ー先生sideー
ーーーーガタンゴトン・・・・ガタンゴトン・・・・。
『デデン・・・・!!』
「ここが・・・・」
「『エリドゥ』・・・・」
「ここに、アリスちゃんが・・・・」
先生達と『ゲーム開発部』と『エンジニア部』、そして『C&C』は『物流輸送用無人列車』の窓から『要塞都市エリドゥ』の全貌を見ていた。
映像で見ても驚いたが、実際に間近で見ると途轍もない広さである。〈ミレニアム〉に〈トリニティ〉に〈ゲヘナ〉。三大学園の自治区並の広さを持った巨大都市に更に度肝を抜かれ、各々の感想を呟いた。
そして『エリドゥ』のターミナルステーションに着き、見つからない様にコッソリと列車の外に出て、地下施設の方に到着した。
「ーーーー良し、想定通り『物流輸送用無人列車』で現場に来れたね」
「うん。『ヴェリタス』が手伝ってくれたお陰」
「流石『ヴェリタス』です! まさかポリゴン達を使わずに『列車システム』ごとハッキングして下さるとは!」
《・・・・ちょっと言葉にトゲない? 気のせい? まぁ良いや・・・・気を付けてね。その通路の先、地上に出たらもう『エリドゥ』だよ》
《一応ちゃんとモニタリングしてるから安心してね♪》
《ですが、コチラで拾えなかった『何か』が突然現れるかも知れませんので、くれぐれもご注意を》
“うん、ありがとう。気を付けるね”
『エンジニア部』の微妙な賛辞の言葉に苦笑しつつ、後方支援をしている『ヴェリタス』がドローンからの映像通信で連絡し、その応援に先生が応えた。
「それじゃあ先ずは、『C&C』に暴れてもらおうか・・・・私達はこの辺りで・・・・」
と、ウタハが次の段階の話をしようとしたその時・・・・。
ーーーーブロロロロ・・・・。
『AMAS』と記されたロボットの3体が、通路の角から現れ、そのモノアイが一同を捉えた。
「うわああああっ! な、何これ!?」
『プラァっ!?』
「おや、中々素敵な子だね。迷子かな?」
“いやいやいや、迷子な訳ないでしょ! コレ・・・・リオのドローンだ・・・・!”
突然現れたドローンにモモイが仰天し、ウタハは呑気な事を言うので先生がツッコミを入れた。
「そんな・・・・! もうバレたんですか!?」
『マイィっ!?』
《いや、大丈夫》
《バレる前に制圧は終わってるよ! ついでに周辺のネットワークは私達がハッキングしてるから大丈夫!》
驚くミドリとマイナンに、再び映像通信でハレとマキが説明した。
すると、『AMAS』のモノアイが、『ポリゴン』と同じ目になっていた。
《ちょうどポリゴン達にも『エンジニア部』のロトムのような戦闘向きの体を与えたかったですから、近くにいたこの子達の体をハッキングついでに使わせてもらいました》
「そ、そんな事もできるんだ・・・・スゴいね!」
『プラ!』
「《ヴェリタス》だからできた事だね。ここまでは悪くない走り出しだ」
“ーーーーよし、ソレじゃあ皆、戦闘準備!”
そして、アリスを欠いた『ゲーム開発部』と『エンジニア部』が、地下施設にいる『AMAS』を蹴散らしながら、『エリドゥ』の中心部へと向かった。
ー『C&C』sideー
そしてその頃、表から『要塞都市エリドゥ』に侵入した『C&C』は・・・・。
「やっほ〜! ハピナス、【しねんのずつき】!」
『ハピー!!』
ーーーーダンダンダンダン! ダンダンダンダン!
ーーーーカァァァァァァァン!!
アスナが『FA-MAS・サプライズパーティー』を撃ち、更にハピナスがサイコパワーを纏った頭突きを繰り出して『AMAS』をボウリングのピンのように弾き飛ばす。
ーーーーダァン! ダァン!
「レントラー、【かみなりのキバ】!」
『ガゥウウウウ!!』
カリンが『ボーイズ対戦車ライフル・ホークアイ』で『AMAS』で動きを抑制すると、レントラーが雷を帯びた牙で噛み付いて破壊する。
「ーーーーゴローニャ、【チャージビーム】」
『ゴロ・・・・ニャ!』
ーーーードシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
「では、ポチッと!」
ーーーードカァアアアアアアアアンン!!
