うのかと警戒し、アズサはトラップ設置と問うたが、ハナコは首を横に振って口を開く。

 

「いえ、そうではなく・・・・『お掃除』、ですよ♡」

 

「・・・・お、お掃除、ですか?」

 

「はい。管理されていた建物とはいえ、長い間使われていなかった事もあって、埃なども多いように見えませんか?」

 

意外だが、ハナコが提案したのは『掃除』であった。

改めて見ると、長い事使われていなかった為か、窓や床、ベッドの枕や毛布等の所々に埃が被ってのが見て取れるし、少し臭いを嗅ぐとカビ臭く感じた。

 

「このままここで過ごすというのも健康に良くなさそうですし、今日はまずお掃除から始めて、気持ちいい環境で勉強を始めるというのはいかがでしょう?」

 

『ジュペ』

 

「成る程、確かにそうですね。先ずは身の回りの整理整頓から始めるのは定石ですし、そうでないと途中で気になってしまいますし・・・・」

 

『ガルガルラ』

 

『カルラ』

 

「うん、衛生面は大切。実際、戦場でも凄く士気に関り易い部分だ」

 

『リュー』

 

「お、『お掃除』・・・・? えっと、まあ、普通のお掃除なら・・・・」

 

『ヘラクロ』

 

“うん。私も良いと思うよ”

 

『ピカピカ』

 

『(コクリ)』

 

ハナコの提案を聞いて、他のメンバーやパートナー達、先生にピカチュウ達も同意するように頷いた。

 

「はい、ハナコちゃんの言う通りかもしれません。やる気が空回りしても困りますし・・・・。私達がするのは一夜漬けではなく、キチンと用意された期間の中での『試験勉強』・・・・つまりは長距離走のように、順番やペース、作戦も考えないとです」

 

部長らしくなってきたヒフミに、先生は小さく笑みを浮かべる。

 

「それでは先ず、大掃除から始めるとしましょう!」

 

“良し、頑張ろう!!”

 

ヒフミは皆で掃除をしようと宣言する。

 

「ソレでは『汚れても良い服』に着替えてから、10分後に建物の前に集合としましょう!」

 

「分かった」

 

「はい♪」

 

ヒフミが号令するとガルーラと共に歩き出し、アズサとミニリュウ、ハナコとジュペッタもついて行って、ベッドルームから出ていった。

 

「よ、『汚れても良い服』・・・・た、体操着で良い・・・?////」

 

“うん。ソレで良いよ”

 

ただ1人、コハルはまだ見栄が邪魔しているのか、一緒に行けず、先生に『汚れても良い服』の事を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー10分後・・・・。

 

「先生、皆さん、お待たせしました!」

 

『ガルガ』

 

「カル!」

 

『合宿所』の正門前。先生も一応持ってきていたジャージに着替え、ピカチュウ達は三角巾にマスクを装備し共に『補習授業部』の皆を待ちつつ、『掃除用具室』から道具をある程度持って置いておくと、〈トリニティ総合学園〉指定の体操着を着たヒフミと、頭に三角巾を巻き、口に『大型ポケモン用のマスク』を付けたガルーラと子ガルーラ(ハタキ装備)がやって来た。

 

“おお、体操服姿。掃除って感じがするね”

 

「はい、服装から入るのも大事ですからね。体操着の方が動きやすいですし、汚れた時に洗濯もしやすいですし」

 

最初に正門の前へやって来たのはヒフミであった。ヒフミは体操着に着替えてやってきたようで、先生も感心していた。

すると、同じく体操着を着たコハルと、小さな箒とチリトリを持って口にマスクをしたヘラクロスが近づいてくる。

 

「・・・・で、私は何をやれば良いの?」

 

「あっ、コハルちゃん早かったですね」

 

「お待たせ」

 

「アズサちゃんも・・・・ってどうして銃を? ミニリュウも何やら重装備ですけど?」

 

