異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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難易度は満遍なくやさしみです。

 

 

―第1層 アクセルパーティ

 

 山崎・・・アクセル達がミッションゾーン内に入るとそこは全体が赤く色づいている街中だった。

 

 空も全てが赤く染まっており、建物も置物も全てが血の色の様に赤く染まっている。周辺に他のプレイヤーやモンスターの姿はないが、直ぐにセットしていたトラップ感知系のスキルを発動させ周囲を見渡す。

 

「普通のフィールド、ですね?」

 

「趣味は悪いけどな。目が痛くなりそうだ」

 

 ソウルギアを展開させているレヴォリューションとバンカーが周囲をキョロキョロと見渡している。そんな中、山田と新島が死んだような顔をしていた。

 

「ん? どしたんスか二人とも? ミッションはまだ始まったばかりっすよ?」

 

「・・・ない」

 

「新島サン??」

 

「女っ気が一つもねぇんだよおおおおおおおお!!」

 

「なんで俺達全員男なんだよおおおおおおお!!」

 

 山田と新島、魂の叫びだった。

 

 本来ならば片桐に追加して、サイレーンやテルクシノエー、ショコラにクレア、おまけでハトメヒトと、片桐以外は御堂に売れ切れているとはいえ、見目麗しい女性ばかりが沢山居る中をうっきうきで探索する予定だったのだ。

 

 特にクレアとサイレーンは基本的に相手にしてくれないが、お人好しのテルクシノエーは意外と彼等に対しても普通に接してくれるし、ショコラに至ってはある程度なら色々と許容してくれたりと、モテない男たちの天使だったのだ。

 

 それがディザスターの後だし情報のせいで結局片桐含めて御堂の1パーティとしてすべてあっちに行ってしまった。

 

 残されたのは中学生の男子二人と、高校生のメタルヒーロー一人、アクセル含めて全員男と、改めて突きつけられた現実に悲しみにあえいでいる。

 

「え、えっと・・・アクセルさん、どうしましょうか?」

 

「そっとしておいてやってくれ。馬鹿なんだ」

 

 こう見えてもレベル4にまで成長した万能系のプレイヤーと、回復特化の親友なのでそこはかとない暖かい目で見てやる事しか出来なかった。

 

「で、山崎サン、俺はどうすりゃいいっスかね?」

 

「基本は俺の後ろから付いてきてくれ、後衛の役割になる新島と山田を護衛しつつになるが」

 

「前に出なくていいんスか? 俺が一番硬いっスよ?」

 

 よくわからないとと言った感じの佐伯。彼もゲームを遊んだ事がない訳ではないが、基本は家族と一緒にパーティゲームや格闘ゲームを遊ぶしかやっていないので、RPGやローグライク、ハクスラ系はほとんど無知なのだ。

 

 前衛での斥候うんぬんの役割も、自衛隊などに入っていなければそうそう学ぶこともないので、その辺りの事をよくわかっていない。

 

「あぁ、俺が道中でモンスターやトラップを探しながら進む。これを今までのミッションと思うな? あのディザスターの事だ、発動しただけで即死させるような罠をどれだけ用意しているかわからん」

 

「わ、罠か・・・そんなもん耐えてやればって訳にもいかないんだろうな。了解っす」

 

「そこの二人もそろそろ真面目にやれ、こんな所で駄弁っていても先には進まないぞ」

 

「かー、ったくこれだからお前は、了解了解。んじゃ・・・ ソウルギア展開!! バフ行くぞっ【祝福鐘】!!」

 

 新島の姿が光り輝きその姿を変えて行く。佐伯の様なメタルヒーローになった訳ではないが、全身が古代の神様が身に着けていた様な衣服に変わり、顔部分が木製の様な仮面で覆い隠される。

 

 ソウルギア【少名毘古那】回復と補助特化のソウルギアで、全身を覆う衣服タイプになる。ステータスはガードとレジストが大きく強化され、ある程度のマジックが補強されるが、魔法攻撃が著しく苦手になるデメリットがある。

 

 逆に補助魔法や阻害魔法、回復魔法などのスキルに対して常時50%の追加効果や効果時間延長という補助効果を持ち、更には消費する精神力も大きく減少させ、極めつけに徐々に精神力が回復していくという、完全に補助や回復に特化したソウルギアだ。

 

 今使ったスキルは聖属性魔法のレアに分類される強化魔法。

 

 効果は【マジック*5】メートルの内の味方全体に神の祝福を与え【マジック】時間の間【パワー】【ガード】【レジスト】が【4】上昇する。更に速さが4上昇する。

 

 サイレーンのスキル並みの強化を味方全員に与えるバフ効果だが、弱点としては一部の魔法で消去させられる時もあり、補助魔法を苦手とするプレイヤーには相性が悪いとそもそも使用できないという致命的なデメリットもある。

 

「おっ・・・! すげぇ漲ってきた!」

 

「補助魔法使いか、あんまりいないんだよな」

 

「低レベルの内は効果時間も短いしなぁ、とりあえずこれで最低限のバフは掛けたし頼むぞ山崎」

 

「あぁ、後ろは任せた」

 

 こうして山崎達も1層の探索に乗り出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―第1層

 

 

