異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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デートじゃありません、恐らくは。

 

「それじゃ、行きましょうお兄さん♪ 僕の事はあーちゃんって呼んでくれていいですからね?」

 

「おう、そうか。行くぞあーちゃん」

 

「つ、強いっ!? そこは恥ずかしがる所じゃないんですか!?」

 

 自称あーちゃんに詰め寄られる俺。いや、今自分でそう呼べと言っただろうに。あと、これ系のおちょくりに関しては既にサイレーンやミューズ達にやられているので耐性がついているのだよ。

 

 こう言う時は、素直に返すと逆に言った本人がダメージをうけるのだ、俺も学んでいるんだよ。使い道はほとんどないが。

 

「見た目によらず面白いお兄さんだなぁ」

 

「お互い様だと思うぞ? 見た目的に」

 

「僕は可愛いから良いんですよ」

 

 凄い自信だなこの子は、確かに俺から見ても可愛いがそれをシラフで言えるメンタルは感嘆すべき物がある。

 

 まず何はともあれ自分の買い物を終わらせなくちゃな。

 

「それじゃちゃっちゃと終わらせるから、待っててくれ。付いてきてもいいがつまらないぞ?」

 

「ここに放置される方が詰まらないのでいきまーす」

 

 という訳で業務スーパーにガタイのいい兄ちゃんとゴスロリ少女と言う得体のしれない構図が描かれる事になったのだった。あ、ちなみに帽子かぶってるからスキンヘッドは見えてないぞ? よく見たらわかるかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 必要な物をどんどんカートに放り込んでいく。

 

 皆沢山食べるからな、量もかなり必要なんだよ。隣では自称あーちゃんが「マジかよ」と言わんばかりの表情でカートに積み上げられている材料を見ている。

 

「これ全部お兄さんが作って食べるんですか?」

 

「俺も食うけど、大体は練習用とか配る用だな。いろんな知り合いに配ると喜ばれるんだぜ?」

 

「スイーツ系男子・・・マジかー」

 

 ゴスロリ少女が信じられないって顔で見ている。

 

 うんまぁ、慣れてるよ。似合わないしな。これがクレアやショコラたちだったらお似合い・・・いや無理だな、ギャルがケーキ作る姿が想像できん。やはりここは我等がテルクシノエーだな、後はサイレーンも可能。

 

 ちなみにミューズの二人は召喚していない。

 

 普通に呼びだしても、ふつうは人に見えないんだが、プレイヤーにはばっちり見えてるからな、おいそれと呼び出せんのだわ。後、教えてもらって普段から俺もやってるんだが、【見えるように召喚】するのも可能だったりする。

 

 というかサイレーン達だけに買い物に行かせてるのに見えませんじゃあ話にならないからな。この辺りは基礎知識って事で俺も直ぐに覚えて使えている。特に何か消費する事もないぞ。

 

 やり方は呼び出す時に【通常召喚】から【顕現召喚】にするだけだ。

 

 顕現召喚は単純に普通の人間にも見えるようになるっていう召喚方法で、普段使いの時にやる方法だな。ステータスとかに一切の変化はないぞ。

 

「失礼なゴスロリ少女だなぁ」

 

「斬新でしょ? 新機軸ってのを目指してるんですよ。でもケーキ作ってるパティシエさんって男性も多いですし、今更ですよね」

 

「はいはい、ありがとさん。さて終わったからレジ行ってくるわ」

 

「いってらっしゃーい」

 

 買うものも買ったのでさっさとレジに行く。

 

 最近はセルフレジも多くなったな、時代の移り変わりって奴なんだろうかね。そのうち完全に無人とかになるのかもしれないな。

 

 商品のバーコードを通していく。金額は既に5桁を軽く超えている前は結構な買い物だったから勇気も必要だったんだが、今はポイントでどうにでもなるからなぁ・・・1万円1ポイントだし、生活においてはかなり潤ってる。

 

 精算が終わり、後はこれを車に運ぶだけなんだが、彼女が行きたい場所は車で行くと逆に遠いんだよな。さっさと車に詰め込んで送るとしますかね。

 

「待たせたな」

 

「ん、大丈夫ですよ、頼んでるのはこっちなんですし。あ、少し持ちましょうか?」

 

「そりゃ助かる、車に詰め込むから手伝ってくれ」

 

「はーい」

 

 彼女には軽いものを持ってもらい、駐車場に向かう。

 

「それにしてもあっちに用事は良いんだが、何かイベントとかでもあるのか?」

 

「?? 何でですか??」

 

「いや、そういう格好してるのを見ると、コスプレ関連のイベントに見えてな」

 

 これが普段着だったら勇者だぞ彼女は。

 

「んー、ある意味ではイベントかもですねぇ」

 

 少し言い淀む少女、余り突っ込まない方が良いだろうな。

 

 それから俺達は車に向かい荷物を全部車内に積み込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、改めていくか。◎◎のコンビニ近くまでは送ってやるよ。後はコンビニの人に聞けば道もわかるだろ」

 

「助かりますー。ってか車で行かないんですね?」

 

「見知らぬ他人の車にほいほい乗ろうとするかね?」

 

 危機感なさすぎないかこの子? 

