異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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ちがうんだよなぁ・・・そうじゃないんだよ

 

 

―第2層 

 

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

 何とも言えない沈黙が周囲を支配する。

 

 盛大に解除を失敗させてしまったため、トラップ【トランストゥートランス】が発動してしまう。対象の性別を変更させるというだけのトラップなのだが、その結果、

 

 顔がシュモクザメになっている謎生物と、改造セーラーを着ているイケメンな男性が誕生してしまったのである。つまりはまぁ、そういう事だ。

 

 罠解除を失敗してしまったクレアとなぜか危ないと言いながら嬉々としてぶつかっていったハトメヒトがトラップの餌食になり、男性に性転換してしまったのだ。ハトメヒトの場合は男性というか生ものになっている、あの時出会ったレイドボスのような見た目になっているともいうが。

 

 御堂は突如飛び込んできたハトメヒトのお陰で無事だったのである意味尊厳はまもられたが、目の前の改造セーラー服を着たイケメンは精神的に大ダメージを受け頽れていた。

 

「いっそころせ・・・」

 

「は、半身・・・」

 

 御堂が居ないならいざしらず、愛しい相手が目の前に居てこの変化は彼女にとってダメージが深かった、わかりやすく言うとメンタル面で戦闘不能である。

 

 せめてズボンにしておけば、というのは心の中の彼女の辞世の句だった。

 

「あー・・・えーと、大丈夫なのか?」

 

「うむ、新鮮味が溢れおいしみが盛り上がっている以外は特に何事もないな、強いて言うならば活け造りが最高であろうか、所でシュモクザメを知っているかな? 英名ではハンマーヘッドシャークと言うのだが、意外と知らない人もいるかもしれんが食べるとこれが意外と美味しかったりするのだ。主な調理方法はフライや唐揚げだが、独特な酸味があるものの刺身もOKだったりする。基本はムニエルや照り焼き、スタンダードに揚げ物にもいけて、万能食材、そんなシュモクザメ、シュモクザメが今ならお得な500しらたき! 500しらたきで販売中!!」

 

「あ、うん。命に別状はないのは分かった。というかそれどうなってんだよ?」

 

「トラップに聞かぬとわからぬなぁ。我も万能お助けレディではないからにして。だがこの系統の罠は余程のコンボを合わせぬ限りはそこまで危険度はない、致死性は少なかろうよ」

 

 トラップかかったというのにいつもと全く変わらない、寧ろ活発になっているハトメヒトだが、彼女が言うには【性別】によって効果が変わるトラップ等もありえるかもと注意をしてくる。

 

 対処はともかく、もしそういう罠などが出てきた場合の為の準備も整えなくてはと御堂とテルクシノエーは改めて罠の危険性を再確認するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10分ほど落ち込んでいたクレアだが、なぜかハトメヒトが用意していたズボンに履き替え、少しだけ精神も落ち着いてきたので探索を開始する。

 

 回復魔法で解除を試みたのだが、サイレーンの回復スキルでは解除出来ず、回復魔法での解除では効果が低すぎて解除出来なかった。

 

「あ、テルクシノエーがセットしてるSSスキルなら一時的に解除できるんじゃないかな?」

 

「成程・・・【ネガティブコントロール】ね?」

 

 現在テルクシノエーがセットしているSSレアスキル【ネガティブコントロール】

 

 対象の状態異常を一時的に無効化出来るというスキルだ。解除出来る訳ではないので、効果時間である24時間が過ぎれば元通りに戻ってしまうが、延命には使えるスキルになる。

 

 一応その24時間の間に状態異常が回復出来れば、効果が終了しても元通りにはならないので、使い道がないという訳ではない。これさえ使えば石化や麻痺のような状態異常や魅了や洗脳、傀儡化のような悪辣な状態異常まで、24時間の間は完全む効果出来る。

 

 そして発動中は特殊な免疫状態になるので、他の状態異常も全て無効化されるのだ。とはいえ表面上は無効化されているだけで、実際にはすべての状態異常を受けているので、回復させねば効果終了後にとんでもない事になるが、勿論その間に回復出来れば問題ない。

 

 更に追加効果で【人型ソウルギアがセット時】がマスターが近くに居る時のみ、この効果を使用する直前まで受けていたダメージや効果などを無効化し、更には死亡も含まれるのだ、効果終了前に回復しきる事が出来ればそれらはすべて無効という疑似的な食いしばり、無敵効果も付与できる。

 

「・・・んー、これはあーしのミスだし、勿体ないからいいわ。それ1日に5回しか使えないっしょ?」 

 

