ポケモンアーカイブ   作:BREAKERZ

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さて今回の話でサオリは・・・・。


古聖堂地下の激戦 憎しみの果てに・・・・

ーヒナsideー

 

『ソルッ!!』

 

『ゴロッ!!』

 

『ガァッ!!』

 

メガアブソルが【つじぎり】で、ゴロンダが【バレットパンチ】で、ドンカラスが【アクロバット】で、『ミネシス』と『アリウス部隊』を蹴散らした。

 

「真ん中は開けた、『ゲヘナ風紀委員会‹私達›』は西の方を」

 

「了解!」

 

『ガル!』

 

ヒナが指示を出すと、イオリとヘルガーは了解を示し、風紀委員会は西の方面に向かって進行する。

とソコで・・・・。

 

「・・・・私達も手伝います」

 

『イトイト』

 

「ハスミさん・・・・! タイレーツ・・・・!」

 

『ブンネ!』

 

「チナツさん、タブンネさん、こうして肩を並べるのは先生と始めて会った時以来ですね」

 

〈トリニティ〉側の残りの敵を『シスターフッド』やイチカに『正義実現委員会』の指揮を任せたハスミとメガタイレーツがやって来て、チナツとタブンネ(色違い)が声を上げる。〈ゲヘナ学園〉に対して(マコトのせいで)攻撃的になってしまったハスミだが、チナツやヒナに対しては好意的に接しているようだ。

 

「いひひひひっ・・・・」

 

『ブヒ〜・・・・』

 

「チャ〜・・・・」

 

「い”っ、正義実現委員長達まで・・・・」

 

『ガル・・・・』

 

更にツルギやコノヨザルとメガチャーレムも現れ、イオリとヘルガーは頬に汗を垂らした。

 

「・・・・分かった、宜しく」

 

「ーーーーやあやあ、風紀委員長ちゃん。私達も手伝うよ〜」

 

「アビドスの副会長・・・・!」

 

と、ソコで『通功の古聖堂跡』から『ミネシス』と『アリウス部隊』を倒してきた『アビドス対策委員会』も合流した。

 

「おっとっとー、寂しいなあ。『ホシノ』だよ。この間も会った事だし、覚えてくれるとおじさんは嬉しい!」

 

「そう言うホシノ先輩だって『風紀委員長ちゃん』って呼んでるじゃん。ちゃんと名前覚えてる?」

 

「いやいやまさか、えーっとんーと・・・・」

 

「・・・・お喋りはここまで。ーーーー行こう」

 

『了解っ!』

 

ヒナが話を切り上げると、再び『ミネシス』と『アリウス部隊』との戦闘を再開させた。

 

 

 

 

ーセイアsideー

 

そして、『夢の世界』で『現実』の状況を見ているセイアは。

 

「ーーーーETOとETOの衝突・・・・『楽園を信じる者達』と、『否定する者達』・・・・・・・・そうか。『楽園に辿り着きし者の真実を、証明する事はできるのか』。『YES』か『NO』かを強いられる、この暴力的で不可能な証明要求・・・・しかし先生の答えは、『ソレに答える必要はない』。ミュウツーの答えは、『『楽園』とは人の願う数だけ存在する』・・・・と。強引にどちらかを取るのではなく・・・・信じる事によって、証明される『楽園』と願う数だけ証明される『楽園』・・・・・・・・その発想は無かったよ」

 

セイアは自分では思いもつかなかった考えで、『楽園』の証明をした先生とミュウツーに脱帽した。

 

「いや。むしろ楽園というものは、そうやってずっと私たちのそばに存在していた・・・・そう言っていたのかも知れないね? 酷い話だ・・・・そのようなものは『証明』でも何でもない。しかし・・・・ああ。私の負けだ、先生。たとえ『証明』等できなくても、か・・・・ああ、私が間違っていたとも。コレは、そんなお話ではなかった。そもそも『大人』と勝負して勝とうだなんて、無謀な話だったかな・・・・『大人』はいつもそうやって、思いもよらない方法で勝ってしまうのだから”」

 

そうボヤくセイアの顔には、笑顔が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

“・・・・そろそろ、終わりが見えた、ね”

 

『メガシンカ』した初代御三家が『アンブロジウス』と戦っている間、他の地点で『ミネシス』と『アリウス部隊』と交戦している『アビドス対策委員会』に『ゲヘナ風紀委員会』、『正義実現委員会』と『シスターフッド』に指示を出していた先生は、少し離れた地点で『補習授業部』と『アリウススクワッド』の戦いが終えるのを確認してから、メガリザードンYとメガカメックスとメガフシギバナに指示を出した。

 

“リザードン! カメックス! フシギバナ!”

