ー先生sideー
「ーーーー〈Key〉の起動でデータベースの深部に隔離されてしまったアリスを起こすのです」
ヒマリから言われた方法は、〈Key〉によってシステムの奥へと封印されたアリスを目覚めさせると言うものであった。
「そうすれば、この事態を止める事ができるでしょう」
目の前にいる〈Key〉。そして、ソレを守る様に左右に控えるマギアナとボルケニオンが身構える。
「そんな事・・・・本当に出来るの?」
「アリスを連れ戻せるって事ですか!?」
「できますとも。リオ、ダイブ設備くらいはありますよね?」
「ええ、あるわ。・・・・でもそんな事、現実的にできる訳・・・・!」
才羽姉妹にそう言い、ヒマリはリオに設備があるのかと聞くと、リオはあると答えるが、現実主義者のリオは不可能だと言おうとするが。
“ーーーーあれ?”
「危険過ぎる。例えアリスの精神世界に侵入できたとしても、下手すれば2度と戻ってこれなくなってしまうのよ。そもそも、そんな事一体誰がーーーー」
「現状、アリスを連れ戻せるのは『ゲーム開発部』と先生しかおりません。危険は伴いますが・・・・ソレ以外に方法はありません」
『デデンネ!』
「・・・・やります」
と、リオとヒマリが言い合っていると、デデンネが「やるよ!」と声を張り上げ、ユズもオズオズと声を上げる。
「アリスちゃんを・・・・連れ戻せるのなら」
『デンチュラ!』
デンチュラも同意のようだ。モモイ達や先生も頷く。
「ほらね?」
「・・・・・・・・」
「ソレでは、私が今からアリスの精神を分析して隙間を作ります。皆さんはマギアナとボルケニオンを何とか抑えつけて下さい。邪魔されると困りますから。そしてアリスの精神世界に入って、彼女を連れ戻してきてください。私の方の護衛は私のブースターと、リオのゴチルゼルに任せます。メタグロスはこの狭い部屋では不向きですから」
『!!ーーーー(コクン!)』
『ゲーム開発部』が頷いてみせる。
“・・・・分かった。ルカリオ。イーブイ。マグマラシ。ベイリーフ。アリゲーツ”
『!!』
“リオとリオのスターミーと協力して、マギアナとボルケニオンを抑えるよ”
『・・・・・・・・(コクン)』
リオに対して思う所はある。しかし、アリスを助ける為だと5匹は納得して、コクリと頷いた。
“リオ”
「先生」
“ピカチュウとルカリオをスターミーに付ける。イーブイと御三家達はボルケニオンの相手をさせるけど・・・・”
「ええ。任せて」
“良し。行こう!”
「ええ、ソレでは始めましょう。時間が掛かりますから、その間にマギアナとボルケニオンをお願いします」
「・・・・敵対勢力の反抗を確認ーーーーマギアナ」
『ーーーー!!』
「ーーーーボルケニオン」
『ヴォオ!!』
「戦闘開始」
『『!!』』
〈Key〉がそう言った瞬間、マギアナがスターミー(色違い)とルカリオに、ボルケニオンが先生が『超進化ライト』で進化させたイーブイ(色違い)、もといシャワーズ(色違い)と2代目御三家が戦い出した。
ーマギアナVSピカチュウ&ルカリオ&スターミー(色違い)sideー
『ーーーー!!』
マギアナは電子音のような鳴き声を上げると、左右の手からそれぞれ、【でんじほう】と【サイケこうせん】、スターミー(色違い)と、ルカリオの苦手とするタイプ技を放つ。
『ヘァッ!』
『カルッ!』
宙を浮遊するスターミー(色違い)は軽やかに避け、ルカリオは【ボーンラッシュ】を回転させて防ぐ。
“ピカチュウ! 懐に入るんだ!”
『ピカッ!』
ピカチュウはその小さな体躯を活かして両手が塞がったマギアナに接近する。
“【かみなりパンチ】!”
『ピカチュウ!!』
『ーーーー!!?』
両手が塞がったマギアナの腹部に、ピカチュウの雷を纏った拳が突き刺さり、マギアナは両手のビームを消してしまった。
「スターミー、【パワージェム】」
“ルカリオ、【はどうだん】!”
