ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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今回、オリジナルで『彼女』も登場します。


ゲヘナでチェイス、『第2次特別学力試験』

ー先生sideー

 

『第2次特別学力試験』の試験会場に向かう為に、〈ゲヘナ学園〉のスラム街へと赴いた先生と『補習授業部』。

 

「ここからはもう、ゲヘナの自治区ですね・・・・」

 

ハナコが警戒するように視線を動かして辺りを見ていると。

 

「んー? 何だか見慣れない奴等だなぁ?」

 

早速チンピラ生徒と手持ちらしい『こんちゅうポケモン・コンパン』と『ハエとりポケモン・ウツドン』に見つかった。

〈ゲヘナ学園〉と犬猿の仲である〈トリニティ総合学園〉の生徒であるとバレると面倒なので、無視して進もうとしたが。

 

「無視とは冷たいねぇ、そんなに急いで何処に行くのさ?」

 

「わあ、『無法地帯と言えばコレ』みたいな古典的な感じですねぇ」

 

『ジュペぺぺぺ♪』

 

他のチンピラ生徒も集まり、『お約束的展開』にハナコは苦笑してしまい、ジュペッタは面白くなりそうだと笑っていた。

 

「え、えっと、私達は『試験』を受けに行く途中でして・・・・」

 

「・・・・はぁ? 『試験』? 頭大丈夫?」

 

「ま、まあそうなりますよね・・・・」

 

「まっ、理由はどうあれ、ここら一帯を歩くにはウチラの『許可』が必要なんだよ!」

 

ヒフミが穏便に済ませようとするが、チンピラ達は理不尽な事(典型的と言うよりも古典的な)を言い出してきた。

 

「ん? よく見たら、この制服・・・・〈トリニティ〉じゃね?」

 

「・・・・マジじゃん。ひゅーっ、お金持ちのお嬢様達がこんな所にねぇ。あれ、って事はコイツらを攫ったら、身代金がたっぷり貰えるって事?」

 

「おおっ、ナイスアイディア!」

 

「や、やっぱりまたこう言う展開に・・・・」

 

“(ヒフミと初めて会った時も、こんな展開だったなぁ・・・・)”

 

チンピラ達の話にヒフミと先生がお約束的な展開に呆れる。

と、その時。

 

「・・・・時間の無駄だ。強行突破あるのみ」

 

『リュ〜!』

 

アズサが自身の武器『アサルトライフル・Et Omnia Vanitas』を構えると、チンピラ達に向けて発砲し、アズサの首に巻き付いていたミニリュウも飛び出して、【とっしん】でコンパンとウツドンを同時にぶっ飛ばす。

 

“皆、行くよ!”

 

先生がルカリオと御三家、イーブイを『どくタイプ』の弱点である『エスパータイプ』のエーフィに進化させ、ヒフミ達もガルーラとヘラクロスを出し、銃を構えてスラム街を駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

そして、その様子をスラム街の建物の屋上から見ている2つの影ーーーーヤミカラス達がいた。

 

『『・・・・・・・・・・・・(コクリ)』』

 

2匹のヤミカラスは目を合わせて頷き、この状況を『おやぶん』と『ボス』に報告する為、2匹の内1匹が飛んでいった。・・・・『ゲヘナ風紀委員会・本部』へと。

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“ピカチュウ、【アイアンテール】! ルカリオ、【はっけい】! エーフィ、【サイコキネシス】! アチャモ、【ニトロチャージ】! ミズゴロウ、【みずのはどう】! キモリ、【このは】!”

 

『ピカァッ!!』

 

『ーーーーカルッ!』

 

『フィィィィ!!』

 

『チャモチャモチャモチャモ!!』

 

『ミィズゥゥッ!!』

 

『キゥゥゥゥッ!!』

 

ピカチュウが光る尻尾を、ルカリオが掌底打ちを、エーフィが念動力を、アチャモが火を纏った突撃を、ミズゴロウが水の波を、キモリが葉っぱを大量に放ち、チンピラ達のポケモンを蹴散らしていく。

 

「ガルーラ! 【グロウパンチ】!」

 

「ミニリュウ! 【たつまき】!」

 

「ヘラクロス! 【みだれづき】!」

 

「ジュペッタ! 【シャドーボール】!」

 

『ガァラーッ!!』

 

『リュ〜!』

 

『ヘラーーーークロクロクロクロ!』

 

『ジュ・・・・ペェッ!!』

 

『補習授業部』の面々も、次々と立ち塞がる相手に各々の銃で応戦しながら、ポケモン達にも指示を出して突き進んでいきスラム街を抜けて、とうとう『ゲヘナ自治区』の奥へと到着した。

 

「えっと、何とか内部には入れましたが・・・・」

 

「いくら夜中とは言え、人けが無さ過ぎません?」

 

ヒフミとハナコが周囲を見回して訝しげに眉根を寄せる。まだ外食や夜遊びの生徒や、仕事帰りの人達がいてもおかしくない時間帯の筈なのに、あまりに人の姿が無いのだ。

と、疑問に思っているその瞬間。

 

ーーーーパララララ・・・・!

