異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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生き残れば勝利、勝利すれば生き残る、やったぜ。

 

『道はある程度確保、細工は流々、後はこのまま』

 

 弾除けゲームのような状況の中で指示された通りに動くカストロだが、完全に避けきる事は他に敵も居る上では不可能に近く、何度も殺されては復活し、準備を整えていた。

 

 ディーヴァがポルクスに目を奪われている間に、出来る限りの仕事を終わらせなくてはならない。これが失敗に終わればマスターである流川が死ぬ事になる。手抜かりは許されない。

 

「っ・・・!? うぐっ!!」

 

【ディヴァたん! ディヴァたん!!】

 

「ほんと、ふっざけんな!!」

 

 弾丸の回避に集中していたせいで、黒い巨人の一撃が直撃する。とっさに左腕でかばうが、耐え切れず左腕が吹き飛んでしまった。ごろごろと転がる左腕を無視して右手のみでディオスクロイを振るい、巨人を弾き飛ばす。

 

 千切れた左腕を回収する事はせず、自分の首を掻き切るカストロ。

 

 死亡した瞬間、ポルクスが生きている為、即座に復活を果たした。その時に千切れた左腕は元通りに再生している。彼方にも千切れた腕が転がっているが、それを見てカストロが心の中で【これで二つ】と呟いた。

 

 周囲から襲ってくる巨人をギリギリで回避しポルクスの救援に向かうが、直ぐに道を弾丸と巨人に塞がれ、仕方なく回り道をして合流しようとする。だが、それを相手が許してくれる筈もなく、徐々に追い詰められてしまう。

 

 スキルを発動し周辺の巨人を吹き飛ばすが、弾丸までは消す事が出来ず、今度はそれが足に直撃してしまう。気を失いそうな程の激痛と倦怠感が襲うがこれまたすぐにその足を刈り取った。

 

 バランスを崩し転倒するが、お陰で意識は残っている。そのまま全力を振り絞り再びの自殺。間を置かずに復活するが、敵は容赦なく襲ってくる。

 

「ポルクスの援護がないからきついなぁ・・・」

 

 ディーヴァに向かって夜叉の様に無数の斬撃をまるで結界の様に展開しながら弾丸や巨人たちを切り捨てているポルクス。しかし地力ではやはり劣っている為、倒す事は出来ても中々ディーヴァの所には辿り着けていない。

 

 それでもディーヴァがポルクスを集中して狙わないといけないほどには確実な脅威になっている。お陰で指示通りに動く事が出来ている。彼も闇雲に動いている訳ではない。ポルクスを支援するというように見せかけてやる事をやっていた。

 

 まだディーヴァには気付かれていないようだが、バレるのは時間の問題だろう。

 

「後3回・・・上手く行ってくれよ・・・」

 

 そう呟かずには居られななかった。

 

 流川達が決死の作戦を開始している中、ディーヴァもこちらはこちらで焦りを感じていた。まさか後方火力キャラかと思っていたジェミニの片割れが、もう一人を遥かに凌駕する戦闘力で此方に向かって突き進んでくるのだ。

 

 向かわせているファンクリーチャーが強化されているのにも関わらず足止めする事しか出来ていない。寧ろ徐々にこちらに向かってきているのだ。おおよそレベル4に出せる戦闘力ではない。

 

 恐らくは固有のスキルで時間制限があるタイプだろうが、その効果が切れるまで耐えきれるかという状況だ。お陰で後ろで何かやっている流川とカストロに注意を払う事が出来ずにいる。全力で歌のスキルを使い、弾幕を張りながら少女の攻撃が終わるのを待つだけだ。

 

「・・・ほんとに強いなぁ。このままじゃ押し切られるかも・・・」

 

 焦ってはいるが、それは自分が倒される事ではなく【全力】を出さないといけないかもしれないと言う事に関してだ。彼女は確かに強い、このままでは押し切られる可能性もあるほどには驚異的だが、ディーヴァもまた本気は出していなかった。

