ーーーー『要塞都市エリドゥ』にて、2つの区画で激戦が繰り広げれていた。
1つは、『C&C』コールサインゼロフォーの飛鳥馬トキとゼラオラ。仲間達と分断された、同じく『C&C』とリーダーであるコールサイン00‹ダブルオー›美甘ネルとエレキブルの対決。
別の区画では、調月リオが作成した見た目はダサいが戦闘力が凄まじいアバンギャルド君と、他のドローン軍団と対峙する『ゲーム開発部』と『エンジニア部』と『シャーレ』の先生は、圧倒的とも言える数の暴力に窮地に追いやられていた。
ーヒマリsideー
「・・・・・・・・・・・・」
『エリドゥ』の『中央タワー』の地下にある『中央隔離施設』に閉じ込められたヒマリは、車椅子に隠していた端末から『エリドゥ』の監視システムにハッキングし、外の様子を窺っていたが、あまりにも不利な状況に、その芸術品のような美貌の顔に渋面を作ってしまう。
《トキに任せた、『C&C』の分断ーーーー》
「『C&C』と言う最大の戦力を無力化してしまえば、残っているのは先生だけ・・・・」
《幾ら『シャーレの先生』と言えど、最終的に受け入れるしかないわ。何が正しいのか、そしてーーーーどれが『合理的な判断』なのか》
コチラにも映像通信を送っているリオの言葉に、ヒマリは眉根を寄せて行く。
《ーーーーチェックメイトよ》
「成る程・・・・リオ、アナタの考えは分かりました。綿密に練られた『計画』、そしてその手法も・・・・ソレは、ある意味では『合理的』なのかも知れません」
《ヒマリ・・・・》
いつもリオを悪し様に語っているヒマリからの言葉に、僅かに反応するリオ。
「ですが、やはり私はそのような『独善』には賛同できません」
《・・・・・・・・・・・・そう》
映像のリオは、何処か寂しそうに視線を逸らし、ヒマリの言葉を受け止める。そんなリオに向けてヒマリは更に口を開く。
「ーーーー1つだけ、忠告しておきます。アナタは確かに『優秀』です。よくもまぁ、バレずにこの様な都市を建設できたものだと・・・・ある種、感心してしまいます」
《・・・・どう言う意味かしら?》
ヒマリの言いたい事が分からないリオに、ヒマリは話を続ける。
「アナタは・・・・自分が『正しい』と信じたら、振り返らずに突き進むでしょう? ソレはアナタの『長所』であり・・・・同時に『弱点』でもあります」
《『弱点』? そんな訳・・・・》
「リオ・・・・アナタは、『悩み』を後輩に打ち明けた事がありますか?」
《・・・・・・・・・・・・》
ヒマリの言葉に、リオは閉口してしまう。
「『弱点』と言うのは、そんな大袈裟なものではありません。・・・・優秀過ぎるが故にーーーー人と歩幅を合わせる事も、相手を待つ気もない。アナタのそう言う所が・・・・アナタの『最大の弱点』なのですよ」
ヒマリが笑みを浮かべてそう言ったその瞬間・・・・。
ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオオン!!