アカネのアローラゴローニャが光線を放ち、更にアカネが爆弾を投げ込んで爆発させ、『AMAS』を撃破していく。
「あははっ! ドンドン爆発してく!」
「コレで30台目・・・・」
『要塞都市エリドゥ』のドローン軍団を難なく撃破していく『C&C』だが・・・・。
ーーーードゥルルルルルルルル・・・・!
「・・・・終わりが見えない」
「ええ、想定より数が多いですね」
『ガゥゥゥゥ・・・・』
『ゴロニャ・・・・』
撃破する度に、別エリアにいた『AMAS』が次々と現れてくるのを見て、カリンとアカネは少し辟易してきており、レントラーとアローラゴローニャも少々ウンザリしてきたのか溜め息を吐いた。
「まぁ、そのお陰で『派手に暴れて騒ぎを起こす』と言う『陽動』の目的は達成できていますが・・・・」
ーーーーカタン・・・・。
「・・・・! ソッチか! レントラー【スパーク】!!」
『ガゥゥゥゥ!!』
ーーーードォン!
ーーーーピシャァァァァン!!
と、アカネが作戦事態は上手く行っているとプラス思考を口にした時、何処からか物音がして、カリンとレントラーが物陰に隠れた2つの影に向けて攻撃するが、弾丸は回避され、電撃は片手で受け止められた。
「「「!」」」
『『『!』』』
その2つの影の正体を見て、『C&C』は目を見張った。
「あら」
「わぁ! すご〜い!」
「・・・・お出ましだな」
「ーーーーお待ちしておりました、先輩方」
一陣の風が吹き、ソコから現れたのは・・・・。
「『C&C』所属、コールサインゼロフォー。『飛鳥馬トキ』と『ゼラオラ』、ご挨拶申し上げます」
『ゼラオ・・・・』
リオの側近であるメイド、飛鳥馬トキとパートナーであるゼラオラ(蝶ネクタイ付き)であった。
「思ったより早く現れてくれましたね」
「私達がここに来る事は最初からお見通しだったと言う訳だ」
「はい。リオ様は全て把握されておいでです。『C&C』の判断も、その動きもーーーーそして勿論ーーーー先生の『狙い』も、全て」
アカネとカリン、ソレとアスナもトキ達の登場に慌てる事無く。トキも無表情のポーカーフェイスで淡々と話し出した。
「ですので、僭越ながら申し上げます。ーーーーコレ以上の抵抗は無意味です。大人しく投降をお願い致します」
「ほう・・・・成る程」
「う~ん、ソレはちょっと難しいかなぁ?」
トキが降伏を呼び掛けるが、『C&C』は余裕の態度を崩さなかった。ソレを少し訝しげに見ていたトキとゼラオラは・・・・。
『「!!」』
『マルマ』
ーーーードカァアアアアアアアアアアアアンンッ!!
突如、真上からアカネのマルマインが落下し、【だいばくはつ】を起こすが、2人は間一髪で回避した。
『ピィー』
空を見ると、カリンのムクホークが降りてくる。こんな事もあろうかと、アカネのマルマインを乗せたムクホークを空に待機させ、奇襲を仕掛けてきたのだ。
『「・・・・!?」』
「わっ、ビックリした!」
「あら、この程度の奇襲では相手にもなりませんか♪」
「あ、アカネ・・・・?」
トキとゼラオラ、アスナとハピナス、ムクホークを貸してほしいと頼まれて貸していたカリンとレントラーが、黒焦げになったマルマインを見てにこやかに言うアカネに目をパチクリとさせた。
「・・・・室笠アカネ先輩。・・・・戦闘では爆発物や手持ちポケモンであるマルマインとアローラゴローニャの自爆を利用した広域制圧を得意とするーーーー『C&C』の要注意人物」
「ーーーーふふ、初対面の後輩にそう言われると少し照れくさいですね。マルマインの自爆は、あくまでも『挨拶』のつもりだったのですが・・・・」
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
アローラゴローニャが両手で担いで回収したマルマインをモンスターボールに戻しながら笑顔でそう言うアカネにトキとゼラオラは若干腰を低くして身構える。
「はじめまして後輩さん。トキ・・・・でしたね? 先日は部長が大変お世話になったと伺いました。ソレに・・・・『投降しろ』と言う丁寧なご勧告まで頂くなんて・・・・ふふ、アナタがリオ会長のボディーガードだと言う事は伺っていましたが・・・・全く」
『(バチバチバチバチッ!!)』
言葉遣いは丁寧ながら、若干鋭いトゲを幾つも付けているアカネの言葉に合わせるように、アローラゴローニャも身体の2つの突起から電流を流して威嚇する。
そしてアカネはーーーー。
「・・・・『C&C』を、見くびってもらっては困りますね」
低く冷たい声で告げた。
「・・・・!」
その言葉を受けて、トキは更に警戒した。
「ーーーー目には目を、葉には歯を。本日はその為に来ておりますから」
ーーーージャキッ!
