ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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美食研究会とのバトルはかなりいい加減に作りました。ソレでも見たいお方はどうぞ。


真夜中の課外授業・対決『美食研究会』

ー先生sideー

 

「・・・・『美食研究会』?」

 

《ところで先輩、今どちらです? 早くご命令を頂かないと、このままだとツルギ先輩が発射・・・・飛び出しちゃいそうっすけど》

 

「つ、ツルギは取り敢えず止めてください。私は今その、私用で少々外に・・・・」

 

《いやー無理っすよ。ハスミ先輩以外じゃそうそう止められな・・・・あっ、ツルギ先輩! 行かないでください! 後そっちはドアじゃなく壁・・・・》

 

ーーーーガシャァァァァン、ドゴォォォォォォォォンっ!!!

 

ハスミが〈トリニティ〉に侵入した『美食研究会』と言う〈ゲヘナ〉の問題児集団‹テロリスト›の事をイチカからの通信で会話していると、どうやらツルギは『美食研究会』の捕縛に張り切っているようで壁をブチ破って出撃していったようだ。

 

“ツルギは相変わらず元気いっぱいのようだね♪”

 

『ピカピカ♪』

 

「ツルギ先輩の場合は元気過ぎるんだけどね・・・・」

 

『ヘラクロ・・・』

 

先生とピカチュウはツルギの事を気に入っているのか、にこやかにそう言うと、コハルとヘラクロスも何とも言えない顔でそう言った。

 

《あー・・・・取り敢えずアタシらも一旦追いかけて、出撃しますね》

 

ーーーーピッ。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ツルギが壁を破壊して出撃した事をイチカはハスミに報告し、ツルギの後を追うべく通信を切った。

ハスミは唐突に訪れた緊急事態に、呆然と突っ立っていた。

 

ーーーードォォォォンン・・・・。

 

すると、遠くで爆発音が響いてくるのが、先生や『補習授業部』の面々の耳にも入ってきた。

 

「近いな。爆発音からして、ここから1km以内の所か」

 

『リュー』

 

「え、えぇっ・・・・!?」

 

どうやらこのスイーツ屋の近くにまで、『美食研究会』はやって来たみたいである。

 

『『・・・・・・・・・・・・』』

 

「ごめんなさい! 本当にごめんなさいネギガナイト、タイレーツ! つい欲望に負けてしまいました! どうか許して下さい!」

 

そして、ネギガナイトとタイレーツを解放し、しかめっ面となっている2匹(?)に必死に平謝りしまくって許してもらったハスミが、先生と『補習授業部』に話しかける。

 

「ーーーー皆さん、突然の事ですみませんが、皆さんの力が必要です。お願いできますでしょうか? 今は『エデン条約』を目前に控えて、色々と過敏な時期です。この問題が傍から見て『〈トリニティ〉の『正義実現委員会』と〈ゲヘナ〉間の衝突』と捉えられてしまうと、状況が不利になる事は想像に難くありません。つまり『補習授業部』と『シャーレ』が一緒に解決して下さる・・・・そういう構図が望ましいのです。先生、お願いできますでしょうか・・・・?」

 

“うん良いよ。じゃあ補習授業部一同出発”

 

外部から〈トリニティ〉と〈ゲヘナ〉が武力衝突に捉えられるのを避ける為、ハスミは『超法規的措置』である『シャーレの先生』に連携を申し込む。

先生はハスミの提案に快く了承し、皆に出発すると言い出す。

 

「了解した。そろそろミニリュウにもポケモンバトルを経験させたかったから丁度いい。先生の指示に従う」

 

『リュー!』

 

「えぇっ!? い、いきなり戦闘ですか・・・・!? あ、あうぅ・・・・」

 

『ガルラ!』

 

『カルラ!』

 

「ふふっ・・・・まあ、先生が仰るのであれば♡」

 

『ジュペ〜♪』

 

アズサとミニリュウはノリノリであり、ヒフミは夜のお散歩から戦闘に入ってしまった事に戸惑うが、ガルーラ達はやる気になっていた。ハナコとジュペッタはこの状況を楽しんでいるようだが。

 

「あっ、わ、私も・・・・? 先生と・・・・ハスミ先輩と、一緒に・・・・?」

 

「いつかこうして肩を並べる時期が来るとは思っていましたが・・・・想像より早かったですね、コハル」

 

「は、はい! 頑張ります・・・・!」

 

戸惑うコハルに、ハスミが嬉しそうにそう言うと、コハルはやる気満々となって笑みを浮かべ応える。

 

『ヘラクロ!』

 

『クワァ』

 

『イト』

 

