原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」   作:ゴーイングマイペース

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2025/10/02
加筆修正。

2025/10/03
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024(カントー13) クチバシティ(サント・アンヌ号) 10歳 04

5月○×日 4ページ目 10歳 クチバシティ サント・アンヌ号

 

『リーフとイエロー、甲板(デッキ)に迫る悪!』

 

 豪華絢爛な船旅を楽しむ陽気な雰囲気が突如として一変、怒号と悲鳴が飛び交う修羅場と化してしまったサント・アンヌ号のデッキにて。

 リーフは突然目の前に現出してしまった非日常に困惑しつつも、とにかく行動をしなければ、と改めてイエローと顔を見合わせた。

 

「と、とにかくリーフちゃん。ここは一旦、船長さんを連れて逃げよう。レッドさん達は心配だけど、船長さんをここに置いて探しに行くわけにもいかないし……」

 

 当然と言うべきか、リーフと同じ考えなのだろうイエローがまず口を開き、乗客達と同じようにこの場から避難することを提案した。

 乗客たちの様にパニックこそ起こさなかったイエローだったが、それでも若干の恐怖は感じているようで、声が若干震えてしまっていた。

 1か月弱ほどの旅程で様々なことを経験してきたイエローだが、それでもまだまだ普通よりの感性を持つ少女である為、やはりこのような状況ではやはり恐怖が勝るらしい。

 

「……うん、そうだね。まずは、船長さんを避難誘導の人に任せて、安全な所に連れて行って貰って……その後、レッドとグリーンを探しに、戻ってこよう。……あの2人なら、そのぐらいの間、放っといても大丈夫だろうし」

 

 対してリーフは、状況に対する戸惑いその他諸々を感じる心を早々に切り替えた。

 幼少期から奇抜な幼馴染達(特に赤)と奇天烈な日常を過ごすことが珍しくなかったリーフ。その経験から良くも悪くも信頼している少年達が事態の渦中にいると見当がついている状況であったことで、余り動じずに済んだらしい。

 ……そんな自分を客観的に見たリーフは、目の前で体を震わせながらも、健気に根性を見せようと気丈な表情をしようとしている友達を見て「……もうちょっと怖がった方が、女の子らしいかな」なんて場違いなことを考えていた。

 

 ともかく、方針は決まった。ならば一刻も早くこの場から移動しよう、と立ち上がる2人の少女。

 

 が、それに待ったをかける者が、この場にはもう1人いた。

 

「だ、駄目だ、2人とも……あの男達を頼っては……お゛お……」

 

「わ、わ!? 船長さん、気分悪いのに無理して話しちゃダメですよ!」

 

「……どういうこと? 船長さん」

 

「だ、大丈夫だ、お嬢ちゃん。ありがとう。……見覚えが無いんだ。あの、避難誘導をし始めた船員たちに」

 

「えっ? そ、それって」

 

「……この船の船長の貴方に、見覚えが無いって、それ……」

 

 船長という立場からは本来あり得ない「船員に見覚えが無い」という発言。その言葉を聞いたリーフとイエローは、改めて、現在進行形で避難誘導を行っている船員の様子を見てみた。

 すると、そこではとんでもない行動をしている船員達の姿が。

 

 

「さ、皆さん急いでください! ああ、そこの人達! 時間が惜しいので、少しでも身軽になる為に荷物の類は全て船に置いていって下さいね!」

 

「ええ!? だ、だがあの鞄の中には財布なんかの貴重品を入れてあって……」

 

「わ、私も、今回の船上パーティーの為に気合を入れて用意した物が色々あって」

 

「命と荷物とどっちが大事なんですか!? 命でしょう!? ほら、急いで! 今身に着けている荷物も全て私達に……ほら、ほら!」

 

「って、ちょっと! そこまでする必要無いでしょ!? ――ああ!? 私のポケモンが入ったモンスターボール持ってかないでよ!?」

 

「ふう……ご安心を。これらの荷物は俺達が責任を持って預かっておきますので! ……おっと! そっちの爺さんも、余り聞き分けが悪いようなら、こちらにも考えがありますよ? ――ズバット! アーボ!」

 

「ひぃっ!? わかった、分かった! 言う事を聞く! だからポケモンをこっちに寄越すのはよしてくれい!?」

 

 

 そう、何と“避難誘導の為”と称して、船外へ脱出しようとしている乗客達から金品やその他の荷物、剰えポケモンが入っているモンスターボールまで取り上げていたのである。

 とんでもないその光景に、イエローは大きく目と口を開いて驚く。その隣にいるリーフも、イエローと比べれば動きが無いものの、付き合いが薄い人間でも一目で分かる程度には表情を驚きと困惑に染めていた。

