ー先生sideー
『ーーーーーーーー!!』
『ヒエロニムス』は2本の両手に持つ杖を振り回し、先生達を攻撃する。
“ピカチュウ【かみなりパンチ】! ルカリオ【ボーンラッシュ】! バシャーモ連続で【とびひざげり】! エーフィとラグラージとジュカインは【サイケこうせん】と【マッドショット】と【タネマシンガン】で援護!! ”
『ピィカァァァァ!!』
『カルゥゥゥゥッ!!』
『バシャァ! バシャァ!』
『エェフィィィィ!!』
『ラグゥゥゥゥッ!!』
『ジュゥカァァァァッ!!』
テラスタルしたピカチュウは両手の拳に電撃を纏ってその小さな体躯を生かして『ヒエロニムス』の懐に入り、【かみなりパン】のラッシュをお腹に叩き込む。
『ピカァ! ピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカピィィカァッ!!!』
『ーーーー!!!』
『ヒエロニムス』はピカチュウに杖を突き刺そうとするが、
『ーーーーカルゥォッ!!』
『バァァァァッシャァァァァッ!!』
メガルカリオが両手に【ボーンラッシュ】を生み出して二刀流のように振り回して、『ヒエロニムス』の片方の杖を弾き、バシャーモももう片方の杖に膝蹴りを叩き込んで弾き飛ばした。
『ーーーーーーーー!!!』
が、『ヒエロニムス』は組んでいたもう2本の手を解いてピカチュウを捕まえようとするが、エーフィ(色違い)の光線と、ラグラージの泥玉、ジュカインのタネの弾丸を受けて邪魔される。
『ピィィィィカァアッ!!』
ラッシュの後に両手の【かみなりパンチ】のダブルパンチで『ヒエロニムス』の身体をくの字にしてから、ピカチュウはバックステップで先生の乗るミライドンにまで後退した。
『ーーーーーーーー!!!!』
『ヒエロニムス』の足元に魔法陣のような物が展開され、両手の杖を地面に突き立てた瞬間、ミライドンとピカチュウ達の足元にも魔法陣のような物が展開され、先生は何か不穏な気配を感じ・・・・。
“ーーーー皆! その魔法陣から離れて!!”
『ーーーー!!』
先生の指示でミライドンは大ジャンプし、ピカチュウとメガルカリオとバシャーモもジャンプし、エーフィ(色違い)はジャンプと共にバリアを張り、ジャンプ力が足りないラグラージとジュカインは回避と防御体制を取った瞬間、地面から岩が隆起にピカチュウ達はジャンプで回避し、エーフィ(色違い)はバリアで防御し、ラグラージは耐え、ジュカインは回避できた。
『ーーーーーーー!!!』
『ヒエロニムス』は杖を大きく振りかぶり、ジャンプしたピカチュウとメガルカリオ、エーフィ(色違い)とバシャーモを同時に振り払った。
『ピカァッ!!?』
『カルォッ!!?』
『エフィッ!!?』
『バシャッ!!?』
4匹は壁に激突し、『ヒエロニムス』は更に杖を地面に突き立て、自分の周囲全てに魔法陣を展開すると、岩が大量に隆起していった。
『ラグッ!!?』
『ギゥッ!!?』
『アギャァ!!?』
“まずい!”
ラグラージとジュカインは防御するが大量に隆起する岩に飲まれる。先生はミライドンのスピードと大ジャンプを駆使して何とか回避する。
“ーーーーミライドン、無理させてゴメンね”
『アギャァ!』
“ーーーーっ、皆は!?”
先生が無茶なドラテクで回避したのを謝罪するが、ミライドンは「気にするな!」と言わんばかりに笑みを浮かべると、先生はピカチュウ達に目を向ける。
『ギゥゥゥゥ・・・・!』
『ラグラァ・・・・!』
先ずラグラージとジュカインは隆起した岩に挟まれて動けずにいた。
『ピカ、チュウ・・・・!』
『カルゥ・・・・!』
『エ、フィ・・・・!』
『バシャ・・・・!』
壁に叩きつけられたピカチュウとメガルカリオは、テラスタルとメガシンカは解除されていないのでまだやれるようだ。エーフィ(色違い)とバシャーモも頭を振っているが問題無いようだ。
少し後方を見ると、アズサとカイリューの方まで岩は来ていなかったようで無事である。
『ーーーーーーー!!!』
しかし、『ヒエロニムス』は杖を振り回してから突き立て、地面が隆起し、先生へと向かっていく。
“ミライドン!!”