 

先生が呼ぶと、初代御三家はメガリザードンY、メガフシギバナ、メガカメックスと並ぶ。

 

『ーーーー!!!!』

 

『アンブロジウス』が全身の炎を自分の頭上に集め、まるで太陽を彷彿させる巨大な黒い焔を纏った青い光を生み出していく。アレを先生に投げつけようとしているのだろう。

 

“ーーーー終わらせよう”

 

しかし、先生は冷静に『アンブロジウス』を見据えて呟くと、初代御三家に向けて声を発する。

 

“リザードン、フシギバナ、カメックス”

 

『『『!!』』』

 

先生が名を呼ぶと、初代御三家が構え、メガリザードンYの全身に炎を纏い、メガフシギバナは足を踏み締め、メガカメックスは背中のキャノン砲を構える。

 

『ーーーーーーーー!!!!』

 

“ーーーー【ブラストバーン】! 【ハードプラント】! 【ハイドロカノン】!”

 

『リザァァァァドォオオオオンッ!!』

 

『バァアーーーーナァアアアアッ!!』

 

『ガァァァァメェエエエエエッッ!!』

 

『アンブロジウス』が巨大火炎球を投げると同時に、メガリザードンYが周囲の炎を放出すると、『アンブロジウス』を囲うように足元から幾つもの火柱が生み出され、『アンブロジウス』を包みように火柱に潰される。

メガフシギバナがピョンっとジャンプすると、メガフシギバナと『アンブロジウス』の間の地面を極太の根っ子が進んでいき、炎に包まれた『アンブロジウス』の周りに幾つもの極太の根っ子が生えてきて、『アンブロジウス』を叩きまくる。

そして、メガカメックスのキャノン砲から高水圧を圧縮し、足でアスファルトを強く踏み締めると、巨大火炎球に向けて撃ち出されると、足元のアスファルトを僅かに陥没し、巨大火炎球を貫通して『アンブロジウス』の身体を撃ち抜いた。

 

“ーーーーピカチュウ。【ポルテッカー】!!”

 

『ピカチュウ!』

 

そして、ピカチュウが雷電を纏って突撃して巨大火炎球をぶち破り、『アンブロジウス』に最後の1撃を炸裂させた。

 

『ーーーーーーーー!!!!???!?』

 

そして、『アンブロジウス』もその姿が崩壊してしまった。

 

『カルォ!』

 

『ブラッキー!』

 

『シャモ!』

 

『マク!』

 

『キゥ!』

 

すると、『アビドス対策委員会』と共に戦っていたルカリオ達が合流してきた。

 

 

 

 

 

ーアズサsideー

 

サオリ達の戦力は、ここにいないアツコと手持ちポケモンのグレンアルマ(色違い)とソウブレイズ(色違い)以外は戦闘不能。『ユスティナ聖徒会』も、他の〈アリウス〉の部隊も殆どがやられてしまい、最早『アリウススクワッド』しか戦力が残っていなかった。

 

「リーダー・・・・」

 

「サオリさん・・・・」

 

「もう『ユスティナ聖徒会』はマトモに動作してない。『ETO』が2つになった時点で、『戒律』は意味を無くしつつある・・・・」

 

「残った聖徒会も、『アンブロジウス』も、もう・・・・」

 

ヒヨリの視線の先には、崩壊していく『アンブロジウス』の姿があった。

 

「『手札』が無いね・・・・私たちの負けだ」

 

ミサキとヒヨリがサオリに現状を説明していく中、サオリはただ黙って2人の報告を聞いていると、メガハクリューと共に近づくアズサが口を開く。

 

「サオリ・・・・もう諦めて」

 

「ーーーーふざけるなっ!! どうして、どうしてお前だけが・・・・!!」

 

「・・・・・・・・」

 

サオリに諦めるよう促すが、サオリはアズサの言葉を聞いて、完全に冷静さを失い怒り狂い、アサルトライフルの銃口を向ける。

 

「私たちは一緒に苦しんだ、絶望した! この灰色の世界に! 全てが虚しいこの世界で、お前だけが意味を持つのか! お前だけがそんな、青空の下に残るのか!」

 

その眼は最早アズサに対する『嫉妬』や『憎悪』しか宿っていなかった。

 

