異能大戦ソウルギア   作:あさねこ

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ディザスターには一つだけ確かなものがあるとか?

 

 プレイヤー達から離れた御堂達だったが、そこにも少しずつ増えているレイドボスの姿が見える。彼等は積極的に襲ってくることもなく、彼等が走っていく様をコントをやりながら見送っていた。まるで興味などないかの様に。

 

「流川。これからどうする・・・?」

 

「そうですね・・・彼等がボスを倒している限りは時間制限については気にしなくてもいいでしょう。僕達はその間に本体を探す方向にシフトするしかありませんね」

 

「やっぱりそうなるか・・・」

 

「マスター。報告があるんだ。即死効かないみたい」

 

「マジか・・・」

 

 戦闘開始時にサイレーンも可能性を信じて即死スキルを発動させていたのだが、ダメージは受けていたものの、即死する様子は見えなかった。一応曲がりなりにもレイドボスである以上、状態異常には無効化や耐性があるようだ。

 

「と、所で・・・あのナマモノの言う事、素直に信じていいのか?? 皆焦ってたかもしれないけど全員当然の様に信じてたんだが・・・?」 

 

「そ、そう言えばそうだな。俺もボスがそういうから素直に信じてたんだが、よく考えれば嘘って可能性が」

 

「それはありません」

 

「え・・・?」 

 

 流川が強い口調でハルペーと御堂の問いに答える。

 

「ディザスターは、色々最悪な運営で、やりたい放題やっているのですがたった一つだけ、そこだけは信用していいものがあります」

 

「・・・・ジェミニ・・・さん?」

 

「ディザスターは・・・運営はゲームに関して【誤情報】だけは絶対に流さないのですよ。寧ろ事細かにミッションの設定もアプリのミッション欄を見れば書いてあります」

 

「・・・・マジスか・・・」

 

 流川が改めてディザスターの運営について説明を始める。

 

 この中でそれなりに長くやっているプレイヤーであればなんとなく気づくか、自分で調べて答えに辿り着くのだが、ディザスターはプレイヤーに対してはどこまでも誠実に対応する。積極的にミッションに参加するのならば優遇措置もあるし、プレイヤーキラーの様な、運営側の望む通りに動くプレイヤーに対しては、リジェクションたちの様に運営側から依頼すら舞い込むほどだ。

 

 非参加者や、適当にやっているプレイヤー、成長の見込めないプレイヤーなどには辛辣だが、それはどこまでも【ゲームを楽しもう】としているディザスターの性質が見て取れる。

 

 そして分かった事は。ディザスターはミッションに関しては嘘はつかないという事。嘘情報を流して全滅などしてしまえば彼等にとってもつまらない結果になるのだろう。故にミッションに関してはどこまでも誠実に行っているのだ。たとえ難易度がふざけていたり、途中でどうしようもないボスが出てきたりしたとしても、それ自体はミッションの内容である以上、彼等にとって問題はない。

 

「リジェクションもプレイヤーキラーである以上、ボスが言っていた事が真実だと分かっているのでしょう。とはいえ確かに、他のプレイヤー達が半ば恐慌状態なのはおかしいです」

 

 扇動されたとはいえ、初心者からは脱却しているだろうプレイヤー達が挙って狂乱状態になっているのは解せない。リジェクションがスキルか何かを使っているのかと考えたが、改めて思えば御堂も佐伯もいつも以上に短期になっている点がおかしいと感じる。

 

「調べてみますか・・・その辺に居ますからね」

 

 直ぐ近くでムーンウォークをしつつ失敗して転んで動けなくなっていたレイドボスに対して【エンサイクロペディア】のスキルを発動させた。

 

 モンスターのレベルやステータス等を看破できるようになるスキルだが、相手が自分より数レベル上の場合は無効化されたり、見れても大した情報を暴けなかったりと、そこまで期待できるスキルではないが、こういう時は重宝する。

 

 

──────────────────────────────────────

【レイドボス:ハトメヒト】

【LEVEL:4】

【ステータス:パワー:0 マジック:0 ガード:0 レジスト:0】

【スキル:即死無効】

【スキル:精神系状態異常無効】

【スキル:発狂体】

【スキル:沁み込む真実Lv10】

【スキル:増えるハトメヒトLv10】

【スキル:伝染する熱狂Lv10】

【スキル:膨張Lv10】

──────────────────────────────────────

【スキル:沁み込む真実Lv10】

効果:このスキル所持者は嘘をつく事が出来ず絶えず真実のみを話すしか出来ない。

但し、その真実の言葉を聞いた対象はそれを【嘘】や【でたらめ】等と

疑う事が出来なくなる。それはレベルが高いほど、確実に成功する。  

──────────────────────────────────────

【スキル:増えるハトメヒトLv10】

効果:このスキル所持者が死亡した場合、レベルに応じた分の分身体が出現する。

それらは同じスキル、同じステータスを持つが、本体とはリンクしない。

このスキルは発動する度にレベルが上がり、最大レベルば9999である。

但し、スキル発動が起きない場合一定時間で徐々にレベルが低下し、1に戻る。

本体を撃破された場合、分身体は消滅する。

──────────────────────────────────────

【スキル:伝染する熱狂Lv10】

効果:このスキル所持者の会話を聞いたり姿を見ていた対象は徐々に精神的に

高揚状態となり、最終的には熱狂状態、錯乱状態になる。

精神耐性によってはある程度無効化される。

──────────────────────────────────────

【スキル:膨張Lv10】

効果:スキル所持者は一定のタイミングなどで急激に膨張する。

この膨張によってスキル所持者が死ぬことは無い。一度膨張した身体は

二度と元に戻らない

──────────────────────────────────────

 

