異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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ケーキの作り方教えてください。全部!

 

 ミッションの通知が来ずそろそろ10日目になる。いまだに通知は来ないので、俺達は出来る事をそれぞれやっていた。

 

 アクセルと軽く模擬戦闘をしたんだが、気が付いたら負けていた。レベルが上がってもアクセルの高速移動には全然対応できなかったのだ。フルブーストのバフを掛ければ対応出来るかもしれないが、素の状態だと流石にアクセルの方がずっと強い。

 

 その後は組手を何度かやってみたが、カストルやポルクス達とは違う、鋭い連続攻撃は耐えるのが難しい。一瞬でも気を抜くと見失うのだから、速いってのは恐ろしいもんだよ。

 

 弱点として脆いので、俺の一撃がヒットすると極端に動きが鈍くなる。ゲームで言えば耐久も攻撃も捨てて、速度オンリーにしたって感じだ。

 

 他にも佐伯少年とも組手をしたが、こっちはステータスの差で押されていた。戦闘技術って点を見るとジェミニやアクセルと違って分かりやすくて意外と戦えるんだが、地力で負けてる感じだ。ここが変身型と召喚型の差なんだろうな。

 

 休みの日には流川も鍛錬に混ざり、結構充実した日々を過ごしていたんだが、そんなある日の昼、スピネルが俺に話しかけてきた。

 

「ケーキの作り方を教えてほしい??」

 

「・・・ん」

 

 こくこくと頷くスピネル。

 

 どうやら自分でケーキを作ってみたくなったらしい。実はこの10日で何種類かケーキを作って皆に振舞っていたのだ。佐伯少年は最初、男が甘いものなんて、とか言ってたが、1個食べた後はずっとがっついてたな。

 

 残りの1個をサイレーンと取り合ってじゃんけんして負けて落ち込んでた程だ。また次作ってくださいとか言われたら作るしかないよなぁ。ここの所ケーキ作成欲が程よく満たされて嬉しい事だ。

 

「貴方の作るケーキはとても美味しかった。だから、そんな貴方なら美味しいケーキの作り方を教えてくれるかもしれないと」 

 

「成程なぁ」

 

 正直な話、ケーキ含めて菓子作りってのは【スタート】が一番面倒なんだ。あれやこれを用意しろ~、何、軽量カップだ、何、摺り切り何杯だとか、道具の準備だオーブンだってな。この時点で大半の奴が「面倒くさい」「大変そう」「難しそう」ってなる。

 

 だが、そこをクリアすれば、後は料理するのと大して変わらないんだよ。

 

 菓子作り=難しい+面倒ってのが頭にあるから大変に思うだけでな。

 

 その気になりゃ簡単にケーキなんて作れるのだ。わざわざスポンジから作らなくたって、最初はスポンジは出来合いの物を買ってくればいいし、お手軽だと、コンビニとかで売ってる100~200円位のシフォンケーキあるだろう? あれをスポンジ代わりに使うのだってありだ。

 

 あれを横から半分に切って、苺などを並べて市販の生クリームを塗って挟む。挟んだら後は外面全部を生クリームで塗って軽くデコレートすればこれだけで簡単ケーキの完成だ。これだって意外と美味いし悪くない。

 

 これが菓子作りってもんだ。そこから少しずつ楽しんで覚えていって、スポンジも作ってみようとか、生クリーム以外を使ってみようとか、バリエーションを増やしていけば、勝手に色んな種類のケーキが作れていく。

 

 そこから改めてレシピとかをみて、これを作りたい、あれを作りたいでも構いやしねぇんだ。プロになる訳でもないんだしな。

 

 スピネルも多分ケーキ作りを難しいと頭で考えてるタイプなんだろう。ならば俺に出来る事は分かりやすく、楽しいケーキの作り方を教えてやるだけだ。

 

 恐らくは自分で美味しいケーキを作って流川に振舞ってやりたいんだろうなぁ。いじらしいぜ。俺は応援しているぞ? 応援するのはタダだしな。でも手を出したら犯罪なので流川君は気を付けたまえ。

 

「OK。テルクシノエー、手伝ってくれ」

 

「わかりましたご主人様」

 

 助手にテルクシノエーを呼ぶ。うちで2番目に菓子作りが得意だからな。料理や家事については誰よりもトップクラスである。作ってくれたメシがこれまた美味くてなぁ、きっとテルクシノエーは良い嫁さんになる。この場合、夫は俺になるんだろうな、すまんね今の俺、勝ち組だわ。

 

「まーちゃん、ウチらも手伝うよ♪」

 

「あーしらに任せな~」

 

「セッツダウン」

 

「「あれぇ!?」」

 

 スマホポチポチしてたショコラとクレアが急遽参戦、しようとしたが強制的に禁止する俺。

 

 実はこの二人、漫画で見るようなレベルの料理オンチだったのだ。サイレーンもそこまで料理は得意ではないんだが、それでも最低限の炊事と洗濯は出来るんだが、クレアは米を研ぐのに洗剤を使おうとしたし、ショコラはキャベツを得意のナイフで粉みじんに切り裂くなど、いかんともしがたいレベルだった。

 

 その辺やはりギャルだからなのか、基本的におおざっぱなので、調理とかに全く向いていない。それでいて根はとてもいい子達なので、手伝いは率先してやってくれるのだが、そこが致命的なのでどうしようもないのだ。

 

 故にこの二人には料理の手伝いではなくて、皿を並べてもらったり野菜を水で洗ってもらうとかしか頼めない。クレア、キャベツを洗うのにも洗剤はいらないんだぞ?