『ーーーーアギャァス!!』
ミライドンはホイールを全開に回すと、『ヒエロニムス』の周囲を全力で駆け抜ける。
“ーーーーミュウツー、皆は?”
《・・・・寸前でバリアを纏わせましたが、ソレでも深くはありませんが浅くもないダメージを受けています》
先生はマスターボールの中からピカチュウ達に遠隔でバリアを張っているミュウツーに聞くと、念話で返してきた。今回の相手は未知数なので、先生のガードはアロナが受け持ち、ミュウツーにはピカチュウ達にバリアを張ってサポートをしてもらっているのだ。
“アロナ。皆の状態は?”
『そろそろ決めないと皆さんの体力が尽きそうです!』
“良し。ミュウツー、皆にテレパシーで伝えて欲しい・・・・”
《・・・・・・・・承知》
先生の指示を受けて頷いたミュウツーが、テレパシーを使ってピカチュウ達に指示を出した。
『『『『『!!ーーーー(コクン)!』』』』』
ピカチュウ達は同時に頷くと、ピカチュウとメガルカリオが前に出る。
『ピィィ〜カ、ピカピカピカピカピカピカピカピカピカピカァァァァ!!!』
『カルゥゥ〜・・・・ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
ピカチュウが【ボルテッカー】で突撃し、メガルカリオが【りゅうのはどう】を撃ち出して雷電を纏ったピカチュウに浴びせる事で、龍の形をした波動弾に雷電を纏わせる合体技【ライジングドラゴン】を放つ。
『ーーーーーーーー!!!』
極大の雷竜が『ヒエロニムス』の周囲を走り、その身体に巻き付いて動きを封じた。
“(ミュウツー!)”
《了解!(パチンッ)》
先生の指示でミュウツーが指を鳴らすと、壁にいたエーフィ(色違い)とバシャーモ、岩に挟まれて動けなくなっていたラグラージとジュカインが、シュンッ、と消えてーーーー『ヒエロニムス』の眼前の宙に浮いていた。ミュウツーが遠隔で【テレポート】でエーフィと3代目御三家達を送ったのだ。
その瞬間、先生が大声で指示をだす。
“エーフィ【シャドーボール】! ジュカイン【リーフブレード】! ラグラージ【ハイドロポンプ】! バシャーモ【ブレイズキック】!!”
『エェェェェフィィィィーッ!!』
『ジュゥゥゥゥカァアアアアッ!!』
『ラグラァァァァジィィィィッ!!』
『バァッ、シャァアアアアッ!!』
エーフィ(色違い)が影の玉を撃ち出し、ジュカインの腕の葉っぱが緑色に鋭く光り振り下ろし、ラグラージは胸を膨らませてから大量の水を放水し、バシャーモは片足に炎を纏わせた蹴りを叩き込んだ。
『ーーーーーーーー!!!!』
『ヒエロニムス』は声なのか雄叫びなのか分からない声を張り上げながら、エーフィ(色違い)と3代目御三家の連続攻撃によって傷つけられたその身体は、【ライジングドラゴン】の雷竜の締め付けにも耐えられず、崩壊していった・・・・。
◇
その後、先生達は『アリウススクワッド』が立ち去った事をアズサから聞き、ミライドンを飛ばして探したが、とうとう見つける事はできなかった。
ーアズサsideー
「ーーーーアズサちゃん! 先生!」
『通行の古聖堂』の地下洞窟から出てきたアズサと先生の前には、何故かベトベトになった顔をハンカチ(カメックスに濡らしてもらった)で顔を拭いていたヒフミと、ガルーラ母子にハナコにジュペッタ、コハルとヘラクロス。そして、『アビドス対策委員会』が出迎えた。
“皆、お疲れ様”
「うへ〜、おじさんは久しぶりに身体を動かして疲れたよぉ〜」
「ん。本当に疲れた。所で先生、先生はヒフミ達と長い間合宿していたって聞いた。なら今度は私達と合宿するべき」
先生の労いの言葉に、ホシノは疲れた様に後ろにいるノノミのハナコ並に豊満な胸を枕にする様に寄りかかり、ノノミも笑みを浮かべてホシノを支えると、シロコが先生の後ろから抱き着き、ジト目でそう言い出し、セリカが引き剥がそうとしていた。