次にやって来たのは体操着を着用したアズサなのだが、その手には愛銃の『M4カービンクローンC8SFWのアサルトライフル・Et Omnia Vanitas』を持ち、ミニリュウは身体を防塵スーツに包まれ、マスクは勿論の事、防塵メガネまで着用した完全装備状態であった。

 

「肌身離さず持ってないと、銃の意味が無い。襲撃はいつ来るか分からないものだ。ソレにミニリュウはまだ生まれたばかり、掃除で出る粉塵で身体を壊してしまう」

 

「いえ、ソレはその、何と言いますか、その通りかもしれませんが・・・・」

 

この〈キヴォトス〉で銃を所持するのは当たり前の事だし、ミニリュウはまだ生まれて半日も経っていないのだ、アズサの言い分もある意味では正論なのだが、どうしてもツッコミを入れたくなってしまうヒフミ。

 

“そう言えば、ハナコがまだだけど・・・・”

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

「?」

 

『リュウ?』

 

そして最後であるハナコが遅れている事に、アズサとミニリュウ以外が嫌な予感を感じたその時ーーーー。

 

「お待たせしました、皆さん早かったですね?」

 

「アウトーーーーーーー!!!////」

 

「あら・・・・?」

 

またもやその豊麗なプロポーションをスクール水着で着用したハナコと、別の着替えを持ってきたジュペッタ(三角巾装備)が現れ、コハルは猫目&赤面して盛大にツッコミを炸裂させた。

 

「何で掃除するのに水着なの!? バカなの!? バカなんでしょ!? バーカ!!」

 

「ですが動きやすいですし、何かで汚されても大丈夫ですし、洗い流すのも簡単でーーーー」

 

“(・・・・水着の使用する用途が違う気がする)”

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『(ケラケラケラケラ)』

 

水着で出てきたハナコに対し、ヘラクロスに羽交い締めで抑えられたコハルは【みだれづき】のようにバカと罵倒する。ハナコはその罵倒に全く効果を受けず、汚れてもいい服という事で水着で着たと言うが、先生は半眼で呆れ、ピカチュウは苦笑し、ルカリオとキモリは頭痛を堪え、全く期待を裏切らないハナコにイーブイとアチャモとミズゴロウはケラケラと笑っていた。

そして、コハルが更に声を荒げる。

 

「そう言う問題じゃないでしょ!? 水着はプールで着る物なの! というか、だっ、誰かに見られたらどうするの!?」

 

「誰かも何も、ここには私たち以外いませんよ・・・・?」

 

“(・・・・やっぱりハナコは、頭はかなり良いと思うけど・・・・)”

 

コハルはハナコを指差しながら、見られたらどうするのかという指摘するが、ハナコはソレに対して、この『合宿所』には自分達以外誰もいないと返した。

そのやりとりを見て、先生は怒っているコハルに対して、にこやかに冷静に対応し、更に言葉を紡いでいるハナコが、本当は頭が良いのではないかと思っていた。

 

「と、兎に角ダメ! アウトったらアウト! アンタはもう水着の着用禁止!」

 

「あら・・・・ソレはソレで、まあ・・・・」

 

「あうぅ・・・」

 

その後、ジュペッタが持ってきた体操着に、ハナコは1度戻ってからキチンと着替えて出てきた。

色々と不安がまた湧き上がってきて困ってしまうヒフミだが、大掃除を始めるのであった。

 

「それでは先ず、建物周辺の雑草から抜いていきましょう!」

 

“今日は陽射しが強いから、熱中症には気を付けてね”

 

「は~い♪」

 

『ジュペ』

 

『ヘラクロ!』

 

「草を、抜く・・・・ま、まあ別に・・・・」

 

「成る程。確かに本陣の周囲で、敵が隠れられそうなポイントから取り除くのは理に適ってる」

 

『リュー?』

 

ヒフミの号令に他のメンバーも賛同したのだが、コハルは『草を抜く』という言葉に何故か反応をし、アズサは微妙にズレた理解を示していた。

 

