ーアリスsideー
自分が何者なのかが分からず苦悩するアリスに、『ゲーム開発部』が声を上げる。
「ーーーー自分が誰なのか、ソレは自分自身で決めるものだよ! アリスは、ただ自分がなりたい『ジョブ』を選んで転職すれば良いんだよ!」
「『戦士』、『騎士』、『魔法使い』、『僧侶』ーーーー何でも良いよ、アリスちゃん。勿論、他の職業でも」
「その・・・・『勇者』も、いるよ」
『ゲーム開発部』は『魔王』として生まれついたアリスに何とーーーー『転職』を勧めた。
“だから、アリスの『本音』を聞かせて欲しいな”
先生がそう聞くと、アリスは上着の前裾を握る。
「アリスは・・・・『魔王』なのに・・・・世界を・・・・滅ぼしてしまう・・・・のに・・・・」
ポツリ、ポツリと嗚咽交じりにアリスは言葉を紡ぐ。
「・・・・・・・・なのに・・・・ソレでも・・・・・・・アリスは・・・・そんなでも、良いんですか? 冒険を・・・・皆と一緒に・・・・クエストを、続けても・・・・良いんですか?」
そして、涙を流しつつ声を上げる。
「こんなアリスでも・・・・? 本当に・・・・?」
『デデン』
“うん。勿論”
『ピカチュウ』
涙を拭ったデデンネと先生とピカチュウが優しく笑みを浮かべ、他の皆も笑顔で頷いた。
「ソレなら・・・・も・・・・がしたいです・・・・アリスも! 『勇者』になって・・・・! 皆と・・・・」
涙を拭ったアリスは顔を上げて声を張り上げる。
「デデンネ、モモイ、プラスル、ミドリ、マイナン、ユズ、デンチュラ。そして先生にピカチュウ達と・・・・冒険を続けたいです・・・・! 『魔王』である・・・・アリスが、そうしても、許されるのなら・・・・!」
「うん! アリスがしたいならソレで十分!」
「『魔王』だって、『勇者』になれるよ」
アリスの言葉に、才羽姉妹は大きく頷く。
「寧ろ、最近だとそう言うお話がヒットしてるからね!(逆に『勇者』が悪者になっているパターンもあるけど・・・・)」
「もし・・・・そう言うブームが無かったとしても・・・・私達が、次回作として作れば良い・・・・」
「だって、私達は、色々な想像を形にする事ができる・・・・!」
「何でも作る事ができる・・・・!」
ーーーー『ゲーム開発部』だから!
『ーーーー!!!』
モモイ達の言葉に、プラスル達もはしゃぎながら同意した。
「!ーーーーでは、アリスは『勇者』になりたいです」
“うん。『勇者』になっていいんだよ”
『勇者』になりたいアリスに、先生は頷く。
「デデンネとも、また冒険したい、です・・・・!」
“デデンネが望むのなら”
『デデン!!』
デデンネが堪え切れずまた涙を流しながら、アリスに飛びつき、アリスも両手に掴んでデデンネを抱きしめ、デデンネはアリスに頬擦りする。
「アリスは・・・・『アリス』になりたいです・・・・!」
“君がなりたい存在は、君自身が決めて良いんだよーーーーアリス”
そしてアリスも、涙を流しながら言うと、先生が頷いた。すると・・・・。
ーーーーピロロロロ〜ンン・・・・。
突然、レベルアップの音楽の流れると、この空間に少し古ぼけてしまったーーーー『レールガン』が、床に突き刺さる形で現れた。
「コレは・・・・!」
そうソレはーーーーアリスの武器『勇者の剣』であった。
「『勇者の剣』・・・・アリス! コレ!」
「『勇者の剣』を・・・・!」
「抜くんだよ、アリスちゃん!」
『ーーーー!!!』
『デデン!』
「・・・・!・・・・はい!」
皆の言葉に押され、アリスは笑顔で頷き、『勇者の剣』を手に持ち、思いっきり持ち上げると、古ぼけていた『勇者の剣』が、新品同然の形へーーーー『光の剣:スーパーノヴァ』へとなった。
『ーーーーソレは・・・・! 『王女』よ・・・・アナタのその『能力』は・・・・!』
ソレまで無表情だった〈Key〉の顔に、初めて戸惑いと焦りの色が濃く浮かんだ。
『アナタのその『力』は、世界滅ぼす為に存在すると言うのに・・・・!』
「違います! アリスのコレは『勇者の武器』です!」
『デデンネ!』
狼狽える〈Key〉に向かって、アリスは毅然と応え、デデンネを定位置であるアリスの頭の上に乗せた。
「何故なら! アリスがそう決めたからです!」
『デデン!』
「今のアリスは『光属性の勇者』・・・・!」
そしてアリスは『光の剣:スーパーノヴァ』の砲口を天井に向ける。
「デデンネ! 『光の剣』に更なる魔力を!!」
『デデン!ーーーーデェ、デデェエエエエエエエエンンッッ!!!』
アリスが『光の剣:スーパーノヴァ』から『充電ケーブル』を伸ばしてデデンネに咥えさせると、デデンネが最大出力の【10万ボルト】を放電し、一気にフルチャージにさせると発射モードに展開され、砲口にエネルギーが収束される。
そしてーーーー。
「光よーーーーーーー!!!!」
『!!?!?』
ーーーーバシュゥウウウウウウウウウウウウンンッッ!!!!
