ー先生sideー
“ピカチュウ、【アイアンテール】! ルカリオ、【はどうだん】! サンダース、【10まんボルト】!アチャモ、【ニトロチャージ】! ミズゴロウ、【マッドショット】! キモリ、【でんこうせっか】!”
「ガルーラ、【かわらわり】!」
「ミニリュウ、【みずのはどう】!」
「ヘラクロス、【ミサイルばり】!」
「ジュペッタ、【シャドークロー】!」
『ピィカァァァァ!!』
『カァァ・・・・ルォォォォ!!』
『サン・・・・ダァァァァス!!』
『チャァァモォォォォ!!』
『ミジュミジュミジュミジュ!!』
『キゥゥゥゥッ!!』
『ガァラァァァァ!!』
『リュウゥーッ!!』
『ヘェラクロォォォォ!!』
『ジュペ、タァァァ!!』
ーーーーズガガガガァアアアアアアアアンッ!!
凄まじい爆発音と共に、〈アリウス〉の部隊とバクガメス達が撃破された。
『ガメ、スゥゥゥゥ・・・・!!』
「ぐっ、うっ・・・・!!」
「か、勝った・・・・?」
「全員戦闘不能」
「あうぅ・・・・先生の指揮があって、本当に助かりました・・・・」
〈アリウス〉の部隊に自分達が勝った事が信じられないようなヒフミとアズサ。ここまでを相手を誘導する為に走り回っていたアズサも一息つく。
「・・・・はい。では難所を1つ乗り越えた処で、次のフェーズに移りましょうか。この後〈アリウス〉の増援部隊が到着するでしょう、ですが私達は時間を稼ぐだけで大丈夫です。時間を稼いでいれば、『正義実現委員会』の部隊が来てくれます」
「それにしても、〈アリウス分校〉って『ほのおタイプ』をメインにしているんですか?」
「うん。長い間抱き続けてきた怒りを、怨みを、憎しみを炎として燃やし、いずれその炎で全てを焼き尽くす想いを忘れない為に・・・・」
ハナコが部隊を撃破したのを確認すると、次の段階への説明をし、ヒフミが〈アリウス分校〉の使用するポケモンのタイプを聞くと、アズサが少し顔を俯かせながら解説をするが、とても悲しい理由であった。過去の自分達の『憎悪』をポケモン達にすら押し付けるような考え方なのだから。
「あ、ハスミ先輩には連絡しておいた! すぐ返事来る筈!」
「はい、ありがとうございます♡・・・・『ティーパーティー』の命令下にある『正義実現委員会』が動けるとしたら、それは『ティーパーティー』の身辺に問題が生じた時だけ。定期連絡とかもあるでしょうし、きっと今頃ハスミさん達はナギサさんに何かがあった事には気づいた筈。ソレに合わせてコハルちゃんからの連絡・・・・少なくとも状況を確認する為に動き出すまで、そうそう時間はかからない筈です。あとは早く来てくれる事を願うばかりですが・・・・」
ハナコはコハルにハスミに連絡をさせて、『正義実現委員会』を呼び出す事で増援と対抗しようとしている。ハスミ自身の戦闘力とネギガナイト達の実力も然る事ながら、できればツルギが来てくれればもっと楽になるのだが。もしもに備えて、『守月スズミ』が所属する『トリニティ自警団』にも応援を頼むべきかと先生は考える。
ーーーードカァァァァァァァァン!!
