異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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難易度は優しくしております(当社比

 

 

―第1層

 

 即死トラップを解除した御堂達は警戒を続けながら先に進んでいる。意外と一階層は短いのか直ぐに下に向かう階段が見える広間に到着した。

 

 広間とは言うがそこまで広い訳ではなく、戦闘するのも難しいレベルの狭さだ。周囲にはモンスターの姿もない。

 

「到着したら襲ってくるって事もなかったか」

 

「だね、でもドローンで先行して先を見るとか、よくやるなぁ」

 

 サイレーンが感心したように呟いた。

 

 ここに到着するまでに片桐が用意していた複数のドローンを使って奥の方を先行させていたのだ。モンスターやトラップなどがあれば直ぐに見つけられるように。

 

 残念ながら片桐はこれらの操作を円滑にするためにスキルはコンピューターや機械操作関連の物しかセットしていないので、トラップ感知などは一切できないが、怪しい場所などは目視で発見は出来る。

 

 モンスターもいればドローンを見れば襲い掛かってくるだろうし、囮として色々操作できるのが強みだろう。よしんば破壊されたとしても予備はまだある。壊れてもドローン程度なら数ポイントで購入できる為、モンスターさえ撃破できれば簡単に取り戻す事が出来る。

 

 更に言えばマシン・ザ・リバティで強化されたドローンは彼女の手腕によってゲーム並みの高速軌道も可能であり、同じく強化された火器も搭載している物もある。レベル1程度の雑魚モンスターならば、このドローンだけで押し切れるのだ。

 

「レベル4になったおかげで、機械の強化もかなり強くなったし、私が戦わないなら何とかいける・・・!」

 

「いや、本気ですげぇよ。飛ばしてるドローン全部で5台くらいあるんだろ?」

 

 そう言うと御堂は上空を飛んでいる2台のドローンを見る。

 

 此方にあるのは警戒用と万が一の囮用のドローンだ、魔法が使えない場所があった時の光源の役割も持つ。

 

 これを動かしながら奥に戦闘能力などを持たせた高性能のドローンも3台飛ばしているのだ。それを全て彼女一人が手足の様に動かしている。

 

「ソウルギア、使ってるからな。私だけじゃ2台位が限界だし」

 

「2台も十分おかしいってショコラ思うな」 

 

「流石機械強化特化って所かしらねぇ」

 

 あまり褒められることに慣れてない片桐が、ショコラ達の言葉に顔を真っ赤にしながらそっぽを向く。

 

 彼女のお陰で周囲にモンスターも居ない事がわかり安全にこの広間までやってこれたのだ。周辺にはトラップなどもなく、最初にあったトラップ以外は安全な階層という事が判明する。

 

「この階段を下りて行けばいつかボスに出会えるって事か。どういう理屈でこうなってるんだか」 

 

「ディザスターであれば、その程度問題なく可能なのであろう。何はともあれ長く滞在するのも問題があるやもしれぬ、急ぎ過ぎずそれでいてのんびりせずに参るとしよう。所でマイルと参るは似ている気がするのだが、参るではマイレージは貯まらない悲しみがあふれる中、今ならお買い得の」

 

「はいいくぞー」

 

「ナイススルー。主殿も逞しくなっている様で、我も嬉しい。思えばあれは23年前、我がまだ江戸で―」

 

 今だカオスな言動をし続けるハトメヒトを無視して階段を下っていく。その様子を不可思議な格好で見送っていたハトメヒトだが、ふといつもの無表情に戻ると、小さく呟いた。

 

「ダンジョンアタックとはな・・・ディザスターよ、汝焦ってきているのか? それとも・・・いいや。我では汝の考えなど理解は出来ぬか、だが此度の事、我等が主が更に強くなり、生き延びるには必要な事。大いに利用させてもらおう」

 

 そこには普段のやかましさなどはなく、儚げな様子の少女の姿があった。

 

「・・・感傷か、いかんな・・・我もまた、過去を捨てきれていないらしい。その記憶はもうないのにな、我が我としての存在が、それを残しているのか」

 

 彼女のつぶやきを聞いたものは居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第2層

 

 

「なんじゃこりゃあ・・・」

 

 目の前の光景に御堂が愕然とする。

 

 一面石壁で覆われた一層から一変し、普通に太陽が輝く林の中に到着する。最後にやってきたハトメヒトが階段を降りた瞬間、違和感しか残らずに残っていた階段も消えてしまう。どうやらダンジョンは完璧な一方通行の様だった。

 

 先ほどまでの進む道が決まっていた1層とは違い、2層はどこに行けばいいのか分からないほど広く、何も考えずに彷徨い歩けば次の階層に進めるかも分からないだろう。

 

 直ぐに片桐がドローンを飛ばして周辺を確認する。2台は林の中を探索し、後の3台が周りを確認している。

 

「・・・友樹、林の外、草原部分にモンスターいる」

 

「漸くお出ましか。こっちに気付いてるか?」

 

「レベル1のモンスターだからバトルドローンで倒しておくぞ? いいか?」

 

 強化して戦えるようにしているドローンだが、実戦は初めてなのでここで試しておきたいらしく、御堂に戦わせていいかを問う。

 

 数秒悩んだが、片桐が言うにはそこに居るのはそのモンスター1体だけだったようなのでそのまま戦わせる事にしたようだ。

 

「あんまり無理するなよ? やばかったら戻していいからな?」

 

「わ、私が戦うんじゃなくて、ドローンを戦わせるのなら・・・」

 

 右手のソウルギアが輝き、片桐の視覚などを大きく強化していく。

 