『ヘャッ!!』
『!! カルゥオオオオ!!』
そしてその隙に、スターミー(色違い)が宝石のように煌めく光を発射し、ルカリオも波動を放つ。
『ーーーー!?』
マギアナは攻撃を受けて後ろに引くが、ピカチュウの攻撃の際に、【てっぺき】で防御力を上げていたのか、殆どダメージを受けていない。
『ーーーー!!!』
マギアナが目を光らせたその瞬間、
ーーーーズズンッ!!
『『『!?』』』
何と、浮遊していたスターミー(色違い)が床に落下し、ピカチュウとルカリオもまるで上から何かに押し潰されているかのように這いつくばる。
“! 【じゅうりょく】!?”
「不味いわ。起動力を封じられたわ」
動けなくなった3匹に、マギアナは再び【でんじほう】と【サイケこうせん】を放った。
『『『!!!』』』
スターミー(色違い)とルカリオは効果抜群の攻撃を受けてヨロヨロになり、ピカチュウは何とか堪える事が出来たが【じゅうりょく】の影響下から離れられたが、コレでは反撃の手段がない。
「コレは分が悪いわね。流石にこのフロアを破壊する訳にはいかないから、【じゅうりょく】もそれ程強くは無いけど、接近戦をメインとする先生のポケモン達や、遠距離攻撃にそれ程強力な技がない私のスターミーでは・・・・」
“・・・・っ! そうだ、リオ”
「ん?」
先生がリオに話していると、マギアナは片手を前に持ってくると手の先端が開き、エネルギーを溜め込んでいた。
「っ! 【フルールカノン】ね・・・・!?」
マギアナだけが扱える『フェアリータイプ最強の技』を放とうとしているのを見て、リオの頬に焦りが生まれる。
“リオ!”
「・・・・分かったわ。スターミー、【じこさいせい】よ」
『ヘャアッ!!』
リオの指示でスターミー(色違い)は身体のダメージを回復させると、懐から『テラスタルオーブ』を取り出した。
「コレが、合理的戦術よーーーーテラスタル!!」
リオの『テラスタルオーブ』が光り輝き、オーブ内のエネルギーが解放され、発光してスターミー(色違い)の頭上へ投げると、スターミー(色違い)の足元から結晶が隆起して包み込み砕け、スターミー(色違い)の身体が宝石のように輝き、五角形の頭の頭頂部には紫色の瞳をした冠を付けた『テラスタル』となった。
『ヘァッ!!』
テラスタルしたスターミー(色違い)が、ピカチュウとルカリオの前に立ったその瞬間、
『ーーーーーーーー!!!』
マギアナが凄まじい桃色のエネルギー砲を放つ。
「ーーーー【ひかりのかべ】!」
『ヘャァアアアアッ!!!』
スターミー(色違い)の頭頂部の『テラスタル』が激しく輝くと、スターミーの前に念動力で作られた障壁が張られ、マギアナの【フルールカノン】を防ぐ。
“ピカチュウ! ルカリオ!”
『ピカ!』
『カルッ!』
先生は片方の手には『テラスタルオーブ』が握り、もう片方の手に巻いた『メガストーン』をルカリオに掲げた。
“限界超えて、光り輝けピカチュウ! テラスタル!!”
先生の『テラスタルオーブ』が光り輝き、オーブ内のエネルギーが解放され、発光し、ピカチュウの頭上へ投げるとピカチュウの足元から結晶が隆起して包み込むと、すぐに砕け散ると、ピカチュウの身体が宝石のように輝き、その頭には巨大な電球を冠(した『テラスタル』へとなる。
『ーーーーピカァァァァッ!!』
“ルカリオ! 絆の力でさらなる高みへ! メガシンカ!!”
先生のブレスレットにある『キーストーン』が光り輝くと、ルカリオの腕にあるバングルの『メガストーン』も、共鳴するように光り輝き、お互いに光の線が伸びて繋がり、ルカリオの身体を包み込んで砕けると、メガルカリオとなった。
『ーーーーカルゥォォッ!!』
“ーーーー【ライジングドラゴン】!!”