ヒマリが捕らえられている隔離施設が突然の爆発破壊され、その爆煙の中で微笑むヒマリ。
《爆発音!? 一体何処が・・・・》
「『本番』はコレからですよ」
《ヒマリ、ちょっ・・・・!》
リオが始めて狼狽えた様に辺りを見回すが、ヒマリは爆煙に紛れてその姿を文字通り煙に巻き、映像通信のリオが消えた。
ーリオsideー
『中央タワー』の『指令室』で通信が途絶え、ヒマリに逃げられたと理解したリオは、あくまで冷静に務める。
「・・・・外部からの襲撃? あり得ないわ。事前に『脅威』になり得る勢力は既にマーク済。ソレなのに、一体誰が・・・・」
先生が他の学校の生徒に助っ人を頼んだのかと思ったが、〈トリニティ〉は先日の『エデン条約』の失敗で内政がガタガタの状態。〈ゲヘナ〉は『風紀委員会』が自分達の戦力の立て直しと自治区の治安維持で動けない筈。
リオは眉根を僅かに寄せながら、思案を巡らせていた。
ーヒマリsideー
「ーーーーコッチだよ、ヒマリ部長。あ、後メタグロス達も助けておいたから、メタグロスの方は回復されていたよ」
そしてその頃、『中央タワー』の廊下を移動しているヒマリは、自分を助けに来た後輩の後を追いつつ、メタグロス(色違い)とブースターが入ったモンスターボールと、『隠し玉』が入ったハイパーボールを受け取る。
色鮮やかなピンク色のロングヘアーを途中で編み、頭にはサングラスを掛けている。167センチはある高身長をし、ボーッとして何処か遠くを見ているようなジト目の他に、考えが読みづらい表情をし、首には赤いヘッドホンを掛け、腰にはカートリッジベルトと学生証、白い制服に赤いネクタイ、黒いコートといった出で立ちをしている・・・・のだが、その少女の上半身はーーーーはだけている。はだけているのだ。
『C&C』のアスナとアカネとカリンに勝るとも劣らないグラマラスな肢体をし、上半身には豊満な胸に申し訳無い程度の水着を着用しているこの少女は、〈ミレニアムサイエンススクール〉、ヒマリの後輩である『特異現象捜査部』に所属する1年生『和泉元エイミ』である。
何故こんな〈トリニティ総合学院〉の浦和ハナコと下江コハルが見たら騒ぎそうな格好をしているのかと言うと、エイミは極度の『暑がり』なのだ。なんとエアコンで部屋を一桁位に冷やさないと気が済まないとか、熱いとか言う程である。
「ふふ。まさかエイミ・・・・アナタが私を助けに来て下さるとは・・・・コレはリオへの『裏切り』になると思いますが、大丈夫なんですか?」
「うーん・・・・さあ? 『私がリオに会いに行った後、24時間経っても戻って来なかったら、冷蔵庫にあるプリンを食べても良い』って部長が言ったんでしょ?」
目の前でフルンっと揺れるリオにも負けない豊満な胸部に弱冠ジト目になりながらもヒマリは感謝するが、〈ミレニアム〉の生徒会長であるリオと敵対する事になるエイミの身を案じるが、エイミは素っ気ない態度で返しつつ、先日の会話の事を話した。
「でも、どうせなら一緒に食べたいなって思っただけ」
「そうなのですね・・・・ふふっ・・・・後輩がどうやって助けに来てくれるのか、想像しながらまつと言うのは思いの外楽しいものですね」
遠回しに助けに来て欲しいと頼んで置いたが、どうやらエイミはヒマリの思いを汲んでくれていたようで小さく笑みを浮かべる。
「お陰様で、リオの面白い表情が見れました。満足です」
「・・・・一体、どっちが悪趣味なんだか」
「あら、『悪趣味』だなんて失礼な。『超天才病弱美少女ハッカー』の高尚な趣味と訂正していただけませんか?」
脱出時のリオ(映像越し)の間の抜けた顔を思い返してクックックと笑うヒマリに、エイミは半眼のジト目で言うが、この自称『超天才病弱美少女ハッカー』はどこ吹く風である。見た目の割に本当に腹黒い上に図太い神経をしている。
「はいはい。と言うか部長、状況が悪いのは変わらなくない? このままじゃ、『負け戦』だよ? 私達が加勢しても互角になるかどうか・・・・」
「あら、ソレなら大丈夫ですよ」
「うん? 何か『切り札』でもあるの?」
「ええ、勿論です」
エイミも外の状況を把握しているようで、このままでは勝てないと言うが、ヒマリは焦った様子がまるで見受けられず、『秘策』があるのかと聞くとヒマリは頷いてみせた。
「エイミがこうやって私を助けに来て下さったように。私には『頼れる後輩』が、たーくさんいるんですよ?」
「・・・・?」
ー『ヴェリタス』sideー
そしてコチラは、アリスの暴走で破壊された所とは別にある『ヴェリタス』の部室では・・・・。
「うわあっ! コレ、どうすれば良いの!? 回線がダメになっちゃってるよ!?」
『ドブル!?』
この部屋で『エリドゥ』にハッキングしていた『ヴェリタス』は、突然回線が切断されてしまい、マキとドーブルは狼狽えた出した。
ーーーーカチカチカチカチカチカチっ・・・・ビーッ!