 

「あ、あの船員さん達、何ムチャクチャやってるの!? いくら避難の為とは言ったって、人から無理やり荷物やポケモンを取り上げるなんて!!」

 

「……と、いうか、大きくて重い荷物ならともかく、財布や手荷物を取り上げても意味が無いでしょ。……ましてや、モンスターボールまで……普通じゃない。……船長さん、ホントにあの人達には見覚えがないの?」

 

「ああ、無い。見たところ、制服こそ間違いなくこのサント・アンヌの物だが……いくらなんでも、あんな凶悪な人相をしているヤツ等があんなに大勢いたら忘れることなどありえないさ……う゛ぷ」

 

「どうしようリーフちゃん、これじゃ船長さんを安全な所に連れて行くどころじゃ……」

 

「……人の物やポケモンを無理やり奪う……まさか……」

 

 予想外の修羅場に理解の外の光景が重なって、動きが封じられてしまう3人。その中でもリーフはこの状況に対して1つの“答え”を導き出しつつあった。

 

「――おっと、こっちにもまだ避難を始めてない客がいたのか」

 

「っ! こっちにも……!?」

 

 が、状況は刻一刻と動き続けており、3人にその場での停滞を許さなかった。当然と言えば当然、船員? がリーフ達の元にもやって来てしまったのである。

 

「ほらお嬢ちゃん達、お兄さんたちの言う事を聞いて避難をするんだ。さもないと、君達の事をこのこわーいポケモン達が君らをどうするか……わからないよ?」

 

「そ、そんな脅しになんて負けるもんか! ね、リーフちゃん!」

 

 ポケモン達をリーフ達に差し向け、脅迫そのものの発言をする、下卑た表情をした男。その様子は、改めて船長に言われるまでもないほどに、この豪華客船には似つかわしくないものである。そしてその男に従うポケモン達も、トレーナーに似てしまったのか同じような表情をしていた。

 そんな男に対し、気丈な表情で睨み返すイエロー。モンスターボールにも手をかけ、一歩も引かない様子を見せる。

 

 が、そんなイエローに追随を求められたリーフは、イエローの更に先手を取って見せた。

 

「……みんな、お願い」

 

「フシィッ!」

「ピッジョォ!」

「グォアアッ!」

 

「ピキィ!?」

「ラッ!?」

「アボッ!?」

 

「なあっ!? サンド、コラッタ、アーボ! ……お、俺のポケモン達が――!?」

 

「……寝惚けてるの? 人にポケモンを嗾けて強盗なんてしようとしてきた癖に。口を動かす前に、手を動かせば?」

 

「て、テメエ、よくも!」

 

 よくもも何も、そっちから仕掛けてきたのでは――と、リーフは呆れを込めた視線を男に向ける。そう、リーフはノータイムで自身の手持ちであるフシギソウ、ピジョン、ニドキングを繰り出し、速攻を仕掛けてみせたのだ。

 そしてレベル差もあったのか、不意の速攻に対処できなかった男のポケモンは皆一撃で戦闘不能となってしまった。

 

「ちょ、リーフちゃん!? いきなり!?」

 

「……イエロー、構えて。……やるよ」

 

「やるって……その間、船長さんはどうするの! 放っとけないよ!?」

 

 リーフの突然の攻撃に付いていけない様子のイエローに対して、リーフは戦意を漲らせて蛮行を尽くす男達を睨み付ける。

 そうしたリーフを見て、大不調真っただ中の船長を省みるよう言って思い留まらせようとするイエロー。

 リーフからすれば事ここに至って何を躊躇っているのかと言う場面なのだが、イエローにとってはどうやらそうではないらしい。

 

 自分が今まで交流を持った人たちの中でも、特別心優しいこの子のことだ、例え正しい行いだと頭では分かっていても、あからさまな悪行を尽くす男達に対してすらも暴力を行使するのは躊躇いが強いのだろう。そもそも戦いが好きじゃない、出来れば避けたいという思いもあるのだろうが。

 目の前の男に視線を向けつつも横目ではイエローを見てそう考え、どうすれば説得できるかと思案するリーフ。

 

 自分の推測の通りなら、コイツ等はただ正体不明の不審船員どころじゃない、とんでもなく悪いヤツ等である。

 船長の為、そして何よりレッド達のことを思えばそれこそ、可及的速やかに片付けるべきなのだが――そんなリーフの思考を読んだわけではないだろうが、2人の少女の様子を見て、船長が重い口を開いた。

 

「お、お嬢ちゃん達……私のことは気にしなくて良い。乗客の皆様のことを助けてあげてくれないか」

 