『ピィィィィ・・・・カァアアアアアアアアッ!!!』
『カルゥォォォォォォォォ・・・・!!!』
ピカチュウがその場に四つん這いになり、全身に激しい雷電を纏い、メガルカリオは両腕を太極拳の様にユラリと動かし波動を集めて1つにすると、波動が龍の頭を形作る。
「(先生のピカチュウとルカリオの『合体技』は、ピカチュウが先行して【ボルテッカー】で走り、その後にルカリオが全力の【りゅうのはどう】を放ち、先行したピカチュウにぶつけ、その龍の形をした波動をピカチュウが纏う事で雷の龍を形作り、相手に向かってピカチュウが縦横無尽に動いて突撃する技。・・・・でも今やろうとしているのはピカチュウが動かず、ルカリオが波動を集めていっている)」
リオも『シャーレの先生』のこれまでの戦いのデータは監視カメラやドローンを使って知っている。しかし、今先生と先生の手持ちの2大エースが見せた事のない構えに、若干訝しげに目を細める。
『ーーーー!!』
『へ、ヘラァ・・・・!!』
マギアナがもう片方の腕を展開させると、【フルールカノン】を放った。両手から放たれる2つの【フルールカノン】が1つとなり、極大の光の奔流となるとスターミー(色違い)の障壁が砕けていく。
「スターミー、回避よ!」
『シュァッ!!』
リオからの指示で、スターミー(色違い)が砕ける寸前に宙を浮くと障壁が砕け・・・・。
ーーーードシュゥウウウウウウウウッッ!!!
極大の【フルールカノン】はそのまま向こう側の壁をブチ破り、煙が先生達の姿を隠した。
“・・・・ピカチュウ、ルカリオ・・・・!”
『『!!!!』』
煙の中から、バリバリッ、と雷電を纏うピカチュウと、膨大な波動を溜めたメガルカリオが立っていた。
“(この【ライジングドラゴン】は、本来は【ボルテッカー】を放ちながら威力を高めるピカチュウに、同じく放ちながら威力を高める【りゅうのはどう】を撃つタイプではなく、ピカチュウが溜めている【ボルテッカー】の膨大な雷電をルカリオが溜めた【りゅうのはどう】で撃ち出すから、今までの【ライジングドラゴン】よりも溜めに時間が掛かるし、一直線にしか進まないから動きが遅い相手か、その場に留めた相手にしか撃てなかった・・・・だが!)”
『ーーーー!!』
マギアナも、【フルールカノン】を連発で使った反動からか、その場から動けずになっていた。ソレでなくても、【じゅうりょく】を使っているこの場から動けなくなった。
そして・・・・。
“コレが遠距離用の【ライジングドラゴン】ーーーー【ライジングドラゴン・インパクト】!!”
『カルゥオオオオオオオオオオオオッッ!!』
ーーーーバシュゥウウウウウウウッッ!!
マギアナに向けてルカリオが【りゅうのはどう】を撃ち出すと、その間でにいるピカチュウを呑み込み、ピカチュウが留めている雷電を纏うと、まるでアリスの『光の剣:スーパーノヴァ』の様に一直線に伸びる雷竜を生み出し、【じゅうりょく】の力場を抜けて、マギアナを呑み込んだ。
『・・・・!?!?!?』
光が収まると、マギアナは全身から小さく放電し、プスプスと音と煙を上げて、その場で倒れた。
リオとスターミー(色違い)は一瞬ホッとしたが、先生とピカチュウとルカリオは、次にボルケニオンと戦っているシャワーズ(色違い)と2代目御三家に目を向けると、マギアナをリオとスターミー(色違い)に任せて向かった。
ーボルケニオンVSシャワーズ(色違い)&2代目御三家sideー
『ヴォオォォォォッオ!!』
ボルケニオンが背中のアームの先端から専用技【スチームバースト】を放つ。
『シャワァァァァッ!!』
『ゲィィィィツゥッ!!』
シャワーズ(色違い)とアリゲイツが【みずでっぽう】を全力で放って少しでも技の熱と威力を下げようとした。
『ーーーーマァグゥゥゥゥ!!』
『ーーーーベェイィィィィ!!』
【スチームバースト】を防いでいる2匹をの左右からマグマラシとベイリーフが飛び出し、【かえんぐるま】と【マジカルリーフ】でボルケニオンを左右から攻撃する。
『ーーーーヴォオオオオオオオオッッ!!』
『ーーーー!!!??』
が、ボルケニオンが【じならし】を放ち、シャワーズ(色違い)達全員にダメージを受け、攻撃の手を緩めてしまったその瞬間、
『ヴォオーッオ!!』
『っ! マグゥゥゥゥッ?!』
『リゲィィィィッ!?』
背中のアームでマグマラシの首を掴み、アリゲイツの胴体を掴んで持ち上げて握り締める。
『ベイッ!!』
『ヴォオーッ!!』
『べッ!?』
ーーーーゴシャァアアアアンンッ!!
