原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」   作:ゴーイングマイペース

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前書き

 前回『ちなみにクチバシティ編ですが、書いてみた感じ、恐らくジム戦含めてハナダシティと同じ3、4話ぐらいになるかな?』と言ったな。……あれは嘘だ。



※更新・修正履歴

2025/09/23
①脱字修正

2025/10/03
加筆修正。


022(カントー11) クチバシティ(サント・アンヌ号) 10歳 02

5月○×日 2ページ目 10歳 クチバシティ サント・アンヌ号

 

『なんか顔と波導(気配)が一致しないヤツ多くない?』

 

「やっぱバカでかい豪華客船だけあって、ただ医務室行って帰るだけでも無駄に時間かかるな……」

 

「……おいおい貧乏臭い考え方してんなレッド君? さっきの俺みたいに、もっと場に合った振る舞いってヤツを覚えないとこの先やっていけないぜ?」

 

「……さっきのお前はカロスかぶれっていうか、ただの“擬き”だろ」

 

「なあお前等なんで揃って俺にそんな辛辣なんだよ」

 

 サント・アンヌ号船長の為の船酔い薬を求めてデッキを発って少し。特にトラブルも無く医務室へと辿り着き、慣れた様子の医務室付きの先生から薬を受け取った俺達は、無事目的のブツをゲットしたことで少々気が抜けたからか他愛もない雑談をしつつ、順調に元来た道を引き返していた。

 

「……あれ? こっちだったっけ?」

 

「……いや、あっちじゃねーの?」

 

「ああ、あっちか。……ん? あのワープパネルじゃ……?」

 

「――だああああッ! もうちっと客に親切な仕様にしろよ、客船ならよぉッ!」

 

「ああ、とうとう爆発しちゃったよ……」

 

 ……訂正、やたらと複雑な通路に迷わされつつ、なんとかかんとか戻っている始末だった。

 いや、往路では通路を進み、階段を上がり下りと普通に進んだから、時間こそかかったが順調に医務室に辿り着いたんだ。

 

 しかし、この豪華客船に設置されていた、ポケモン世界で毎度お馴染みのよくわからない科学技術による移動手段へと興味を向けたグリーンの意見に、復路を進む時間短縮になると軽い気持ちで賛同してしまったのが悪かった。

 一度使ってしまったが最後、使っている内に自分たちが何処にいるのかも分からなくなり、すっかり迷ってしまったのだ。

 

 そう、実はこのサント・アンヌ号、ワープパネルが各所に設置されているのである。原作ゲームでシルフカンパニーやヤマブキジムに使用されているアレだ。

 しかも無駄に広いこと、大小様々な施設群が詰め込まれていること等とも相まって、たぶん原作のそれらより余計に厄介になっている。完全に客を迷わせに来ているとしか思えない。現に軽い気持ちでワープパネルに突っ込んだ俺達は完全に迷わされたし。

 

「ピィ……」

 

 俺の右肩に乗っかっているピカチュウもすっかりダウンだ、歩いてもいない癖にコイツめ。

 

「……しっかし、本当に広くてでっかい船だな。音楽ホール、シアター、クラブ、カジノ、バー、図書館、各種ショップ、各種スポーツ用コート、ジム……こんなたくさんの機能、よくもまあ一つの船に詰め込んでるもんだ。豪華客船っていうだけあって、本当に金かかってそうだよなぁ」

 

「ああ、その豪華っぷりのせいで余計に道がわからなくなってるからな! くっそ舐めやがって……おいレッド! 意地でもこのパネル使ってデッキまで戻るからな! いいな!!! ――オラァ!」

 

「……わかったよ、付き合うよ……」

 

「チュウ」

 

 自分からワープパネルを使い始めた癖に、すっかり頭へと上った血を爆発させてしまっているグリーンが何故か雄たけびを上げながら踏み込んだワープパネルへ、続いて踏み込みワープする。雑談することで少しでも気を逸らすことで何とか宥めていたが、完全に我慢の限界に達してしまったらしい。最早、俺が何を言っても船への怒りに繋げてしまいそうだ。まあ、俺も軽い気持ちでノってしまったから何も言えないんだけども。

 あー、船内の平面図をリーフに渡すんじゃなかった。先に船にいたグリーンを当てににしていたからなぁ。……よく考えたら、ただ“先に船内にいた”ってだけのグリーンじゃ俺達とたいして変わらないわな、そりゃあ。

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 グリーンに続いて俺とピカチュウが潜ったパネルの先は、さっきまでいた煌びやかな作りがまったく見られない、無機質な空間だった。

 

