原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」 作:ゴーイングマイペース
俺のリーフグリーンでリーフちゃん♀ポケ統一旅の野望がああああああああああ。
※更新・修正履歴
2025/10/04
誤字修正。ご報告くださった不死身の機動歩兵隊様、ありがとうございました。
「校庭済」→「校庭隅」
○月○△日 9歳 マサラタウン マサラ小学校
『マサラ小学校所属 初心者用ふれあいポケモン ピカチュウ。……初心者用とは……?』
オーキド研究所でのちょっとした騒動から数日経った。
あの後、ピカチュウは俺の体を張った説得ときのみによる懐柔のおかげもありじっちゃんの治療を受け入れてくれた。
その後、じいちゃんの見立て通り1日とさほど時間をかけることなく回復したこともあり改めて野生に帰すかそれとも捕獲するかという話になったが、どうもピカチュウは頑なに野生に帰りたがらなかった。理由はわからなかったが、「恐らく1匹だけでマサラまでやって来たことと関係があるのじゃろう」とのじっちゃんの言葉もあり、今無理にトキワの森まで連れていくことは辞めることになった。
では捕獲しようという話になり、じゃあ誰が“おや”になるかという流れになったのだが、そこで1つ問題が発生した。
――――――――――――――――――――――――
数日前、ピカチュウが落ち着いた後のオーキド研究所内にて。
「ピカチュウ、ワシと一緒に来るか?」
「チュウ」
首を振る。じっちゃんは嫌らしい。
「俺様のポケモン第1号という栄えある称号をやるぜ!」
「チャア」
首を振る。グリーンはお断りらしい。
「……私は?」
「チャ」
首を振る。リーフは好みじゃないらしい。
「じゃあじゃあアタシね。たっくさん可愛がってあげるわよ!」
「チュウウ」
首を振る。ブルーとは音楽性が合わないらしい。というかいつ来たんだお前。
「あら、じゃあ私の番かな? ピカチュウちゃん、私はどう?」
「チュ……ピカチュ」
なんとここに来て一瞬迷った素振りを見せる……も、ダメ。でも一瞬とはいえ迷わせたのは流石現役トップポケモンコーディネーターであるナナミ姉ちゃんと言えるだろう。
「ピッカチュウ」
「ふむ、やはりレッドか。まあわかっていたようなもんじゃが」
一通りの勧誘を断ったピカチュウは、先ほどじっちゃん達に見せつけたという素早さを発揮して俺の左肩に収まり、頬の電気袋を俺の横顔に擦り付けてきた。
どうやら俺が良いらしい。これはトレーナー志望として冥利に尽きる……のだが。1つ問題がある。
俺はまだポケモン捕まえる為のトレーナー資格を発行してもらえないのである!
そう、この世界ではポケモンを捕獲するためにはポケモントレーナーの資格として“トレーナーカード”を発行してもらう必要があり、その最低年齢は10歳。この世界では公的に成人と見做される年齢が10歳からであり、それに合わせた形で法律が定められているのである。
前世の常識から中々に倫理観の狂った世界だと思わないでもないが、ポケモンという中々……いやかなりバイオレンスな隣人がそこかしこにいるこの世界では子供に対する保護者の手が足りなくなる事例が多々あるらしく、大人として最低限の責任能力、というより自衛力が求められるようになる年齢も低いのだ。
つーわけでピカチュウ、その気持ちはヒジョーに嬉しい。嬉しいけどまだ俺じゃお前“おや”にはなってやれないんだよ。
「チュウ……」
『えー、ヤダヤダ』みたいな顔をするピカチュウ。困った表情とヘタレた耳が非常に愛くるしいが、そんな顔をされても無理なものは無理なのである。
「いっそ野生のままで面倒見るんじゃダメなの?」
「それはダメよ、ブルーちゃん。いくらマサラタウンが田舎町だからとは言っても、ちゃんと人の管理下にない野生ポケモンを街中には置いておけないわ」
ブルーが「良いこと思いついた!」という表情で変則的ウルトラCを提案するも、あえなくナナミ姉ちゃんに一蹴されてしまう。そりゃそうだ、郊外の専用施設とか特別保護区域とかでも無い限り、いざという時に誰も責任のとれない野生動物を確信犯で放し飼いにしておくわけにはいかない。
どうしようか、という雰囲気になったところで――じっちゃんが鶴の一声を発した。
「ふむ、ではワシに任せなさい。流石にレッドに今の内からトレーナー資格を、などという横紙破りはさせられんがピカチュウにとってもレッドにとっても悪いようにはせん」
――――――――――――――――――――――――
「いけいけペルシアン、いいわよ、そのまま“きりさく”!……ってウソォーっ!」
というわけでブルーの悲鳴が今、マサラ小学校の校庭に響き渡っているんですね(メガトン構文)。