 

「・・・・銃声だ。何処かで戦闘が起きてる」

 

「うーん、目的地に行くにはこのまま進むしかありませんし・・・・取り敢えず行ってみましょう」

 

銃声が聞こえた事にすぐに反応を示したのは勿論アズサ。ハナコの言う通り『目的地』に行く為に歩を進める一同。

そしてーーーー。

 

「アレは、『検問』・・・・?」

 

ゲヘナ自治区の桟橋に辿り着いた一同がソコで目にしたのは、『ゲヘナ風紀委員会』が検問を行っている光景であった。

 

「止まれ! ここから先は立ち入り禁止になっている!」

 

「そもそも今日は、街全体に外出禁止令が出されているはずだ! 早く戻って・・・・ってその制服、〈トリニティ〉?」

 

「どうしてここに・・・・! ゲヘナに何をしに来た! 目的は何だ!」

 

風紀委員会の会員と手持ちであるニューラとデルビルを連れて、ヒフミ達の姿を見るや警告しに近づくが、彼女達の制服を見て〈トリニティ〉の生徒である事に気付き、銃を持つ手に力を込め、デルビルとニューラも警戒する。

 

「い、いえその、本当にここを通りたいだけでして・・・・!」

 

「何の目的も無しに、〈トリニティ〉が〈ゲヘナ〉に来る理由あるか!」

 

「ですが私達は本当に、ただ『試験』を受けに来ただけなんです。特に問題を起こしに来た訳ではなく・・・・」

 

「〈トリニティ〉の生徒が試験を受ける為に、どうして〈ゲヘナ〉の自治区に来るんだ!! せめてもっとマトモな嘘をつけ!」

 

「せ、正論・・・・あうぅ・・・・」

 

ヒフミが穏便に通してもらおうとするが、唯でさえ犬猿の仲である〈トリニティ〉の生徒である事を怪しんだ風紀委員は拒否する。隣のハナコが試験を受けにきただけだと説明しても、彼女達は嘘だと一応正論で断じる。

 

「・・・・! そこのお前、『正義実現委員会』じゃないか!?」

 

「!」

 

「なっ、ほ、本当だ! 襲撃! 『正義実現委員会』が襲撃しに来たぞ!」

 

「上層部に報告! 『正義実現委員会』が遂に来た!!」

 

「えぇっ!? いやその、そ、そうなんだけど、今は違うって言うか、うぅっ・・・・!」

 

『正義実現委員会』の制服を着ていたコハルを見つけると、襲撃に来たと勘違いして、風紀委員は更に騒ぎ、状況が混迷していく。

コハルが何とか収めようとするが、最早この流れは止められそうもなかった。

 

「ーーーー仕方ない、倒そう」

 

『リュー』

 

「えぇっ!? 誤解が深まりませんか!?」

 

銃を構えるアズサと戦闘態勢に入ろうとするミニリュウに、ヒフミが声を張り上げた。

と、その時ーーーー。

 

『ーーーーっ、カルォ!』

 

先生のルカリオが「伏せろっ!」と言った気がして、先生は御三家を持って地面に伏せ、ヒフミとアズサ&ミニリュウはガルーラに頭を抑えられて伏せ、コハルとヘラクロス、ハナコとジュペッタも伏せたその瞬間。

 

ーーーーシュルルルル・・・・ドゴォオオオオオオオオオンン!!

 

突然飛来してきた砲弾が炸裂した。

 

「のあぁぁっ!?」

 

「こ、コイツら、やはり・・・・」

 

と言って、風紀委員とポケモン達が倒れた。

 

「アズサちゃぁぁぁぁん!?」

 

「・・・・いや、まだ手を出してない。私以外の誰かだ」

 

アズサがやらかしたのと思ったヒフミが顔を上げて盛大に声を張り上げるが、同じく顔を上げたアズサは首を横に振った。

 

「そうですね、今のは私達の遥か後方から飛んできました。しかし、一体誰が・・・・」

 

と、ハナコとコハルも顔を上げ、後ろの方に振り向いたその時、キキィィィィ・・・・と、『給食部』とボンネットに書かれているジープ・ラングラーが停車した。

そして、車から降りてきたのは。

 

「ーーーーあらっ☆ やっぱり先生でしたか!」

 

「大当たり出ましたわね。ご機嫌よう。ここで何をされているのですか、先生?」

 

“『美食研究会』の皆!”

