黒と白の会合とゲーム開発部の日常
ー???sideー
ミレニアムプライズから時が経ち、『エデン条約』の一連の騒動もようやく落ち着いてきた頃。
『ミレニアム自治区』にある〈ミレニアムサイエンスクール〉の象徴『ミレニアムタワー』。
ソコにある生徒会『セミナー』の執務室にて、2人の少女が邂逅していた。
「あら・・・・『超天才清楚系病弱美少女』の来訪を、電気もつけずに迎えるなんて・・・・。来客をもてなす気がこれっぽっちも無いという点、とてもアナタらしいとは思いますけど・・・・。ですが、暗い部屋でモニターをつけていると目が悪くなりますよ?ーーーー『リオ』」
部屋に入ってきて中々自己愛の強い台詞を吐いたのは、1言で言えば『白く美しい女の子』であった。
蒼白い肌と薄紫色の瞳。左目の下には泣きぼくろがあり、 腰まで届く白みがかった薄紫色のロングヘアー。耳の後ろの髪は、金色の装飾がついたネイビーブルーのリボンで結ばれ、長く尖った耳をしており、黒い円柱型のイヤリングを着けており、儚げで細い身体にはモノトーンを基調としたシックなデザインの衣装を厚着にして着込んでおり、『ヘイロー』は六角形のパターンに配置された6つの矢じり形の断片と、その間にある6つの光る白い花びらで構成されており、下半身が不自由なのか電動車椅子に乗っていた。
「万全を期しているだけよーーーーこの会談を外部に知られてはならないもの。その為であれば、この程度問題ではないわ」
その部屋の主である少女は目の前の少女とは真逆に、『黒く美しい少女』であった。
女性にしては高身長の170位で、艶やかな黒髪のロングヘアで頭頂部やサイドなど部分的にウルフカットのようになっており、前髪の一部をヘアピンで留めており瞳の色は赤い。〈ミレニアムサイエンススクール〉指定の制服に、黒いジャケットと白いタートルネックを合わせたシックな装いをした服装には、儚げでスレンダーな白い少女とは真逆に、大きな胸部と服越しでも分かる女性として理想的な抜群の肢体をし、『ヘイロー』は、外側が黒い円環で内側に2本の折れ曲がった雷か稲妻のような形状をした赤い線が配置されたデザインをしている。
執務室に集ったのは、ミレニアム史上3人しかいない『全知』の称号を持つ、『超天才清楚病弱美少女ハッカー』こと3年生の『明星ヒマリ』と、『ミレニアム生徒会の生徒会長』であり、『ビックシスター』とも呼ばれている3年生、『調月リオ』。
パーソナルカラーも性格も体型も、何もかもが対照的な2人は、どうやら他言無用の極秘の会談を始めようとしているようだった。
「この訪問はデータベースには残らない。つまり、『記録上私達は会って等いない事』になっている。全てはーーーー“コレから話す内容の機密を守る為”」
「リオったら、真面目なんですから・・・・『貴方は私の姉なの?』くらいの軽口を返せないと、ユーモアからは程遠いですよ。今のだって、超天才清楚系病弱美少女の軽い冗談ですから。ふふっ」
「?・・・・貴方は私の姉ではないわ。急にそんな非合理な話をするなんて・・・・どうしたの、ヒマリ」
「・・・・ええ、ええ。そうでした。アナタはそう言う人でしたね。ユーモアを解さずに『合理』だなんて・・・・アナタの好きな表現でしたね、ソレ」
この会談を秘匿にする事を説明するリオに、ヒマリは軽い冗談を言って場を和ませようとすが、当のリオはヒマリの冗談をただ言葉の通り受け取る。ソレを聞いてヒマリは呆れたような、諦めたような表情で肩を落とすのであった。
「好悪の話ではないのだけれど・・・・事実でしょう? この会合が秘匿されている事くらいは、アナタも理解しているものだと思っていたのだけれど」
「ソレはどうでしょう?ーーーーそもそも、人目を気にするのであれば『他の場所』にすれば良かったのでは?」
「・・・・『他の場所』?」
「ええ、例えば・・・・誰かさんがこっそり作っているーーーー『セーフハウス』・・・・とか?」
「・・・・・・・・・・・・」
ヒマリはリオが秘密裏に作った『セーフハウス』の事を口に出す。それを聞いたリオは押し黙ってから口を開く。
「・・・・本題に入りましょう」
「あらあら、話を逸らすつもりですか? ふふ・・・・ええ、構いませんが」
「まず、お互いの認識のすり合わせを。前回、『鏡』を巡ってミレニアム生が起こした一連の騒動ーーーー“ソレは私たちが共に仕掛けた事だったわね”」
