原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」 作:ゴーイングマイペース
さあ、次は24番道路でひかえめケーシィちゃんマラソンだ……。
×月○日 9歳 マサラタウン 自室
『10歳大人法』
この世界では10歳で成人と見做される。つまり10歳から大人として自分の意志で進路を決められるようになる。
なので小学校では就職の為の最低限の知識の習得が必須になるなど、この世界の義務教育は中々にハードだ。
といってもこんな教育体制で「卒業後すぐ即戦力求む!」などという無法な期待を小学校卒業したての10歳に向ける大人などまずいないので、専門的なことは入社してからゆっくり学べる。なんなら働きながら学校に通うことも可能だ。
随所に低年齢社会人に対する気遣いが見られる社会形態だが、正直「よく文明を発達・維持させられてきたよな」と思わないでもない。
でもそこは前世と違いポケモンという多方面に様々な形で役立つ生物が存在する世界だし、深く考えてもしょうがないのだろう。実際上手く回ってるんだし。
なお、当然のことだが皆が皆一斉に就職するわけではなく、純粋に進学する人達もたくさんいる。
普通に中学校に進学する人もより専門的な学校に進む人も様々だが、この中に1つ、この世界特有の面白い進路として“トレーナーズスクール”というものが存在する。
これは読んで字のごとくポケモントレーナーの為の学校で、主にポケモンのより深い専門的な知識やバトルを教えており、この学校を卒業する人達の多くが卒業の証である衣装を身に纏い、“エリートトレーナー”としてポケモンバトルの最前線で活躍しているのだ。
正直、将来ポケモントレーナーとして活躍することを志している身としては是非とも通ってみたい。
まあ俺にそんなこと許される時間は無さそうなんですけどね!
ファッキンアルセウス、ファッキン悪の組織。首を洗って待っていろ、ジワジワと嬲り殺しにしてくれる。
……などと腐っていてもしょうがないので、ピカチュウのトレーニングメニューを考えて気を紛らわせてから寝ることにした。
あーあ、早く旅に出てーなー。
×月×日 9歳 マサラタウン マサラ小学校 教室
『カントー小学生バトルトーナメント マサラ代表 レッド&ピカチュウ』
この世界における義務教育後の進路を色々紹介したが、じゃあ希望の道に進む為に10歳まで常に勉強漬けを強要されているかというと、別にそんな息が詰まるし効率も悪いマッポー世界というわけではなく、俺達小学生にも色々なイベントが用意されている。
「はい、じゃあ今年の『カントー小学生バトルトーナメント』のマサラタウン代表は投票多数でレッド君とピカチュウに決定しました! みんな拍手ー!」
「レッドおめでとー!」
「……おめでとう」
「ちぇっ、この俺様を差し置いて出場するんだから絶対優勝しろよ! 良いな!」
先生の掛け声と同時に、俺とピカチュウに向けた拍手の音が教室中から響き渡った。
そんなわけでわたくしレッドはこの度、マサラタウンの未成年代表として小学校時代最後の一大イベント、『カントー小学生バトルトーナメント』に出場することとなりました。イエーイ。
「ま、決まってみればこの学校のポケモンで一番強いピカチュウと一番ポケモンに詳しいレッドのコンビで当然の結果って感じよねー。グリーンだけは最後までしつこく諦めてなかったけど」
「うっせーぞブルー! 良いんだよ俺は来年あっという間に世界で一番強くなってチャンピオンになるんだから!! いいか見てろよレッド、俺もすぐお前みたいに完璧で最強なポケモンをたくさん捕まえてやるからな。そしたらお前なんかけちょんけちょんだぜ!」
「……グリーンの方が、うるさい……」
結果にどうしても納得がいかないのか、ブルーとリーフの2人に対して「ちくしょー!」と吠えるグリーン。
まあ正直俺も今回の結果については
ちなみに『カントー小学生バトルトーナメント』についてもう少しだけ詳しく説明すると、この大会はカントーに存在する10の町ごとに地区予選で代表校を決め、それぞれの代表選手10人が相棒となるポケモンを1匹伴いぶつかり合うバトルトーナメントのことである。
なお我がマサラタウンは自動的にこの学校が出場校で決定です。ド田舎のマサラに2つも3つも小学校は存在してないからね。仕方ないね。
なお注意すべきルールを挙げると