「そもそもだッ! どんだけデカいからって船にワープパネルなんかいらねぇだろ! この船作った奴、豪華客船だからってとりあえず金かけりゃいいとか思ってたんじゃねえのかアホだろ!」

 

「はいはい、わかったわかった。――で、だ。ここは……『最下層船倉。この先関係者以外立ち入り禁止』、か」

 

 とうとう船の設計者へのディスりまで始めたグリーンを宥めつつ、パネルを潜ってすぐ目に入った壁掛け看板の文言を読み上げる。なるほど、どうやら俺達は、デッキへと上るどころか真逆の最下層へと潜ってきてしまっていたらしい。ガッデム。

 

 周囲へと目を向けると、不幸中の幸いか、すぐ近くに船内マップがあったのでもう少し詳しい情報を得ることができた。このマップによると、俺達が今いる場所は最下層船倉、つまり倉庫エリアへの入り口らしい。客の俺達とは一切関係が無い、完全に場違いも良い所であった。

 

「ほらグリーン、戻るぞ。多分アレだ、2つ前のバスケコート入口のパネルで間違えたんだよ。あそこ右のパネルじゃなくて左のパネルだった気が「いいや違うね、そこはテニスコート行きのパネルだった! ……はずだ! だから、そう……4つ前の……図書館まで戻る!」わかったわかったよ、もう何でも良いよ」

 

 すまん船長、リーフ、イエロー。戻るまでもう少し、いや大分かかりそう……いやいやいや、グリーンの意地にいつまでも付き合って病人を放っとくのはダメだろ。

 仕方ない、こうなったら多少荒っぽい手を使ってでもグリーンの頭を冷まさせて――。

 

 

「げっ!? あ、アイツは!!?」

 

 

 俺がちょっと危ない方向へと思考の舵を切りそうになった瞬間、前方、倉庫入口の方から何やら驚きと焦りを感じさせる声が聞こえてきた。

 グリーンに向けていた視線をそちらへと戻すと、そこには、恐らく俺とグリーンが話している間に倉庫から出てきたのだろう。船員、それも先ほどデッキで見た船長のソレと同じような役職の高さが一目で理解できる仰々しい制服を身に纏ったオッサンが、驚きを顔に貼り付け、俺達を……というか俺、そしてピカチュウのことを凝視しながら固まっていた。……え? 何で俺とピカチュウ見て固まんの?

 

「あ、オッサン、この船の人か? ちょうど良い所に! あのさ、俺達ちょっとワープパネルについて聞きてーんだけど――」

 

 俺同様にオッサンの姿を視界に捉えたグリーンが、地獄に仏と言わんばかりに喜色を顔に浮かべて道を聞き始める。いやワープパネルで帰る事さえ出来るなら人に帰り道について聞いても良いんかい。ゆっるい自分ルールだな!

 

「あ、あー、ゴホンゴホン……。君はオーキド博士の名代としてパーティーに出席していたグリーン君だね。どこへ行きたいのかな? 教えてくれればすぐに道を教えよう。なんなら案内も付けて――」

 

 対して、グリーンの問いに応えるオッサン――首から掛かっている船員証らしきものを見るに、どうやらこの船の副船長のようだ――は、表情そのままというか、妙に焦った様子で俺達をここから遠ざけようと矢継ぎ早に言葉を捲し立て始めた。

 ――見るからに、アヤシイ。グリーンもただ船客を遠ざけたいだけにしては大袈裟なその様子に、引っ掛かるものがあったのだろう。訝る視線を副船長に向け始めた。

 と、いうか……この人……。

 

「あの」

 

「!? な、なにかナ!?」

 

「いや、いきなりこんなこと聞くの非常識と言うか、違ってたら申し訳ないんですけど――オジさん、俺とどこかで会ったことが「無いかなぁ! うん! 全然無い! お、じゃなくて私と君は間違いなく今この場が初対面だよ! 現に私の顔に見覚えなんてないだろう!?」……そうですか」

 

 食い気味で俺の質問へと否定の言葉を被せてくる副船長に対し、それでも俺、あとピカチュウは疑いの眼差しを向けてしまう。そしてその眼差しを受ける副船長は冷や汗ダラダラで、誰が見ても挙動不審と声を揃えるだろう狼狽えぶりだ。完全に「心当たり、あります!」と顔に書いてある。

 というか俺が声を掛けただけで語尾が引っ繰り返る時点で、見知らぬ他人で通すのはもう無理だろう。なんだこのオッサン不審者かよ、副船長なのに。

 

「(まあ、確かにこのオッサンの顔に見覚えは全く無いけど――波導(気配)には滅茶苦茶覚えがあるんだよな。んん、一体どこだったか)」

 