止めようとする〈Key〉に構わず、収束された光が発射され、その空間を真っ白い光が埋め尽くしたーーーー。
『『王女』よ・・・・アナタ・・・・は・・・・』
「アリスのクラスは『王女』ではありません!」
〈Key〉の呼び名を、アリスは違うと断じ、
「アリスは・・・・『勇者』です!!」
満面の笑顔でそう返した。
『理解・・・・不能・・・・・・・・』
〈Key〉はそう言い残し、光の中へ消えていった。
ーリオsideー
そして、『中央タワー』のコントロールが元に戻り、リオは『エリドゥ』全体をモニターで確認してみると、『Divi:Sion』は全て機能を停止させ、ファイヤー達『三鳥』はある程度暴れてスッキリしたのかお互いに頷き合うと、空の彼方へと飛んで去っていった。
「・・・・本当に、こんな事が可能だなんて・・・・」
“ーーーーうん、できるよ”
『ピカチュウ』
『フゥゥゥゥ〜・・・・』
先生とピカチュウが戻って来て、ルカリオとイーブイ(色違い)と2代目御三家は漸く終わったと確信し、深い溜め息を吐いてから腰を落とした。
“(ファイヤー達への説得。ご苦労様、ミューツー)”
《・・・・少々、宥めるのに苦労しましたよ》
ミューツーは『マスターボール』から念話で外で暴れているファイヤー、サンダー、フリーザーを宥めていたのだ。唯でさえ大変な状況なのに、『伝説の三鳥』に邪魔される訳にはいかなかったからだ。
しかし、リオは先生達が戻って来た事に対するリアクションをする余裕が無いのか、ソレよりも目の前で起こった『奇跡』とも呼べるような出来事が信じられないのか、ほぼ呆然と言葉を発する。
「しかし、私の計算では・・・・こんな・・・・どうやって・・・・そんな馬鹿な・・・・」
理数系で理論派で合理主義者の極致とも言えるリオにとって、こんな『奇跡』なんて信じられない、否、自分のコレまでを根幹から覆されたような心持ちなのであろう。
“ーーーーあの子達に不可能はない”
「!」
“ソレもそう、誰が何を言ったとしても・・・・”
そう言って先生は、まだ意識が戻っていない『ゲーム開発部』に目を向けた。
『プラプラッ! プラプラッ!』
『マイマイ! マイマイ!』
『チュラ! チュラ!』
否、プラスル達はもう起きており、頭や身体を揺すってモモイ達を起こそうとしていた。
「!ーーーーはっ!? プラスル、アリスは!?」
「!ーーーーマイナン! アリスちゃんは起きた!?」
「・・・・デンチュラ、アリスちゃんは!?」
目を開けてガバっと起き上がったモモイ達はアリスの事を聞くと、プラスル達はアリスの方を指差して、プラスルはモモイの頭に、マイナンはミドリの肩に乗り、デンチュラはユズと共に駆け出した。
“あの子達は、『勇者』と『そのパーティーメンバー‹『ゲーム開発部』›』だからね”
先生が笑みを浮かべるて目を向けると、
『ーーーーデデェェェェェェェェンン・・・・!!!』
「ーーーーただいまです、デデンネ」
滝の様な涙を流したデデンネに、そのデデンネを両掌で優しく包む様に持って、心から笑みを浮かべて頬擦りするアリスと、そのアリスに抱き着く『ゲーム開発部』の姿があった。
◇
そうして、『ゲーム開発部』、『C&C』、『エンジニア部』、『ヴェリタス』、『トレーニング部』、『特異現象捜査部』、そしてリオを除いた『セミナー』が力を合わせる事によって『要塞都市エリドゥ』を・・・・〈ミレニアム〉をーーーーひいては〈キヴォトス〉の脅威となったかも知れない危機を解決する事ができたのでした。めでたし、めでたし。
《ーーーー・・・・『エリドゥ』の施設は、私が責任を持って『閉鎖』する事に致しました》
“お疲れ様。ありがとうね、ヒマリ”
『要塞都市エリドゥ』での激戦から数日後、『シャーレ』にある先生の居住部屋でヒマリとの映像通信をしている先生とピカチュウは、『エリドゥ』についての報告を受けていた。
因みにルカリオは回復を終えて鍛錬に勤しみ、イーブイ(色違い)はお菓子を食べ、2代目御三家は、バシャーモとラグラージとジュカインの3代目御三家からマッサージを受けていた。