「……ありがとう、船長さん。……だって、イエロー」

 

「……うう~……わかりました! それなら船長さんも、この船のお客さん達も、両方ともボクが守ってみせます!」

 

 啖呵を切るイエロー。リーフと船長、2人から促され腹を括ったらしい。

 この思い切りの良さも、私とレッドとの旅で身に付けたものかな。なんてことを考えつつ――リーフは、こっそりとこちらに近づいて来ていた別のポケモン達へと意識を向けた。

 

「隙アリィ! 行けお前たち!」

 

「……そんなもの無い。フシギソウ、ピジョン、ニドキング!」

 

「シィッ!」

「ピジョッ!」

「グォオッ!」

 

 さっきの仕返しとばかりに不意打ちを仕掛けてくる新手に対し、警戒を緩めてなどいなかったリーフは即座に反応。場に繰り出していた3体の名前を呼ぶ。

 そしてその声を受けたポケモン達も、すぐさま各々の攻撃技を繰り出し、不意打ちを完全に防いで見せた。

 

「ちっ、気付いてやがったか。可愛げのないガキが」

 

「まったくだ、とっとと仕事を終わらせて引き上げたいのによ」

 

「おい、なんでも良いからさっさと畳んじまうぞ! こんなガキども、囲めばあっと言う間だろ!」

 

「……自分の思い通りに振舞う女が可愛いなんて言う男、こっちからお断り。それに、私達はそう簡単にやられないよ。……イエロー」

 

「うん! ――行くよ、チュチュ、ピーすけ、コリンダ!」

 

 リーフの実力を見た為か、続々と集まって来る新手達。一触即発の状況である。

 船員に扮する男達と2人の少女、どちらから仕掛けるか。

 

 ――そんな状況の中、場違いなほどに気の抜けた声がその場に響いた。

 

 

「やめとけやめとけ。今の嬢ちゃんのポケモンの動き見てなかったのか? その嬢ちゃん達、相当()()()ぜ。お前らじゃ敵わねーよ!」

 

 

 その場にいた者達全ての出鼻を挫くその声の方へと皆が視線を向けると――そこにいたのは、その表情と服装とのチグハグさが何とも妙な雰囲気を作り出している、不審な男であった。

 

「……今度は誰?」

 

「えっと……船長さんに似た服を着てるけど」

 

「「「副船長様!?」」」

 

「……様、ね」

 

 新たに闖入してきたその副船長と呼ばれる男は、リーフ達を囲んでいる男達と比べて、凝った作りの、一目で高い役職に就いている分かる制服を着た中年程度の男であった。

 パッと見では如何にも海の男と言った風貌は、何も事前知識が無い状態であればすんなりと「ああ、この豪華客船の偉い人なんだな」と無条件で信じさせるだろう。

 が、今、自分達を囲む男達に、「副船長()」と呼ばれたこの闖入者に対してリーフは、男達よりもう一段階高い警戒を向けた。

 

「あーっ、たく、副船長()なんておかしな呼び方するなって言ってんだろ、バレるだろうが。……ま、もう良いけどよ。とにかく、お前等は他の乗客の“避難誘導”を済ませちまいな! このお嬢ちゃん達は俺様がやっちまうからよ!」

 

「き、貴様、副船長ではないな。何者だ、私の部下達を何処に……うぷ」

 

「おいおい、あんまり無理しない方がいいんじゃねーか、船酔いオヤジさんよ。ま、こっちはここ十数日、お前のそれのお陰で好き勝手出来たからな! 感謝してるぜ、ぐわははは!」

 

「え、でも結局、あのガキ2人とマヌケな国際警察に、船倉に監禁してた副船長とクチバから攫ってきたジョーイと、あと身代金目当てで攫ってきた金持ち連中を見つけられて全部ご破算だ、って」

 

「ああ、あの時の副船長様の狼狽えっぷりといったらもう……」

 

「そこぉ! 余計なこと喋ってんじゃねーぞクソ共が! ああクソクソクソ、よりによってボスを倒したあのガキに見つかるなんて……そんなのナシだろ! ていうか『あの倉庫には絶対入るな』っつったろうがチクショウあのクソ赤め!」

 

 尊大に振舞ったかと思ったら、どうやら部下であったらしいリーフ達の周りを囲んでいるニセ船員達の言葉を聞いて地団太を踏み始める男――船長の言葉が正しいなら、ニセ副船長。

 この男もやはりこの船の正規の船員ではないのだろう。そして何より、デッキで暴れるニセ船員達に指示できる立場にいるらしい……恐らく、この事態の首謀者に対し、リーフは自分の推測を突き付けた。

