ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回はオリジナルストーリー。
この世界の先生は、ポケモンの言葉が何となく解ります。
今回の話で、ユウカに新しいポケモンを。そして! あのポケモンが登場!


その出会いは突然! この出逢いは必然?

ー先生sideー

 

先生がこの〈キヴォトス〉に来て数日が経ち、その間。

ピカチュウと一緒に買い物をして、サンドイッチの材料や玩具を買い過ぎてユウカに怒られ、お財布の紐を握られたり。

〈ミレニアム〉の『エンジニア部』に挨拶し、色々な道具を作ってもらったり。

スズミに護衛してもらいながら、周辺の雑貨店や洋服店や食事処を見て回ったり。

チナツから書類整理の手伝いをして、『R』についての情報を貰ったり。

ハスミの悩みの相談やネギガナイトの鍛錬に付き合ったり。

アロナと色々なレトロゲームで遊んで楽しんだり。

リンの後輩である『岩櫃アユム』とパートナーの『しゅくふくポケモン・トゲキッス』、『由良木モモカ』とパートナーの『ヤドン』を紹介されたり。

ヒトカゲとゼニガメとフシギダネがルカリオにしごかれたりしていた。

そして、ある休日の昼の十時頃。

 

“・・・・・・・・『ライドポケモン』が欲しい”

 

『ピカ?』

 

『カル?』

 

〈サンクトゥムタワー〉から三十km離れた連邦捜査部〈S.C.H.A.L.E‹シャーレ›〉の先生の執務室。

『とある学校』に行く為の準備と、昼食用の『特性サンドイッチ』を作り終えて、パックに入れてリュックサックに入れた先生がふと呟き、近くの床に座布団を敷いて、それに座りながらポケモンフーズを食べていたピカチュウとルカリオが、『どうしたの?』と言いたげに首を傾げる。

 

“ピカチュウ。ルカリオ。これから私達はこのキヴォトスにある数多の学校や大勢の生徒達に会っていかなければないよね?”

 

『『ピカピカ/ウォゥウォゥ』』

 

二匹は先生の問い掛けにウンウンと肯定するように頷く。

 

“でも、このキヴォトスは広大だ。電車で行くには効率が悪い。かと言って車を購入したくても高いから、ユウカに怒られちゃう。さらに銃撃戦やポケモンの急襲にあったらひとたまりもない”

 

『『ピカピカ/ウォゥウォゥ』』

 

さらに肯定するように頷く。

 

“でも、キヴォトスで許可された騎乗できるポケモン、『ライドポケモン』を使えばその問題も解消されると思う!”

 

『『ピカァッ!/ルオゥ!』』

 

先生の提案に、二匹は「成る程!」と言いたげに、ポンと手を叩いた。

 

“二人はライドポケモンは大丈夫?”

 

『ピッピカ!』

 

『ウォゥ!』

 

二匹は「大丈夫」と頷くと、先生は〈シッテムの箱〉を起動させ、『ライドポケモン』の一覧を映した。

 

“(ありがとうアロナ)”

 

《お安い御用です! 生徒さんだと学園や連邦生徒会から許可を貰って免許を取らないといけませんが、先生なら大丈夫です! それでどの『ライドポケモン』さんにしますか? ポピュラーに『モトトカゲ』さんにします? それとも高速で走れる『ムーランド』さんですか? 足場の悪い岩肌も走れる『バンバドロ』さんですか? 町中でも使える『ゴーゴート』さんーーーー》

 

「ーーーー先生。失礼します」

 

『サー』

 

とソコで、ユウカとサーナイトが執務室に入ってきた。

 

“あっ、ユウカにサーナイト。どうしたの?”

 

「はい。先生のサンドイッチの材料費の計算にーーーー」

 

ーーーービーッ! ビーッ! ビーッ!・・・・。

 

「「っ!?」」

 

『『『っ!?』』』

 

ユウカの言葉を遮るように、執務室、否、〈シャーレ〉全体に響き渡るような警報が鳴り響いていた。

すると直ぐ様、先生はアロナに状況を求めた。

 

“(アロナ。何が起こったの?)”