「・・・・ダメ。ネットワークが完全に沈黙した」
『バチリ・・・・』
ハレが必死にキーボードを打ちまくって侵入しようと試みるが、PCのモニターは真っ暗で反応を示さず、パチリス共々肩を落とした。
「これじゃあ手の打ちようが・・・・」
「一体どうすれば良いの・・・・考えなきゃ・・・・どうすれば・・・・」
「このままでは、『C&C』どころか、先生まで負けてしまいます」
「・・・・チッ、相手の対応をナメてた。最初からどんなルートで行くにせよ、ジャミング対策をしっかりする必要があったのに・・・・」
「・・・・私達だけでは・・・・ここまでなのでしょうか?」
「そんなの嫌だよ! アリスちゃんの事諦めるなんて、絶対イヤ・・・・!」
『ヴェリタス』に焦りの色が濃くなってきた。こうしている間にも、『エリドゥ』に潜入した皆か危機的状況だし、向こうに行かせたポリゴン達の事も心配だ。
いつもは沈着冷静なハレですら苛立ちを見せ、コタマも無力感を感じ、マキに至っては泣きそうになった。
すると・・・・。
ーーーーポロロン・・・・♪
「「「えっ??」」」
突然、部室にベースのような音色が聞こえ、ソチラに目を向けると、コタマのストリンダー(ロー)が胸にある紫の突起状を掻きむしるように操作することで音を鳴らしていた。その音色は、とても低音で心地良く、興奮しそうになっていたコタマ達の頭を静めていた。
『パチッ!』
『ドブル!』
すると、ハレの肩に乗っていたパチリスと、マキの隣にいたドーブルがストリンダー(ロー)の元に行ってベースの音に合わせて2匹横並びになって仲良くフリースタイルで踊り出した。
『リンダ〜♪』
『パチッ、パチッ、パチチチッ♫』
『ドブル! ドブル! ドブブル♬』
ストリンダー(ロー)の音楽を聴き、パチリスとドーブルのダンスを見ていると、焦りそうになっていた『ヴェリタス』の3人に笑顔が浮かんだ。
「フフッ・・・・いつの間にかダンスが上手になったね、パチリス」
「ドーブルもキレッキレだよ♪」
「素敵なメロディですよストリンダー」
パートナー達が自分達に「落ち着いて」「先ずはリラックス」と言いたげに音楽とダンスを披露しているのを察し、ハレ達は深呼吸をして脳に酸素を送り、心を落ち着かせる。
「良し。少し落ち着いた。・・・・さて何か、方法は・・・・」
と、ハレが再び真っ暗になったPCのモニターに目を向けたその瞬間ーーーー。
ーーーーピピピッ・・・・。
ーーーー・・・・・・・・。
「? マキ、コタマ先輩」
「えっ、どうしたの? ハレ先輩」
「モニターに・・・・文字が・・・・」
ーーーー・・・・・・・・・・・・。
ーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・。
「コレは・・・・」
ーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『Optimus Mirror Systems』
ーーーー『鏡‹ミラー›』起動。
『・・・・え?』
突然送られた文字に、『ヴェリタス』が首を傾げる。
ーーーー『Optimus Mirror Systems』ーーーー通称『鏡』。
ソレは、『G.Bible』の中身を見る為に、『ゲーム開発部』と『ヴェリタス』と『エンジニア部』が協力して、リオを欠いた『セミナー』とネルを欠いた『C&C』と大立ち回りをして出し抜いて奪取した、『ヴェリタス』の部長である生塩ヒマリが製作の『超高度ハッキングツール』であったからだ。
ー先生sideー
『ピィカァ!!』
『カルォ!!』
『シアー!!』
『マグマァ!!』
『ベィーッ!!』
『アリゲイ!!』
ピカチュウ達がアバンギャルド君の元に行こうとしているが、ドローン達に阻まれてしまい近づけずにいた。更にアバンギャルド君の攻撃とドローンの数の暴力で次第に追い詰められていく先生と『ゲーム開発部』と『エンジニア部』。既にロトム達とポリゴン達もドローンから出て、素で戦っているが焼け石に水の状態である。
ーーーーダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!
ーーーーガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
ーーーードゴォオオオオオオオオオオオオンッ!!