 誰にも見えていないが、片桐の目の前にはキーボードやコントローラーの様なものが現れていた。マシン・ザ・リバティによる、現実世界に機械的に干渉する能力だ。

 

 ドローンに対してキーボードを高速で打ち鳴らし、命令を組み込み自動で行動させていく。その内の1台は自分がコントローラーを握り、まるでゲームの様に、いやゲーム以上、自分の望むようにドローンを操作した。

 

「さぁ、行くぞ! ゲームなら私に負けはねぇ!」

 

 ドローンのカメラから出力された画面がゴーグルに展開される。

 

 目の前にはレベル1のいつものモンスター、どうやらドローンに気付いて襲い掛かってきているが、自動行動されているドローンにすら攻撃を当てられていない。

 

 寧ろ攻勢プログラムを組まれたドローン達は強化された軽機関銃を乱射し次々と命中させダメージを与えていく。

 

 機械強化で威力も精度も高まっているそれは確実にモンスターのHPを削り、機動力を下げている。こうなれば最早ただの動く的だ。メインドローン。つまり今現在片桐が操作しているそれには今組み込めるだけの火器を装備させ、更にマシン・ザ・リバティによるフル強化を与えている。

 

 それはつまり――

 

「ざぁこ! ざぁーーこっ! 私の敵じゃないんだよぉっ!!」 

 

 たかがレベル1程度のモンスターでは、一切の勝機も無いという事だ。

 

 雨あられの様に銃弾を浴びたモンスターは何もできずに絶命し消えていく。片桐のスマホにポイントが4点入ったので、撃破に成功したのは確実だろう。

 

 全力でガッツポーズをとる片桐を見て、御堂が少し冷や汗を流していた。

 

 実際の所、自分が戦えないのならいっそドローンとかを使って、それを強化させて戦えばいいんじゃないか? と教えたのは御堂自身だったりする。

 

 片桐としてもそれは正に目から鱗で「その手があったか!?」と今の今まで準備を万全に整えていたのだ。普通のドローンでは重火器などセットする事すら出来ない。

 

 工業用の大型ドローンならばそれなりに重いものもセットできるが機動力がないし、小型で機動力のある偵察ドローンでは、まともな武器もセット出来ない。それを彼女のソウルギアによる機械強化が全てを覆した。

 

 ただの偵察ドローンですら、高速で機動し自動で動き、敵を攻撃したり索敵したりと万能的に使える様になり、工業用大型ドローンについては、救出用から対高レベルモンスター用移動火力砲台としての運用すら可能になっている。

 

 彼女自体は今までの通り全く戦力にならないが、機械を使ってならば十分以上、下手すれば御堂すら凌駕する戦闘力や汎用性を手に入れた事になる。

 

 とはいえ先ほどまでは机上の空論でしかなかったが、先ほどレベル1のモンスター1体とは言え何の問題もなく撃破出来た事で、これからの彼女のスタンスが確定したと言ってもいいだろう。

 

「ね、まーちゃん・・・とんでもない奴が生まれたんじゃない・・・?」

 

「Do感」

 

「牽制でもできれば御の字だと思ってたんだが・・・こりゃ寧ろ必須の性能になるんじゃねぇの?」

 

「あーははははは! 私の時代がきたぁ!!」

 

「でも、調子に乗り過ぎて滑り落ちそう。マスターが見てあげないと危ないかもね」

 

 意外と、というより普通に調子に乗りやすい片桐なので放置すれば確実に痛い目を見る事になるだろう。これからを考えると少々頭の痛い思いがする御堂だった。

 

 だが、この時点で片桐も戦力になる上に、索敵やらなにやらを任せられると思えばかなり頼りになるのが分かった。クレアとショコラには周辺の探索よりも危険なトラップに注力してもらいたかったこともあり、片桐に周辺の探索を任せる事にする。

 

 片桐としても戦闘に余裕で買ったのは嬉しいが、別に戦いたい訳でもないので、探索などの役目を任される方が気が楽だった。というよりも誰かに期待され、頼まれるという事がとても嬉しかった。

 

 早速周辺を探索し、カメラのズーム機能なども万全に使い探索していくとおかしい事にすぐに気が付く。

 

「・・・友樹、ここ・・・そこまで広くねぇわ」 

 

「ん? どういうことだ?」

 

 御堂の目には目の前にある林以外は地平線すら見える草原が広がっているようにしか見えない。

 

 だが、片桐が機械を通して見たこの空間には一定距離まで行くと壁の様な物が見えている。恐らくはこの階層の限界距離という奴なのだろうとアタリをつけるが、それが答えなのかは彼女も分からない。

 

 だがみた感じ、周辺に次の階層に行くための階段も何も見えないのでメインはやはりこの林の中にあるのだろうと伝えた。

 

「となると、やっぱりここを行く事になるのか」

 

「一筋縄じゃ行かない感じだね。モンスターもいつ来るか分からないし、トラップも怖いかも」 

 

「つってもまだ優しいんじゃね? モンスターも雑魚しかいないし、無限に襲ってくる訳でもないから、そこだけ切り取れば普段より気楽っしょ?」

 

「普段が普段だものねぇ・・・それじゃリバティ、林の中の索敵をお願いするわ。ショコラ達は罠の警戒。万が一にもご主人様とリバティはいつでも庇えるように」

 

「おっけー。んじゃがんばろっか半身?」

 

「しゃーない。ごしゅの為にも頑張りますかね」

 

 本格的な2層の探索が始まった。

 

 

―126話了

 

 

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