「えっと・・・・と、と兎に角先ず建物の周りを整えたら、その後はそれぞれ1か所ずつお掃除をしていくという順番でお願いします!」

 

『ガルラ』

 

「はい♪」

 

『ジュペ♪』

 

「う、うん」

 

『ヘラクロ』

 

「わかった」

 

『リュー』

 

「さあ、始めましょうか!」

 

「「「おー!!」」」

 

『『『『『ーーーー!!』』』』』

 

『補習授業部』のメンバーによる『合宿所』の大掃除は、草むしりから始まった。

先生はイーブイ(色違い)に『超進化ライト』の緑の光を浴びせると、身体が一回り大きくなり、各所から草が生え、耳や尾も葉と一体化したモノへと変わり、先端部には切れ込みや葉脈が形成され、首周りを覆う毛も無くなって比較的スマートなシルエットとなっている。額の中心から上方向に向かって『?』のような形状に生えたアホ毛のようなものを持ち、本来のクリーム色の体色よりも濃い色となり、目の光が薄くなったように見える『しんりょくポケモン・リーフィア(色違い)』に進化させ、【はっぱカッター】で大きな雑草を切り捨てていき、残った根は皆で引き抜いていく。

が、身体の大きな母ガルーラには草むしりは少し難しそうであり、運動場に散らばっているガラクタを片付けていった。

 

「ん?」

 

「む?」

 

「あら?」

 

「??」

 

その際、『補習授業部』のメンバーは、草むしりの最中に、『コイン』を見つけ、落とし物かと思って回収した。

 

 

 

 

ーヒフミsideー

 

雑草を抜き終わり、ヒフミは『補習授業部』のメンバーと、先生の手持ちポケモン達を連れて次の掃除場所である『居住区・廊下』にやって来た。

 

「ここはまず箒で埃を掃いて、その後にモップが良さそうですね。埃の溜まり易い所ですので、1度では終わらないかも知れませんが・・・・」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

「アズサちゃんとミニリュウちゃん、ルカリオさんにはこの廊下が終わったら、シャワー室とお手洗いの辺りをお願いしても良いですか?」

 

「うん、了解。任せて」

 

『リュー』

 

『ルォ』

 

ヒフミは部長らしく、アズサとミニリュウとルカリオに他の場所を掃除するように指示を出すのであった。

 

「? 『コイン』か」

 

シャワー室の更衣室を掃除していたアズサが、また『コイン』を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして廊下を掃いて拭いてを繰り返し、掃除を終えるとアズサとミニリュウとルカリオと別れ、次に『合宿所・ロビー』へと赴いた。

 

「けほっ、けほっ・・・・! 何ここ、凄い埃・・・・」

 

「そうですね、家具が多いからでしょうか・・・・えっと、ではここも埃を掃いて・・・・」

 

「やっ、やり方くらい知ってる!『正義実現委員会』でずっとやってるし! マスクを付けて埃を払ってから、水拭きすれば良いんでしょ! バカにしないで!」

 

咳き込んでいたコハルにヒフミが掃除の仕方を指示しようとするが、コハルがまた見栄を張って、分かっていると声を荒げた。

 

「ば、バカにしたつもりは無いですよ・・・? では、ここはコハルちゃんとヘラクロスさん、アチャモさんにミズゴロウさんにキモリさんにお任せしますね!」

 

『ヘラクロス』

 

『チャモ!』

 

『ミジュ!』

 

『キゥ』

 

ヒフミの言葉に、ヘラクロスと御三家達は手を上げた。空を飛ぶヘラクロスと壁に張り付くキモリが高い家具の上を埃を掃き、アチャモとミズゴロウとコハルが床やソファを掃除し、ロビーはたちまち綺麗になった。

 

「あっ、またコインだ」

 

コハルは掃除の最中に、『コイン』を見つける。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして『合宿所・寝室』。皆の就寝に使われる場所である。