 

 本気を出せば相手を【殺してしまう】可能性があるからだ。

 

 試しに来た相手を、やばいからと殺してしまうのは本末転倒だし、リジェクションが喜ぶ様な結果にはしたくない。かと言ってこのままではこちらが危険だと歌いながらどうするか考えている。 

 

 現状でのジェミニの評価は【確実に強者】だ。

 

 レベルが同等なら勝てる可能性は低いだろう。レベル差と状況で押しているが、油断すればこのレベル差でも容赦なく殺される実力が相手にはある。スレで色々見ていた事もあるが、大体はフカし程度だと認識していたが改める必要があるようだ。

 

 つくづくリジェクション程度が勝てる相手ではないと思える。自分とリジェクションが戦った場合、ほぼ安定して自分が勝つことが出来るだろう。あれは相手を甚振る事しか考えておらず、戦闘はソウルギアに任せているタイプだ、あれならばレベル差があっても余裕で勝つ自信がある。

 

 そんな自分がこのジェミニに対しては本気で向かわないと負ける可能性がある。この時点ですでに評価は満点だ。後はどうやって終わらせるかと言う所だろうか。

 

 何にせよあのポルクスを止めれば勝つことが出来るだろう。全力を出さずに止めきるのは難しいので相手の息切れを狙うしかない。

 

「さて――――ふぁっ!?」

 

 それに気付けなかったのは彼女の怠慢か。ポルクスの羅刹の如き活躍か。彼女はどのように適当にこなすかを考え、流川は必死に生き残る術を手繰り寄せていくその差が結果として現れる。

 

「ポルクス! もういいよ!!」

 

「殺すころ――――うっく・・・きもぢわるい・・・!」

 

「とまっ・・・って、えぇ!? 周囲に結界!? いつの間に!? ・・・って!? 何あれ!?」

 

 カストロの言葉でポルクスの動きが止まる。全力を出し過ぎたのとスキルの反動で頭がふらふらしているが、直ぐに気を取り直した。

 

 そして周囲に自分達を多く結界が発動している事にディーヴァが気づく。何かしらのスキルを発動したようには見えなかったが、よくよく周りを見まわせば、とんでもないものが結界の基点になっていた。

 

 それは先ほどカストロが攻撃時に千切れた手や斬り落とした足。それが計五か所、一定間隔で置かれている、それはまるで五芒星の様に。

 

 発動した結界は赤い電撃の様なものが耐えずスパークしている、まるで今にも爆発しそうな程に。ばら撒かれている魔力弾が結界に命中する度、そのスパークがますます激しくなる。危険を感じたディーヴァがすぐさま魔力弾をかき消した。

 

「あ、あのー・・・これってまさか」

 

「さて、なんでしょう?」

 

「これ、痛いんだからほんと勘弁してよねぇ・・・」

 

 冷や汗が止まらないディーヴァ。限りなく嫌な予感がしているがその予感は大当たりだ。

 

「Sレアスキル【爆裂結界】衝撃を与えれば与える程、結界に魔力が宿り、最終的には内部の存在ごと大爆発を起こす」

 

「や、やっぱりー!?」

 

 魔力弾をかき消した為、漸く回避の必要がなくなった流川が結界に向けて銃を突き付けている。

 

「ちょ、ちょま――」

 

「何もさせませんし言わせません――!!」

 

 ディーヴァが何かする前に流川が結界向けて銃弾を連射する。それが起爆剤になり、中に居たディーヴァとポルクスごと大爆発を起こした。爆風がカストロも巻き込みつつ形成していた極大結界を破壊する。

 

 轟音と暴風が周囲を吹き飛ばし、勿論近くにいる流川もその爆風に巻き込まれるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぷはっ!? し、死ぬかと、死ぬかとおもったー!?」

 