再びアバンギャルド君の弾幕の嵐が来ると、ピカチュウ達は先生の懐にいるミュウツー(マスターボールに入っている)が、遠隔テレポートで避難させているが、攻めあぐねいるのは火を見るよりも明らかであった。
「つ、強過ぎます・・・・」
『パモット!』
「・・・・このままじゃ本当に危ないかも」
『ハラバリー!』
「危機一髪って感じだね」
『ガァニィ!!』
コトリが『M134・プロフェッサーK』を撃ち、パモットが【チャージビーム】を放ち、ヒビキが『迫撃砲・ファンシーライト』を撃つと、ハラバリーが【スパーク】を放ちドローンを撃破するがソレでも数が減らない。フォアグリップ付きの『MAC10・マイスター・ゼロ』を持ったウタハが呑気に言うが、ガケガニが【いわなだれ】を放って少しでも進行を遅らせる。
“何でウタハはそんなに落ち着いてるの・・・・?”
と、先生が妙に冷静なウタハを訝しげに見るが、次々と進んでくるドローン達のタイヤの音を聞いて再び目を向けた。
「うわぁーん! こ、今度はコッチを狙ってるよ!?」
『プラァー!』
“危ない! 気を付けて・・・・!”
と、泣き言を言うモモイとプラスルを後ろに引かせると・・・・。
ーーーードガァァァァァァァァン!
「アバンギャルド君の動きが・・・・」
「急に・・・・遅くなっ、た?」
ミドリとユズの言う通り、突如アバンギャルド君の進行がゆっくりとなったのだ。
この思いがけない展開に全員が首を傾げると、通信用のドローンが1体やってきて、映像通信で現れたのは・・・・。
《ーーーーふう・・・・何とか間に合ったかな 皆、大丈夫?》
“・・・・チヒロ!”
映像で現れたのは、落ち着いた紺色の髪をミディアムヘアにし、薄い緑色をした目には濃い水色フレームのメガネを掛け、クールで知的な容姿をし、やや大きめのアウターを着こなし、〈ミレニアムサイエンススクール〉の制服の白い上着にビビッドな青いネクタイを合わせているこの少女は、〈ミレニアム〉の3年生で『ヴェリタス』の副部長をしている3年生、『各務チヒロ』であった。
「チヒロ先輩!?」
すると、他のドローンから『ヴェリタス』の3人の映像通信が再び入ってきた。
《うわぁ~ん! 副部長〜!》
《流石です。待っていました》
《でも・・・・一体どうやって?》
「そうですよね! だって『エリドゥ』の通信網は・・・・!」
「リオ会長が掌握してるんじゃなかった?」
頼りになる副部長の登場に沸き立つ一同だが、どうやってリオの鉄壁のセキュリティを掻い潜ったのか、ハレとコトリとヒビキが問い掛けた。
《うん、リオ会長が掌握してる。でも、こう言う時の為にヒマリが『秘密兵器』を用意してくれてたみたい》
“『秘密兵器』・・・・?”
「あ・・・・お姉ちゃん! 『アレ』だよ! 『アレ』!」
「あ、『アレ』って何!?」
「前に『G.Bible』を解析しようとした時に見つけたヤツ!」
「「!!」」
『!!』
“『鏡』・・・・!”
ミドリの言葉に、モモイとユズ、そしてポケモン達もハッとし、先生がソレの名を言った。
《ご明察。そう、『鏡』を使って『エリドゥ』のネットワークをハッキングしたの。ついでに、会長にも退場してもらったよ》
《え、ど、どう言う事!? もしかして、ヒマリ部長が生徒会に『鏡』を差し押さえられたのって・・・・!》
「こう言う場合に備えてたって事なのかな? 流石『元ヴェリタスの部長』だ。侮れないね」
“(『鏡』の奪還の時に感じていた『違和感』の正体はヒマリか。それにしても・・・・)流石チヒロ! ヴェリタスの女神!”
《め、女神って・・・・先生・・・・ソレはちょっと大袈裟過ぎ》
先生に褒められ、少し困った顔になるチヒロ。
「あれ!? で、でも『差押品保管所』に行くのってスッゴく大変だよね! 1人じゃ絶対・・・・」
そう。あの騒動の後、『鏡』は再び『セミナー』に返却した筈なのに、チヒロはどうやって使えたのか疑問をモモイが口にする。
《ああ、ソレなら助けてくれた人がいたの。運良く、会長の監視から抜けられていた部活のーーーー》
《ーーーーこんにちは、トレーナー》
“スミレ!?”