 

「私もあれだったけど、二人は末期ですねわかります」

 

「うぐぐぐぐぐ」

 

 サイレーンが勝ったとばかりに腕を組んで後方師匠面をしている。

 

 そんなサイレーンを見てぐぎぎと唸っているミューズ達だが、サイレーンもそこまで料理が得意って訳ではないので、何とも寂しい争いに見える。テルクシノエーなんてそんな3人を見て呆れたような表情で見てるしな。

 

「・・・ケーキ屋さんのソウルギアは、色々極端」

 

 言わないでくれ、俺もそう思ってるから。

 

 何にせよ彼女に菓子作りを教える事に問題はない、どうせ現状は暇だしな。流川は仕事、アクセルは地下で鍛錬してるし、リバティは部屋に閉じこもってゲーム三昧だ。一応掲示板やソウルギア関連サイトに常駐してて、情報操作もしてるらしいのでこれに文句を言える奴は居ない。

 

 寧ろ遊びながらそんな事出来てる時点で、彼女はもしかしなくても天才なのではなかろうか? ソウルギアの力を使っているとはいえ、今の彼女の部屋は10台を超えるパソコンがずらりと並んでそれ全てに様々なブラウザページが開かれている。

 

 俺も見させてもらったが、全く何してるかわからん。

 

 それを見せてもらった流川が、「彼女なら株も出来そうですね」とか言ってたが、それは否定してた。なんでも金が絡むと上手く行かないって話だ、あと単純に楽しくないので稼げないらしい。あぁいうのはモチベーションが大事だろうしなぁ。

 

「よし、んじゃ昼飯食ったらケーキ作りを教えてやるよ」

 

「・・・ん、ありがとう。お礼はポイントで――」

 

「いらんいらん。ケーキを作れるようになったら、何時か振舞ってくれよ」

 

「・・・いいの?」

 

「もちろんだ。てか子供なんだから大人には普通に頼ってくれていいんだぞ?」

 

 社会人のリバティならともかく、彼女はまだ中学生の子供だ。

 

 そんな子供がこんな場所に親から離れて一人でプレイヤーとして戦っている。酷な話だろ、ガーディアンだったか、彼女のマスターなんて幼児だぞ幼児。ディザスターの野郎ども、もう少し対象を選んでプレイヤーにしろよ、もしくは希望制にしてくれれば俺達が巻き込まれずに済んだのによ。

 

 話が逸れたが、子供が大人を頼る事に何の問題があろうか。

 

 そして頼る事に対価なんて必要ない。

 

 彼女は流川にケーキを作ってやりたいだけなんだ、そんな小さな願いを対価云々で

汚すのはなんか違うだろう?

 

「・・・ありがとう。ケーキ屋さんはいい人」

 

「んじゃ昼過ぎだな。テルクシノエー、今日の昼御飯は??」

 

「ふふっ。今日のお昼ご飯はパスタですよ。楽しみにしていてください」

 

 テルクシノエーが不思議なほどに笑顔で俺を見ていた。

 

 てか、周りを見るとサイレーンはジト目になってるし、ショコラとクレアはニヤニヤしてる。違うぞ? 彼女のフラグは流川に向いてるんだからな? 俺は問題ないぞ? 彼女の淡い恋を応援するお兄さんの優しい心意気という奴でな―――

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 パスタ、凄く美味かった。

 

 リバティが凄い勢いで食べてたなぁ、こんな美味しいパスタ初めてだのなんだの。彼女の場合、外食とか行かないから基本ちゃんとした食事してないせいだろうが。

 

 昼過ぎ、食休みも終わりケーキの作り方講座の始まりだ。

 

 俺はいつものパティシエスタイルになっている。

 

 隣にはテルクシノエーが材料を用意してくれていて、俺のやる事は指導する位しかない。

 

「・・・でだ?」

 

「ぅあ?」

 

「何でここにいるんだ??」

 

 何故かエプロン付けて参加しているリバティが居た。

 

 後そのエプロン俺の予備なんだが? 何故勝手に身に着けてるのかね?  

 

「ケーキが食べられると聞いて・・・!」

 

「いやまぁ、作る事は作るが、スピネルにケーキの作り方を教える片手間だぞ? 出来たら呼んでやるから部屋に戻ってていいんだぞ?」

 

「出来立てが食べたいじゃん・・・! あ、あと私にもできるかなーって」

 

 ふんすと気合を込めてるリバティ。

 

 いやまぁ、教える相手が一人から二人になっても構いはしないんだが。

 

 という訳で今キッチンには俺、テルクシノエー、サイレーン、スピネル、リバティの5人が居る。見事に女性ばかりだな!? 俺その内モテない人たちに刺されそうなんだが・・・ほんの少し前まで一人で寂しい生活してたんだがなぁ・・・

 

 プレイヤーになってから、ここだけ見れば幸せなんだよなぁ・・・それ以外が最悪だが。デスゲームとか本当に勘弁してください。

 

「・・・よろしく」

 

「おう、頑張ろうな。今日は軽く指導する感じだ、まずは俺が指示するから、その通りにやってみてくれ。テルクシノエーはリバティの方たの――」

 

「むりぃ・・・!?」

 

「テルクシノエーは補助頼むわ」

 

「あははは・・・わかりました」

 

 リバティさんや、俺の背中にくっつかないでくれ? 当たるんだよ胸が!? 

 

「成程、あんな風にやればマスターに抱きつける・・・リバティなかなかやるね」

 

「サイレーンさん? 君は何を言ってるのん?」

 

「任せてマスター。ちゃんとさりげなくやれるように練習するから」

 

「そんな練習はいらないんだよなぁ」

 

 頼む、頼むから俺達にケーキ作りをさせてください。

 

 

―66話了

 




御堂君の本領発揮ターンです
ケーキ作りがメインですからね仕方ないですね。
え? バトル?? 
・・・・・・・・・・・・・・・(´・ω・`)

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