 

《はい先生、ちょっと待ってて下さい!ーーーーーーーーえっ!? 先生! このシャーレに向かって、大型のひこうタイプのポケモンの群れが接近しています!》

 

『ピカァッ!!』

 

アロナの報告がされた直後、いつの間にか窓の近くに来ていたピカチュウが外を指差しながら大声を張り上げた。

先生とユウカ、ルカリオとサーナイトが窓に向かい、外の景色を見るとーーーー“『黒い塊』がシャーレに向かって飛んできていた”。

 

「先生、あれって・・・・?」

 

ユウカが指差すのと同時に、『黒い塊』の中から一つの『影』が飛び出し、『黒い塊』もその『影』を追うようにコチラに向かってきた。

 

『ピカ!』

 

『ルォッ!』

 

『サー!』

 

空かさず、ピカチュウとルカリオとサーナイトが、先生とユウカを守るように前に出た。

が、『影』はコチラの窓にぶつかる寸前、カクっと急降下して、下に落ちる。

 

“・・・・今のは?”

 

先生が急降下した『影』を追うと下に目を向けると、『影』を追っていた『黒い塊』も、迫ってきた。

 

「先生危ない!」

 

それに気づいたユウカが先生を窓から離すように押し倒すと、『黒い塊』も『影』を追って窓の手前で急降下する。

が、

 

ーーーーガシャァァァァァァァァァンン!!

 

『黒い塊』の中から、一匹のポケモンが急降下に間に合わず、窓を突き破って、執務室に転がり込んだ。

 

『リォッ!』

 

『サー!』

 

ルカリオが【ボーンラッシュ】で、サーナイトが【ねんりき】で、先生とユウカに迫る窓ガラスの破片を防いでいった。

 

“あ、ありがとうルカリオ、サーナイト。ユウカもありがとう”

 

「ひゃ、ひゃい!(お、押し倒しちゃった・・・・)/////」

 

顔を赤くしたユウカが先生から離れると、先生は起き上がり、破れた窓ガラスに、テーブルにPCにホワイトボードがひっくり返り、更には本棚まで倒れ、スッカリ滅茶苦茶になった執務室が目に入った。

 

“あぁ、リンちゃんに怒られる・・・・!”

 

「あぁ! 修繕費が凄い額になりそう!」

 

先生とユウカが頭を抱えてそう言うと、ピカチュウ達も苦笑した。

と、そんな呑気な会話をしていると。執務室に突撃してきた『影』が起き上がり、その姿を露わにした。

漆黒の身体に薄いアーマープレートをつけた巨大なカラス、否、ポケモンだった。

 

“あ、『アーマーガア』!?” 

 

『ガァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

先生が呼ぶと、『カラスポケモン・アーマーガア』は翼を広げて大声を張り上げた。

 

『ガァァァァァァァ!!』

 

アーマーガアはノッシノッシと窓に向かって駆け出す。

 

「先生こっちに!」

 

ユウカが先生の腕を引っ張り、アーマーガアの進路から離れ、先生のリュックサックの隣に立った。

 

“っ! ピカチュウ!”

 

『ピカッ!』

 

何かを思いついた先生が、リュックサックの外ポケットから小さなGPS発信機(エンジニア部製)を取り出してピカチュウに渡すと、ピカチュウは察したように頷き、破れた窓から外に出ようとするアーマーガアの足に、発信機を取り付けた。

 

『ガァァァ!』

 

アーマーガアはそれに気づかず、窓から外に飛び出て、下へと向かった。

先生とユウカはすぐに窓から下を見下ろすと、近くの小さなビルの屋上を『黒い塊』が包み込み、それをよく見るとそれは、アーマーガアの群れだった。

 

“アーマーガアの群れ!?”

 

『アーマーガアって、同じ個体で群れをなす性質は無かったですよね?』

 

アーマーガアの群れはあの『影』を追いかけていた。つまり、『影』はあのビルの屋上にいると思った先生はリュックサックを担いで、ピカチュウとルカリオに顔を向ける。

 

“ピカチュウ! ルカリオ! 追うよ!”

 

『ピカ!』

 

『カル!』

 

先生の言葉に大きく頷いた二匹。

しかし、

 

「先生待って下さい!」

 

“ユウカ?”