と、『正義実現委員会』が来るのを期待していた全員の耳に、爆発音が響いてきた。
「!?」
『っ!!』
「コレは・・・・」
驚く一同に、ザッザッザッ・・・・と、隊列を組んだ人間の地面を踏み締める足音が聞こえてくると、新たな〈アリウス〉の部隊とバクガメス達がやって来た。
「『増援部隊』が、こんなに早く・・・・!?」
「え、えっ・・・・?」
流石のハナコも予想外だったのか顔を歪め、コハルは若干狼狽えてしまう。
更に人員がやって来て、体育館の3分の1が〈アリウス〉の部隊に埋め尽くされた。
「数が多い、大隊単位だ。多分、〈アリウス〉の半数近くが・・・・」
先程とは比べ物にならない人員のアリウス兵がなだれ込んできて、アズサも顔に不安の色を浮かばせる。
「あうぅ・・・・! こ、これだけ沢山の方が、平然と〈トリニティ〉の敷地内に・・・・!?」
「まだ、『正義実現委員会』が動く気配が無い・・・・?」
ヒフミが大隊クラス〈アリウス〉の部隊が〈トリニティ〉の中に侵入してきた事に驚き、ハナコも『正義実現委員会』が動いていない事に違和感を覚え、『補習授業部』は絶体絶命のピンチに陥ってしまった。
『ガルゥ(ボキボキ)』
『カルゥ(ポキポキ)』
『リュ〜!』
『ヘラクロス!』
『ジュペ・・・・!』
が、ガルーラ母子は指の関節を鳴らし、ミニリュウは勇ましく先頭に立ち、ヘラクロスはいつでも突撃できるように腰を落とし、ジュペッタもニタリと笑みを深める。
「あうぅ・・・・ガルーラ達はやる気満々ですね」
「頼もしい奴ら・・・・」
“でも、何で『正義実現委員会』は動かないんだ?”
ヒフミとコハル(猫目)が頼もしさ半分、呆れ半分な顔をし、先生も『正義実現委員会』が動かない事に違和感を感じる。
「ーーーーソレは仕方ないよ」
突然、体育館に響いた可愛らしい声と共に、正面の〈アリウス〉の部隊が、ザッと横一列の隊列に隙間を空けるとソコから、コツッコツッと足音が響き、1人の女の子と、その後ろに3体のポケモンが悠然と歩いてくる。
「・・・・!」
“!?”
「「「!?」」」
『!!』
その人物を見てハナコは、先生は、ヒフミ達は、ピカチュウ達は目を見開いた。
何故ならその人物はーーーー。
「だってこの人達はコレから、『トリニティの公的な武力集団』になるんだから」
“ミカ・・・・?”
「やっ、久しぶり先生。また会えて嬉しいな」
『ティーパーティー』のホストの1人、先生にアズサを守って欲しいと言って行方不明となっていた、『聖園ミカ』であったのだ。
そして彼女の後ろには、手持ちポケモンであるイエッサン(♀)とデカヌチャンとガラルギャロップも控えている。
ミカはこんな状況にも関わらず、いつもの天真爛漫な態度で話し出す。
「ソレから、『正義実現委員会』は動かないよ。私が改めて『待機命令』を出したから。学園が静かだったよね。『正義実現委員会』以外にも、邪魔になりそうなものは事前に全部片付けておいたの。『ティーパーティー』の命令が届く限り全ての所に、色んな理由を付けて足止めしておいたから」
つまりソレは、『スズミがいる自警団』も動けないと言う事である。
“なんでそんな事を・・・・”
「“ナギちゃんを襲う時に、邪魔なんてされたら困っちゃうもんね”」
“!?”
先生が呆然と問うとミカは、『ナギサを襲う為』と言い出した。
「『ティーパーティー』の1人・・・・聖園、ミカさん・・・・」
「まあ簡単に言うと、黒幕登場☆って処かな?」
ハナコも予想していたが、この場面で来るとは流石に予想していなかったのか、呆然とミカの名を呼ぶと、ミカはにこやかに自分を指した。
「私が“本当”の、『トリニティの裏切り者』」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・!?」
ハナコを除いた『補習授業部』は、息を呑んだ。
まさか、『ティーパーティー』のホストの1人が、黒幕である『トリニティの裏切り者』であった事に驚きを隠せないようである。
「と言う訳で、ナギちゃんをどこに隠したのか教えてくれる? 私も時間が無くってさ。まあここにいる全員を消し飛ばしてから、ゆっくり探しても良いんだけど。それは面倒でしょ?」