 

「……ボス云々はよく分からないけど……やっぱり、ウチのレッドが何か、貴方達の邪魔をしたんだね。……ねえ、ロケット団?」

 

「「「!!? な、何故バレた!?」」」

 

「な、なんだと!? ロケット団!?」

 

「り、リーフちゃん、それって……!」

 

「……ふー……、勘が良いなお嬢ちゃん。いや、気付いてもおかしくねーか。それこそ、よっぽどのマヌケじゃあなけりゃあな。なあ、船長さんよ?」

 

「くっ……う゛っ」

 

 リーフの言葉を聞いて気を取り直したらしいニセ副船長は、それぞれの理由で驚愕している周囲を尻目にリーフへと向き直り、ニヤリ、とあくどい笑みを形作った。

 

「そうよ、俺たちゃ泣く子も黙るロケット団様よ! そしてもう聞かれちまったから教えてやるが、このサント・アンヌ号をクチバから攫ってきた連中の監禁場所として使わせてもらっていたのさ! いやあ、楽な仕事だったぜ? なんせ船長ともあろう男が、一番身近な部下である筈の副船長が別人と入れ替わってることにまったく気づかないんだからな ぐっはっはっはっは!」

 

「そうっすね。この船酔いオヤジときたら、いっつもゲーゲーやってて副船長様とロクに話もしようとしませんでしたからね。そりゃ気づけないっすよ」

 

「あー、この人、外見の模倣の完璧さはともかく、演技はいっつもお粗末だっていうのになあ」

 

「だから余計なこと言ってんじゃねーぞソコぉ!」

 

「……この際、私のことは良い。だがもう1度聞くぞ。私の部下達をどうした!?」

 

 驚きを一旦脇に置いたのか、船長がニセ副船長に食って掛かる。このカントーにおいて誰もが知っている犯罪組織の名前が出てきたことで、行方が知れない部下達が心配で堪らないのか、不調により青白くなっているその顔が、焦燥で更に悲愴に歪んでいた。

 しかしそんな船長に対して、ニセ副船長は嘲りの顔で答えを返した。

 

「ああ? 本物の副船長なら、今頃あのクソ忌々しいレッドの野郎に助け出されてここまで登って来てる最中だろうよ。ザコ共は知らん。こうして事を起こす為に、船内中にあるワープパネルの緊急避難機能*1を全部起動して、テキトーに畳んでやった後に出先にしたクチバの港へ全員放り出したからな。ま、何人かは抵抗してきたんで少し念入りに痛めつけて海へ放り捨てたけどよ。時間が惜しかったんでトドメまでは刺してねえ筈だから、運が良けりゃあまだ生きてるんじゃねーか?」

 

「きっ、貴様!」

 

「……なら、さっさと貴方を倒して、船員さん達を助けないとね。――みんな!」

 

 ニセ副船長に対して、怒りを露わにする船長を庇う立ち位置に陣取ってフシギソウ、ピジョン、ニドキングを嗾けるリーフ。

 この男の話が本当なら、時間をかけるわけにはいかない。故にさっきニセ船員を仕留めた時と同じように、不意の速攻で早々にカタを付けることを選択したのだ。

 

「おおっと、そう何度も同じ手が通じるわけねーだろ! ドガース、ゴルバット、ラッタ!」

 

「モックリ……」

「シャアッ!」

「ラッ!」

 

 だが、流石にリーダー格と言うべきか。

 先程のニセ船員とは異なり、ニセ副船長は即座にポケモンを繰り出して対応、リーフのポケモン達の攻撃を全て防いで見せた。

 

「……流石に無理か。さっきの人とは格が違うね」

 

「ぐはは、その通り! さっきの台詞からしてどうもレッド(あのクソガキ)の知り合いらしいが、だからと言って俺様をそう簡単にやれるなんて思うなよ、お嬢ちゃん?」

 

「……望むところ」

 

 ニセ副船長と相対するリーフ。表情こそ違えど互いに視線を逸らさず、2人の間に生まれる一触即発の雰囲気が、その場の空気をよりチリチリと肌を刺すようなものへと塗り替え始める。

 そしてそんな友達を見たイエローは、気を取り直して繰り出した手持ちへ、そして依然として自分達を取り囲む男達へと意識を向け直した。

 

「リーフちゃん、ボクはあっちの人達をやっつけるから、そのおじさんはお願い!」

 

「……うん、頼りにしてるね、イエロー」

 

 イエローの【力】の一端である「バトル中の手持ちへの『さいせいりょく』追加付与」さえあれば、多勢に無勢なんて展開にもならないだろう。自分がこの男を倒すまでの間、十分に持ちこたえてくれる筈だ。