《・・・・あの時の脅威はどうにか防ぐ事ができましたが、まだ何も解決していませんからね。『特異現象捜査部』の部長として、看破できない事でもありますし・・・・はぁ・・・・一体誰のせいでこんな事を、と思ったりもしますが。まぁ、その『誰かさん』の為にやっている・・・・としておきましょう》
ヒマリはやれやれと溜め息を吐いて、『要塞都市エリドゥ』を造った張本人に文句を言った。
《それと、トキが手持ちとしていたゼラオラ、主であるアリスからも手持ちとなるのを断られたマギアナとボルケニオンも、取り敢えずは私の元で保護する事になりましたが、今は3匹ともバトルのダメージで意識不明の状態で、ポケモンセンターで集中治療中です》
“そうか・・・・”
アリスが目覚めてすぐ、マギアナはボロボロの状態でアリスに近くが、アリスから「ごめんなさい・・・・」と謝罪されると、まるで機能を停止させたかのように動かなくなり、更に『中央タワー』の近くのビルのオフィスでボロボロになっていたボルケニオンも眠ったままになっていた。
ゼラオラは『幻級ポケモン』であり、リオからの『許可』を得ていたから『役職持ち』でないトキが手持ちとしていたが、そのリオが『行方不明』となってしまい、その『許可』も自動的に停止したので、ゼラオラは没収となったのだ。
《『超天才病弱美少女ハッカー』は、いつも忙しいんですけどね・・・・全く》
“あはは、よろしくね”
『・・・・・・・・・・・・』
自己愛の強い台詞を息を吐くように言うヒマリに、膝で丸くなっているブースターと傍で控えているメタグロス(色違い)が半眼で呆れており、先生とピカチュウ達が何とも言えない顔になっていた。
ー『セミナー』sideー
今回の騒動を引き起こした〈ミレニアム〉の生徒会、『セミナー』の会長、『ビッグシスター』と呼ばれている調月リオはーーーー。
「ーーーーリオ会長!? 急に何を言ってるんですか!? 『会長を辞める』だなんて!」
ユウカとサーナイト、ノアとエルレイドが乗り込むが、執務室にリオの姿は無かった。
「ちょっと会長!? 会長は一体何処に!?」
「・・・・あ。ユウカちゃん、ここに会長からのメッセージが」
「え? メッセージ!? どれどれ・・・・」
ユウカが執務室の色々な所を見てリオを探していたが、ノアが執務室の机に置かれたPCに、リオからのメッセージがあったといって覗いてみると、ソコにはたった1言ーーーー。
『ごめんなさい』
「・・・・・・・・」
ワナワナとユウカは身体を小刻みに震わせ、サーナイトとノアとエルレイドは距離を空けると、
「・・・・あ、謝って済む問題じゃないでしょう!? 会長ォォォォーー!?!?」
ユウカの怒声が、『ミレニアムタワー』全体を震わせた。
ーリオsideー
「・・・・・・・・行くわよ、ゴチルゼル、スターミー・・・・『レシラム』」
『チル』
『ヘァッ』
『ーーーールーワ』
ユウカの怒号が『ミレニアムタワー』を震わせるのを、遥か上空から、身体全体が白い羽毛に覆われており、鳥型のドラゴンや羽毛恐竜のような姿をし、顔つきと毛並みはファードラで、首や尻尾に金輪のような装飾が付いており、尻尾が松明のように広がっている『伝説ポケモン』、『はくようポケモン・レシラム』の背に乗ったリオとゴチルゼルとスターミー(色違い)は、『ミレニアムタワー』から飛び去っていった。
ー『C&C』sideー
そしてその頃『C&C』は、『ミレニアムタワー』のカフェ(貸切)でネルの退院祝いをしている。
「部長の退院を祝って〜! 乾杯!」
『ハピナ〜』
『プリン〜』
「乾杯」
『ガゥ』
『ピィ』
「はい、乾杯です〜」
『マルマ〜』
『ゴロニャ〜』
『レキブル〜』
『ギャァ〜』
『クティ〜』
ーーーーカチン・・・・。
「・・・・コレは一体何の騒ぎだ?」
乾杯でグラスを合わせるが、包帯とかを巻いたエレキブルとギャラドス(色違い)、無傷のビクティニまでとグラスを持っているが、ネル(包帯と絆創膏を付けている)だけは憮然としていた。
「ふふっ。部長が無事退院したので、お祝いに打ち上げをする事にしたんですよ。ユウカも今回の騒動の活躍のご褒美でカフェを1日貸切にしてくれたんです」
「だから今日は、こうして『C&C』が全員集合したんだよ」
