アイム ア ヒーロー   作:ぜおん

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デッドリィ・プリンセス

「どうしようね、アレ……」

 

 リオレイアをいったん追い払い、ヴォルグくんたちと合流して、ベースキャンプまでもう少しというところ。私たちは足止めを食らっていた。

 場所はベースキャンプすぐそばのエリア1。目と鼻の先だというのに、ベースキャンプには辿り着けない。理由はいたって簡単で、リオレイアがそのエリア1にいるから。よりによって、降り立った場所があそこなんて。

 

 バレないように進むのはまず不可能。でも、ベースキャンプまでの道はここ一本しかなくて迂回ルートなんてない。

 その場から追い払うか、リオレイアが飛び立つのを待つしかない、そんな状態。

 

「ヴォルグくんの容態、どんなもんだっけ?」

「秘薬と解毒薬飲ませたので、それでなんとか……って感じっす」

 

 ガルザくんが報告する。彼が持ってた秘薬のおかげで、最低限の体力は戻ったみたい。だからといって、安心できたわけじゃない。衰弱した体力はすぐには戻らない。放置すれば悪化するだけ。

 

 どうするか?そんなの、決まっている。

 彼には、今までずっと助けてもらった。彼のおかげで、世界が変わった。まだその恩を返せてない。今度は、私が彼を助ける番。

 

「私があの子を惹きつける。その間に、ヴォルグくん連れてベースキャンプに戻って」

「……あんまし好きじゃないよ。そういう自分を大事にしないの」

 

 怪訝そうな顔をしたのはシアンちゃん。いつもの快活な様子とは違う、厳しい視線を私に向ける。

 そんな高尚な意味はないんだけどな。私だって、命を投げ出すつもりで言ったんじゃない。ただ、彼を助けたいだけで。

 

「囮になるなら、遠方から攻撃できて毒の影響を受けにくい私が適任だと思ったってだけだよ」

 

 まず、あのリオレイアは巨体なのもあって動きが遅い。突進の脅威が薄れる分、遠距離のブレスにだけ気をつけておけばいい。

 それに麻痺弾に睡眠弾と、足止めする手段だって複数ある。囮になったところで、抗える自信も逃げ出せる根拠もあった。

 

「……なら、アタシも行くよ。二人の方が分散していいっしょ?」

「手の傷は……」

「さっき解毒薬がぶ飲みしたからヘーキ。もうあんな無茶しない」

 

 シアンちゃんの口調は、あまり有無を言わさない感じ。断ってもついてくるんだろうな。

 彼女の言うことは一理ある。いてくれるなら、確かに心強い。

 

 でも心配。暗いんだ、彼女の色が。海の底を思わせるような、深い青で。

 

「……じゃあ、それで。ガルザくんは、隙見てヴォルグくん連れて、ベースキャンプに」

 

 ガルザくんには、ヴォルグくんと一緒に身を潜めてもらう。絶対に見つかってはいけない。私やシアンちゃんに何が起ころうとも。

 彼もそれをわかってるのか、口を真一文字にして頷く。

 

 シアンちゃんは、もう待たずしてリオレイアに向かっている。私も行かなきゃと背を向けると、伸ばされた手が力なく……でも確実に私の腕を掴んだ。

 

「……わりぃ。勝手に行って、勝手にぶっ倒れて」

「いまさら。キミが私たちを巻き込もうとしなかった結果なのは、わかってるから」

 

 ヴォルグくんの手を優しくほどく。

 勝手じゃない。キミはそういう人。みんな分かってるはず。

 

 ……だから、そんな弱々しい顔をしないでほしい。今から死ににいくんじゃないんだから。自分は無理するくせに、そんな心配そうにしないで。

 

「シアンのことも……頼む。アイツああ言ってっけど……多分無茶すっから」

「大丈夫。絶対二人無事で帰るから」

 

 後ろ髪を引かれそうになるけど、ヴォルグくんに背を向けてリオレイアのところに向かう。シアンちゃんをずっと一人にするわけにはいかない。

 

