異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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さぁ、生存戦争のお時間です。

 

 ラストミッション。

 

 シーズンの終わりに開かれるその名前の通り最後のミッションである。基本的に難易度が高く、報酬がとても多い事が特徴だ。そして以外にもプレイヤーの参加率はとても高い。

 

 勿論死亡率は高いが、それに見合ったリターンがあるのが特徴なのだ。小難しいクエストなども出てくる訳ではないので、緊急ミッションなどに比べればはるかにマシで、報酬も多い。

 

 稼ぎたいプレイヤーや休みを取り過ぎて後がないプレイヤーなどはこれに参加して生き残る事が出来れば大体帳消しになるというのも参加率が高い理由だ。

 

 逆に基本的に安全第一なプレイヤーはこの日の為にこつこつとミッションをこなしてラストミッションを回避するというものたちも居る。ディザスター側としても普段真面目にゲームをしているプレイヤーに対して理不尽な真似はしない。

 

 基本的に理不尽の権化の様なデスゲームの主催者ではあるが、積極的に参加しているプレイヤー達には寛容である。故にプレイヤー達は余程の臆病者でもない限りはミッションに参加するのだ。それはまるで飼いならされているかのように。

 

 ディザスターの目的は人間を使った遊戯だと言われている。

 

 やっていること自体は人間を使ったデスゲームではあるが、ちゃんとクリア方法もあるし報酬もある、ガチャもあればイベントもある、専用の施設も買えたり何でもできるようになる。

 

 それは、人間達に何を求めているのだろうか――――

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

―レベル:3~4クラスミッション会場

 

 そこには既に何十人と言う数のプレイヤーが集まっていた。

 

 今回のミッションはレベルに応じてランク訳されており、開催場所も普段のミッションに比べて発生個所が少ない為、他の地区等から適正レベルのプレイヤー達が挙って集まっていた。

 

 少し早めに来たと思っていた御堂達だが、ミッション会場に侵入した瞬間その数に少々気圧された。見知らぬプレイヤー達があまりにも多かったからだ。

 

「こりゃ凄いな、イベント会場かよ」

 

「ラストミッションですからね。それにレベル3~4はプレイヤーの中でも多い方ですから、基本的に集まりやすいのでしょう」

 

 リバティが調べた限りでは、プレイヤーのレベル分布は以下の様になっている。

 

 レベル1~2:3割

 

 レベル3~4:6割

 

 レベル5以上:1割

 

 基本的にレベル5からは上澄みと呼ばれるレベルになる。御堂達の様にレベル6やら5やらと連続で会う事の方が珍しいともいえる。それもどちらも敵対してだ。

 

 プレイヤーキラーも平均レベルは2~4程度で落ち着いている。理由は簡単だ、その間に殺されたり、ミッション中に死ぬからである。プレイヤーキラーとはいえ、プレイヤーには変わりない、ちゃんとミッションに参加しなくてはディザスターに殺されてしまう以上、ミッション参加は必須である。

 

「ミッション開始になったらボスが出てくるんスか?」 

 

「レイド型のミッションは佐伯君の言う通りですね。大型、超大型のモンスターが出現してそれを全員で倒します」

 

「それだけだったらシンプルだが、そう上手く行かないんだろ?」

 

「僕自身、レイドタイプのミッションはこれで2回目ですので、何とも言えませんが、レイドボスはダメージを与える程、攻撃が激しくなったり耐性が変わったりするので厄介です」

 

「まさしくゲームのレイドボスだな」

 

 自分が遊んでいるアプリに出てくる大型ボスみたいな奴だなと嘆息する御堂。

 

 何十人と集まって莫大なHPを持つ大型ボスを攻撃して報酬をもぎ取るそれをまさにリアルにしたようなものだと小さく零した。

 

「あ、わわわわわ・・・人が、人が多い・・・」

 

「・・・・リバティ落ち着いて」

 

 戦闘開始前に既にリバティが戦闘不能になりつつあったが、それ以外の全員は意気揚々とは行かないまでも準備は完全に整えている。御堂も流川の助言などを頼りに手に入れたスキルなどをセットしていた。

 

「レイドボスは攻撃も苛烈ですが、その性質上、誰かを狙って攻撃するという事がありません。基本的には周囲に居る全体に攻撃するタイプです」

 

「・・・・あ、それ私も調べた。近くに居る奴、こ、攻撃してくる奴が一番対象にされやすくて、一定以上離れてたら、そこまで攻撃来ないって」

 

「成程な。後方支援や遠距離攻撃タイプは比較的安心って事か」

 

「俺。いや拙僧は前にでるタイプだから気を付けねばな」

 

 御堂パーティの中で前衛を張るのは御堂、流川、ジェミニ、佐伯、羅漢、アクセル、バンカーの8名。

 

 後列はサイレーン、テルクシノエー、ショコラ、クレア、スピネル、リバティ最後にハルペーと此方は7名。

 

 ハルペーは一応前衛タイプではあるが今回のミッションではレイドボスとのレベル差があるので後列からの攻撃や支援がメインとなる。

 

 クレアは中衛でそこまで戦闘力が高い訳でもないので後列に下げて後列の仲間の得援護に回る事になった。クレア自身は御堂の傍で戦いたかったのだが、御堂に皆を護ってくれと言われれば否とは言えなかった。

 

「っしゃあ! 腕が鳴るぜ!!」

 

「・・・佐伯は暑苦しい。と言うかそろそろバトルネーム考えろ??」

 

「そう言うの思いつかなくてよぉ。ま、俺はこのままでいいさ」

 

