ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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真の主人公、阿慈谷ヒフミの一世一代の大舞台!


友情と絆の証明 私達のーーーーー

ーアズサsideー

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

カイリューと共に『アリウススクワッド』と『ユスティナ聖徒会』と戦いを繰り広げていたアズサは、コレまでの負傷と疲労で限界ギリギリの状態であった。

 

『カォォォォ!!』

 

そんなアズサを庇う様に、カイリューが奮戦していた。先ずは【ぼうふう】で相手の出鼻を挫いた。

 

『ブーバーンンッ!!』

 

するとミサキのブーバーンが飛び出して【ほのおのパンチ】を繰り出すと、カイリューはその拳を掴み、一本背負いで倒す。

 

『ガァラー!!』

 

ヒヨリのアローラガラガラが小柄な体躯を活かして後ろから【ホネこんぼう】で攻撃する。

 

『カォッ!』

 

『ガラァ!?』

 

が、カイリューは【アクアテール】でアローラガラガラを叩きのめした。

 

『ルガァァァァ!!』

 

ヘルガー(色違い)は牙を剥き出しにしてカイリューに襲い掛かる。

 

『カォォォォ!』

 

『(グワシッーーーーグシャァ)ガハァッ!?』

 

しかし、カイリューはその首を掴んで、地面に【たたきつける】でアスファルトに叩きつけた、

 

『『『ーーーーーーーー』』』

 

次にオーベムとアンノーンとシンボラーが一斉攻撃をするが、カイリューは飛行して回避すると、シンボラーの1体を捕まえ、【なげつける】でシンボラーを投げ飛ばし、他のポケモンや『ユスティナ聖徒会』を薙ぎ払ってみせた。

 

「くっ・・・・」

 

『カォッ!』

 

カイリューは疲弊しているアズサの傍に降り立ち、倒れそうになっているアズサの身体を支えた。

 

「・・・・何故だ、アズサ。何故ソコまで足掻く。ソコに何の意味がある? 何を証明しようとしている?」

 

疲弊し切ったアズサを見て少し冷静になれたサオリが、アズサを見下ろして口にする。

 

「思い出せ、全てはーーーー」

 

「・・・・例え虚しくても、足掻くと決めた」

 

が、その『呪いの言葉』を言う前に、アズサは遮るように、真っ直ぐとした強い光が宿る瞳で言った。

 

「ソコに、何の『意味』がある!!!」

 

ーーーーダダダダンっ!!

 

しかし、ソレがサオリの激情を更に刺激してしまい、アサルトライフルが火を吹いた。

 

『カォォォォ!!』

 

が、カイリューが【アクアテール】で弾丸を全て弾き飛ばした。

 

「ちぃっ! 邪魔なやつめ! ヘルガー! いつまで寝ている!? 早くヤツを始末しろ!!」

 

『〜〜〜〜!! ルガァァァァァァァァ!!』

 

アスファルトに叩きつけられたヘルガー(色違い)が起き上がり、カイリューに向けて【かえんほうしゃ】を放つ。

 

『カーーーーォォォォオオオオオオオオ!!』

 

アズサから離れたカイリューが【たつまき】を放ち、逆に炎を巻き込んでヘルガー(色違い)に返した。

 

『っ! ヘルッッ!!』

 

全身が焼かれたヘルガー(色違い)が、地面に転がる。

 

「・・・・ちっ、役立たずが」

 

『!・・・・』

 

倒れたヘルガー(色違い)を尻目に、サオリの呟きが聞こえ、ヘルガー(色違い)は目を見開いて顔を俯かせた。

 

「・・・・ぐっ・・・・!!」

 

しかし、カイリューが離れた事で支えを失ったアズサが、倒れそうによろけた・・・・その時。

 

ーーーーはしっ。

 

誰かがアズサを後ろから抱き止めたのを感じ、アズサが振り向き、ハクリューも目を向けるとソコにはーーーー。

 

「・・・・!?」

 

『カォ♪』

 

「・・・・・・・・」

 

「ヒフ、ミ・・・・?」

 

アズサは目を見開くが、ハクリューは顔を喜色に染める。何故ならソコにいたのはーーーー阿慈谷ヒフミであったからだ。

 

「増員、ですね・・・・数は8、いえ、後ろにソレ以上・・・・」

 

「アレは・・・・」

 

アローラガラガラの治療を終えたヒヨリが、ヒフミ『達』の更なる後方に、敵対勢力を思しき人員を発見し、ブーバーンとヘルガー(色違い)の治療を終えたミサキも目を向けた。

しかし、サオリの視線は、アズサの周りに集まってきた者達に向けられていた。

 

「「・・・・・・・・」」

 