 

「エレベーターよりも早く向こうにいけます! 私のサーナイトに捕まって下さい!」

 

“分かった!(ヒシッ)”

 

『サー!?(ポッ/////)』

 

先生はすぐさまサーナイトに抱き着いて、サーナイトは顔を赤くした。

 

「違います先生! サーナイトに抱きつくんじゃなくて! サーナイトの手を取って下さい!(サーナイト、羨ましい・・・・!)」

 

“あ、そうなの。ゴメンね”

 

『サー・・・・』

 

サーナイトの手を取ったユウカに言われ、先生はサーナイトから離れてもう片方の手を取り、ピカチュウを頭に乗せたルカリオが、先生の空いた手を取ると、サーナイトは少し残念そうな顔になり、ユウカを少し恨めしそうに見つめる。

 

「ちょっとサーナイト、何でそんな目で見るの? って、それよりも、サーナイト! 【テレポート】よ!」

 

『・・・・サー』

 

サーナイトは一瞬目を閉じて気持ちを切り換えてから声を上げると、一瞬で執務室の景色から、外の景色、それもアーマーガアが群がっているビルの近くの通りに転送された。

 

“・・・・アーマーガア達は、アソコか!”

 

『ピカッ!』

 

『ルォ!』

 

先生とピカチュウとルカリオがアーマーガアの群れがいるビルを見上げて睨む。周りの通行人や車も止まりながら、ビルを見上げており、中にはスマホロトムを構えて撮影までしていた。

が、何やらスマホロトムを見て戸惑ったような声を上げていた。先生も見てみると、スマホロトムの画面が砂嵐になっており、ジャミングされているようであった。

 

「ーーーーユウカちゃん!」

 

「っ、『ノア』!」

 

と、ソコでユウカに話しかけてきたのは、ユウカと同じく〈ミレニアムサイエンススクール〉の制服に、生徒会『セミナー』所属の証も付け、薄紫の瞳、膝元にすら届く程の長い銀髪、耳には特徴的なヘッドセットを装着し、穏やかそうだが何処かミステリアスな雰囲気をし、サブマシンガンを腰に装備した生徒が、その手にクレープを持って歩いてきた。

その後ろに控えるのは、サーナイトと似た姿を男性的にし、両肘に刃物のような突起が付いている。サーナイトが優雅で美しいなら、こちらは気品があって凛々しい印象がある『やいばポケモン・エルレイド』が、その手にノアと同じクレープを持っていた。

 

『サー?』

 

『・・・・エル』

 

『サー!』

 

サーナイトがエルレイドに近づき、手に持っているクレープに目を向けると、エルレイドは笑みを浮かべてクレープを手渡すと、サーナイトは嬉しそうにクレープを貰って食べていた。

 

“君は?”

 

「あ、先生ですね? 私の名は『生塩ノア』。ユウカちゃんと同じ〈ミレニアムサイエンススクール〉の生徒会『セミナー』の書紀を務めております。この子はパートナーの『エルレイド』です。ユウカちゃんのサーナイトのお兄さんでもあるんですよ」

 

『エル』

 

ノアと名乗った生徒に紹介され、エルレイドはキリッとした顔つきになり、まるで執事のように礼儀正しく礼をした。

 

“ユウカのサーナイトのお兄さんなの?”

 

「はい。ですからサーナイトに少々甘くて」

 

普段はユウカの秘書かメイドのように後方に控える大人しいサーナイトが、エルレイドに甘える仕草を見て問いかけると、ノアも朗らかに微笑んで返した。

 

「それでノア。どうしてここに? 今日は新しくできたクレープ屋さんに行ってたんじゃ?」

 

「クレープを買ってすぐ、あのポケモンの群れが『シャーレ』に向かっているのが見えたから、心配になってエルレイドの【テレポート】で来たの。まさかすぐにユウカちゃん達と合流できるなんて」

 

『ルォォ!』

 

と、話していると、ルカリオがアーマーガアの群れを指差して叫び、先生達が目を向けると、ビルの屋上から『影』が飛び出し、そのまま別のビルの屋上を次々と跳び越えながら、アーマーガアの群れから逃げ出していた。そして群れも、その『影』を追っていく。

 

“あの『影』を追っているのか・・・・ピカチュウ。ルカリオ。追いかけるよ!”

 

『ピカピカ!』

 

『ルォゥッ!』

 

先生の言葉に、二匹はコクンと頷いた。

 

「いや追いかけるって先生。どうやって?」

 

“さっき執務室に入ったアーマーガアの足に、GPS発信機を取り付けたから・・・・よしビンゴ!”

