原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」 作:ゴーイングマイペース
明けましておめでとうございます。(1月24日)
今年もボチボチやっていきますので、皆様もゆるーくお付き合いいただければ幸いです。
※更新・修正履歴
2025/10/03
加筆修正。
5月○×日 3ページ目 10歳 クチバシティ
『俺の反省と尊敬を返せ!』
施錠されていた扉をハンサムさんが何やらゴソゴソと弄って開き突入し、その先にあった下り一本道になっている階段を、ハンサムさんを先頭に、グリーン、俺の順番で真っ直ぐ下っていく。
センサーに反応して都度明かりが点く仕組みのようだが、そのせいで少し先になると真っ暗闇になっていて視界に何も映らなくなる。船がデカいだけあって結構下まで伸びているらしいのも相まって結構不気味だ。如何にも悪い奴等が何か悪巧みをするには最適な場所って感じである。
「ところでハンサムさん、ここについて、何かわかってることってあります?」
「む、そうだね……調べはしたが、連中も用心しているようでね。倉庫という字面以上の使われ方はされていない筈の施設、という程度しかわかっていない。尤も、ロケット団らしき集団に根城とされているだろう今、どうなっているかはわからないがね」
階段の途中にもあるいくつかの扉の内部――狭いがどれも倉庫のようで、大小様々な物が仕舞われている――も順番に確かめつつ、ハンサムさんから現在わかっている情報を教えてもらう。
その話と合わせて考えると、今確かめている扉の内部含め、この中は全て倉庫で他の用途で使われてる部屋はないってことでいいんだろうか。
それでも、底らしきあたりに十数人程度の気配は感じ取れるから、完全にそれだけってことはなさそうだけど。
「でも、マフィアが根城にしてるって割にはどの部屋にも大したモン置いてねーし、誰もいねーな。ヤベー薬とか、そういう“如何にも”なのがあると思ったのによー」
「確かに奴らを一人も見かけないのは不自然だが……正規の船員を完全に締め出してはいないようだからね。恐らく無駄に怪しまれ過ぎるのを防ぐ為に、出入りは時間、人員数ともに最小限にしているんだろう。だからもしそういう物があるとしたら、もっと奥深くに隠している筈だ」
グリーンは期待していた展開と違ったのか少し不満げな様子を見せている。ちょっとした冒険気分なんだろう。
まあ気持ちはわからないでもない……調子に乗るべきではないと頭ではわかっているけど、俺もカッコ良い探偵にでもなったみたいで少し楽しいし。
「悪い奴等が大勢で固まってたらおかしいってことなら、一番底の、人の気配がたくさん感じられる辺りは外れですかね。しかも特に邪悪な波導は出してない人達みたいだし。それにずっと同じ場所にいるし……たまたま居合わせた船乗りかな」
正直この人達こそ俺の勘に一番引っ掛かってた人達なんだけど。うーん、外れだったか?
「どう思う、ピカチュウ?」
「チュ? ピカ、ピカチュウ! ピカァ!」
相棒の意見を聞こうとしたところ、返って来たのは「それも気になるけど、もっと真面目にやれよ!」というお叱りの言葉だった。
ああうん、お前ロケット団、というかサカキに対して恨み骨髄だもんな。下手しなくても俺よりロケット団のこと嫌ってるし、そりゃアイツ等が悪巧みしているかもってなったら、はりきるよな。
……うん、カッコ良いかも、とか考えて余り調子に乗っててすみませんでした。よし、真面目にやろう。
「……わかって当たり前みたいに気配とか邪悪な波導とか言ってるけど、俺達そんなのわかんねーからな。アホレッド」
「アホとはなんだバカグリーン、役に立ってるだろうが」
「待てレッド君、今、なんと?」
釈然としないものを感じつつも、グリーンの混ぜっ返しに軽口で応えながら気持ちをスッパリ切り替え、探索の続きを真面目に進めようとしたところで、何故か俺達の軽口の応酬にハンサムさんが食いついて来た。
「え? 特に邪悪な波導は感じないって言いましたけど」
こちらを振り返って驚きの表情を見せる彼は、俺の返答に首を振り、再度、今度はもう少し詳しく説明を求めてきた。
「そこじゃない。いやそこも大変参考になる部分だが……人の気配がたくさん感じられる、と言ったね。それは、どのように? バラけている? それとも一か所に固まって? あと“ずっと同じ場所に”とも言っていたが、いつからそうしているかはわかるかい?」