 シアンちゃんは、すでにリオレイアと対峙していた。操虫棍は抜かず、右腕につけていた猟虫を飛ばし、それに指示を出しながら攻撃をやり過ごしている。

 

「メイちゃん、足元ちょろついて!」

 

 メイちゃん―――っていうのが虫の名前。メイヴァーチルだっけ、正式名称。それことメイちゃんはリオレイアに蹴散らされないよう器用に飛びまわってエキスを回収。シアンちゃんに振り撒く。

 猟虫を使役してモンスターのエキスを回収し、自らを強化する。これが操虫棍の強み。

 

 囮役のメイちゃんが誘導して、リオレイアの意識がベースキャンプから離れた。さすがはシアンちゃん、ここまで下準備を整えてくれた。

 

 私も動こう。遠方から射撃をしかけて、さらに誘導。今度は私にあの子の意識を向ける。

 決して欲張らない。目的は攻撃じゃない。後退りながら射撃を続け、リオレイアがこちらに向かうスピードがどんどん速まっていく。

 

 やがて私とシアンちゃんは武器を担いで、リオレイアに完全に背を向けて走り出す。するとその思惑通り、あの子は私たちを追ってきた。誘導成功。

 

「どこまで行くつもり?」

「考えてない。とにかく距離を稼ぐ」

「その後は?」

「そうだね。討伐できれば最高……だけど」

 

 とにかくベースキャンプから距離を離すこと。ヴォルグくんが落ち着くまで時間を稼ぐこと。ひとまず考えているのはそれだけ。リオレイアと適度な距離を保ちながら、エリア2―――ピラミッドの方角までひたすら走る。

 

 でも、出来ることならリオレイアを討伐……最低でも追い払うまでしたい。敵討ちとか感情的な理由ではなくて、もっと合理的な理由。

 この後リオレイアから逃げて、クエストを投げ出したとして。帰路の途中、あの子に襲われない保証はどこにもない。翼を持ち、空を飛べるリオレイアならなおさら。

 

 だったら、この場で仕留めるのが理想。幸い、さっき弾を撃ち込んだ時に手応えは感じた。紅いアオアシラと違って、きっと耐久は下位個体相当なんだと思う。ギルドは半分嘘つき、半分本当のことを言ってたってこと。

 私がそのことを伝えると、シアンちゃんはその場で立ち止まった。ピラミッドを背に、操虫棍を抜いて構える。

 

「……なら、アタシも付き合う。ぜっったい、クーちゃん一人にはしない。誰も失わせないから」

 

 ブワっと、彼女の色が強くなった。深い青。暗くて儚くて、どこか寂しいそんな色。

 ……私も、そんな人を放ってはおけない。

 

「いいね。その流れ乗った」

 

 ちょうど、逃げるのも飽きたとこ。

 追ってくるリオレイアに対して、まず私が威嚇も兼ねて射撃。真正面から弾丸を受けながらも、リオレイアは構わず突っ込んでくる。

 

 突進に巻き込まれないよう適当なところで射撃を止めて、リオレイアの背後へ。やや過剰なくらいに距離を取る。

 こんな攻撃でリオレイアを止められるなんて想定してない。弾もばら撒く程度。目的は、どこに銃撃が有効かを探るため。

 

 ……紅いアオアシラよりマシとは言ったけど、通常のリオレイアよりずっと硬いね。狙いやすく、かつ攻撃の通りが良さそうなのは翼かな。

 

「クーちゃんはひたすら射撃!アタシがアイツの注目を取るから!」

 

 シアンちゃんの指示が飛ぶ。

 とはいっても具体性はなく、かつ狩猟の流れは見えない指示。なるべく私を巻き込まないようにするためだけなような、そんな意図が見え透いている。

 あまり信用されてないね。仕方ないけど。

 

 といっても、あのリオレイアに無闇に近づくのは自殺行為。正面はブレスの餌食になるし、かといって側面や背面も尻尾があるから危険。こう考えると、隙がなくていやらしい。

 動きが鈍い分、突進が脅威じゃないのが唯一の救いかな。尻尾が届かない程度にまで近づき、翼に向けて電撃弾を放つ。

 