ヘラクロスも両手を動かしてやる気を示し、ネギガナイトとタイレーツも笑顔で頷く。

 

「そう言えば、しっかり先生の指揮の下で戦うのは初めてか。遠慮はいらない、先生。私とミニリュウの事は存分に使って」

 

「あらまあ・・・・♡」

 

“じゃあ、安全第一で”

 

アズサの言葉にハナコが何を思ったのか頬を染め、先生は安全優先に言う。

そしてスイーツ屋を出た一同は、先ず先生がルカリオと御三家達を、ヒフミがガルーラを、ハスミがネギガナイトとタイレーツをボールに戻してから、先生がミライドンを出した。

 

『アギャァス!ーーーーアギャ♪』

 

「む・・・・っ!」

 

『リュー! リュー!』

 

早速アズサを捉えたミライドンがペロペロしようと近付くが、アズサが両手と片足を使ってミライドンにペロペロされないように抑えつけて抵抗し、アズサの首にかかっているミニリュウもアズサの腕に移動して、「アズサに近付くな!」と言わんばかりに尻尾でミライドンの顔をペシペシと叩いていた。

 

「あらあら♡ すっかりミライドンさんに気に入られちゃいましたね、アズサちゃん♡」

 

「凄く抵抗してますけどね・・・・」

 

「・・・・ペロペロって、なんかハレンチな気がするけど・・・・ポケモンだからセーフ、で良いのかな?////」

 

ハナコが頬を染めて見つめ、ヒフミが苦笑し、コハル(赤面&猫目)になってツッコむべきか悩む。

と、先生がやめるように言って、ミライドンは渋々アズサから離れると、頭にピカチュウを乗せ、先生と先生の肩に乗ったイーブイがミライドンの背中に乗り、その後ろにヒフミ、アズサとミニリュウがその更に後ろに乗り込む。

 

「ハナコとコハルは?」

 

「流石に5人も乗るのはミライドンさんも苦しいでしょうから・・・・ジュペッタ、【サイコキネシス】」

 

『ジュペ』

 

ハナコが指示すると、ジュペッタが【サイコキネシス】でハナコの身体を宙に浮かせる。

 

「・・・・そう言う事なら私も、ヘラクロス」

 

『ヘラクロス!』

 

コハルもハナコに同意し、ヘラクロスに指示すると、ヘラクロスは羽根を広げて飛び、コハルの後ろからお腹に両手を回し、そのままコハルを持ち上げて空を飛んだ。

 

“ハスミは・・・・?”

 

「心配しなくても大丈夫です先生。パフェを3つも食べたのですから運動をしなくては・・・・!」

 

ミライドンの隣で柔軟しているハスミに先生は話しかけるが、ダイエット中なのにパフェを3つと食べてしまったから、走ろうとしているようである。

 

「で、でもハスミ先輩、走るのって苦手だったんじゃ・・・・」

 

「私自身の戒めです。気にせず向かって下さい」

 

“う、うん。・・・・でも、ハスミも無理しないでね”

 

「ありがとうございます先生」

 

ハスミとそう話すと、ミライドンが走り出し、その後を宙を浮くハナコとジュペッタ、空を飛ぶヘラクロスに持ち上げられたコハルが追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして少し進んだ後、何と空からーーーー複数の瓦礫や車やバイクと言った車両が落下してきたのだ。

 

『ピカピピ!』

 

『アギャッ!?』

 

“うわぁ!? 何だぁ!?”

 

「むっ?」

 

「きゃーっ!?」

 

「あらあら?」

 

「うわっうわっ!?」

 

先生がミライドンを操作してドリフトで瓦礫や車両を回避し、ジュペッタの【サイコキネシス】でソレらを退かしながら、コハルとヘラクロスも助けていた。

 

「む!? 先生、上空に何かいるぞ」

 

“っ!”

 

落下してくるものが収まり、アズサが上空を見上げてそう言うと、先生も空を見上げると『巨大な鳥ポケモンらしき影』が、〈トリニティ〉の夜空を飛んでいた。しかし、時刻も夜のせいか暗く、さらに高い位置を飛んでいる為か、どんなポケモンなのか判別し難かった。

 

“皆、分かる!?”

