そして、新作ポケットモンスターウィンド&ウェイブと、第10世代ポケモン、ポムケン、ハブロウ、ミオリー、どんな進化をするのか楽しみで仕方ありません!
ソコまで描けるかなぁ〜?
ー先生sideー
怒涛の展開が起こった日の翌日。
朝。ヒフミと共に教室に入った先生は。
「ーーーー遅い! おはよう!」
『リュー!』
既に教室にいたアズサとミニリュウに、そう言われた。
「あ、アズサちゃん、早いですね?」
「日が昇る前には、既にここで予習と復習をしてた」
「ふふっ。やる気満々ですねアズサちゃん」
「当然だ、何せ今日も模擬試験がある。だよね、ヒフミ?」
「はい、そうですね。アズサちゃんはその様子ですと、もう模試への準備は万端と言う感じですね?」
「うん。『第2次特別学力試験』まで2日しか残ってないし、いつまでも皆に心配をかける訳にはいかない」
と、ソコで一拍置いてから、アズサは決意を表明する。
「ーーーーそして、今回こそ・・・・!」
「す、凄い気合い入ってるじゃん・・・・」
その気迫に、コハルも若干引いてしまう。
「試験問題の予想範囲も、もう何周もしてある。準備は完璧だ」
「わ、私も負けないんだから! 『正義実現委員会』のエリートの力、見せてあげる!」
「では、私も精一杯頑張るとしましょうか♡」
“皆、良い感じに張り切ってるね”
「はい・・・・! では折角の勢いですし、早速模擬試験を始めましょうか?」
アズサのやる気に感化され、コハルとハナコも気合いを入れ直し、『補習授業部』の空気は良くなっている。この勢いに乗り、模擬試験を始めようと提案するヒフミに、全員が頷いた。
そしてーーーー。
“第3次補習授業部模試ーーーースタート!”
先生の号令で、模擬試験が開始された。
ーヒフミsideー
ヒフミは自分のテストに取り組みながら、チラッと他の皆の方に視線を向ける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
アズサは黙々と。
「ふふっ・・・・♡」
ハナコはにこやかに。
「こ、コレ、知ってる筈・・・・! えっと、んと、んんん・・・・っ!」
コハルは答えを導き出そうと必死に思考を巡らせていた。
「(何だか皆、手の動きが以前より速くなっているような・・・・!)」
今までと変わらないが、細部の所が成長している事をヒフミは感じていた。
◇
そして、模擬試験が終わり、採点結果が発表された。
「ーーー先生・・・・発表をお願いします!」
第3次特別学力試験の結果
浦和ハナコーーーー69点(合格)
白洲アズサーーーー73点(合格)
下江コハルーーーー61点(合格)
阿慈谷ヒフミーーーー75点(合格)
“ーーーー全員・・・・合格だよ!”
ーーーーパァンッ!! ドンドンドンドン! パフ〜♪ パフ〜♫
先生が満面の笑顔でそう言うと、ピカチュウ達がクラッカーを鳴らし、楽器を使って大はしゃぎであった。
「や、やりました・・・・!」
「ほ、本当っ!? 嘘ついてない!?」
「・・・・!」
「アラアラ♡」
『補習授業部』のテンションも最高潮に上がっていった。
「スゴイです! アズサちゃん、60点どころか70点を超えてました! 本当にスゴイです! 頑張りましたね・・・・!」
「・・・・うん!」
『リュ〜!』
アズサとミニリュウは嬉しそうに頷き。
「コハルちゃんも! ギリギリでしたが、コレは紛う方なき合格です! スゴイです、やりましたね!」
「ゆ、夢とかじゃないよね・・・・? ほ、本当に・・・・!」
『ヘラ!』
ーーーーギュゥゥゥゥ〜・・・・!