「いや、ソレは分かるけど・・・・何で先生がいんだよ?////」
ネルは『C&C』と共にいる先生と、ピカチュウにルカリオにイーブイ(色違い)、2代目御三家にミライドンがいる事に顔をブスッとさせた。
因みに先生もスイーツを作ってきており、『C&C』のポケモン達をモチーフにしたケーキやタルトを持ってきていた。
“招待されたんだよ。ネル、退院おめでとう”
「あ、ああ・・・・ありがとう・・・・っ!?」
『アギャァ♪』
ーーーーペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・・。
「うわぁっ!? ミライドン、テメェ! いきなり何しやがる!?」
顔を赤くして先生に礼を言うネルの近くに行ったミライドンが、ネルの顔を舐め回した。
“ハハッ、ミライドンって気に入った生徒を見ると顔を舐め回しちゃうんだ。因みに『ゲーム開発部』ではユズ。『ヴェリタス』だと『マキ』。『エンジニア部』だと『コトリ』が舐め回されているよ♪”
先生がそう説明していると、別の場所にいるユズとマキとコトリが、ゾクッ、と全身に悪寒が走ったとか・・・・。
「いや、んなどうでも良い情報いらねわぷっ!?」
「あははっ! リーダー、顔がベトベトだよ♪」
「リーダーにあんな事ができるミライドンも凄いな・・・・」
「うふふ・・・・(コレからリーダーへのお仕置きとして、先生のミライドンさんを、と言うのもアリですね)」
“(・・・・私もネルの顔やカリンの太ももを舐めたい)”
『(ケラケラケラケラ♪)』
「テメェらぷっ! 何笑ってやがぁぷっ! 助けやがれぇっ!!////」
その場にいる全員、エレキブルにギャラドス(色違い)にビクティニまでも和気藹々と笑っており、ネルは本調子でない身体を押してミライドンを退かそうとした。
◇
「ーーーークソッ、顔中ベタベタになっちまったじゃねぇかよ・・・・!」
“はいネル。可愛いお顔を綺麗にしようね♪”
「・・・・先生、ソレ以上近づいたらぶっ飛ばす」
“そんな・・・・!!”
満足したミライドンが離れ、存分に顔を舐め回されたネルは不快そうに言うと、生徒達の為に大判ウェットティッシュを持ってネルに下心ありの顔で近づく先生だが、プライドの高いネルはゲンコツを見せてウェットティッシュだけを貰って顔を拭いた。
ネルの顔を拭けなくてガッカリした先生に、アスナがその豊満なバストを(他意はなしで)押し付けながらグラスに飲み物を注ぐ。
「さあさあ、ご主人様も飲んで! 飲んで! 『ヴェリタス』が用意してくれた『妖怪MAX』ならい〜っぱいあるからね!」
“・・・・あ、うん。『妖怪MAX』なんだねコレ”
『妖怪MAX』とは缶入りエナジードリンクで、『ヴェリタス』のハレが愛好・常飲ーーーーと言うよりも重度の依存性となり、中毒とまで言われる程の飲料である。因みに『ヴェリタス』だけでなく『エンジニア部』も愛飲している。
「アスナ先輩、そんな風に勧めたら先生も困ってしまうから・・・・」
「ふふっ。カリン、今日くらいは良いんじゃないですか? ですよね、先生?」
“私は構わないけど・・・・”
「う~ん、コレじゃテンション上がらなかったかな?」
今一盛り上がりに欠けるパーティーをもっと盛り上げるにはどうするかと考える。
「あ! そうだ! 皆『バニー姿』の方が良かったりした? ねえ? ご主人様」
“えっ・・・・”
アスナが以前先生が『C&C』の任務に付き合い、彼女達が披露した『バニー姿』でいれば良かったのかと聞かれると、先生は思わず、赤いバニーに包まれたネルの未発達の肢体、黒いバニーと網タイツに包まれたカリンの褐色肌のナイスバディと美巨尻と太もも、白バニーに包まれたアカネの色白で豊麗な肢体とアスナ以上の大きさの豊乳、青バニーに包まれたアスナのアカネより形の美しい美豊乳と誰もが羨む抜群のナイスバディを連想してしまう。
『『・・・・・・・・』』
イーブイ(色違い)とメガニウムがジト目で睨んでいる。
「『バニー姿』なんて・・・・ソレは、ちょっと困る・・・・いや・・・・でも、先生が見たいって言うのなら・・・・できなくも・・・・////」
“(なぬ!?)”