・小学校所属の低レベルポケモン1体のみを使用すること
・道具による回復無し
・持ち物無し
・どちらかのポケモンが“ひんし”になった時点で勝敗を決する
という、パッと見でもかなり制限の多いものとなっている。
これじゃあ大して面白いバトルにはならないと思うだろうが、実際この大会は実力を競うというより、どちらかというと成人前最後のお祭りというニュアンスのイベントなのでそこは大した問題じゃない。未成年に迫力あるバトルなんてそもそも求められていないからこそのルールと言える。
とはいっても、「この大会で優勝してトレーナースクール入学前から弾みをつけよう」というような箔付け狙いで出場するガチ勢の子なんかも毎年必ずいるのでそこまで盛り上がりに欠けるわけでもない。
なので総合すると、中身は大したことないけど割とカントー全体で盛り上がるイベントなのがこのバトルトーナメントなのである。
「ピッカチュウ!」
気合の入った声がしたので幼馴染組から我が相棒ピカチュウに視線を移せば、『やぁってやるぜ!』と俺の机の上で意気軒昂たるガッツポーズをキメている。しかも気が早いことに今から待ちきれないのか頬袋から若干放電までしていた。
しかしそんな様子からもどこか愛らしさを感じられるのがピカチュウという種のお得さなのか、周囲、主に女子から黄色い声が上がっている。
そしてピカチュウもそんな周囲の様子に満更でもない様子を見せてと、すっかり人間社会に馴染んでしまっている様子だ。出会った当初のバリバリ警戒心はすっかり無くしてしまったらしい。
「? チュ?」
俺が自分を見ていることに気づいたのだろう。「どうしたの?」と小首を傾げて俺の顔を伺うピカチュウ。
うーんカワイイ、モモンの実あげちゃう。
俺とピカチュウがじゃれ合っていると、一通り言いたいことを吐き出し終えたグリーンがある程度スッキリするの見計らっていたのか、ブルーが思い出したかように口を開いた。
「そーいえば聞いたレッド、今年のトーナメントはトキワシティで開催なんだって。アタシ達からすれば近くて行きやすいからラッキーよねー」
「……応援、お弁当作っていくから楽しみにしてて」
「ケッ、わざわざ応援なんか行かなくたって誰にも負けやしねーよコイツは。なんたって俺のライバルなんだからな。……まあ、一応見に行ってやるけどよ」
「気になるなら素直にそう言えばいいのに。ガキねー」
「んだとこの野郎! 上等だ表出ろ、バトルでどっちが上か教えてやる!」
「野郎じゃないもん、レディだもーん。ま、いいわよ。付き合ってあげる」
「……だから、うるさい……」
喧喧囂囂と(主にグリーン)やり取りしたかと思うと、教室を出ていく3人。ちなみに割りといつも見る光景だったりする。
何かあればポケモンバトルでけりを付ける。前世の常識からすると少々物騒かもしれないが、俺は好きだ。9年も生きてきて俺もすっかりこの世界に染まった気がするな。
などと自分の変化にちょっと思いを馳せている内に3人の姿が見えなくなってしまったので、俺達も置いていかれない内に行こうと席を立ちピカチュウを誘う。
が、何故かいつものように俺の肩に乗ってこない。というかなんか固まってしまっている気がするような……。
「……チュウゥ」
いったいどうしたのかと改めて様子を見ると、ピカチュウは視線をブルーの席に向け、気合を漲らせていたさっきとは打って変わった声をあげた。そこまで深刻というわけでもなさそうだが、どうも微妙に困っている様子である。
なんだ、ブルーがどうかしたのか。アイツなんか言ってたっけ?
――あっ、トキワシティ。
ダメじゃん、こいつトキワの森に近づくの嫌がってたじゃん。
アニポケのマサラタウンってシリーズを経るごとに過疎化していってますよね。学校とか商店みたいな社会インフラはどうなってるんだろう。トキワまで行くんだろうか。
なんてことは置いといて、レッドの幼馴染3人の簡単なキャラ説明です。
まだそこまで固まってないとも言う。
・グリーン:俺様。リーフとは双子の兄妹。レッドを強くライバル視している。
・リーフ :寡黙。グリーンとは双子の兄妹。でも表情豊か。割と体力自慢。
・ブルー :お転婆。幼馴染4人組のムードメーカー。楽しいことが好き。
しかし、サクサク進行でやりたいのですがどうにも難しい。書いてる時は楽しいんですけどね。
レッド君を旅に出したらもうちょっとリズムを変えたいところ。