『カォォォォ♪』
すると、カイリューが飛び出し、ヒフミとコハルとハナコの3人を両手を思いっきり広げてギュゥ〜っと抱き締めた。
「うわっ!? え!? あ、そう言えばハクリューちゃん! いつの間にカイリューに進化してたんですか!?」
「そ、そうよ! ソレにアンタ今まで何処行ってたのよ!? 皆心配してたんグェッ! く、苦しい・・・・!!」
「あらあら・・・・カイリューちゃんの熱烈のハグですねぇ♡」
カイリューのハグにヒフミとハナコの間に挟まっているコハルは潰れそうになっていた。
“対策委員会の皆。あのカイリューは、皆が前に私にくれたポケモンのタマゴから孵ったミニリュウなんだよ”
「えっ!? そ、そうなの!? 適当に抽選会で当たったタマゴだったんだけど・・・・」
《そのポケモンがヒフミさんのお友達のポケモンになったなんて・・・・》
「何か運命的なものを感じちゃいますね♧」
「・・・・むっ!?」
アズサがカイリューの事で『アビドス対策委員会』に挨拶とお礼を言おうとしたその時、背中に感じる気配に振り向くとーーーーミライドンが笑みを浮かべていた。
『アギャァ♪』
「し、しまっーーーー」
ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。
「あ、ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・!!」
普段ならば抵抗できるのだが、疲労困憊のアズサにはソレができず、ミライドンの餌食になってしまった。
「あ、アズサちゃん!!」
「えっ? 何? あの子もミライドンの犠牲者?」
“うん。『対策委員会』ではセリカで、『補習授業部』ではアズサがミライドンのお気に入りなんだよ”
「(・・・・今度先生が来る時、ヒフミちゃんと一緒にアズサって子にも来てもらおうかな)」
と、セリカが身の安全の為にアズサを巻き込もうと画策している内に、ヒフミ達を解放したカイリューがミライドンを退かし、アズサを両手でお姫様抱っこをする。
「カイリュー?」
『カァ~・・・・ォォォォォォォォ!』
カイリューが羽根を羽ばたかせて地面を踏み締めると、アズサを抱えて、透き通るような青空へと飛翔した。
「ーーーーおぉ・・・・!」
いきなり急上昇したカイリューに驚きつつも、アズサは遥か空から見下ろす〈キヴォトス〉に、目を奪われてしまった。
「・・・・綺麗だな。カイリュー」
『カォ♪』
「・・・・カイリュー」
『カォ?』
「今更な気がするがーーーー私の、『パートナー』になってくれるか?」
アズサがカイリューにそう聞いた。タマゴから孵った時から一緒であったが、カイリューはアズサのモンスターボールに収まった訳では無いから、正確にはアズサの手持ちポケモン、『パートナー』では無かったのだ。
否、アズサが自分と〈アリウス〉の問題に、巻き込みたくなかったからなのかも知れないが。もうアズサに迷いはない。どんな時でも、自分と一緒に居てくれる『友達』が、『仲間』が、そして、何処までも高く広い世界に共に行ける『パートナー』が居るのだから。
『カォ♪』
「うん。ありがとう、カイリュー」
カイリューがアズサを強く抱き締めると、ソレが『答え』だと理解し、アズサはカイリューを抱き締め返し、
「ーーーーカイリュー、ゲットだ」
『カォォォォ☆』
お互いに満面の笑みを浮かべるのであった。
ーマエストロsideー
「・・・・・・・・」
マエストロは、自分の作品である『ヒエロニムス』が『シャーレの先生』と、その手持ちポケモン達に倒されたのを感じ取り、僅かに身体を震わせて動揺する。