ベイリーフが助けに向かうと、ソレより早くボルケニオンが前に出て、片方の前足からの【ヒートスタンプ】でベイリーフを押し潰した。
『ベィィィィ・・・・!!』
唯でさえ苦手な『ほのおタイプ』、ソレも【ヒートスタンプ】は相手がボルケニオンよりも体重が低ければ威力が高い技を受けて、ベイリーフはダメージを受けてしまう。
『シャワッ!!』
シャワーズ(色違い)が【アクアブレイク】でボルケニオンに突撃しようとする。
『ヴォオーッ!!』
が、ボルケニオンはマグマラシとアリゲイツを捕まえたアームを振り回し、そのアームでシャワーズ(色違い)を叩きつけた。
『シャワァァァァ!!』
シャワーズ(色違い)は吹っ飛び、壁に叩きつけられる。
そしてボルケニオンはマグマラシとアリゲイツを捕らえたアームと、ベイリーフを踏みつけている足に力を込め、2代目御三家を潰そうとする。
『『『〜〜〜〜!!!』』』
首を絞められ、胴体を絞められ、燃やされながら潰され、2代目御三家は窮地に追いやられる。
と、その瞬間・・・・。
『デデデッ!!』
『ヴォオ!?』
『『『!?』』』
何と、アリスのデデンネがその小さな体躯を生かしてボルケニオンの頭に乗り上げると、【いかりのまえば】でボルケニオンの頭に齧り付く。ボルケニオンが振り払おうとすると、
「「【エレキボール】!!」」
「【ねばねばエレキネット】・・・・!」
『プラァ!』『マァイ!』
『チュラっ!!』
モモイとミドリが指示すると、プラスルとマイナンが電気玉を放ち、更にユズのデンチュラが天井からボルケニオンの身体に電流が流れる【ねばねばネット】で包んだ。
『『『?!』』』
2代目御三家が目を向けると、モモイとプラスル、ミドリとマイナン、ユズとデンチュラが援護に回ってくれていた。ユズは倒れたシャワーズ(色違い)の回復をする。
「頑張れマグマラシ! アリゲイツ! ベイリーフ!」
「先生が来てくれるまで、私達がサポートするから!」
「み、皆で、アリスちゃんを、助けに行こう・・・・!」
『!!!』
『ゲーム開発部』の3人も、ポケモン達も勇ましい事を言っているが、身体や脚は僅かに震え、本当は怖がっているのが見て取れた。しかし、ソレでも彼女達は戦おうとしている。たった1人の友達、アリスを助けると言う『想い』だけで・・・・。
『『『ーーーー!!!』』』
2代目御三家達が、『ゲーム開発部』からの応援と『想い』を目の当たりにし、気合いを入れ直したその瞬間、3匹が身体を輝かせながら、メキメキっ、と音を立たせながら身体が成長していくと、マグマラシは首に巻き付いたアームを両手で掴んで解き、アリゲイツも胴体を巻き付いたアームを両手で掴んで解き、ベイリーフは自分を踏みつけているボルケニオンの足を押し戻す。
『ーーーー!!!』
『ヴゥオオオオオオオオッッ!!?』
デンチュラのネットで動きづらくなったボルケニオンが、ベイリーフに押し出されてひっくり返すと、その左右に脱出したマグマラシとアリゲイツが着地し、彼らの身体の光が収まるとその身体はーーーー新たな姿へとなった。
マグマラシは、その体格が更に大きく成長し二足歩行となり、眼付きもより鋭く、炎は首周りから吹き出る様になった『かざんポケモン・バクフーン』。
『バァクフゥーンッ!!』
アリゲイツは、より全体的に大型化し頭にあるトサカや背中の背ビレはより大きくなった。眼光も鋭く筋肉質になった『おおあごポケモン・オーダイル』。
『ダァイィルゥーッ!!』
ベイリーフは頭の葉っぱが無くなって変わりに黄色の触角が伸びて頭頂部で留まりメスである事を示し(オスは触角が後頭部まで伸びる)、黄緑色の竜脚類の首にピンクの花が付いたような姿をした『ハーブポケモン・メガニウム』。
「メェガニゥームッ!!」
“ーーーー皆!!”