ヒフミだけでなく、ハナコとコハル、ガルーラとジュペッタとヘラクロス、そして、負傷した筈の『シャーレの先生』とピカチュウ、ミライドンが駆け付けた。

 

「先、生・・・・?」

 

“アズサ”

 

『アギャァ♪』

 

ーーーーペロンっ♪

 

「うぅっ!?」

 

ミライドンがアズサに挨拶代わりの一舐めをした。

 

「・・・・何だ、お前は?」

 

「ーーーー普通の、〈トリニティ〉の生徒です」

 

「ヒフミ、ダメだ・・・・どうしてこんな所に・・・・ここはヒフミみたいな、『普通の人』が来るべき所じゃ・・・・」

 

睨みつけるサオリに、ヒフミは応えるが、アズサはそんな事どうでも良かった。

サヨナラしたのに、巻き込まない様にしたのに、何故こんな危険な場所にヒフミが来てしまったのか、アズサは来てはダメと言う。

 

「・・・・・・・・」

 

しかし、ヒフミはアズサの問い掛けに一拍置いてから口を開く。

 

「・・・・はい。確かに私は『普通で平凡』です。先日見せてくれたガスマスクの姿が、本当のアズサちゃんなのだと。その事も理解しました」

 

他人行儀のような態度で淡々と言葉を並べるヒフミ。

 

「そんなアズサちゃんは本当なら、私なんかには手の届かない世界に生きてるのだと・・・・そう言いたいのも分かりました」

 

「ヒフミ・・・・?」

 

「ーーーーでも!!!」

 

そんなヒフミを訝しそうに見るアズサに、ヒフミは大声を張り上げた。

 

「アズサちゃんは1つ、大きな間違いをしています!!!」

 

「・・・・!?」

 

「今ここで、私の『本当の姿』をお見せします!!!」

 

「「???」」

 

『???』

 

ヒフミの言葉にアズサだけでなく、ハナコとコハル、ガルーラを除いたポケモン達も首を傾げる。

 

「私の『正体』、ソレは・・・・」

 

そしてヒフミは『ペロロ様リュック』の中から『5』と記された紙袋を顔に被り、ガルーラは子ガルーラがお腹の袋からマスクを取り出し顔に巻いた。

 

 

 

「ーーーー『覆面水着団』のリーダー、『ファウスト』です!!」

 

『ガァラァー!!』

 

「カラァー!!」

 

 

 

〈アビドス〉で(不本意で)任命された、『ファウスト』の姿を、『補習授業部』や『アリウススクワッド』の面々の前で晒してみせた。

 

「・・・・え?」

 

「『覆面水着団』・・・・!? まさかあの・・・・!?」

 

「!?・・・・!?」

 

呆気に取られるアズサ。思い当たりがあったのか目を見開くハナコ。混乱するコハルを余所に、ヒフミ・・・・『ファウスト』は自分の姿を見せる。

 

「見てください、この恐ろしさ! アズサちゃんと並んだって、全然見劣りしない位不気味でしょう! コッチの方が恐ろしくて怖いと言う人だっている筈です!」

 

「・・・・・・・・」

 

「・・・・!?」

 

「・・・・・・・・」

 

彼女の行動に、『アリウススクワッド』ですら唖然となってしまっていた。

 

「ヒフミ、一体何をーーーー」

 

「ーーーーだからっ!!」

 

「・・・・・・・・」

 

アズサの問い掛けを遮るように、ファウストは声を張り上げ、思わず言葉を詰まらせる。

 

「だから私達は、違う世界にいるなんて事はありません!」

 

「・・・・・・・・」

 

「同じです! 誰にだって要られます! だから世界が違うだなんて、一緒にいられないだなんて・・・・そんな事を言わないで下さい! 拒絶されても、すぐ近くに行ってみせます! 私は・・・・!」

 

ファウストはアズサに1歩近づく。

 

「・・・・私は、アズサちゃんの傍にいます! こうやって、すぐ触れられる処に・・・・!」

 

「ヒフミ・・・・」

 

しかし、アズサは自分に触れようとするファウストに向けて首を横に振る。

 

「でも、私の為にそんな『嘘』を言ってくれた処で・・・・」

 

と、その時・・・・。

 

 

 

「ーーーー誰が嘘だって!?」

 

 

 

 

ーファウスト(ヒフミ)sideー

 

その場に声が響くと、ファウストの周りに色とりどりの覆面を被った集団が集まった。

 

「ーーーーいや〜、何だか大事な所みたいだね?」

 

『ーーーーヤドキン』

 

『ピジョット』

 

『ルドン』

 

「あの覆面、まさか・・・・!?」

 