 1層だからなのか現在の所モンスターも現れる事もなく、トラップなども見つからず周辺を歩いていた。

 

 次の階層らしき入り口などはまだ見つかっておらず、既に半日近くが過ぎている。一旦探索をやめ、全員で食事をとっていた。

 

「ふぅ。色々持ってきておいてよかったな」

 

 菓子パンを頬張りながらレヴォリューションが言う。ダンジョンアタックという形式上、どれだけの時間がかかるか分からない。追加で言えば、ダンジョン内の時間は歪まされているとの事なので、このダンジョンの中でどれだけ滞在させられることになるかも現状は予想がつかないのだ。

 

 一応、このダンジョン内で数か月暮らしたとしても外では数時間も経っていないらしいが、それを鵜呑みにもしづらいので出来る限り早くクリアするか諦めなくてはならない。

 

 最低でも一週間分程度の食料は用意してきた、途中で荷物を奪われたりしなければ問題ないだろう。

 

「こうなると5000ポイントで売ってた【マジックバッグ】買っておいた方がいいかもしれねぇなぁ」

 

「あぁ、あれか・・・一定量の物までは詰め込める魔法の鞄か、まるでファンタジーだな」

 

「ラノベなら無限インベントリって奴ですよね」

 

「あれいいよなぁ、俺もあんな能力ほしいわ」

 

 ライトノベルの異世界転生ファンタジー物ならば大体持っているチートの様なスキル【無限アイテムボックス】や【無限インベントリ】

 

 流石にプレイヤーにそんな羨ましい能力はない。小さく携帯できるコンテナの様なマジックバッグなどはあるので、それでも十分便利ではあるが、購入費が流石に半端ではないので此方もまた低レベルにとっては現実的ではない。

 

 ステータス閲覧や、ショップでの購入でその場に出現などある程度似たような事は出来るが、こういう場合はかなり不便になる。

 

 先ほど山田が暇つぶしを兼ねてショップを開こうとしていた所、御堂や他のプレイヤーと同じくショップや掲示板が利用できない事に気付いている。

 

「なんつーか、モンスターも出てこないし、気が抜ける感じだなぁ」 

 

 メタルマスクの口の部分が開くのでソウルギア展開状態でも食事をとる事に問題はない。全身メタルヒーローの口部分だけが露出しているのはそこそこ間抜けな感じに見えたりするがそれを指摘するものは居なかった。

 

 それよりも佐伯としてはかなり拍子抜けの展開になっている。

 

 普段ならばあちこちから湧いてくるモンスターや強大な大型モンスターが常に襲ってきて開幕から命がけの戦いが始まるというのが、彼のよく知る普段のミッションなのだが、今回のミッションはモンスターも出てこない上に、罠とやらを警戒して歩かなくてはいけない為、少々フラストレーションがたまっていたりする。

 

「面倒っていうか、どういうつもりなんスかね? これ」

 

「さてな、あいつらの考えなど分かりたくもないが・・・強いて言うのならば。楽しんでるんだろうよ、プレイヤーを使ってな」

 

「あぁ、いつもの奴っすね」

 

 佐伯もそれなりに長くプレイヤーをやっている。故に運営が何が目的でこんなことをして居るのか、大まかな理由は未だに分かっていないが、プレイヤーを使ってゲームをして居ると言うのは理解していた。

 

 だが義憤を抱くには彼はそこまでディザスターに何かをされた訳ではない。命を狙われ、デスゲームに挑戦させられているが、運よく流川に出会い、ポイントを稼ぐ事で家族を養う事が出来ている。

 

 大事な家族の為にもポイントを稼いで、飢えさせないように頑張りたい。だからこそミッションがあれば優先的に出て稼いでいく。それで死んだならば自分が弱かっただけ、死んだとしても後の事は流川がどうにかしてくれると約束してくれている以上、彼は気兼ねなくこのデスゲームに参加できるのだ。

 

「他のプレイヤーはどうなってるんでしょうね・・・」

 

「気にしてもしょうがねぇさ。ま、ケーキ屋の兄さん達ならなんとかなると思うぜ?」

 

「いいなぁ、ケーキ屋さん。今頃ウハウハなんだろうなぁ」

 

「わかる・・・! わかるぞ山田! テルクシノエーさんとかいいよなぁ・・・!」

 

「お、俺はショコラちゃんですね! あのダウナー系小悪魔ギャルとかドストライクで・・・!!」

 

「クレアちゃんのあのはちきれんばかりのバディ!」

 

「サイレーンちゃんの不思議系なのに下ネタも行ける包容力!!」

 

「「あの人もげ腐れないかなぁ・・・」」

 

 二人の心が一つになった瞬間だった。

 

 まさしくどうでもいいほどに一つになった瞬間だった。

 

 そして片桐の話題は何一つ出てこないのは、彼女が魅力的ではないとかそういう話ではなく、ヒキオタニートやってるので思考の外に追いやられているからである。

 

 レヴォリューション含め全員の目が白くなって突き刺さっていたが、嫉妬と羨望に

染まった瞳で怨嗟の声を漏らし続けていたので聞こえる事はなかった。

 

 とりあえずは山崎達のパーティも今の所は安全に進めている―

 

 

―127話了

 

 

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