「全てを否定してやる! お前が〈トリニティ〉で学んだ事、経験した事、手に入れた事、気づいた事! 全て、その全てを!!ーーーー全ては虚しいのだから!!」

 

サオリは自分達と違って透き通る青空の下を歩けるアズサの全てを否定しようとする。

 

「ーーーーいえ、そんな事はできません」

 

「私達が合格したのも、ソコまで頑張ったのも、無かった事にはならない!」

 

ハナコとコハルが前に出て、サオリのやろうとする事を否定する。

 

「・・・・例え虚しくても、私はソコからまた足掻いてみせる」

 

ーーーーガチャ・・・・。

 

「サオリ・・・・私は、もう負けない。行こう、カイリュー」

 

『カォっ!』

 

そしてアズサも、再びサオリに向けて『アサルトライフル・Et Omnia Vanitas』を構え、かつて師でもあった少女と対峙した。

 

「アズサァァァァァァァァ!!!」

 

「カイリュー! 【おいかぜ】!」

 

『カォォォォ!!』

 

メガカイリューが頭の翼を羽ばたかせ、正面から迫る『アリウススクワッド』は暴風に煽られ、銃もマトモに構えられない状態となった。

 

「ぐぅ・・・・くっ、あぁ、アズサァァァァ・・・・!!」

 

「ガルーラ! 頼む!」

 

「ガラァァァァ!!」

 

そしてアズサは背中の翼を広げて、母ガルーラの腕に乗ると、母ガルーラはアズサを空に放り投げ、更にメガカイリューが起こした暴風を受けて空高く舞い上がる。

 

「くっ!!ーーーーうぅっ!!?」

 

そして、サオリが飛んだアズサに向けてアサルトライフルを構えるが、アズサは太陽を背にしてサオリの視界を封じた。

 

「ーーーーぬうぁああああああああああああ!!!」

 

サオリは叫び声を上げながら、両手でアサルトライフルを構えて、アズサに向けて乱射するが、メガカイリューの暴風に煽られ銃口が激しく揺らされ、更に太陽の光で視界が遮られてしまい、その乱射された弾丸の数発が、アズサの肩や太腿の薄皮を僅かにかする程度のものである。

 

「ーーーーフッ!」

 

ーーーーダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!

 

が、アズサがメガカイリューの起こす風速を計算し、アサルトライフルの銃口を調整してから発砲した。

 

「ぐぁああああああああ!!?」

 

「っ!(ダダダダダダダダ!!)くぁ・・・・!」

 

「(ドォン!)きゃん!」

 

ミサキがランチャーを、ヒヨリがライフルを構えようとしたが、ヒフミとコハルとハナコが弾丸を浴びせて動きを封じる。

 

「カイリュー! 【ドラゴンダイブ】!!」

 

『カァォオオオオオオオオ!!』

 

そして、メガカイリューが【ぼうふう】を一旦止めて、素早く上空に飛翔して急降下突撃した。

 

「「「ああああぁぁぁぁ!!」」」

 

3人が吹き飛び地面に転がると、メガカイリューが両手を前に突き出した瞬間、アズサがポフンッとメガカイリューの両手に収まる。所謂『お姫様抱っこ』である。

 

 

 

 

 

ーサオリsideー

 

「・・・・今度こそ終わりかな」

 

「そうですね、これ以上はもう・・・・」

 

アズサ達『補習授業部』に追い詰められた『アリウススクワッド』は、自分達の敗北を認識し、ミサキとヒヨリは諦めようとしていた。

 

「・・・・まだだ・・・・まだ古聖堂の地下に・・・・『アレ』が・・・・」

 

しかしその中でサオリだけはまだ諦めておらず、気を失ったヘルガー(色違い)を見捨てて、『通功の古聖堂』の地下に移動し始めた。

 

 

 

 

 

ーアズサsideー

 

「サオリ・・・・!?」

 

「古聖堂の地下へ・・・・! 何か『手段』が残っているような言い方でした、止めなくては!」

 

『アリウススクワッド』が逃げるのを見て、ハナコはサオリの言葉から、『通功の古聖堂』の地下に『何か』がある事を気付いたようで、彼女達を追いかけようとする。

が・・・・。

 

『ーーーーーーーー』

 

また顕現した『ユスティナ聖徒会』が行く手を阻んだ。

 

「まだ、こんな力がありましたか・・・・」

 

「・・・・私達が行く」

 

『カォ!』

 

