異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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ガチャが終わって日が暮れて、足りてなくて、呆れられて

 

 初めに気づいたのはスピネルだった。

 

「リバティ、聞きたいことがある」

 

「な、何っ!?」

 

 急に話を振られビクッとなるリバティ。どうにもまだ他人には慣れてないらしい。追加で言うならスピネル自体、結構ぶっきらぼうな性格なのと常時ジト目っぽい表情なので、その辺りがまだ怖いのだろう。

 

 俺から見れば、ちょっと背伸びしてる感じの女の子にしか見えないんだがな。意外と流川と会話してる時は若干嬉しそうにしてるし・・・

 

 これはあれだな? 流川君、女子中~高生に好かれておられるな?

 

 奴は悔しいがスーツの似合うイケメン。年齢的にはイケおじに近いだろうか。更に言えば強く面倒見が良くて、社会的な立場もあり金もある。モテない要素がないな。

 

 俺と比べると凄い世界に居ると思うが、流川は流川で大変な思いしてるからちょっと位しか嫉妬してませんがなにか。

 

「・・・その服装どうにかならない?」

 

「え、えぇぇ・・・?」

 

 彼女が今着ている服は黒いシャツに文字が書かれている言わば変Tシャツだった。ちなみに書かれている文字はこんな感じだ。

 

―【牛スジこそがジャスティス、牛ヒレなぞ敗北者である】

 

 この服はどんな需要で作られたんだろうな。意味が分からないと言うか、意味を理解しちゃいけない類の物なのかもしれない。

 

「・・・貴女も一応女性。もう少し、なんとかならない?」

 

「一応!? え・・・? これ以外だと、ちょ、ちょっと取ってくる」

 

 そう言うとリバティが部屋に戻る。やや暫くして彼女が戻ってくると似たような上着を並べ始めた。複数着あって、服の色は赤や緑や黄色などでその全てに文字が書かれている。

 

―【するめVSあたりめVSひらめ、勝者ごんぶと】

 

―【こんな所にいられるか!? 俺は残るぜ!?】

 

―【けーきたべたい】

 

―【LOVE 焼き鳥 いりおもて】

 

―【何? 世界を山分けにしよう? お前を倒して世界も頂く】

 

「どういうセンスっすかねあれ・・・」

 

「・・・・」

 

 その、あまりにもあんまりなセンスに佐伯少年も思わず突っ込んでしまう。

 

 アクセルは見て見ぬふりだ。本能的に関わったらまずいと思ったのだろう。正解だ。俺もなんとコメントしていいかわからない。

 

 強いて言えばけーきたべたいTシャツだけは俺も許そう。ケーキが大好きな奴に悪い奴は多分少ないと信じる。

 

「この前、着てた服は?」

 

「あ、あれは緊急時の一張羅だから・・・普段はこういうのしか持ってない」

 

「女捨ててるなぁ」

 

「あぐぅ!?」

 

 男の方のジェミニこと、カストルが盛大に突っ込む。

 

 彼女でもそれは結構ダメージになったのかその場に倒れ込んだ。まぁ、それは割といつもの事なので良いとして、俺も漸くジェミニの二人から名前を教えてもらった。これから常に行動を共にする事になるし、いつまでも名前が分からないのは緊急時に困るって事で、だ。

 

 女の子の方はポルクスというらしいな。流川、どういう意味でそんな名前にしたんだ?? 何かルーツとかあるのかね。

 

「服・・・買いに行こうか」

 

 あまりに哀れなその姿にサイレーンが肩をポンポンと叩いて慰めている。

 

 しかしながら衣服に無頓着ってのは俺も同じだから共感できるんだよな。正直な所オシャレとかに興味がないし、服なんて着られればいいって思ってるタイプだ。仕事中にそんな気を使った服なんて着ないし、飲み会用に決まった衣服が1~2着あれば十分だと思ってる。

 

「み、店怖いし・・・」  

 

「これは重症ですね」

 

「極まってるよなぁ」

 

「それならネットでポチればいいんじゃねっすか?」

 

「それだ!!」

 

 へたれて買い物にすらいけないリバティにお手上げ状態の俺と流川だったが、そこに佐伯少年が助け船を出してきた。

 

 ネット通販なら対面する事も無いだろうし、じっくりと選べるからいいよな。

 

 むくりと復活したリバティも「その手があったか!?」と感心しきりだ。

 