「えっと、固まってます。それも、俺達がここに入る前から殆ど動いて……あっ」
「? なんだよ2人して。倉庫に人がいることがそんなにおかしいことか?」
「いるというだけならおかしくはないさ。それが今、レッド君が言ったような状況でなければね。――お手柄だよ、レッド君!」
グリーンが眉間に皺を寄せて俺とハンサムさんの顔を交互に見比べてくる。そんなグリーンに対しハンサムさんは溌剌とした笑顔で俺を賞賛すると、階段を一気に駆け下り始めた
「おいおいなんだよ、俺にも分かるように話せって!」
「お前がさっき言ってた“如何にも”が見つかったかもしれないって話だよ。とにかく行くぞ! ――ハンサムさん待ってください! 場所わからないでしょ!?」
「おおっと、いけないいけない。それでは頼んだよ、レッド君!」
俺に場所を聞く前に走り出していたハンサムさんを呼び止めた俺は、先頭に躍り出て気配が感じられる場所まで一直線に向かう。そして行き着いた先には、入口と同じ、いやそれ以上に厳重に施錠された扉があった。
そしてやはりさっきと同じようにゴソゴソとしてもらい、開けてみるとそこには。
「け、警察の方なんですか!? やった、助かったぞ皆!」
「ありがとうございます! 家の外で急に攫われて、もう、ずっと怖くて怖くて……!」
「やった! 助けが来た!」
行方不明で捜索されていたクチバポケモンセンターのジョーイさんを始め、その他にもたくさんの人達が監禁されていたのだった。
そう、つまり俺がずっと感じていた気配は、何者か、まあ十中八九ロケット団だろう連中によってカントー中から連れ去られてきた行方不明者たちの気配だったわけだ。
……ハンサムさんに水を向けられて気付くことができたけど、よくよく考えてみればおかしい話なわけだ。
そりゃあ倉庫で仕事をしている人だっていて然るべきだろうけど、それが十数人いて、しかも長時間一か所に固まって一切動かない。それも、悪の組織が何か怪しいことをしているような危険な場所でだ。そんなの、明らかに普通じゃない。
ということは、その十数人は動
「なーるほど、そういうことか。なんだよあのオッサン、国際警察とかいう御大層な肩書の割りにアホ過ぎるだろと思ったけどやるじゃん!」
グリーンはハンサムさんを見直したらしい。勿論、気配には気付いていても、その理由までは気付けなかった俺も同じだ。
まあ、この違和感に気付けなかったのは俺の知識や経験が不足していたのもあったかもしれないけど……やっぱり本職だってことだろうな。人は見かけによらないって言うし、俺も反省しないと。
ちなみに俺達から謝罪と尊敬の念を向けられているなどまるで気付いていないハンサムさんはというと、解放の喜びで危うく大騒ぎを始めそうになってしまった彼等へ未だ危機を脱せていないこと伝えて宥めた後、盗聴対策がどうこうとか専用の秘匿回線がどうとかいう、なんか凄そうな謳い文句の端末……ポケギアかな? で外へと連絡を取り始めた。待機してくれているらしいお仲間への応援要請とのことだった。
恐らく、彼等を無事に逃がした後に大捕り物が始まるのだろう。あっという間だったけど、俺達の役目をあと少しで終わりかな。
でも、その前に一つハッキリさせておきたいことがある。
なので俺は、行方不明者の中にいた、問題の人物――先程会った副船長とまったく同じ容姿をしたおじさんへと質問をさせてもらうことにした。
「あの、副船長……さん? で良いでしょうか。ちょっと……」
「ああ、君の言いたいことは分かっている。刑事さんにも聞かれたからね。――私とまったく同じ姿をした男が外にいるという話だろう? 生憎、私も後からここへ連れてこられた方達に聞かされて驚いたぐらいでね。何も知らないんだ。……だが、少なくともそいつは、私の偽物で間違いないよ」
「一応聞かせて欲しいんですけど……おじさん達をここへ監禁した連中について何か知っていることは?」
「……胸にデカデカと『R』の文字を描いた黒ずくめの服を着ていたね」
「ええ……」
「ピカァ……」
ハイ確定。ピカチュウとほぼ同時に溜息をついてしまい、その後、顔を見合わせてまた溜息。……何と言うか、もうちょっと忍べよポケモンマフィアァ! もうちょっと、こう、あるだろ!*1
でもつまり、あの怪しさ満点のオッサンもほぼ間違いなくロケット団の1人、と。……変装が得意なロケット団の人間……そんな奴いたような、いないような……?
……うーんダメだ、思い出せない!! こう、喉まで出てきてる気はするのに!