「あ、アズサちゃん、私も・・・・!」

 

「ガルーラも負傷している、安静にさせて。心配しなくても平気。サオリを止めて、すぐに戻ってくる」

 

ヒフミとメガガルーラも一緒に行くつもりだったが、メガガルーラもミサキのブーバーンとの戦闘で負傷しており、メガシンカも解けてしまい無理はできないようであった。

 

“私も行くよ。リザードン。フシギバナ。カメックスはヒフミ達を守ってあげて”

 

『ドン!』

 

『ガメ!』

 

『バナ!』

 

メガシンカは解けても、まだまだやる気と元気に満ちている初代御三家に、ヒフミ達のガードを任せる先生。

 

「・・・・ありがとう先生」

 

「アズサちゃん、気を付けて・・・・!」

 

「・・・・うん。私はもう大丈夫」

 

ヒフミがアズサ心配そうに声を掛ける。それに対しアズサは大丈夫だと言って、サオリのヘルガー(色違い)を背負ってメガカイリューに乗ると、自分の『帰る場所』である『補習授業部』の仲間達へと笑顔を向ける。

 

「ヒフミ、ガルーラ、ハナコ、ジュペッタ、コハル、ヘラクロス・・・・行ってくる」

 

『カォカォ〜』

 

「はいっ!」

 

『ガルラ!』

 

『カルラ!』

 

「待ってますよ」

 

『ジュペッ』

 

「き、気を付けてねっ!」

 

『ヘラクロ!』

 

“ーーーーじゃあ、行こうか”

 

『ピカァ!』

 

『カルォ!』

 

『ブイ!』

 

『シャモ!』

 

『マク!』

 

『キゥッ!』

 

ーーーーポンッ!

 

『アギャァッ!!』

 

先生とピカチュウ達はミライドンに乗り込み、アズサを背に乗せたメガカイリューと並んで、『アリウススクワッド』を追って『通功の古聖堂』の地下へと向かった。

 

 

 

 

 

 

ーハナコsideー

 

「アズサちゃん・・・・先生・・・・皆さん、どうかご無事で・・・・」

 

「それにしてもさ、何であの・・・・サオリだっけ? アイツあそこまでアズサの事を否定しようとしたのかな?」

 

初代御三家達が『ユスティナ聖徒会』を蹴散らし、メガヘラクロスとメガジュペッタに守られながら、ヒフミはガルーラの治療をしながらアズサや先生達の無事を祈り、コハルはサオリの異常とも言えるアズサへの敵愾心を疑問に思った。

 

「・・・・・・・・・・・・きっと、“アズサちゃんが眩しかったから”、だと思います」

 

ただ1人、ハナコだけは思い当たる節があるのか、顔を少し悲しそうにしつつ、その理由を口にした。

 

「『眩しい』? アズサちゃんがですか?」

 

「・・・・???」

 

「自分と同じ『境遇』で、『絶望』と『虚無』を味わった筈なのに、アズサちゃんは『希望』をまるで捨てずに立ち上がって、進んでいった・・・・きっと、そんなアズサちゃんの目が、姿が、あの人にとっては『眩しくて』、『憎らしくて』、『妬ましくて』、そして・・・・『羨ましかったんだと思います』」

 

ハナコの言葉に、今一理解できないヒフミとコハル。メガジュペッタだけは理解しているようであった。

 

「(・・・・もしも・・・・私が〈トリニティ〉のくだらない権力争いに嫌気が差して、失望して、絶望して、全ては虚しいと言う虚無感に囚われて学園を去った後にアズサちゃんと出会っていたらーーーー私がサオリさん‹彼女›になっていたかも知れませんね・・・・)」

 

ハナコはサオリの姿に、もしかしたらなっていたかも知れない『もう1つの可能性の自分』と重ねていた。

 

 

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

「アズサ・・・・」

 

「サオリ、もう終わりにしよう」

 

「・・・・良いだろう。全てを賭けて、最後の戦いにしてやる」

 

『通功の古聖堂』の地下通路に辿り着くと、ソコにはサオリが1人で待ち構えていた。

アズサはメガカイリューから降りて、ヘルガー(色違い)を地面に優しく降ろしてからサオリの前に立つと、最後の戦いを始めようとする。

 

「・・・・まだ私と1対1で、正面から勝てるとでも思ってるのか?」

 

「ーーーーいや、私は1人じゃない」

 

“・・・・・・・・”

 

「っ、先生・・・・!」

 

『〜〜〜〜!!』

 