 

「むぅ、暗視ゴーグルを持ってくれば良かった。常在戦場の心構えを忘れるとは不覚だ・・・・」

 

「いえ! 普通に私達! 『夜のお散歩』を! してただけですから・・・・!」

 

「てか、急ごうよ! また瓦礫と車が落ちてくるわよ!」

 

「でも、もしかしたら『美食研究会』のポケモンかも知れません。ジュペッタ、見えますか?」

 

『ジュペ』

 

先生が全員に聞くが、アズサとヒフミは分からないと言い、瓦礫が止んでいる今の内に急ごうと言うコハルに、ハナコがそう言ってからジュペッタに問うと、ジュペッタは空を見上げる。『ゴーストタイプ』であるジュペッタにとって、この程度の暗闇等昼間と大差ないと言わんばかりである。

 

『ジュペ・・・・ジュペ!? ジュぺぺぺペっ!!』

 

「え・・・・? “『巨大なオトシドリ』が空を飛んで、瓦礫や車両を投げ捨てている”?」

 

ジュペッタが騒ぐと、ハナコはその言葉の意味が理解できないのか、眉根を寄せる。

 

“(ピクッ)・・・・巨大な、『オトシドリ』?”

 

「は? 何言ってんのハナコ? オトシドリって、あの『あく・ひこうタイプ』の『オトシドリ』よね? 今図鑑アプリで見たけど私やアズサとそんなに変わらない大きさよ?」

 

「ええ。ですがジュペッタは夜目が効きますから、間違いない筈です」

 

「ドローンと言う可能性は?」

 

「いえ。動きやフォルムが完全に機械ではなく生物のソレらしいです。間違いなく生身のポケモンのようです」

 

コハルとアズサが否定的な意見を言い、ハナコも2人の気持ちが理解できる為、懐疑的である。しかし、思い当たるものがあるのは先生達と、ヒフミとガルーラだけである。

 

「せ、先生、まさか・・・・?」

 

“・・・・これは、急いで『美食研究会』の所に行こう! アズサ、しっかり捕まって! ミライドン、フルスロットル!”

 

『アギャァア!!』

 

「っ!?」

 

「えっ!? ちょっ、先生どうしたの!?」

 

「分かりませんが急ぎましょうコハルちゃん! ヘラクロスさん! ジュペッタ、急いで下さい!」

 

突然フルスピードになったミライドンにヒフミは仰け反りそうになるがアズサが支え、コハルとハナコもヘラクロスとジュペッタのスピードを上げて音を追った。

程なくして、『正義実現委員会』の委員達と交戦している、4人の〈ゲヘナ〉生徒を見つけた。

 

“ーーーー到着!”

 

「あっ! モトトカゲに良く似た紫色のポケモンに乗った大人の人、『シャーレ』の先生ですね!?」

 

“うん。助っ人に来たよ!”

 

「やっと追いついた・・・・! あの、状況ってどうなってるんですか?」

 

「コハルちゃん! 実はね・・・・」

 

ミライドンから先生達とヒフミとアズサとミニリュウが降り、委員の1人が先生だと気づき、さらに少し遅れてやって来たハナコとコハルも到着し、そしてコハルと顔見知りらしい委員から状況の説明を受けた。

何でも、突然『アクアリウム』を襲撃し『金色のイダイトウ』を強奪した『美食研究会』を追っていたのだが、思いの外逃げ足が早く、途中から車まで使われて派手なカーチェイスを展開され、更には空から瓦礫やら車両やらを落とされて苦戦していたが、マシロが狙撃で『美食研究会』の乗っていた車のタイヤをパンクさせて車は横転し、ソレを盾にして『美食研究会』は銃を持って、人員を使って銃撃戦まで追い詰めたのだが、ポケモンも他の委員も疲弊してしまったとの事である。

 

「ーーーーはぁ、はぁ、はぁ・・・・なる、ほど・・・・! そのような、じた、いなん・・・・ゲホッゲホッ!!」

 

“ハスミ!?”

 

と、状況説明を聞いている内にやって来たハスミが汗を滝のように流し、肩で息をするように身体を揺らし、ソレに伴いハナコよりも雄大な胸元がユッサユッサと揺れ、咳き込んでしまっていた。

 

『クワクワ』

 

『イトイト』

 

いつの間にか出てきたネギガナイトとタイレーツが酸素スプレーをハスミに渡して呼吸を整えさせながら、少し休憩させている。

 

「ハスミ先輩、走るの苦手なのに頑張ったんだ・・・・」

 

「ダイエット中なのに間食してしまったからですね」

 

「・・・・・・・・」

 

「どうしましたアズサちゃん?」

 

「いや、羽川ハスミが走るのが苦手なのは、あの大きなむーーーー」

 

『ジュぺ・・・・』

 

“アズサ、そう言うのは思ってても言っちゃダメだよ”

 

コハルとハナコが苦笑し、アズサがジッと呼吸を整えているハスミの身体を上から下まで、ソレこそ圧倒的な質量をした爆乳は勿論、背中にあるハスミの身体を覆える程に大きな黒い翼に、形の良い安産型の巨尻、長く黒いスカートのスリットから覗いている、長くてムチッとした太ももを見ているとヒフミが問うてきたので答えようとしたが、ハナコのジュペッタが袖で口を塞いで先生が諌めた。

これでは暫くハスミは動けないし、ツルギが来たらより過激な事態になるのは想像に難くない。

そう思って、先生が前に出て声を上げる。

 

“ーーーー『美食研究会』の皆! 私は『シャーレの先生』だ! 少し話をしないかい?”