「メイちゃん、頭!」

 

 リオレイアの視界に入るよう、シアンちゃんは猟虫を使役。それが鬱陶しいのか、リオレイアは爆炎を纏った噛みつきで猟虫を振り払う。

 当のシアンちゃんはというと、大胆にもリオレイアの真下。彼女は狙う場所を足と定めたようで、軽々と棍を振るう。

 

 リオレイアの毒棘があるのはあくまでも尻尾の先端。確かに、足元ならある意味安全だね。これは逆転の発想。

 でも、リオレイアだってそんなことは承知。足を引いてタメを作り、宙返りしながらふわりと巨体を浮かせる。

 

「シアンちゃん!」

「へんっ、喰らってたまるかっての!」

 

 リオレイアの代名詞、サマーソルト。毒棘のついた尻尾を叩きつける、凶悪な攻撃。このリオレイアはさらに特殊で、サマーソルトをうちつけると同時にあの毒棘が地面に突き刺さった。

 サマーソルト本体と、毒棘によって展開される毒の包囲網。これじゃ近づくのは難しい。

 

「へそ曲がりなサマーソルトだねぇ。あんなの、原種にはなかったじゃん」

 

 シアンちゃんは、ぷぅっと息を吐く。あのサマーソルトの違いは、毒棘だけじゃない。彼女、涼しい顔して躱したけど、普段とサマーソルトの軌道が違った。

 体を捻らせて、螺旋状に尻尾を薙ぎ払うサマーソルト。通常よりも範囲が広そうで、厄介極まりない感じ。初見でよく避けたね。

 

 さて、リオレイアは依然として滞空。翼をはためかせて、私の真上まで移動してくる。

 

「今度は普通のってことね……!」

 

 旋回して移動して、通常サマーソルト。でも、これは脅威じゃない。突進同様、旋回速度も通常種の方が速いくらいだから。毒を吸い込まないよう、急いで距離を取る。

 

 リオレイアは、私に狙いを定めたままにブレスを放つ。正面からきたものを避け、そのまま前進。貫通電撃弾を撃ち込む。

 そして、私を狙ったブレスということは、足元が完全にお留守。シアンちゃんが潜り込み、棍で脚部を薙ぎ払う。

 

 でも。

 

「いやー、やっぱダメだわ。限界」

 

 サマーソルトを放った時に設置した毒棘が効いてる。長く留まれば毒を吸い込んでしまうから、シアンちゃんが集中攻撃できない。

 シアンちゃんはすぐさま離脱して、漢方の粉塵を振り撒く。こんなチマチマしたヒットアンドアウェイじゃ、埒が開かない。

 

「足元狙うのは止めて、頭狙いに切り替える?」

「んー。でもやっぱし、尻尾の届く範囲にはいたくないよねぇ」

 

 剣士からしたら厄介極まりない相手だね。毒棘の展開された場所には近づけず、かといって尻尾の届く位置距離だと危険、それ以上離れると攻撃しようがない。ヴォルグくんが苦戦したのには、こういう背景があったのかも。

 

「んじゃ、こういうので行こっか」

 

 うーんとひとしきり考えた後、シアンちゃんは操虫棍を手にリオレイアの元へ向かう。驚くほどに愚直な前進。

 まさか策無し?私にもカバーできる限界があるんだけど。貫通電撃弾を放っても私には目もくれずに、突っ込んでくるシアンちゃんを追い払おうとリオレイアは尻尾を振るう。

 

 シアンちゃんは鉄蟲糸を上前方に飛ばして跳躍、そのまま尻尾攻撃を回避。空中で棍を枝棒のように振り回して、翼や背中を切り刻む。

 

「上空なら尻尾も毒も届かないっしょ?」

 

 一度リオレイアの背中に降り立って、シアンちゃんはまた跳躍。同じように棍を振り回し、リオレイアを空中で翻弄する。

 まるで空で踊ってるみたい。彼女の言う通り、これなら尻尾攻撃にも毒棘にも影響を受けない。空中で攻撃を行なってはリオレイアの背中を踏み、さらに跳躍……この流れを繰り返す。