「ええ。私が『鏡』という手段を用意し、リオが『C&C』という危機を提供するーーーー珍しく1つの目的の為にアナタと私が協力した事でした」
以前、モモイ達『ゲーム開発部』が『G.Bible』の解析の為に『鏡』を『ミレニアムタワー・差押品保管所』から奪取しようと、ウタハ達『エンジニア部』、ハレ達『ヴェリタス』の協力を得て、ユウカ達『セミナー』やネル達『C&C』と派手にドンパチした騒動は、どうやらリオとヒマリが裏で手を回していたものであった。
彼女達には、何やら『目的』があるようである。
「そう・・・・“アリス‹AL-IS›の正体を明かす為に”」
「・・・・アレから少し経つけれど・・・・解析の結論は出たかしら?」
「勿論です」
彼女達が仕組んだあの騒動は、『廃墟』で眠っていた謎の存在、『AL-IS』こと、『天童アリス』の正体を解析する為であった。リオが解析の結果が出たのかと問うと、ヒマリは1度頷き、一拍置いてから口を開く。
「アリスの正体・・・・ソレはーーーー『無名の司祭』が崇拝する『オーパーツ』でありーーーー」
「ーーーー遥か昔の記録に存在する、『名もなき神々の王女』」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
〈ミレニアムサイエンスクール〉の『頭脳』とも言える2人の天才が導き出した『答え』は、天童アリスーーーー『AL-IS』が『無名の司祭』と呼ばれる者かが崇拝する『名もなき神々の王女』という事であった。
2人が結論を言い合った後、少しの間、重い沈黙が部屋を支配する。
「そう・・・・同じ解釈になったようね。つまり・・・・『あの存在』の本質は・・・・」
「ええ。アリス、あの子はーーーー」
「ーーーー『世界を終焉に導く兵器』」
「ーーーー『可愛い後輩』ですよね♪」
2人が最終的にアリスの事を判断しようとしたが、リオはアリスを『兵器』と言うのに対し、ヒマリはアリスを『可愛い後輩』と断じたその瞬間、ソコで両者の意見が決定的に食い違ってしまった。
「・・・・・・・・?」
「?・・・・あら」
「アナタは一体、何を言っているの?」
「リオこそ、一体何を言っているのですか・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
お互いに、相手の言葉が理解できないと言わんばかりに見据える。色々と真逆な『天才』の2人は、相性は良くないようである。
「・・・・そう。じゃあ、私達の『同盟』はここで終わりという事ね」
「そうですね。『同盟』ではなく、『休戦』でしたが・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
考え方の相違を理解したリオは『同盟』の『解消』を言い渡すが、その言葉に対してヒマリは『休戦』をしていたと返した。徐々に2人のいる部屋は最悪の空気となり、リオは懐に手を伸ばし、ヒマリは袖口から、お互いにソッとーーーー『ハイパーボール』に手を置いた・・・・。
「ーーーー私は、この『真実』に基づいて、成すべき事の為に行動するわ」
「ーーーーならば私は、自分の信じる『理想』の為に、アナタと敵対します」
2人が手を置いたハイパーボールからオーラが放たれ、2人の背後で形を成していき、『大きなポケモンの影』が現れる。
ーーーーリオの背後からは『赤い炎を纏う白い影』が・・・・。
ーーーーヒマリの背後からは『青い稲妻を纏う黒い影』が・・・・。
しかし、ここでこの2人の『隠し球』を戦わせてしまえば、間違いなく『ミレニアムタワー』が崩壊する。そう思い、リオが手を挙げ、
ーーーーパチンッ! ウィーン・・・・。
リオが指を鳴らすと、どこからともなく『AMAS』と印字されたロボット達が部屋に入ってきてヒマリと『ポケモンの影』を囲む。
「ああ、これが噂の・・・・最近アナタが作っている『おもちゃ』ですね」
「『同盟』を解除した以上、貴方をこのまま帰す訳にはいかないわ」
リオはヒマリが『同盟』を解消した時に備えて、このロボット達を配備していたようだ。
「まぁ・・・・そうでしょうね。アナタならそうすると思ってました。しかしまぁ・・・・可愛げのない『おもちゃ』ですね。コレならまだ『コイル』や『ポリゴン』の方が愛嬌がありますよ?」
ーーーーポチッ、ピピピピ・・・・ドンッ!