サオリは先生の姿を見て目を見開くが、ルカリオやイーブイ、ワカシャモ達御三家がサオリに向けて敵意を込めた視線を向けている。

 

「何もかも、全て片付けてやる。お前も、お前のポケモンも、その大人も! 全てが虚しいこの世界で、『真実』を思い知れ!!」

 

“ーーーーアズサ、行こう”

 

「・・・・うん」

 

ルカリオ達以上の凄まじい敵意を込めて睨みつけるサオリだが、アズサはメガカイリューや先生達に向けて、優しい笑みを浮かべて頷いた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

サオリとアズサは、まるで早撃ち対決のようにお互いに無言で向き合うが、その視線には凄まじい火花を散らせていた。

そしてーーーー。

 

ーーーーヒュゥゥゥゥンン・・・・。

 

カタコンベに1陣の風が吹いたその瞬間ーーーー。

 

「「!」」

 

ーーーーダダダダダダダダダダダダ・・・・!!!

 

「「!!!!」」

 

アズサの『Et Omnia Vanitas』とサオリの『アリウス製アサルトライフル』が同時に火を吹き、お互いの身体に撃ち込まれる。

そして・・・・。

 

 

 

 

ーサオリsideー

 

「う、くっ・・・・!!」

 

サオリのマスクが壊れて地面に落ち、サオリの身体もボロボロになって横に崩れ落ちる。

 

『ヘ、ル・・・・』

 

「ヘル、ガ・・・・」

 

倒れそうになるサオリの視界に入ったのは、目を薄っすらと開いたヘルガー(色違い)と目が合った。そして、アズサの言葉が脳裏に浮かんだ。

 

【ーーーーサオリ! 本当に、どうしてそうなった!? 私にポケモンを使った戦闘術を教えていた時、お前はヘルガーの事を大切にしていたじゃないか!? 何がお前をそうさせてしまったんだ!?】

 

「(何が、私を・・・・そうさせた・・・・?)」

 

あの時は、アズサからの言葉だったので思わず突っぱねたが、よくよく思い返してみると確かに、自分はヘルガーとずっと一緒にいた。

〈アリウス〉の自治区で浮浪児、否、最早野良ポケモン同然の生活をしていた。夜になると冷えてとても寒かった。しかし、そんな自分の傍らには、いつもヘルガー(色違い)が、否、デルビル(色違い)がいてくれて、身体を温めてくれた。寒い日も、ひもじい日も、デルビル(色違い)がいてくれたから耐えられた。負けなかった。平気に慣れた。

だが、今では・・・・。

 

「(いつから、だ・・・・? いつから私は・・・・デルビルを、ヘルガーを、『道具』、だなん、て・・・・)」

 

そう考え、サオリはドサリと身体を床に沈めた。

 

 

 

 

 

 

 

ーアズサsideー

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

 

アズサも、サオリのライフルの弾丸を受け過ぎて倒れそうになった。

 

『カォっ!』

 

しかし、メガカイリューがカイリューに戻り、アズサの身体を優しく受け止める。

 

“アズサ!”

 

『ピピカ!』

 

『ーーーー!!』

 

先生とピカチュウ達もアズサに駆け寄る。

 

「先生・・・・」

 

アズサが先生の声に答えると地下通路の奥から、コツン、コツン、と足音が響き、先生達が目を向けると・・・・『アリウススクワッド』の最後の1人アツコ。

そしてその背後に執事か騎士のように控える彼女の手持ちポケモン、グレンアルマ(色違い)とソウブレイズ(色違い)が現れた。

アツコもマスクが少し壊れ、紅玉‹ルビー›のような美しい瞳をこちらに向けていた。

 

「・・・・・・・・」

 

「アツコ・・・・」

 

『!!』

 

ルカリオ達が構えるが、アツコと2体の騎士達は両手を挙げて戦闘の意思は無い事を示していた。

 

「ゲホっ! 『姫』、どうして逃げなかった・・・・」

 

「私達の負けだよ、アズサ」

 

「!?」

 

サオリが血を吐きながらアツコの登場に驚くが、アツコは自分達が負けた事をアズサに向けて発した。

 

「だ、ダメだ、姫! 喋ると、『彼女』がーーーー」

 

「大丈夫、もう全部終わりだから。ソレにどちらにせよ、『彼女』は私を生かしておくつもりは無かった筈。だから、良いの」

 

アツコはサオリに、全て終わりだと言った。

 

「・・・・?」

 