「痛い痛い痛い痛いっ! あ、じゃ夢じゃない!? 嬉しい! あはっ・・・・こ、コレが私の実力よ! 見たか!! アイタタタタ・・・・!」
夢なのかと不安がるコハルの頬をヘラクロスが引っ張ると、痛がりながらもドヤ顔を浮かべて喜ぶコハル。
「はい! コレぞ『正義実現委員会』のエリートです、流石です! ソレに、ハナコちゃんも・・・・」
「・・・・運が良かったですね、うふふ。良い感じの数字です♡」
『ジュペッタ』
一桁の点数からから一気に60点以上を叩き出したハナコ。先日の言葉通り、真面目に取り組んだようだが、まだまだ余裕綽々なようだ。
「良かったです・・・・ハナコちゃん、うぅ・・・・」
「ひ、ヒフミちゃん・・・・?」
「ハナコちゃんに何があったのか、何を抱えてるのかまだ分かりませんが・・・・でも、良かったです・・・・」
ハナコの事はまだ良く分からないが、本気になってくれた事をヒフミは涙を流す程に喜んでいた。
母ガルーラがディッシュを持って、ヒフミの涙を拭いた後、鼻をチ〜ンとさせた。
「ヒフミちゃん・・・・はい、ありがとうございます」
そしてハナコも、自分に気遣ってくれるヒフミに感謝を述べた。
「前の実力をすぐ取り戻せるよう、私もお手伝いしますね。本当に、本当に良かったです・・・・」
「はい・・・・ごめんなさい。ご心配をおかけしてしまって・・・・」
ハナコも、今まで不真面目にやっていた事を謝罪しながら、ヒフミの両肩に手を置いた。
そして数分後ーーーー。
「・・・・と言う事で、約束通りモモフレンズグッズの授与式を始めますっ!」
と、ヒフミが教壇の上に、モモフレンズグッズをドーンっ! と出して元気良く言う。
「・・・・!!!」
『リュ〜♪』
「あはは・・・・」
『ジュペ・・・・』
「・・・・・・・・」
『ヘラクロ・・・・』
アズサとミニリュウは目を光らせ、ハナコは苦笑し、ジュペッタは半眼となり、コハルに至っては目が死んでしまい、ヘラクロスは溜め息を吐いてしまっていた。
『ガルラ・・・・』
『カルゥ〜☆』
ヒフミの隣にいる母ガルーラは『水挿してすまないね・・・・』と言わんばかりに肩を落とし、子ガルーラはモモフレンズグッズにはしゃいでいた。
「さあ、どうぞ! 皆さん好きな子を、欲しい子を選んで良いんですよ!」
「成る程、となると・・・・! むむ・・・・!」
『リュ〜・・・・』
ヒフミがそう言うと、アズサはモモフレンズグッズをミニリュウと共に吟味していく。
「えっと、私は謹んで遠慮しますね」
「わ、私も・・・・」
『『・・・・・・・・・・・・』』
ハナコとコハルは遠慮し、ジュペッタとヘラクロスは並んでノーコメントと言わんばかりに背を向けた。
「あ、あうぅ・・・・そ、そうですか・・・・」
「ど、どうしようミニリュウ・・・・私は、私は・・・・!」
『リュ〜!』
ハナコ達の冷めた態度に、若干ガックリするヒフミ。アズサとミニリュウはどのモモフレンズグッズにしようか、今まで見た事くらいに懊悩していた。
「ダメだ、この中から選ぶなんてそんな難しい事・・・・! 私には、無理だ・・・・頼むヒフミ。ヒフミが私の代わりに選んで・・・・」
どのキャラを選ぶべきか右往左往しているアズサは、遂にヒフミに選んで欲しいと懇願した。
「わ、私ですか? えっと、強いて選ぶとすると・・・・」
そしてヒフミが選んだのはーーーー。
「・・・・ではコチラの、『インテリなペロロ様』でどうでしょうか!」
眼鏡をかけたペロロ様であった。
「・・・・! よし、じゃあこの子だ!」
『リュ〜♪』
アズサが『インテリなペロロ様』を抱きしめ、更にその首にミニリュウが巻き付いた。
「実はこのペロロ様は、物知りでお勉強ができると言う設定なんです。まさに今お勉強を頑張って、スゴイ成長をしたアズサちゃんにピッタリかなと!」
「成る程、そうなのか」