映像通信で新たに現れ、先生を『トレーナー』と呼ぶのは、『トレーニング部』の『乙花スミレ』であった。アリスと仲が良かったスミレも協力してくれているようである。
《アリスちゃんの事を伺って、居ても立っても居られず・・・・僭越ながら、協力させていただいただきました》
《うん、本当に助かったよ。ありがとうーーーーあっ、ジバコイル、ポリゴン2、【でんじほう】》
《パルスワン、【サイコファング】です!》
ーーーーバリバリバリバリバリバリバリバリ!!
ーーーーグワシャアアアアンンッ!!
通信の向こう側では、チヒロとスミレのポケモン達の戦闘音が聞こえ、チヒロが『アサルトライフル・バックドア』を、スミレが『ベネリM4の伸縮銃床バージョン・ミレニアム製最新型ダンベル』を構えて撃ち出した。どうやら戦闘中のようである。
《・・・・とまぁ、こんな感じで、絶賛ドローン相手に交戦中なんだけど。どれくらい持つかは正直分からない・・・・けどまぁ、やれるだけやってみるよ》
《持久戦なら私とパルスワンにお任せ下さい》
《ーーーーワンワン!》
“スミレ、ありがとう。とても頼もしいよ”
チヒロがやれやれと肩をすくめるとスミレに、声だけだがパルスワンのやる気満々の声が響き、先生が礼を言ったその瞬間・・・・。
ーーーージジジジ・・・・フォォォォンン・・・・!
アバンギャルド君から音が響くと、再び動き出そうとした。
《やっぱり・・・・『鏡』を使ったとは言え、ファイアウォールが反応してる。パスが切れる前に先手を打つ必要があるね》
そしてチヒロは、ハレ達に目を向けた。
《こう言う時こそ、『ヴェリタス』ーーーー私達の出番だよ》
《うん、向かせて副部長》
《私達のリソースを全部使い切ったとしても! ネットワークを維持してみせるよ! 》
《はい、全力を尽くします。ストリンダー、応援お願いしますね。ドーブルにパチリスも》
《リンダ〜♪(ポロロ〜ン♬)》
《パチ!》
《ドブル!》
《うん。維持は任せた。代わりに、ココからは先生のナビゲートを私が引き受けるよ》
後輩達の頼もしい回答を聞いて頷くチヒロ。『シッテムの箱』のアロナが、「先生のサポートはアロナの役ですが、ここはお譲りします」と言い、先生が苦笑しながらアロナの頭を撫でていると、チヒロが『ゲーム開発部』と『エンジニア部』、そして先生達を見据える。
《皆ーーーーまだ戦えるよね?》
『!!』
『ーーーー!!』
“うん、行けるよ”
チヒロの言葉に愛銃を構えたり、ポケモン達がやる気を示すのを見てから、先生がそう返した。
《じゃあ反撃開始。行くよ!》
「先生、私達のロトム達や『ヴェリタス』のポリゴン達をドローン軍団の中心部に投げて欲しい」
“分かった。ルカリオ! アリゲイツ! マグマラシ!”
『(コクン!)ーーーーカルゥ!!』
『アリゲイツ!!』
『マグマァ!!』
ルカリオ達がロトム達とポリゴン達を持ち上げて、迫りくるドローンの大群の中に投げ込むと、すぐに身近のドローンの内部に入り込み、コントロール権を奪うと6体のドローンで背中合わせで円陣を組み、弾丸を撃ちまくって破壊していく。
「デンチュラ【ねばねばエレキネット】!!」
『チュラァー!!』
ユズが指示を出すと、デンチュラは【ねばねばネット】と【エレキネット】を合体させた技、【ねばねばエレキネット】をハイウェイに敷き、その上に乗った敵ドローンのタイヤに絡まらせて倒すと、電流で更に攻撃する。
「プラスル!」
「マイナン!」
「「【エレキボール】!!」」
“ピカチュウ! 【かみなりパンチ】!”
