異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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のんびりできる日々ほど幸せな事はない気がする

 サイレーンに抱き着かれながらぐーたらしている俺。先ほど既に親方には体調不良と言う事で数日の休みをもらう事が出来た。今は仕事自体もそこまで忙しくないので

快く了承してもらった。寧ろ普段体調不良などとは無関係な俺が体調不良にしていた事を心配してもらったほどだ。

 

 うちの会社も完全ホワイトって訳ではないが、親方含めそこまで嫌な奴や悪い奴はそんなにいない。だからこそ居心地のいい仕事を捨てたくはないんだが、命をかけてもと言われれば全部出来ますとか流石に言えない。

 

「サイレーン、いつまで抱きついてるの? いい加減に邪魔になるから離れなさい」

 

「大丈夫。古今東西美少女に抱きつかれて嬉しくない男性はいないって、たけちゃんが言ってた」

 

「誰だよたけちゃん。というか自分で美少女言っちゃうか」

 

「え、違うの・・・??」

 

「いや、大いに美少女だが? これ以上ないレベルで美少女だが? 十把一絡げなアイドルなんて目じゃないほどの美少女だが?」

 

「♪ マスター、ほめ過ぎ。もっと強く抱きしめてあげるね♪」

 

 一瞬泣きそうな顔になったサイレーンが、直ぐに花開いたような笑顔になって更に強く抱きついてきた。なんだろうなこれ、幸せの絶頂期って奴だろうか? 幸せ過ぎて明日以降が怖いんだが。いや――

 

「離れなさい?」

 

「ら、ラジャー!?」

 

 物理的に人を殺せそうな目でサイレーンを見てるテルクシノエーさんが既に怖かったです。美人がキレると切れそうな恐怖があるな。俺の人生の中でそんな体験初めてだよ。

 

「羨ましいならテルクシノエーもマスターに抱きつけばいいのに」

 

「な、ななっ!? 今何時だと思ってるのよ!?」

 

「だから夜だよ」

 

「あぅ・・・」

 

 恥ずかしがってテンパっているテルクシノエーと、ここぞとばかりに反撃しているサイレーン。なんだかんだと二人ともそこまで仲が悪くなさそうで良かった。こういう場合お互いに毛嫌いして~とかも割とテンプレだからな。

 

 それにしても改めて二人としっかり見てみると、やはりどちらも美人と美少女だ。

 

 二人とも着ている衣服は戦闘時に身に纏っているデフォルトの服装ではなくて、ユニ〇ロで急遽買ってきた安物だが、吃驚するほど似合っている。俺じゃあセンスも何もないので二人に自分で決めてもらったんだが、下手なモデルなんて目じゃないほど奇麗に着こなしていた。全部まとめても数万円程度で買えた安物なのに、これほどまで映えているのは素材である二人が最高だからか。

 

「ん? どうしたのマスター?」

 

「いや、二人とも似合ってるって思ってなぁ。悪いな安物しか揃えられなくて」

 

「いいえ。ご主人様が用立ててくれたものです、何よりも大切な私達の宝物ですよ」

 

「そうそう、テルクシノエーの言う通りだよ。それでもマスターが気にしちゃうなら」

 

 サイレーンが見惚れてしまう笑顔で言った。

 

「沢山ポイント集まったら、今度は皆でもっと似合うの買いに行こ? 次はマスターが選んでほしいなぁ」

 

「それはいいわね。ご主人様が自ら選んで下さったもの。今以上の宝物になると思うもの」

 

「お、おお・・・い、言っとくが俺にその辺のセンスは無いぞ? それでもいいのか?」

 

 俺がそう言うと二人は顔を見合わせた後、俺にまた振り向き―

 

「「もちろん♪」」

 

 本当に、俺のソウルギア達は最高だね―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―翌日

 

 体調は万全、精神面も昨日のお陰でほとんど回復できた。故に仕事するには十分な状態なのだが数日は休みである。基本的に俺はあまり休む事が無かったので、こういう風に休んでいるとズル休みをしているような居たたまれない気分だ。

 

 目が覚めてすぐ、美味そうな匂いが漂ってきたのでふらふらとキッチンに歩いて行くとそこにはエプロン姿のテルクシノエーが調理をしていた。背中辺りまで伸びている髪の毛をポニーテールにして邪魔になら様にしているその姿が、もうなんというか最高だ。人妻感をすさまじく感じる。

 

「あ、おはようございますご主人様。もうすぐ朝食が出来ますのでお待ちくださいね?」

 

 思えば誰かに料理を作ってもらうなんてのは、ばあちゃんが作ってくれた御飯やケーキ以来だったな。一人で暮らすようになってから基本的に全部自炊してきたから、こうやって誰かに料理を作ってもらうのは何というかこそばゆい。

 

 ちなみにサイレーンは料理は致命的にだめだった。米を研ぐのに洗剤を使う~とかギャグみたいな致命的ではなかったが、その辺りとことんまで不器用で、割と本能のままに動こうとするので、危なっかしくて彼女には皿洗いや皿の用意、皮むきや野菜洗いをしてもらう事にしている。

 

「所でサイレーンは??」

 

「まだ寝ていると思います。すみませんが後で起こしてきてもらえるでしょうか? 今少し手が離せなくて」

 