「ちょ、ちょっとだけ勉強し過ぎたせいで、少しおかしくなっていると言う裏設定もあるのですが・・・・」
『ジュペぺぺぺ、ジュペッジュペッタ』
『ガル』
『(ゴンッ)ベタッ!?』
『インテリなペロロ様』について熱心に説明するヒフミにアズサは理解を示したように頷くが、すぐにヒフミが奇抜な裏設定を話すとジュペッタは、「いやむしろ、アズサにはピッタリじゃね?」みたいな事をニヤニヤ笑いをしながら言うと、母ガルーラが「コラ」と言いたげにジュペッタに拳骨を下ろして床に沈めた。
“良かったね、アズサ”
「うん、気に入った。本当に可愛い、好き。えへへ・・・・」
『リュ〜・・・・?』
「勿論、ミニリュウも好き。えへへ・・・・」
アズサが、今まで見せた事も、見た事もないように蕩けた笑みを浮かべ、「僕は・・・・?」と不安げに首に巻き付くミニリュウの顔に頬ずりした。
「ありがとう、ヒフミ。コレは一生大切にする」
「あ、ありがたいのですが、ソコまで言っていただけるとちょっとビックリしてしまいますね・・・・! ですが、私も嬉しいです。ソレは、アズサちゃんがやり遂げたからこそですよ」
「うん。それでも同時に、“友達から貰った初めてのプレゼント”だから・・・・コレからはこのカバの事を、ヒフミだと思って大事にする!」
「そ、ソレはちょっと恥ずかしいですね・・・・!? そ、ソレとペロロ様はカバではなく鳥でして・・・・!」
感動的な台詞と同時に、ズレた事を言うアズサであり、この『補習授業部』でツッコミスキルが上がり続けているヒフミである。
「うーん・・・・趣味の世界は広いですねぇ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
ハナコの発言にコハルとミニリュウ以外のポケモン達が、「お前が言うな」と言わんばかりに半眼で見据えた。
そして全員の士気は高くなり、勉強は引き続き良い雰囲気で進んでいった。
◇
そしてその翌日。
「・・・・いよいよ明日です」
「う、うん・・・・」
「『第2次特別学力試験』」
「ふふっ・・・・何だかあっという間にでしたね」
明日に控えた2度目の本番試験を前に、全員が緊張した面持ちであった。・・・・まぁ、ハナコはあまり緊張しているようには見えなかったが。
「はい・・・・1週間という短い時間でしたが、私達はキチンと努力を積み上げてきました。コレは必ずや無駄にならないと信じています。模試の結果も良かったですし・・・・今の私達であれば十分に、『第2次特別学力試験』に合格できる筈です!」
昨日の模試から、再び勉強を重ね、何度か模試をしてみたが、結果は全て上々の出来栄えであった。
「ですが慢心する事無く、最後まで頑張らないといけません! 後1日、最善を尽くしましょう!」
しかし、油断してはいけないと、ヒフミが部長らしく全員の気を締めた。
「うん、当然だ。何なら100点を目指して頑張る」
「わ、私も!」
「あら、では私もそう言う事で・・・・ふふっ♡」
ヒフミの言葉に、全員が力強く頷いた。
「わ、私はちょっと100点は難しそうですが・・・・と、兎に角! 最終日も、張り切って勉強していきましょう!」
“良し、頑張ろう!”
と、先生と一緒に教室で勉強を続けていると、昼頃になってから先生は、『急な呼び出し』を受けて、ルカリオと御三家を『合宿所』に残し、ピカチュウとイーブイを連れて、ミライドンに乗って『合宿所』から少しの間離れていった。
ー先生sideー
そして先生達が訪れたのは、『ティーパーティー』のテラス。
ソコにはナギサとナギサの手持ちポケモン達だけが優雅な一時を過ごしている。
「・・・・お待ちしておりました。ご無沙汰しております、先生。あれからお代わりはありませんか? 合宿の方はいかがでしょう、何か困った事などありませんでしたか?」
“うん、お陰様でで何とか。ところで今日はどんな用事?”