「ーーーー心から感謝しよう、先生。『不完全な姿』でお見せしてしまって汗顔の至りだが、すぐに完成させてみせる」
否、動揺していたのではなく、『不完全なヒエロニムス』と言う作品を見せてしまった事への羞恥であったようだ。
「『黒服』の言う通りだったな・・・・普段はあまり共感できないものの、『この件』については感謝をせざるを得まい」
そしてマエストロは背後から何匹もの金色のナットに鋼玉状の黒目をした銀色の液体金属の身体をしたポケモン達が集まり、手足がはっきりとした巨大でマッシブな体格をした『金属の巨人のポケモン』となった。
しかし、鋼玉状の黒目は色素がない様にも見えた。
「ゆくぞ『メルメタル』」
『・・・・・・・・』
「・・・・では『シャーレの先生』。ソナタにまた会える時を、心待ちにしている」
伝説ポケモンの1体、『ナットポケモン・メルメタル』を連れて、マエストロは闇の中へと消えた。
「ーーーーまた、夢の中で」
ーアツコsideー
『アリウススクワッド』はすっかり日が落ち、夜の闇が支配する『トリニティ自治区』の外郭の大橋に到着した。
「・・・・・・・・」
パートナーのヘルガー(色違い)を失ったサオリはミサキに肩を貸して貰いながら歩くが、その眼には何処か生気を失ったかのように暗くなっていた。
「だ、大丈夫ですか、リーダー・・・・?」
「・・・・で、どこに行く?」
「・・・・自治区‹アリウス›には戻れない。『彼女』に、殺される・・・・」
「・・・・まあ、そう言う終わり方も悪くないけど」
「そ、ソレは苦しそうですね・・・・そうでなくても、この先もずっと・・・・」
「うん、ソレが人生だから」
サオリとミサキとヒヨリは、コレからの自分達の先を考え、陰々滅々と悲観した気持ちで、夜の闇へと歩き出す。
「・・・・・・・・」
『『・・・・・・・・』』
しかし、3人と少し遅れて歩くアツコとグレンアルマ(色違い)とソウブレイズ(色違い)は、1回だけ〈トリニティ〉を、アズサの方へと振り向き、アツコは自分のマスクを外すと、とても可愛らしい顔立ちをし、まるでお姫様のような気品すら感じる貌を露わにし、2体の騎士達を連れて、サオリ達と共に闇の中に消えていった。
ーイロハsideー
あの『エデン条約調印式』で起こった騒動から数日が経ち、それぞれの学校では各々の生活に戻っていった。
「ーーーーよくも、よくもこのマコト様を騙したなああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
〈ゲヘナ学園〉の治療室にて、飛行船の爆発で頭をアフロにし、イブキのグレッグルの『お仕置き』で身体を包帯まみれのミイラ女にされ、すぐ近くのベットには既に回復を終えたアーボックとマタドガスと言った手持ちポケモン達が入ったモンスターボールが置かれたマコトが、〈アリウス〉に対して怒声を上げていた。
半ば自業自得なのだがそんな考えを持つ程、マコトは殊勝な性格をしていない。
「イロハ、イロハは何処だ! 今すぐ『ヤツ』を用意しろ! このままやられっぱなしでたまるものか・・・・!」
「『ヤツ』と言うと、『あの子』ですか? でも『あの子』、マコト先輩の言う事を聞かないじゃないですか。もう少し横になってた方が良いと思いますよ。後喋るなら、その面白い頭をどうにかしてからにしてください。そもそも既に色々決着してますし」
「何だと・・・・頭?」
『ニャス』
イロハのニャースが手鏡を持ってマコトの頭を映した。
「・・・・・・・・・・・・」
マコトは、派手なアフロヘアーとなった自分の頭をジッて凝視して・・・・。
「な、何だコレはああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「ソレは、だってあの時、火に包まれましたし・・・・はぁ」