『『(ニヨニヨニヨニヨ・・・・)』』
顔を赤らめてバニーの姿になっても良いと言わんげのカリンが顔を紅くしながらモジモジとする姿が先生の『肉食獣』を激しく刺激し、レントラーとムクホークはニヤついた顔でカリンを見ていた。
“〜〜〜〜!! だ、大丈夫だよ! いくら貸切とは言えそんな事しなくても!”
本音で言えば是非見たいのだが、流石に監視カメラとかもあるし公共施設でそんな事はできないと、苦渋の判断を下す先生。
「はぁ・・・・一体誰の為の打ち上げなんだか・・・・」
相も変わらずの『C&C』に、ネルは頭痛を堪えるように溜め息を溢したその時・・・・。
「ーーーー成る程・・・・打ち上げさえもバニー姿で。ソレが『C&Cスタイル』という事ですね。1つ賢くなりました」
「・・・・は?」
『ブッ?』
『ギャッ?』
『ビティ?』
「あら」
『ゴロ?』
『マッ?』
「・・・・!」
『ガゥ!』
『ピィ!』
「あはっ♪」
『ナス?』
『プリ?』
と、何気無くこの場に居るのは何と、顔にネルと同じく絆創膏とかを貼ったーーーー飛鳥馬トキであった。
「遅くなりました、先輩方」
「やほ〜トキちゃん!」
「な、なっ・・・・テメェがどうして・・・・ここに・・・・!?」
「『C&C』全員が集合する打ち上げの席だと伺ったので、来てみました」
「アンタは会長専属だろ!?」
つい先日に死闘を繰り広げた相手が打ち上げに現れ、アスナは呑気に手を振るが、ネルは戸惑いがちに聞くと、能面な顔でいけしゃあしゃあと言って、ネルがテーブルを両手で叩きながら立ち上がって叫んだ。
「・・・・残念ながら、その会長が『失踪』してしまいまして。ゼラオラも今はヒマリ様に取られてしまい、残されたのは倒された私達を助けに来ないで逃げ隠れしていた役立たずのミミズだけになりました・・・・」
『・・・・ズズッ・・・・』
トキのチラッと一瞥した視線の先には、カフェの柱にコソコソと隠れてコチラの様子を伺っている巨大ミミズズーーーーだったが、今は『ひでんスパイス』の効果が消えて普通のミミズズより一回り大きいサイズになっているミミズズがいた。
「どうしたものかと立ち尽くしていた所・・・・『C&C』の事を思い出したのです」
「だからって、自分が殴った相手の退院打ち上げに参加する奴が何処にいんだよ!?」
「・・・・はい?」
「んだよ! アタシが間違ってるみたいな顔すんなよ!」
「あっ! 部長ヒドい! 折角トキちゃんが来てくれたのに!」
マイペースなトキにネルががなり立てるネルに、アスナが文句を言った。
「いやいや・・・・アイツ、この前まで敵だっただろうがよ!?」
“まぁまぁネル。ケンカする程仲が良いって言うし・・・・”
「ちょっ! 先生までアイツ庇うのかよ!?」
「あ、トキちゃん。寄ったついでに先生お手製のお菓子でも食べていきますか?」
「ありがとうございます」
「はい!次はコレ! ミミズズも隠れてないで、おいでおいでー♪」
「・・・・うーん、『妖怪MAX』の味は奥が深い」
「はぁああああ!?!?」
アカネとアスナはアッサリとトキを受け入れ、隠れていたミミズズはピカチュウとハピナスとアローラゴローニャが連れ出し、他のポケモン達と交流をさせ、カリンはもう深く考えるのは止めたのか、『妖怪MAX』に舌鼓を打っており、ネルは顎が外れんばかりに声を上げる。
「・・・・・・・・はぁ・・・・まあ、いい」
“ネル・・・・?”