ナギサに呼び出された先生は、ピカチュウとイーブイを連れて再び『ティーパーティー』のテラスへと赴いていた。
ミカやヒナから色々と話を聞いたが、先生はナギサの真意を少しは知りたいと思いここに来た。
『・・・・・・・・・・・・』
『ブィ〜・・・・!』
ピカチュウは訝しげにナギサを見据え、イーブイは警戒しているように唸り声を小さく上げた。
「ふふっ・・・・この合宿は言うなれば元々、『生徒達を良く観察できるように』という配慮でした。そういう事なのですが、いかがでしたでしょうか? 何か判明した事などありましたか?」
“・・・・・・・・”
「もっと直接的に言いましょうか、『トリニティの裏切り者』はどなただと思いますか?」
やはりと言うか、ナギサが呼び出したのは『裏切り者』の目星は付いたのかと言う事を聞き出す為であった
“・・・・前と同じになるけど、私は私のやり方で対処するよ”
それに対し先生は以前と同じ事を言って返した。
「・・・・そうでしたね。ただ『第2次特別学力試験』を目の前にして、改めてソコを確認したかったのです。そこで、本日もこうしてお越しいただいたわけでして。・・・・恐らくミカさんも接触してきましたよね?」
“っ・・・・”
「ミカさんと何をお話になったのか・・・・よろしければ、教えていただけません?」
流石と言うか、先生の返答も、ミカの行動も、ナギサにとっては織り込み済みのようであったようだ。笑顔の裏に圧を放ちながら問いかけるナギサ。
しかし、先生は・・・・。
“私は、誰かを疑う事に時間を費やすつもりは無いよ”
「・・・・?」
“あの子たちの頑張りが報われるように最善を尽くすだけ”
「・・・・・・・・」
先生はナギサのお願いをまため拒否する。先生はナギサの味方ではなく、『補習授業部の味方』だとナギサは感じたのか、その美しい眉根を僅かにピクリッと揺らしながら、表面上は穏やかに説明する。
「1度改めて、説明してみましょうか? どうして彼女達なのか。先生の方にも色々事情があると思いますが・・・・順番にお話ししましょう」
それでも、何とか先生に『裏切り者』を見つけるのに協力して欲しいナギサは、何故彼女達が選ばれたのかを説明し始めた。
「先ずコハルさんは、ハスミさんを統制する為の存在です。ハスミさんは誰よりも〈ゲヘナ〉を憎んでいます。いつ何をしでかすか分からない、時限爆弾のような存在です」
ナギサは最初にコハルの名前を挙げた。
コハルは本人の成績もあるが、ミカの言っていた通りハスミへの牽制、端的な言い方にすれば『人質』として選んだようだ。
「そしてハナコさんは、本来誰よりも優秀な才能を持っていたにも関わらず、今はワザと試験で本気を出していません。何を企んでいるのか、全く理解できない状態です」
次に名を挙げたのは、ハナコであった。
ハナコは優秀な人間だというのは、先生もあの夜の話し合いから勘付いており、しかし何故ワザと手を抜いているのかが先生にも分からない。故にナギサも怪しく思っているのであろう。
「アズサさんは、そもそも存在自体が色々と怪しい所ばかりです。ソレに、他の生徒たちと何度も暴力事件を起こしている、制御不能な存在ですし」
そして次は、アズサである。
ミカが教えてくれた情報が『真実』ならば、彼女こそがナギサの探している『〈トリニティ〉の裏切り者』であるが、どうやら、“ナギサはソコまで掴んでいないようだ。もし知っていれば、先生を味方に付けようなんてせず、とっくに行動に移しているであろう。
「ヒフミさん、は・・・・」
“ナギサは、ヒフミの事も・・・・”
「・・・・はい。そう、ですね。ヒフミさんの想いは・・・・かなり『特別』です」
そして最後にナギサはヒフミの名前を挙げようとしだが、ソレを躊躇ってしまう。ソレを見て先生は、彼女の心情を慮って言葉をかけると、ナギサはヒフミの事を『特別』だと言った。
「私はヒフミさんの事を、とても大切に思っています。私は、彼女の事を好いている・・・・その事は、間違いありません」