ピンク色の大きなアホ毛が飛び出た『1』の数字が付いたピンクの覆面を被り、その目出しから黄色と青のオッドアイをした小柄な女の子と、目出し鉢巻型のマスクを結わえたヤドキングとピジョットと、ドンファンに似たポケモンがいた。

 

「あの覆面、まさか・・・・!?」

 

『ジュペ・・・・』

 

「!?」

 

『クオッ!?』

 

「っ!?」

 

『ヘラ・・・・』

 

その集団を見て、ハナコは確信を持ち、ジュペッタはジッパーの口を唖然と開け、アズサとカイリューとヘラクロスも目を見開き、コハルは混乱し更に猫目&赤面した。

 

「目には目を、歯には歯を。無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く・・・・」

 

『ヤドキング』

 

『ピジョット』

 

「ん、ソレが私達のモットー」

 

『ルガル』

 

『アギャォ』

 

『ドン』

 

「普段はアイドルとして活動してますが、夜になると悪人を倒す副業をしてるグループなんです♧」

 

『ドサイドン☆』

 

『カメ♪』

 

「別にソレ私達のモットーじゃないから!? 後変な設定付けないで!」

 

『ウォー?』

 

『ヤミ?』

 

『バナ?』

 

「何でアンタ達はサイリウム持ってんのよ!?」

 

《『覆面水着団』のリーダーであるファウストさんのご命令で、集合しました!》

 

《フラーイ!》

 

《ウィー!》

 

ピンクの覆面を着けた女の子が台詞を言い、ヤドキングとピジョットとドンファン(?)が頷き、青い『2』の覆面を着けた犬耳を着けた女の子が合いの手を打ち、マスクを被ったルガルガン(色違い)と、同じくマスクを付けたリザードンと、赤くモトトカゲに似たポケモンが頷き、『3』と付けられた緑色の覆面を被った胸の大きな女の子が笑顔で言うと、マスクを巻いたドサイドンとカメックスが両手にサイリウムを持ち、『4』と付けた猫耳らしい赤い覆面を被った女の子がツッコミ、サイリウムを持ったマスクを付けたウォーグルとヤミラミ(色違い)とフシギバナにもツッコミを入れると、ドローンからの映像で『0』と付けられた黄色い覆面を被った赤い大きな眼鏡を付けた女の子とマスクを巻いたフライゴンとサングラスを掛けた機械のドンファンのようなポケモンも声を上げると、全員でポーズを取った。

 

ーーーードドドドドドン!!

 

「・・・・!?」

 

「え、えっ!?」

 

「じ、実在したんですね・・・・?」

 

『・・・・・・・・』

 

更に『覆面水着団』の後ろでそれぞれの色の爆発が起きると、アズサとハナコは驚き、コハルはもう何が何やら分からないと言う感じであり、カイリュー達は完全に愕然となっている。

 

「アイツらは・・・・」

 

「・・・・分からない。詳細なデータは無し」

 

「ふ、『覆面水着団』・・・・噂に過ぎないと思っていましたが、本当にいたんですねぇ・・・・」

 

『アリウススクワッド』も突然の闖入者に目を鋭くするが、ヒヨリだけは知っているようであった。

 

「・・・・リーダー、アイツらヘラヘラしてるけど注意した方が良さそう。少なくとも舐めて掛かると痛い目に遭う」

 

「・・・・・・・・」

 

ミサキは『覆面水着団』とそのポケモン達の佇まいからただ者ではないと見抜くが、サオリは目を更に険しくして睨みつける。

しかし、その視線に気付いた『覆面水着団』が『アリウススクワッド』に目を向ける。

 

「なーにウチのリーダーを泣かせようとしてるのかな〜? ねぇ、ソコの君達? 何処の誰なのか知らないけど、知らないよ? ウチのファウストさんは怒ると怖いんだから」

 

「何せファウストちゃんは最終的に、『カイザーコーポレーションの幹部』や、『未来のバンギラス』を倒しちゃったようなものなんですよ♧」

 

「・・・・・・・・」

 

「『ブラックマーケット』の銀行だって襲える。朝飯前みたいに」

 

「ソレにこの間なんて、『カイザーPMC』を砲撃で吹っ飛ばしたんだからね!」

 

「そうだよ、恐ろしいんだよ〜? 『生きて動く災い』と言っても過言じゃないし、暗黒街を支配するボスみたいなものなんだから」

 

「! うん。ソレがファウスト」

 

『覆面水着団』が悪ノリを始め、ファウストの恐ろしい武勇伝を語り出した。7割程嘘ではないので否定しづらそうにしているファウスト。

 

『ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!! ファウスト!!』

 

『ーーーーーーーー!!』

 

『覆面水着団』がファウストの名を連呼し、ポケモン達も声を上げたり、サイリウムを振ったり、キラキラの紙吹雪を振り撒いたりした。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