 この妙にワルっぽいというか、小狡いというか、軽い気配……ぜったいどっかで会ったことある筈なんだけど、オッサンが言うように顔に全く覚えが無いせいで、記憶の中に確かにある筈の(答え)波導(気配)とが結びつかない。

 うーん。見るからに怪しいし、なんとかして思い出したいところなんだけど……。

 

「そ、それでは私はこの辺で失礼するよ。君達も速く船長に薬を届けて上げてほしい。あと、間違ってもこの先の倉庫に入ったりはしないでくれ。関係者以外立ち入り禁止だからね。いいね、絶対にだよ。――それではッ!!」

 

「おう、ありがとなオッサン――ってはっや。……うーん、助かったは助かったけど、見るからにオカシイっつーか、怪しいオッサンだったなレッド。てか、普通あんな念押ししないでも関係者以外立ち入り禁止の場所に何か入らねーっつーの」

 

「ああ、あれじゃ逆に『入ってくれ、疑ってくれ』って言ってるようなもんだよな……」

 

「はは、ドードー倶楽部かよ」

 

「そんなコメディチックな様子じゃなかっただろ。んー、中から人の気配が感じ取れるぐらいで、特に怪しさとかは見当たらないんだけど」

 

 グリーンの軽口に応じつつ、改めて副船長が出てきた倉庫の入り口に目を向ける。

 上層と違って人目に付かないからだろう、最初にこの空間に入った時に感じた感想と同様の飾り気のない金属の扉、それそのものにはあの副船長の様子の原因となりそうな異常は見当たらない。内部の気配を探ってみても、恐らく船員だろう十数人が一か所に固まっている程度のことしか感じ取れず、やはり怪しさは感じ取れない。

 

「うーん、絶対、あの怪しい挙動の原因があの向こうにあると思うんだよな」

 

「つっても、別に挙動不審ってだけだろ言うなら。人間誰だってそんな時ぐらいあんだろ」

 

「俺とピカチュウ見て焦り始めてなけりゃ、俺もそれで済ませておくんだけどな。なあピカチュウ、どう思う?」

 

「ピカ、ピ、ピカチュウ」

 

 俺と同じようにあの副船長へと疑いを向けていた我が相棒にも意見を求めてみるが、俺同様、やはり思い当たる相手は浮かばないらしい。

 

「ピカ、ピカピカ、ピカチュウ!」

 

「ムカつく気配だった、か」

 

 でも、これまた俺と同じように、あの船長の気配には覚えがあると言う。それも、近くにいるだけでかなり頭にくる嫌な気配。

 しかし、そこまで訴えかけてくるものがあるのに、その張本人の顔には覚えが無い……。

 

 ――よし。

 

「グリーン。あの扉の向こう、入ってみようぜ」

 

「は? 入ってみるって……おいおい、確かにあのオッサン滅茶苦茶怪しかったけど、そこまでする程のことかよ。それよりも、早くあのゲロオヤジに薬を届けてやる方が先じゃねーの?」

 

「いや、こっちの方が優先だ。船長やリーフ達には悪いけど、絶対に今すぐ確かめた方が良い。勘だけど」

 

「勘って、レッド、お前……まあ確かに面白そうではあるけどよ」

 

 グリーンが呆れたような目を向けてくる。恐らく俺に翻意させようと思っているのだろうが、そうはいかない。というかピカチュウの言葉と合わせてあの副船長を疑えば疑う程に、「今すぐあの扉の向こうを確かめろ!」とマサラの血()が訴えかけてくる。「今すぐ動かねばきっと取り返しがつかなくなるぞ」、と。

 

 

 さて、どうやって目の前の幼馴染を説得しようか、と考え始めたその時、再び俺達に声が掛けられた。

 

「すまない、少し良いかな? 今、この扉の向こうへ入ろう、という話が聞こえた気がしたのだが」

 

「げっ、ほらレッド、船員来ちまったじゃねーか。あーと、大丈夫だからオッサン。俺達すぐに消えるからさ」

 

「……んん?」

 

 声の方を見てみると、この船内のそこかしこで見かけた船員服を身に纏った中年の男がいた。二回目の闖入者である。それも、この人……さっきの副船長と同じように、さっぱり見覚えはないのだが……これまたさっきと同じように、何故か波導(気配)に覚えがあった。誰だ?