“じゃあ何故・・・・”
「ですが・・・・あの子の正体が実は、『恐ろしい犯罪集団のリーダーである』、という情報がありました」
“・・・・・・・・”
『『・・・・・・・・』』
どうやらナギサにとってヒフミは特別な存在であるのは間違いない。しかし、先生はそんなヒフミを何故『補習授業部』に入れたのかと聞くと、ナギサはヒフミのある疑いに関して先生に話す。先生達はその疑いに関してだけは、“滅茶苦茶心当たりがある”ので何も言わなかった。
「こういったお話が、かえって一番怖いのです。信じていたからこそ、何かが見えなくなっている・・・・盲目な状態になっているのでは、と。どれだけ注意を払って築いた塔も、小さな亀裂から簡単に崩れてしまう物・・・・。私はちゃんとヒフミさんの事を理解できているのか、それともやはり私が知らない真実があるのか・・・・私には分からないのです」
“誤解だよ・・・・ちゃんと事情があって、私もちゃんと説明ーーーー”
「どうやって? 証明できるのですか? ヒフミさんの心を、本心を、本音を、どうやって証明するというのですか? そうではない、『誤解だ』、『事情』がある・・・・その言葉に、どれだけの意味が? どれだけの『真実性』が?」
ナギサはヒフミの事が好きだからこそ、信じられなくなってしまったようである。先生が誤解だと説いても、ソレすらも信じられる余裕も無いようだ。
「・・・・心の中身など、証明できるものではありません。ヒフミさんの優しい心、礼儀正しい所、優しい所・・・・ソレらを痛いほど知っていても、『本音』を知ることはできないのです。当然です・・・・どう足掻いたって私達は、所詮『他人』ですから」
ナギサは自分がどれだけヒフミの事を知っていようと、所詮は『他人』だと言い切ってしまった。
“・・・・・・・・”
「ですから、『退学』させるしかないのです。『エデン条約』・・・・その成功の為に」
大好きなヒフミの事を信じるよりも、『エデン条約』の成功を選んだ。
〈トリニティ総合学園〉の代表である『ティーパーティー』の『ホスト』として、ナギサとしても苦渋の決断であった事は、ナギサ自身の悲痛な顔と、タブンネとイエッサン(♂)とポットデスの悲しそうな顔で、ある程度察する事が出来た。
そして先生はそんなナギサの姿から、『ある事』に気づき、声を発する。
“・・・・分かったかもしれない”
「・・・・?」
“ナギサ。今の君はきっと、『疑心暗鬼の闇の中』だ”
「・・・・はい? 疑心暗鬼の、闇・・・・?」
先生は今のナギサを『疑心暗鬼の闇の中』にいると断じた。
“見たいものだけを見て、信じたい事だけを信じているんだと思う”
「・・・・・・・・」
ナギサは先生の話を聞き、不快そうに眉根を寄せる。そして先生は、ナギサに向かって宣言する。
“君を、ソコから出してみせる。そして絶対に、『補習授業部』の皆を合格させる”
「・・・・ふふっ、そうですか」
そして先生は、ナギサを『疑心暗鬼の闇』の中から出し、『補習授業部』を合格させると宣言する。
それを聞いてナギサは何か含みのあるような笑みを浮かべて応じる。
「理解しました。まあつまり、お話がシンプルになったという事ですね。・・・・承知しました。どうか頑張って下さい、先生。私は、私なりに頑張りますので」
どうやら先生の言葉を、ナギサは正直に受け取らなかったようである。先生は『ナギサの敵となる』と宣戦布告をしたと思い込んだようだ。
ナギサの目には、「コレ以上話す事は無いから、とっととお引き取りを」と、言わんばかりの冷たい光と圧を放ち、先生は仕方ないと肩を落としてその場から去ろうとする。その際、タブンネ達が申し訳無さそうな顔をして、先生達に向けて頭を下げた。トレーナーと違って、ポケモン達の方が賢いように先生には思えた。
先生達はミライドンに乗り、『補習授業部』の皆がいる『合宿所』へと戻った。
ーナギサsideー