「さ、連絡も済んだことだし彼等を無事に逃がす為にも長居は無用。さっさと撤収するとしよう」
「えー、こっから証拠集めとか始めるんじゃねーのかよ」
「なに、一般人の安全を確保が済めば、すぐに大捕り物が始まる。その時は隅から隅まで思う存分虱潰しにするさ」
なんとか前世の記憶を引っ張り出そうと頑張ったが、そこへ無情にもハンサムさんからのタイムアップの声が。
うーん、あとちょっとで思い出せそうなんだけど……ううん、この人達を無事に外へ連れ出すことの方が優先か。しょうがない、切り替えよう。
「でもよー」
「この人達を助けられた、で十分だろ。そもそも捜査なんて俺達門外漢もいいとこなんだし」
「……ちぇっ、束の間のヒーロー気分だったぜ。ま、しゃーねーか」
まだ不満そうなグリーンを窘めると、流石に自分の意見を通す場面でないことは理解しているらしく渋々とだが引き下がってくれた。
安心しろ、多分近い内にイヤでもロケット団とドンパチしまくることになるから(オフレコ)。
「うん、ご理解ご協力いただき感謝するよ。ではさっさとここから出よう。彼等の安全確保もそうだが、彼らのご家族も早く安心させてあげないとね。さて、外に脱出の合図を送らなければ。えーと、ポケギアポケギア……」
「何度も何度も電話させられるなんてかったりーなぁ、しかもわざわざ専用の端末使わせられるとか。俺、万が一チャンピオンになれなくてもぜってーに警察にだけはならねーわ」
再度ポケギアを取り出して外へと通話をかけ始めるハンサムさん。恐らく俺達と連携して外のお仲間が動くんだろう。うん、ますます俺達の出る幕無いなこれ。
でもグリーンは最後まで関わることにやっぱり未練があるらしい。そのせいだろうが、警察をくさすようなことを言ってしまっていた。
「ふふ、面倒なのは確かだけどね。これも彼らの安全をより確実に期す為には必要な面倒なのさ」
「ふーん……でも『兵は拙速を尊ぶ』とかよく言うけど」
「大丈夫大丈夫。この程度なら十分拙速の範囲内、巧遅にはあたらないよ」
そんなグリーンを、ハンサムさんは苦笑しながら窘める。大人だなぁ。最初「なんだコイツ」とか思って本当に申し訳ございませんでした。
「と、いうわけですみません皆さん。この電話が済んだらすぐに移動を開始しますので」
「いえ、こうして助けに来てもらっただけで十分ですので」
行方不明者を代表して副船長さんがそう言ったことで結局グリーンも納得したのか、それ以上言いすがることはなかった。
そしてハンサムさんも、皆の了解を得られたことで改めて外の仲間が電話に出るのを待つ。
待つ。
待つ、待つ。
待つ、待つ、待つ。……んんん???
「あれ、ハンサムさん。なんかさっきと比べてコール長く続いてないですか」
というか明らかに長い。さっきハンサムさんが外に電話をかけた時はそれこそ2、3コールくらいで出た筈だ。……何か、外であったのか?
「……そうだね。向こうで何かあったのかな」
「おいおいおい、巧遅にはあたらないんじゃなかったのかよ。何やってるんだよアンタのお仲間ってのは」
ハンサムさんも同じ懸念を抱いたのだろう、訝し気な顔をし始めた。
そしてその様子を見て、行方不明者達も次第に不安な顔をし始めてしまい、場に嫌な空気が流れ出す。
「あ、あの刑事さん。先程はああ言いましたが、余り長居するとその、ロケット団が来るかもしれません……」
「ふむぅ……もしかしたら、外で何か急な動きがあったのかもしれません。しょうがない、段取りとは異なるが現場判断優先、という事で脱出を始めます」
「えー、そりゃないぜ! こんなことならさっさと出ればよかったじゃねえか!」
副船長さんから不安の言葉を聞かされ、結局ハンサムさんは現場判断を優先することに決めたらしい。そして、皆口にこそ出さないが続くグリーンの言葉に内心で同意したのだろう。今度は何とも言えない空気が場に流れる。
う、うーん、しょうがないのかもしれないけど、グダグダしてるなぁ……。
と、その時、それまで大人しくしていたピカチュウが急に大声で鳴き始めた。
「チュッ!? チュウ、ピカァ!」
「えっ、なんだ、どうしたピカチュウ……はぁ!?」
その声に、いったいなんだとピカチュウの視線を追って、ハンサムさんの手元に視線をやった俺は――速攻で目の前の大人の言う通りにしようとしたことを後悔する羽目になった。
「ちょ、ちょっと、ハンサムさん、それ! その端末!」
「えっ? これがどうかした――あ゛ッ、私のプライベート用ポケギア!? し、しまった、間違えたぁああああ!!?」
「はぁ!? おいどうすんだよ、盗聴されたりすると不味いからわざわざ専用のポケギアなんてもん使ってたんだろ!?」
「う、うん。盗聴と、後でんきタイプのポケモンには通話中の電波を察知できるのがいるから、その対策として使ってたんだが……」
「つまりもう気付かれててもおかしくないってことじゃねーか! あーもう、頼りになるのかバカなのか、どっちかにしろよ!」
大慌てでコールを止めるハンサムさんだが、もしハンサムさんが言った通りの危険が発生するとしたら、グリーンの言った通り手遅れになっててもおかしくない。それだけの時間コールし続けていた気がする。つまり、手遅れだ。
チクショウ、悠長とかそういう次元の話ですらなかった! この人、頼りになるのも、仕事ができるのも間違いじゃない。ないけど……やっぱ、肝心な部分でアホでドジだ! さっきの俺の反省を返せ!
