全知VS全恥 作:釘パンチ
キャラとしてはケイくんだった方が姉に滅茶苦茶世話焼き弟みたいな感じで壁だったかもしれない。
「なんか今年めっちゃスムーズだな」
寒さも一層深まった頃。カズマは部室の大掃除の為に掃除用具を調達して周囲を見渡すと例年との違いに違和感を覚える。
実質二人でこなしていた大掃除もそろそろ終わりかけている。
「人、増えたからね」
「ちょっと前まで三人だったのにな」
今は二名増えたことに加え、たまに飛んでくるドローンのせいで実質の人数は倍加していた。
そんなことに気付く余裕すらない年の瀬だったことは間違いない。
「そんなことより畳剥がしてよ。宵々々山先輩のが一番場所使うんだから」
「ああ、悪い悪い」
カズマの畳スペースも掃除するために畳を裏返すついでに一度剥がしてから諸々の作業をする予定である。
4.5畳ほどのスペースを使っているため、剥がした畳を置こうにもそれなりの広さを必要としてしまうため、さっさと終わらせてほしいとエイミに急かされてしまった。
「それじゃやるか」
畳の上のモノを退かして畳の上から掃除機をかけて埃を吸い取る。
一つにつき大体一分ほど丁寧にやったあとは固く絞った雑巾で拭いてから乾拭きをして水分を拭き取る。
そうしなければわざわざ他校から取り寄せた質の良い畳がダメになってしまう。
「よし、畳終わりっと」
「先輩、少しよろしいでしょうか」
カズマが一仕事終えて使い終わった道具は他の道具も纏めて回収するため部室の端に寄せると増えた後輩の一人に声を掛けられた。
「トキ、どうした?」
「こんな物を見つけました」
飛鳥馬トキ。
所属はC&Cなのだが、セミナーの会長のボディーガードをしていた。が、今はそちらの方は訳あって休業中なせいでヒマリが元旦那の子供を引き取るノリで特異現象捜査部で預かっている少女。
そんな彼女が段ボールを一つ抱えていた。
既に払われているが、かなり埃を被っていたようで段ボールにところどころ劣化が見受けられる。
「こんなんあったか?」
「一番高い棚の上に置き去りにされてました」
口では淡々と報告しているが、トキの視線は段ボールに釘付けになっていて、中身に興味津々と言わずとも理解できた。
「折角だし、確認するか」
適当な場所に段ボールを降ろし封を切って開封すると、何冊かアルバムが入っていた。
「あー! こんなんあったなぁ!」
「先輩、これは?」
「俺とヒマリが一年生の頃のアルバムだな。どっか行ったと思ってたけど、こんなとこにあったんだな」
懐かしくなってページをペラペラと捲ると
何もかも懐かしくあり、カズマはつい感慨深くなってしまう。
「二人ともサボってないで……って、何この写真」
「俺が借り物競争に出てた時のだな。確か──」
エイミもサボり始めた二人を咎めながら何を見てるのかと覗いてみれば、カズマがヒマリをお姫様抱っこして疾走してる写真が見えた。
「あら、三人で集まって何を見ているんです?」
「そもそも掃除中でしたよね? 私達を買い出しに行かせて一体何を……」
買い出しに行っていたヒマリとケイが部室に戻ってきた。
ケイも色々あって特異現象捜査部に居るのだが、その色々は本筋ではない。
「アルバムだよ。アルバム。一年の時の」
「あぁ……そんなところにあったのですね。これは借り物競争の時の……あの時聞きそびれましたが、借り物のお題はなんだったのですか?」
この時点でどうせカズマのことだから『一番の美人』や『天才』とかそういうお題だったのだろうとヒマリは高を括っていた。
「あー、なんだっけ……確か『最後の日に会いたい人』とかだったっけ……」
「『最期の日に会いたい人』!?」
正確には『夏休みの最後の日に会いたい人』であり、課題を手伝ってもらおうというのが当時のカズマの思考だったが、うろ覚え過ぎてヒマリには別の意味で伝わってしまっていた。
「えっ、何でエイミとトキは平然としてるんです?」
エイミとトキはまたやってるなくらいの雰囲気で流していたが、特異現象捜査部の日常に慣れていないケイは困惑していた。
カズマ本人はケロっとしたままアルバムを捲っているし、ケイの横のヒマリは動揺しながら顔を赤くしている。
(こ、こんなコテコテの朴念仁系のギャルゲー主人公みたいな人が居ることが特異現象なのでは……?)
口にしてしまったら負けなのだろうと思ったことをケイはぐっと飲み込んだ。
勝敗
-
ヒマリの勝ち
-
カズマの勝ち