「5回使える時点で破格の効果だけど、ね」

 

「でも5回しか使えないんなら、ごしゅの為に取っておくべきだわ」

 

 サイレーンに促されスキルを使おうとしたテルクシノエーをクレアが止める。確かにこの姿を御堂に見られるのは恥ずかしいが、その程度の事で切り札を切らせるのは彼女としては認められることではない、軽く流すような言葉だったが、そこには確かな圧があった。

 

 彼女自身にそう言われテルクシノエーとしてもスキルを使うのを停止する。

 

「あー、でも次の時はドリンク? 買っておくべきかなぁ」

 

「普段使いなら寧ろ面白そうだけどねぇ」

 

「次は半身がなれ」

 

「ミッション中以外なら楽しそうだしいいよ?」

 

「強いなショコラ・・・」

 

 寧ろどんとこいとばかりに言うショコラの様子に御堂が驚きつつも、とりあえず全員が落ち着きを取り戻した。

 

 探索を続けようにも気が付けば周囲が暗くなってきている。通常のミッションならば深夜だろうがなんであろうが普通にミッションをこなすだけなのだが、ダンジョンアタックという形式である以上、下手に動けば先ほどの様に罠にかかったり、モンスターの奇襲を受ける可能性がある。

 

 モンスターならまだ何とか出来るが、トラップは致命的な物ばかりが多いので油断する訳にはいかず、暗い状況で安全に解除出来るかと言われれば難しいものがある。

 

「今日はここで野宿するしかないな。一応時間は外とは違うらしいし、数日以上かけるつもりでいくか」 

 

「主殿の言う通りだな。我等は別にボスを我先にと狙っている訳ではない。確かにクリア出来れば報酬はあるが、此度の探索、このタイプのミッションがどういう形式でどのような難易度であり、どのようなタイプなのかを理解するのが一番だ」

 

「・・・お前さ、真面目に出来るんだから真面目にやらないか??」

 

「主よ、回遊魚は止まると死ぬのだ」

 

「つまり辞める気はないと」

 

 じとっとした目でハトメヒトをみるがその様な威圧も何のそのと用意していたテントを立てる準備を整えていく。

 

「テントなんて建てるのなんざいつぶりだったかなぁ」 

 

「マスターのテントは毎日立ってるけどね? あぅち!?」

 

「はいそこ、下ネタやめなさい。どつきますよ?」

 

「もうどついてるよ・・・ひたたたた」

 

 頭をさするサイレーン、こんな時でも余裕と言うか普段通りの彼女を見て御堂達も少しばかり力んでいた力が抜けていくのを感じた。

 

 その後もわいわいやりながら作業し、30分もしないうちに二つのテントが出来上がる。一つは大型で、もう一つは小型、勿論御堂一人用の小型テントだ。

 

 初めは全員一つのテントで良いじゃないかという話になったが、御堂が押し通した。流石にミッション中にあれな状況になって流される訳にはいかないと言う事らしい。自分の自制の低さは自分自身が良く分かっているとは御堂の談。

 

 それを聞いたサイレーン達はこぞって「逆じゃん」と呟きかけたのだが、流石に誰も言わなかった。それ位の優しさはあるのだ。

 

 寧ろ自制の塊というか、どれだけ迫っても回避するのだからもしかして自分達に魅力がないのではと一部焦ってたりもする。主にショコラとテルクシノエー。

 

 安心してほしい、テルクシノエーがダメならそれはもう女に興味がないとか言うそんなレベルである。単純にヘタレなだけなのだ。

 

「んじゃ数時間ずつで交代で寝るか。2,2,3で三交代でどうだ?」

 

「私のドローンは自動展開できるし、警戒はそれに任せてもいいんじゃないか?」

 

「馬鹿言え、例えそうだとしても寝起きに急に動けないかもしれんだろ? 一部は起きてないとやばい」

 

 モンスターが奇襲してくる可能性もあるし、運が悪ければプレイヤーがここに来るかもしれない。その時に全員寝ていればどうなるかなど予想しなくても分かるだろうと説明する。

 

 ある程度余裕で進めていた片桐だったが、ゲームの様に戦えていると言っても、現実には変わらない事を改めて理解し、激しく頷いて御堂の案に賛成した。

 

 最終的に、最初は御堂とクレア、次にショコラ、テルクシノエー、最後に片桐、ハトメヒト、サイレーンという順番で交代する事になった。

 

 まだまだ2層という状況、他のプレイヤー達がどうなっているか分からないが、これは長丁場になりそうだなと考えつつ、御堂は夜の番に入るのだった。

 

 

 

 

―129話了

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