 

「えっと、ココは・・・・」

 

「ヒフミちゃん、ここは私達に任せてください。コレから“色々とお世話になる場所”ですし、キチンとお掃除して置かないとですよね。寝具類は今洗って干しておけば、午後には乾くでしょうし・・・・。他の部屋にもマットレスがあったので、古そうなものは交換して・・・・後は換気を・・・・」

 

「凄い、詳しいですね! ではお願いしますね、ハナコちゃん。ジュペッタさん」

 

「うふふ、はい♡」

 

『ジュペ』

 

“イーブイもやるみたいだね?”

 

『ブイ!』

 

「それじゃイーブイさんもお願いします」

 

『ブイブイ!』

 

ヒフミがベッドをどうしようかと言う前に、随分とやる気を出しているハナコとジュペッタとイーブイに任せる事にした。

先生はイーブイをエーフィ(色違い)に進化させると、ジュペッタと共に【サイコキネシス】を使って布団を運んでいった。

 

「そぅれ!・・・・あら? また『コイン』ですね?」

 

ベッドのシーツを交換していたハナコが、『コイン』を見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も、先生達と『補習授業部』の面々は『合宿所』の『教室』に『体育館』、『簡易キッチン兼食堂』等の施設を協力し合いながら掃除していった。

ついでに、掃除の最中に何枚か幾つもの『コイン』を見つけ、『落とし物箱』の中は数十枚の『コイン』に溢れていた。

 

“こんな処かな・・・・?”

 

『ピカチュウ』

 

「良いんじゃない? 随分綺麗になった気がする。うん、気持ちいい」

 

『ヘラクロ〜!』

 

「うん、悪くない」

 

『リューリュー』

 

「そうですね、お疲れ様でした!」

 

『ガルラ!』

 

『カルラ!』

 

粗方掃除をし終わった一同は、一度校庭に集合する。コハルとヘラクロス、アズサとミニリュウ、ヒフミとガルーラは一仕事を終えて、身体を伸ばしながら清々しい気分を味わっていた。

 

「あ、まだ1カ所だけ残ってますよ?」

 

が、ハナコがまだ『1カ所』を掃除していないと告げた。

 

「あれ、そうでしたっけ・・・・?」

 

「はい、『屋外プール』が♡」

 

「ぷ、プール・・・・? あ、そう言えばさっきアズサちゃんが言ってましたね」

 

残っている場所とは、先程アズサの言っていた『屋外プール』の事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、『屋外プール』にやって来た一同の目に入ったのはーーーー。

 

「コレは・・・・・」

 

大分汚れていた。プールの浴槽にプールサイド、更に周辺の植物までかなり汚れ伸び放題、むしポケモン達が集まっている上に、プール内部至っては落ち葉やら木の枝やらが散乱し、水苔やら泥水が入ったのか酷い状態である。

とてもじゃないがマトモな人間が入れる空間ではない。

 

『ミジュジュ〜♪』

 

まぁミズゴロウのような、泥水とかを好むポケモンがその中をはしゃいでいた。よく見ると、野生ポケモンらしき『みずうおポケモン・ウパー』や、その進化系の『みずうおポケモン・ヌオー』が、その沼のようなプールで泳いでいた。

 

「大分大きいな、何処から取り掛かれば良いのか・・・・いやそもそも、補習授業に『水泳』の科目は無かったはずだけど?」

 

「試験に関係無いなら、別にこのままでいいじゃん。掃除する必要ある?」

 

プールの規模も大きい為か、掃除するのにはかなり手間がかかりそうであり、『水泳』の授業は無いのでアズサとコハルは掃除をする必要は無いと言い出した。しかし、ハナコが異を唱える。

 

「いえいえ、よく考えてみてください、コハルちゃん。キラキラと輝く水で満たされたプール、楽しい合宿、はしゃぎ回る生徒達・・・・・・・・楽しくなってきませんか?」

 