 

「大丈夫ですよ~。こう見えても人を見る目はあるので。その点で言うとお兄さんは合格です」

 

「節穴じゃない事を祈るよ。んじゃこっちだ」

 

「はい♪」

 

 業務スーパーを出て俺達は街中を歩いて行く。

 

 平日の昼間でもやはりこの時間は人が多いな、流石に学生は居ないが。

 

 目的地まではここから歩いて20分もかからない。寧ろそんな距離をここまで道に迷うのは逆に凄いな、土地勘がないのか、この辺りに初めてきたのか。

 

 イベントに近いものって言ってたし、他の場所から来た可能性が濃厚だな。

 

「お兄さんは今日はお休みです? それとも無職??」

 

「お兄さんは今休職中です。無職はやめよう、心に刺さるからな?」

 

 俺もなぁ、平日なら作業現場に出て重機動かして汗水たらしてたんだがな・・・こう毎日が日曜日な状態だと、全て終わった後に再び働けるようになるか心配だよ。やる気が失せて働かなくなる可能性もあるしな。

 

 現に、ある程度ミッションでポイント稼げばせこせこ働かなくても遊んで暮らせるだけのポイントは手に入るしなぁ。

 

「いい天気ですね~。どうです? こんな可愛い僕と一緒にこんな時間からデートできて?」 

 

「道案内してるだけであってデートじゃあないんだがなぁ」

 

「大丈夫ですよ、この後途中でカフェで奢るって約束しましたし? ほらデート♪」

 

 ころころと表情が変わる彼女を見てると、思わず自然と笑みがこぼれてしまう。こういう所が男にモテる秘訣って奴なんだろうな。なんと言うか距離感がとても近い。

 

 俺にサイレーン達がいなかったらつい誤解しそうになるほどだ。もしかしたらこの子俺に惚れてるんじゃないか? なんて軽く誤解出来るほどには、態度も距離感も近すぎる。

 

 そういう性格なのか、わざとやっているのか。このゴスロリ少女、その気になれば男を簡単に転がせそうだよな、結構イイ性格もしてるし。

 

「もちろん奢ってくれるんだよな? 道案内のお礼に?」

 

「くっ、やはりそうきましたね。仕方ないですね、可愛い僕が奢ってあげましょう」

 

「よし言質とったな。言っておくけど俺は沢山食うぞ?」

 

「おねがいします、僕のお財布には限りがあるので、特大ラーメン20人前とかはやめてください」

 

「お前さん、俺を何だと思ってるの?」

 

 俺はどこぞのフードファイターじゃあないんですよ?

 

 そりゃケーキなら1ホールは軽く行けるが、それ以上はきついしラーメンもチャーシュー麺大盛りを食べれば腹いっぱいです。

 

「ふふ、お兄さん結構ノリがいいですね」 

 

「俺は寧ろこんな愉快なゴスロリ少女を見るのが初めてだよ」

 

 俺の知ってるゴスロリ少女とかは大体不思議ちゃん系とか、ツンデレとかそういうキャラが多いっていうかそれしか知らないが、こんな愉快な天然系ゴスロリ少女って言うのは初めて見たよ。

 

 そんな下らない会話をしながら目的地まで歩いて行く俺達。

 

 そういえば、この先の◎◎地区は確か流川が働いている会社があったなぁ。結構大きい会社で、営業コンサルタントって奴だったか? 俺は社会人になってすぐ土木作業員になったからサラリーマンとかそういう系の仕事って今一よくわからないんだよな。

 

 ぎりぎり事務員さんとかがパソコン向かって色々作業して大変だな~程度しか知らないんだが、流川はよく契約を取ったとか、業績1位を維持するのも大変だとか言ってたが、俺だとパンクしそうだなぁ、そういう会社に入れても。いや無理か、そういう場所はちゃんと大学とか行って、まともに勉強して色々学んでいないと無理だろうしな。

 

 この戦いが終わってもし、俺にまだ働く意欲があったとしても、俺にできるのは親方の所の作業員か、誰でも出来るっていう清掃員か警備員位だろうな。

 

「後はここを真っすぐ歩けば左側にコンビニが見えてくる。そこからが◎◎だな」 

 

「うわー・・・こんな近場だったんですね。道に迷うにも程があるなぁ僕ってば」

 

「方向音痴とかは仕方ねぇさ。んじゃ」

 

 彼女は俺にコーヒーか何かでも奢ろうとしてるみたいだが、正直この程度で奢ってもらうつもりはない。目的も終えたしさっさと帰ってスピネル達にケーキの指導を、と踵を返したら服をぎゅっと掴まれた。

 

「んじゃ。じゃあないんですよ。これからデートなんですから勝手に終わらないでくれません? 訴えますよ? 北極警備隊に」

 

「なんで北極警備隊とか出てくるんだよ!?」

 

「気にしちゃいけませんよ。という訳で丁度そこにフライドチキン食べ放題って書いてるお店ありますし、寄って行きましょう。お礼に奢らせてくれないと、可愛い僕が盛大にいじけますよ?」

 

 彼女が指差す方向には丁度これからフライドチキンの1時間食べ放題キャンペーンが開かれている店があった。結構客も入ってるみたいだが、時間待ちなどはなさそうな場所だ。

 

「しかしなぁ、この程度で奢ってもらうのは」

 

「何を言ってるんですか、謙虚な所もそれなりに魅力的ですが、今は黙って奢られてください。というか僕もフライドチキン食べたいんで、一緒に巻き込まれてください」

 

「ぶっちゃけたなこのゴスロリ娘」 

 

 お前さんも食べたいんかい。

 

 とはいえ俺も実は結構腹が減ってきてた、仕方ねぇ・・・折角の好意だし奢られる事にするか。

 

「わかったよ。んじゃ奢ってもらおうかな」

 

「それでこそですよ。さ、食べに行きましょう」

 

 俺は彼女に手を引かれて、店の中に入ったのだった―――

 

 

 

―70話了

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