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ナギサは先生が立ち去った扉を暫く睨むように見据えると、ソっと顔を伏せる。
「・・・・どうして・・・・!」
手に持ったティーカップに入った紅茶には、今にも泣き出してしまいそうになっている自分の顔が映っていた。
「っ!」
ナギサはそんな自分の顔を消そうとするように、ティーカップを投げ捨てようと手を動かそうとした。
が。
『・・・・・・・・』
「タブンネ・・・・」
『ネェ・・・・』
タブンネがナギサの手にソっと手を置きその動きを止めた。ナギサはタブンネを見ると、心から心配している目でナギサを見上げるタブンネの瞳が映った。
『サン』
すると、今度はイエッサン(♂)がナギサの手から優しくティーカップを離させる。
『ポット♪』
次はポットデスがナギサの膝の上に乗って、元気付けるように明るい声を上げた。
「・・・・・・・・大丈夫ですよ皆さん。私は、大丈夫」
少し落ち着いたのか、ナギサは笑みを浮かべる。
「そう。全ては『大義』の為に・・・・」
しかし、その瞳には『濁った光』が宿っており、タブンネ達はまた悲しそうにナギサを見据えるのであった・・・・。
ー先生sideー
校舎を出た先生は校舎を見上げた後にスマホロトムにヒフミに『少し遅れる』とメッセージを送ると、ミライドンを出して1度『シャーレ』に戻った。
その際、お留守番していたベイリーフに捕まり、マグマラシとアリゲイツに助けてもらい。『もしもの時』に備えて『アイテム』と、リンへ『申請』を取っておいた。
◇
そして、その日の夜の教室。
「本日も、お疲れ様でした! 明日は遂に、『第二次特別学力試験』です! この1週間の合宿で、私たちはしっかり合格できるだけの実力を身にみにつけられた筈です!」
「うん」
「はい♡」
「そうねっ!」
“うん、本当に頑張ったね”
『ーーーー!!』
最後の確認の模擬試験も上々の結果で終え、ヒフミは明日の試験に向けて気合を込めると、他のメンバーもそんなヒフミに引っ張られ自信に満ちた表情で頷く。
「あとはしっかり試験に合格し・・・・堂々と『補習授業部』を卒業するだけです。今までの勉強が無駄ではなかった事を、きっちり証明しに行きましょう! そして最後は、皆で笑ってお別れできるように・・・・!」
「・・・・そうか。合格したら、もうお別れか・・・・」
『リュ〜・・・・』
ヒフミがそう言った瞬間、アズサのテンションがあからさまにガクッと落ち、ミニリュウも顔を俯かせた。
「ちょっ、ちょっとアズサ!? どうしてそんな急にシンミリする訳!?」
「成る程♡ 合宿も含めて、何だかんだで凄く楽しかったですもんね?」
アズサはこの『補習授業部』に入った事で、多くの物を得た。しかし、合格してしまえば解散してしまう。『合格』の為に集まったチームなのだから仕方ないとは言え、やはり寂しいのだろう。
「・・・・ああ。いや、それでもやっぱり、出会いがあれば別れもある。全ては、虚しいものだ」
「・・・・ソコまで思う必要は無いと思いますよ。アズサちゃんも含めて皆、試験が終わったらどこかに行ってしまう訳じゃないでしょう? 『補習授業部』が解散しても、皆同じ学園にいるんですから。会おうと思えばいつでもすぐ会えますよ」
「ほ、ほら! 私はいつも『正義実現委員会』の教室にいるから! ひ、暇な時があったら来れば・・・・?」
「うん・・・・」
そのアズサの寂しそうな表情を見かねて、ハナコとコハルが何とか励ますと、アズサは小さく笑みを浮かべるのであった。
「えっと、気持ちとしては同じなのですが、取り敢えず試験に合格することが先決と言いますか、何だか急に青春ドラマのエンディングになっているような・・・・」
先ずは『合格』しなければならないのだが、3人のドラマティックな空気に、ヒフミがツッコミを入れたくても入れられなくなってしまい、改めて空気を引き締める。
「と、兎に角。今日は早めに休んで、明日の『試験』に備えるとしましょう」
「そういえば、明日の『試験場』って前と同じ所?」