騒ぎ出すマコトを尻目に、イロハは頭痛を堪えるように溜息を吐いた。
ーナギサsideー
そして、『救護騎士団』で入院しているナギサ(タブンネ達はボールに収まっている)に、ティーパーティーの行政官が話しかける。
「・・・・お身体の具合はいかがですか、ナギサ様」
「『ヘイロー』が砕けるかと思いましたが・・・・どうやら無事のようですね」
「はい、幸いです・・・・本当に何よりでした。どうかご無理をなさらず」
意識を回復させたナギサだが、自分が寝ている間に『パテル分派』がクーデターを起こそうとしたのを先生が止めたり、『正義実現委員会』と『シスターフッド』、更に『ゲヘナの風紀委員会』が協力し合い、更にはヒフミ達『補習授業部』や、以前ヒフミからの頼みで助力した『アビドス対策委員会』までやってきて、事態を収拾させた事を聞いた。
その報告を受けてナギサは、『ホスト』として陣頭指揮を取らねばならなかったのに寝ていた自分の不甲斐なさと至らなさと情けなさを嘆きそうになるが、今はソレらを飲み込み話を続ける。
「・・・・ありがとうございます。所でいらっしゃったのは、何かご用件が?」
「あ、実はその、ミカ様からお手紙が・・・・」
「・・・・中には何と?」
『ミカからの手紙』、と言うのが、ナギサは嫌な予感を感じてならなかった。
「えっと、ですね・・・・」
『ーーーーやっほーナギちゃん! 何か聞いた所によると、ミサイルが撃ち込まれてからずっと気を失ってたんだって? あんなに色々あったのに気楽にスヤスヤ寝てたなんて、『ホスト』として中々皆には見せられない姿だね? まっ、ずっと頑張ってたんだし休んで欲しいとは思ってたけどさ。まさかソコまでグッスリだなんて思わなかったよ。私は今はデカヌチャンやイエッサンやギャロップと一緒に楽しく牢獄生活しているんだ! それで、無事に目覚めたみたいだし、ちょっとお願い聞いてくれない? 早めにホストに復帰して、どうにかしてくれると嬉しいんだけど! まずここのテレビ、普通の放送しか見られないじゃん? 24時間色んなのが見られるアレ入れてくれない? デカヌチャン達にも美味しいポフィンとポロックとポフレを買ってきてないかな? 後ハンドクリームが切れちゃったの。 私いつものブランドじゃないと肌に合わないからさ、買ってきてくれる? 売ってるところは後で伝えるね! それとヘアドライヤーが何か弱くなってきたんだよね。もうちょっと高いやつに変えてもらえないかな? あ、折角だしナギちゃんとお揃いのにしよっと! すっごく良いブランドの最上級モデル使ってるんでしょ。 髪質良くなったタイミングで変えたの、私見逃してないからね! あとさあとさーーーー』
「・・・・・・・・」
ふてぶてしいミカからの注文が続いていたようだが、ナギサの目から段々と冷酷な怒りが宿り始めた。どうやら暫く会わない内に、幼馴染みは図太くなったようである。
「えっと・・・・どう致しましょう。やはり監獄ではなく・・・・」
「ーーーーミカさんのお食事は今後、全てロールケーキだけで構いません。デカヌチャン達には高級のポケモンフーズとポフィン等を与えて下さい」
「はい・・・・はいっ!?」
ナギサがお淑やかな笑顔で言った台詞に、行政官は目をパチクリとさせた。
ー先生sideー
先生はピカチュウと共にミライドンに乗り込み、〈アビドス〉にいる『対策委員会』の皆に会いに行くと、早速リザードン達初代御三家と、バシャーモ達3代目御三家が模擬戦を繰り広げ、先生達は柴関ラーメンを食べながらソレを見物していた。
『ーーーーアギャァ♪』
「いやぁああああああああ!!!」
セリカだけはミライドンから全力で逃げていたが。
「ーーーー先生。今度できればヒフミさんを連れてきてくれませんか?」
“どうしたのアヤネ?”