『ピカチュウ!』
『カルゥォォ!』
『先生!』
『!!』
先生達が駆けつけると、2代目御三家達が最終進化を迎えた事を見た。
「先生見て見て! 御三家の皆が進化したよぉ〜!」
“うん。サポートしてくれてありがとう、『ゲーム開発部』の皆!”
「「「はい!」」」
『『『!!』』』
先生の言葉を聞いて、『ゲーム開発部』とポケモン達は笑みを浮かべる。そして2代目御三家は先生からの指示を待っているかのようにネットを引き千切りながら起き上がるボルケニオンに身構える。
“ーーーーバクフーン! オーダイル! メガニウム!”
『『『!!!』』』
“行くよ!”
『バクゥッ!!』
『オーダァ!!』
『メガメガ!!』
『〜〜〜〜!! ヴォオーッオオオオッ!!!』
先生の声に2代目御三家達が声を張り上げると、再びアームを2つ伸ばした。
“ーーーーオーダイル! 受け止めて!!”
『ダアイルゥッ!!!』
伸ばされた2つのアームをオーダイルが前に出て左右の腕で捕らえる。
“そのまま【ばかちから】!”
『ダァー・・・・イィルゥ!!』
『!?』
そして、両腕に力を込めてアームごとボルケニオンを持ち上げ、床に叩き付けた。
『ヴォッ!?』
“メガニウム! 【はなびらのまい】!”
『ニィィウゥゥゥゥムッ!!』
一瞬怯んだボルケニオンに、メガニウムが首の花から何枚もの花弁を飛ばし、ボルケニオンの身体を舞う。
『ヴ、ヴォォォォ・・・・!?』
すると、花弁の動きと花粉で、ボルケニオンは『こんらん状態』となった。
“今だーーーーバクフーン! 【かえんぐるま】!!”
『バァクゥゥゥゥ!!』
バクフーンが首周りから炎を噴射しつつ、身体を丸めて回転すると、『こんらん』でフラフラとなったボルケニオンに当てる。
『ヴオオオオオオオオッッ!?!?』
ゴロゴロと転がるボルケニオンは、そのお陰で『こんらん』が解けたのか、全身から蒸気を噴射し怒りを顕にした。
『っーーーーヴォオオオオオオオオーッ!!!』
そして、四足を床に強く踏みしめて、背中のアームを2代目御三家に向ける【スチームバースト】を放とうとしているのだ。ソレも、恐らく最大出力で・・・・。
“バクフーン。オーダイル。メガニウム”
『『『!!』』』
先生に名を呼ばれ、2代目御三家はボルケニオンに向けて横一列で並ぶ。
『ヴゥゥオオオオオオオオオオオオーッッ!!!』
その瞬間、アームから今までとは桁違いの質量と熱を帯びた熱湯が噴射され、2つが1つとなって迫った。
“バクフーン【オーバーヒート】! オーダイル【ハイドロポンプ】! メガニウム【リーフストーム】!”
『バァァァァクフゥウウウウウウウウンンッッ!!!』
『ダァァァァイルゥウウウウウウウウッッ!!!』
『メェェェェガァアアアアアアアアアッッ!!!』
2代目御三家達がそれぞれの最強技を放ち、【スチームバースト】とぶつかって拮抗する。
『ーーーーーーーー!!!』
『『『ーーーーーーーー!!!』』』
ボルケニオンは更に床を強く踏み締め、熱湯の出力を上げると、2代目御三家は少し後ろに後退しつつ、技を止めようとしない。しかし、ボルケニオンとの力の差が歴然で、いつまでこの拮抗が保てるか分からない。
“バクフーン! パワーが足りないよ!”
『ピカチュウ!』
『バクゥウウウウッッ!!』
“オーダイル! もっと腰を落として、足を踏ん張るんだ!”
『ルカリオ!』
『ダァイルゥゥゥゥッ!!』
“メガニウム! 怯まないで! 仲間と力を合わせるんだ!”