「ッ・・・・!? 私のオフィスが・・・・『ハッキング』された・・・・!?」
「あらあら・・・・『ビックシスター』の部屋は『無敵』だとでも?」
しかし、ヒマリの方もヒマリでリオの動きを予測していたようで、既にリオのオフィスにハッキングを仕掛け、証明を落としたようである。・・・・お互いの事を意外に理解し合っているようだ。
「『AMAS』、ヒマリを捕らえなさい・・・・!」
「ふふ、病弱美少女に不可能なんてないんですよ」
ーーーーピピピピ・・・・ガシャン・・・・!
「(『AMAS』の全個体が、動作を停止した・・・・? まさか、照明システムがダウンした瞬間に・・・・!? あの一瞬でコレだけの規模のハッキングを・・・・?)」
リオはヒマリを捕らえるよう『AMAS』に命令するが、その瞬間、全ての『AMAS』の機能が停止した。
ヒマリのハッキング技術の高さは知っていたつもりだが、どうやらリオの想定以上であったようだ。
「(・・・・感心してる場合じゃない。ドローンの制御権を復旧させないと)」
リオが手に持っていたタブレットで制御権を取り戻そうとしたその瞬間ーーーー突然、部屋の証明が点いたり消えたりと、不規則に点滅を繰り返していた。
「ん? なんで照明システムが反応・・・・」
ーーーガシャァーン!!・・・・バンッ!
「うっ・・・・!」
いきなり部屋の窓が破壊されると同志に、強い光が部屋中を包み、リオは周りが見えなくなった。
「ヒマリは・・・・・・・・そう、抜け出したのね」
そして、光が収まり、眩んでいた視界が漸く元に戻ると、ソコにはヒマリの姿が無かった。窓ガラスが破られたのに警報が鳴らないあたり、まだハッキングの影響を受けているのだろう。
「(あの時、窓ガラスを破ったのはーーーーヒマリの『メタグロス』・・・・)」
部屋の窓を突き破って、一瞬だけ侵入した存在を思い返すとソレは、ヒマリの手持ちポケモンである『メタグロス(色違い)』であった。恐らく外に浮遊しながら待機させ、先程の部屋の灯りの点滅をモールス信号のように使い、『メタグロス(色違い)』を突入させて、【フラッシュ】を使って視界を封じさせたと判断した。
ーーーー恐らく今頃は『メタグロス(色違い)』に乗り、浮遊移動しながら逃げているのだろう。
「・・・・流石は『ヴェリタスの部長』・・・・。できる事なら、味方にしておきたかったけれど・・・・本当に残念よ。・・・・はぁ、非合理的なこの方法だけは、選びたくなかったのにーーーー」
リオは耳に付けた通信インカムで連絡をとった。
ーヒマリsideー
そして、『ミレニアム自治区』の空中、無事にリオから逃げ出したヒマリを車椅子ごと担いで空を浮遊する『銀色の影』があった。
「ふふっ、こんな事もあろうかとメタグロスにモールス信号を学ばせておいて正解でした♪ メタグロスもナイスタイミングでしたよ☆」
『ーーーーメダ』
円盤状の体と顔面にあるX字の部位、4つの太い脚が特徴的なポケモンで、本来の体色は青緑色なのだが銀色で、顔のX字の部位と爪が白色なのだが金色に変わっている『てつあしポケモン・メタグロス(色違い)』である。
メタグロス(色違い)は4本の腕で頭の上に車椅子のヒマリを乗せ、落ちないように押さえつけながら浮遊している。勿論ヒマリを車椅子に改造を施し、落ちないように3点式シートベルトが巻かれている。
「自分と意見が違うと気づきや否や、躊躇いなく行動するその姿・・・・久々に見ましたが・・・・相変わらずですね、リオ。まぁ、『超天才病弱美少女』の私には無意味ですが♪ さてさて・・・・これでリオより先に・・・・」
ーーーーヒュゥゥゥゥン・・・・。
「ん・・・・?」
リオが次の行動に移す前に、次の手を打とうと考えたヒマリの後方から、『何者か』が空からコチラに向かってくる風切音が聞こえてきたのでヒマリが振り向くと・・・・。
ーーーーバリバリバリバリッッ!!