 

 リオレイアはというと、シアンちゃんに気を取られっぱなし。体を揺すり、尻尾をめちゃくちゃに振り回しながら暴れる。

 口から漏れる爆炎で、あわよくば尻尾で。なんとか空中の彼女を捉えようとするけど当たらない。

 

 私が狙うべきは―――

 翼だと、シアンちゃんに流れ弾が当たるかもしれない。私は銃口を下に向け、電撃弾を足元にばら撒く。

 あれだけ暴れ回っていれば、足元の踏ん張りが効かないはず。そんな私の目論見は当たっていたみたいで、リオレイアはバランスを崩して転倒した。

 

「よしっ」

「クーちゃん、やるじゃん!」

 

 私はすぐさま照準を翼に変更。ひたすら貫通電撃弾を放って風穴を空ける。

 

 対してシアンちゃん。慣性など知らんとばかりに空中で器用に方向転換して、リオレイアの頭上に移動。真下に翔蟲を飛ばした。

 

「これでも喰らえぇ!」

 

 翔蟲に引かれながら垂直に高速落下。操虫棍の刃を地面に向け、リオレイアの頭部を突き刺した。

 遠目から見ても分かるくらい血飛沫が飛び、そして鱗が剥がれたのがわかった。見るからに隙が大きいけど、それに見合う操虫棍にあるまじき高火力。

 

 結構ダメージは与えられた?

 でも、まだ討伐には至らないよね。

 

「どうする?」

 

 サマーソルトで地面に展開された毒棘からは、もう毒が噴出されていない。あの棘、リオレイアの元から離れると時間経過で毒の効力が消えるんだ。

 だから、また足元狙いが有効になる……けど。

 

「何も変わらないっしょ。もっかい同じことやるから、クーちゃんはサポートよろ〜」

 

 ということみたい。

 空中は無防備だし、回避手段も乏しい。確かに効果的な連携だったけど、その分だけ危険も伴う。

 何も焦る必要はないのに。本当は止めたい。でもシアンちゃんは私の話を聞くことなく、再び跳躍してリオレイアの上を陣取った。

 

 なら私はせめて、彼女を囮にしている間にダメージを与えなきゃ。シアンちゃんの垂直落下攻撃で、事態がひとつ好転した。それは、頭が部位破壊されて肉質が柔らかくなったこと。貫通電撃弾の通りがさっきまでと全然違う。

 

 これだけ有効な攻撃を安全圏から遠慮なくしてるんだから、少しは狙ってくれてもいいのに。リオレイアの狙いは、やっぱりシアンちゃん。空中にいる彼女を叩き落とそうと、サマーソルトを繰り出す。

 

「それは織り込み済み!」

 

 シアンちゃんは、操虫棍の噴射機構を使って無理やり方向転換。サマーソルトの攻撃範囲からなんとか逃れる。

 そして、すぐさま滞空するリオレイアの方へ。攻撃に転換しようとしたけど、その一振りは空振りに終わる。

 

「ちぃ、どこに!?」

 

 リオレイアが後方に距離を取ったんだ。翼のない私たちでは到底及ばない、遥か上空まで。

 逃げた?いや、地上強襲?いずれにせよ、一度仕切り直し。地上に降り立ったシアンちゃんの元に向かう。

 

「……ゴホッ」

 

 サマーソルトで展開された毒棘。不幸にも、シアンちゃんが降り立ったのはその間近だった。あれだけ気をつけていたのに、毒を吸い込んでしまった。

 それだけなら、すぐに解毒すれば何ともなかった。でも毒に咽せ、吐血するシアンちゃんに、リオレイアが上空から襲い掛かろうとしている。

 

「あ、あれ……?」

「シアンちゃん、伏せて!早く!!」

 

 高度からの凄まじい勢いで滑空。私がこの距離から走ったんじゃ、シアンちゃんに追いつかない。

 お願い、せめて攻撃外して……!