『〜〜〜〜〜〜〜〜!!!』

 

『カルカルカルカル♪』

 

ファウストはその声援に居た堪れなくなり、背を向けた母ガルーラは必死に笑いを堪える様に全身を震わせ、子ガルーラはお腹を抱えて爆笑していた。

そしてーーーー。

 

「・・・・・・・・////////」

 

ファウストは紙袋を脱いでヒフミに戻ると、その目はグルグルで顔は羞恥で真っ赤になっていた。

 

「ああっ、ファウストちゃんが紙袋を取ってしまいました!?」

 

『ドサ!?』

 

『ガメ!?』

 

「あ〜、流石に恥ずかしかったのかなー・・・・?」

 

『ーーーーヤドキン』

 

『ーーーーピジョット』

 

覆面を脱いだピンク、いや、『アビドス高等学校』の小鳥遊ホシノは苦笑し、手持ちポケモンのヤドキングとピジョットと『パラドックスポケモン』のイダイナキバことキバの助もマスクを脱ぎ、覆面を脱いで素顔を晒したノノミとドサイドン、先生から預かったカメックスもマスクを脱いだ。

 

「せ、折角乗っかってあげたのに!////////」

 

『ウォー』

 

『ヤミラミ』

 

『バナバナ』

 

覆面を脱いだ黒見セリカは、ほぼヤケクソでやっていたのかヒフミと同じ位顔を真っ赤にし、手持ちポケモンのウォーグルとヤミラミ(色違い)と、先生から預かったフシギバナも苦笑した。

 

「私達は恥ずかしくないけど」

 

『ルガル』

 

『アギャォ』

 

『ドォン』

 

「シロコ先輩達も、堂々してないで早く取って!」

 

「ん・・・・」

 

『ガルゥ・・・・』

 

『アギォ・・・・』

 

セリカに怒られ、覆面を脱ぐ砂狼シロコと手持ちポケモンのルガルガン・たそがれのすがた(色違い)と先生のミライドンと対となるコライドン、そしてコレまた先生から預かったリザードン。

 

《ま、まあ兎に角、改めて・・・・》

 

映像通信で奥空アヤネも手持ちポケモンのフライゴンと『パラドックスポケモン』のテツノワダチことアイファンも覆面とマスクとサングラスを脱いで苦笑する。

 

《対策委員会、今度はヒフミさんの事を助けに来ました!!》

 

そう。彼女達は『アビドス対策委員会』。

何度か助けになってくれたヒフミの為に、駆けつけてくれたのだ。

 

「ありがとうございます、対策委員会の皆さん・・・・」

 

 

 

 

 

 

ー〈トリニティ〉sideー

 

そして、ここは『通功の古聖堂』から数キロ離れた〈トリニティ〉側。

『シスターフッド』からは退院してきたヒナタと回復したヨノワール、マリーとコレクレーとフーパの元に、ツルギとハスミが率いる『正義実現委員会』が合流した。

 

「ひひひひひひひひ・・・・」

 

『ブギィー・・・・!』

 

『チャー・・・・』

 

「『正義実現委員会』、助けに参りました」

 

『クワッ!』

 

『イトイト』

 

「い、委員長、怪我は・・・・?」

 

「完治した」

 

『ブギっ!』

 

『チャ〜』

 

「さ、流石です!」

 

つい数時間前に負傷して入院していた筈のツルギ達の完全復活に、委員は尊敬の視線を向けた。

 

「私はツルギ程丈夫ではないので、まだですが・・・・とは言えない少しは役立つ筈です。力になると、約束しましたから」

 

ハスミはツルギと共に、『ブレスレット』を手首に付け、『石の付いたイヤリング』をチャーレムとタイレーツに取り付けた。

 

 

 

 

 

 

 

ー〈ゲヘナ〉sideー

 

そして『ゲヘナ風紀委員会』も隊列を組んで、『通功の古聖堂』へと、目をギラつかせて進軍していた。

 

「この間はよくも・・・・! 無事に帰れると思うなよ!」

 

『ルガァ!』

 

イオリとヘルガーが尻尾で地面を叩きながら進軍する。

 

「・・・・委員長は?」

 

《・・・・・・・・》

 

チナツがドローンからの映像通信で現れたアコに、委員長であるヒナの事を聞くが、アコを顔を俯かせていた。

と、その時ーーーー。

 

ーーーーシュタッ。

 

ーーーードシィィン!