『メダァアアアアッ!!』
「くっ・・・・!? アナタは・・・・誰・・・・?」
『何か』が突然横切り、その瞬間に凄まじい電流がヒマリとメタグロス(色違い)に襲い掛かった。
そして、暗闇に映るそのシルエットを見た。
「アナタは・・・・まさか・・・・『5番目のC&C』・・・・」
最後にそう言い残し、ヒマリは意識を手放し、メタグロス(色違い)と共に地面に向かって落下していった・・・・。
ー先生sideー
〈トリニティ〉で『エデン条約』の騒動が終わっても、先生の仕事が収まる訳では無い。
『エデン条約』で頑張ったヒナの為に『夏休み』をしたり、〈山海経〉で『春原シュン』が幼女化してしまい、パートナーの『ハミングポケ・チルタリス』と共にフォローしたり、シュンの妹『春原ココナ』とパートナーの『わたどりポケモン・チルット』と出会った。
更には『C&C』と共に〈ミレニアム〉の超問題児『黒崎コユキ』とパートナーの『ねんりきポケモン・ユンゲラー』を捕まえたりした。それで『C&C』と仲良くなり、先生はネルの事を可愛がるようになり(ネル自身には怒られているが)、アスナには大型の犬系ポケモンよろしく懐かれたり、アカネには献身的に尽くされたり、カリンにはセクハラしたりする仲になった。
と、色々と仕事を終えたある日、久しぶりに『ゲーム開発部』から部活動に付き合って欲しいと連絡を受け、先生はピカチュウとルカリオとイーブイ(色違い)、そしてマグマラシとベイリーフとアリゲイツの『2代目御三家』を引き連れてミライドンに乗り込み、『シャーレ』の防衛と留守番を3代目御三家に任せてミライドンに乗り込み〈ミレニアム〉にある『ゲーム開発部』の部室へと向かった。
しかし、部活動と言っても、何をするのか具体的な話は聞けずじまいで・・・・。
「ーーーーおりゃあーっ! 先生、覚悟して! 今からとっておきの必殺技・・・・! 『モモイスプラッシュ』を見せてあげるんだから!!」
『プラプラァ!』
気が付いたら、部室でモモイとプラスルと2D格ゲーをしていた。
『ピカチュウ!』
“とっておきの必殺技っ・・・・!!”
ーーーーバシュバシュッ!
先生とピカチュウも、モモイとモモイの頭に乗ったプラスルのノリの乗って、戦慄したような顔になると、モモイの操るヌオーが先生が操るドオーを執拗に攻撃してくる。
「フッフッフッ! 私のコンボに死角はないよ! 先生の! HPが無くなるまで! 止まらない! やぁーーっ!」
『プラァーっ!』
ーーーードン! バタン!
