全知VS全恥   作:釘パンチ

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第三インターバル

「なぁ、ケイちゃん。全身タイツって何でこう、エッチなんだろうな」

「セクハラですか。訴えますよ?」

 

 カズマとケイはゲーム開発部からケイが拝借したゲームを部室に持ち込んで遊んでいた。

 たまたまカズマが操作していたキャラが白髪ロングで全身タイツのような格好だっただけなのだが、それがどうにも引っ掛かりを覚えてしまう。

 

「大体、全身タイツで思うところがあるなら、エイミはどうなるんですか」

「え? ケイちゃんエイミのことエッチな目で見てたの?」

「世の中の男性は胸部が大きくて露出の激しい異性のことを大体エッチな目で見ているのでは?」

「結構とんでもないこと言ってる自覚ある?」

 

 カズマにそういう嗜好があるかはさておくとして、ケイの偏見の学習元が気になるが触れておかないでおいた。

 

「こほん。二人とも、遊んでいるのは構いませんが私が同じ部屋で作業しているということをお忘れなく」

「先輩のせいで怒られたじゃないですか」

「嘘だろ」

 

 横で会話をBGM代わりにしていたヒマリに二人はやんわりと窘められ、トーンを落として会話を続ける。

 バカ過ぎるあまり後輩がツッコミに回ることが多いカズマにしては珍しく後輩に振り回されている光景にヒマリは思わず作業をする手が止まってしまった。

 

(……冷静に考えてみれば、かなり不味いのでは?

 私ほどではないにしても美少女のケイはあまりにも類似点が多いのではないでしょうか?)

 

 どう考えても冷静ではないヒマリは箇条書きマジックとも言えないレベルのことで一人相撲を始めてしまう。

 類似点と言っても髪と線の細さくらいしかないのだが、それで類似点と言ってしまうのはあまりにも無理がある。

 

「というか、ケイちゃんもこういうの興味あるんだ」

「アリスが好きらしいので。別にそれ以上でも以下でもありません」

 

 そう言う割には自前のレバーレスアケコンを用意しているくらいにはアリスが好きなものを理解しようと、本格的にやろうとしているケイを微笑ましく思う。

 本人にそれを言えば否定するだろうとヒマリは敢えて黙っていた。

 

「彼氏の好きなものを理解しようとして彼氏以上にハマっちゃう彼女みたいな動きするじゃん」

「は? 違いますが?」

「ごめんて」

 

 だがしかし、カズマはバカであるが故にそういうことを言ってしまう。それに反抗期バリバリの年頃の娘ムーヴで返す。

 

(これはカズマが悪いですね。まぁ、助け船を出さずとも勝手に解決するでしょう)

 

 方々から雑な扱いを受けることは多々あれど、邪険にされているところを見たことがないカズマであれば、心配するほどのことでもないと、ヒマリは静観を決め込んでいた。

 

「ところで、今度ゲーム開発部でトリニティにあるとあるスイーツを食べに行こうと思っていたのですが、どうやら男女限定らしく──」

「ゲホッ! ゲホッゲホ!」

 

 ヒマリは盛大にむせた。

 

 ケイとしてはアリス達が話題にしていて何故かケイが男装すれば良いと提案されたが断った。というだけで他愛のない雑談だったのだが、超天才清楚系病弱美少女恋愛弱者にとってはその手の話題はイコールでデートの誘いの導入でしかない。

 

「大丈夫かよ、全くもう……」

 

 驚きながらもカズマはゲームを中断して、ヒマリの背中を擦る。

 

「カズマのせいです。ケイが気になると言うのであれば、ここは特異現象捜査部として、私とカズマで調査して来ます。良いですね」

「何でだよ」

「では、私は明日の準備がありますので」

 

 落ち着いたヒマリは有無を言わさずに部室から出ていってしまった。

 

「急にどうしたんだか……まぁ、いいや。ケイちゃん続きやろう」

 

 たまにこういうことはあるのでカズマは慣れてはいたが、ケイはそうではない。

 

「え、アレをまぁいいやで終わらせるって、え? 先輩って本当に何なんですか?」

「は? 何の話?」

「……世間は私が思っているより、特異現象に溢れているのかもしれません」

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