「もうやめよう、サオリ」

 

「・・・・やめる? 〈アリウス〉に帰るという事か・・・・? 帰った所で、私達は殺されるだけ・・・・」

 

「だから逃げよう、一緒に」

 

「逃げる・・・・」

 

「うん」

 

しかしサオリは〈アリウス〉に戻っても殺されると言うが、アツコは一緒に逃げようと言い始めた。

 

「アズサが教えてくれた。いつからか持っていた『コレ』は・・・・“私達の憎しみじゃない”。この『憎しみ』じゃない。この『憎しみ』を、私達は習った。ソレからずっと、『私達のものだ』と思い込んでいた。・・・・アズサはきっと、ソレに気づいたんでしょう?」

 

「・・・・・・・・」

 

アツコは自分達が抱いていた〈トリニティ〉に対する『憎しみ』は、『誰か』に吹き込まれ、刷り込まれたものだと言い、ソレをアズサは気付いていた事に問うが、アズサは沈黙は肯定と言わんばかりに黙った。

 

「アズサは色々な事を学び、様々な経験を得た・・・・『良い大人』に出会えたんだね、アズサ」

 

その言葉にも、アズサは沈黙は肯定と言った態度であった。

 

「そして、自分のいるべき場所を見つけた・・・・」

 

ソレは、アズサに対するアツコなりの、遠回しの『決別』の言葉であった。

 

「だから、サオリ。・・・・逃げよう。この場から、〈アリウス〉から。いつの間に植え付けられた、“私達のものじゃない筈の憎しみから”」

 

「逃げるだなんて、そんな・・・・」

 

アツコはサオリ達と一緒に〈アリウス〉から、『憎しみ』から逃げて、自分達の『居場所』を見つける為に逃げようとサオリに促す。ソレを聞いてサオリはただ戸惑う事しかでなかった。

 

 

 

 

 

 

ーマエストロsideー

 

一方、〈トリニティ〉のある場所で、アツコ達の様子を高みの見物をしていたマエストロはーーーー。

 

「素晴らしい・・・・。『知性と品格』、『礼儀と信念』、そして培ってきた『経験と知恵』・・・・。やはり、そなたならば・・・・」

 

その様子に興奮しながら、両手を広げて宣言する。

 

「私の『崇高』を、理解してくれるに違いない・・・・!」

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

すると、古聖堂の地下通路が揺れているかのように、ゴゴゴゴ・・・・、と地鳴りの音が響く。

 

「こ、コレは・・・・」

 

「・・・・まさか、あの『教義』が、完成した・・・・?」

 

“(コレは・・・・)”

 

アツコだけが、この状況の正体を知っているかのように口振りであった。

 

「コレは、レベルが違う・・・・」

 

「どういう事だ・・・・?」

 

「せ、先生。コレは・・・・マズい、逃げないと・・・・!」

 

“・・・・どうやら、『反則』みたいだね”

 

そして地鳴りが更に大きくなっていき、その場にいるほぼ全員が不安な貌になるのだが、先生だけは顔を引き締めていった。

 

「先生・・・・?」

 

『ピカピピ』

 

“ーーーー出さないで終わらせたかったけど・・・・”

 

先生はピカチュウの言葉に頷くと、『大人のカード』を取り出す。

 

 

 

 

 

ーマエストロsideー

 

「おお、おおおおっ・・・・! そうか、アレが例の『カード』・・・・! 『人生』を、『時間』を『代価』として得られる力・・・・その根源も限界も、〈ゲマトリア‹私達›〉ですら把握できない不可解なもの・・・・!!」

 

遠くの地で状況を見ていたマエストロは、先生の取り出した『大人カード』を見て驚嘆したかのように震える。

 

「嗚呼、『ゴルコンダ』ならアレをどう呼称しただろう・・・・何か高次的な表現を教えてくれたのであろうか・・・・。見せてくれたまえ、先生。ソナタが払ってきた『代価』を・・・・」

 

マエストロは、先生がコレから行う事を楽しみにしているかのようであった。

 

「そうして手に入れたものの『輝き』を・・・・!」

 

マエストロは両手を広げて叫ぶ。

 

「私の『作品』に、全力で応えてくれたまえ!」

 

 

 

 

 

ー先生sideー

 

そして、先生達の目の前に、先程先生が初代御三家と共に倒した『アンブロジウス』と同じく外見は顔が無く、司祭服のような服装でフードを被った異形で頭にはヘイローのような輪っかと背部にはかなり豪華な装飾があり、腕は4本でその内2本は装飾の施された杖を持ち、残りの2本は手を組んで祈っている。