 

 俺が今度こそ記憶から心当たりを引っ張り出そうとしていると、当然というか、後ろめたい場面(とグリーンは思っているだろう)を見られたことで焦ったグリーンが俺の片腕を引っ張り、この場から去ろうと促してくる。が、俺は踏ん張って抵抗した。

 何してんだよ、とグリーンが俺の抵抗を責める目を向けてくるが、逆に見つめ返して腕を引っ張るのをやめさせる。そんな俺に対してグリーンが目の色を訝りへと変えるが、俺は構わず新たに俺達の前に現れた船員の顔を真正面からしっかりと見て、改めて確認した。

 ……うん、この顔に見覚えは、無い。無いけど、でもこの人は――。

 

「ポケモンセンターで俺とリーフ達に事情聴取を頼んできた刑事さん、ですよね? こんなところで何やってるんですか?」

 

「!? な、なぬぅー!?」

 

 そう、顔どころか体格まで異なっているが、この男から感じ取れる波導(気配)は、つい最近接したあの刑事と同じものだったのだ。さっきの副船長と違って直近の記憶だったうえに、事情聴取という人生で中々経験しない出来事と紐づいていたのもあってすぐに気付くことが出来た。

 まあ、このオーバーリアクションまでは予想できなかったけど。

 

「な、なぜ私が国際警察の人間だと分かってしまったのだ!?」

 

「……いやあの、誰もそこまで言ってないです」

 

「へっ? ……いーや、私を只者ではないと最初から見抜いていたのだろう? その眼力、恐るべし……! 君できるな!!」

 

「……もうそれでいいです」

 

 違った、オーバーリアクションどころじゃなかった。何故か聞いてもいない身の上まで喋り出した。なんだこのオッサン。

 ていうか、え、国際警察? この自分の正体がバレた(と勝手に勘違いした)だけで口が軽くなるこのアホなオッサンが? 少なくとも刑事であることは確かな筈だけど……嘘だろ?

 

「よし、正体がバレたんだ、自己紹介をさせていただこう。私は世界を股に掛ける国際警察のメンバーである! 名前は……いや、君達にはコードネームを教えよう。そう、私のコードネームは『ハンサム』! 皆そう呼んでいるよ!」

 

 そう言いながら、バッ、と効果音でも聞こえてきそうな勢いで身に纏った船員服を脱ぎ捨てた次の瞬間には、ポケモンセンターで出会ったあの刑事がいた。なんだろう、無駄にカッコ良い。ていうか今の一瞬の脱衣どうやったんだろう(現実逃避)。

 

「……おいレッド、このこっちが聞いてもいないことをベラベラと勝手に喋ってくれるバ……オッサン、誰だよ」

 

「えー、言った通りの人なんじゃねー?」

 

「おいこっちにぶん投げようとしてんじゃねーよこの変人オヤジを! お前の知り合いなんだろなんとかしろ!」

 

「チュウ……」

 

「ピカチュウまで……わかったわかったよ。でも俺だってこのオッサンのこと大して知らねーからな」

 

 グリーン、そしてピカチュウまで俺に「どうにかしろ」と言ってくるので、渋々ではあるが改めて新たにこの場に現れた男……国際警察のハンサムに向き直った。

 

「(ハンサム……確かダイヤモンド・パール・プラチナ(DPPt)で初登場のキャラ、だったか? いやそれはどうでも良い、問題はなんで国際警察がサント・アンヌ号にいるのかってことだけど)」

 

「おっとレッド君、『何故国際警察がこんなところに』と考えている顔をしているね! 教えてあげよう、それは私がロケット団の悪巧みを追いかけてカントー中を走り回った結果、このクチバシティ、そしてサント・アンヌ号に辿り着いたからだ!」

 

「……おいグリーン、代わってくれねぇ?」

 

「イヤだ、お前がどうにかしろよ」

 

「ええ……」

 

 俺の顔色を見ただけで心中を的確に言い当てる洞察力こそ国際警察の名に恥じぬ凄まじさだが、その後がとんでもなくお粗末なせいでどう評価したものか全くわからなくなる。いやまあゲームのキャラとしてはこういうドタバタキャラはとても魅力的なのかもしれんが、実際にこうして向き合うと力が抜けるなんてもんじゃないな……。

 

「で、俺達に何の用スか」

 

「話が進むごとに雑な調子になっていくのは何故なのかが気になるが、まあいい。実は私も君同様にあの扉の向こうが怪しいと睨んでいるんだ。それはもうロケット団の臭いがプンプンとしてきているとね。が! 少々、そう、少々戦力に不安があってね! 協力者を求めていたところ、先程の君達と副船長とのやり取り、そしてその後の君達の話を聞いたんだ!」

 

「つまり、俺達の手伝いをしてくれる、と」

 