 

「あ、あれ!? 確かこの間戦った・・・・!?」

 

「あら、あの水族館を襲撃した・・・・」

 

そう、降りてきたのは『美食研究会』のアカリとハルナ、車のトランクにアローララッタとアローラベトベトンが乗り、同じくトランクには『給食部』のフウカもいた。

 

「え、えっと・・・・? も、もう何が何やら・・・・」

 

突然の〈ゲヘナ学園〉の問題児集団‹テロリスト›との再会に、ヒフミは目眩で倒れてしまいそうになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして先生が、掻い摘んで状況を『美食研究会』に話した。

 

「・・・・成る程、状況は概ね理解しました。兎に角この場所に行かねばならないのですね?」

 

“うん”

 

「事情は分かりましたが、タイミングが悪かったですね・・・・この辺りは今、それなりに大きな騒動になっていまして」

 

「『温泉開発部』が市街地のど真ん中をドカン☆と爆発させたとかで、兎に角滅茶苦茶な状態なんです」

 

ーーーー『温泉開発部』。

『美食研究会』と並ぶ〈ゲヘナ学園〉の問題児集団の双璧の片割れ。温泉開発と称して私有地だろうが他校の自治区だろうがお構い無しに破壊行為を繰り返している違反者達‹テロリスト›。規模と人員は正確ではないが、少数精鋭部隊である『美食研究会』よりも大規模であると、アロナから聞いていた。

 

「そのせいで、風紀委員会も慌ただしく動いているという状況で・・・・まあそのお陰で機に乗じて、私達もこうして風紀委員会の牢屋から抜け出せたのですけれど。ふふっ♪」

 

「そうですね。それに非常事態という事もあって、またしてもその場に偶然居合わせた『給食部』のフウカさんが、部の車を快く貸してくれましたし☆」

 

「んんっ!? んーっ! んーーーーっ!!」

 

〈トリニティ〉で騒ぎを起こしたせいで『風紀委員会』に捕縛されていた『美食研究会』であったが、『温泉開発部』の起こした騒ぎに乗じて脱獄できたようである。

そして、脱獄時にたまたま運悪く居合わせてしまったフウカを再び拉致して、更には巨大オトシドリが逃げられてしまったので、足代わりとして『給食部』の新車を奪って現在に至るという訳である。

フウカは「貸してないわよ!? と言うか! 私を巻き込まないでよー!!」と言いたげに簀巻き&猿ぐつわをされていたフウカが騒いだ。

 

「新しく買ったばかりの車を貸してくれるなんて・・・・コレぞ美しい友情というやつですね☆」

 

「んんっ! んっ、んんんんっ!!!!」

 

「・・・・その友情のお相手、縛られたままトランクに積まれてません?」

 

トランクに積められたフウカが、「貸してないって! 後、いつアンタらと友情なんて結んだのよ!!!!」と言いたげであった。

 

「問題ありませんわ、フウカさんはこう言った事に慣れていますから」

 

「最早『専門家』と言っても過言ではありませんね☆」

 

が、ハルナとアカリはそんなフウカの訴えなどどこ吹く風である。すると、通信機からジュンコとイズミの声が響く。

 

《ハルナ、アカリ! 今何処!? コッチも包囲網を破ったけど、合流できそう!?》

 

《ぎゃーーーーっ! 『風紀委員会』がまだ追いかけてきてる!!》

 

どうやら別行動を取っていた彼女達は、『風紀委員会』と絶賛追いかけっこ中のようだ。

 

「ジュンコさん、脱出作戦は取り消しです」

 

《えっ、何で!?》

 

「ふふっ、素晴らしきサンドイッチのお礼という事で。先生と〈トリニティ〉の皆さんの事は、私達が責任をもってご案内しますわ」

 

「ですね☆ それでは兎に角乗って下さい!」

 

“ありがとう、よろしくね”

 

ハルナは脱出作戦を取り消して、ご馳走したサンドイッチのお礼として道案内をしてくれるようである。

 

「え、えっと・・・・それではよろしくお願いします・・・・?」

 

「じゃあ失礼するけど・・・・『給食部』のアナタは本当にそのままで大丈夫か?」

 

先生とヒフミ達も乗り込んだ。

 

「ちゃんと捕まっていて下さいね☆ 出発です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーヒフミsideー

 

ーーーーそして約2時間後・・・・。

 

ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!!