『っ! ダァァァァスッ!!』
にこやかに言ってくるミカが癪に障ったのか、サンダースはミカに向けて【でんげきは】を放った。
『カヌチャン!!』
が、デカヌチャンが前に出て、その巨大ハンマーでサンダースの電撃を受け止めた。
「うわ〜、いきなり攻撃なんてヒドイなぁ。しかも必ず当たる【てんげきは】なんて、やる気満々だね? そんなに先生と仲良くする私が嫌いなのかなぁ?」
『フーッ!!』
カラカラと笑いながら言うミカの態度に、サンダースは鋭く逆だった体毛を更に鋭くさせながら威嚇し、バチバチッと放電する。
“サンダース、やめて”
『っ! ダース!』
“お願いだから・・・・”
『〜〜〜〜!!』
『ピカチュウ・・・・』
『カルォ』
“・・・・ブイ”
先生が止めるように言い、サンダースは「でもコイツは!」と言わんげに先生を見上げると、先生はソレでも止めるように言い、ピカチュウとルカリオからも止められ、制限時間が来たのかイーブイ(色違い)に戻り、渋々ながらコクリと頷いた。
そして先生はミカに向き直る。
“ミカ、どうして・・・・”
「んー? 聞きたい? 先生にそう言われたら仕方ないなぁ。ーーーーそれはね・・・・〈ゲヘナ〉が嫌いだからだよ。私は本当に、心から・・・・心の底から〈ゲヘナ〉が嫌いなの」
先生は、何故こんな事をしたのかミカに問うと、ミカはあっさりと言った。
ーーーー〈ゲヘナ〉が嫌いだから。とても単純明快で、余りにも個人的な理由であった。
「・・・・だから、『エデン条約』を取り消そうと? その為にナギサさんを・・・・?」
「えっと・・・・誰だっけ? ごめんね、私あんまり顔を覚えるの得意じゃなくってさ」
そんなミカに問い詰めるように、話術に長けたハナコが前に出てミカと話しをしようとするが、ミカの方はハナコの事を忘れているようであり、思い出そうと、むむむ、唸ると、すぐに思い出したように声を上げた。
「・・・・あぁ、思い出した。『浦和ハナコ』じゃん。礼拝堂の授業で水着で参加して追い出された、あの。あははっ、懐かしいねぇ」
「・・・・・・・・」
ハナコはそんなミカの話を意に返さず、真っ直ぐにミカを見据える。ヒフミとコハルも、ハナコの過去の奇行をツッコむ余裕もなく黙って見ていた。
「まあ、一応答えてあげるとその通りかな。だってナギちゃんが、『エデン条約』なんて変な事をしようとするからさぁ。〈ゲヘナ〉のあんな、角が生えた奴等なんかと平和条約だなんて、冗談にも程があると思わない? 考えるだけでゾッとしちゃうよ。絶対裏切られるに決まってるじゃんね? 背中を見せたらすぐに刺されるよ? そんな事、させる訳にはいかない」
そしてミカは、ハナコの問いに一応答え、〈ゲヘナ〉への嫌悪を露わにした。 自分達〈トリニティ〉なんて腰に羽根を生やしているにも関わらず。
「ナギちゃんもホント、優しいって言うか優し過ぎるって言うか・・・・創作の中の明るい学園物語じゃないんだし。そんな都合の良い話、現実には存在しないのに。私達はこういう、もっと『ドロドロした世界』の住人だって事、そろそろ分かってくれても良い頃なのにね?」
ミカはナギサを優し過ぎると言い、現実を見ていないと言い始める。
「・・・・そう言う訳だから、ナギちゃんを返してくれる? 大丈夫、痛い事はしないよ。まあ、残りの学園生活は全部檻の中かも知れないけど」
“じゃあ『エデン条約』は、やっぱりれっきとした『平和条約』・・・・”
「あっ、あの時は騙してごめんね、先生。うん、ソレは嘘。アレは本当に『平和条約』だよ。そもそも素直でお馬鹿なナギちゃんに、『エデン条約』を『武力同盟』として活用するなんて事、できっこないからね」
そしてミカは話を戻してナギサの居場所を聞くが、先生はミカが以前に話していた『エデン条約』の目的が嘘だった事を聞くと、ミカは『嘘』であると認め、ナギサに『武力同盟』なんてできないと小馬鹿にした。
「・・・・でもあの時話した事は、全部が全部嘘って訳じゃないよ。私が『〈アリウス〉と和解したかった』って言うのは、本当の事」
するとミカは以前先生達に語った話の中で、『〈アリウス〉と和解したい』と言う事は『真実』であると答えると、両手を広げて、左右に隊列を組んで気を付けしている〈アリウス〉の部隊を指す。