「な、成程、それなら私でも買えそうだ・・・」

 

「うし、ならあーしが選んでやるよ」

 

「ぴぃっ!?」

 

「クレアじゃ見た目で怖いからだめみたいっしょ、ここはウチが選んであげ――」

 

「ひぃぃぃ!?」

 

「なしてさ?」

 

 ギャルと言えばおしゃれ、おしゃれと言えばギャルと言わんばかりにミューズの二人が、リバティの衣服を選んでやろうとしたが、二人が近づいた瞬間に飛び上がりこそこそと退散していく。

 

 うんまぁ、ギャルだしなぁ。陰キャにギャルは辛いよな。陽キャの塊だし、辛いもんだろう。佐伯少年が割と話があって色々賑わってたが、ショコラがこっそり「あの子ウチらの胸ガン見してたよ?」とか伝えてくるんですわ。

 

 仕方ないだろう、男の子だもんな!! 流石に嫉妬とかは湧かなかった、寧ろそりゃそうだよなと思ったほどだ。うちの子の中で意外にも一番まともな服装してるのがサイレーンだからなぁ。

 

「こりゃ慣れるまで強行っしょ♪」

 

「半身言い事言った♪」

 

 そしてリバティの態度が二人に火をつけていた。

 

「加減してやれよ?」

 

「任せろってごしゅ。あーし等なら3日もあればリバティをギャルにできっから」

 

「ぜったいにやめろください」

 

 これ以上ギャルが増えたら主に俺の心情が辛いのです。ミューズ達二人で十分だ。別に嫌って訳じゃあないし、寧ろ可愛いし、ばっちこいではあるのだが圧が、圧が強いんよこの二人は。あと、誘惑が強い。

 

 サイレーンはこう、まだ可愛らしい誘惑なのだが、クレアとショコラは下手に応えようものなら俺は次の日に干からびてそうな気がするんだ。なので出来る限りそういう話はスルーしたり、ごまかしたりしている。

 

 テルクシノエー? テルクシノエーはうちの天使だから。

 

 見た目はサキュバスだが。どうしようもないほどにサキュバスだが。普通の服を着ててもあの魅力が隠れる事ないんだぞ? どういうことなんだよ、だからサイレーンにあるく18禁って言われるんだよ。ごちそうさまです。

 

「ケーキ屋ぁ・・・改めて凄いな」

 

「割といっぱいいっぱいなのよ?」

 

 寧ろ流されるままに~とかも考えちゃったりもしてるのよ? 据え膳ってやつよね。でもこのセーフハウスでそんな事出来る訳ないって事で必死に我慢しております。

 

 あぁそうそう、俺の家探しだが今の所はここのセーフハウスを借りる事にした。流川も今のシーズンが終わるまでは出来るだけ離れない方が良いと、ここを勧めてきたし、最悪ここを俺に譲るか考えてるらしい。

 

 俺の親友は、親切過ぎて泣けてくるね。

 

「服、服かぁ・・・あ、あの二人なら大丈夫かもだけど、わ、私が持たないから、ケーキ屋が一緒に選んでくれないか?」 

 

「俺にセンスを求めるとやばいぞ?」

 

「大丈夫だ、私もそんなセンスない。後終わったらゲームで共闘しに行こうぜ?」

 

 なんだろう、リバティ・・・どこまでも思考か男性っぽいよな。

 

「うむむむむ、どうしよう、マスターがマスターがとられてしま・・・リバティじゃ無理かなぁ」

 

「いっそ残酷よねそれ」

 

 サイレーンとテルクシノエーがリバティ向かって何故か凄く優しい表情をしてる。

 

 何か思う所があったのかもしれんなぁ。

 

「なんつぅか、御堂のおっさんが居るだけで賑やかだなぁ・・・ソウルギアもたくさん居るせいか」

 

「あぁ、それはわかるな」

 

「彼は昔からあんな感じで、周りの中心でしたからね。お陰で僕も色々高校生活などを楽しめたものです」

 

「やめろやめろ、俺を持ち上げても何もでないぞ? 後、佐伯少年、おっさんはいらない、おっさんはやめよう? な?」 

 

「う、うす!?」

 

 射貫くような眼光で佐伯少年を見ると、立ち上がって敬礼する。

 

 普通に御堂さんとかケーキ屋さんで良いので、そう言ってほしい。まだ40代にもなってないのにおじさんとか中年とか言われたくないのよ。気持ちはまだお兄さんなのである。 

 