 

「・・・・・・・・」

 

アブソルに乗ったヒナと、ドンカラス達に空中ブランコで来たゴロンダが、風紀委員会の前に現れた。

 

《委員長・・・・!》

 

「・・・・待たせてごめん、アコ。皆も無事で良かった」

 

《いえ・・・・はいっ!!》

 

《ソーナンス!!》

 

《ニャスっ!!》

 

ヒナの登場でアコは元気を取り戻し、ソーナンスとマニューラをアコに見切れるように現れて、ヒナに向かって敬礼をした。

 

「準備はできてるわね。先生の指示を待とう」

 

ヒナの指示を受け、『ゲヘナ風紀委員会』は隊列を組んだ。

 

 

 

 

ーヒフミsideー

 

雨が降るその区画から『アリウススクワッド』、既に自分達が『正義実現委員会』と『ゲヘナ風紀委員会』に包囲されている事に気付いた。

 

「包囲、せれてしまいましたねぇ・・・・」

 

「コレはちょっと厳しいんじゃない、リーダー?」

 

「知った事か。無限に増殖する『ユスティナ聖徒会』の前では等しく無意味」

 

ヒヨリとミサキは状況が変わり始めている事に気付き始めているが、サオリはどうでも良いと言わんばかり返した。

 

「・・・・寧ろ好都合だ。アズサだけではなく、この場の全員に知らせてやれ。この世界の真実を・・・・殺意と憎しみに満ちたこの世界で、あらゆる努力は無駄なのだと。ーーーー足掻こうと何の意味もない、全ては無駄だと言う事を!!」

 

「・・・・・・・・」

 

サオリは激しい憎悪に燃える瞳で声を荒げた。そのサオリの様子に、何故かハナコは複雑な視線を向けていた。

 

「・・・・・・・・」

 

“・・・・・・・・(コクリ)”

 

『『(グッ!)』』

 

しかし、そんなサオリの剣幕に怯まず、ヒフミが先生の方に目を向けると、先生は静かに頷き、ガルーラ母子は拳を突き出して「決めちまえ!」と言いたげだった。

 

「ヒフミ・・・・」

 

「アズサちゃん、私は今スゴク怒ってます。スッゴクです」

 

「・・・・・・・・」

 

一方的に別れを告げられた事を怒っているヒフミに、アズサはバツが悪そうに目を逸らした。

 

「ですが・・・・ソレ以上に、無事で良かったです。スッゴク怒ってましたが、良く考えて見ればソレはアズサちゃんのせいではありません。ですから、私はもう怒っていません」

 

「ヒフミ・・・・」

 

「・・・・ですが、あの方々についてはまだ怒っています」

 

ヒフミは『アリウススクワッド』を指差して断言した。

 

「殺意ですとか、憎しみですとか・・・・ソレが、この世界の『真実』ですとか・・・・ソレを強要して、全ては虚しいものだと言い続けていましたが・・・・」

 

と、ヒフミは一拍置き、大きく息を吸って・・・・。

 

 

 

「ーーーーソレでも、私は・・・・!」

 

 

 

 

声を張り上げ、言葉を紡ぐ。

 

「アズサちゃんが『人殺し』になるのは嫌です・・・・。そんな暗くて憂鬱なお話、私は嫌なんです。ソレが『真実』だって、この世界の『本質』だって言われても、私は好きじゃないんです!」

 

ヒフミの言葉に、『アリウススクワッド』だけでなく、『補習授業部』や『アビドス対策委員会』も目を向けている。

 

「私には、好きなものがあります! 『平凡』で、大した個性もない私ですが・・・・自分が好きなものについては、絶対に譲れません!」

 

雨が段々と、弱まっていく。

 

「友情で苦難を乗り越えーーーー。

努力がキチンと報われてーーーー。

辛い事は慰めて、お友達やポケモンと慰め合って・・・・!

苦しい事があっても・・・・誰もが最後は、笑顔になれるような!

そんなハッピーエンドが私は好きなんです!!」

 

そして昇る太陽を背に、ヒフミは声を発する。

 

「誰が何と言おうとも、何度だって言い続けてみせます! 私達が描くお話は、私達が決めるんです!」

 

朝日がヒフミを照らし、雨が止んでいく。

 

「終わりになんてさせません、まだまだ続けていくんです! 私達の物語・・・・」

 

ヒフミが天を指差して宣言する。

 

 

 

 

 

「ーーーー私達の、青春の物語‹Blue Archive›を!!」

 

 

 

 

 

 

ヒフミが宣言した瞬間、雨が止み、太陽が昇り、雨雲が消えて行き、空は透き通るような青空が広がっていた。

 

「あ、雨雲が・・・・」

 

『ガラ・・・・』

 

「気象の操作・・・・?、イヤ、コレは・・・・」

 

『ブーバーン・・・・』

 

「き、『奇跡』、ですか・・・・?」

 

「っ、『奇跡』なんて無い! 何コレ・・・・!」

 

