ダンジョンジジイ 作:あご
「駄目かぁ何でだろ」
『何がぁ』
朝日を浴びながらお茶を飲んで一息付いてると、孫は今日もパソコンで何かと睨めっこをしてため息をついている。一体どうした。
「何がぁじゃないよ!ほら、最近何本か動画撮ってるでしょ?お爺ちゃんがダンジョンで知識を公開していく奴!"ダンジョンジジイ"って名前で更新してるんだけど」
『あ、ああ!それか。お前に全部任せてて忘れてた』
で。それがどうしたんだ?と孫の方を向くと困った顔をした。
『全く伸びないんだよねー。やっぱり、ダンジョン配信や動画って言うコンテンツは飽和してるから伸びないかぁ』
はぁ……。そりゃ大変だな。
煎餅欲しい。
「これからはお爺ちゃんのヒモになって生きようと思ったのに……何で伸びないんだろ?お爺ちゃんちゃんとカンペ読んでる?」
『読んでるよ。と言うか、そう言う事を言うならお前がやれば良いじゃないか。若い頃の婆さんに似て綺麗だし、その方が伸びる?だろ』
あ、ニャンゴロ。お前は煎餅は無理。ダメだって、馬鹿!
「分かって無いなぁ。美少女配信者なんてもっと飽和してるんだよ。今や、市内のプールみたいにギッチギチでさ、お爺ちゃんがダンジョン配信やったら伸びると思ったんだけどなぁ。所詮素人の浅い考えなのかな」
「……あ。そう言う事か」
パソコンを見ている孫が何かに気づいた様で声を上げた。
『ん?』
「あ、お爺ちゃん。私に任せてくれるんだよね?」
『ああ、任せるよ』
「ありがとう」
『もしかしたらお爺ちゃんの声、聞き取りにくくて伸びないのかも』
ボソッと孫がそんな事を言った様な気がしたけど、聞こえない振りをしとこう。
後日、孫がニコニコしながら家にやって来た。どうやら動画が伸びたらしく、孫の言う通りワシの声が聞こえにくいのと字幕を付けていないせいで尚更人を選ぶ物になってたらしい。まぁ、そう言うことは良く分からないが。解決法として、孫が副音声を入れる事で解決したとの事。
まぁ、兎に角ワシは気にせず動画を撮って来いと言われたからな。その通りしようと思う。
『今日もダンジョンから失礼します。ダンジョンジジイと申します』
本名は流石にダメだと言う事であかうんと名通りのダンジョンジジイを名乗る事にした。別に構わないと思うんだが、どうもダメらしい。
『今回は、孫に言われて目覚めの大森林に生息するゴブリンの安全な倒し方を見つけるまでの耐久動画?らしいです。それではどうぞ最後までご覧下さい』
目覚めの大森林は大きな森のダンジョンで、始まりの洞窟に比べてモンスターのレベルも種類も多い。
メリットも増えるが、もちろんデメリットも多い。が、何とか無事で簡単な攻略法がある筈だ。さぁ、探そうか。
痛む腰をさすって誤魔化しながら、周りを警戒してゆっくり歩き出した。