「まあ、結局上から命令されたのが『C&C』だからな。ーーーーアンタも結局、会長の依頼を遂行しただけだろうし」
「ネル先輩は、思ってたより聞き分けが良いんですね」
「誰のせいだと思ってんだよ!?」
ネルもどうやら受け入れてくれたようだ。
「先生。ミミズズだけでは心許無さ過ぎるので新しい子を手持ちにしようと思います。協力してくれますか?」
“うん。私は構わないよ”
トキが先生と新しい手持ちの事で話し合っていると、ネルが口を開く。
「それにしてもゼラオラもだったが・・・・中々やるよな、お前。戦い方に無駄がないと言うか」
「はい、万全の状態ならネル先輩位でしたら・・・・」
「ーーーーさあ、トキちゃん。この『妖怪MAX』も召し上がってみてください」
「はい、ちょ、・・・・アカネ先輩、その、うっ・・・・」
ネルに対して喧嘩を売るような発言をしそうになるトキの口に、アカネがにこやかにだが無理矢理に缶ジュースを捩じ込んで黙らせて、ネルから引き剥がした。
「・・・・あぁ? んだって?」
“・・・・コレから賑やかになりそうだね”
先生はコレから更に賑やかになる『C&C』に苦笑する。
◇
〈ミレニアム〉、いや、〈キヴォトス〉全体を巻き込みかねない程の事件が起こった後でも、変わらず時間は流れていくーーーー。
『エンジニア部』も、今回の『要塞都市エリドゥ』での一件で新たなインスピレーションが湧いたのか、新たな発明品を作り出している。
『ヴェリタス』もヒマリとメタグロス(色違い)とブースター。チヒロとポリゴン2とジバコイル。エイミとメタグロス(通常)とグレイシア、そしてポリゴン達が帰ってきた。
『トレーニング部』のスミレは、今日もパルスワンと共にトレーニングに勤しんでいる。
そしてソレは、此処でも同じーーーー。
“・・・・って事で、呼ばれたんだけど”
「あ! 先生にピカチュウ! いらっしゃい!」
『プラスル!』
「丁度皆で『勉強会』してたとこなんだ!」
“・・・・何の勉強?”
『ピカチュウ』
『C&C』の打ち上げパーティーから翌日、『ゲーム開発部』に呼ばれ、サンドイッチを持って彼女達の部室にやって来た先生とピカチュウに、頭の上にプラスルを乗せたモモイが『勉強会』と言い、『嫌な予感』がする先生とピカチュウ
「ソレは勿論! 私達の次回作である『道端の可愛い系のポケモンを味方にしながら世界を征服する収集型育成戦略RPG』を作る為の勉強だよ!」
『プラスル!』
“この前言ってたジャンルから変わってない!?”
『ピカチュウ!?』
「ああ、ソレでしたら、ちょっと発想が行き詰まってしまったので・・・・ちゃぶ台ひっくり返して・・・・お姉ちゃんが、『新しいジャンルを試してみたい』、と・・・・」
『マイナン・・・・』
“・・・・また?”
『ピカ?』
「ま、まただなんて酷い・・・・! ゲーム開発ってそう言うものなんだよ!?」
『プラスル・・・・』
ついこの間まで話していた『ミレニアムプライス』へ向けての『新作』、『まったりスローライフ系ダンジョン探索型RPG』だったのに、どうやらモモイがまたもや路線変更を始めたようだ。
すると、テストプレイしていたアリスのゲームから、悲痛なメロディが流れる。
「うわぁーん! アリス、『シェイミ』を友達にする事ができません!」
『デデデ』
ゲームの『かんしゃポケモン・シェイミ』が捕まえられず、泣き出すアリスをデデンネが慰める。
「あっ! アリス! まずバトルで体力を削らないと! そうすると捕獲しやすいからね!」
「ポケモンさんは何もしていないのに・・・・アリスが先に殴るんですか?」
「うーん、言われてみれば確かに・・・・ちょっとおかしいかも・・・・?」
“と言うか、コレ完全にポケモンバトルとゲットだよね?”