『シャワッ!』
『メ、メガァァァァッ!!』
「「「頑張れバクフーン! 頑張れオーダイル! 頑張れメガニウム!」」」
『ーーーー!!』
先生とピカチュウ、ルカリオとシャワーズ(色違い)が鼓舞し、『ゲーム開発部』が必死に応援すると、2代目御三家達が更に技の威力を上げた。
そしてその時、
ーーーービキッ! ビキビキビキビキ・・・・バコンッ!!
『ッッ!!?!?』
突如、ボルケニオンの足元の床の一部が陥没し、ボルケニオンの体勢が崩れた。
そして、【スチームバースト】も外れてしまい、ソレを先生は勿論、2代目御三家も見逃さなかった。
“ーーーー今だぁ!!”
『『『ーーーー!!!』』』
『ヴゥゥオオオオオオオオオオオオ!?』
先生の指示で最後の力を振り絞って出力を上げた2代目御三家の技がボルケニオンに当たり、ボルケニオンは壁をぶち破って、『中央タワー』の外に吹っ飛んでいった。
“良し!”
『ピカッ!』
『カルっ』
『ーーーーブイッ!』
『やったぁ!!』
『ーーーー!!!』
先生とピカチュウとルカリオ、進化時間が来て戻ったイーブイ(イーブイ)、『ゲーム開発部』が一斉に勝ち鬨の声を上げた。
「・・・・ボルケニオンの体重は195.0kg。先程オーダイルに叩きつけられ、更に最大出力の【スチームバースト】を放つ際に床を強く踏みしめていたから、床の強度がもたなくなったのね。ーーーー先生、まさか狙ったの?」
“・・・・どうだろうね”
マギアナをスターミー(色違い)の上に乗せて運ばせたリオが近づいてそう聞くと、先生は惚けたように答えた。
ー先生sideー
そして先生が疲労困憊のイーブイ(色違い)と2代目御三家の回復を終えると、
「・・・・準備完了です」
『!!』
「先生」
“うん! 行こうピカチュウ!”
『ピカ!』
ヒマリからの言葉を聞いて、既にダイブの準備を終えた『ゲーム開発部』は頷き、先生とピカチュウも、ダイブ設備を装着する。
ルカリオと、ある程度回復したイーブイ(色違い)と2代目御三家は、気絶したマギアナと、タワーの外に飛んだボルケニオンが戻ってくる事を警戒して残す。
「ーーーーソレでは皆さん、お願いします」
ヒマリの声が聞き終え、先生達と『ゲーム開発部』は、意識が遠のく感覚を感じた。
◇
まるでトンネルのような空間を浮かびながら進んだ先生とピカチュウ、『ゲーム開発部』の全員が目を開くとソコはーーーーアリスと初めて出会った『廃墟』であった。
そして進んで行くと、アリスが眠っていた『廃墟』の最奥へと辿り着いた。
「ここがアリスの・・・・」
『プラスル・・・・』
「・・・・心の中?」
『チュラ・・・・』
『っ! デデっ!!』
「! ねえ、お姉ちゃん! ユズちゃん! あそこ・・・・!」
『マイナン!』
全員がアリスの心の中の世界を見回していると、デデンネが突然に走り出し、ミドリとマイナンがソレを指さすと、椅子に座って眠っているアリスの姿があった。
『デデン!!』
「アリス!!」
デデンネがアリス元に辿り着くと、起こそうとするように髪の毛や頬を引っ張ると、モモイ達もアリスの身体を揺すった。
「・・・・・・・・・誰?」
『デデン!!』
すると、アリスが薄っすらと目を開くと、目に涙をいっぱい溜めたデデンネが笑顔を浮かべる。
「デデン、ネ・・・・?」
「そして私達だよ!」
『プラスル!』
「アリスちゃん! 私達が来たよ!」
『マイナン!』
「アリスちゃん!」
『デンチュラ!』
“アリス、大丈夫?”