《Player MOMORIA LOSE!》
《WINNER! Player先生!》
が、無情にも画面には、モモイの敗北と先生の勝利が標示された。
「・・・・うわーん! 何で私のコンボが当たらないの!?」
『プラプラ・・・・』
“モモイは焦るとレバガチャしちゃうから・・・・”
「そんなっ!? もう私の攻撃パターンを見切ったの!?」
「ーーーーと言うか、お姉ちゃん・・・・先生は今日始めたばっかりの初心者だって言ってたよね」
『マイマイ』
「うわっミドリにマイナン!!? あんまり辛い現実を突きつけないで! 今のは無効! 無効だから!」
負けたモモイは先生との勝負を見ていた双子の妹ミドリと、ミドリの肩に乗ったマイナンの言葉を聞いても、無効だと叫び出した。
「もう1回! もう1回やって先生!、今度は正真正銘とっておきのコンボを・・・・」
“その言葉、もう8回目・・・・”
「え!? もうそんなに!?」
どうやらモモイは先生を相手に8連敗をしているようであった。
「そうだよお姉ちゃん。その辺にしておこう? 先生が困ってるでしょ」
「で、でも負けたまま終わるのは、げ、ゲーマーとしてのプライドが・・・・」
「またそんな事言って・・・・じゃあ先生は負けたまま終わっても良いって事?」
「うにゃあっ!? ソレは・・・・そ、そう、なる・・・・?」
“私は別に大丈夫だよ”
「はあ。先生、あまりお姉ちゃんの事甘やかしちゃダメだよ?」
ミドリがどちらが姉か分からなくなる事を言いながら、モモイに詰め寄る。
「と言うか、こんなに遊んでばっかりで・・・・お姉ちゃん・・・・今日の部活の目的、覚えてる?」
「あっ、そうだった・・・・!」
「・・・・“そうだった”?」
「ち、違う! 違うのミドリ! ちゃんと覚えてるから! ね!」
ミドリの頭に血管が浮かべながら静かに詰め寄り、プラスルはモモイの頭から離脱し、モモイが必死に言い訳をする。
“そう言えば、まだちゃんと話聞いてなかったね”
「えっ、お姉ちゃん・・・・先生に何も説明してないの・・・・? おね〜〜ちゃ〜〜ん?」
「い、今! 今から言うから!」
先生に何も説明していなかった事を聞き、ミドリの目つきが鋭くなっているのを見てモモイはコレから説明すると言い出した。
「・・・・今日は、『次回作』のアイデア出しをしようと思って!」
“『次回作』・・・・?”
『ピカ?』
「はい。ウチもそろそろ『次回作』の準備をしようという話が出たんです」
モモイが一拍置いてから話した理由に、先生とピカチュウは首を傾げるとミドリは補足をする。
「そう! しかも、いつも捕まらない先生の手が空いたって聞いたから、コレはと思って呼んでみたの!」
“・・・・あんまり顔出せなくてゴメンね。確かに、丁度手が空いた所だね”
「まぁ、先生が忙しいのは知ってるから・・・・来てくれてありがとう! 兎に角! こうして先生に来てもらえたのだから、『次回作』の意見を聞けるんじゃないかな〜って。ソレに、先生ならスゴいアイデアをいっぱい出してくれるんじゃないかな〜って・・・・そう言う訳で、部室に来てもらいました!」
つまり、先生から『次回作のアイデア』を貰おうという事である。
“う、うん・・・・ちょっと期待が重いような・・・・と言うか、ずっと格ゲーばっかやってるような・・・・?”
「あ、ソレはお姉ちゃんのアイデアなんです」
「そう、ゲームを分析しようと思って! 何も浮かんでない状態でグルグル悩んだって、良いアイデアは出てこないじゃない?」
「だから色んな人気作をプレイして、その上でアイデアを出してみよう。と言う事になったんです」
“成る程、一理あるね”
モモイもモモイで、『次回作』のアイデア探しをしていたようである。
「ふふふ! でしょ? 特にさっき先生とやってたこのゲームは、『みずうおの拳〜ヌオー大列伝〜』は、格ゲー界隈でも色んな意味で異端児と呼ばれてる人気ゲームなんだ! 参考になる点が多いゲームだから、コレを解析すればきっと・・・・次回作に役立つ素晴らしいアイデアが浮かんでくる! 筈!」
何ともクソゲーの気配が漂うゲームである。
「ウチの次回作は『まったりスローライフ系ダンジョン探索型RPG』なんです」
“ソレなのに格ゲー要素が入るの!?”
「何を言ってるの先生! 確かに一般人から見たら、『ダンジョン探索型RPG』と『格ゲー』は接点が無さそうに見えるかも知れないけど・・・・」
“『無さそうに見えないかも知れないけど』・・・・?”