などと言っても訳が分からないと思うのでちゃんと説明すると、じっちゃんの提案は「ピカチュウをマサラ小学校に“ふれあい授業”用のポケモンとして飼ってもらおう」というものだった。
そう、先に記載したように、確かに10歳未満の子供はポケモンを所持できない。できないがそれはイコール“子供にはポケモンと一切コミュニケーションを取らせない”ではない。
むしろこの世界では、あくまで「10歳未満にポケモンを所持する資格を与えない」だけで「子供たちに“ポケモン”という生物について学ばせる」ことには非常に積極的なのである。
これもまた先に書いていたことになるが、この世界では何をするにもどこに行くにも“ポケモン”というのは切っても切り離せない隣人である。故に、大人たちは積極的に子供たちとポケモンを触れ合わせる。そしてその主な環境は教育現場……そう、小学校となる。
これには「成人時に最低限ポケモンに慣れていないと社会で使い物にならない」というこの世界特有の割と生臭い理由もあるのだが、それ以上に「子供に自衛のための基礎となる能力を身に着けさせる」という割と深刻な理由があるのだ。もちろん法律上、無責任に子供たちとポケモンにコミュニケーションをさせられないので、大人たちの監督の元という条件は必須だが。
ちなみにどれぐらい大人たちがこのコミュニケーションを重視しているかわかりやすく言うと、なんと国語や算数に並ぶ頻度で“ふれあい”が時間割に並んでいるくらいには重視されている。
そんなわけでピカチュウはじっちゃんの計らいによりマサラ小学校の預かりとなった。
こうすることでピカチュウは野生動物とは見做されず、しかしまだトレーナー資格を持てない俺が“ふれあい”の名目で存分にピカチュウの面倒を見ることができる。
もちろん小学校の先生他、大人たちの監視の下でという至極真っ当な条件付きになるものの、俺が来年卒業すれば自動的に俺のポケモンにしていいらしい。
まだピカチュウの事情が掴み切れていないのでそのまま俺と一緒に来てもらうかはわからないものの、この名采配は流石ポケモン研究界の権威と言ったところだろうか。流石ですオーキド博士、一生ついていきます!
ちなみに今はまさに“ふれあい授業”の一環で小学校所属の各種ポケモンと子供たちがそれぞれタッグを組み、子供たちが指示を出す形でバトルの授業をしている。俺はピカチュウと組み、ペルシアンと組んだブルーと対戦中だ。
といっても内容は簡単なもので、相手に先に一撃入れられた方が勝ち、というものなのだが……やはりと言うべきか、ピカチュウは凄まじかった。
「シャーッ!」
「チュウ……ピカッチュ!」
「ギャウッ!?」
『お前は最終進化系で俺は中間? そんなもん知るか』とばかりに持ち前のスピードで狙いを定めさせない。かと言ってスピード一辺倒というわけでもなく、ペルシアンがピカチュウへと“きりさく”で躍り掛かれば、その一瞬の呼吸の隙間を縫うかのようにゆらりと回避して距離を詰め、そこに俺がすかさず“でんこうせっか”を指示すればすれ違いざまにアッサリと決めてしまった。
正に圧倒的である。
ついでに言っておくとピカチュウがこの小学校にやって来てからこうして蹴散らしてきたのはペルシアンだけではなく、ストライク、ゲンガー、ケンタロスといったポケモン達の名前も並ぶ。なんなら自分の進化系であるライチュウにも自分から挑みかかり勝っていた。『まだだ、まだ足りない! まだ強くなる!』と言わんばかりの勢いだった。
なんだこいつ戦闘狂かなんかか……こわ……。
これは流石に異常だと思った俺は、ピカチュウ、そして対戦相手になったポケモンについて改めて調べた。
なお、その方法はこの世界のポケモン教本……などではない。あの
わけわからん難題を押し付けたことに対しての補填か何かか、なんとこのスマホ擬き、前世のポケモン廃人御用達攻略情報サイトレベルで各種ポケモンの情報や戦略が閲覧できるのである。これで勉強しろよ、ということらしい。
しかし、この機能を俺が知った時に一番欲したストーリー情報だけは影も形も無かった。
クソ邪神がよぉ! ありがとうございます、一生懸命勉強して使命とやらに立ち向かわせていただきます(憤怒)。
話を戻すが、アルセウスフォンの情報によれば、ピカチュウと相対した彼等はいずれもペルシアンと同様に素早さ種族値でピカチュウより上位に位置するポケモン達……の筈なのだがそれでもピカチュウは平気な表情で彼らを圧倒していた。
一応彼等の名誉の為に少し補足しておくが、どうもこの世界では最低限鍛え続けないとポケモンのレベルが徐々に落ちていってしまうらしいし、高レベル時に習得した技もその後磨いていなければその精度は陰っていく。なので普段から小学校でふれあい用ポケモンとしてぬるま湯に浸かり切っている彼等の今のレベルは精々ピカチュウとだいたい同じ辺りか少し上程度しかないので、その実力も外見相応というわけではない。