ーーーーザッ!
アカネの言葉に呼応するように、『C&C』のメンバーやポケモン達が身構える。
「・・・・勿論ここで大人しく投降するのでしたら、水に流す事もできますよ?」
「・・・・ソレはできません」
アカネもお返しとばかりに勧告するが、トキは首を横に振って断った。
「私はリオ様から命令を受けております。『指示に背いて行動している『C&C』を制圧せよ』と・・・・その為、この場から退く事はできません」
『ゼラオ』
トキの言葉に同意するように、ゼラオラも臨戦態勢で身構える。
「ふ~ん、真面目ちゃんだね、トキちゃんは♪」
「想定通りの反応だ」
アスナが感心したように、カリンが冷静にそう言った。
「『C&C』は秘密エージェント組織・・・・最初は、潜入によってコチラを撹乱すると踏んでわ備えておりましたが・・・・まさかこんな正面からいらっしゃるとは・・・・想定外でした。ですが、私達が此処にいる事もアナタ方の作戦の内なのでは?」
「・・・・そうなのか?」
「あはは♪ そう言うのじゃないかなぁ〜?」
「あら、そうですねぇ・・・・私達としても想定外ですよ」
「ーーーー誤魔化そうとしても無駄です」
トキの質問に、『C&C』は惚けるような態度を取るが、トキは騙されないと言わんげであった。
「既に先輩方の思惑等分かっております。ネル先輩とシャーレの先生がおりませんね。つまり、そう言う『作戦』なのでしょう? 先輩方は私達の足止めを任されている。ソレはある意味で正しいです。リオ様の『武装』を纏った私との正面対決は避け、その間に〈ミレニアム〉最強戦力であるネル先輩を自由にさせるーーーーソレであれば、ええ・・・・確かに勝算はあるでしょう」
トキはネルと先生がいない事を指摘し、アカネ達が自分の相手をするのだと推察する。
「ーーーー誰に勝算があるって?」
と、その時、トキの後方からぶっきらぼうな声が響いた。
『「!」』
トキとゼラオラが避けると、
ーーーーダダダダダダダダダダダダダダダダ!!
ーーーードガァアアアアアアアアアアアアン!!
弾丸と雷撃が2人のいた地点に撃ち込まれた。
『「・・・・・・・・・・・・」』
そして、その場に美甘ネルとエレキブルが現れた。
「あははっ! 遅かったじゃん部長!」
「ネル・・・・先輩が何故・・・・ここに・・・・?」
アスナはカラカラと笑っているが、ネルが現れる事が想定外だったのか、トキはそのポーカーフェイスを僅かに崩して問い掛けた。
「あぁ? んなの決まってんだろ。ーーーーリベンジマッチだよ」
『エレブル♪』
ネルとエレキブルはニヤリと笑みを浮かべて応えた。
「リベンジ・・・・」
「アタシらが別行動してたら、テメェらは絶対止めに来るだろ? 面倒なのはゴメンだからよ。ソレなら、アリス‹チビ›を助けに行くのはーーーーテメェらを倒し『後』でも、遅くねぇって事だ」
『エレブル』
「おい、後輩と新入り。この間はよくもやってくれたな。先輩に楯突いたらどうなんのか、ジ〜ックリ教えてやるよ」
『エレキブル!!』
ーーーーダダダダダダダダダダダダ!!
ーーーーピシャァアアアアアアアア!!
