原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」   作:ゴーイングマイペース

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前書き

 最近なんだか相棒ピカチュウが出てくる二次創作(これから出てきそうな感のある作品も含む)が増えているような気がします。嬉しい……ウレシイ……。

 そしてどうせならこの調子で、ダークポケモンを扱う作品とかも増えないかなぁ……面白いと思うんだけどなぁ。
 増えろー! ダークポケモン登場作品も増えろー! 自己供給も楽しいけど、他の方が書いたのも読みたいんだー!





 では、サント・アンヌ号編完結回――とはなりませんでしたぁ!
 ごめんなさい、長くなったんで分割しました!


028(カントー17) クチバシティ(サント・アンヌ号) 10歳 08 VSロケット団幹部〇〇〇 シングル(中編)

5月○×日 8ページ目 10歳 クチバシティ サント・アンヌ号

 

『RD』

 

(愉しんでやがるあの邪神……! ――ん?)

 

 よく見たらこの画面、まだ下にスクロール出来る……?

 ――! これは!!?

 

 

『アプリ【ダークポケモン・スナッチャー】を受信、インストール致しました。アプリを起動しますか?』

 

 

「……………………」

 

 お、怒り辛い……! 人のことを難易度ハードモードに放り込んで、更にえっちらおっちらしてる様を愉しんでる邪神の癖に、相変わらず痒い所にサポートの手を伸ばしてくださりやがって……!

 

 って、怒りと感謝で胸をかき回されてる場合じゃない。この状況の突破口になりそうなものが都合良く降ってきたんだ、早く詳細を確かめなければ!! 波導思考強化、加速!!!!!

 

 

名称性能

ダークポケモン・スナッチャー このアプリ起動時に手にしたモンスターボールを、ダークポケモン強奪専用モンスターボール「スナッチボール」へと変化させる。*1

 なお、スナッチボールへの変化には、アプリ使用者の波導エネルギーを用いる。

追記:せっかく贈ったサポートアプリの所為で君が周りに疑われるのは本意ではないので、日頃から「波導だ」で色々ムチャクチャを押し通してる君が誤魔化しやすくなる仕様にしておきましたよ☆ うーん、これは善神!ミ☆

 

 

(――やっぱり煽ってやがるなアンチクショウ!!?)

 

 ていうかムチャクチャを押し通してるってなんだ、俺の日頃波導でやってるアレソレが頭おかしいとでも!? これくらいマサラ人なら簡単に出来るわ!!*2

 クソが、後で覚えてろよ……「なんでもかんでも波導パワーで押し通せると思わないで」ってリーフやイエローに言われてスナッチについての上手い言い訳が思い浮かばずにピンチになる、俺の今世紀最大の困り顔をご覧いただくからな……邪神め……!!*3

 

(って違う、それは今はどうでも……良くは無いけど一旦置いといて、問題は「スナッチ」の為の力は手に入れても、そもそも前段の「撃破」に現状目途が立たないことなんだが)

 

 高速の電撃を後出しの技で迎撃できるあの反応速度、そして正体不明にして高火力の『ダークわざ』、更にはこちらの反撃を容易にさせない火力封じ。

 便利アプリがどうこう以前に、これらを突破する手を見つけない限り完全に手詰まりなのだ。どうする……!?

 

「くっくっく、その忙しない百面相からすると、『一体どうしてマタドガスがこんなに強いんだ』とでも考えてそうだなぁ?」

 

「――え?」

 

 アプリの確認と高速思考を一旦止め(この間1秒未満)聞こえてきた声の方へ視線を向けると、そこには依然として自信に満ちた様子で俺とピカチュウを嘲笑するラムダの顔があった。

 

「そうだよなぁ、ポケモントレーナーたるもの、『意味の分からない負け方』ほど嫌なもんはないしなぁ?」

 

「……聞いたら教えてくれるっていうのか? それは流石に調子に乗り過ぎだろ」

 

「グハハハハッ! ご自慢の相棒を俺の良いようにされてそんな顔してるガキの台詞じゃねーなあ、そりゃあよお!!」

 

「く……」

 

 この野郎、自分のボスの仇討ちのチャンスとでも考えてんのか(うっれ)しそうに……! しかも技の撃ち合いでピカチュウを負かしたもんだからもう絶対に負けは無いって思ってやがるな……!?

 

「いいだろう、どうせもうテメエに勝ち目なんか無えんだ。冥途の土産にこのダークマタドガスについて教えてやるぜ。その間に精々、俺に勝つ作戦でも考えるんだな!」

 

「この……!」

 

(――イヤ落ち着け俺、これはチャンスだ!)