『奇跡』としか言いようの無い事が目の当たりにして、ヒヨリとミサキは動揺し、アローラガラガラとブーバーンはヒフミの姿に魅入ってしまっていた。

 

「まさか、『戒律』が・・・・?」

 

“ーーーーここに宣言する”

 

嫌な予感がしたミサキの耳に、先生の声がその場にいる全員に聞こえるように響く。

 

“ーーーー私達が、新しい『エデン条約機構‹ETO›』”

 

「なっ・・・・!?」

 

先生はこの場いる全員が、新しい『エデン条約機構』であると宣言し、サオリは目を見開いた。

 

 

 

 

 

ーセイアsideー

 

「!? まさか・・・・コレは『エデン条約』・・・・先生、君は・・・・」

 

『夢の世界』でこの状況を見ていたセイアも驚く。

 

「元々は、『連邦生徒会長』が作る筈だった『条約』・・・・そしてその『連邦生徒会長』が設立した、超法規的機関『シャーレ』・・・・まさか、その『シャーレ』が『連邦生徒会長』を代行すると? いや、そう解釈できるように捻じ曲げた・・・・? 〈アリウス〉と同じ・・・・」

 

〈アリウス〉も元は〈トリニティ〉である事を利用して解釈を捻じ曲げた。ソレと同じ事を『シャーレ』の先生も『条約』の解釈を曲げてみせた。

 

「『条約』の主体である〈ゲヘナ〉、『ティーパーティー』、『正義実現委員会』、そして『風紀委員会』達が集まって・・・・かつて古聖堂があった廃墟で・・・・『条約』の発起人である『連邦生徒会長』の代わりに、先生が・・・・『楽園』の名を冠する約束を、再現した・・・・?」

 

完全に自分の予想外の行動に、セイアは自分でも驚く程、恐らくコレまでの人生で1番驚いていると言っても良い状態であった。

 

「・・・・『契約』を曲解し、歪曲し、望み通りの『結果』を捏造する・・・・・・・・『大人』のやり方には、『大人』のやり方で、か・・・・」

 

 

 

 

 

ーサオリsideー

 

そして今ここでは、誰よりも動揺し、冷静さを完全に失っている少女がいた。

 

「・・・・リーダー、『ユスティナ』の統制がおかしくなってる」

 

「!!」

 

ーーーーーーーー!!

 

ミサキの報告を聞いたサオリは、周りにいる『ユスティナ聖徒会』とシンボラー、オーベム、アンノーンの『ミネシス』達がサオリ達の指示を無視して右往左往しているのが分かった。

 

「こ、混乱してますね・・・・『エデン条約機構‹ETO›』を助けると言うのが『戒律』、しかし今はETOが2つあって・・・・」

 

「〜〜〜〜っ、知った事かぁ!!!!」

 

ミサキとヒヨリは冷静に自分達が不利だと判断しているがサオリはこの『事実』と『状況』を認めたくないと言わんばかりにアサルトライフルを『補習授業部』と先生に向ける。

 

「『ハッピーエンド』だと!? ふざけるな! そんな言葉で、『世界』が変わるとでも!? ソレだけでこの『憎しみ』が、不信の世界が変わるとでも言うつもりか!? 何を夢の様な話を・・・・!」

 

『ヘルガ・・・・』

 

サオリは自分の中の『憎しみ』を吐き出す様に声を荒げ、ヘルガー(色違い)が声をかけるが、最早サオリの耳には届いていなかった。

そんなサオリに、先生は堂々と真っ直ぐに向き合いながら声を発する。

 

“生徒達の『夢』を・・・・その実現を助けるのは、『大人』の義務だから”

 

「・・・・っ!」

 

“私は生徒達が願う『夢』を信じて、ソレを支える。生徒達自身が心から願う『夢』を”

 

生徒達が『心から望む夢』を信じて、ソレがなるべく叶えられるように支えるのが、『大人』としての自分の義務だと告げた。

 

「認めない・・・・! そんなの認めてたまるかぁ!! ヘルガー!!!」

 

『ヘル・・・・』

 

「奴らを潰せ! いや、焼き尽くせ! 『虚しい夢』を喚くアイツらを!!」

 

『・・・・・・・・』

 

サオリの指示に、ヘルガーは難色を示す顔をした。ヘルガーですら、今や戦況は向こう側に完全に傾いていると感じているのだろう。

 

「!! 指示に従え!!」

 

ーーーーバキッ!!