「・・・・!!」
『ゼラ!』
ネルの『ツイン・ドラゴン』とエレキブルの【スパーク】がトキとゼラオラに向けて放たれ、2人は同時に回避した。
『ゼラオ!』
「ーーーー対応、開始」
トキはそう言うと、メイド服を脱いで軽装型メイド服『モード2』に変わり、『ケースレスアサルトライフルG11K3・シークレットタイム』を構え、ゼラオラも全身に稲妻を纏い始める。
「は! 良いぜ! やってやろうじゃねーか!」
『エレキブル!』
戦闘モードとなったトキとゼラオラを見て、ネルとエレキブルは好戦的な笑みを浮かべた。
「ーーーーでは、他の皆様には・・・・この子がお相手をしましょう」
「「「??」」」
ーーーーズズズズ・・・・。
『!!』
アカネ達を一瞥したトキの言葉に『C&C』が訝しげに眉根を寄せると、自分達の背後から、『何か』が這いずっている音が響き、アカネ達が振り向くとソコにはーーーー。
『ズズズゥゥゥゥゥゥゥゥッッ!!』
『エリドゥ』のビルに巻き付いた、『巨大なミミズズ』であった。
「うわ~っ、大きなミミズズだね!」
「この巨大なミミズズ・・・・まさか!」
「! 前にアリスが言ってた『ひでんスパイス』を食べたミミズズか!?」
「ええ。リオ様が何かに使えるかと思い、捕獲しておいたのですがアナタ方の足止め程度は役に立ちそうです」
『ズズミィィィィ!!』
巨大ミミズズは【ロックブラスト】をアカネ達に向けて放つが、すぐに回避し迎撃を開始する。
「ーーーーではコチラも・・・・」
「・・・・おっ始めるか!!」
「ゼラオラ、【ワイルドボルト】!」
「エレキブル、【かみなりパンチ】!」
『ゼラァァァァァァァァ!!』
『エレブルゥゥゥゥッッ!!』
ーーーードォオオオオオオオオオオオオンンッッ!!!
そして、ネルとトキ、エレキブルとゼラオラの戦闘も始まった。
ー先生sideー
「ピカチュウ、【アイアンテール】! ルカリオ、【ボーンラッシュ】! サンダース、【ミサイルばり】! マグマラシ、【かえんぐるま】! ベイリーフ、【マジカルリーフ】! アリゲイツ、【ばかぢから】!」
『ピィカァッ!!』
『ルゥオオッ!!』
『ダダダダースッ!!』
『マグマグマァッ!!』
『ベイ、リィフッ!!』
『アリーーーーゲイィッ!!』
ーーーードカドカドカドカドカドカドカドカーンッ!!
そして、『ヴェリタス』のポリゴン達や『エンジニア部』のロトム達が乗り移った『AMAS』を連れて進んでいた『ゲーム開発部』と『エンジニア部』と先生達は、漸くドローン達を全て片付けた。
「コレで・・・・!」
「邪魔なドローンは、全部、倒した・・・・!」
普段はインドア故か、運動不足のコトリとヒビキが息を切らしながら地下施設いる『AMAS』の全滅を報告した。
“皆、気を引き締めて! そろそろ地上だよ!”
気が抜けそうになっている皆を先生が一喝し、地下施設の出口が見えたので、全員が外に出た。
外は既に夜となり、殆ど無人の『要塞都市エリドゥ』のビルでは申し訳無い程度の灯りが、昼間は美しい未来都市にも見えていた街並みを不気味に照らしていた。しかも、街には人の姿は疎か、ポケモンの姿も無く、夜の都市を更に無気味に感じずにはいられなかった。
「よーーし! 外に出られた!」
『プラァ!』
「ソレで、ここから何処に向かえば良いの?」
『マイ?』
と、ソコで『ヴェリタス』からの通信が入った。
《アリスがいるのは恐らく『エリドゥ』の中心部・・・・そう、この中央にあるタワーだよ》
ハレが示した方に目を向けると、一際高いタワーが『要塞都市エリドゥ』の中心部にそびえ立っていた。
《現在地からルートを算出しました。左手にある大通りを真っ直ぐ北に進めば辿り着けます》
“サポートありがとう。じゃあ、行こうか”
ーーーーポンッ!
『アギャァッ!』
コタマからルートを教えてもらい、先生とピカチュウ達はミライドンに乗り込み、『ゲーム開発部』は『ヴェリタス』のポリゴンが乗り込んだドローンに乗り、『エンジニア部』は自分達のロトムが入ったドローンに乗り、『エリドゥ』のハイウェイを走り出した。
ーーーーブロロロロ・・・・!