 

「アレは・・・・」

 

「・・・・『ヒエロニムス』。『マエストロ』と呼ばれる〈ゲマトリア〉のメンバーが〈トリニティ〉地下に封印されていた』太古の教義』を元に製造した人工の怪物」

 

目を見開くアズサに、アツコが説明する。

 

“・・・・・・・・”

 

先生は、コチラの戦力を確認する。

アズサとサオリは負傷。カイリューはスタミナをほぼ使い切った。ヘルガーはまだ動けない。戦えるのはアツコと手持ちの2体。そしてーーーー自分のポケモン達。

 

“皆ーーーー行ける?”

 

『ピカチュウ!』

 

『カルゥォッ!』

 

『ブイブイ!』

 

『シャモォ!』

 

『マクゥッ!』

 

『キゥッ!』

 

先生の言葉に、手持ちポケモン達が一斉に頷いた。

 

“アツコ・・・・で良いかな?”

 

「うん・・・・」

 

“アズサとサオリ、ソレにサオリのヘルガーを守ってくれるかい?”

 

「・・・・先生は?」

 

“私達は、『アレ』をやる”

 

先生が『ヒエロニムス』を親指で指す。

 

「先生! 私もぐぅっ!」

 

『カォ!』

 

アズサも戦おうとするが、全身に激痛が走った。コレまでの孤軍奮闘で負ってきたダメージが、一気にやって来たようだ。

 

“大丈夫だよアズサ。ここは、『大人』に任せて”

 

『ーーーー!!』

 

先生の言葉に応じるように、ピカチュウ達が声を張り上げた。

 

“ーーーーミライドン!”

 

ーーーーポンッ!

 

『アギャァ!』

 

先生がミライドンに乗り込み、『メガストーン』をルカリオに掲げ、もう片方の手には『テラスタルオーブ』が握られていた。

 

“限界超えて、光り輝けピカチュウ! テラスタル!!”

 

『ピカチュウ!!』

 

先生の『テラスタルオーブ』が光り輝き、オーブ内のエネルギーが解放され、発光し、ピカチュウの頭上へ投げるとピカチュウの足元から結晶が隆起して包み込むと、すぐに砕け散ると、ピカチュウの身体が宝石のように輝き、その頭には巨大な電球を冠のように発現させた姿、『テラスタル』へとなる。

 

“ルカリオ! 絆の力でさらなる高みへ! メガシンカ!!”

 

先生のブレスレットにある『キーストーン』が光り輝くと、ルカリオの腕にあるバングルの『メガストーン』も、共鳴するように光り輝き、お互いに光の線が伸びて繋がり、ルカリオの身体を包み込んで砕けると、メガルカリオとなった。

 

『カルゥォォッ!!』

 

そして、『超進化ライト』の白の光を浴びせ、イーブイ(色違い)をエーフィ(色違い)に進化させる。

 

『エフィィィィ!!』

 

そして先生は、『大人のカード』を掲げる。

 

“ワカシャモ! ヌマクロー! ジュプトル!”

 

『『『ーーーー!!』』』

 

先生が呼び掛けた瞬間、『大人のカード』から光が放たれ、その光が、御三家達を照らすと、3匹の身体が光り輝き、メキメキと音を立てながら、その身体が変貌していった。

先ずはワカシャモ。翼ではないスラリと伸びた手足に、鋭い嘴と一体化した顔、胸から上を覆う二又に分かれた長髪の様な羽根をし、額のV字型の部位は鶏冠と羽根は長く、全体的に鳥人のような精悍な姿となった『もうかポケモン・バシャーモ』。

 

『バッシャッ!!』

 

ヌマクローは頭部のヒレが2つに分かれ、背中のヒレも大きくなり、身体は更に大きく逞しくなり、手足も太く力強くなり、四つん這いになったが全体的にガッシリとした体系となった『ぬまうおポケモン・ラグラージ』。

 

『グラーッ!!』

 

ジュプトルも身体が大きくなり、より爬虫類っぽさが増し、頭の葉っぱは無くなったが、尻尾は再び1つに戻りシダのような形状に変化し、背中には樹木を元気にする栄養分を貯めた黄色い種を6つ付けた『みつりんポケモン・ジュカイン』。

 

『ジュカイーンッ!』

 

『テラスタル』したピカチュウ、メガルカリオ、エーフィ(色違い)、バシャーモ、ラグラージ、ジュカインが、『ヒエロニムス』に立ち向かう。

 

『ーーーーーーーー!!!』

 

『ヒエロニムス』は両手の杖を構え、先生達を見据える。

 

“ーーーー行くよ!”