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

『ゲヘナ自治区』のハイウェイにて、いつの間にか原付スクーターに乗っていたヒフミと、その後ろで愛銃である『スナイパーライフル・M1917エンフィールド ジャスティス・ブラック』を撃つコハルが、『美食研究会』&フウカと先生とピカチュウが乗る車と並走しながら、後方から放たれている『ゲヘナ風紀委員会』の砲撃から逃げながら並走していた。

 

ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!!

 

「何ですか何なんですか!? 一体どうしてこんな事に!?」

 

「ヒフミ、揺らさないで! 照準が合わないからっ!」

 

「わ、私が揺らしてるんじゃありません! じ、地面がさっきから揺れっぱなしで・・・・!」

 

ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!!

 

「また爆発しましたぁっ!?」

 

後方からの砲撃に、ヒフミは泣きながらも見事なドラテクで回避していた。

 

「〈トリニティ〉のアナタ、バイクの運転上手だね!」

 

「良いじゃん良いじゃん、頑張れー!」

 

「いえいっぱいいっぱいなんですけどぉっ!?」

 

途中で拾ったイズミとジュンコが車のトランクに乗って呑気に応援していた。

 

「アカリさん、8秒後にまた爆撃が来ますわ」

 

「はい、問題ありません☆」

 

そしてこんな状況なのに余裕を崩さないハルナとアカリ。

 

「ハルナぁっ! もう車は良いから降ろしてーーーーっ!?」

 

縄と猿ぐつわを外したフウカが泣きながら懇願してきた。

 

「フウカさんもこうして応援してくれていますし、もう少し派手にやるとしましょうか」

 

「そうですね、声援を力に☆ そして速度に♪」

 

が、やはりどこ吹く風のハルナとアカリには聞き入れてもらえなかった。

 

ーーーーキュラキュラキュラキュラ・・・・。

 

すると、次に何故か、『温泉開発部』が温泉開発に使うであろうショベルカーとブルドーザーが後ろから迫ってきていた。

 

「ショベルカーにブルドーザーまで来てる!? 何で!?」

 

「ど、どうして〈ゲヘナ〉の『温泉開発部』にまで追われてるんですかぁっ!?」

 

更にその重機の後ろから、『ゲヘナ風紀委員会』の乗るジープまで走ってきた。

 

「やばっ、『風紀委員会』も来た!」

 

《こちらチームブラボー。チームアルファ、応答せよ》

 

「あ、アズサちゃん!?」

 

と、ソコで陽動の為に別行動を取っていたアズサとハナコのチームから連絡が来た。

 

《名前を言われると、隠語を使った意味が無い・・・・ソレはソレとして、ごめん。陽動作戦は失敗した、コッチは包囲されてる》

 

「はいぃ!?」

 

《前方には火炎放射器と『ブーバー』を連れた温泉開発部、後方はやたら強いツインテールの風紀委員とヘルガー。退路を塞がれた。ハナコと私は何とか自力で逃げるから、後で落ち会おう。幸運を祈る》

 

「アズサちゃぁぁぁぁんっ!?」

 

向こうも窮地なようで、アズサからの通信が切られてしまい、ヒフミは涙目になってアズサの名を叫んだ。まぁ意外と切れ者のハナコとゲリラ戦の達人であるアズサ。そしてトリッキーな戦法が得意なジュペッタや伸びしろが高いミニリュウがいれば心配はないだろうが。

 

「わ、私達はあくまで、試験を受けに来ただけなのに・・・・どうしてこんな事になっているんですか!? うわあぁぁぁぁんっ!」

 

「ひ、ヒフミ! な、泣きたい気持ちは果てしなく分かるけど! 前! 前見て前!!」

 

「ふぇ・・・・」

 

コハルの慌てた声にヒフミが目を向けると、ハイウェイのカーブになっており、壁が迫っていた。

 

「うわぁああああああ!!」

 

慌ててハンドルを切るヒフミだが一歩遅く、このままでは壁に激突してしまう。キヴォトス人でヘイローを持つヒフミとコハルならば軽傷で済むだろうが、先生とピカチュウは『美食研究会』の車から飛び降りた。

 

“ーーーーミライドン!!”

 

『アギャァッ!!』

 

ミライドンを呼び出し乗り込むと、ミライドンがヒフミの乗る原付と壁の間に入り激突を防いだ。

 

「「せ、先生!?」」

 

“そのまま進んで!!”

 

「「は、はい!」」

 

先生の声に応え、ヒフミは原付のアクセルを吹かせ、再び走り出す。先生も追いかけようとミライドンを進ませようとしたその瞬間ーーーー。

 

ーーーードゴォオオオオオオオオンン!!