そしてまた、ドローン達と遭遇するが、
「ーーーーどいたどいたー!!」
『プラスルー!!』
ーーーーダダダダダダダダダダダダ!!
ーーーードガァァァァァァァァンン!!
勢いに乗った先生達や『ゲーム開発部』と『エンジニア部』を止める事はできず、撃破しつつ中央タワーを目指して走り続ける。
《道はコッチでナビするから》
《ドンドン行っちゃおー! GOGO〜! ポリゴン達も頑張ってね〜!》
『ゴー』
マキの声援を受けて、ドローンに入ったポリゴン達も次々と敵ドローンを撃破していく。更に『エンジニア部』のロトム達が入ったドローン達も奮戦し、次々と敵ドローンを破壊しながら突き進んで行った。
ー『C&C』sideー
そして、トキとゼラオラ、そして巨大ミミズズと昼から戦い、既に夜の時間となってまで闘っている『C&C』は・・・・。
『ーーーーズズミィィィィ!!』
巨大ミミズズが6本の腕のような体毛を振りまくりながら、【10まんばりき】で攻撃してくる。
「アスナ! ハピナス! プリン! 行っくよ〜!」
『ハピナ!』
『プリン!』
アスナが『FA-MAS・サプライズパーティー』を持って巨大ミミズズの攻撃を回避しながら攻撃を当てていく。無論、ハピナスとプリンも、そのユルユルな体躯に違わぬフワリフワリと、まるで風を受け流す柳のような動きで巨大ミミズズの攻撃を回避し、【チャームボイス】で攻撃していく。
『ズズズズ!!』
巨大ミミズズは【アイアンテール】で薙ぎ払おうとする。
「ゴローニャ!」
『ゴォロォー!!』
ーーーーガシッ!
が、巨大ミミズズの巨体の1撃を、アカネのアローラゴローニャがアスナ達の前に来て、【こらえる】で受け止めると、巨大ミミズズの大きな尻尾を掴んだ。
「ーーーー今だ!」
ーーーーダァン!!
『ズズミィイッ!!』
ムクホークの背に乗っカリンが『ボーイズ対戦車ライフル・ホークアイ』で巨大ミミズズの頭を撃ち、巨大ミミズズをフラつかせると地上にいたレントラーがアカネが抑えつけた巨大ミミズズの身体から頭の方に駆け上がる。
「ムクホーク【エアカッター】。レントラー【かみなりのキバ】!」
『ピィーっ!!』
『ガァアアアア!!』
『ズズズズゥゥゥゥ!!』
空気の刃と電撃の噛みつきを受けて、巨大ミミズズは悶え苦しむ。
『ゼラ!』
ーーーードォン!!
『・・・・・・・・・・・・』
ゼラオラと対峙しているエレキブルは身体から半球体に【エレキフィールド】を展開していると、全身に雷を纏ったゼラオラが陸と空を縦横無尽に駆け回っており、ソレを視線で追おうとするが、雷と同じ速さで動くゼラオラを捉えるのは困難・・・・。
『エレキ、ブル!!』
『っ!?』
かと思われたが、エレキブルが大きくその剛腕を振り被り、【きあいパンチ】をなにもいない空間に向けて放つが、何とそのパンチの先に、雷速で動いている筈のゼラオラの顔面をドンピシャで捉えた。
初見では突然の奇襲にしてやられたが、2度目の対戦でエレキブルはゼラオラの動きに合わせられるようになり、ゼラオラの進行方向に向けて拳を繰り出していたのだ。
『ーーーーゼラ! ゼララララララララ!!』
しかし、エレキブルの剛腕を紙一重で回避したゼラオラは、そのままエレキブルの懐に入ると、その爪を振るい、【きりさく】の連続で放ち、エレキブルの身体を裂こうとした。
『・・・・エレブル♪』
『ゼラっ!?』
『ブゥルッ!!』
ーーーードゴッ!!