 

『ギャンっ!!』

 

唯でさえ苛立っているサオリは、ヘルガー(色違い)をアサルトライフルの銃床で殴りつけ、ヘルガー(色違い)は口の中を切ったのか血を垂らした。

 

「! サオリ、なんて事を・・・・!!」

 

「言った筈だ。ポケモン等、『目的』を達成させる為の『道具』に過ぎない「ふざけるなぁ!!!」っ!!」

 

あくまでポケモンを、自分のパートナーであるヘルガー(色違い)でさえも『道具』と言うサオリの言葉を遮る様に、カイリューが隣に立ったアズサが怒声を張り上げた。

 

「『道具』だと・・・・! 確かに私も、少し前までそう思っていた時もあった。だが、〈トリニティ〉に転校して、『補習授業部』に入り、先生からタマゴを譲ってもらい、そのタマゴからミニリュウが生まれた時、私は今まで感じた事の無かった暖かな気持ちになった。ミニリュウや『補習授業部』の皆と過ごした日々は、私にとってコレまでの『虚しい』と思えるような日々を宝石よりも輝かせるものにしてくれた! ミニリュウはハクリューに進化し、私を探して泥まみれになって、傷だらけになって、私が来るなと言っても私と共にいる事を心から望んでくれた! ポケモンは、カイリューは『道具』ではない! 私の掛け替えのない『絆』をもった、『相棒‹パートナー›』だ!!!」

 

『カォォォォォォォォっ!』

 

アズサの言葉に、カイリューは喜びの雄叫びを上げた。

 

「そんなもの、『絆』なんてあるかないか分からない『虚しいもの』なんか・・・・!」

 

「・・・・サオリ。もう1度だけ聞く。いつからだ? いつからお前は、そんな『憎しみ』に囚われた? 少なくとも、私に戦い方を教えていた時のお前は、ヘルガーを大事にしていた気がする。ーーーーいつから、ヘルガーを『道具』として扱うようになったんだ?」

 

「!!・・・・・・・・まれ・・・・黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇぇぇぇっ!!!」

 

アズサの言葉を聞きたくないと言わんばかりに、サオリが怒号を上げると、懐から『R』が入った試験管と、怪しい光を放つモンスターボール型のアイテムを出した。

 

「! リーダー! ソレはまだ『実験段階』だと『マダム』が言っていたでしょう!?」

 

「つ、使ったら、ヘルガーにどんな副作用があるか・・・・!」

 

「煩い! あの目を! アズサのあの目を潰せるならばぁ!!」

 

サオリは引き止める仲間達の声を無視して、ボール型のアイテムをヨロヨロと起き上がったヘルガー(色違い)に向けて投げ、ボールが開くと赤紫色のエネルギーが放出され、ヘルガー(色違い)の身体を包み込み、球体の形へと成った。

 

「!? サオリ! 一体ソレは・・・・!?」

 

「全てを焼き尽くせーーーーメガヘルガー!!」

 

球体が弾けるとソコに現れたのは、2本の角は大きく上に伸び、骨を模した装飾は大きく尖った形になり禍々しく。肩からマンモスの牙の様に迫り出した2本の角をした地獄の猟犬のような出で立ちのーーーー『ダークポケモン・メガヘルガー(色違い)』であった。

 

「! メガシンカ!?」

 

「えっ!? どう言う事!? メガシンカって、『アイテム』や『信頼関係』が無いとできないんじゃないの!?」

 

「ええ。ですが、『キーストーン』も『メガストーン』も使っているようには見えませんでしたが・・・・先程、あの人が使ったあの奇妙な『アイテム』。アレを使って、『メガシンカ』をさせたようですね・・・・!」

 

アズサとコハルが目を見開くと、ハナコが冷静に分析してみせた。

しかし、サオリはソレで終わらなかった。

 

「まだだ! まだ他にもある!ーーーー『アンブロジウス』!!」

 

ーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!

 

サオリが叫ぶと、『アリウススクワッド』の後ろから、顔にヘイローのような輪っかをつけ、漆黒の司祭服のような服装でフードを被り、背部には豪奢な装飾がされ、五指の爪が長く鋭く伸びている異形であった。

 

「な、何なんですかアレ!?」

 

「『アンブロジウス』! メガヘルガー! 奴等を踏み潰し、焼き尽くせぇぇぇぇっ!!!」

 

驚くヒフミを余所に、サオリはなんと、『R』の入った試験管をメガヘルガー(色違い)の眼前で叩き割り、『R』をメガヘルガー(色違い)に吸わせた。

 

『ーーーーーーーー!!』

 

『っ!? 〜〜〜〜!!・・・・ルガァアアアアアアァァァァァァァ!!』

 

サオリの言葉に『アンブロジウス』は声にならない雄叫びを、メガヘルガー(色違い)は、全身から焔を燃やして構え、周りの『ユスティナ聖徒会』とポケモン達の『ミネシス』も行動を開始する。

近くにいるミサキとヒヨリも、弱冠躊躇しながらも、ブーバーンとアローラガラガラを出し、アンノーンとシンボラーとオーベムの『ミネシス』が、1匹ずつ現れた。

 

「先生。指示を」

 

“(コクン)ーーーー『補習授業部』は『アリウススクワッド』を。『対策委員会』の皆は周りの『ミネシス』の撃破。・・・・リザードン。カメックス。フシギバナ”

 

『リザ?』

 

『ガメ?』

 

『バナ?』

 

指示を出した後、先生は『アビドス対策委員会』に預けていたリザードン達御三家に目を向けて掌を差し出した。

 

“ーーーー久しぶりに、一緒にやるかい?”