 

「ちょっ、先生!?」

 

「ーーーー『シャーレの先生』・・・・?」

 

ヒフミが慌てて先生を引き留めようとするが、車の影から、長い銀髪に制帽を被った、こう言っては失礼だが〈ゲヘナ〉よりも〈トリニティ〉にいる方がシックリくる生徒と、『アローララッタ』が顔を出してきた。

 

「・・・・『美食研究会』のリーダーである『黒舘ハルナ』とそのパートナーポケモンの『アローララッタ』。今他の正実の仲間のスマホロトムから写真と名前が送られてきたわ」

 

後ろからコハルがコッソリと教えてきて、「ありがとう」と呟きながら、先生は黒舘ハルナに話しかける。

 

“うん、そうだよ。はじめまして”

 

「お噂はかねがね聞いております。〈ゲヘナ学園〉3年生の『黒舘ハルナ』。『美食研究会』のリーダーをしております。この子はパートナーのラッタ」

 

『ラッタ!』

 

「私と同じく『美食』を探求する仲間もご紹介します。3年生の『鰐淵アカリさん』と『ベトベトン』」

 

「はじめまして、先生☆」

 

『ベトベト〜ン』

 

車の影から次に出てきたのは、長い金髪と小さな角を生やしたハナコと同じくくらいに豊麗なプロポーションをした少女と『アローラベトベトン』が現れて紹介された。

 

「2年生の『獅子堂イズミさん』と『ヨクバリス』」

 

「ちょっと! 大人しくしてよ!」

 

『キキッ』

 

次に現れたのは、暴れる『金色のイダイトウ』を抑えている、ムチムチとした身体つきをした顔も丸っこい少女と『ヨクバリス』。

 

「1年生の『赤司ジュンコさん』と『ゴンベ』です。あ、後最後に、『給食部』の2年生、『愛清フウカさん』です」

 

「ちょっと! 勝手に名前とか教えないでよ!!」

 

『ゴン』

 

「んんーっ! んぐんんー!!」

 

そして最後に、赤い髪をした小柄な生徒と『ゴンベ』。そしてゴンベに担がれている赤い瞳に黒髪ツインテール、額から生えた2本の角が髪の毛に掛けられている三角巾とエプロンを付けた女の子が猿ぐつわ&簀巻きにされていた。

 

“・・・・あの、その子も『美食研究会』なの?”

 

「んぐッ!? んぐんぐぐー!!」

 

「いえ、フウカさんはあくまで私達が捕まえた『金色のイダイトウさん』を調理する為に特別にご招待しただけですから、『協力者』と言うのが適切ですね」

 

フウカと呼ばれた少女も仲間なのか先生が聞くと、凄まじい勢いで首を横に振り、ハルナがそう答えた。

 

“・・・・出来ればそのイダイトウを手放して、降伏してくれると助かるんだけど。ソレは『観賞用』であって『食材用』じゃないんだけどな”

 

「ソレはできませんわ。ただ見世物としてお金稼ぎの手段に終わるなど、このイダイトウさんに対してとても不誠実。私達が美味しく調理して、『美食』として美味しく味わって見せます!」

 

“(あっ・・・・コレは話し通じない子だなぁ)”

 

「と言う訳で、我々はここで失礼させていただきます」

 

ハルナが空を見上げたその時、『黒い大きな影』が降りてこようとしていた。

 

“(やはりアレは・・・・。もしそうなら、彼女達をどうやって止めればーーーーあっ、彼女達は『美食』を探求するチーム。ならば・・・・!) ちょっと待ってくれないかな!”

 

「あら? 何でしょうか先生?」

 

“・・・・コレ、何か分かるかな?”