「ふっふっふっ! 見た目で判断するのはNGだよ! 次の『ミレニアムプライス』を狙うなら、誰にも予想が付かないような新しい挑戦が必須! そう、つまり! 先入観を捨て、あらゆる偏見を乗り越えてこそ、新しい地平線の向こうへ行けると言うもの・・・・!」
「全く関係なさそうなジャンルの要素を組み合わせをしたら、意外と面白いゲームになるかも知れませんし」
「あっ! ミドリ! 私のセリフ言わないでよ!」
「お姉ちゃんが勿体ぶって言わないからだよ」
「うわ~ん、酷いよ〜!」
次回作の内容に首を傾げる先生にモモイが熱弁するが、ミドリが簡潔に補足した。
“皆新作開発に全力なんだね”
「ん?」
「あ・・・・」
「ふふふ。そりゃあ、勿論!」
「はい。私達やマイナン達だけじゃなく、ユズちゃんとアリスちゃんも。デンチュラにデデンネも。皆で一緒に・・・・今度こそ、『ミレニアムプライス』を取ると約束しましたから」
『プラ♪』
『マイ☆』
「うん。ソレが、今私達に与えられた『クエスト』なんだ!」
と、才羽姉妹とプラスルとマイナンが言うと、部室の扉のドアノブに誰かが手を置いた様にカチャリと開かれる。
「ーーーーモモイ! ミドリ! プラスル! マイナン! 先生! ピカチュウ! 非常事態です!」
『デデン!』
部室に入ってきたのは、別室でユズとデンチュラと共にゲームをしていた天童アリスとパートナーのデデンネ(アリスの頭に乗っている)であり、何やら深刻そうな顔をしていた。
“こんにちは、アリスにデデンネ。どうしたの?”
『ピカ?』
「あれ、どうしたのアリス?」
「ーーーー遂に、ユズがオンライン10連勝を超えました!」
「え? 本当!?」
「このバランスが終わったゲームで10連勝も!?」
と、別室で同じ2D格ゲーをオンライン対戦でプレイしていたユズが部室に戻ってくると、鮮やかなで肉眼で捉えられない位の速さの指の動きで画面のキャラを動かすと・・・・。
《WINNER! Player UZQueen!》
「ふあぁ・・・・」
『チュラ』
「カッコの良かったよ、ユズ!」
『プラァ!』
「ユズちゃんはスゴいね」
『マイマイ!』
「ありすはかんどうしましたか! 流石は」伝説の勇者『UZQueen』です!
「あっ、う、うん・・・・?」
“ユズおめでとう! 完璧な勝利だったね!”
「でしょ! コレがユズのパーフェクトスタイル『UZQueenモード』だよ」
“『UZQueenモード』?”
『ピカァ?』
仲間達や先生から絶賛されるユズをモモイが更に持ち上げ、先生に更に詳しく説明する。
「説明しよう! 『UZQueenモード』とは! 特定の状況下で発動するユズのバフスキルだよ! いつもよりちょっと大胆になって、頭の回転は普段の1.5倍! 動体視力は2.8倍も上昇するの!」
「そんな設定、いつの間に付けたの?」
「アリスも知ってます! こういう時のユズはスゴく強いです! アリスも『UZQueenモード』が欲しいです!」
『デデン!』
“『UZQueenモード』ってスゴいんだね・・・・!”