「・・・・!? え、何!? 分かんない、何か私に分からない高度な話してる!?////」

 

ハナコが頬を赤らめて、ズイッと顔を近づけて何やら訳の分からない理論を展開し、プール掃除の必要と説く。しかし、コハルはハナコの言っている事が分からなく、猫目&赤面して混乱すると、ヒフミが改めて汚れきって寂れたプールを見る。

 

「ですが確かに、こうして放置されてしまったプールを見ていると・・・・何だか寂しい気持ちになりますね」

 

「このサイズだったし、昔はきっと使われていた時期もあったんだろう。元々は、にぎやかな声が響き渡っていた場所なのかも知れない」

 

アズサもまた、このプールに何かを感じ取ったようで、その広いプールを見て、過去は使われていた時の事を思い浮かべるのであった。

 

「それでも、こんな風に変わってしまう。『vanitas vanitatum』・・・・ソレが、この世界の真実」

 

「?」

 

「えっと・・・・?」

 

「古代の言葉ですね、『vanitas vanitatum‹全ては虚しいものである›』・・・・確かに、そうなのかもしれません」

 

アズサが小さく呟いた言葉にコハルとヒフミが首を傾げると、ハナコが解説をした。

 

「・・・・・・・・アズサちゃん、ヒフミちゃん、コハルちゃん! 今から遊びましょう!」

 

『ジュペ?』

 

「え、えぇっ!?」

 

「ウパーさんやヌオーさんには悪いですが、帰ってもらって、掃除して、プールに水を入れて、皆で飛び込んだりしましょう!」

 

“気合入ってるね・・・・”

 

アズサの言葉を聞いて思い立ったのか、ハナコが遊ぼうと言い出し、ジュペッタまでも首を傾げた。

 

「明日からは頑張ってお勉強をし続けないといけませんし、となると今日が最後のチャンスかも知れないじゃないですか。今の内にここで楽しく遊んでおかないと! 途中からはまた別のことで、色々と疲れてしまうかも知れませんし・・・・!」

 

何やら異様に張り切るハナコ。

 

「さあさあ、早く濡れても良い恰好に着替えてきてください! プール掃除を始めましょう!」

 

いつものと感じが違い、必死で皆を説得するハナコ。ソレを見てヒフミ達は、いつもとは違う彼女の姿に戸惑っていた。

 

「・・・・うん。例え全てが虚しい事だとしても、それは今日最善を尽くさない理由にはならない。問題無い、ちゃんと水着も持ってきてる。待ってて」

 

「あ、アズサちゃん!? 早っ・・・・!?」

 

「さあヒフミちゃんも! コハルちゃんも早く水着・・・・いえ、何でも良いので濡れても良い恰好に! ヘラクロスさんやアチャモちゃんは濡れないように気を付けて下さいね!」

 

ハナコの言葉に頷いて、アズサはミニリュウを首に巻いたまま足早に、真っ先に着替えに向かった。どうやら内心楽しみにしているようである。

更にハナコは、ヒフミやコハルにも、濡れてもいい服に着替えてくるよう促し、『むしタイプ』のヘラクロス、水が苦手な『ほのおタイプ』のアチャモに濡れないように言った。

 

“何だかハナコの目が怖い・・・・”

 

『ピカチュウ・・・・』

 

「うーん、でも確かにここだけ掃除しないのは何だか気持ち悪いですし・・・・私も着替えてきます!」

 

「え、えぇっ!? 補習授業とは全然関係ないじゃん・・・・うぅ、何で・・・・」

 

「ーーーーふふっ、コハルちゃん♡」

 

「わっ、分かった! 分かったから!! 無言で近寄らないで!」

 

ハナコの積極性と熱意に先生とピカチュウは若干引くが、ヒフミはソレに押されたのかプール掃除をする為に着替えに向かって行った。コハルは嫌そうにしたが、ススス・・・・と近づいてくるハナコの笑顔の圧に押され、着替えに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