 

先生は懐から、ピンク色に輝く『ひでん:あまスパイス』が入った小瓶、黄色に輝く『ひでん:すぱスパイス』が入った小瓶、そして、真っ白に輝く『ひでん:しおスパイス』が入った小瓶を『美食研究会』の面々に見せた。

 

「っ! そ、ソレはまさか・・・・!?」

 

『!?』

 

「んぐっ!?」

 

その3つの小瓶を、もっと正確に言えば『ひでん:すぱスパイス』を見たハルナ達『美食研究会』、そしてフウカも目を見開いた。

 

「ソレはまさか・・・・以前風紀委員長が風紀委員会の方達に日頃の慰労を兼ねてフウカさんに作ってもらったサンドイッチに使われた・・・・『秘伝スパイス』!? 我々『美食研究会』も食べたかった・・・・!!」

 

“(よし。食いついた!) そう。私もヒナと見つけた『ひでん:すぱスパイス』だよ。そして、同じく『ひでん:あまスパイス』と『ひでん:しおスパイス』だよ”

 

先生が、他のスパイスの小瓶の蓋を開けると、香りが『美食研究会』の鼻腔に入って行った。

 

「『ひでん:あまスパイス』・・・・!」

 

「『ひでん:しおスパイス』・・・・!」

 

「お、美味しそう・・・・!!」

 

そしてその香りを嗅いで、『美食研究会』の面々は口の端から涎を垂らした。

そして先生は、コッソリとハナコに話しかけた。

 

“ハナコ”

 

「はい?」

 

“すぐ近くにコンビニがあるから、ソコからサンドイッチを1個買ってきてくれないかな? 店員さんがいなかったら書き置きとお金を置いてきて”

 

「ふむ・・・・分かりました」

 

ソレで先生の意図を理解したハナコが、ジュペッタに【サイコキネシス】で浮かびながら、急いでコンビニへと向かった。ソレを確認してから、先生は『美食研究会』に向き直る。

 

“どうかな『美食研究会』? 『補習授業部』の皆とポケモンバトルしないかい? 『補習授業部』が勝ったら、大人しく『金色のイダイトウ』を諦める。君達『美食研究会』が勝ったら・・・・この『秘伝スパイス』のある所、教えちゃうよ?”

 

『っっ!!?!?』

 

『秘伝スパイス』のある場所を教えると言われ、『美食研究会』は肩をビクッと震わせた。

 

「・・・・少し、タイムを取らせていただいてよろしいでしょうか?」

 

“うん。良いよ”

 

ハルナの提案を先生が受け入れると、『美食研究会』は円陣を組んで話し合っていた。すると、ハナコとジュペッタが戻って来て、事のあらましを聞いた。

 

「凄いですね先生。『美食』を探求する彼女達にとって、『秘伝スパイス』は喉から手が出る程に欲しがる代物。ソレをエサにしてバトルに持ち込むとは」

 

「で、でも先生、バトルするのは私達、なんですよね?」

 

“うん。基本『シャーレ』は中立だからね。こう言った組織間のバトルには指揮以外は介入できないんだ”

 

「私は構わない。ミニリュウの初バトルの相手が〈ゲヘナ学園〉の問題児集団とは丁度良い」

 

「確か〈ゲヘナ〉は『どくタイプ』と『あくタイプ』をメインに使いますから、『あくタイプ』と相性の良い『むしタイプ』と『かくとうタイプ』の複合であるヘラクロスを持つコハルちゃんがいてくれるのは、コチラにとっては有利ですね」

 

「えっ、わ、私!?」

 

「な、何か、アズサちゃんとハナコちゃんはやる気になってます・・・・あうぅ、夜のお散歩に来ただけなのに・・・・」

 

“そうだね。でももう夜遅いし明日の勉強もあるから、早々に終わらせないとね。と言う訳で皆・・・・”

 

先生が皆に作戦を伝え終えるのと同時に、ハルナが円陣を解いて前に出る。

 

「分かりました。そちらのバトルの要望を受けましょう」

 

“ありがとう。バトル形式は夜遅いから1対1と言わず、4対4の集団戦形式でいいかい?”

 

「構いませんわ。私達『美食研究会』は食材を得る為にブラックマーケットに赴き、ガラの悪い方達やマーケットガードと戦ってきた兵。そう簡単に送れは取りませんわ」

 

「はぁ!? アイツらブラックマーケットだけじゃなくて、マーケットガードとも戦ってんの!? 〈ゲヘナ〉って本当に無法な学校なんだ・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

“・・・・・・・・・・・・・・・・”

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

ブラックマーケットに行き、更にはソコの治安部隊であるマーケットガードとも戦っている『美食研究会』にコハルはドン引きしてしまい、ヒフミと先生達は思いっきり顔を逸らしてしまった。

そして、紆余曲折を得て、『補習授業部』と『美食研究会』のポケモンバトルが開催された。

 

「では、お行きなさいラッタ!」

 

『ラッタ!』

 

「お願いしますね、ベトベトン!」

 