 

 狙いも何もないけど、せめてものと貫通電撃弾をばら撒く。だけどそれじゃ勢いを止められず、リオレイアは地面に着地。それと同時に、尻尾を周囲一帯を豪快に薙ぎ払った。

 

 尻尾の軌道を追うように毒棘が複数設置されて、周囲に猛毒をばら撒く。とてもじゃないけど近づけそうにない。

 この光景、ヴォルグくんとあのリオレイアが最初に対峙していた時と同じ……!

 

「シアンちゃん!」

 

 でも、見捨てるわけにはいかない。ヴォルグくんの時と同じなら、彼女が動ける状態にないかもしれないから。

 毒に侵されることを覚悟で、毒霧の渦中へ。横に倒れるシアンちゃんの肩を持ち、離脱を試みる。

 

「メイちゃんをアイツの顔面に飛ばして尻尾の軌道ズラさせたんだけどさ。やーばいね、これ……。不味くなったらアタシのこと見捨てな?」

「ふざけないで。私を一人にはしないんでしょ」

「……ったぁい!ジョーダンだってぇ」

 

 ふざけたこと言うもんだから、傷口を指で押さえてやった。尻尾は少し掠めた程度?少なくとも、ヴォルグくんの症状よりは軽そう。

 

 怪我人じゃなかったら頬引っ叩いてる。なんで皆して、こうも自分の命を軽んじるの。

 それこそシアンちゃんは、さっき自分で言ったんじゃん。『自分を大事にしないのは嫌い』って。自分だったらノーカンなの?馬鹿げてる。

 

 窮地に立たされてもめげない。困難にも立ち向かう勇気を持つ人は輝いて見える。でも、自己犠牲を伴わなければ成り立たせられないなら、それは輝きでもなんでもない。

 『誰かを思いやり行動すること』と、『誰かのために自分を犠牲にすること』は全然違う。

 

 ……さて、とはいえこの状況。私もシアンちゃんを助けるためなら、多少は無理しないといけないかもね。

 

 リオレイアが突進。私もろとも、押し潰そうとする。シアンちゃんを安全圏にまで突き飛ばし、私もローリングで回避。

 ブレスだったら詰んでた。危なかった。

 

「……あ、ヤバいかも」

 

 そう思った矢先。私の目の前で、リオレイアが足をズリズリと引いた。体を捻らせ、サマーソルトの構えを取る。

 

 突進はフェイク。こっちが本命。マズいね。あの螺旋サマーソルトを避けられるほど、私は自分の瞬発力に自信がないんだけど。

 反撃竜弾の構え。素早く振るわれる尻尾に弾当てなきゃ、サマーソルトに引っ叩かれて終わり。単純な構図だね。でも、やるしかない。

 

「……あれ」

 

 サマーソルトが繰り出される直前、私の体は尻尾の範囲外にまで突き飛ばされていた。吹っ飛ばされながら見えたのは、蜘蛛の巣のように張り巡らされた鉄蟲糸。

 そして、その鉄蟲糸の前で待ち構える太刀使いのハンター。

 

「水月の如く……っす!」

 

 サマーソルトと鉄蟲糸が交差する瞬間、身を翻しながら長大な太刀で一閃。太刀を振り下ろしたところに水飛沫が舞い、吹き出した毒液と、血飛沫と混じって空中に霧散した。

 

 強烈な一撃。リオレイアは滞空を維持できずにたまらず着地。私は、すぐにシアンちゃんの元へ駆け寄る。

 そして、勇敢にも助けに来てくれたガルザくんはというと―――

 

「もももも、もう大丈夫っすよ!俺が来たからには万事安心っす!」

 

 どことなく締まらない。でも安心した。

 見た目の美しさとは裏腹に、足は震え、視線は惑い。でも、どこか頼りにしたくなるヒーロー見習いが、来てくれた瞬間だった。




あけましておめでとうございます。
あまりプライベートを言い訳にはしたくありませんが、12月は多忙期に入ってたのでかなり更新ペース落としました。
とりあえず今年は、作品を投げ出さないように書き続けたいですね
ワイルズも出ることですしね。
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