『『プゥラァー!/マァイー!』』
『ピカチュウー!!』
プラスルとマイナンの電流玉とピカチュウのパンチがデンチュラのネットを通り、更にネットの電圧を上げてショートさせる。
『グレイシア! 【れいとうビーム】!!』
『シアー!!』
次にグレイシア(色違い)がハイウェイに冷凍光線を放ち、氷で覆うと敵ドローンのタイヤが氷で滑り、またもや次々と倒れる。
“ルカリオ! 【はどうだん】! マグマラシ! 【ころがる】! ベイリーフ! 【マジカルリーフ】! アリゲイツ! 【ばかぢから】!”
『カールォ!!』
『マァグマグマグ!!』
『ベェイリー!!』
『アリゲーイツ!!』
「ガケガニ、【10まんばり】」
『ガニガニィッ!!』
「ハラバリー、【マッドショット】」
『バリバリ!!』
「パモット! 【たたきつける】!」
『パーモットォ!!』
倒れた敵ドローン達を先生のルカリオと2代目御三家、『エンジニア部』のポケモン達が攻め立て破壊していく。
そして、動きが緩慢になったアバンギャルド君の元に、漸く辿り着いた。
“皆! 一斉に攻撃だ!!”
『行っけぇー!!』
『ーーーー!!』
全員がアバンギャルド君目掛けて、弾幕とポケモンの技を一斉に放った。
すると・・・・。
ーーーージジッ・・・・ジジッ・・・・。
アバンギャルド君の身体から僅かに火花が飛び散り、動きが更に緩慢になる。
「アバンギャルド君の動きが鈍った今がチャンスだ! 行くよ、『エンジニア部』!」
「はい! ラジャー!」
「分かった。『アレ』を設置するね」
ウタハの号令で、コトリとヒビキがウタハと共に『何か』を作り始めた。
“い、一体何が始まるの!?”
何やら嫌な予感を感じる先生が問うと、『エンジニア部』は自信満々な顔で応える。
「自律追跡機能に加え、防水防塵も完備」
「更に、絶対零度や3000度を超える高温下でも安全性を誇る超超超超安全認証を保証した・・・・!」
「・・・・半年分の予算を注ぎ込んで作った最強のーーーー」
「「「『最新式遠隔スピーカー』!」」」
ソコからドォンと現れたのは、スピーカーではなく・・・・追尾ミサイルであった。
「「・・・・・・・・」」
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
才羽姉妹はフリーズし、ユズも困惑し、『エンジニア部』と『ヴェリタス』意外のポケモン達も唖然となる。
“・・・・・・・・スピーカーに何でそんな機能が?”
『???』
先生やピカチュウ達も首を傾げてしまう。
「ソレは愚問だよ、先生」
「そもそも『機能』と言うのはですね! つけられそうな時にーーーー」
「・・・・目一杯付けておくのが鉄則」
「そう言う事だよ」
良く分からない持論を並べる『エンジニア部』は『最新式遠隔スピーカー』のボタンに指を乗せて・・・・
「ソレではーーーー発射!」
ーーーーポチッ・・・・ズズズズ・・・・ドゴォオオオオオオオオオオオオオン!!
発射された『スピーカー』がアバンギャルド君に当たり、アバンギャルド君の身体が爆炎に呑まれていく。
「「・・・・・・・・・・・・」」
才羽姉妹が呆然となり、モモイがゴクッと喉を鳴らした。
「・・・・わ、私、『あのセリフ』言いたくてムズムズする・・・・!」
「お姉ちゃん、ソレはちょっと我慢して!」
「・・・・ぜ、絶対言う必要無無いよ」
『!!』
爆炎に呑まれるアバンギャルド君を見て、モモイは『フラグ的なセリフ』を言いそうになるが、ミドリとユズ、プラスル達が必死に止めた。
そして・・・・。
ーーーードガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンッッ!!!!
アバンギャルド君の身体が破壊されたのを確認すると、『エンジニア部』は満足気に頷く。
「・・・・やはり、私達が作ったスピーカーは響きが良いね!」
“そう言う意味の『スピーカー』だったの!?”