「この子達は、同じ『〈ゲヘナ〉を憎む仲間』だからだよ」
そしてその理由は、〈アリウス〉がミカと同じく〈ゲヘナ〉を憎んでいると言う、かなり歪な同盟関係である。
「〈アリウス〉だって元々は〈トリニティ〉の1員。先生には前にも言った通り、この子達も〈ゲヘナ〉に対する憎しみはスゴいよ、私達に勝るとも劣らない。寧ろこの子たちこそ、純度の高い憎しみを持ってるとすら言えるかも知れない。だから手を差し出したの。志を共にして、〈ゲヘナ〉と『平和条約』を結ぼうとする悪党達をやっつけない? って。『ティーパーティー』のホスト『桐藤ナギサ』に『正義実現委員会』がいるなら、『次期ティーパーティー』のホスト『聖園ミカ』には〈アリウス〉がつく。これはそういう取引。和解へのステップアップ的な?」
〈アリウス〉は元々トリニティの一派だった事もあり、〈ゲヘナ〉への憎しみはトリニティよりも凄まじいとミカは言い、『正義実現委員会』を味方につけているナギサに対抗して、ミカは自分がいずれ『ティーパーティー』なホストになれば〈アリウス〉を引き入れると言う取引をしたようである。
「共通の敵の為に、1時的に敵同士が互いの手を取り合う。そう言う事だよ。ソレで私は、〈アリウス〉を密かに支援してたの」
「〈アリウス〉は最初から、〈トリニティ〉のクーデターの『道具』だった・・・・?」
「うん?・・・・うん、確かに。これは『クーデター』とも言えるかもね。最終的にはナギちゃんを失脚させて、私が『ティーパーティー』のホストになるんだから」
アズサはミカの話を聞いて、自分が、〈アリウス〉が〈トリニティ〉の、聖園ミカの『道具』であった事に、内心驚きと傷付いていた。
「ああ、あなたの事は分かるよ。ありがとう、白洲アズサ。私はあなたの事をあまり知らないけれど、私にとって『大事な存在』である事は変わらない。今までも、これからも」
そして一拍置いてから、にこやかにアズサに言う。
「だって今からあなたには、“ナギちゃんを襲った犯人になって貰わないといけないからね”」
「・・・・!!」
ミカはナギサ襲撃をアズサに押し付けると言い出し、コハルは目を見開いた。
「スケープゴート‹身代わり›って言った方が良いのかな? 罪を被る『生贄』としての存在がいてこそ、皆がグッスリと安心して眠れるの。世の中って、そういうものじゃない?」
「・・・・・・・・」
『リュウ〜!!』
『ブィィィィ〜!!』
『チャモ!』
『ミジュ!』
『キゥゥ!』
悪びれも無くミカはアズサに全ての罪をなすり付けて『身代わり』にすると言い出し、アズサは目を鋭くし、ミニリュウはアズサを守るように前に出て、イーブイと御三家もミカに嫌悪感を抱いて威嚇する。
「でもビックリしたな。ナギちゃんが正体不明の誰かに襲撃されたって聞いて、計画が崩れるかもと思って少し焦ってみたら・・・・。まさかそれが『補習授業部』だったなんてねー、これは予想外だったよ。うん」
ここまで入念に計画を立てていたミカも、『補習授業部』の動向は予想外だったので驚いていたようであった。
“・・・・全ては、『ティーパーティー』のホストになる為?”
「うん、そうだよ。ああでも誤解してほしくないな、先生。別に『権力』が欲しいわけじゃないの。私は〈ゲヘナ〉を〈キヴォトス〉から消し去りたい・・・・本当にただ、それだけだから」
“・・・・・・・・”
ミカは先生に『ティーパーティー』のホストになる理由は『権力』が欲しい訳ではなく、〈ゲヘナ〉を完全に滅ぼす事であると宣言した。
「〈トリニティ〉の穏健派を追いやって、その空席を〈アリウス〉で埋める。もしかしたら新しい連合になるかもね? 必要なら新しい公議会でも開いて・・・・うん、それも良いかも? それで、新たな『武力集団』を得て再編された〈トリニティ〉が、〈ゲヘナ〉に全面戦争を仕掛ける。そう、これが私の計画!」
ナギサ達『穏健派』を追い出したその穴を〈アリウス〉で埋め、〈トリニティ〉に新しい『武力集団』を作って〈ゲヘナ〉に全面戦争を仕掛けると、ミカは笑いながら高らかに宣言した。
“・・・・っ!!”