 

先生がスマホロトムを見ると、まだジャミングされているせいか砂嵐だが、アロナが『シッテムの箱』からジャミングを解除すると、スマホロトム・タブレットモードが正常に機能し、発信機の赤い点滅がキヴォトスの地図を動いていた。

そして、先生はピカチュウを肩に乗せ、ルカリオと走り出そうとする。

 

「あっ、待って下さい先生。走っていくのは無理です」

 

“それじゃ、『イキリンコタクシー』でも拾って・・・・”

 

「いえ、それよりももっと安全かつ速く追える方法があります」

 

ノアがそう言うと、ユウカの方に目を向ける。

 

「ユウカちゃん」

 

「えっ? で、でも、先生、追うんですか?」

 

“アーマーガアが群れを成すなんて、どうも妙だし気になるんだ。それに、あの『影』の正体もね”

 

先生が真剣な目でそう言うと、やがてユウカが仕方ないと言わんばかりに大きな溜め息を吐いてから、モンスターボールを取り出した。

 

「分かりました。七神首席行政官には私達の方で言っておくので、先生はあの『影』を追ってください。ーーーー『ゼブライカ』!」

 

ユウカがそう言うと、モンスターボールが開きソコから黒い身体に白い稲妻の模様がつき、頭と尻尾が稲妻のなっているポケモン『らいでんポケモン・ゼブライカ』だ。

 

『ブルルルル・・・・』

 

“ゼブライカ? ユウカの手持ち?”

 

「はい。『ライドポケモン』の訓練もしているので、私とノアを乗せても大丈夫ですから、先生とピカチュウにルカリオを乗せても余裕で追えますよ」

 

手持ちポケモンを騎乗できるライドポケモンにするには、先ずそれなりの成績を納め、許可を貰ってから、車の免許のような試験と、ポケモン自身がライドポケモンとしてやっていけるか綿密な診察と訓練を受けて、初めて許可証を貰えるのだ。

 

“ありがとうユウカ。ノア。ゼブライカ、よろしくね”

 

『ヒヒィィィンン!』

 

ゼブライカの背に乗った先生とピカチュウとルカリオ。

それを見送った二人と二匹は、お互いを見て、クスッと笑い合うと、そのすぐ後に駆けつけたリンに事の顛末を大まかに説明してから、『シャーレ』をリンに押し付けて‹任せて›、その場を去った。

 

 

 

 

 

 

スマホロトムに表示される『影』の進路をゼブライカに伝えて進んでいくと、『シッテムの箱』のアロナからメールが届く。

『影』の進路先から、目的地を解析してもらっていたのだ。

 

《先生。『影』の進路方向から、このままだと〈ミレニアム〉の『岩壁エリア』に向かいますよ!》

 

“〈ミレニアム〉の『岩壁エリア』・・・・?”

 

先生が問い返すようにメールを打つと、すぐさまアロナが返信した。

 

《この〈キヴォトス〉では、野生ポケモンさん達が少しでも安心に暮らしていけるように幾つかの『エリア』があるんです! そして、〈ミレニアム〉の『岩壁エリア』もその一つで、入り組んだ岩の壁が迷路のようにもなっていて、サバイバル生活や戦闘の訓練にも使われているんですよ!》

 

“・・・・成る程。ありがとうアロナ”

 

そうこうしていると、ゼブライカは『岩壁エリア』に到着し、発信源のある場所へと向かった。

『岩壁エリア』は切り立った崖が壁のように連なり、さらに入り組んだ道となり、正に天然の迷路のようであった。

スマホロトムに、このエリアの地図らしき物が表示され、ゼブライカで奥の奥まで進んでいくと、岩壁の下段の所、広く開かれた場所に小さな湖があった。

その岸に目測だが四十匹以上のアーマーガア達が群がり、その視線の先にあの『影』らしき物体が、否ーーーーポケモンが倒れていた。

先生達はゼブライカから降りると、上段の端まで歩き、そのポケモンを見据えていた。

 

“・・・・あのポケモンは?” 

 

『・・・・・・・・』

 

『ガァァァ!』

 

『ガー! ガー!』

 

倒れたポケモンに、アーマーガア達が近づいていく。

その時、倒れていたポケモンはゆっくり上体を起こしーーーー。

 

『アギャアアアアオ!!』

 

“ーーーーうわぁ!!”

 

『ピカッ!?』

 

『カォ!?』

 

エリア全体に響き渡る程の雄叫びに、アーマーガア達は怯み、先生はバランスを崩してピカチュウとルカリオと一緒に落下した。

 

『先生! スマホロトムを!』

 

“皆!”