 

 いつかのサカキのように俺達を舐め腐っている目の前の男へと言い返そうとしたが、寸前で思い留まった。

 そうだ、せっかく敵が都合良くこっちに情報をくれるって言うんだ。これを逃す手は無い!!

 頭を更にフル回転させろ……ラムダが勝手に調子に乗っているこの隙を逆手に取って、このバトルに勝つ為の作戦を捻りだすんだ!!!

 

「さあて、何から話してやるか。……そうだな、まず俺等ロケット団が拾ったオーレ地方の組織……シャドーの残党が持ち込んだダークポケモン化……ポケモンの精神改造技術ってのは、ポケモンが何やらせてもロボットみてえ従順に言う事を聞くようになることや、傍目には普通のポケモンと見分けが付かないって特徴、それにタイプ相性を無視して等倍ダメージを与える固有技こそ便利だったが……それ以上に問題があった」

 

 結局俺が何も言い返さなかったのを了承と取ったのか、それともそもそも俺の意志など問題としていなかったのかはわからないが、とにかくラムダは話を始めた。

 ダークマタドガスに近付き、小さい方の頭を撫でながら……自分にまったく反応しないマタドガスの、生物として余りに不自然なその様など、まるで気にも留めない様子で。

 

「それが【ハイパー状態】っつう、【混乱】を更に悪化させたようなダークポケモン固有の状態変化だ。俺にゃあ見えねえ『ダークオーラ』ってのが、体内に逆流することで発症するらしいが……」*4

 

 ダークポケモンについて語るその顔は早くも悦に入っており、自慢のオモチャを見せびらかすのが楽しくてしょうがない子供のようだ。

 というか実際早くも重要である筈の情報をポロポロ喋り出してる辺り、余程このバトルに自信があるのだろう。

 

「これがどうにも手に負えねえ。すぐ暴走して命令を無視するわ、ポケモン相手ならともかく人間、それも敵味方問わず牙を剥くわ、不意に自傷し始めるわと、兵器として扱うにゃイマイチ使い勝手が悪かった。その癖、下手に改善しようとするとせっかくの精神改造が緩んで閉ざした筈の心が開き始めちまうと、シャドーの技術者……ボルグって奴も手を焼いていたぐらいの欠点だったのさ」

 

(……今のところ、聞くのも見るのも腹が立つけど……ここまでは、ダークポケモンについて俺が知っている情報の通りだな。それが一体どうしたら、あの超火力の“ダークスラッジボム”や、“ダークタウント”なんて技を生み出せるほどに強化できるんだ……?)

 

 ポケモンを兵器としか見ていない話の内容、またそうしたことに対して何も気にしてないと言わんばかりの顔。

 その全てが癪に障るが、それでもグッと堪え、ここからの内容にこそ逆転のヒントがきっと眠っている筈だと話の続きを待つ。

 

 

 

「――だが、そこでブレイクスルーを起こしたのが……俺達ロケット団が持っているポケモンの遺伝子操作技術による、身体改造だ!」

 

「――は?」

 

 ――そしてすぐに、その選択を後悔させられた。

 

 

 

「……遺伝子操作? 身体改造?」

 

 ラムダが放ったその返答は、俺の常識など遥かに超える最悪の衝撃となり、これでもかという勢いを持って俺の頭を殴り付け。

 手ぐすね引いて待っていた情報の筈なのに、その瞬間俺の頭からは……「この隙を逆手に取って作戦を練る」なんて、すっかり抜け落ちてしまった。

 

「お、驚いてるな? いいぜいいぜ、良ーく聞いておけよ。こっからが本番だからな!! まず遺伝子操作ってのは、俺達ロケット団が()()()()()()を製造・強化する為に元々培っていた技術なんだが――」

 

 俺が愕然とした様を見て更に調子に乗ったらしいラムダの口調が、より熱を帯びていく。

 そしてそこからラムダの自慢話が終わるまでの僅かな時間は……この世界に生まれてからずっとポケモンと共にあった俺にとって、まさに人生最悪の時。

 

 

 

「――これがまた偶然、上手くダークポケモンと噛み合った。精神改造を施すことでどうしても不意に起きる発狂を抑制する為の、身体からのアプローチ!! 心を閉ざすだけでなく、体も弄る!!! この2方向からの改造をロケット団の下で受けることで、ダークポケモンは飛躍的な発展を遂げたのだ!!!!!」

 

 聞くに堪えない、

 

「とはいえ、勿論簡単じゃねえ。元から精神改造なんていう無茶をしてる所に、更に肉体改造を施すわけだからな。特に試し始めた当初は、【ハイパー状態】をどうにかする以外にも、色々と性能を欲張ろうとし過ぎてたりしてなあ……()()()も多かったんだぜえ?」