「まぁまぁ細かい事は置いておきましょう! 兎に角、コレで・・・・!」
「・・・・うん。やっと倒せたね」
『エンジニア部』の話を聞いて『ゲーム開発部』や先生達は、漸くアバンギャルド君を倒した事を実感する。
「やったー! 倒したよー!」
“何だか良く分からない内に終わってしまったけど・・・・いやぁ・・・・強敵だったね、アバンギャルド君”
「・・・・み、皆で力を合わせたお陰で、た、倒す事ができました」
「そうだね。その、何と言うか・・・・」
「レイドボスの討伐に成功した、みたいな!!」
ダサい見た目に反して強敵だったアバンギャルド君を撃破し、『ゲーム開発部』はアリスが居たらそう言っていたであろう言葉を発した。
《皆お疲れ様。でも、『本番』はコレからだよ》
チヒロの言葉で緩みそうになった『ゲーム開発部』は気持ちを再び引き締める。
《まだ『鏡』でネットワークを維持できている内に移動しないと・・・・取り敢えずナビするよ》
「あ、その話しなのだが・・・・」
「その・・・・」
「・・・・ゴメン、私達はここまでみたい」
そう言って、『エンジニア部』はフラフラとなり、倒れそうになるのを各々のポケモン達が支え、ゆっくり優しく座らせた。
“だ、大丈夫!?”
「・・・・あの瞬間、スピーカー設置するまでは良かったのだが」
「インドア派には・・・・あ、あまりにも無茶な動きをしてしまい・・・・」
「・・・・もう、指1本動かせない」
「見ての通りだ。最後まで付いていけず面目ないが、私達はここでお別れだ」
「ウタハ先輩・・・・」
元々技術者である『エンジニア部』は、遂に体力の限界を迎えたようだ。ここまでの戦闘に付いてこられただけでも彼女達がアリスを助けるのに尽力してくれたのか、青ざめている顔を見て察するに余りあった。ソレを分かっているモモイはコクリて頷いてから笑顔を向ける。
「ううん! 大丈夫! 助けてくれてありがとう! さっきのスピーカー! スゴくカッコ良かった! この先は私達でどうにか頑張るね!」
『プラスル!』
「「(コクリ!)」」
『ーーーー!!』
モモイの言葉に、他のメンバーも頷いた。
“心配しないで。皆で必ずアリスを連れ戻してくるよ”
「・・・・そうだね。ソコまで言うのから。ーーーーモモイ」
「ん?」
「『コレ』をあげる。いざという時に役に立つ筈だよ」
「『コレ』は・・・・うん、分かった」
モモイはウタハから『渡されたもの』を受け取り、力強く頷く。
「それでは、皆さん・・・・この先の事、よろしくお願いします!」
「皆、頑張ってね」
そして、『エンジニア部』をハイウェイに置いて、『ヴェリタス』のポリゴンが入ったドローンにモモイ達が乗り込み、先生もピカチュウ意外をボールに戻してからミライドンに乗り、『中央タワー』を目指してハイウェイを駆け出していった。
ーネルsideー
ーーーーダダダダダダダダダダダダ!!
「・・・・!」
ーーーードガァアアアア!!
『ーーーー!』
そしてその頃、ビル群の駆け巡るトキにネルが放つ『ツイン・ドラゴン』の弾丸が、既にゼラオラのスピードに慣れたエレキブルの拳が、トキとゼラオラの身体に当たっていく。
「遅ぇ、遅ぇ、遅ぇ・・・・」
『ブルブル・・・・(ゴキッゴキッ・・・・)』
「おせぇんだよ、後輩!」
ーーーーダダダダダダダダ! ドォオオオオオオオオオン!
既にトキの動きとゼラオラのスピードに慣れてきたのか、2人の動きを捕捉できるようになったネルがジグザグに動きながらトキに近づき、攻撃をぶつけていく。
『ゼラオ!ーーーーっ!!』
『ーーーーエレキブル♪』
『!?』
ーーーーバキィィィィッ! ドゴォオオオオオオオオ!!
ゼラオラが雷速でトキの元に行こうとするが、その進行方向を先読みしたエレキブルの【けたぐり】で蹴り飛ばされ、ビルの外壁をブチ破って内部に転がされる。
「・・・・・・・・」
トキはネルと戦いながら、苦戦しているゼラオラに一瞥しつつ、思考を巡らせる。
「(スピードは明らかに『武装』を使う私や、雷速の動きができるゼラオラが上・・・・なのに)ーーーー!」
ーーーーダダダダダダダダ!!