 大爆発が発生する直前に【バトルオーラ】をギリギリ発動させる事で、なんとかダメージを受けずに済んだが、周囲を巻き込んだ爆発のせいで思うように動く事が出来ず、その場で蹲るしか出来なかった。

 

 周りの被害は極大結界がなんとか吸収してくれたようで、地面が爆発で抉れている以外は大きな被害はない。地面がそのまま爆心地跡になっているがそこまではどうしようもない。

 

 あの爆発時、ポルクスは爆発に巻き込まれて死亡していたが、カストロは結界の外に居たので吹き飛ばされただけで済んでいた。つまりジェミニは死んでいないだろう。爆風に巻き込まれただろう流川の姿もない。

 

 あれで死んだという事はないだろう。まんまと逃げられてしまったのだ。まさか自爆まがいの方法で味方、というかソウルギア事自爆させて、その隙に逃げるとはディーヴァも考えていなかった。あそこで逃げを打った所も懸命だ。

 

「一歩間違えてたら自分も死んでた手段とか、とんでもない事やるもんだなぁ・・・僕も流石に焦ったよ・・・」 

 

 どんな手段を用いても生き残るその生き汚さは驚嘆すべきものだ、生きてさえいれば次がある。次があれば勝てる可能性がある、勝てないのなら逃げ続ければいい、生きていればいつかはどうにかなるのだから。

 

「試しに来たけど、寧ろ僕の問題点が浮き彫りになったなぁ・・・まだまだプレイヤーキラーとしては未熟かぁ。先生みたいな仕事人にはまだまだ遠い」 

 

 これが先生と慕う男だったら、一瞬で終わっただろう。

 

 試すのも一瞬、見極める事も彼には容易い。彼ならばジェミニをどう判断するだろうか。既にジェミニに対して彼の興味は高まっている、今回の事を伝えれば更に期待するかもしれない。それはそれで可哀想だなぁと思うが、運命と思って諦めてもらうしかない。

 

 気が付けばこちらに向かってくる気配がいくつかある。結界で防音していたとはいえあれだけの爆発、極大結界すら吹き飛ばしたのだから音も流石に漏れただろう。面倒な事になる前にこの場を急いで離れる事にした。

 

「これ話したら先生喜ぶんだろうなぁ・・・けほっ。うぅ、折角の服がぼろぼろですよ」

 

 流石にあの爆風を防御スキルで防いだとはいえ、その全てを防げるわけではなく、着ていたゴシックロリータの服がボロボロになっていた。流石にもう服の体を為していない、ぎりぎり布みたいな状態になっているのでこの姿を誰かに見られでもしたら面倒な事になるだろう。

 

「寧ろ僕が先生に怒られるかもしれないなぁ・・・うー、色んな手段で戦ってくる相手かぁ、まだまだ経験不足って事かぁ」  

 

 ディーヴァ自身、まだまだプレイヤーキラーとして、いやプレイヤーとして未熟だと思っている。今回は完全にしてやれらた、もう少し全体を把握出来れいれば、スキル構成を見直していれば、殺さない様に全力を出す事が出来れば、まだまだ学ぶことが多い。

 

「でもこれで、リジェクションが他にプレイヤーキラーに殺しの依頼を頼んでも、ジェミニは隠れてるから見つからないかな。うんうん」

 

 これで明日からも普通に仕事に来ていたらそれはただの愚か者だ。今回の事で流川も狙われている事を理解しただろうし、表の仕事を捨てる事を考えたはずだ。そうすればリジェクションが持っている情報だけではジェミニを探す事は至難、結果、依頼人であるあの男に対しての嫌がらせも出来るという訳だ。

 

「巡り巡って、ジェミニの恩人さんって事に・・・ならないよねぇ。さて、どこかで着替えて戻ろうっと。お腹空いたしフライドチキンとかコンビニで買おうかな」

 

 そう言うとディーヴァは夜の闇に消えて行ったのだった。

 

 

―75話了

 

 

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