「いやいや! コレは普段は別の自治区にいる皆が他の自治区で好みのポケモンをゲットした気持ちになって、更に世界征服に乗り出すと言う・・・・」
「ソコ! 変な話ばかりしてないで! ちゃんと分析するよ!」
脱線しそうになるモモイ達に、ミドリが作業をするように一喝した。
「・・・・その、ゆ、ゆっくりで良いから・・・・(フキフキ)」
『アギャァ♪』
先生が来て直ぐミライドンに捕まって舐め回されてたユズもハンカチで顔を拭きながら作業に戻る。
“よし。じゃあ、一緒にやろうか”
「はい! 先生はここ! アリスの隣に座って下さい!」
『デデンネ!』
「よーし! 皆集まったからチームバトルを始めるよ!」
『プラスル!』
「はぁ・・・・もう」
『マァイ』
「ふふっ、うん・・・・」
『デンチュ』
数多くの壁にぶつかって、時にはケンカして傷付いて挫折する事もあるけどーーーー。
ソレでも、『勇者と仲間達』の冒険はコレからも続いていくーーーー。
そう、いつまでもずっとーーーー。
ー???sideー
時は遡り、〈トリニティ総合学院〉と〈ゲヘナ学園〉に甚大な被害を齎した『エデン条約事件』が終わってすぐの頃。
『・・・・ハァー・・・・ハァー・・・・ハァー・・・・ハァー・・・・』
日が昇り始めた頃の〈トリニティ〉の『自治区』にある路地裏から、傷だらけで火傷だらけの満身創痍となった1匹のポケモンがヨロヨロと通りに出てきた。
もうついて行けなくなった『トレーナー』から逃げるように離れ、行く宛のないそのポケモンは、動く度に激痛で気を失いそうになりながらも歩を進める。
立ち止まれば、『あの女』からの『追手』が来るかも知れないと言う恐怖心があるから・・・・。
しかし道路を渡ろうとした瞬間、身体が遂に限界を迎えて倒れる寸前、自分に迫る大型の車が見えた。『追手』が来たと思い最早これまでか、と諦める様に地面にその身を投げだした。
「ーーーーちょっとちょっと! アナタ大丈夫!?」
「うわっ!? ヒドい怪我!?」
車が自分の前でキキーッと停車すると、運転席や助手席から2人の女の子、しかも制服からすると〈ゲヘナ学園〉らしい女の子達が倒れた自分に近付く。
「『ーーーー』! 『きずぐすり』と『やけどなおし』を持ってきてちょうだい!」
「りょーかい『ーーーー』!」
運転席から出た女の子が指示すると、助手席から出てきた女の子が車に戻る。
「しっかりしなさい! 『ーーーー』! 『ーーーー』! この子を運ぶわよ!」
『バフッ!』
『ウキッ!』
朦朧とする意識の中、そのポケモンは女の子達のポケモンに担がれて車ーーーーキャンピングカーへと入った。
◇
「ーーーーどう? 『ーーーー』?」
「ヒドいね。直ぐにポケモンセンターに連れて行くべきだと思うけど・・・・」
『〜〜〜〜!!!』
運転席にいた女の子が運転するキャンピングカーの中にあるテーブルの上に運ばれ、助手席にいた女の子が、仲間らしい女の子に容態を聞くと、ポケモンセンターに連れて行くような事を言っていたが、唸り声を上げて拒絶する。
下手にそんな施設を使って入院なんかしたら、『あの女』か『元トレーナー』に知られる可能性があるからだ。
「あ、あの・・・・この子、嫌がっているようですけど・・・・?」
『元トレーナー』の『仲間』に似た雰囲気の女の子がそう言うと、助けてくれた子達は難しげな声を漏らす。
「どうする『ーーーー』?」
「ーーーーこんな怪我だらけの子を放っておけないでしょう!? 仕方ないから暫くウチで保護するわよ!」
「分かった。じゃぁ私が手術をするよ。言っとくけど、専門じゃないから荒っぽいかも知れないけど・・・・ソレでも良い?」
仲間らしい女の子が運転席にいた女の子と会話した後、治療道具を持って聞いてくるが、ポケモンセンターに行くよりかはマシだと頷いた。
「ーーーーOK。『ーーーー』。『ーーーー』。この子が暴れないように抑えておいて」
「はいは〜い♪」
「わ、分かりました・・・・」
2人の少女が自分の身体を抑えつける。
「・・・・ソレじゃ、行くよ・・・・!!」
『〜〜〜〜っっ!!! ルガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
その少女の手術に、『アリウススクワッド』の『錠前サオリ』の手持ちだった『ヘルガー(色違い)』は、悲鳴を上げるのであった。
◇