『ベトベト〜ン!』

 

「行っちゃえ、ヨクバリス!」

 

『バリス!』

 

「ゴンベ、行って!」

 

『ゴンベ!』

 

「で、ではコチラも、ガルーラ!」

 

『(ポンッ)ガルラ!』

 

『カルラ!』

 

「初陣だ、ミニリュウ!」

 

『リュー!』

 

「宜しくお願いします、ジュペッタ」

 

『ジュペ〜!』

 

「ヘラクロス、頑張って!」

 

『ヘラクロス!』

 

双方のポケモン達が横一列に並び、ガルーラとアローララッタが、ミニリュウとヨクバリスが、ジュペッタとアローラベトベトンが、ゴンベとヘラクロスが、お互いを睨んでバチバチッと火花を散らしていた。

そして先生が右手を上げる。

 

“コレより『美食研究会』と『補習授業部』のポケモンバトルを開始する! ポケモンバトル! Fight!!”

 

『ピカッ!』

 

先生が手を振り下ろすのとほぼ同時に、お互いのポケモン達がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

ーヒフミVSハルナsideー

 

「ラッタ! 【ビルドアップ】してから【かげぶんしん】!」

 

『ラッタ〜!!・・・・ラッタタタタ!!』

 

『ガルッ!?』

 

アローララッタが1度身体に力を込めると、一瞬身体が膨張し、更に動き出して、ソコから何体もの分身を作ってガルーラの周りを動きまくる。

体格差をスピードとフットワークで補いながら、アローララッタがガルーラに襲いかかる。

 

「が、ガルーラ、右下からだよ!」

 

『ガルッ!』

 

ヒフミの指示で右下に裏拳を繰り出し、アローララッタにぶつけるガルーラ。

だが・・・・。

 

『ラタッ、ラタタタタ!!』

 

なんと、【ビルドアップ】でパワーアップしていたせいかダメージそこそこで、アローララッタは腕を伝ってガルーラに肉薄し、

 

「【いかりのまえば】!」

 

『ラァッタァァァァッ!!』

 

『ガラッ!?』

 

「ガルーラ!」

 

そのまま右肩に、その発達した前歯で思いっきりに噛みつき、ガルーラにダメージを与えた。

 

『ガルゥラァー!!』

 

ガルーラは噛み付いたアローララッタを引き剥がそうと左手を回して掴むが、アローララッタは頑として剥がれなかった。否、下手に引き剥がそうとするとガルーラの肉すらも引き千切りそうな程の勢いで、前歯を食い込ませていった。

 

「あうぅ〜、どうすれば・・・・あっ! そうだ! 子ガルーラ!」

 

『カルゥ!』

 

ヒフミの指示を受けた子ガルーラが、その小柄な体型を生かして母ガルーラの身体をよじ登り、アローララッタの横面に向けて拳を叩きつけた。

 

『ラダッ!?』

 

側面からの攻撃で噛む力が一瞬緩んだ隙に、母ガルーラがアローララッタを引き剥がせた。

 

「ガルーラ! 【かわらわり】!」

 

『ガァルゥゥラァー!!』

 

その一瞬の隙に、母ガルーラがアローララッタの脳天に『あくタイプ』の弱点、『かくとうタイプ』の技を叩き込もうてした。

が、

 

「ラッタ。【どくどく】」

 

『ブゥゥゥゥ!!』

 

『ガルラっ!!?』

 

 

ハルナの指示で即座に毒液を放射したアローララッタに、ガルーラはもう片方の腕で口を隠して即座に避けた。

 

「ガルーラ! 大丈夫!?」

 

『ガル!』

 

ヒフミが問い掛けると、母ガルーラは子ガルーラをお腹の袋に入れながら頷いた。

 

「ガルーラ!」

 

『(コクリ)ガルラ!』

 

『カル!』

 

ヒフミの言葉に母ガルーラは頷き、子ガルーラは袋の奥に入り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアズサ&コハルVSイズミ&ジュンコsideー

 

「ヨクバリス!」

 

「ゴンベ!」

 

「「【あなをほる】!!」」

 

『バリス!』

 

『ベェー!』

 

イズミとジュンコの指示で硬いアスファルトを砕いて、その下の地面を掘り進んでいった。

 

「ミニリュウ! 地面に気をつけろ!」

 

「えっとえっと・・・・【あなをほる】をされたら・・・・!」

 

アズサはミニリュウに地面を注視しろと指示を出すが、コハルはどう指示をすべきが決めあぐねていた。

しかし、そんな事に構わず、アスファルトが下から盛り上がり、更にその盛り上がりがヘラクロスとミニリュウに向かって来た。

 