『ゼラァーッ!!』
だが、ゼラオラの攻撃はまるで効いていないと言いたげに笑みを浮かべるエレキブルを見て一瞬目を見開いて硬直したゼラオラの隙を狙い、エレキブルは再び【きあいパンチ】を繰り出し、ゼラオラの腹部に深く突き刺さった。
ゼラオラは大きく後ろに飛ぶが、ヒラリと着地する。
『・・・・ーーーーオラァ・・・・・!!』
が、どうやらダメージが大きかったようで、その場で崩れそうになるが、すぐにまた雷を纏って、雷速で駆け回る。
「(・・・・成る程。スピードと反射神経はゼラオラの方が上。しかし、防御力と攻撃力は向こうのエレキブルの方が格段に上、ですか、しかも、エレキブルは周囲に【エレキフィールド】で網を作り、ゼラオラが走りながらその網を破壊しているのを感知して、ゼラオラの向かってくる先を捉えている、と言う訳ですか。流石にここは戦闘経験の差が出ていますね・・・・)」
「ーーーーよそ見してんな!!」
「!」
ーーーーダダダダダダダダ!!
ネルを相手にしつつ、ゼラオラと巨大ミミズズの苦戦を横目に見るトキに、ネルの『ツイン・ドラゴン』の弾丸が襲い来るが、トキはすぐに回避する。しかし、回避した先に巨大ミミズズを手持ちポケモン達に任せた他の『C&C』のメンバーがネルのサポートに回り、この間のようにはいかなかった。
「(・・・・強力ですね。エージェントとして複数人での戦闘に長けている『C&C』は、連携がとても強い部活・・・・息の合った戦術・・・・ソレが他校の戦力と最も差別化されている点でありーーーー)・・・・その戦略に穴がない」
〈ゲヘナ学園〉の『風紀委員会』、〈トリニティ総合学院〉の『正義実現委員会』のような組織力や数の暴力は無くとも、各々の能力と実力も高く、無駄の無い連携による戦闘が、少数精鋭部隊『C&C』の強みなのである。
「ソレなら・・・・」
ーーーーピッーーーーゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!
トキが何やらボタンの様な装置を取り出してスイッチを押すと、『エリドゥ』が地震が起こったように揺れ動いた。
「・・・・部長、コレは・・・・!」
「えっ? 何コレー!? 地面がグラグラしてる!!」
「ポケモンの【じしん】でもない・・・・アカネ、様子が変だ」
突然の地震にアカネ達も動きを止め、ゼラオラと戦っていたエレキブル、レントラー達と巨大ミミズズも戦闘を中断して、トキとゼラオラ以外の全員が辺りをキョロキョロと見回すと、驚くべき事が起こった。
「ーーーー・・・・建物が、動いている?」
そう、所狭しと並べられていた『エリドゥ』のビル群が、地面を滑るように移動していっているのだ。
「ちょ・・・・!? んだよコレ!?」
「部長・・・・!! 隔壁が・・・・!」
流石のネルもコレには仰天し、アカネが指差すと、自分達の周りに下から隔壁がせり上がってきた。
そして、漸く建物の動きやソレに伴う揺れが収まった。
「ーーーー揺れは・・・・止まったのか?」
『レキブル・・・・』
「アイツらは・・・・?」
揺れが収まると、ネルとエレキブルしかおらず、他の『C&C』のメンバーは勿論、あの巨大ミミズズすらも姿を消していた。
と、その時・・・・。
ーーーーコツン、コツン、コツン、コツン・・・・。
周囲に異様に響く靴音に目を向けると、トキとゼラオラが現れた。
「この一帯の都市構造を変更し、他の先輩方と隔離させていだきました」
「は? んだよ、ソレ」
「『エリドゥ』は本来、侵入者を撃退する要塞の役割を兼ねておりますので。リオ様から戴いた『権限』によって、皆様を分断させていただいたのです」
どうやら、ネルとエレキブルを孤立させて、各個撃破に変更したようだ。
「ーーーーさあネル先輩、コレでアナタの勝率は限りなく低くなりましたよ」
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
仲間との連携を崩され、ネルに勝利の確率が絶望的になったと告げるトキ。しかし、ネルもエレキブルも少しも動じた様子がない。
「はぁ・・・・勝率だの・・・・何だの・・・・ーーーーふざけてやがるなエレキブルよ?」
『レキブル』
理数系の〈ミレニアム〉の生徒らしくない台詞を吐き捨てるネルに、エレキブルも大きく頷いてみせた。
ー先生sideー
ーーーージジジジ・・・・!