 

『『『(パァァァァ〜! コクン!)』』』

 

リザードンとカメックスとフシギバナが顔を喜色に染めて先生の元に集まり、先生の掌に手と手とツルを乗せた。

先生はルカリオとイーブイ(色違い)とワカシャモとヌマクローとジュプトルを出した。

 

ーーーーポンッ×5

 

『『『『『っっ!!!』』』』』

 

ボールから出た5匹は、先生は撃ったサオリに対し今にも飛び掛かり八つ裂きにしたいと言わんばかりに『敵意』と『害意』と・・・・『殺意』をサオリに向ける。

 

“ルカリオ。イーブイ。ワカシャモ。ヌマクロー。ジュプトル”

 

『『『『『・・・・・・・・』』』』』

 

が、先生の鶴の一声でソレらを抑えるが、まだ視線はサオリに向けてられていた。

 

“ルカリオ達には、『アビドス対策委員会』の皆と一緒に、『ユスティナ生徒会』の相手をして欲しい”

 

『『『『『!?』』』』』

 

“サオリの相手をするべきのは、君達じゃない。・・・・アズサだ”

 

抗議しようとするルカリオ達に先生は、サオリの目線が完全にアズサに向かっているのを示し、アズサもその視線を真っ向から受けて立っている。

 

『『『『『・・・・・・・・』』』』』

 

“あの『アンブロジウス』は、私達が相手をする。でも、サオリが近くにいたんじゃ、ルカリオ達は集中し切れないでしょう?”

 

先生の言葉にぐうの音が出ないルカリオ達。

 

“だからルカリオ達には、〈アビドス〉の皆と一緒に戦って欲しい”

 

『『『『『・・・・(コクン)』』』』』

 

「うへ〜、ソレじゃ私達は場違い感があるあの幽霊みたいなシスターさん達の相手をしようか」

 

「ヒフミちゃんも、ホシノ先輩を助けるのに力を貸してくれたもん!」

 

《はい。今度は私達の番ですね!》

 

「先生。リザードンさん達もバンギラス達やドラピオン達に組み手をしてもらって強くなりましたよ♧」

 

「ん。成長を見てあげて」

 

“うん。対策委員会の皆も気を付けてね”

 

先生がそう言うと、対策委員会はルカリオ達を連れて『ユスティナ聖徒会』の軍団へと向かった。

ソレを見届けた先生が、初代御三家に向けて手を差し出し、話し掛ける。

 

“ーーーー頼むよ”

 

『リザ』

 

『ガメ』

 

『バナフシェ』

 

先生の手にリザードンとカメックスが手を乗せ、フシギバナもツルを伸ばして先生の手の平に置いた。

 

「そ・・・・ソレで先生、コレって私達が『アリウススクワッド』と戦うって事ですよね?」

 

「仕方ありません。ここは頑張りましょう皆さん」

 

「で、でも・・・・私達のポケモンでどうにかなる?」

 

“・・・・皆、コレを”

 

不安そうな『補習授業部』に、先生はあるものを出した。

ソレはーーーー『メガストーン』と『キーストーン』であった。

 

「せ、先生!? こ、コレって・・・・!?」

 

“『エデン条約』が締結された後、皆にプレゼントしようと思ってたんだ。こんな形になってしまったけどね”

 

苦笑する先生から『メガストーン』と『キーストーン』を受け取った『補習授業部』は、『メガストーン』を各々のポケモンに持たせ、自分は『キーストーン』を手にした。

 

「皆さん、行きましょう! 私達の、青春の物語を続ける為に!!」

 

横並びになった『補習授業部』の前に、各々のパートナー達が横並びになって構えた。

そして、『補習授業部』が『キーストーン』を掲げ、声高く叫ぶ。

 

「「「「ーーーーメガシンカ!!」」」」

 

『補習授業部』の、決戦が始まった。




今回、『補習授業部』が手にした『メガストーン』は、〈アビドス〉のセリカのヤミラミ(色違い)が見つけて、先生にヒフミへのプレゼントとして渡していた物です。『キーストーン』は合宿の後に先生がリンから許可を得て、ミュウツーに運んできてもらいました。

さぁ次回はメガシンカ祭りです!
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