「うわっ来た!?」

 

「問題ない。ミニリュウ、【みずのはどう】!」

 

『リュー!!』

 

ミニリュウがアズサの指示を受けてヨクバリスに向けて水の波紋を撃ち出した。

が、

 

『バリスー!!』

 

「ヨクバリス! 【のしかかり】!」

 

ヨクバリスはソレを受けても動じず、ミニリュウにボディプレスで潰した。

 

「そのまま押し潰しちゃえ!」

 

『バリス!!』

 

『リュー!?』

 

「ミニリュウ!」

 

ヨクバリスの重量の重そうなふくよかな体躯にこのまま潰されれば、小柄なミニリュウではひとたまりもない。

 

「あわわ、ど、どうしよう・・・・!」

 

『ヘラクロ!』

 

「えっとえっと、ヘラクロス! ミニリュウを助けにーーーー」

 

「行かせないわよ! ゴンベ、【じだんだ】!」

 

『ゴンゴン、ゴンベ!』

 

バトルに慣れていないのか、コハルは指示がうまくできずヘラクロスが「しっかり!」と声を上げ、ミニリュウの救出に向かわせようとするが、ゴンベがアスファルトを踏みつけて、飛び出した岩をヘラクロスへと飛ばした。

 

『ヘラクロ!?(ガツンッ)ヘラー!!』

 

「ヘラクロス! えっとえっと、この場合は・・・・」

 

岩をぶつけられて倒れたヘラクロスに、コハルは指示を送りたかったが、どうすれば良いのか分からず逡巡していた。

と、その時ーーーー。

 

「ーーーーコハル! 落ち着きなさい!」

 

「っ! ハスミ先輩!?」

 

後方からの声にコハルが振り向くと、全力疾走の疲労でグロッキー状態だったハスミが回復したのか、叱咤激励を飛ばしていた。

 

「アナタがバトルの勉強と練習をしていた事は、努力をしてきた事は知っています! アナタのヘラクロスだって十分強いのです! 自分の努力とヘラクロスを信じて、指示を出しなさい!」

 

「は、はい!」

 

尊敬する先輩であるハスミからの激励に、気合を新たにしたコハルが改めてヘラクロスを見ると、ゴンベが迫ってきた。

 

「ゴンベ! 【かえんほうしゃ】!」

 

『ゴンベェェェェ!!』

 

ゴンベがヘラクロスに向けて炎を放射した。

 

「ヘラクロス躱して!」

 

『ヘラクロ!』

 

コハルの指示を受けて、ヘラクロスはヒラリと回避し、

 

「【とびかかる】!」

 

そのままゴンベにとびかかると、小柄なゴンベの身体をヘラクロスが持ち上げると、コハルは丁度後ろでミニリュウを押し潰そうとしているヨクバリスに目を向けて・・・・。

 

「そのままヨクバリスに向けて、【ともえなげ】!」

 

『ヘラーーーークロス!!』

 

『ベエエエエ!?』

 

『バリ?(ドガッ!)バリス!?』

 

その場で後ろに倒れながら、ヘラクロスはヨクバリスに向けてゴンベを投げ飛ばした。

 

『リュ〜・・・・』

 

「ミニリュウ! しっかりしろ!」

 

『っ!(フルフル)リュー!』

 

フラフラとなりながらも起き上がったミニリュウにアズサが声を上げると、ミニリュウは正気に返った。

 

「助かったコハル、ヘラクロス!」

 

『リュー!』

 

「う、うん! やったわヘラクロス!」

 

『ヘラクロス!』

 

「油断しないでくださいコハル! ヘラクロス!」

 

「は、はい!」

 

『ヘラクロス!』

 

アズサとミニリュウに感謝され喜ぶコハルとヘラクロスにハスミが声を上げると、2人は気を引き締めた。

 

「ヨクバリス! 【こおりのキバ】!」

 

「ゴンベ! 【しねんのずつき】!」

 

イズミとジュンコが指示すると、ヨクバリスとゴンベは起き上がり、ミニリュウとヘラクロスに冷気を纏った牙と、念動力を纏った頭突きで襲いかかる。

 

「ミニリュウ! 【まきつく】!」

 

『リュー!』

 

『バリス!?』

 

「ヘラクロス! 【ミサイルばり】!」

 

『ヘラクロース!』

 

『ゴンベー!』

 

ミニリュウがヨクバリスの太い首に巻き付いて締め上げ、ヘラクロスが角から針を飛ばしてゴンベを近づけさせないようにした。

 

「そう言えばハナコは?」

 