先生の方でも予期せぬ事態が起こった。突然『エリドゥ』全体が揺れたような地震でその場に立ち止まり、揺れが収まると『ヴェリタス』との映像通信が乱れ始める。
《・・・・・・・・・・》
《え!? ちょ、ちょっと待って! 今、通信の状態が・・・・!》
《コレは・・・・!》
《ーーーー『ヴェリタス』・・・・やはりアナタ達だったのね。流石あの『ヒマリ』の後輩なだけあるわ》
《え! だ、誰!?》
通信に割り込まれ、マキが目をさせると、ソコで『ヴェリタス』の映像が消えた。
「『ヴェリタス』との通信が・・・・」
“途絶えてしまった・・・・”
そして次に《ヴェリタス》のドローンからの映像通信で現れたのはーーーー調月リオであった。
《予想はしていたけど・・・・本当にここまで来たのね、先生》
“リオ・・・・君を止めに来たよ”
『デンネー!!』
映像のリオに向けて、先生が毅然とした態度で布告し、先生の肩に乗っているデデンネが、「アリスを返せ!」と頬に電流を漏らしながら威嚇する。
《・・・・そう。やはり、あの時の私の言葉と行動だけでは貴方を・・・・そして、その子達を説得できなかったのね》
リオは自分を真っ直ぐに見据える『ゲーム開発部』と『エンジニア部(コトリは涙目)』を一瞥してから、小さく溜め息を零しつつ先生に向き直る。
《・・・・・・・・先生。『トロッコ問題』をご存知かしら?》
「トロッコ・・・・?」
「・・・・問題?」
《簡単なお話よ》
ミドリとユズが首を傾げると、リオが淡々と説明した。
《故障し、止まる事ができなくなってしまった列車がレールの上を走っている時。大人数を生かす為に1人を犠牲にするかーーーー。それとも1人を生かす為に大人数を犠牲にするかーーーー。そういう選択を迫る問題。そう。誰かがレバーを引く役割を担わなければならないわ。そして・・・・私は喜んでその役を引き受けようとしているだけ》
つまり、リオは〈ミレニアム〉ーーーー否、〈キヴォトス〉という大人数を救う為に、アリスという1人の生徒を犠牲にすると言いたいのだ。
《悪意も敵意も、端から持ち合わせていない。私はただーーー》
「もう! 分かんないよ!! 難しい話はいいから、アリスを返して!!」
『デデンネ!!』
《あら、貴方は・・・・》
リオは先生達を説得しようと話を始めているが、痺れを切らした先生の隣に来たモモイと、先生の頭の上に乗るデデンネが話を遮った。ソレを見てリオはモモイとデデンネの方を見る。
「話は聞いたんだからね! 会長が意味分かんない事言ってアリスを連れて行ったって!」
《・・・・意味不明な話等ではないわ。他の誰でもない、『名もなき神々の王女』に攻撃された貴女や貴女のパートナーのポケモンなら分かるのではなくて?》
「分かんないよ!」
『プラァ!!』
“・・・・!”
モモイはリオを非難するが、リオはアリスに攻撃されたモモイに、アリスの持つ危険性が理解した筈だと問うた。だが、モモイはそんなリオの言葉を突っぱね、プラスルもアッカンベーした。
「私はただ、会長の元からアリスを連れ戻したいだけ!」
『プラスル!』
「お姉ちゃん・・・・」
『マイナ・・・・』
「モモイ・・・・」
『デンチュ・・・・』
「そもそも〈キヴォトス〉の『脅威』だとか何とか理由をつけてアリスを誘拐するなんて、スケールが小さすぎるよ! 普段私が書いているシナリオの規模の方がず~っと大きい! そんな話通じる訳無いじゃん!」
モモイはリオに向けて、アリスを取り戻すと宣言してみせる。更に普段から自分が書いているゲームのシナリオと比べて、リオのやっている事を小さいと非難するのであった。
《・・・・そうね。今すぐ貴女達に納得してもらうのは難しいでしょうね。・・・・私自身、すぐに納得してもらえないということは、十分理解しているもの》
モモイの話を聞いて、『説得』はできないと判断したリオはタブレットを操作する。
”ーーーー『アヴァンギャルド君』、発進”
すると、『エリドゥ』の『中央タワー』から、『巨大な影』が凄まじいスピードでコチラに向かって来る。
ーーーーブゥゥゥゥン・・・・ギリギリギリギリ・・・・ドォォォォン!!