そして手術を終え、暫くの間その女の子達ーーーー『便利屋68』の元で世話になったヘルガー(色違い)は、〈ゲヘナ〉の生徒である彼女達が〈トリニティ〉にいる理由を彼女達の手持ちである『マフィティフ』。『エテボース』。『レパルダス』。『ガラルマタドガス』から聞いた。
少し前まで〈アビドス〉から〈ゲヘナ〉の『自治区』に来て、ソコにある廃ビルの一室を事務所にしていたのだが、『温泉開発部』と言う同じ〈ゲヘナ〉のテロリスト紛いの集団が起こした爆破で近くのビルが破壊され、ソコに『風紀委員長』が現れて『温泉開発部』を制圧するのを見て直ぐに逃げ出し、〈ゲヘナ〉と犬猿の仲である〈トリニティ〉の『自治区』にある『ブラックマーケット』に身を寄せていたのだが、つい先日、大量の『R』が風に乗って飛んできて、ソコにいる野生ポケモンや不良生徒達ポケモンが暴れ出し、『ブラックマーケット』が滅茶苦茶になってしまったので、〈トリニティ〉からトンズラしようとしていたようだ。ヘルガー(色違い)にとっては、奇妙な巡り合わせである。
そして色々な『自治区』を回り、動けるくらいは回復したヘルガー(色違い)は助けられた『借り』を返そうと、『便利屋68』の仕事の手伝いをする様になった。そして、トレーナーと仲睦まじい便利屋のポケモン達に羨望の感情を抱き、暇を見ては『彼女』は今何をしているのだろうと、空を見上げて黄昏る時間が増えた。
『ーーーーバフッ』
と、そんなある日の夜。『便利屋68』の社長『陸八幡アル』のパートナーにして、便利屋のポケモン達のリーダーであるマフィティフに野外上映に誘われ、他に見ている生徒達や住人、ポケモン達の1番後ろで共に映画を眺めていた。
『・・・・・・・・』
ーーーーこのまま、俺達と一緒にいて良いのか?
『・・・・・・・・』
ーーーー分からないんだ、俺は何処に行けばいいのか・・・・。
映画の登場人物達と同じ会話をするマフィティフとヘルガー(色違い)。
『・・・・・・・・』
ーーーーお前が居たいと言うなら、俺が相棒に口添えしてやるぜ? ソレとも、何処かで降りて自由になるか?
『・・・・・・・・』
ーーーー『自由』、か・・・・ソレも悪くないと思うが・・・・だが、どうしても、アイツの事を考えてしまうんだ・・・・。あんなに、酷い仕打ちを受けたのにな・・・・。
『・・・・・・・・』
ーーーーソレは、お前がソイツの事を・・・・『好き』だから、じゃないのか?
『・・・・・・・・』
ーーーー『好き』か、あぁ、大切な人だった。だが、アイツは俺の事を『道具』としか思っていなかった・・・・。
『・・・・・・・・』
ーーーーでも、ソレでもソイツの事を放っておけない、だろ?
『・・・・・・・・』
ーーーー・・・・・・・・。
『・・・・・・・・』
ーーーーなら、見定めてみろ。ソイツがまた信頼できるか否か、お前自身の目で判断すれば良い。もしできない様なら、その時こそ決別すれば良い。
『・・・・・・・・』
ーーーー・・・・世話になった。
『・・・・・・・・』
ーーーー会いたくなったら、いつでも来な。頼りになる大人もいるしな。
『・・・・・・・・』
ーーーー俺はあの人にも、迷惑をかけた・・・・。
『・・・・・・・・』
ーーーーなら、殴られるくらいは覚悟しておけ。ソレが『ケジメ』ってやつだ。
ヘルガー(色違い)は、ペコリとマフィティフに頭を下げてから、夜の闇へと走り出していった・・・・。
ーマフィティフsideー
『・・・・・・・・』
「・・・・行っちゃったの?」
マフィティフがヘルガー(色違い)を見送ると、近くの茂みの中から、アル達『便利屋68』が出てきた。
『バフッ・・・・』
マフィティフは肯定するように頷いた。
「くぅ〜・・・・マフィティフの方がハードボイルドに見えてくるわ・・・・!」
「社長、上映中は静かに」
「ソレじゃムツキちゃん達は映画を楽しもうか♪」
「は、はい・・・・!」
マフィティフはアルの隣に座り、アルもマフィティフを抱き寄せる。アルの逆隣にムツキが座り、その隣にエテボースが座る。マフィティフの逆隣をカヨコが座り、その膝の上にレパルダスが頭の乗せる。エテボースの逆隣にハルカがオズオズと座り、その上をガラルマタドガスがフヨフヨと浮きながら、『便利屋68』は共に映画を眺めていた。
そしてその登場人物は、見定めた相手と手を取り合って和解したシーンが流れるのであった・・・・。
〜友情と勇気と光のロマン編・Fin〜
さて、次回の章はよりシリアスな回となります。