「せ、先生まで!? そ、その・・・・あうぅ・・・・で、デンチュラぁ〜・・・・」
必要以上に持ち上げられ居た堪れなくなり、顔を青ざめたユズがデンチュラの後ろに隠れる。
「ふ、普通に頑張っただけ、何だけど・・・・」
「ユズの活躍を見ていたら、アリスもやる気が出てきました! 次はアリスの番です!」
『デデン♪』
デデンネがポンポンを出したプラスルとマイナンと共に、両手に〈ミレニアム〉の校章が記された扇子を出して、やる気を出すアリスを応戦し、皆に見守られる中、アリスの格ゲー挑戦が始まった。
「ーーーーモモイ、ミドリ、ユズーーーーそして先生みたいに、アリスも格ゲーで勇者になります!」
「お姉ちゃんは『勇者』と言うより、『勇者に倒される役』だと思うけど」
「妹よ! 時には真実が痛い時もあるんだよ!?」
ミドリ‹妹›の辛辣な言葉にモモイ‹姉›は情けない顔をしながらツッコミを入れる。
「あ、アリスちゃん・・・・が、頑張れ!」
『チュラ』
「はい! アリス、頑張ります!」
《Challengers Next Battle!!》
ユズとデンチュラが応戦し、アリスがコントローラーを手に持つと、次の挑戦者がアクセスしてきた。
“あっ、挑戦者が現れたみたいだね”
「モモイ相手に鍛えてきた腕前、見せます!ーーーーやあっ!」
◇
そしてアリスめ、2D格ゲーモードでオンライン対戦をしていたが、なんと相手のキャラが消えたり攻撃が通過したりと、所謂チートを使ってアリスを負かしたのであった。
そんな悪質なチーターのやり方が『UZQueen』の怒りを買い、彼女がゲームち乱入し、相手のチート能力を悉く攻略して撃破した。
《WINNER! Player UZQueen!!》
「ふう・・・・。コレで・・・・勝った、よね?」
『(コクリ)デンチュ』
最後に鮮やかなコンボを決めたユズの勝利をデンチュラは当然の結果と言わんばかりに頷く。
“コレが・・・・『UZQueen』・・・・!”
『ピィカァ・・・・!』
『・・・・アギャ♪』
先生とピカチュウ、そしていつの間にか出ていたミライドンも、ユズの隠れた才能に驚愕した。
「スゴい! スゴいよユズ! 『スゴい』って言葉じゃ全然足りない位スゴい!」
『プラプラァ!』
「はい! アリスも! ずっと夢中で見守ってました!」
『デデンネ!』
「相手がいくらチートを使っても、私達には『ハメ技』がある・・・・って事だね」
「うん・・・・つ、使い過ぎたらゲームが楽しくなっちゃうし、その・・・・友達同士だと・・・・ケンカになっちゃうから、好きじゃないけど・・・・相手がチート使いなら遠慮はいらないかなって・・・・こ、コレも、ゲーム要素の1つだし」
「成る程! 『ハメ技』もゲーム要素の1部! アリス、理解しました!」
「もしかしたら、再戦した時に『ハメ技を無力化するチート』を使ってくるかも知れないけど・・・・・・・・ソレでも、戦えば勝てるよ。うん・・・・私達は、『ポケモントレーナー』で、『ゲーマー』だから」
“ユズは本当にスゴいよ”
普段は頼りないが、此処ぞという時は決めてくれるユズに、先生は感心したように笑みを浮かべる。
「あっ、せ、先生まで・・・・その、た、大した事ではないです」
『ーーーーアギャ♪』
「えっ・・・・ひぃっ!? み、ミライドンーーーー」
ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。
「あ、ああああぁぁぁぁ・・・・!!」
『チュラァチュラァ!』
照れていたユズが、自分の直ぐ側にいたミライドンの存在に気が付いて、顔を青ざめるが、ミライドンは遠慮なくユズの顔を舐め回し、デンチュラがミライドンに糸を巻き付けて「どうどう!」と言わんげに押さえようとしていた。
「いやぁ~、最後に勝てて、スゴく、スッキリしたー!」
「コレでゲームの分析もできた事だし・・・・お姉ちゃん、『企画会議』を始めよっか?」
「・・・・ん、『企画会議』? 何の?」
「・・・・・・・・・・・・」
モモイの呑気な台詞にミドリは背後に、『ゴゴゴゴゴゴゴゴ』、と、まるで怒りを抑えるユウカの様なオーラを放ち、プラスルとマイナンが才羽姉妹から少し距離を空けたその瞬間・・・・。
「ーーーーおね〜ちゃ〜ん!」
「そ、そ、そうだ! そうだったね! も、勿論、やるってば!」
悪質なチーターを撃退した事で、『ゲーム開発部』はより一層に『絆』を強くし、『ミレニアムプライス』に向けて『新ゲーム』の開発に勤しむのであった。
そんな、いつものような『ゲーム開発部の日常』が続いていく事を、この時は誰も疑い事なく信じて・・・・。
リオとヒマリの『伝説のポケモン』はあの2体にしました!
次回、他の生徒達のポケモンもチョロっと出てきます。