「さ、さて! ケーキ屋、服選ぼうぜ! この後、ずっと共闘しないとだしな!」

 

「はいはい、了解したよ」

 

 一応リバティの衣服は俺なりに選んでみたが、気に入るかどうかは知らん。一応全部ぽちったらしいが、どんな感想になるのやら。

 

 追加で言うと、ついでという事でサイレーン達が俺の着る服についても色々相談し合ってぽちっていた。俺に着てもらいたいらしい・・・どんな服が来るのか今から戦々恐々なんだが・・・・

 

 こうしてなんだかんだと騒がしい夕方が過ぎて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―スピネル視点

 

 

 ジェミニ様のセーフハウスにきてもう数日。

 

 私は幸せの絶頂期にいる。

 

 他のメンバーは正直割とどうでもいいけど、仲間としてならばジェミニ様の顔を立てて仲よくしようと思う。特にケーキ屋さん。

 

 彼はジェミニ様の大切な存在だから出来る限り融通するつもりだ。なんと言うかあの二人で話している姿は本当に尊い。

 

 今私は個別に与えられた部屋でパソコンを弄っている。勿論ネットにも繋がっているので、ソウルギア専用の掲示板を覗いている所だ。

 

 それにしてもリバティ・・・戦闘ではどうしようもなく役に立たなかったけど、PC関係はとても凄い。つい先日アクセルに蘇生薬を渡す云々で情報をばら撒いての情報操作をしていたけど、あっという間に情報が広まっていた。

 

 彼女の言った通り、蘇生薬についてはスレで出てきたがケーキ屋の名前は何一つでてこない。寧ろアクセルが蘇生薬を持っている云々ばかりが強調されていて、彼が全力でスケープゴートになっている感じだ。

 

 後はジェミニ様強い系のスレがいくつかと、プレイヤーキラーの情報についてのスレが賑わってる。そしてリバティはこの全てのスレを監視しているらしい・・・どうやってるんだろうと思ったけど、そこはソウルギアを使っているそうだ。

 

 話をするのも怯えられて大変だったけど、なんでもその気になればスーパーハッカーみたいなことも余裕で出来るらしい。情報戦とかネット戦なら彼女程役に立つ存在は居ないのかもしれない。これに関してはジェミニ様もあまり得意とされてなかったみたいだ。

 

 私もスレは見る程度なので見た情報を伝える程度にしか役に立てない。

 

 本当なら私にも何か出来る所をアピールして、ジェミニ様に喜んでもらおうと思ったけど、無理っぽい。私はやはりミッションで戦闘等で活躍するしかないだろう。

 

 私のソウルギア【スピネル】は変身型。

 

 発動すればマジック+30と言う破格の魔法性能を得る事が出来る。弱点はそれ以外のステータスはほとんど上昇しない事と、見た目が魔法少女になる所。中学生にもなって魔法少女は正直恥ずかしい。

 

 何にせよ戦闘力はそれなりに高いつもりだ。これからきっとあの方の役に立てる。

 

 あの人はきっと、私を助けた事は覚えてないかもしれないけど、沢山色々な人を助けてるから、気づいてないと思うけど。私はそれを今でも夢で見る。

 

 家族にも見放され、人生に一切の楽しみも無かった私が今こうやって生きてるのはあの方のお陰だ。助けてくれたジェミニ様の為に強くなって、そんな私を見てもらって、いつかは・・・

 

「・・・・くふふ」

 

 あぁ、ジェミニ様の物になれたら最高なのにな――

 

 頑張ろう、頑張ろう。

 

 頑張って頑張って、頑張って、どこまでも頑張って。

 

 貢献して、認めてもらって、見てもらって、使ってもらうために。

 

 あの人の為に、あの人に認めてもらうために。

 

 あの人に愛してもらうために。

 

 その為ならば私はきっと、何でもできる。

 

 何でもやれる。

 

 その為ならば出来ない事なんてなにもない。

 

 ジェミニ様にお願いされたのなら、私は喜んで家族も手にかけよう。

 

 どんな奴でも始末しよう。

 

 逆に助けろと言われたら、どんな奴でも助けよう。

 

 例えそれがプレイヤーキラーであろうとでも。

 

 それが私、スピネルこと、新島《にいじま》愛華《まなか》なのだから。

 

 

―64話了

 

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