 

『ーーーー!!!』

 

先生がミライドンを走らせ、ピカチュウ達も駆け出し、『ヒエロニムス』が杖を振り下ろしたーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーアズサsideー

 

「リーダー! 姫!」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

と、先生達が『ヒエロニムス』と戦いを始めたその瞬間、地下洞窟の奥からミサキとヒヨリが駆けつけてきた。

 

「・・・・私は大丈夫。でもサオリが」

 

「くっ・・・・」

 

サオリはアツコに支えられながら立ち上がると、アズサの傍にいるヘルガー(色違い)に向けて声を発した。

 

「ヘルガー・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

「ヘルガー?」

 

ヘルガー(色違い)は漸く起き上がれる程度に回復したのだが、サオリの声を聞いて振り返るが、サオリを見るその目には、何か今までと違うとアズサは直感した。

しかしサオリは、そんなパートナーの様子の違いに気付かず、モンスターボールを取り出してヘルガー(色違い)に向ける。

 

「・・・・逃げるぞ、戻れ」

 

『・・・・ルガァア!!』

 

「なっ!!?!?」

 

サオリがそう言うがヘルガー(色違い)はなんと、サオリに向けて【かえんほうしゃ】を放ち、サオリのモンスターボールをーーーー破壊したのだ。

 

『!!??』

 

「へ・・・・ヘル、ガー・・・・?」

 

ヘルガー(色違い)の突然の行動に、アツコ達『アリウススクワッド』だけでなく、アズサとカイリューも目を見開くが、1番動揺しているのは、サオリであった。

サオリは狼狽したような目でヘルガー(色違い)に話し掛けるが・・・・。

 

『ウウウウゥゥゥゥ・・・・!!!』

 

ヘルガー(色違い)はサオリに向かって威嚇するような唸り声を上げる。更にその目に宿っているのは、まるでつい先程までサオリがアズサに向けていた激しい『憎悪』であった。

 

「ヘルガー・・・・」

 

サオリが手を伸ばそうとしたが、ヘルガー(色違い)は火傷だらけの身体でサオリに背を向け身体をヨロヨロとさせながら、先生達が入ってきた出入り口に向かって歩いていった。

 

「ヘルガー・・・・! 待て・・・・待ってくれヘルガー!!」

 

サオリがアツコから離れてヘルガー(色違い)の後を追おうとするが、足がおぼつかずバランスを崩して四つん這いになって倒れる。

 

「っーーーーヘルガァァァァァァァァ!!」

 

サオリは必死にヘルガー(色違い)に向けて手を伸ばすが、ヘルガー(色違い)は振り向きも、一瞥すらしないで、サオリの元から立ち去った。

 

「ヘル、ガー・・・・」

 

「ど、どうしたんですか、ヘルガーは?」

 

「・・・・壊れたんだと思う」

 

「姫・・・・?」

 

「多分、無理矢理の『メガシンカ』や、ヘルガーを蔑ろにするサオリに嫌気が差して、サオリとヘルガーの『絆』が壊れちゃったんだ・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・は、ははは・・・・」

 

アツコの話を聞いて、サオリは小さく笑い、アツコのグレンアルマ(色違い)が【サイコキネシス】で浮かばせて運び、アズサとすれ違った際に、静かに涙を流しながらサオリが呟く。

 

「『絆』なんて・・・・こんな簡単に、壊れるものなんだ・・・・こんなものを、お前は信じるのか、アズサ・・・・」

 

「・・・・サオリ。お前とヘルガーとの間にあった『絆』は、お前自身が壊したんだ」

 

「・・・・・・・・」

 

アズサの言葉に反論せず、サオリはグレンアルマ(色違い)に運ばれながら、アツコ達と共に地下通路の別ルートから立ち去った。




サオリのアズサへの憎悪は、ハナコが1番理解できると思いました。サオリのその憎悪が、ヘルガーとの『絆』を壊してしまったのです・・・・。
そして、先生の『大人カード』。効果は『手持ちポケモンのレベルを上昇』。『ポケモン達のステータスを一時的に跳ね上げる』。他にもありますが今はコレだけです。
次回、『エデン条約』のエピローグです。
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