「ん。コライドンがヒフミを気に入ったから」
アヤネが真剣な目で先生に懇願し、首を傾げる先生にシロコが先生達が『アリウススクワッド』を追ってから少しして、ヒフミ達と合流してからの映像をスマホロトムで見せた。
【ーーーーアギャォ♪】
【え、えぇぇぇぇっ!? こ、コライドンさん!? な、何を!? あ、あぅぅぅぅぅぅぅぅ!!?】
【ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・】
ソコには、コライドンに捕まって舐め回されているヒフミと、ソレを見て豪快に笑うガルーラ母子と、ウットリとした顔で見るハナコ、お腹を抱えて爆笑するジュペッタ、ドン引きするコハルとヘラクロスの姿があった。
「ーーーー先生ぃー!! できれば! あのアズサって子も一緒に(ガシッ)うわぁぁぁぁっ!!」
『アギャァ♪』
「いやぁああああああああ!!!」
ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。
「うへ〜、アヤネちゃんもセリカちゃんも、『同志』が現れて嬉しいんだねぇ」
「うふふ、コライドンさんもアヤネちゃん以外の『お気に入り』を見つけて嬉しそうでしたし♧」
「ん。『同志』と言うよりも『生け贄』」
「い、いえ! ヒフミさんを『盾役』にしようなんて(ツンツン)えっ・・・・?」
『ーーーーアギャォ♪』
すると、『ひでん:にがスパイス』入りの『先生特製サンドイッチ』を食べ終えたコライドンが、アヤネに近づきーーーー。
「こ、コライドンーーーー」
ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。
「ああああああああああああああああ!!!」
結局アヤネもコライドンの餌食になった・・・・。
「ん、先生。コライドンは泳げるようになったんだよね?」
“うん。そうだよ”
「うへ〜。でも、この〈アビドス〉は砂漠しかないから、泳ぐのは少し難しいかなぁ・・・・」
「うふふ。いつか皆で海にでも行けたら、コライドンちゃんも思いっきり泳がせたいですね♧ 勿論、その時は先生とミライドンちゃん達もですよ☆」
“・・・・うん。邪魔にならないなら、ご一緒させてもらうよ”
この約束が、後に『アビドス対策委員会』が、妙な揉め事に巻き込まれる事になるとは、この時誰も予想していなかった。
◇
〈トリニティ〉も〈ゲヘナ〉も、今回の『エデン条約』で起こった〈アリウス〉との紛争にて、大きな傷痕ができた。
しかし、『シスターフッド』も。
『正義実現委員会』も。
『トリニティ自警団』も。
『ゲヘナ救急医学部』も。
『ゲヘナ風紀委員会』も。
『ゲヘナ給食部』も。
『美食研究会』も。
そして、『救護騎士団』に、団長の『蒼森ミネ』が戻ってきた。
それぞれがそれぞれの『日常』と『青春』を取り戻しつつあった。
先生はこの一件からヒナを猫可愛がりするようになり、ソレに嫉妬したアコと『妙な勝負』をし、アコを『変な趣味』に目覚めさせてしまうのはまた別の話。
ーナギサsideー
〈トリニティ〉の『ティーパーティー』のテラスにて、ミカとタブンネとイエッサン(♂)とポットデス、『見張り役』である『正義実現委員会』の委員に連れられて、ミカとデカヌチャンとイエッサン(♀)とガラルギャロップが久しぶりに対面した。
「ミカさん・・・・」
「ナギちゃん、何でまだそんな顔してるの? 上手く行った・・・・事はまあ、少ないかも知れないけどさ」
「それは・・・・」
しかし、2人の間には気まずい空気が広がっていた。
結局、アレだけの事をしてまで進めていた『エデン条約』はご破産の白紙となったし、『パテル分派』のクーデターで『ティーパーティー』の権威は半ば失墜してしまった。〈アリウス分校〉の事も片付いていない。確かに、8:2で失敗の方が大きい。
タブンネ達もデカヌチャン達も心配そうにしていた。
「ーーーーまだ私達には、解決できていない『宿題』が山積みだから・・・・だろう?」
が、テラスの外からフヨフヨと紫色の気球のようなポケモンが入ってきた。『ききゅうポケモン・フワライド』であり、そのフワライドにブランコのようにぶら下がりながら現れたのは、昏睡状態にあった筈の『百合園セイア』であった。
そして、まるで白衣のように両手の羽根を前に畳んでいる鳥『せいれいポケモン・ネイティオ』。
水色とピンクのロングヘアーで身体を覆う、セクシーな女魔法使いを思わせる外見で、帽子の先からは先端が箒の様な形となった触手が伸びた『せいじゃくポケモン・ブリムオン』も、【テレポート】で現れた。
