ZERO WORLD   作:kaito(カイト

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意志を強く

 「太陽国サンの国王…?」

 「そんな凄い人がなーんでこんなとこに?」

 「恥ずかしながら…私はあの七大悪を名乗る二人に敗北し、国を追い出された身だ…民を守るのが国王としての責務…それなのに…」

 「ふーん!そういう理由ね~!」

 「………」

 

 もうすこしちゃんと聞いてやれないのかとつい言いたくなったが、ここは抑えることにした。あんな迷惑を掛けてすぐ、指摘をする図々しさは無かった。

 

 「確かに国王なら、民を守れるほど強くないと意味ないわよね~」

 「おい…もう少し優しくだな…」

 

 流石に指摘してしまった。おそらくサンという国王もそのことは自覚してるだろう。わざわざ言う必要は無い。

 

 「優しくと言っても、事実を言っただけよ?そこを理解してない限り、特訓させても強くなることはない。だって自分の弱さを知らないんだもの。」

 

 イゼの表情は真剣だった。

 そしてゼロはあんな甘い優しさを言ってる自分はまだまだ弱いことに気づく。俺も弱さをしっかり理解しなければ、七大悪を殺せるほど強くはなれない。

 

 「確かに…イゼの言う通りだな。」

 「……私の弱さはしっかりと自覚している。私はこの弱さを克服し、あの恐ろしき七大悪を滅し、太陽国サンを取り戻したい。そのためならどんな壁でも乗り越えてみせる。だから私にも貴女の特訓を受けさせてくれ!」

 

 サンの表情は覚悟を決めていた。国王として、太陽国サンを取り戻すという決意すら感じ取れる。

 

 「貴方の覚悟、伝わったわ!いいでしょう!ゼロくんとサンくん!私の特訓はキツいので本気で望むように!」

 「七大悪を殺すためなら、どうってことない。」

 「太陽国サンの国王として、心から感謝する…!」

 「とりあえず自己紹介!私はイゼ!ゼロの旅の仲間よ!よろしくね!」

 「ゼロだ。よろしく頼む。」

 「それにしても、もうあの傷治ってるなんてね~!それも龍の魂の力?ゼロ」

 「さぁな…俺もよくわからない。」

 

 強悪に受けた傷は数時間で治っていた。イゼは正直ゼロの自己再生力には驚いていた。龍の魂はそんなこともできるのだろうか。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 太陽国サン 国王の玉座

 

 「あのガキ…厄介な仲間がいたな。」

 「あの紅い髪の小娘ですな?強悪様の敵ではありません。」

 「いや、あのガキを救出したんだ。厄介極まりない。」

 

 あの少年は恐らく七大悪、いや悪種族にとって大きな天敵になる。強悪はそう考えていた。

 

 「虫悪。今すぐあのガキ達に俺の今言うことを伝えろ。」

 「何なりと申してください。強悪様。」

 「七日後、俺と国の命運を賭けた決戦をしよう。敗北すれば国民は全員殺す。来なくても全員殺す。以上だ。今すぐにでも伝えに行け虫悪。」

 「御意。早速、お伝えに行きましょう。」

 

 虫悪はそう言うと国王の玉座を去る。

 

 「花は咲く前に潰しておかねばな。」

 

 強悪はそう言うと悪に染まった笑みを浮かべた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 「ほらほら!どうしたどうした!」

 「おい…お前…なんでこんなに強ぇんだよ…」

 「イゼは…女性なのに…強いですね…」

 

 二時間ほど前

 

 「二人には私が創り出した火人形と戦ってもらいます!」

 「火人形…?」

 「人形と戦っただけで強くなれるのですか?」

 「舐めてもらっちゃ困るな~!私の創る火人形は今の二人の10倍強いよ!」

 「「そんなに強いのか…!?」」

 

 驚かざるを得なかった。まさかイゼがそんなにも強いなんて思いもしないだろう。

 

 「なんであの時、俺でも倒せるような名のある悪に殺され掛けてたんだよ。」

 「あの時は本当に油断してるとこ襲撃されちゃってさ~!」

 

 あの名のある悪、イゼを襲撃したのって凄いことなのでは?とゼロは思ってしまった。

 

 そして現在。

 

 「ここだ…!」

 「この攻撃ならば…!」

 

 火人形は二人の攻撃を予測してたかのように避け、カウンターに拳や蹴りをお返しする。そしてその拳や蹴りは強悪の魔力無しの拳ほどの威力がある。

 

 「ッ…!」

 「ゴハッ!?」

 「ゼロ~!今度は耐えれたね~!サンくんは胃液吐いちゃったか~!」

 「こんなんで倒れていてたまるか…!」

 「ゼロは…凄いですね…」

 

 特訓をしている二人を木の枝に座りながら一匹のカラスが見つめていた。

 そしてカラスは突然…人の言葉を話し出す。

 

 「お前達、話を聞け。」

 

「なんだ…?何処から話している?」

 「ん?今なんか聞こえた?」

 「……今の声、強悪と共にいた虫悪という七大悪の声だ。」

 「今……ここにいるのか?七大悪が!」

 「ゼロ~!落ち着いて~!」

 

 カラスは再度、言葉を話し出す。

 

 「強悪様からの伝言を伝える。話を聞け」

 

 「あっ!あのカラスが喋っている!」

 「カラスが?」

 「恐らく、虫悪の虫に寄生され乗っ取られているのだろう。」

 

「今から七日後、国王の玉座で決戦を行う。敗北すれば国民は全員殺す。来なくても国民全員を殺す。」

 

 「国民全員を殺すだと…下郎が!」

 「……悪種族。何処まで無実の人達を苦しめやがる…」

 

「まさか、命欲しさに逃亡することは考えておらんよな?」

 

 カラスはそう言うと口から泡を吹き地面に落ち、寄生されていた虫に食い尽くされていく。

 

 「……ゼロ。やることは一つだけだよね!」

 「あぁ…強悪と虫悪を殺す。」

 「だが…七日後までに七大悪を殺せるほどに強くなれるのか!?」

 

 サンは焦りをみせていた。七日後に敗北すれば国民は全員殺され国は滅ぶ。今でもこんな弱いのに、七大悪に勝てるのか?

 

 「お前は…国王として国民を救うんだろ?」

 「だが、七日後は猶予が少なすぎる…火人形の攻撃すら耐えられない私が相手になるのか!」

 「そんな覚悟なら国民は救えねぇよ。お前の覚悟、それぐらいで折れるのか?」

 

 ゼロの顔は真の覚悟ができた者の表情をしていた。

 サンはその表情を見ると、真の自身の弱さを見つけた気がした。

 

 「俺達が救うぞ。王国を」

 

 ゼロはサンの肩を掴み、そう言った。

 サンは自然と不安を無くし真の覚悟ができた者の表情になっていた。

 

 「あぁ…ありがとう。」

 

 サンはゼロの真の覚悟に救われた。

 

 「それじゃあ二人とも!急遽特訓はさらーに厳しくなるけどいいかな!」

 「望むところです…!」

 「平和を取り戻すためなら…俺は覚悟を決めている!」

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