そして現れたのはまるで『ひでんスパイス』を摂取して巨大化したガケガニやミミズズ、オトシドリやイダイナキバに匹敵する程の巨体のロボットであった。
子供の工作のような頭部に、ミレニアムの校章がデカデカと描かれたボディ。『かいりきポケモン・カイリキー』のような4本の腕があり、下の右腕にはシールド、上の右腕にはバズーカ砲、下の左腕にはガトリングガン、上の左腕にはアサルトライフルが武装されており、下半身は戦車そのもので、脚部はキャタピラをしていた。
「ーーーーうわぁっ!? ダサ・・・・」
「確かに、あんまり可愛いじゃないけど・・・・」
「コレならまだコイルとかの方が愛嬌あるよねぇ?」
『プラスル』
『マイナン』
『デデンネ』
『デンチュラ』
『(コクコク・・・・)』
モモイの言葉に激しく同意する様に、『ゲーム開発部』のポケモン達だけでなく、ドローンのシステムに乗り込んでいた『ヴェリタス』のポリゴン達も、『エンジニア部』のロトム達も頷いてみせた。
《・・・・・・・・見た目は関係ないわ》
“本音がちょっと見えてるよ、リオ”
目を逸らしたリオだが、始めて感情を見せた様に見えた。
《理解されないのなら、もう良いわ。そのままで構わない》
ーーーーウィィィィン! ガシャンっ!!
リオが声を発すると、『アバンギャルド君』の4本腕のバズーカ砲とガトリングガンとアサルトライフルの砲口が一同を向き、残りの腕のシールドで身を守る。
「ーーーーう、うわああああっ!?」
“皆気を付けて・・・・来るよ!”
ーーーーダダダダダダダダダダダダ!!
ーーーーガガガガガガガガガガガガ!!
ーーーードォオオオオオオオオオン!!
3つの腕の武器から凄まじい弾幕が放たれ、先生はミライドンを巧に動かし、ポリゴンが入ったドローンに乗る『ゲーム開発部』も、ロトムが入ったドローンに乗る『エンジニア部』も、ソレはもう死に物狂いで回避し、弾の再装填‹リロード›か冷却か、『アバンギャルド』の攻撃が一旦止んだ。
「外見からは想像つかない火力してるね・・・・」
「見た目はスッゴいダサいのに、めっちゃ強いよ!? どうしよう!?」
土煙が舞い上がる中、何発か受けてボロボロになったドローンから降りたヒビキとモモイが、予想外に強い『アバンギャルド君』に目を見開いた。
しかし次は、後詰めのように新たなドローンが現れた。既にポリゴン達やロトム達は損傷したドローンから脱出し、こんな時の為にポリゴン達は『エンジニア部』の方に付く。
“1番大きな障害はトキ達になると思って、『C&C』にお願いしたけど・・・・まさかこんな所に伏兵が潜んでいたなんて・・・・”
「最初にトキとゼラオラを連れていたのは、判断を鈍らせる為だったんだね・・・・」
「『C&C』がいない今こそ・・・・」
「会長にとって・・・・『先生』を制圧できるチャンス・・・・」
「「!!」」
『!!』
リオにしてやられたと思い、先生とヒビキとウタハ、そしてユズが状況を分析し、モモイとミドリ、そしてポケモン達が肩を揺らす。
「えっ・・・・じゃあ全部、会長の手の平の上だったって事!?」
「最初から仕組まれた『罠』だったんだ・・・・」
と才羽姉妹が驚くと、再びリオが映像通信を送ってくる。
《『C&C』と『先生』を分断するーーーーソレも私の手ではなく、自らの判断によって。そうすれば、コチラの『計画』が伝わる可能性なんて万に一つもないですから》
「成る程・・・・どうやら会長の方が一枚上手だったようだね」
《さあ、終わりにしましょうーーーー『アバンギャルド君』》
呆れる程合理的な計画に、思わずウタハは敬服した。しかし、ソレに構わずリオは冷徹に『アバンギャルド君』に命じた。
ーーーーダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!
ーーーーガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオンッ!!
そして、『アバンギャルド君』の嵐のような弾幕が、先生達に襲い掛かったーーーー。
『アバンギャルド君』って、『アバンギャルド』が口癖のジムリーダーが見たら何と言うでしょか?