「おい、見つけたぞ! 侵入者だ!」
そして、急転直下の事態に、この場にいる全員がてんやわんやし始めた次の瞬間、俺達も通ったこの空間唯一の出入口が勢い良く開かれ、黒ずくめの集団――ロケット団の下っ端が10人ほどなだれ込んできた。
おいおいおいおい、いくら何でも早すぎだろ!?
「うわ、マジでいやがった! おい、ホントにネズミが紛れ込んでるぜ!」
「副船長様の言う通りだったな! おいテメェラ、大人しくしやがれ! 痛い思いをしたくなかったらなぁ!」
「おいお前等、コイツ等のほとんどは大事な商品だからな。一人だって逃がすんじゃねーぞ!」
「う、うわああああ、ロケット団だあああああ!?」
恫喝を始めるロケット団に対してパニックになる行方不明者達。
ああもう愚痴は後回しだ。今はとにかくこの人達を無事に逃がすことを考えなきゃ!
「く、早過ぎる! 近くにいた団員をワープパネルで送り込んできたのか!? そうか、ここ以外に誰もいなかったのはそれで――しょうがない、作戦変更だレッド君、グリーン君! いけっ、グレッグル! ゼニガメ!」
「正面突破ってことですよねわかってますよ後で覚えておいてくださいよ! ――ピカチュウ! バタフリー! クロバット! 倒すよりまず守りと撹乱を優先、後ろの人達の安全を一番に考えて動け!」
「くそ、ぜってー後で高いメシ奢らせてやる! ――ラッタ! リザード! サンドパン! 俺達は攻め役だ、一人残らずぶっつぶせ!」
ちくしょう、結局力ずくの正面突破しなきゃならないのかよ! ステルス脱出作戦の筈だったのに! こんなところでばっかりマフィアっぽい手回しの速さを見せやがって!
というか、本当に手回しが早い。恐らくハンサムさんの推測通りこの部屋の近くのどこかに上階と直結しているワープパネルがあるのだろうが……これは、ここを無事に切り抜けても、上でもう一波乱不可避だな。ファック!
「(いや、それどころか、こうして俺達のことに気付かれたってことは、下手すると……!)」
自分達の企みを暴かれた、とロケット団が邪推しているかもしれない――実際はただ勘に従った結果という割と行き当たりばったりで行方不明者を発見して救出しようとしているだけで、コイツ等が何を考えて誘拐を繰り返していたのかなど知りもしない。
だが、目の前のコイツ等がそうこちらの都合の良いように考えてくれるとは限らない。むしろ、コイツ等にとっての最悪を想定した動きを今頃取り始めていると考えた方がよっぽど自然だ。
勿論、これが杞憂なら何も問題は無い。無いが、でもそうなっていなければ――。
「――くそっ、リーフ! イエロー! 無事でいてくれよ! すぐ行くからな!」
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一方その頃、デッキにて船長への付き添いを頼まれたリーフとイエローは、レッドとグリーンがいつまで経っても薬を持ち帰らないせいですっかり待ち惚けを食らってしまっていた。
「……レッド達、遅いね」
「うん、そうだね。もしかたしら迷ってるのかも。この船、とにかく広いし……ボク、探しに行こうかな」
「……イエローはダメだよ、船長さんが、益々ダウンしちゃうし」
「す、すまない、お嬢ちゃん。……腹の中の物を吐き出しきったせいか少し楽になったし、ここはやはり自分で……う゛っ」
「わわわっ、ダメですよ船長さん! まだ大人しく休んでなきゃ!」
船酔いによる不調を押して無理しようとする船長を慌てて押し留め、力を使って手当てをする心優しいイエローの様子を見て、リーフは深々とため息を吐いた。まったく、あの男どもはいったいどこで油を売っているんだ、と。
「……私が探して連れてくる。パンフレットの平面図見れば、問題無く行けると思うから」
「うん、お願いねリーフちゃん」