 

と、アロナの声が響き、ピカチュウとルカリオは先生にしがみつくと、スマホロトムの『落下防止装置』が発動し、先生は間一髪地面にゆっくりと降りた。

が、アーマーガア達はこっちにも気づいたようで、鋭い視線を向けていた。

 

“・・・・・・・・ピカチュウ! ルカリオ!”

 

『ピッカァ!』

 

『ルォォッ!』

 

見捨てておけないと思った先生が指示を出すと、ピカチュウとルカリオは「待ってましたぁ!」と言わんばかりに飛び出し、アーマーガア達に立ち向かう。

 

“ピカチュウ、【アイアンテール】! ルカリオ、【はっけい】!”

 

『ピカァ!』

 

『ルゥゥゥゥ・・・・リォォッ!!』

 

『ガァァァァァァァ!!?』

 

ピカチュウとルカリオが攻撃すると、三体ずつアーマーガアを蹴散らした。

 

『ガァァ!?』

 

他のアーマーガア達が、突然の攻撃に驚いた。

 

『オウオウカリオゥ?』

 

『ピカピカチュウ!』

 

『ガァァァァァァァ!!』

 

「一匹相手に卑怯だぜ?」、「僕らが相手だ!」と言わんばかりに、不敵な笑みを浮かべて手招きするルカリオとピカチュウに、アーマーガア達が襲いかかる。

 

“ピカチュウ【かげぶんしん】! ルカリオ【ボーンラッシュ】!”

 

『ピッ! ピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカ!!』

 

『ガァ!?』

 

『ルゥオウー!』

 

ピカチュウが自分達よりも多くの数になって撹乱すると、ルカリオが【ボーンラッシュ】を巧みに振るいながら次々と蹴散らしていく。

このまま一気にーーーーと、思っていたが、アーマーガア達が段々連携をとったり、飛行能力を上手く使って二匹を攻めていく。

 

“(・・・・やっぱり変だ。アーマーガア同士で群れを作って、さらに連携まで取るなんて・・・・もしこのポケモン達が『野生』ではなく、『手持ち』だとするなら、何処かに指示を出している『司令塔』がいる筈だけど・・・・)”

 

先生が眼球運動で探すとーーーー見つけた。

奥に一体だけ、倒れているポケモンの上で、戦闘に参加していないアーマーガアがいた。

 

“(恐らく司令塔はあのアーマーガア。だけど、ピカチュウとルカリオも数が多くて動けない。ヒトカゲ達を出すか・・・・)”

 

と、ヒトカゲ達のモンスターボールを取り出そうとする先生に、『シッテムの箱』のアロナが話しかける。

 

《先生! あのアーマーガアさんの首輪から奇妙な通信をキャッチしました! 多分アーマーガアさんのトレーナーさんが、あの首輪を通して遠隔で指示を送っていると思われます!》

 

“アロナ。その通信を傍受できるかい?”

 

《ちょっと待って下さい!ーーーーーーーーやりました! まだ解析中で処々ノイズが入っていて良く聴き取れませんが、何とか聞き取れる部分があります! 聞きますか?》

 

勿論、と返すと、奥にいるアーマーガアの首に巻かれた首輪からの通信が聞こえてきた。

 

《ーーーーにを・・・・いる・・・・やく・・・・『ーーーーー』・・・・えろ! ・・・・ず共・・・・》

 

“・・・・『ーーーーー』?”

 

確かに、処々ノイズが入っていて聞き取りにくかったが、先生は僅かに聴こえてきた『名前』に首を傾げると、二体のアーマーガアが先生に向かってくる。

 

《先生!》

 

“っ!”

 

『ピカピピ!』

 

『ルォウウ!』

 

すぐにピカチュウとルカリオが戻ろうとするが、僅かに間に合わない。先生はせめてダメージを少なくしようと防御に身構える。・・・・先生の懐の『ボール』から、エネルギーが流出し、先生の身体を薄い『膜のような物』が包み込む。

が、

 

「ーーーーサーナイト! 【サイケこうせん】!」

 

「ーーーーエルレイド! 【サイコカッター】!」

 

『『ガァアアアアア!?』』

 

別の方向から、光線と刃が飛んできて、二体のアーマーガアを倒した。

 

“っーーーーユウカ! ノア!”