 気にする事もない佐伯。彼としては尊敬する流川がバトルネームをあまり名乗らないのでそれをリスペクトしているだけなのだが。

 

「ん? 流川どうした・・・!?」

 

 流川がとある方向を見て動きが止まった。

 

 どうしたのだと御堂が話しかけ流川の目線の先を見た瞬間、動きが止まる。

 

「やぁ、こんばんわっス。今日はよろしくッスよ」

 

「・・・・・ひっ!?」

 

 リバティが本気で怯え御堂の後ろに逃げ込んだ。

 

 そこにはここに居てはいけない筈のプレイヤーが居た。

 

 プレイヤーキラー【リジェクション】前回の防衛ミッションでラスボスを務め流川がギリギリ何とかしたあの男が自然体で立っていたのだ。

 

「てめぇ・・・!? 何でここに居やがる・・・!!」

 

「酷いっすねぇ? 自分だってプレイヤーっスよ? ミッションに参加して何が悪いんスか?」

 

 御堂の言葉に対して馬鹿にしたような態度で反論するリジェクション。

 

 彼の言う通り、プレイヤーキラーとはいえプレイヤーに変わりはない以上、ミッションに参加するのは何か問題がある訳ではない。だが、前回あれほど盛大にやらかして尚、堂々とプレイヤーとして参加しているその姿に恐怖を感じる。

 

「貴方はレベル6のプレイヤーキラーだった筈では??」

 

「・・・・は? 別に簡単な所に来てもいいだろうがよ? ダメなんすか?」

 

 御堂に話していたのとは違い、流川に対してはあからさまに怒気を放つリジェクション。勿論流川達が思っているように、素直にプレイヤーとして参加しに来た訳ではない。

 

「安心していいっスよ? 今回はちゃあんとプレイヤーとして参加してるだけっスからね? 頼りにしてもいいんスよ?」

 

「それは頼もしいですね。では全力で頑張ってください」

 

「・・・ちっ。ほんとスカしてむかつく野郎っスね・・・」

 

 流川を睨みつけながらリジェクションは他のプレイヤー達に紛れ込むように離れて行った。

 

「・・・・ふぅ。予想外でしたね、あそこまで短絡的だとは」

 

「口調からして三下っぽいんだ、レベルと人格ってのは比例しねぇだろ」

 

「何にせよ攻撃中に狙われる可能性もあります、対策が必要になりましたね」

 

 レイドボスだけではなく、リジェクションが何かしてくる可能性に対しても気を付けなくてはいけなくなったが、相手もこれだけのプレイヤーが居るなかであからさまに攻撃は出来ないだろうと考える。

 

「ま、周りの奴らにあいつがプレイヤーキラーだって教えないのか・・・!?」

 

 リバティが流川にもっともな事を言う。

 

 あの男がプレイヤーキラーだとバラしてしまえば、リジェクションも満足に動けない所か他のプレイヤーから攻撃される可能性だってあるだろうと考えたのだ。

 

 これだけの数が居る中でプレイヤーキラーとばれればただでは済まない。しかし流川は「その後の事」を考えてその案を飲む事が出来なかった。 

 

「そうしたいのはやまやまですが、それをした瞬間に狙われる可能性もあります。最悪はバラして協力を願うかもしれませんが・・・」

 

「・・・プレイヤーキラーが奴だけとは限らない、だな?」

 

 アクセルの言う通り、ここには何十人ものプレイヤーが参加している。その中の全員が全員普通のプレイヤーであるとは言えないのだ。もしかしたら仲間を連れてきている可能性もあるし、下手に不和を持ち込むとレイドボスの時に厄介な敵をさらに増やす事になる。

 

 もしリジェクションがプレイヤーキラーだとばらしてしまえば彼は直ぐに行動を起こすだろう。流川達を狙ってくるか、他の弱いプレイヤーを殺していくか。どちらにしても折角のレイド戦の戦力が大きく減る事は間違いない。

 

 そうなればクリア出来るかもしれないミッションがクリア出来なくなる所か、戦力が足りなくなって詰む可能性もあるのだ。

 

 時間があるのならいっそここから撤退してレベル1~2のボスのミッションに向かう手もあったのだが、今からでは流石に間に合わない。

 

「彼もプレイヤーである以上、レイドボス討伐には参加するでしょう。その間に何とかして対処方法を考えないといけませんね」

 

「マスター。あいつのソウルギアが見えない。何処かに隠れてるかもしれないよ」

 

「確かに・・・彼のソウルギアは人型でしたね」

 

 話し掛けに来たのはリジェクションだけであり、彼のソウルギアは周囲には見えなかった。まだ召喚していないのか、それとも隠れているだけなのかは現時点では判断できない。

 

「性質が悪いな・・・流石プレイヤーキラーだぜ・・・」

 

 ハルペーもリジェクションの姿は遠目で見ているので直ぐにあの男がプレイヤーキラーだとは判別出来た。同時にあの男がアクセルを半死半生にしたのも覚えている。

 

 味方なら頼りになる存在だとは思うが、あの様子では絶対に仲間になる所か、事故を装って此方を攻撃してくる可能性の方が高いように見えた。

 

「油断出来ねぇな・・・御堂サン。流川さんの事頼んます。俺等はレイドボスに集中するんで」

 

「あいつは俺の事も睨んでたからな、なんとかやってみるさ。どこまで役に立てるか分からないけどな」

 

「・・・・もう少しでミッション開始なのに、なんであんな面倒な奴が・・・!」

 

 今回のミッション、一筋縄ではいかない所か、味方の振りをした最悪な敵が居る状態で戦わなくてはいけなくなった御堂達だった。

 

 

―83話了

 

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