 

“うわぁああああっ!!”

 

『ピカァァァァ!!』

 

『アギャァアッ!!』

 

風紀委員会からの砲撃が炸裂し、爆煙が先生達を包んだ。

 

『先生っ!!?』

 

ヒフミとコハル、『美食研究会』とフウカが声を張り上げると。

 

『アギャァァァァッ!!』

 

が、爆煙の中から、『グライドモード』となったミライドンが飛び出し、その頭と背にはピカチュウと先生が乗っていた。しかし、『グライドモード』はハンググライダーのように風に乗っているだけであり、爆風に煽られハイウェイから外れてしまう。

 

“ヒフミ! コハル! 私達は大丈夫! 『目的地』で会おう!”

 

「「先生ーっ!!」」

 

そう言い残し、ミライドンに乗った先生は地上に降下していった。

 

「ど、どうするヒフミ!?」

 

「先生を信じましょう! 私達は『目的地』へ「ドゴォオオオオオオオオンン!!」いやぁああああああああ!!」

 

そう言って、ヒフミは砲撃に煽られながらもアクセルを吹かせ、先へと突き進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“・・・・アロナ。『試験会場』への道順を”

 

《了解です先生! 喜んで!》

 

無事に地上に降りた先生は、『シッテムの箱』のアロナに『目的地』へのルート検索を開始した。

が、その時。

 

『ーーーーヤミカー!』

 

“ヤミカラス?”

 

先生が上空に目を向けると、ヤミカラスが2匹、先生の前に飛んできた。

 

『ヤミカー! ヤミカー!』

 

『ヤミヤミ、ヤミカー!』

 

何やら「ついてこい」と言わんばかりの態度であった。

 

『ピカチュウ?』

 

『アギャ』

 

“・・・・仕方ない。ついていこう”

 

ピカチュウが「どうする?」と聞いてきて、ミライドンも首を傾げる。〈ゲヘナ〉にいるヤミカラス。ソレが先生の元に来たと言う事は・・・・『彼女』が呼んでいると言う事だ。

『風紀委員会』に追われているヒフミとコハル、交戦しているであろうアズサとハナコの安全の為にも、『彼女』と会って話をしてみようと思った先生はミライドンを走らせ、ヤミカラスの後を追った。

すると、奇しくも『目的地』に近くにある岩山の麓に、『彼女』と『手持ちポケモン達』がいた。

 

“ーーーーやぁヒナ。この間ぶり”

 

「はぁ・・・・何で〈トリニティ〉の子達と一緒に〈ゲヘナ〉に来たの? 先生?」

 

そう。『ゲヘナ風紀委員会』の委員長空崎ヒナと、彼女の手持ちポケモンのアブソル、ゴロンダ、ドンカラスの四獣達であった。先生が苦笑しながら挨拶すると、ヒナと四獣達は呆れたように半眼となって先生に問いかけた。

誤魔化しても意味が無いので、ミライドンから降りた先生は経緯を説明する。

 

“実はね・・・・斯々然々のなんやかんやがあってね。で、あーでこーで、ソレでこんな展開になっちゃったんだよ”

 

「・・・・・・・・・・・・はぁ?? ナギサがそんな事を??」

 

『!!???』

 

先生のかなりいい加減でふざけたような説明をしたのだが、ソレでヒナは全て理解したように目を見開いてそう返し、ピカチュウもミライドンも、四獣達もソレで理解したヒナに目を見開いて驚いた。

が、ヒナは周囲の反応に構わず、何処かナギサに失望したような声色で話す。

 

「・・・・マコトのような考えなしと違って、ナギサは礼儀正しく理知的な人間だと思っていたけど。まさか『裏切り者』を排除する為にソコまで乱暴な手段を行使してくるだなんて・・・・」

 

“ナギサもナギサで、責任のある立場だからね。かなり苦心しているようだったよ”

 

「気持ちは分からなくもないわ。〈トリニティ〉の代表『ティーパーティーのホストのリーダー』としての責任感。誰が味方か敵か分からず、誰を信じて、誰を疑えば良いのか分からない状況。もうすぐ調印される『エデン条約』。色々なものの重圧と言うプレッシャーに押し潰されそうになり、疑心暗鬼に捕らわれ、見境いが無くなってしまったのね」

 

“うん・・・・”

 

何やらヒナはナギサの気持ちを理解しているかのように言う。

 

「はあ・・・・マコトのようにアホの問題児なのも面倒だけど、賢くて生真面目なのも面倒なものね」

 