 

『膜』が消え、岩壁の上に目を向けるとーーーーユウカとノアが、サーナイトとエルレイドとゼブライカの隣に現れた。

 

“二人ともどうして?”

 

「後で説明します!」

 

「空に逃げたり、先生を襲うアーマーガアは私達が対応します!」

 

“ーーーー分かった!”

 

『ーーーーピッ!』

 

『ーーーーカル!』

 

先生がピカチュウとルカリオに目を向けると、二匹はそれで意図を察したように頷くと、二匹はダッと駆け出し、【かげぶんしん】や【ボーンラッシュ】で振り抜けたり薙ぎ倒したりしながら突き進む。

狙いはーーーー司令塔であるアーマーガア。

突如現れた新たな敵に、アーマーガア達の連携が乱れて、その隙を突いた。

 

『カルォォォッ!!』

 

『ガァァ!?』

 

ルカリオがアーマーガアの一体の頭を踏み台にして、司令塔のアーマーガアに近づくが、司令塔のアーマーガアはすぐに横に避ける。

しかし、ルカリオの後ろに、ピカチュウが現れた。

 

『ピカッ!』

 

『カルゥゥゥゥゥゥオオオッ!!』

 

ピカチュウが【ボーンラッシュ】の上に乗ると、ルカリオは大きくフルスイングし、ピカチュウは司令塔のアーマーガアに向けて投げ飛ばす。

 

『ガァァァァァ!!』

 

アーマーガアは一直線にくるピカチュウから逃げようとする。

が、

 

“ヒトカゲ! 【かえんほうしゃ】!”

 

『カゲー!!』

 

『ガァァァッ!?』

 

先生がいつの間にか出していたヒトカゲの火炎に遮られる。しかも、狙いをしっかり定められており、逃げられそうにない。ほのおタイプに弱いはがねタイプのアーマーガアは、その場から動けなくなる。

しかし、はがねタイプのもう一つの弱点、でんきタイプのピカチュウがアーマーガアの眼前に現れる。

 

“ピカチュウ! 【かみなりパンチ】!!”

 

『ピィィィカァァァァ!!』

 

ーーーーバリリリリリリリリィィィッ!!

 

『ガガガガ・・・・』

 

激しい雷鳴と閃光が弾けると、地面に華麗に着地するピカチュウとルカリオ。

それから一拍置いて、盛大に落下して目を回している司令塔のアーマーガア。首輪も落下で故障したのか、カチッと音を立ててアーマーガアから外れた。

 

『ガァガァガァ!!』

 

司令塔を失い、残った十数匹が混乱し、その場から飛び去っていった。

 

“・・・・ふう、終わったか”

 

『『『チャ〜/ル〜/カゲ〜』』』

 

と、先生とピカチュウとルカリオは良い運動になったと言わんばかりに、ヒトカゲはホッと一息吐いてその場に座り込むと、【テレポート】でユウカ達がやって来た。

 

「先生。大丈夫ですか?」

 

“ユウカ、ノア、サーナイト、エルレイド、助かったよ。でもどうしてここが?”

 

「ゼブライカにはライドポケモン用の発信機を付けられているんです。その反応をスマホロトムで検知して、後はサーナイトとエルレイドの【テレポート】で駆けつけたんですが、まさか〈ミレニアム〉の『岩壁エリア』だったなんて・・・・」

 

ノアがこの場所に来た経緯を聞くと、先生はゼブライカの頭を撫でてから、ヒトカゲをモンスターボールに戻し、力無く倒れているポケモンに近づく。

 

『・・・・・・・・グゥゥゥゥ』

 

“・・・・・・・・”

 

「先生、このポケモンは・・・・?」

 

「スマホロトムの『ポケモン図鑑アプリ』にも、『No Data』って表示されています」

 

先生は少しポケモンの周りを歩きながら、ケガとかが無いか調べると、

 

ーーーークゥゥゥゥ・・・・。

 

ポケモンから、空腹を訴える音が響いた。

先生はリュックサックから、『特性サンドイッチ』を取り出した。

 

“・・・・食べるかい?”