「わっ、びっくりしたー・・・・」
あまりにも身勝手なミカのこれまでの発言に、とうとう怒りを顕にした先生が怖い眼でミカを見つめる。温厚な先生のその眼光に、流石のミカもたじろいだ。
「先生、そんなに怖い眼もできるんだね・・・・うん、先生が凄く怒ってる事は良く分かった。ごめんね、説明も何だか急いじゃったし、雑だったよね?」
ミカがそう言うと当時に、ザッザッザッ・・・・と、規則正しい複数の足音と共に、〈アリウス〉の増援部隊がやって来た。
「もっと丁寧にお話したい所だけど・・・・先ずは色々と邪魔なのを片付けてからにしよっか?」
「・・・・気を付けて、先生。こうして見ただけで分かる・・・・奴はトレーナーとしても、単騎としてもかなり強い」
ミカは先生以外、『補習授業部』を始末しようと〈アリウス〉を向かわせようとする。そしてアズサは、〈アリウス〉ではなく、ミカの実力を見抜いて険しく顔を歪めた。
「ふふっ、そうだよ。先生には前言ったけど、私結構強いんだから。はい。じゃあ、『補習授業部』を片付けてくれる?」
〈アリウス〉の部隊が、『補習授業部』に襲い掛かる。バクガメスの部隊はら手足と首を甲羅の中に引っ込めた状態で円盤のように回転しながら飛行する。
“っ! ルカリオ! シャワーズ! ミズゴロウ!”
『カルォ!!』
『ーーーーシャワッ!!』
『ミジュ!!』
“2人で協力して【みずでっぽう】でバクガメスを撃ち落として! ルカリオは撃ち漏らしたのを狙って!”
『シャワーっ!』
『ミィジューっ!』
『カルゥ・・・・オォッ!!』
ルカリオが両手を合わせてから広げると、長い骨型のエネルギーを生み出し、棒術のように振り回し、『超進化ライト』でイーブイをシャワーズ(色違い)へと進化させ、ミズゴロウと共に回転しながら飛んでくるバクガメスの弱点である腹部を狙って水鉄砲を発射していき、幾つ課を撃ち落としていく。
しかし、やはり数があるせいか、何匹かが向かってくるが、ルカリオが次々となぎ倒していき、ソレでも〈アリウス〉の部隊は進んでいく。
“この体育館は広いけど、そんなに集まってくるのは悪手だよ。ーーーーハナコ!”
「皆さん、目を閉じて下さい。ジュペッタ! 全力で【あやしいひかり】!」
『ジュ、ペェェェェェェェェ!!』
『ぐぁああああっ!!?』
「ぬぁぁぁぁっ、ま、またぁ!!」
先生がハナコに呼びかけると、ジュペッタは目を全力で光らせ、唯でさえ薄暗い体育館で閃光弾も斯くやと言わんばかりの光に、〈アリウス〉は目をやられ、目元を押さえて身悶える。
そして、〈アリウス〉よりも先に目を閉じて光を免れた先生達は、そんな敵の乱れを見逃さない。
“皆!”
「は、はい! ガルーラ! マットを投げて!!」
『ガァラァーッ!!』
ヒフミのガルーラが体育館の倉庫にあった体操マットを持ち上げると、〈アリウス〉部隊へと投げつけた。
体操マットは60キロはある。ソレをガルーラのようなパワータイプのポケモンが投げつければ。
ーーーードシャァアアアアアアアア!!