「あ、そういえば告知をまだ見ていませんでした。えっと、トリニティの掲示板っと・・・・」
コハルが明日の『試験会場』の場所を、部長であるヒフミに聞くと、ヒフミも確認していなかったようで、すぐにスマホロトムの『トリニティの掲示板』を確認する。
「・・・・?」
『ガル?』
が、訝しげな顔をして首を傾げ、一回目をこすってから、改めて液晶を見ると、ガルーラもどうしたと言わんばかりにヒフミのスマホロトムを覗いた。
その時ーーーー。
「・・・・え。ええっ!?」
『ガルゥーッ!?』
『カルゥ!?』
「ヒフミちゃん? どうかしましたか?」
『ジュペ?』
「え、嘘っ!? 嘘ですよね!?」
『ガルっ!』
「(ガンッ!) はうぅっ!!」
ヒフミとガルーラ達が声をあげて驚く。それを見たハナコとジュペッタがどうしたのかと聞くが、ヒフミは錯乱してしまい、母ガルーラの拳骨を脳天に下ろされ床に沈むと、その弾みでスマホロトムが宙を浮いてしまい、ジュペッタが回収すると、ハナコの元に行き、一緒に見てみる。
「ええっと…『補習授業部の『第2次特別学力試験』に関する変更事項のお知らせ』・・・・? 『試験範囲を、既存の範囲から約三倍に拡大』・・・・?」
「はぁっ!? 何それ!?」
『ヘラーッ!?』
「『また、合格ラインを60点から90点に引き上げとする』・・・・?」
「わ、私でもまだ、90点なんて超えた事ないのに・・・・」
ハナコは掲示板を検索して読み上げるとソコには、『試験範囲の拡大』や『合格ラインの引き上げ』といった衝撃的で、理不尽極まる事が書かれており、コハルとヘラクロスも驚愕してしまっていた。
「ど、どういう事よコレ・・・・」
「昨日、急にアップされたみたいです・・・・試験直前になって、こんな・・・・」
“これは・・・・”
『ピカ・・・・』
『ブイィ〜・・・・!!』
しかも、どうやらこの掲示は昨日でアップされたようである。その掲示板の内容を聞いて先生と気が付いた。
コレはーーーーナギサの指示であると。最後に会った時の、ナギサの光が宿っていない瞳と黒い笑みが脳裏に浮かんだ。
ここまでやるのか、と。先生とピカチュウは渋面を作り、イーブイの中では、ナギサは『恋敵』ではなく、『完全な敵』て認識してしまったようだ。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・成る程。私達の『模擬試験』の結果を、ナギサさんが何かしらの手段で把握したみたいですね」
そして、ヒフミとハナコも、コレがナギサの策略であると察したのか、ヒフミは顔を俯かせ、ハナコの目に僅かな『炎』が宿ったように見えた。
「露骨なやり方ですねぇ・・・・どうしても私達を『退学』にしたい、と」
「・・・・『退学』?」
『リュ〜?』
「えっ、た、『退学』!? ちょっとどういう事!?」
『ヘラっ!』
ハナコが弱冠声を低くして『退学』を呟いた。そしてソレを聞いた、アズサとミニリュウ、コハルとヘラクロスは初耳であったようで目をしばたたかせる。
“(・・・・こうなるともうどちらにせよ、『共有』した方が良いかも知れないな)”
先生は、そろそろコレまでの『情報』を、アズサとコハルにも伝えようと考えていると、ハナコも察してくれたが、更に掲示板に書かれている情報を読み、ヒフミとガルーラも覗く。
「そのお話もそろそろお伝えしようと思っていましたが・・・・その前に、他にも変更された部分がありますね」
「あ、『試験会場』と『時間』も変更されてます・・・・『試験会場』は『ゲヘナ自治区第15エリア77番街、廃墟の1階“』・・・・・・・・〈ゲヘナ〉?」
『ガルラっ!?』
「げ、〈ゲヘナ〉で試験を受けるんですか!?」
掲示板に書かれていた場所は、〈トリニティ総合学園〉と犬猿の仲である〈ゲヘナ学園〉であった。ヒフミはその情報を見て、あり得ないとばかりに大声で叫んだ。
「な、何でよ!? どうして〈トリニティ〉の試験を〈ゲヘナ〉で受ける訳!?」