確かに、マコトと言うよりも、〈ゲヘナ〉は分かりやすくオラついており、こう言っては失礼だが〈トリニティ〉は陰険で陰湿で腹黒い。ある意味〈ゲヘナ〉よりも性質が悪いのかも知れない。

 

“だからヒナ・・・・”

 

「分かってる。今アコに連絡して、〈トリニティ〉の生徒達への攻撃を中止させるわ。『美食研究会』と『温泉開発部』にターゲットを絞るように伝えておく」

 

ヒナがスマホロトムを取り出してアコに連絡を入れた。

 

「・・・・アコ。〈トリニティ〉の4人の生徒には手を出さないで。詳しくは後で説明するわ。・・・・私達の目的は、違反行為をした『温泉開発部』と、脱獄した『美食研究会』の捕縛よ。〈トリニティ〉の生徒達の方は放っておいて良いわ。一応私のドンカラスの配下のヤミカラス達に監視をさせておくから。・・・・ええ。ええ。じゃぁ私は、『美食研究会』が使っていた『巨大オトシドリ』の調査を終えたら戻るわ」

 

そうアコに指示を出して、ヒナは連絡を切った。

 

“ありがとうヒナ”

 

「ウチのくだらない揉め事に、他校の生徒、それもウチよりもくだらない企てのせいで来てしまった生徒達に、これ以上迷惑をかける訳にもいかないから」

 

素っ気なく応えるが、ヒナの心遣いに先生は感謝を抱くのと同時に、ある事を聞く。

 

“所でヒナ。『巨大オトシドリ』って、ハルナ達『美食研究会』の皆が乗り物代わりに使っていたあのオトシドリ?”

 

「ええ。本来はこの、『風紀委員会』の訓練でも使われている岩山を根城にしているらしくね。あのポケモン逃げ場所にするのはここだと睨んで、調査も兼ねてきたの」

 

先生は、以前〈トリニティ〉で『補習授業部』と『美食研究会』がバトルし、最終的にハルナ達を見捨てて飛び去っていった『巨大オトシドリ』の事を聞くと、ヒナはコクリと頷いた。

 

「取り敢えず先生、コッチは私の方で調査するから、先生は『補習授業部』の方に行って。生徒達が『試験』を受けている間か、終わった後でもコッチに来て調査しても良いわ。この『岩山』から『試験会場』まで、ミライドンのスピードなら2分も掛からないだろうし」

 

“ありがとうヒナ”

 

先生はヒナにお礼を言うと、ミライドンに乗り込む。するとヒナが先生に話し掛ける。

 

「・・・・先生。『試験会場』に到着しても、気をつけた方が良い」

 

“えっ・・・・?”

 

「ここまで乱暴なやり方をするナギサが、コレだけで終わりにするとは思えない。まだ何か仕掛けてくると思う。まぁコレは、普段からマコトに面倒を押し付けられているせいか、変に邪推しているのかも知れないけど・・・・」

 

“・・・・うん。気をつけておくね”

 

ヒナの忠告に頷きながら、先生はミライドンをフルスロットルにして、岩山を駆け下りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ミライドンに乗った先生が、『試験会場』の近くに到着すると。

 

“ヒフミ! ガルーラ! コハル! ヘラクロス!”

 

「あ、あうぅ・・・・せ、先生〜・・・・!」

 

『ガルラ・・・・』

 

『カルゥ・・・・』

 

「ぶ、無事だったんだ・・・・そ、それじゃ、『試験会場』は、ここ・・・・?」

 

『ヘラクロ・・・・』

 

ヨロヨロになっていたヒフミとコハル、そしてガルーラとヘラクロスであった。どうやら先生と別れた後も、相当大変だったようである。

 

“無事で良かったよ”

 

「本当に良かったです・・・・『給食部』の車が川にダイブした時は、もう終わりかと思いましたが・・・・」

 

“えっ? 『美食研究会』の皆とフウカは??”