 

『・・・・アギャ?』

 

顔を上げたポケモンは、先生の顔を見てから、サンドイッチを見て匂いを嗅いだ後、サンドイッチを食べた。

 

『・・・・パクっ、ガツガツ・・・・!』

 

『ピカピカ・・・・』

 

『ルォゥ』

 

ピカチュウとルカリオが慌てず、よく噛んで食べろ、と言いたげにいうと、ポケモンはサンドイッチを食べ終え、四本の足で立ち上がり、

 

『アギャアス』

 

一ーーー声を上げた。

そして先生達は、改めてそのポケモンを見る。

紫色の体色にメカニカルで東洋龍のように長い体型の機械竜チックな姿をしており、両目をよく見ると、カメラアイや液晶の様なドット調になっているのが特徴的で、その目元からは細い針状のアンテナが二本ずつ伸び、張り出した喉元や尻尾は金属質のチューブで構成されており、首には『小さな立方体のケース』を紐で括り付けてぶら下げていた。

何処となく、『ライドポケモン・モトトカゲ』に似通った姿をしていた。

 

「このポケモン・・・・モトトカゲに似てるけど・・・・進化形かしら?」

 

「でも、モトトカゲは進化をしないタイプのポケモンだったよ?」

 

『・・・・・・・・』

 

“・・・・・・・・”

 

モトトカゲ?は、先生をジッと見つめると、先生もにこやかに見つめ返してくる。

するとモトトカゲ?は、先生の後ろの通路に目を向けると、その場に向かってノシノシと歩いていった。

 

“・・・・?”

 

先生達は少し首を傾げながら、モトトカゲ?の後ろを見ていると。

 

『アギャアアアス!!』

 

一声叫んでから、目を閉じて身体を縮ませると、辺りに何やら霞が立ち込め、モトトカゲの身体が発光する。

 

“っ!”

 

「えっ!? な、何!?」

 

「これは・・・・!」

 

驚く先生達を余所に、モトトカゲ?がピョンと跳び上がるとーーーー。

 

『アギャアアアアアアアアアス!!』

 

何と、モトトカゲ?はその姿を変えた。

一番目を引くのは後ろ足だろう。まるでジェットエンジンのような形状となり、腹部と尻尾が紫と黄色のグラデーションに発光し、目元のアンテナも同じ色合いの、ゼブライカと同じギザギザした稲妻のような形をしたエネルギーで覆われており、腹部は夜空にも見える程に光る斑点模様。

ジェットエンジンが火を吹き、尻尾もエネルギーが迸り、前足、嫌、腕に力を込め、アンテナもピカッと光り、カッと見開いた目も先程のように弱々しくなく、力強さを感じさせていた。

 

『アギャアアアアアス!!!』

 

そしてその雄叫びは、周囲を振動させる。

 

“っっ!”

 

『っ!!』

 

先生もピカチュウ達も、ユウカとノアも、その振動に身を震わせた。

 

『(チラッ)』

 

“・・・・・・・・”

 

『・・・・・・・・』

 

モトトカゲ?は先生に向けて視線を寄越すと、そのまま地面を浮遊しながら、通路へと進んでいった。

 

「行っちゃった・・・・」

 

「先生、どうしますか?」

 

ユウカが進んでいったモトトカゲ?を見て呟くと、ノアが先生に問う。

 

“・・・・・・・・さっきのアーマーガア達が戻って来るかも知れないし、やっぱりあのポケモンの事も気になる。『岩壁エリア』の観光も兼ねて、あのポケモンに付いていこう”

 

そして、先生達もモトトカゲ?の後を追うと、モトトカゲ?は先生達が来るのを待っていたように佇み、一緒に『岩壁エリア』を歩いていった。因みに、首輪と発信機(付けていたアーマーガアが気絶しちゃっていた)はルカリオが回収してくれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから三十分後、行けども行けども高い岩壁による迷路が延々と続いていた。

 

“それにしても凄い入り組んだ迷路だね・・・・”

 

「私もノアも、ここまで奥に来たのは初めてですよ」

 

“他にもこんな『エリア』があるの?”