あのお調子者の兄だけならともかく、レッドがいれば問題無い……と言いたいが、どこかズレた可愛いところのある彼のことだし、またぞろおかしなことに首を突っ込んでいてもおかしくはない……そう考えたリーフは、『やれやれしょうがないんだから』と言わんばかりの表情をイエローに見せながら立ち上がった。
尤も、同時にレッドの助けになれるということで嬉しそうな雰囲気も隠せていなかった為、イエローはリーフのその表情に対して『可愛いなぁリーフちゃん』としか思わなかったのだが。
とにもかくにも次の目的が定まったリーフが、デッキから下りる為リーフがその場を離れようとした、その時。
ドカン、と、まるでアニメや漫画でしか聞かないような凄まじい轟音がデッキ、いやサント・アンヌ号全体に響き渡った。
「っ……!? 何……!?」
当然、そのようなアクシデントなど予想だにしていなかったリーフは驚き、無意識に視線をあちらこちらへやってアクシデントの原因を探そうとした。もちろんそのようなことをしたところで、意味などは無いのだが。
「うわぁああッ!? なになになに、何の音!?」
「お、お゛おおおおお……」
「わああああおじさんしっかり!?」
そして当然、同じ場にいたイエローと船長も同じような反応……いや片方は先ほどから殆ど変わらない挙動しかできていないが、とにかく同じように困惑、というかパニックを起こしていた。
『な、なんだなんだ、何が起こった!?』
『いったい今の音は何なの!? まさか、ば、爆発!? どこで!? 大丈夫なの!?』
『うえーん、怖いよー! ママー!』
というか、目に見える限り全ての船客がパニックを起こしていた。程度の差こそあるが、皆リーフ達と同じように落ち着きを無くして突如自分達を襲った轟音の正体を知ろうとしている。
今の音はなんだ、この船で起こった爆発なのか、家族が見当たらない、早く説明を――誰も彼もが同じような言葉を大声で発し、正体不明の恐怖から逃れようとしている中で。
次の瞬間、場違いなほど落ち着いた、それこそのんびりとした気配さえ感じさせるアナウンスが、船内の各所に設置されているスピーカーから発せられた。
『えー、ただいま、船内にて原因不明の爆発事故が発生しました。現在緊急調査を行っておりますが、またいつどこで爆発が発生するか分からない為、現在この船に乗っているお客様方、大変すみませんが今すぐにクチバシティへと避難をお願いします。繰り返します――』
「……なに、この変な放送。避難誘導なのはわかるけど、なんか……」
まるで、普段から丁寧語を使い慣れていない人間が、無理に丁寧に喋ろうとしているような。しかも、誘導の為の船員が現れるわけでもない。これではただ船客達の不安を無用に煽るだけだ。
そんなどうにもチグハグな放送をリーフが訝しんだその時、再びどこかから爆音が轟き、船が揺れる。
それによってデッキにいた船客達はとうとう統制を完全に失ってしまい、デッキから下りるべく我先にと入口へと殺到し始めてしまった。
「リーフちゃん、これってもしかして」
「……うん、たぶん……いや、間違いない、と思う」
状況証拠とも呼べないが、リーフ、そしてイエローはそれぞれの女の勘により、確信を持ってこの状況に対する正解を導き出していた。
そう、これは絶対、間違いなく――あの2人が発端だ、と。
「……いったい何やらかしたの、レッド、グリーン……!」
後書き
世の中にはどうしても携帯電話をマナーモードにできない刑事がいるし、通信用と盗聴用の端末を間違える海軍大将もいる。
つまり? そういうことです(どういうことだよ)。
では、次回も引き続きサント・アンヌ号回となります。
皆様、またお気を長くしてお待ち頂けますと幸いです。ご感想もお待ちしております。*1
①天ノ羽々斬様
②メイ4241様
③kiakia様
④Ganzin様
クチバシティに見え隠れするロケット団の影。今回の事件に関わっているロケット団のネームドキャラは誰?
-
サカキ
-
アポロ
-
アテナ
-
ラムダ
-
ランス
-
上記5人の誰でもない
-
ネームドキャラは関わっていない