「あぁ分かった。さっさと顔洗って歯磨いてきたら起こしてくる」

 

 久しぶりに朝から美味そうな味噌汁が飲めそうだ。ケーキ作りには妥協しない俺だが、朝から味噌汁を作る云々をやるほど料理には凝っていない。というかケーキ作り以外は割と適当で、朝なんて握り飯作って食うか、卵かけご飯でさっさと飲み込んでしまう。時々寝過ごした時はコンビニおにぎりなどでしのいだりしてた。だから、朝から美味い味噌汁が飲めるのは有難い事だよ。

 

 直ぐに顔を洗い歯を磨いて眠気を覚ましサイレーンを起こしに行く。

 

「おぅサイレーン、今日は美味い飯があるぞ・・・」

 

「んにゅ・・・」

 

「サイレーンさん!? 寝巻は!? てか下着は!?」

 

 布団を蹴飛ばし凄い寝相で転がっているサイレーン。ついでに言うと一糸纏わぬ姿だった。事細かい描写は避け・・・というか直ぐに毛布を被せた。朝からなんと大胆な本当に有難うございました。

 

「マスター・・・? 暑い・・・おはよぉ」

 

「毛布をめくるな!? てかなんで何も身に着けてないんだよ!?」

 

「え? 流石に下着位は・・・あはは、寝ながら脱いでたっぽい」

 

 どんな寝相だよサイレーンさん。

 

「見た??」

 

「不可抗力だ、御馳走様でした」

 

「お粗末様でした。もう少し見る??」

 

「はよ着替えてこい!? 俺は戻るからな!?」

 

 朝から俺の理性に致命的なダメージを与えるのはやめてほしい。俺が居るのに気にせず毛布を剥ぎ取ろうとしたサイレーンから逃げるようにリビングに戻ってきた。本当にサイレーンはこの辺本当に緩いな。嬉しいハプニングではあるが、結構心臓に悪いぞ。というか恥ずかしがる所か、気にしないで寧ろ誘ってくるのは最早淫魔に近いんだよな。デフォの姿なら寧ろテルクシノエーの方がそれっぽいのに、逆にテルクシノエーはそう言うの苦手だしなぁ。

 

「ご主人様? 何かあったのですか?」

 

「お、おぅ。何もなかったであります」

 

「???」

 

 聞かないでくれテルクシノエー。どうせ俺はヘタレですよ。

 

「マスター、テルクシノエーおはよ。今日もいい天気だね」

 

「貴女はもう少し早く起きなさい」

 

「お布団がぬくぬくなのが悪いよ。すべてはオフトゥンの所為だね」

 

「ほんとにこの子は・・・」

 

 自堕落な妹と生真面目な姉みたいな関係だなこの二人は。出てきた順で考えれば寧ろサイレーンの方が姉なんだが。

 

 何はともあれ、朝食の時間になった。

 

「わ、美味しそう・・・!」

 

 味噌汁に焼き魚、卵焼きにもやしのお浸し、漬物もある。簡単そうに見えてどれもこれも手が込んでいる朝食だ。こんなのばあちゃんが作ってくれた朝ご飯以外じゃ飯屋とかでしか見た事ないぞ。

 

「お口に合えば良いのですが」

 

「何言ってるんだ、どれも俺の好物だっての。頂きます!」

 

「頂きま~す。ん、おいし」

 

 美味い。他の言葉が出てこない位にどれもこれも美味かった。御飯も出来たてなのもあるが、俺じゃこんな美味い米は炊けた事がない。焼き魚と一緒に米を書き込む。程よい塩味が付いた魚と米が抜群に合う。こんな美味い朝食はほんと久しぶりだ。

 

 まるでばあちゃんが作ってくれた朝食を思い出す。一瞬鼻がツンとなりかけたが、直ぐに料理を食べ続けていく。

 

「美味い。こんな美味いメシを朝から食えるなんてな。テルクシノエー、ありがとうな?」

 

「喜んでもらえて良かったです」

 

 持っていたお盆で顔を隠して照れるテルクシノエーがかわい過ぎるんだが。その隣ではサイレーンが俺以上のスピードで朝飯をどんどんと平らげていく。

 

「ん。料理はテルクシノエーに任せる。私はこう、違う所でマスターの役に立つよ。という訳でおかわり。大盛りで」

 

「はいはい。というかよく噛んで食べなさい?」

 

「大丈夫、ソウルギアはその程度や病気にもならないし太らないと思う」

 

「まったくこの子は・・・」

 

「マスター。この卵焼き美味しいよ? あーん」

 

 サイレーンが卵焼きを俺の口にまで運んでくる。というかこんなスムーズにあの伝説の「あーん」をやってくるとか、どれだけ高レベルなんだこやつは。テルクシノエーなんて「恐ろしい子!?」みたいな表情でお前さんを見てるぞ?

 

「ん、あーん」

 

「サイレーン!? 朝から何を羨ましい、ではなくて破廉恥な事を!?」

 

「さっき言った。私はこう、違う所でマスターの役に立つと」

 

「そういう意味で!?」

 

 ドヤ顔で言うサイレーンと、あわあわと慌てているテルクシノエー。朝から美味い朝食と賑やかな喧噪の中、今日も一日が始まるのだった。

 

 

―18話了

 

 

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