 

 目も当てられない、

 

「ま、その数が1000か、2000か……10000ぐらいはいってたか? ともかくそのぐらいまでで有望な結果が出た分だけで性能強化は妥協して、【ハイパー状態】の抑制へと完全に舵を切ったからそこまで問題にはならなかったがな」

 

 鼻が曲がりそうで、

 

「そして、最終的な結果は上々よ!! 【ハイパー状態】の完全な抑制こそ叶わなかったが、それでも【リバース状態】と改めて名付けられたそれは不具合が大幅に改善され!!! 『ダークわざ』のタイプ相性無視効果も、等倍どころか効果抜群のダメージを与えられるという凄まじい強化を遂げ!!!! 更に、それまで1種類しかなかった『ダークわざ』の種類を大幅に増やすことにも成功した!!!!!」

 

 吐き気が収まらず、

 

「その一部が、お前達がさっき喰らった技さ。これまで一部の凄腕トレーナーしか覚えさせられなかった、『タイプ複合技』のダークオーラ複合Ver!! 既存技の、単純だが絶大な効果増強!!! それらどれもが凄まじい性能を誇り、特に高レベルのポケモンをダークポケモンへと改造して使わせれば、そりゃあとんでもない威力になる!!! たった今、お前が体感しているようになぁ!!!!!」

 

 体の震えが収まらない――、

 

「分かるか? 俺達ロケット団はお前とのボスとの勝負を切欠に、無敵の力を手に入れたんだ! それがこのダークマタドガス、ロケット団の手によって「進化」した、新時代のダークポケモン――『Rocket() Dark()ポケモン』よ!! グハハハハハハハハハハハハッ!!!!!」

 

 

 

 そう、ラムダが自慢げに話したのは、まるで人の所業とは思えない――ロケット団がポケモンへ行った、余りにも残虐な仕打ちだったのだ。

 

(………………RDポケモンだと………………コイツ等、コイツ等……なんてことを……許せねえ!!!!!!!!!!)

 

 信じ難い無道、それを笑って成すロケット団の無情。

 そして何よりロケット団の手にかけられた数多くの罪無きポケモン達の無念を想うと、余りの怒りで目の前が真っ赤になりそうだった。

 

 特に、「タイプ相性を無視して効果抜群」と「【ハイパー状態】の大幅な緩和」。これは本来なら5年後の「ポケモンXD」の仕様の筈だ。

 だというのに、現時点で現実のものとなっている。それも今の話からして、どうもロケット団による肉体改造技術とシャドーの精神改造技術を掛け合わせることで時計の針を一気に進めたらしいが……コイツ等、たった5年を短縮する為だけに、どれだけ最悪な化学反応を起こしやがったんだ……!!?*5

 

「ハッハァー! 良い顔してるじゃねーかレッド君よぉ!! どうだ、自分が今何と戦ってるのか分かったか? 今ならあのイエローっつうガキを置いていけば見逃してやるぜぇ?」 

 

「この……!」

 

 目の前の男の顔が、これまで以上の酷薄で醜く見える。

 クソ、今すぐに目の前で耳障りな笑い声を上げる男を殴ってやりたい。この胸を焼き焦がすような抑え難い衝動を拳に乗せて、何百発とその顔面を凹ませたくて堪らない……!!!

 

 

「――ピカ、ピカピ、ピカチュウ」

 

 

「! ピカチュウ……?」

 

 その時、今にもラムダに飛び掛かりそうな俺へと、ラムダが話している間不思議とおとなしくしていたピカチュウが語り掛けてきた。

 

「ピィ、ピカピ、ピカピカチュウ……ピカ」

 

 ――もう、可哀そう過ぎて見てられない。それにあのマタドガスの今いる所には、もしかしたらボクがいたかもしれないんだ。だから助けたい――。

 

「……お前」

 

 静かに言葉を発しつつ、ジッとマタドガスを見つめ続けるピカチュウ。

 その常に無いほど冷え切った瞳は、これまで見たことが無いほどに苦し気に歪んでおり――同時にその奥には、長く相棒として共にいた俺ですら見たことが無いほどの炎が燃え盛っていた。

 

 そう、ピカチュウは今、ダークマタドガスへといつかの自分を重ね、冷静に同情するのと同時に――目の前で嗤っている男に対しかつてないレベルでブチ切れ、相棒の俺へと、共に戦うことを求めてくれていたのだ。

 ただ一心に――ダークマタドガス(もしもの自分)を助ける為に。

 

「……ああ、そうだな。――俺達が、やらなきゃな」

 

(――バカか俺は! こういう時こそまずトレーナーが冷静にならなきゃ、勝てるバトルも勝てなくなるのに!)