「もし行かなければ未受験扱いで『不合格』、ですよね・・・・」
ヒフミの叫びを聞いて、コハルも驚きが隠せない様子であむた。〈ゲヘナ学園〉に〈トリニティ〉の生徒である『補習授業部』が行くなんて、そんなの『キバへびポケモン・ハブネーク』の大群の中に、『ネコイタチポケモン・ザングース』が一匹で立ち向かうようなものである。一瞬で【どくどくのキバ】、もとい弾丸の暴風雨を受けて跡形もなくなる。
しかも、、行かなければ『不合格』と言う、進退窮まる状況にされてしまった。
「そ、それもそうだけど、さっきから『退学』ってどう言う事!? 初耳なんだけど!」
『ヘラクロス!』
「・・・・・・・・」
『リュ〜!』
“・・・・一から説明するね”
流されそうになった『退学』の件をコハルが尋ねると、アズサも不安そうな顔になり、ヘラクロスとミニリュウもコハルに同意と言わんばかりに声を発した。
何も知らされていない彼女達からすれば、当然流せる話題などではない。そんな彼女たちの為に、先生はコレまでの事情を全て説明し始めた。
◇
「試験に3回落ちたら、『退学』・・・・!?」
「・・・・成る程」
「か、隠しててごめんなさい・・・・まさか、こんな事になるなんて・・・・」
“私もだよ。まさかナギサかここまで本気で来るだなんて、思いもよらなかったんだ・・・・”
先生から事情を聞いたコハルは驚き、アズサは理解を示したように頷く。
ヒフミと先生はコレまで隠していた事を2人に謝る。
「ど、どうすれば良いの・・・・!? 『退学』になんてなったら、『正義実現委員会』に復帰できない・・・・!」
「ソレは・・・・」
コハルは『退学』の恐怖で狼狽える。『退学』になってしまうと『正義実現委員会』どころか、〈トリニティ総合学園〉にすらいられなくなるのだから仕方ない。ハナコもどうフォローすれば良いのか悩んでしまっていると。
「・・・・状況は理解した、兎に角出発しよう」
「えっ、えぇっ!?」
「試験時間が『深夜の3時』って書いてある。今から出発しないと間に合わない」
アズサは『試験時間』が迫っている事を掲示板を見て気づき、皆に早く出発するよう促した。
「あ、確かに・・・・!?」
「驚くにせよ、怒るにせよ、絶望するにせよ・・・・ソレは、試験を受けてからでも遅くない。障害物の多さに文句を言ったところで、状況が変わるわけじゃない。大切なのは、最後まで足掻く事」
『リュ〜☆』
「あうぅ・・・・」
「う、うぅっ・・・・」
「・・・・そうですね。アズサちゃんの言う通りです。今は兎に角動くしかありません」
アズサはこんな理不尽な状況でも、冷静に判断し、試験を受けて足掻こうとしている。前から思っていたが、アズサはかなり男前な性格をしている。
そんなアズサを見て、ハナコも足掻こうとする。
「それにしても、ふふっ・・・・面白さですね。先日〈ゲヘナ〉の問題児集団の『美食研究会』を捕縛に協力した私達が、〈ゲヘナ〉に試験を受けに行くなんて、『初体験』です♡」
「ああもう、何もかも意味分かんない! と、兎に角行くのね!?」
ハナコのいつものノリを見せると、コハルも、もうヤケクソ気味に声を上げた。
「すぐに出発しよう、各自装備とアイテムを忘れずに」
「装備!? アイテム!? 殴り込みでもするんですか!?」
「そうですね。ゲヘナ自治区は唯でさえ『無法地帯』ですし、今は風紀委員会が『エデン条約』締結前と言う事もあつまて対処しきれていないでしょうし・・・・」
「あ、あうぅ・・・・ど、どうしてこんな事に・・・・」
落ち込むヒフミだが、そうしている訳にもいかず、急いで試験の準備をし、ゲヘナ学園へと向かおうとする。
「行こう、先生」
“うん。じゃあ、準備ができ次第、ミライドンに乗って出発しよう”
そして、先生とヒフミとアズサはミライドンに乗り、コハルはヘラクロスに、ハナコはジュペッタに【サイコキネシス】で運んで貰っていくのであった。
先生のナギサへの台詞、実は海外版ではもっと酷い事を言っていたんですよね。