 

「はい。このエリアのように、野生ポケモン達が過ごしやすいように作ったり、自然にできて手つかずに置いたエリアがあるんです。〈ミレニアム〉はこの『岩壁エリア』。〈トリニティ〉は花園や野原がある『草原エリア』。〈ゲヘナ〉は沼地や岩山の『湿地エリア』。〈レッドウィンター〉は『雪原エリア』。〈百鬼夜行〉は『森林エリア』。〈ヴァルキューレ〉は『海岸エリア』とあり、各エリアにいるポケモン達をゲットしてパートナーにしているトレーナーもいますよ。“各エリアは各学校が管理する事になっていて、連邦生徒会の庇護下にありますから、『企業』による不必要な開発や介入は禁じられているんです”」

 

と、そんな話をノアから聞いている間、一緒に歩くモトトカゲ?が辺りをキョロキョロと顔を向けていた。

最初はアーマーガア達を警戒しているのかと思ったが違う。何故なら。

 

『ピィカ〜・・・・』

 

『ルォゥ・・・・』

 

『『・・・・・・・・』』

 

『ブルル・・・・』

 

ピカチュウとルカリオ、サーナイトとエルレイドとゼブライカも、何かを警戒しているように、周囲に視線を向けていたのだ。

 

“・・・・皆?”

 

ピカチュウは直感から、ルカリオは生物が発する波動から、サーナイトとエルレイドは感情に敏感な感受性から、ゼブライカは他の皆の反応から、周囲を警戒していた。

そんなパートナー達の様子を見て、先生とユウカとノアも、立ち止まって周囲を見回す。

 

“・・・・何かいるのかな?”

 

「・・・・もしかしたら、『あの噂』が・・・・?」

 

“ノア、知ってるの?”

 

「はい。以前から〈ミレニアム〉の間で、この『岩壁エリア』の奥で、“岩壁が動いている”って噂が流れているんです。勿論、ポケモンかも知れませんが」

 

「それってあくまで噂でしょう? それに、見た生徒の見間違いかも知れないわよ?」

 

「でも、確かに妙な視線と気配をさっきから感じているの。一様にそうとも言えないよ?」

 

「でもねぇ・・・・(何しろその『噂』の発信源が、『モモイ』だからなぁ・・・・)」

 

と、そんな風に会話をしていると、先生はスマホロトムを眼前に浮かせ、さらに『シッテムの箱』のアロナに、スマホロトムからの映像から解析を任せた。

 

“・・・・アロナ。周囲の様子は?”

 

《はい先生! え~っとですね・・・・・・・・っ! 先生! 後ろの岩壁に奇妙な反応が!》

 

“っ! ルカリオ! 【はどうだん】!!”

 

『カルォォォォォォ!!』

 

先生が指差した方角にルカリオが【はどうだん】を放つと、岩壁から土煙が上がり、ソコからーーーー巨大なポケモンが飛び出してきた。

 

『っ!!』

 

ーーーードシイイイイイイイイイイイイインンッッ!!

 

凄まじい土煙が上がり、辺りが見えなくなる。

が、その煙から飛び出したのは、ユウカとノアを乗せたゼブライカだった。

 

『ヒヒィィィンン!!』

 

「な、何あれっ!?」

 

「あれって、『ガケガニ』!?」

 

『ンガアアアアアアニィィィィィィィッ!!』

 

巨大なカニのようなポケモンの正体は、『まちぶせポケモン・ガケガニ』だった。しかし、そのサイズは、通常のガケガニのおよそ二十倍近くの巨体だったが。

 

「ちょっと待って! ガケガニってあんなに大きかった!?」

 

「一体アレは・・・・っ先生達は!?」

 

ゼブライカが止まると、【テレポート】でサーナイトとエルレイドが隣に現れる。が、先生の姿が見えず心配するユウカとノア。

その瞬間ーーーー。

 

『アギャアアアアアス!!』

 

何と、土煙の中から飛び出したモトトカゲ?が、まるでバイクのような形となって飛び出し、その頭にピカチュウが、その背中に先生とルカリオが乗っていた。

 

“ありがとう! えっと・・・・・”

 

先生はモトトカゲ?にお礼を言おうとするが、『名前』が分からず首を傾げると、先程傍受した『名前』を口にした。

 

“・・・・『ミライドン』・・・・?”

 

『アギャ!』

 

先生が呟いた『名前』に、モトトカゲ?が反応するように声を上げた。

 

“・・・・それが、君の『名前』・・・・?”

 

『アギャアス!』

 

先生の問いに肯定するように声をする。

 

“・・・・『ミライドン』・・・・そうか! 『ミライドン』か・・・・!!”

 

『アギャアアアアアアスッ!!』

 

先生の言葉に応えて、モトトカゲ?、否、『ミライドン』は声を張り上げた。

 




はい! ミライドン登場です! ブルアカの世界観なら、ミライドンが似合うと思ったので! コライドンもいずれ出ます!
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