 

「あ、はい。フウカさんはダイブする前に数匹のヤミカラス達に救助されましたが、『美食研究会』の皆さんはそのまま・・・・ハルナさん。親指立てながら沈んでいっちゃいました・・・・」

 

何故だろうか、そんな目に遭っても『美食研究会』は心配無用な気がする。

 

「あ、それよりも、アズサとハナコは!?」

 

と、コハルがまだ来ていないアズサ達を心配して周囲を見回すと。

 

「ーーーーお待たせしました♡」

 

「あっハナコちゃ、ん”ん”っ!?」

 

「2時45分・・・・何とか開始時間前に着いたか、流石に疲れた」

 

『ジュペジュペ〜☆(ポロロン♪)』

 

『リュウー!』

 

ハナコの声がしてソチラに目を向けたヒフミは声に詰まり、コハルとガルーラとヘラクロス、そして先生達も目を見開いた。

ハナコの格好は最早お約束とも言える、スクール水着姿でにこやかに立ち。

アズサはガスマスクを着用し、臨戦態勢モードになっていた。

ジュペッタは何故かスターサングラスを掛け、派手なアロハシャツを着て、麦わら帽子を被り、更にはウクレレを持って陽気に鳴らしていた。

ミニリュウに至っては身体をウッドランド迷彩に染め、顔にはミリタリーゴーグルを、頭にはミリタリーヘルメットを着用し姿勢を正して、尻尾で器用に敬礼をしていた。

 

「え、えっと・・・・」

 

「そ、そっちは何があったのよ・・・・」

 

“今は深く聞かない事にしよう・・・・”

 

ツッコミ処が満載過ぎてどうすれば良いのか迷うが、取り敢えず今は置いておこうと思った。

 

「・・・・ソレで『試験会場』って、ここ・・・・?」

 

「『ゲヘナ自治区第15エリア77番地』、廃墟の1階・・・・はい、ここで合ってます。この建物ですね』

 

コハルの言葉にハナコがスマホロトムに表示された地図と場所を何度も確認し頷く。

しかし、お世辞にも『試験』をやるような場所ではなく、何やらゴーストタイプポケモンが彷徨いていた。

 

「ど、どうしてこんな所で試験を・・・・。あ、試験用紙とかどうなるんでしょうか、誰か来てるんですかね・・・・?」

 

「いや、誰もいなさそうだ。でも何かしら、『手段』は用意してる筈。・・・・・・・・コレだ」

 

ヒフミが不安そうに言い、アズサは周囲を見回すと、ある物を発見した。

 

「コレは・・・・『不発弾』、ですか?」

 

「『L118』、牽引式榴弾砲の弾頭だ。スローガンとかの散布用なのか、雷管と爆薬を取り除いて爆発しないようにしてある」

 

「なるほど。『L118』と言う事は『ティーパーティー』の・・・・つまり、ナギサさんからと言う事ですね」

 

アズサが見つけたのは1本の爆発しないようにされた手榴弾であり、ハナコがナギサからのメッセージであると理解すると目を細める。

 

「この中に何かあるはず。開けてみよう」

 

随分と面倒なやり方をしていると思った先生は、先程ヒナの忠告を思い出し、取り敢えずルカリオとイーブイ、そして御三家を出して備える。 そして、アズサが手榴弾を開けた。

 

ーーーーカチャッ。

 

「あ、中に紙が・・・・コレが試験用紙という事ですね!」

 

「特に破損も見られない。こっちは・・・・通信機か」

 

ーーーーブツンッ。

 

《・・・・コレを見ているという事は、無事に到着されたようですね》

 

「な、ナギサ様!?」

 

その中には『試験用紙』と『通信機』が入っており、通信機を起動させると、ナギサの映像が映し出された。

 

「・・・・・・・・」

 

「え、じゃあこの方が、『ティーパーティー』の・・・・?」

 

“ナギサ・・・・!”

 

『・・・・・・・・』

 

映像のナギサを見て、ハナコは露骨に不機嫌そうに顔を顰め、コハルは始めている『ティーパーティー』のホストに目を見開き、先生は怒気を込めて名を呼び、ピカチュウ達ポケモンは嫌悪感を剥き出しにし、ガルーラはソっと、近くに放置されていた空っぽのドラム缶を片手で掴んでいる。

 

《ふふっ・・・・恨みの声が聞こえてきますね。まあこれは録画映像なので、リアルタイムには聞こえないのですが。ですので、今の私に話しかけても無意味ですよ》

 

“・・・・・・・・”

 

しかし、ナギサは録画映像のようで、彼女達の反応を見ていない。が、その目には暗いものが宿っているのが、先生には見て取れた。・・・・ガルーラが掴んだドラム缶を砲丸投げのようなフォームで構える。

 

《それでは約束の時間までに試験を終えて、戻って来て下さいね。一応引き続きモニタリングはさせていただいておりますので、その事をお忘れなく・・・・では幸運を祈りますね、『補習授業部』の皆さん。“どうかお気をつーーーー”》

 

ーーーーブゥンっ、ガシャァァァァンン!!