 

 余りにダサ過ぎる……! そうだ、ラムダが許せないならそれこそ、ただ怒りのままに動くんじゃなく自分の持てる限りを尽くさなきゃいけないだろ!

 しっかりしろ俺、ラムダがベラベラ喋った情報も合わせて、改めて考えるんだ――あの“ダークスラッジボム”を攻略し、ダークマタドガスを弱らせ、スナッチボールを当てる――その為の、とびきりの作戦を!!

*1
「スナッチボール」とは、『ポケモンコロシアム』『ポケモンXD』で主人公がダークポケモンを強奪(スナッチ)する時に使用する特殊なモンスターボールのことです。

 両作品では、肩から手にかけて装着する手甲のようなアイテム「スナッチマシン」を身に付けた状態で、既存のボールを握ることによりボールにスナッチの機能が付与され、使用可能となります。(ボールの外見は変化しません)

*2
出来ません。一般マサラタウン在住の方々への著しい風評被害に相当します。

*3
?????「今まさに波導使って思考加速なんてしてるのに。草」

*4
【ハイパー状態】とは、ダークポケモンが『ダークわざ(ダークラッシュ)』を使用した時に一定確率で発症するダークポケモン固有の状態変化のことであり、以下の複数の症状が現れます。

 

・“ダークラッシュ”が急所に当たりやすくなる

・「コロンケース」の各種「かおり」というアイテム以外の道具を受け付けなくなる

・“ダークラッシュ”以外の技を選択しても命令に従わず、以下のように行動する

 ・技を勝手に選ぶ (“ダークラッシュ”が選ばれることが多い)

 ・自分のトレーナー、または相手トレーナーを攻撃する(ゲームシステム上は何も起こらない)

 ・自分自身を攻撃

 ・何も行動しない

 ・持たせていた道具を勝手に使う

 ・モンスターボールに戻る

 

Q.つまりどういう状態?

A.他人産の命令無視+混乱、そこへ更に色々な不具合を詰め込んだ、いわば【大混乱状態】とでも呼ぶべき状態

*5
『ダークわざ』は『ポケモンコロシアム』の5年後、『ポケモンXD 闇の旋風(かぜ)ダーク・ルギア』の時代になると、以下のように仕様が変更されます。

 

・18種類に技数が増加

 ⇒『ポケモンXD』は第3世代の作品だが、これらは技ごとに物理・特殊で別れている。

  現代まで続く技分類の先駆け

・使用すると、【リバース状態】というダークポケモン固有の状態変化を発症する確率を高める

 ⇒【ハイパー状態】が大幅に弱体化された、新たなダークポケモン固有の状態変化。

  発症すると、ターン毎に最大HPの1/16の自傷ダメージを負う

 

 Q.つまり、『ポケモンXD』の『ダークわざ』ってどういう技?

 A.公式によるポケモン改造チート。こんなもんオーレ地方の外に持ち出すなんて許されないよ




後書き

 今回出てきた「eXtra(X) Dark()ポケモン」ならぬ「Rocket() Dark()ポケモン」ですが、これは『ポケモンXD』時代のダークポケモンに本作オリジナル要素を混ぜたものです。
 公式にこんなダークポケモンは存在しませんのでご注意ください。念の為。

 しかし、こんなものを生み出すロケット団withシャドー残党が余りに悪逆非道過ぎる……ただでさえ原作でも殺ポケしてる悪党なのに、ダーク成分と化学反応させたらとんでもないクズ集団にミラクルダークレベルアップしてしまった。何故……?()


 あと、改めて申し訳ございません。次回こそVSラムダ決着です。
 必ず決着させます!! 作者を信じて、トラストミー!!!


 では皆様、またお気を長くしてお待ち頂けますと幸いです。
 お気に入り登録、高評価、ご感想、誤字脱字のご報告もお待ちしております。
(今回から非ログインユーザーの方でも感想を書けるよう、設定を変更しました)*1

*1
2025/12/18 ~ 2025/12/21にご感想をくださった方々です。まことにありがとうございました。
①kiakia様
②天ノ羽々斬様
③Goro5656様
④みつき様

ラムダが操るダークマタドガスに、どうやら一方的に負けてしまったらしいリーフ。何故そこまで一方的に負けてしまったのか?

  • レベル差により発生する、技威力の差
  • ダークポケモン特有の能力、技
  • 両方で理解らされた
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