「さあ、コレでビショビショになっても構わないと言う事ですね♡」

 

『・・・・・・・・』

 

「うん、問題ない」

 

「ま、まあ一応・・・・」

 

ヒフミとアズサとコハルはスクール水着に着替えて再び、プールへと戻ってきて、パートナー達と共に黙ってしまっていた。

ーーーーハナコがスクール水着ではなく、制服を着ていたからである。

 

『ジュペ・・・・』

 

ジュペッタはハナコの奇行にもうツッコミを入れるのを諦めたかのように、青空を見て「あぁ、今日も空は青いなぁ・・・・」と黄昏ていた。

 

「では、皆でお掃除を始めましょうか?」

 

「待て待て待てっ!!」

 

堪らずコハル(猫目&赤面)が、プールに向かうハナコに向かって盛大にツッコミを炸裂させた。

 

「コハルちゃん? どうかしましたか?」

 

「あんた掃除の時は水着でどうして今度は制服なの!? 本当にバカなの!? 『濡れても良い服』ってあんたが言ったんじゃん!?」

 

「これが『濡れてもいい格好』ですよ?」

 

コハルはハナコが制服を着ていることを指摘するが、当の本人は気にする様子はなかった。

 

「もうアンタが何言ってるのか全然分かんない! 制服が濡れても良いの!?」

 

「コハルちゃん、これは各々の『美学』の問題かもしれませんが・・・・」

 

「え、『美学』・・・・?」

 

意味が分からないと言わんばかりに頭を抱えるコハルに、ハナコがまた神妙な面持ちで『美学』を語り始め、コハルが聞き返した。

 

“『(またイジられるな・・・・)』”

 

コハルとハナコ、さらにアズサとミニリュウ以外の面々は、お約束的な2人のやり取りを半眼で呆れながら見据える。

 

「水着と制服、どちらの方が濡れた時に『良い感じ』になると思いますか?」

 

「は、はぁっ!? 『良い感じ』って何よ!? 何の話!?」

 

ハナコはつまり、制服の方が濡れた時に『良い感じ』になるので制服を着てきたという事であるが、コハルはハナコの言っている事をまるで分からなかった。

 

「ふふっ、まあ半分は冗談ですよ。ほら、実は中に着てるんです。お小遣いで買ったビキニの水着♡」

 

「え、え・・・・?」

 

「先ほどコハルちゃんに『水着の着用禁止』と言われてしまいましたし、確かに学校ではスクール水着の方が鉄板ですが・・・・今日はこれで許していただけませんか?」

 

どうやらハナコは下に水着を一応着ていたようである。制服を着ていた理由は、先程コハルに言われた『水着着用禁止』という言葉に従ったようである。

 

「スクール水着は今洗濯中でして、これがダメだとすると私、下に何も・・・・」

 

「な、何で私に判断を託すのさ・・・・! べっ、別に勝手にすれば良いじゃん・・・・!?」

 

そして先ほど着ていたスクール水着は、ベッドのシーツとかと一緒に洗濯した為、ハナコは制服を着る事ができないからコハルから許可を得られないとプール掃除ができないのである。それを聞いたコハルは勝手にすればいいと言った。

 

「うふふ、ではそういう事で♪」

 

ハナコは安心したのか笑顔を見せるのであった。

 

「それでは改めて、お掃除始めましょうか!」

 

そして、『補習授業部』のプール掃除が始まった。




ーコハル&ヘラクロスー
中学時代、課外授業で〈百鬼夜行連合学院〉の自治区に行った際、路地裏に落ちていた『禁書』を見つけ、『森林エリア』の木陰に隠れて鑑賞していた際、その木に寝ていたヘラクロスが寝ぼけてコハルに声をかけてしまい、錯乱したコハルが思わずモンスターボールを投げてしまい、その時にゲットし、コハルのフォロー役をこなしている。
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