『ピカチュウ?』
「モモイにプラスル・・・・ミドリにマイナン・・・・ユズにデンチュラ・・・・? 先生にピカチュウまで・・・・?」
デデンネに気付いたアリスに、半泣き状態のモモイとプラスル、同じく半泣きのミドリとマイナンが抱き着き、ユズとデンチュラも直ぐ側に近づいて涙を浮かべる。そして先生とピカチュウが聞くと、アリスは微睡んでいた意識がハッキリとしたのか、頬に汗を垂らす。
「どうして、ここに・・・・?」
「そりゃ、家出したアリスを迎えに来たんだよ!」
『プラァ!』
「アリスちゃん、早くここから出よう!」
『マイ!』
「帰ろう、アリスちゃん」
『チュラ』
『デデン!』
「あ・・・・アリスは・・・・アリス、は・・・・」
皆が「一緒に帰ろう」と言い、アリスは一瞬笑みを浮かべそうになり、涙を堪える様に呟き、返事をしようとした。
が、その時・・・・。
「ーーーー王女よ、アナタが見てきた光景を忘れましたか?」
「誰!?」
突然響いてきた『声』に、一同は見回した。するとーーーー。
『・・・・・・・・・・・・・』
アリスと同じ容姿をしているが、青い瞳をしたアリスと対処的に、赤い瞳を不気味に光らせた、アリスと瓜二つの少女が現れた。
そして先生は、その人物が誰なのか確信しており、低い声で名を呼んだ。
“・・・・〈Key〉”
『ピカチュウ・・・・!』
そう。現在アリスの身体の自由を奪っている人格、〈Key〉である。その瞬間、ピカチュウと『ゲーム開発部』のポケモン達はアリスと〈Key〉の間に入って、〈Key〉を威嚇する。
『ーーーー!!!』
「〈Key〉! つまり、アレば・・・・!」
「アリスちゃんと同じ顔をしたあの人が・・・・?」
「アリスちゃんを、此処に閉じ込めた『元凶』・・・・?」
ここはアリスの『心の中』、アリスと身体を共有している〈Key〉が現れるのは想定内だが、先生は気になる事を問うた。
“アリスが見てきた『光景』って、一体何の話?”
『ーーーー文字通りの意味です。『王女様が』この空間で見聞きした光景の数々』
〈Key〉がそう言うと、その場に幾つもの空中モニターが出現し、『要塞都市エリドゥ』に来てからの激戦の数々の映像が映し出された。
“コレって・・・・”
「私達が・・・・戦ってきた、姿・・・・?」
「何でこんなモノを・・・・」
先生と才羽姉妹の言葉に、〈Key〉は無機質な言葉で返す。
『『エリドゥ』の監視網から見てきた光景。ソレら全て、アナタ達がこの馬に足を踏み入れるまでの戦い、走り、転んで、傷ついてきた光景です』
どうやら〈Key〉は、この時から既に『要塞都市エリドゥ』のシステムにハッキングをしていたようだ。
『何故このような事が起きてしまうのか・・・・その答えを、『王女』は既にご存知なのではないでしょうか?』
〈Key〉が問い掛けると、アリスはまた泣きそうな顔となる。
「・・・・・・・・アリスはーーーーアリスは、帰れません」
『デデッ!?』
“アリス・・・・?”
アリスの言葉に、デデンネは〈Key〉から離れて、アリスの元に行って、アリスの身体をよじ登ろうとする。
しかし、アリスはデデンネを両手で捕まえて、自分から引き剥がしながら、絞り出すような声を発する。
「アリスが皆の側に居たら・・・・皆はその分、傷付いてしまいます」
「アリスちゃん、違う! そうじゃないよ!」
「ミドリの言う通りだよ、アリスちゃん。私達はそんな事・・・・」
「ミドリ・・・・ユズ・・・・でと、アリスのせいで皆怪我をしてしまいました・・・・モモイも、プラスルも・・・・ミドリもマイナンも、ユズもデンチュラも・・・・デデンネだって・・・・ネル・・・・先輩達も・・・・・」
アリスは、コレまで傷だらけになった皆の事をポツリ、ポツリと呟く。
「アリスは・・・・『勇者』ではなく、『魔王』ですから。いつか世界を・・・・〈キヴォトス〉を滅ぼすかも知れない、『魔王』として、生まれた・・・・から・・・・アリスが、いるから・・・・ソコに、『居たい』と、願ってしまうから・・・・そんな・・・・『魔王』は・・・・皆の側にいては、いけません。『大切な人達』が・・・・苦しんで傷付くのなら・・・・いっそ・・・・アリスは・・・・アリス、はこのまま消えるのが正しいのです」
『ーーーーデデデェェェェェェェェンン!!!』
ーーーーバチィィィィンッ!!