 

「が、ガルーラ!?」

 

『ガルラガル! ガルガルーラ! ガルルルラァッ!!』

 

映像のナギサは、『補習授業部』に向けて、『白々しいまでの労いの言葉』をかけ、ソレを聞いたガルーラがナギサの映像に向かってドラム缶(ソレも縦)を、ナギサの顔面を潰す勢いで投げつけるが、映像であるので突き抜けて、向こうにある地面に盛大に転がっていった。

驚くヒフミを余所にガルーラは「やかましい! ロールケーキの代わりに! そのドラム缶でも喰ってなぁッ!!」と叫んでいるように聞こえた。流石のガルーラもナギサのやり口に堪忍袋の緒が切れているようだ。映像であるから無意味であるのは分かっていても、ドラム缶を投げつけてしまう程に。

 

「あうぅ・・・・」

 

「何だか最後、含みのある言い方でしたね・・・・?」

 

「とにかく時間が無い、早く始めよう」

 

「は、はい! 皆さん入りましょう、いよいよ『第2次特別学力試験』です!」

 

「そうですね」

 

「う、うん!」

 

“よし、頑張ろう!”

 

パートナーのガルーラの激昂にヒフミは慄き、ハナコはナギサの最後の言葉が気になったようだが、アズサは早く試験を始めようと建物に入ろうと言う。ヒフミもここにいても仕方ないと思い、全員で会場へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

ー???sideー

 

「ーーーーで、ここが例の場所?」

 

「うん、住所的には合ってそう。ここから向こうの方まで全部かな」

 

先生達が入った建物の前に、ガテン系の格好をした生徒達、〈ゲヘナ学園〉の問題児集団‹テロリスト›、『温泉開発部』のメンバーがやって来て、建物を見上げる。

 

「へへっ、何処からの情報だかよく分からないけど、親切に『温泉がありそうな場所』を教えてくれるなんて有難いこった」

 

「よぅし、発破準備! 出てきな『ゴローニャ』!」

 

『ゴロー!!』

 

『温泉開発部』のメンバーが『メガトンポケモン・ゴローニャ』を呼び出し、配置につかせ、『ある物』を設置すると。

 

「ゴローニャ! 【だいばくはつ】!!」

 

「開発だぁーーーー!!!!!」

 

その号令と共に、スイッチを押し、ゴローニャ達の身体が光り出しそしてーーーー。

 

 

 

 

ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンッッッ!!!!

 

 

 

 

 

建物を吹き飛ばす程の盛大な爆発が起こった。

・・・・そのすぐ後に、近くにある岩山の調査をしていた『ゲヘナ風紀委員長』がその爆発に気付き、更に『補習授業部』を監視していたヤミカラス達からの報告を受けてすぐに駆けつけ、『温泉開発部』メンバーは風紀委員長と四獣達からの総攻撃を受けて一瞬で制圧された。

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

建物の内部にいた先生達は崩壊する寸前、先生がイーブイをエーフィに進化させ、【リフレクター】と先生の『懐のポケモン』による『バリアー』で全員を守り、瓦礫に埋もれていたのをゲヘナ風紀委員長であるヒナが呼んだ『ゲヘナ風紀委員会』によって救助されたのであった。

 

第2次特別学力試験の結果

 

浦和ハナコーーーー試験用紙紛失(不合格)

白州アズサーーーー試験用紙紛失(不合格)

下江コハルーーーー試験用紙紛失(不合格)

阿慈谷ヒフミーーーー試験用紙紛失(不合格)

 

ーーーーヒュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・。

 

「先生、大丈夫なの・・・・?」

 

“私は大丈夫だよ、ありがとうヒナ。・・・・でも”

 

「ーーーー試験用紙が、試験用紙がっ・・・・!?」

 

「跡形もなく吹っ飛ばされた・・・・」

 

「あ、あうぅっ・・・・」

 

『温泉開発部』の爆発によって建物が吹き飛び、試験用紙も完全にバラバラになり一陣の風によって無情にも空の彼方へ飛んでいった。コハルとアズサとヒフミがソレを見ている事しかできなかった。

 

「何か仕掛けてくるかもと邪推していたけど・・・・まさかここまでやってくれるだなんてね。自分の手は汚さず、ウチの違反者達を利用して。・・・・まだマコトの方がマトモに思えてきてしまうわ・・・・」

 

「成る程成る程、ここまでやると言う事ですね・・・・面白くなってきたではありませんか。ふふふっ・・・・♡」

 

そんなヒフミ達を見て、ヒナはナギサに不快感を示し、ハナコは今まで見た事無いくらいに・・・・恐い笑顔を浮かべていた。

 

補習授業部、第2次特別学力試験ーーーー全員不合格!




次回、ちょっとヒナと共にスパイス回収してから『合宿所』へと向かいます。
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