と、思考している内にネルの弾丸が当たってくる。
「(データは間違っていない筈ーーーーリオ様の命令通り、戦場の地形を変更したと言うのに。ソレでも勝敗が付かないというのは・・・・まさか、データが間違っている? いや、コレはそう言う次元の問題では・・・・)」
思いがけないネルとエレキブルの奮戦に、トキの顔に焦りが浮かび始めた。
「!」
と考えている内に、ネルはトキに接近し、自分の射程内へと入れていく。
「彼女の射程に入る度に、データが・・・・リアルタイムで更新されている・・・・!?(間合いを詰められると・・・・危険・・・・!)」
ネルの得意分野は近接射撃。その間合いに入る度に、まるで進化てもしているかのようにキレを増していくネルに、トキは危機感を抱き始めた。
「くっ・・・・!!」
トキが後ろに跳ふと同時に、明後日の方向から飛んできた弾丸を回避した。
「コレ程の長距離からの・・・・『狙撃』・・・・まさか・・・・!」
ー『C&C』sideー
そう。既に巨大ミミズズを倒し、通常より大きめのサイズのミミズズにした『C&C』の他のメンバー、カリンが狙撃していたのだ。
「ーーーーこちら『コールサインゼロツー』。・・・・先輩の背中は任せてくれ」
「あれ? 道に迷ってたと思ったんだけど・・・・意外とそんな事無かった?」
「ソレはアスナ先輩が幸運だからですよ・・・・普通は抜け出せません」
カリンの側には、アスナとアカネもいた。ネルと分断され、迷路のように組み替えられた『エリドゥにいた』『C&C』は、巨大ミミズズと戦いながらアスナの直感を頼りにネルを探していたのだ。
ートキsideー
「要塞都市の迷路を・・・・いとも容易く・・・・!? そんな事、確率的にあり得ない・・・・」
『C&C』の他のメンバーの登場に、トキは頬に汗がタラリと流れた。
「ケッ! 偉そうに分断だの何だの御託並べてたクセによぉ。結局は言葉だけだったのか? あぁ?」
ーーーードガァアアアアアアアアン!!
『ーーーーゼオラァァァァ!!』
「ゼラオラ!?」
別のビルの内部から吹き飛んできたゼラオラが自分の前に倒れ、ビルの方を見るとエレキブルが悠然と出てきた。
「・・・・・・・・」
どうしようかと考えているトキに、リオからの映像通信が入った。
《トキ、ゼラオラを回収して一旦退きなさい》
「・・・・! リオ様、私は・・・・」
《貴女を責めている訳ではないわ。『ヴェリタス』の干渉で、アバンギャルド君の制御権を奪われてしまった。コレはあくまで、私の予測不足による失敗・・・・先ずは撤退して、状況を立て直しましょう》
「・・・・イエス、マム。戻しなさい、ゼラオラ」
リオからの指示を受け、トキはハイパーボールを取り出してゼラオラを戻す。
「ーーーー現場から離脱します」
「ハァ!? ざけんなコラ!」
ーーーードカァアアアアンン!!
「おい! 逃げんじゃねえ!!」
ネルが追いかけようとするが、トキは懐から手榴弾を投げて爆発させると、その爆煙に紛れて姿を消した。
ー『C&C』sideー
「えっ、何々? トキちゃん行っちゃたの?」
「・・・・逃がしてしまったようです」
「あー! クソッ! この場でケリつけたかったのに!」
「仕方ないですよ部長、想定外の交戦でしたし・・・・」
他の『C&C』のメンバーと合流したネルは不完全燃焼の不満を垂らすが、アカネが苦笑しながら宥める。
「陽動作戦は一旦中断して・・・・先ずは先生と合流しましょう。この作戦は、アリスちゃんを連れ戻す為のものですからね。そうですよね、部長?」
「うっ・・・・」
アカネに釘を差され、ソレを半ば忘れていたネルがバツの悪そうな顔になる。
「・・・・あぁ、わ〜った。わ〜ったって。うし、行くか」
落ち着きを取り戻したネルは、『C&C』を率いて先生の元へと向かった。
ーーーートキとの再戦はまた必ず訪れる。アリスを取り戻し、リオが諦めるその時まで・・・・。