「ハナコ! アンタも真面目にーーーー」

 

「アカリはちゃんと戦ってるのかな?」

 

「あっそう言えば、アカリーーーー」

 

アズサとコハルが、アカリとアローラベトベトンと戦っているハナコとジュペッタに目を向けると。

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

「うふふふふ・・・・♡」

 

「あらあら・・・・☆」

 

「「「「(ーーーー怖っ!!!?)」」」」

 

顔を近づけて無言で睨み合うジュペッタとアローラベトベトン、そしてお淑やかに穏やかに微笑みを浮かべるハナコとアカリ。

しかしその静かに、そして重く感じる言い様のない迫力に、アズサとコハル、イズミとジュンコまでも恐れ慄いた。

 

 

 

 

ーハナコVSアカリsideー

 

「ーーーージュペッタ、連射で【シャドーボール】♪」

 

「ーーーーーベトベトン、連続で【アシッドボム】☆」

 

『っーーーージュペ、ッター!!』

 

『っーーーーベ〜ト、ベトン!!』

 

ハナコとアカリが漸く指示を出すと、2匹は即座に後ろに引いて、ジュペッタは両手の袖から影で作られた球を連続で発射し、アローラベトベトンは口から毒の塊を連続で吐き出した。互いの技は正確にぶつかり合い、地面に毒の飛沫が飛び落ちる。

 

「あらあら。コレだと後の道路清掃が大変ですね♪ ヒフミちゃん、そろそろ終わりにしましょう」

 

「あっ、はい!」

 

ハナコにそう言われ、ヒフミは返信をした後、母ガルーラの袋の奥に入り込んでいた子ガルーラが顔を出して、『あるモノ』を取り出したその瞬間ーーーー。

 

ーーーーホワァァ〜・・・・。

 

「「「「っっ!!?」」」」

 

『『『『っぅ!!?』』』』

 

子ガルーラが取り出した『あるモノ』とは、先程ハナコが先生の指示で買ってきたサンドイッチである。

しかもそのサンドイッチには、『ひでん:すぱスパイス』が降り掛かっていた。ソコから漂うツバが溢れそうな香りに、『美食研究会』のメンバーやポケモン達の口から、涎が出ていた。

 

『カルゥ!』

 

子ガルーラが紙皿に『すぱスパイス入りサンドイッチ』を乗せて母ガルーラの足元に置いて、母ガルーラがその場を離れたその瞬間ーーーー。

 

『『『『ーーーー!!』』』』

 

アローララッタも、アローラベトベトンも、ゴンベも、ミニリュウを振り解いたヨクバリスも、涎を滝のように流しながらサンドイッチに集まり、我先にと醜い争いを繰り広げながら奪い合いを始めた。

 

「ちょっとー! アンタ達何してんのよー!?」

 

「うわー、良いなぁ、私も食べたいなぁ!」

 

「フフフッ、目の前に『秘伝スパイス』が振りかけられたサンドイッチが置かれたのならば、バトルよりもソチラに向かう。まさに我々『美食研究会』に相応しい行動です」

 

「でも、コレで勝負は決まりましたね」

 

アカリがそう言うと、醜い争いを繰り広げているアローララッタ達の後ろで、ガルーラ達がニヤリと笑みを浮かべそしてーーーー。

 

「ガルーラ! 【グロウパンチ】!」

 

「ミニリュウ! 【ドラゴンテール】!」

 

「ヘラクロス! 【インファイト】!」

 

「ジュペッタ! 【しねんのずつき】!」

 

ーーーードカドカドカドカッ!!!

 

『『『『ーーーー!!!!!!』』』』

 

「「「「へ・・・・? (ドコーンっ!!) ギャフンっ!!?」」」」

 

一斉攻撃を受けた4匹は『美食研究会』の元に吹き飛ばされ、彼女達にクリティカルヒットした。

その際、イズミが『金色のイダイトウ』を手放してしまい、宙を浮きながらビチビチと暴れる『金色のイダイトウ』は。

 

“アチャモ! ミズゴロウ! キモリ!”

 

先生がすかさず御三家達を出すと、3匹が『金色のイダイトウ』をナイスキャッチした。

 

“ーーーーこの勝負、『補習授業部』の勝利!!”

 

『美食研究会』のポケモン達が目を回して倒れ、戦闘不能になった事を確認した先生が、そう告げた。

 

 

 

 

因みに『しおスパイス入りサンドイッチ』は、ちゃっかりミライドンが平らげており、「先生が作ったサンドイッチの方が美味しいなぁ」と不満げな顔をしていた。




さて、巨大オトシドリの正体は如何に!?
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