『うわぁああああああ!!』
【あやしいひかり】で目が眩んでいた前列の部隊は倒れ、後はドミノ倒しのように連鎖して倒れる。
何故先生達や『補習授業部』がこの体育館で待っていたのかと言うと、味方にとっても敵にとっても『袋小路』であると同時にーーーー『武器』があったからである。
「ジュペッタ! お願いします!」
『ジュペッ!!』
ハナコが言うと、ジュペッタは【サイコキネシス】で、バスケットボールが入ったボールカゴを天井近くにまで浮かばせ、そのままひっくり返すと、空気がパンパンに詰まったバスケットボールが〈アリウス〉部隊の真上に落ちてくる。
「あがっ!?」
「ほごっ!?」
「あでっ!?」
バスケットボールは思いの外に硬いのと、落下速度も加わって頭に当たる者、床に落ちて弾んだボールがお腹にクリティカルヒットした者、床に転がったボールに躓いて倒れる者と続出する。
「ヘラクロス! サーブよ!」
『ヘラーーーークロス!!』
「ぶっ!?」
「かはっ!?」
「ギャンっ!?」
更にヘラクロスがバレーボールのボールカゴを傍らに持って来て、バレーボールをサーブし、〈アリウス〉部隊へと当てていく。
“ピカチュウ! アチャモ! キモリ! ミズゴロウ!”
『ピカ!』
『チャモ!』
『キウ!』
『ミジュ!』
次に先生はピカチュウとアチャモとキモリ、バクガメスをルカリオとシャワーズに任せたミズゴロウに指示すると、4匹はバレーボールネットを持って固まった〈アリウス〉部隊を巻きつけて捕らえた。
“皆!”
「はい!」
「うん」
「う、うん!」
「行きますよ〜♪」
次に先生は後詰めとして、折り畳まれたキャスター付きの卓球台を盾にし、突き進みながら銃を撃つ『補習授業部』。
『ガァラァアアアアアアアア!!』
『ヘラクロス!!』
ガルーラとヘラクロスも、バレーボールの支柱を振り回しながら、〈アリウス〉部隊を蹴散らしていき。
『ジュペッタ!』
ジュペッタも【ゴーストダイブ】で闇に潜みながら、【シャドークロー】で暗殺者よろしく気絶させていき。
『リュウーっ!!』
『チャモ!』
『ミジュ!』
『キウ!』
ミニリュウも【とっしん】で倒していき、御三家達も倒していく。
と、その時ーーーー。
『リュウーっ!!』
『チャ、モォーッ!!』
『ミ、ジュゥーッ!!』
『キィ、ゥーッ!!』
“!”
『っ!!』
突然、4匹の身体が光り出し、更にメキメキと音を立てながら身体が大きくなり、その姿が変貌し、光りが収まるとソコにいたのは。
『クォー!!』
ミニリュウはその身体がさらに細長くなり、神秘的で美麗さを醸し出し、頭部にあった鰭は翼に、小さな出っ張りは立派な角へと変わって、首に1個、尻尾に2個、水晶のような玉を持つ『ドラゴンポケモン・ハクリュー』となった。
そして、御三家達も変わっていた。
『シャモー!!』
先ずアチャモは、小さく丸っこい身体がニョキニョキと伸び、逞しく勇ましい姿となり、生えかけの翼は先端に三本の爪を生やした長い腕のようになり、小さな脚も発達したモモ肉で膨れ、力強いものへと変化し、伸びた上半身を覆う羽毛は黄色とオレンジが逆転し、目は多少鋭く、頭の三本の鶏冠もより大きくなった『わかどりポケモン・ワカシャモ』。
『ヌマー!!』
ミズゴロウは順当に体が大きく成長し、強靭により足腰が発達して2足歩行となり、体のヒレも黒く大きく、頭の方は刃じみた形状に、尾ビレの方は2つに増えているが、頬のエラは突起が1つだけとなった『ぬまうおポケモン・ヌマクロー』。
『ジュプっ!』
キモリは順当に成長し、長く細いスレンダーな体型になり、両腕からは幾つも葉が生え、頭からも長髪の如し1枚の長い葉っぱが生えた。小さく2つに分かれた尻尾も合わせ、葉の形は全体的に笹っぽい、トカゲから恐竜のような姿となった『もりトカゲポケモン・ジュプトル』。
「ハクリュー!」
“ワカシャモ! ヌマクロー! ジュプトル!”