「どちらかというと私の手伝いを、と訂正したいところだがそれもまあいい。とにかくそういうことだ。どうだ、引き受けてはくれないかね?」

 

「別に俺達、というか俺は良いんですけど……警察が俺達みたいな小僧を当てににしても大丈夫なんですか? 足手まといになるかもしれないでしょ?」

 

 そう、俺としては望むところな展開であるが、そこだけが気になる。一度話したことがあるとはいえほぼ初対面みたいなものだし、俺達が戦力として当てになるなど分からない筈だ。なのにこの申し出、いったい何を根拠に俺達を誘っているのだろうか。

 

「その心配はしていないよ。去年、若干9歳にしてカントー最強のトキワジムジムリーダーを破り、かつニビ、ハナダのジムリーダーから非常に高く評価されている天才少年だからね、君は。それにそっちのグリーン君も、トレーナー資格を得てから僅か一月で4つのバッジを手に入れている優秀なポケモントレーナーだ。この面子で不足があるなら、大抵の人間は足手まといになるだろうね」

 

「……なるほど、ただ自分の目的に合致していたからってだけじゃなく、俺達の事を前もって知っていたからこそ声をかけてきた、ってわけですか。しかし凄いですね、その情報収集力も国際警察としてのスキルですか?」

 

「そんな大したものじゃないよ。なにせ君たち二人は今カントーで最も注目されている二大ホープだからね。特に何もしなくても、勝手に噂が耳に入ってくるのさ」

 

 とぼけているが、なるほど。どうやらアホはアホでもただのアホではないようだ。それでも頼りになるかと聞かれれば正直まだ判断に迷うが……まあ、選択肢なんてこの人とここで出くわした時点で無いようなもんか。

 

「よし、その話乗りました。グリーンはどうする? ここで待ってるか?」

 

「このオッサンが警察だってんなら、後からどうとでも庇ってくれるだろ? なら行くぜ。さっきも言った通り面白そうだしな! 見てろオッサン、カントーが誇る天才少年であるこの! 俺! グリーン様の実力を見せてやるぜ!!」

 

 俺の問いにノリノリで返事をしてくるグリーン。不安要素が無くなった途端に調子づくというのが少しせこいが、まあ良いか。頼りにできさえすればなんでも。

 

「よし、話はまとまったようだね! ではロケット団の悪巧みを暴きに、いざ往かん!」

 

「よっしゃー!」

 

「ロケット団なのかどうかはわかんねーけど、おおー」

 

「ピカチュー!」

 

 そして、不思議な縁とその場のノリで結成された俺達3人と1匹の急造凸凹チームは、怪しさ満載の最下層船倉、更にその奥で待つナニカへと踏み込んでいくことになったのであった。




後書き

 クチバシティ編もといサント・アンヌ号編をチマチマと書き進めていたのですが、なぜかサント・アンヌ号の仕様が書けば書くほどより豪華になる現象が発生。まあ豪華客船だからね、書いてて楽しくなるならいくら盛ってしまっても仕方ないですよね。


 そして前回の謎……というほど大したものじゃありませんでしたが、クチバシティで出会った刑事さん。その正体は、恐らく大体皆様の予想通りだっただろう、国際警察のハンサムさんでした。

 ちなみになぜここで起用したかというと、原作ファイアレッド・リーフグリーンのサント・アンヌ号1階に「しー…! わたしは こくさい けいさつ! ロケットだんの わるだくみを おって いる ところだ!」とこちらが何も言っていないのにバラしてくるモブキャラがいたからです。
 まあハンサムとは名乗っていませんでした、というか時代的に本来ハンサムはこの時点では登場すらしていないキャラなのですが、上記のセリフの何とも言えない抜けた感じがハンサムっぽかったので、ハンサムだったということにして登場させることにしました。作者にとって大変都合の良い性格をしているので、これから便利に動かしていきたいです。

 それでは次回、今回に引き続きサント・アンヌ号回となります。
 皆様、またお気を長くしてお待ち頂けますと幸いです。ご感想もお待ちしております。*1

*1
2024/12/19 ~ 2024/12/29にご感想をくださった方々です。まことにありがとうございました。
①通りすがりの読者N様
②安価に取り憑かれた奴様
③アカトマト様
④汐音様
⑤しのっぺ様
⑥新菜 椎葉様
⑦(●´ϖ`●)様
⑧kiakia様

クチバシティに見え隠れするロケット団の影。今回の事件に関わっているロケット団のネームドキャラは誰?

  • サカキ
  • アポロ
  • アテナ
  • ラムダ
  • ランス
  • 上記5人の誰でもない
  • ネームドキャラは関わっていない
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