「セ、セイアさん・・・・?」
「セイアちゃん!?」
「・・・・やあ、ナギサ、ミカ。久方ぶりの集合だね。長い時間が経ち、色々な事があったが・・・・私達はそろそろ、お互いに話すべきだろう。『言わなかった事』や、『言えなかった事』。そして、『本当に言いたかった事』を。『誤解』もあるだろう、『信じられない事』もあるだろう。例えどこにも到達できないとしても・・・・ソレでも、他者の心という証明不可能な問題に向かうしかない。私達は皆、進まねばならない。その『宿題』をずっと背負いながら、それでもこの闇の中を・・・・ただ、その先を目指して」
セイア達の復活に驚くナギサとミカ。そしてセイアは長々と自分たちがやるべき事を2人に説明する。
「・・・・ですね」
「うん、それはすごく同感・・・・だけど、相変わらず難しい事ばっかり。セイアちゃん、だから友達いないんでしょ? ちょっとは自覚してる?」
「・・・・・・・・」
ナギサはそれに頷くが、ミカは相変わらずセイアの長ったらしい説明にウンザリした様にカラカラと笑いながら言うと、セイアの目が鋭くなっていく。
「先ずミカはその良く鳴りそうな頭に、教養と品格を入れてもらった方が良さそうだね?」
「あの、お二人とも・・・・」
いつもの『ティーパーティー』の様子に、イエッサン達とブリムオンが紅茶とケーキを用意し、手持ちポケモン達も各々寛ぎ始めた。
ー先生sideー
一方、先生達は再び『補習授業部』が設立されと聞き、その担当教師として招かれて教室に入るとーーーー。
“えっと・・・・前の『補習授業部』は一旦全員卒業したはずで・・・・”
『ピカ・・・・』
『カルゥ・・・・』
『ブイ・・・・』
『バシャ・・・・』
『ラージ・・・・』
『ジュカ・・・・』
『アギャァ?』
“今度はまた新たに補習授業部が、って聞いて来たんだけど・・・・?”
「・・・・・・・・」
「♪」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
“同じメンバーだね!?”
そのメンバーが、卒業した筈のヒフミとハナコ、コハルとアズサだった事に驚いた。そして『補習授業部』のメンバー(ハナコ以外)は、何とも言えない顔をしており、ガルーラは呆れ顔を浮かべ、ヘラクロスは居た堪れないのか両手で顔を隠し、カイリューはまた皆と一緒なのを嬉しそうに、ジュペッタはお腹を抱えて笑っていた。
「あ、あはは・・・・それが、その・・・・。ペロロ様のコンサートに参加してたのですが、実は試験日だったようで(ゴンッ)あいたぁ!?」
『ガルラ・・・・』
『カルラ・・・・』
またもや『モモフレンズ』で試験日をサボったヒフミの脳天に、母ガルーラがゲンコツを振り下ろして、子ガルーラと共に頭を下げた。
「次の試験範囲はまだ習ってない」
『カォ♪』
いつも通りの顔をするアズサと、そのアズサに後ろから覆い被さるように寄り掛かるカイリュー。
「えっと、その・・・・3年生の試験を受けてみたんだけど・・・・」
『ヘラクロ・・・・』
つい調子に乗って上級生のテストを受けてしまったコハルと、メガシンカの影響で全身筋肉痛になってしまい、湿布を全身に貼り付けたヘラクロスが、コハルを止められなかった事を謝罪する。
「1人だけ放置プレイなんて、寂しいじゃないですか♡」
『ジュッペぺぺぺ♪』
あからさまにワザとサボったハナコと、宙に浮いてお腹を抱えて笑うジュペッタ。
“・・・・・・・・・・・・”
『・・・・・・・・・・・・』
そして4人はそれぞれ『補習授業部』送りになった理由を先生に説明する。その理由を聞いて先生達は呆れて何も言えなかった。
「あ、あの、すみません先生・・・・何だかまたこんなことになって・・・・。で、ですが今回は退学もありませんし、試験範囲もちゃんと普通の・・・・」
“・・・・・・・・・・・・”
『・・・・・・・・・・・・』
ーーーーバタン・・・・。
頭に大きなタンコブを作ったヒフミが何とかフォローするが、先生とピカチュウとルカリオとイーブイ(色違い)、バシャーモとラグラージとジュカイン、そしてミライドンとボールの中にいるミュウツーまでも、強烈な目眩いがしてその場に全員仲良く倒れてしまった。
「せ、先生!?」
『ガラァ〜・・・・』
『カルラァ☆』
「先生!」
『カォ!』
「な、何ソレ! そんな反応しなくても良いじゃん!?」
『ヘラクロス・・・・』
「あら、コレは・・・・」
『ジュペッ』
ーーーースパン・・・・!