「し、進化しちゃいました!?」
「ウソ・・・・」
「コレはコレで、ナイスな展開ですね♪」
“(良し)アズサ・・・・・・・・で、行くよ!”
「了解した先生」
“(コクリ)ミライドン!”
『アギャァ!』
“ヌマクロー!”
『ヌマッ!』
アズサに指示を出した先生がミライドンを出すと、その背にヌマクローが乗り、ミライドンは全力で『大ジャンプ』をし、天井近くにまで到達した。
“ヌマクロー、【マッドショット】! ワカシャモ、【にどげり】! ジュプトル、【リーフブレード】!”
『マクゥー!!』
『うわぁっ!?』
〈アリウス〉部隊の顔面や頭が、上から発射されたヌマクローの泥で汚される。マスクを着けているから問題無いが、ほんの一瞬視界が塞がれる。
そしてソレを見過ごさずに、ワカシャモが2段蹴りで文字取り蹴散らし、ジュプトルが腕の葉に緑色のオーラを纏い、峰打ちで倒していくと、部隊は一箇所に集められた。
“ーーーーアズサ!”
「うん。ハクリュー、【たつまき】!!」
『クゥォォォォォォォォ!!』
『うわぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!』
『バクガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
頃合いを見て、ハクリューが狭いで竜巻を発生させ、その発生地点にいた〈アリウス〉部隊とバクガメスの部隊は、まるで洗濯機の中の衣服のように巻き込まれる。
先生達と『補習授業部』は、踏ん張っているミライドンやハクリュー、ガルーラにしがみついて難を逃れる。
そして、竜巻が収まると、〈アリウス〉部隊はボタボタと床に落下する。
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
一応、『シッテムの箱』で検知してみると、〈アリウス〉部隊もバクガメス部隊も目を回して気を失っていた。
そしてコチラ、イエッサン(♀)の【サイコキネシス】のバリアで被害を免れていたミカが納得したように声を上げる。
「成る程ねー、そっかそっかぁ。そりゃ皆『シャーレ』『シャーレ』って言う訳だ。厄介だね、『大人』って」
先生の指揮による戦力の向上、予想外の進化ポケモン達に〈アリウス〉部隊を撃退された。しかし、やはり『補習授業部』も、ポケモン達も、進化したハクリューと御三家も消耗して。
「予想外ではあったけど・・・・うん、まあ問題無いかな。ちょっと時間は掛かりそうだけど。『セイアちゃん』もナギちゃんもいなくなるんだし、これで漸く始められるって言うのに、変に邪魔しないで欲しいなあ」
「・・・・!」
「さて、増援部隊もまだまだ来るみたいだし続けよっか?」
〈アリウス〉の更なる増援も来るようで、まだ戦闘を続けるようである。
そして話の途中で『セイア』の名前が出ると、ハナコがピクッと反応する。
「ミカさん、1つ聞かせてください! セイアちゃんを襲撃したのも、あなたの指示だったんですか!?」
「・・・・?」
「あはっ、ハナコちゃんもそんな目をするんだね。まぁ、当たり前か。セイアちゃんがああなったから、ここにいるんだもんね」
ハナコはセイアの事を聞いて、慌ててミカに彼女の襲撃の真相を問いただし、その様子を見たミカは、一瞬目にハイライトが消えたように見えたが、すぐに苦笑しながら口を開いた。
「うん、“私の指示だよ”。セイアちゃんってば、いつも変な事ばっかり言って。『楽園』だのなんだの、難しい事ばっかり。でも『ヘイローを破壊しろ』とは言ってないよ。私は『人殺し』じゃない。ただ卒業するまで、檻の中に閉じ込めておいた方が良いなって思っただけ。でも、自然にああなっちゃったの」
「・・・・・・・・」
「それ以上は、当事者に聞いた方が早いんじゃないかな?・・・・ねぇ、白洲アズサ。何だか一部誤解があるみたいだし、私の代わりに説明してくれない?セイアちゃんがあんな事になっちゃったのが、ここまで事態が大きくなった『きっかけ』なんだよ? そこからもう色んな事がどうしようもなくなっちゃったわけだし・・・ねえ、その辺りどう思う?」
「! そ、ソレは・・・・」
そしてミカはセイアを襲った『刺客』を差し向けたのは自分だと打ち明け、その話を聞いてアズサは目を逸らすが、ミカがその『刺客』が彼女である事も話してしまい、アズサは後ずさってしまった。
「アズサちゃん・・・・? ソレは一体、何のお話、ですか・・・・?」
「ち、違う・・・・あれは・・・・」
セイアが襲われた話を聞いて、ヒフミはアズサに『真相』を尋ね、アズサは弁明をしようとしたその時、
ーーーードカァァァァァァァァン!