 そう考えたリーフは、周りのことは気にせず、イエローへと背中を預ける。

 

「ん? なんだ、そっちのお嬢ちゃんは俺とやんねえのか。――おい、お前ら! こっちの帽子被ってる方は俺がやるから、そっちの金髪のお嬢ちゃんはお前らがやれ。2人いっぺんには無理でも、1人だけならお前らでもやれるだろ。だが出来るだけ手荒な真似はするなよ! 酷ぇ目に遭わされたくなけりゃあな!」

 

「へ? いったい何を……」

 

 が、ニセ副船長は2人の少女のやり取りを見て、周りの部下へと追加の指示を言い付けた。

 そして突然名指しされたイエローは当然、疑問の声を発する。

 

「ぐっふっふ、なぁに、簡単な事よ。そもそも俺は、そこのマヌケへお嬢ちゃんが【癒しの力】を使ってるところを見てたから出てきたのさ。俺の誘拐担当区域からは外れてるから見覚えは無えが、お嬢ちゃん……トキワの人間だろ? 地獄に仏とはまさにこのことだぜ。レッドの野郎に俺達のここ最近の努力をご破算にされちまった時は頭を抱えたが……最低でも【癒しの力】の使い手1人(お嬢ちゃん)を連れて行けば、なんとか最低限、ボスに対する言い訳も効くだろうって寸法さ。ぐはははは!」

 

「ボクを連れて行くって……誰が貴方達みたいな悪い人なんかと!」

 

「……そんな皮算用で……ますます許せない。私の大事な友達を、貴方みたいなヤツに渡したりしない!」

 

 軽薄な口調で明かされた敵の狙いを聞いて、普段は温厚なイエローも流石にその勝手な言い分に怒り、リーフもまた友達をまるで物の様に言うその身勝手さに、いよいよ怒りを抑えきれなくなっていた。

 しかしニセ副船長もまた、そんな2人を見て益々嘲りの表情を強めて口を再度開いた。

 

「お前等の意志なんか関係ねーんだよ、無理やり攫っていくんだからな! おっと、もしかしたらレッドの野郎が駆け付けるのを当てにしてるかもしれねーが、生憎、今アイツ等は俺達が最後っ屁をかまし終えるまでの時間稼ぎの対処に手一杯の筈さ。……間に合うなんて希望は持つなよ? ぐわーはっはっは! ――さあ、始めるぞ野郎ども! 大人を舐めてるクソガキ共に、大人の怖さってヤツをイヤと言うほど教えてやれ!」

 

「――今度こそやるよ、イエロー! フシギソウ、“はっぱカッター”! ピジョン、“でんこうせっか”! ニドキング、“だいちのちから”!」

 

「うん、絶対負けない!! チュチュ、“わるだくみ”! ピーすけ、“エレキネット”! コリンダ、“うたう”!」

 

 飛び交う人間たちの大声、それに応えるポケモン達の技、一瞬で熱狂に染まる空間――。

 船底の少年達に続いて、デッキにて少女達のバトルが始まったのであった。

*1
 オリジナル設定。余り気にしなくて良いです。

 豪華客船ならいざという時の避難機能ぐらい充実させてるでしょ。そしてワープパネルなんてものが船内いたるところにあったらそりゃ有効活用するでしょ。という連想です。




後書き

 はい、というわけで実は生きてました。
 色々あってモチベが死んでましたが、最近になってちょっと回復してきたのでコッソリ投稿。久しぶりで文章が取っ散らかってる感が否めないですが、笑って許してください。(最低)
 あと、一応ネタは纏めてあるので、またボチボチ文章へと起こしています。
 じゃあ次はいつかって? 知らねえ!(一応、現在進行形で書いてます)

 では、次回も引き続きサント・アンヌ号回となります。
 たぶん次回あたりで、この慌ててたり妙に自信満々だったりと忙しない、ロケット団扮するニセ副船長の正体が判明すると思います。(おそらくもう、大体の人は見当をつけているでしょうが)
 皆様、またお気を長くしてお待ち頂けますと幸いです。ご感想もお待ちしております。
*1

*1
2025/01/24 ~ 2025/9/23にご感想をくださった方々です。まことにありがとうございました。
①kiakia様
②sleif様
③こなやまそーか様

クチバシティに見え隠れするロケット団の影。今回の事件に関わっているロケット団のネームドキャラは誰?

  • サカキ
  • アポロ
  • アテナ
  • ラムダ
  • ランス
  • 上記5人の誰でもない
  • ネームドキャラは関わっていない
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