寝ている先生にイタズラしようとしたハナコの頭に振り下ろしたジュペッタのハリセンの音が、透き通るような青空にまで響くのであった。
ーアツコsideー
「・・・・・・・・・・・・」
アツコは、サオリ達と共に闇の中を歩く途中、グレンアルマ(色違い)とソウブレイズ(色違い)と共に後方を、『明るい世界』で生きる事になったアズサに語りかける。
「アナタはコレからも、沢山の事を学んでいくでしょう。コレからもずっと、友人達と一緒に。勉強し、努力をし、様々な可能性を見つけるのでしょう。・・・・アナタは強いから。例え全てが虚しくても、この世界が暗く寂しいものでも・・・・例え、コンクリートの隅であっても・・・・アズサ。あの時見せてくれた花の事・・・・今は少し、理解できたかも知れない。もう2度と会う事は無いかも知れないけど。ーーーーどうか、幸せに」
アツコは袂を分かったアズサに別れと祈りの言葉を言って、自身の騎士達を連れ立って、サオリ達と共に闇の中へと消えていった。
ーーーーそして、コンクリートに敷き詰められたとある場所には、懸命に青空の下で大輪を咲かせる、1輪の花があった。
ー???sideー
そしてここは〈アリウス分校〉のとある場所。謎の女性、〈キヴォトス〉の人間とは違う異形な姿をした女性が、アリウス兵からの報告を豪奢なソファーに寝転がりながら聞いていた。
「・・・・左様でしたか。あの『ロイヤルブラッド』、逃げたのですね。・・・・捕まえてきてください。怪我の無いように、丁重に。『彼女』以外は、全員『処理』しても構いません・・・・ええ。『ヘイローを破壊』しても構わない、という意味です」
謎の女性は『アリウススクワッド』を『処理』、『ヘイローを破壊』と言う冷酷な命令を下したが、『ロイヤルブラッド』、つまりアツコだけは丁重に捕獲するように命じた。
『ーーーーーーーー』
そして、その女性の後ろで、『幾つもの枝分かれした樹』の上で、『1匹の巨大な鳥』が大きく翼を広げていた。
ーーーーキヴォトスに蠢く闇が生徒達に牙を剥こうとしていた。
ー???sideー
「・・・・そう、『エデン条約』は白紙になったって事ね。〈アリウス分校〉のお陰で、〈トリニティ〉と〈ゲヘナ〉はお互いの自治区の治安維持と戦力を整えるのに暫くは他の事に手が回らなくなった・・・・か」
多くのモニターの光だけが照らされた暗い部屋で、その部屋の主は、自分の『従者』からの報告を受けて、フム、と頷く。
〈アリウス分校〉と、その裏にいる『ゲマトリア』の暗躍は察知していたが、コチラの想定以上に2つのマンモス校を消耗してくれたようだ。
「・・・・動くのは今、ね」
コンソールを操作すると、3つのモニターに映る『3匹の鳥ポケモン』を見やった後、後ろにある檻に閉じ込められた『2匹のロボットのようなポケモン』を一瞥してから、コンソールを操作した。
「このポケモン達の捜索と確保に少し時間を取られたけど、まぁ誤差の範囲だわ・・・・」
部屋の主は、全てのモニターの映像を1人の女子生徒の姿で埋め尽くした。
ーーーー『ゲーム開発部』の『天童アリス』である。
「ーーーー『アリス』、アナタを『抹殺』するわ。〈キヴォトス〉を守る為に・・・・!」
〜エデン条約編・完〜
次章では、〈ミレニアム〉で新たな騒動が幕を開ける。