どこからともなく爆発する音が聞こえてきた。
「んー?」
「〈トリニティ〉の生徒が一部、こちらへ向かってきています!」
爆発音に首を傾げるミカに、外にいた〈アリウス〉の兵が慌てて報告した。
〈トリニティ〉の生徒が襲撃してきたと。
「・・・・? 何で? 『ティーパーティー』の戒厳令に背くような人達は、もう・・・・」
「・・・・いますよ。『ティーパーティー』にも命令できない、独立的な集団が」
報告を聞いたミカは、流石にあり得ないと言った様子で眉根を寄せた。そして、ハナコはしてやったりと言わんばかりにミカの疑問に答えるのであった。
「確認できました、『大聖堂』からです! と言う事は・・・・『シスターフッド』!?」
襲撃してしたのは〈トリニティ〉の独立集団『シスターフッド』。以前あったマリーが所属する部隊だ。
「シスターフッド・・・・!? っ、浦和ハナコ・・・・!」
ミカは驚いた後にハナコの方を睨みつけた。
「・・・・まぁ、ちょっとした『約束』をしましたので」
「『約束』・・・・?」
「アナタは知らなくて良い事ですよ、ミカさん。ソレよりも、早く逃げた方が良いですよ。今の『シスターフッド』は、神出鬼没ですから」
ハナコがそう言うのと同時に、体育館入り口に・・・・黄金のリングが現れ、ソレが大型ポケモン位の大きさになると、中央は真っ暗闇で、その中から、修道服の女の子達が銃を構え、『ゴーストタイプ』のポケモン達を率いていた。
「今日も平和と安寧が、皆さんと共にありますように」
「す、すみません、お邪魔します・・・・」
『ヨノワ』
「『シスターフッド』、これまでの慣習に反する事ではありますが・・・・『ティーパーティー』の内紛に、介入させていただきます」
『ゲンガー!』
リングの中から、マリーとコレクレー、そしてフーパが出てくると、更に初めて見る女の子達が修道服を来てやって来た。
身体にピッタリと張り付くような修道服越しに、ハナコと同じ豊満な胸と豊麗なプロポーションをし、修道服の下半身は凄く短く、両端がハスミのような深いスリットになり白く肉付きの良い脚が丸見えで、長い黒髪に赤い目をした女の子『若葉ヒナタ』。
大きく太い腕をし、腹部に巨大な口のような空洞となり、動く度に開き、頭部にある黄色いものはアンテナのようになっており、顔にはモノアイの瞳がある幽霊『てづかみポケモン・ヨノワール』。
そして最後に現れたのは、ウィンプルと金のエングレーブをあしらった白のフリルが付いたショートスカートのワンピースな修道服に、少し透けたサイハイソックスと黒のブーツを履いている『シスターフッド』のリーダー『歌住サクラコ』である。
そしてその影からは、紫色のずんぐりとした可愛らしい体型に、手足が生え、その胴体の半分を締める大きく鋭い目と大きく口角を上げた口をし、頭には2本の尖った耳、背中には小さなトゲのようなものが幾つも生えた『シャドーポケモン・ゲンガー』であった。
「『ティーパーティー』の美園ミカさん。他のティーパーティーメンバーへの『障害教唆』及び『殺害未遂』で、アナタの身柄を拘束します」
『ゲンガー!』
サクラコとゲンガーは、ミカに向けてそう言ってきた。
さぁ、サクラコはメガシンカ枠とキョダイマックス枠のゲンガーで、ヒナタはヨノワールにしました。