『・・・・?』
『!?』
“・・・・・・・・”
「デデン、ネ・・・・?」
泣きそうな顔のアリスに向かって、デデンネが「馬鹿ァッ!!」と叫びながら、アリスの頬に【かみなりパンチ(平手)】をお見舞いした。
『デデン・・・・!!』
アリスの頬を叩いたデデンネのその顔は怒っていたが、目には涙を目一杯に溜め、今にも破顔して泣き出してしまいそうな貌であった。
すると今度は、ソレまで珍しく静かだった桃色が口を開く。
「アリス、何でデデンネが殴ったか分かる?ーーーー『テイルズ・サガ・クロニクル2』は・・・・! 私達が、一緒に作ったゲームは!! 『特別賞』を貰ったよ!!!」
『!!』
“も、モモイ?”
突然のモモイの言葉に、その場にいた全員が首を傾げてしまう。しかし、モモイは止まらない。
「〈キヴォトス〉の終焉? 何言ってるの? アリスがいるだけで皆が傷付く? 誰がそんなバカな事を言ってるの!?」
「!?」
「アリスに会って・・・・アリスが居たから・・・・! デデンネは『大切なパートナー』ができて! 私達はゲームが作れて! 『ミレニアムプライス』で賞を貰って、部活を守る事が出来たんだよ!」
『プラスル!』
「うん、そうだよ」
『マイナン』
「・・・・うん!」
『チュラ』
“そうだね、アリスがいたから出来た事だよ”
『ピカチュウ』
「モモイ・・・・?」
他の皆が同意する中、アリスだけが理解が追いつかず、戸惑う様に声を上げるがモモイは止まらない。
「部活を守れた事も・・・・ゲームを作って、一緒に遊んだ事も! ただ怖いだけだったネル先輩と、一緒にゲームをするような仲になれたのも! 全部! ぜーんぶ! アリスがいてくれたからだよ!」
モモイは、アリスがいてくれたから出来た事を全部あげていく。
「ソレなのに、アリスが『魔王』だとか、そう生まれついただとか・・・・だから消えなきゃいけないとか! そんなの、全ッ然意味わかんない!! そんなの絶対納得するもんか!」
『プラスル!』
「うん、絶対に」
『マイナン』
「消えるのを・・・・放ってなんか・・・・置けないよ・・・・」
『デンチュ』
『ーーーーデデンネ!』
モモイの言葉に、皆が力強く同意し、涙を拭き取ったデデンネも力強く頷いてみせた。
「・・・・な、な、何故、ですか? 皆・・・・どうして・・・・アリスは・・・・『魔王』なのに・・・・アリスのせいで・・・・皆、怪我したのに・・・・何で、皆・・・・アリスを怖がったり・・・・憎んだりしないで・・・・そうやって・・・・」
泣きながら問い掛けるアリスに、ユズは何の躊躇も迷いもなく答える。
「だって! アリスちゃんは・・・・私達の仲間‹友達›だから・・・・!」
「・・・・!」
「この前・・・・アリスちゃんが言ってくれた事があったよね? 『ファイナルファンタジア』、『ドラゴンテスト』、『トールズ・オブ・フェイト』、『竜騎伝統』、『英雄神話』、『アイズエターナル』、『ポケモンダンジョン』・・・・そしてーーーー『テイルズ・サガ・クロニクル』・・・・どんなゲームでも、主人公達は・・・・」
“決して、『仲間』を諦めないと”
「例えアリスが『魔王』だったとしても、そんなの関係無いよ・・・・! そんなの、ただの『ジョブ』に過ぎない! 自分が誰なのか、ソレは自分自身で決めるものだよ!」
今、『魔王』として生まれついてしまった少女を救う。
【ライジングドラゴン・ストライク】。
ピカチュウが【ボルテッカー】で突撃し、ルカリオが【りゅうのはどう】で押し出し、雷龍となって相手に向かって縦横無尽に動いて攻撃する技。
【ライジングドラゴン・インパクト】。
ピカチュウが【ボルテッカー】を発動したまま動かず、その分放電に集中し、ルカリオも最大限に高めた【りゅうのはどう】を撃ち出す事で雷龍の形をした波動の砲撃を放つ。溜めが長く、一直線にしか進まず、使うとピカチュウとルカリオのパワーもかなり消費するのであまり使わない。
さて、次回はエピローグまで行きたいです。