が、それでも種族値という持って生まれた格差は確かに存在する筈で、未だ低レベルのピカチュウが容易に連戦連勝できる相手ではない筈なのだが……これが才能の差というものだろうか。
恐らくこのピカチュウはゲームで言えば6Vとかそういう格を持って生まれた存在なのだろう。なんでトキワの森なんていう初心者ダンジョンでこんなチートピカチュウが生まれてんだよ。
試合終了後、俺とブルーは並んで校庭を隅に向かって歩いていた。ピカチュウはいつの間にか指定席になっている俺の肩の上である。
「あーもー、ピカチュウほんっとに強すぎ!」
「ピッカチュウ」
だよなぁ、正直俺いらないんじゃないだろうか。
ピカチュウを横目で伺えば、『ふふん』と言わんばかりのドヤ顔をしていた。カワイイ。
「レッドもレッドよ。なんであのタイミングで技の指示なんて出来るわけ? ピカチュウが“きりさく”を避けられるってわかってたの? アタシは『今度こそ絶対に決まった!』と思ったのにーッ!」
地団太を踏んで悔しがるブルー。そこはまあ日頃から鍛えているからとしか答えようがない。打てば響くかのように日々の努力に応えてくれるマサラの血に感謝である。
「なんでもかんでもそれで片付くわけないでしょ! 今のところアンタ以外に鍛えてるヤツでもピカチュウの動きに合わせられる動体視力と反射神経持ってるヤツなんていないのに!」
効果音がつきそうな勢いで俺を指差してきた。失礼な、そんな人を人外みたいに言いやがって。俺は唯のマサラ人だぞ。お前だって俺並に鍛えりゃ同じことできるようになるよ。
そんな感じで俺とブルーが喋りながら、というか俺がブルーからほぼ一方的に捲し立てられながら校庭隅の控え席に戻れば、グリーンとリーフも寄ってきた。この4人が俺のいつもつるんでいるグループである。
「ホントやべーよなあのピカチュウ。レベルもここのおままごとみてーなバトルじゃ大して上げられねーのにこの小学校でトップ層だったポケモン達をあっという間にごぼう抜きして1番になっちまいやがったし、やっぱじーさんの言ってた通りに並のピカチュウじゃなかったってことか。てかアイツ、卒業したらお前のポケモンになるんだもんな。いいよなーズリーよなー、やっぱ俺のポケモンにしてーなー」
グリーンがぼやく。そしてその後ろに座っていたリーフと、俺と一緒に戻ってきたブルーも同意見なのかうんうんと頷いている。研究所での騒ぎの時じっちゃんの後にすかさず立候補していただけあって、みんな俺が羨ましいらしい。
事情はみんな知っているから必ずしも俺のポケモンになるわけじゃないと知っている筈なのだが、それでもこのまま野生に戻らないとしたら俺のポケモンになるのは確定のようなものだからしょうがないのかもしれない。
てかグリーン、リーフ、ブルー、お前らだってあと1年無理じゃねーか。よくあの時立候補したな。
「うっせ、んなことわかってるよ。予約だよ、ヨ、ヤ、ク! 言うだけならタダだしな。ていうかあの状況でボケッと見てたらお前だけ今の内からポケモン持ちみたいなもんじゃねーか。そんなん黙って見てられっか」
「……レッドだけズルい」
「そーよそーよ、アンタがやる男なのはあの時見せてもらったけど、それとこれとは話が別よ! 1人だけ抜け駆けしようなんてズルいじゃない!」
三者三様に俺へと向かって非難轟轟である。なぜだ、俺別に何も悪くないよね?????
そんなやり取りをしつつも授業はその後も恙無く進行し、結局あの後俺とピカチュウはグリーンとユンゲラー、リーフとギャロップのコンビを下した。
もうこいつはピカチュウじゃなくてゴリチュウと呼んだ方が良いかもしれない。
○月○□日 9歳 マサラタウン マサラ小学校
『ピカチュウもおかしいけど、あの動きに平気で合わせてるレッドもやっぱ頭おかしい
(byブルー)』
ピカチュウがパトロールをしていたマサラ駐在のジュンサーさんとこのウインディからいつの間にか“こうそくいどう”を習ったらしく、さらに手が付けられなくなっていた。もう全部
・ふれあい授業とか基礎教養云々
・ポケモンは最低限鍛えていないとレベルが下がる
・ペルシアンが“きりさく”を使っているがピカチュウには通用していない。
技は鍛えていなければ忘れはしないものの精度は落ちていく
・ピカチュウが低レベルの筈なのに“こうそくいどう”を習得している。
レベル技は原作通りのレベルに達していなくても習得できる
上記4つは原作の設定ではないのでくれぐれもご注意ください。(念のため)
ちなみにピカチュウがやたら強そう、というか強いのにはちゃんとした理由があります。といっても大して難しいものでははないですが。
そしてレッドは