 

「厄介すぎる・・・そのふざけた姿すらブラフみたいなものですか」

 

 エンサイクロペディアで看破したステータスは味方に見せる事が出来る。データを共有した相手には目の前に透明な画面らしきものが現れてそこにデータが載っているのが見えるのだ。ハイテクというよりは魔法の産物だろうか。魔法の【念話】を改造したようなものに近い。

 

「真実しか言えない・・って事はやっぱりあの魚が言ってたのは事実なんだな」

 

「データを見る限りではやはり本体は居るんだな。どこに隠れているのか、いっそ素直に聞いたら話してくれるんじゃねぇかな?」

 

「まさかそんな・・・」

 

 御堂の言葉に流石にないだろうと流川が答える。いくら謎の存在でもそこまで素直だったらギャグそのものだ。目の前で新体操を始めているレイドボスがいるので既にもうギャグそのものと言った状態ではあるが。

 

「マスター、どうする? 僕達で周辺見て回ってくるかい?」

 

「私達なら安全に見て回れると思うけど?」

 

 ジェミニ達がそう提言する。同時に死ななければ撃破される事のない二人ならば偵察にはうってつけだ。流川も出来れば二人に行ってもらいたかったが、そうなればこちらのパーティの大戦力が離れる事になる。今二人を向かわせていいのかリジェクションたちの動きを考えながら決めなくてはならない。

 

「どちらにしても時間はない、ですか」 

 

 手をこまねている時間はない。今も尚目の前のボス達が徐々に増えて来ているのだ。今はまだ【多い】程度にしか増えていないが、スキルを見る限り最終的には1体倒せば9999体増えるというふざけた状態になる。この結界内をレイドボスが埋め尽くすというのも冗談でもなんでもなく事実なのだろう。

 

「二人とも、ボスを探してきてください。何かあれば逐次僕に連絡を」 

 

「任せてパパっ! 行ってきます!」

 

「一定周期で戻ってくるから、念話宜しく」

 

 ポルクスとカストロがお互いに別れてボスを探しにむかった。これで同時に倒される可能性は大きく下がる。後は念話を入れて常時会話が繋がるようにした。

 

「俺達も俺達でボスを探さないとだな。今回のフィールドはそれなりに広い、どこかに隠れているだろうボスを見つけるのは骨だ」 

 

「・・・手分け出来ればよかった。あのプレイヤーキラーが居なかったら楽だったかもなのに」

 

 折角の人数を上手く行かせない事に苛立つアクセルとスピネル。出来れば分散して探すのが一番手っ取り早い、あそこで流川の説明が伝わっていたらもう少し楽に探せていただろうが、そう上手く行かないものだと溜息をつく。

 

「ごしゅ、あーし等も動こう? こっちは一度に四人動けるしさ?」

 

「リジェクションが追ってこないのは、あっちもあっちで焦ってるからかなぁ? まーちゃん、動くなら今じゃね?」

 

「と、いう事なんだが流川、俺達も探しに出ていいか?」

 

「・・・ちょ、ちょまっ!? 私は!? ケーキ屋!? 私は置いてかれるのか!?」

 

 別行動しようと流川に話し掛けると同時にリバティが必死な顔で自分を置いて行くのかと詰め寄ってくる。御堂としては流川達の所に居させた方が安全だという事で連れていく選択肢から外していたが、彼女は御堂の方に付いて行きたかったようだ。

 

 結構気心の知れた御堂や御堂のソウルギアならばある程度話せるようになってきた彼女にとって、ここで流川達の傍に置いて行かれるのは一人の方がマシなレベルらしい。

 

「いや、下手すると他のプレイヤーと鉢合わせになるかもしれんし、こっちにいた方が安全だろ?」

 

「だ、大丈夫・・・! てか、サイレーン達の武器、まだ強化してない! だからついてく!!」

 

「何故自ら危ない所に向かおうとするのか・・・?」

 

 サイレーンの鋭いツッコミが入るが、命の危険大+精神的安寧か命の危険小+精神的疲弊状態なら前者を取るのがリバティである。と言うよりは最早既に依存レベルになっている。

 

「こうしていても仕方ないですからね。僕と羅漢さん、佐伯君、スピネルさん、バンカー君で動きます、御堂君はアクセルさんと、ハルペー君、リバティさんを連れて行ってください」

 

「こっちの方が多くないか? 大丈夫なのか?」

 

「ソウルギアの彼女達を入れれば多いと思うかもしれませんが、ソウルギア使いはそちらの方が少ないです。どうか気を付けて」

 

「わかった・・・! 何かあれば直ぐに連絡してくれ!」

 

 こうしてジェミニ達の全体偵察、流川チーム、御堂チームと3パーティに別れてのボス本体探しが始まるのだった。

 

 

―87話了

 

 

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