原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」 作:ゴーイングマイペース
クチバシティ編最終回……なのですが、キリが悪いので分割しました。
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【実験レポート 02】中期フェーズ:第1次負荷実験(みずタイプ)
【実験体】:個体番号 E-150(唯一の生存体・♀)
【経過報告】:
05/△φ 13:00:
前回の選別から日を置かず、E-150をケージ内に緊縛し、そこへ大量の「みずのいし」を隙間なく投入した。逃げ場のない密閉空間で、飽和状態の強烈な水進化エネルギーを全身の皮膚や粘膜から直に吸収させ、シャワーズへの変異を促す。
過剰な進化エネルギーによる細胞の液状化プロセスに伴い被験体は激しい悲鳴をあげるが、驚異的なそのタフさにより、自力でバイタルを安定させてみせた。通常の同族ならとっくにショック死している変異圧力下で耐え続けることを可能とするその体力は、このE-150の特異性を最も単純、かつ明快に表していると言えるだろう。
05/△φ 13:20:
細胞の液状化・結合が完了。データを確認し、驚愕した。
変異したシャワーズの特性である耐久力(生命維持力および衝撃吸収性)の数値が、同族の比率から逆算される予測値を遥かに超過し、同レベル帯のシャワーズにおける最高観測記録よりも圧倒的に優れた高数値を維持しているのだ!
かなり高圧の負荷をかけても細胞が破綻せず、凄まじい耐久性を誇るその肉体組織は、これまでのイーブイとその進化形態における全ての実験データや前例に照らし合わせても、完全に常軌を逸している。
更に、細胞内組織からシャワーズ固有の性質を逸脱した、高密度の特殊なエネルギー波動が微弱に検出された。
このような生物学的変異の限界を底上げしている第一の要因は、やはり「M-01」がもたらす全属性への無限の適応性と治癒の恩恵にあると見て間違いない……とは言い切れない。
何故なら、この規格外の耐久数値を全て遺伝子改変の影響にのみ帰結させるには、細胞の耐久構造そのものが最初から完成されすぎている。シャワーズの長所をより強く引き出せる形が、変異前のイーブイの時点で、すでにこの次元の負荷に耐えうる独自の生命力のひな形として完成していたかのようだ。
05/△φ 13:45:
変異状態の戦闘性能を測定するため、ラボ内にバトル実験用の頑強な戦闘用ポケモン(検証用の標的)を投入し、実戦形式のバトル実験を敢行。
E-150はオレの指示に一切従わず暴走状態であったが、敵の猛攻をシャワーズが有する驚異的な耐久力で全て正面から受け止めてみせた。
さらにこの交戦時、くさ・むし・ゴースト等の限定されたタイプ以外ではほとんど確認されていない『HP吸収(ドレイン)効果』を持つ技を、あろうことかみずタイプとしては初となる術理形式として発現させる超常現象が観測された。
「泡沫状の特殊な水エネルギーの塊」が被験体から瞬間的に放出され、標的に網羅的に命中。その直後、標的にダメージを与えると同時に、被験体自身の低下していたバイタルおよび肉体裂傷が、多くのドレイン技の仕様通り「与えたダメージの半分」に完全に同期して急激に補填・自己修復されたのである。
E-150は、みずタイプでは初となる【HP吸収技】を習得してみせたのだ!
05/△φ 14:15:
ケージ内の石を強制排出。進化エネルギーの遮断に伴い、イーブイの姿へと強制退化させた。
今回も退化のプロセスにおいて肉体への拒絶反応は一切観測されず、バイタルは瞬時に平時のそれへと戻った。
【総括】
変異(進化)の瞬間こそ激しい苦痛の脳波を観測するが、イーブイへと戻る際には一切の負荷が見られぬ。これは元々のイーブイとしての構造の妙な頑強さ、あるいは「M-01」の持つ「原点に回帰する」復元力の高さを示している、というのが現時点で最も可能性が高い仮説である。
そしてイーブイに戻った瞬間、ボロボロの体でありながらも、オレたちを噛み殺そうと激しく威嚇する様子を見せた。この♀は、持って生まれた驚異的な粘り強さと、家族を奪われたことへの猛烈な復讐心だけで、精神の輪郭を維持している。
どれほど過酷な負荷を与えても折れることのないこの底知れない意志力は、ボスへの恩義に報い、我が組織に最大の利益をもたらす上で、大いに役立つことだろう。
ボルグファイルE4-S
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5月○*日 3ページ目 10歳 クチバシティ クチバジム
『激闘終わって』
「――ピィ~カァ~……」
「とっとっと、お疲れ。ピカチュウ」
全力全開で体中の力を絞り出し切ったんだろうピカチュウを抱き上げ、ゆっくりと背中を撫でてやる。
……マチス、そしてライチュウ。バッジ3つ目にしてとてつもないジムバトルだった。だけど同時に……今回も最高のジムバトルだった!
「――素晴らしい! 実に見事なジムバトルだったよ、レッド君!」
「まったくだ。話に聞いていた以上の見事な腕前! 良いものを見せてもらった!」
「えっ、ハンサムさん!? それに船長さんも!」
俺がマチスとの余韻に浸っていた、まさにその時。
なんと俺の後ろ、バトルフィールド外へと続く通路から拍手と共に現れたのは、国際警察のハンサムさん。そしてサント・アンヌ号の船長さんだった。
更に彼等の足元には、ハンサムさんの相棒グレッグル、そしてゼニガメが。グレッグルは相変わらず一見だけでは何を考えているか分かり辛い顔だが、ゼニガメの方は俺とピカチュウを見て目をこれ以上ない程キラッキラと輝かせている。
う、うおおおっ……純粋な憧れの視線が眩しいっ……!
「ええっと……お2人とも、どうしてここに?」
「ハハハ……実は今日、船長への聴取を最後にやっとサント・アンヌ号での一件が一段落付いてね。そしたら船長がこちらのジムリーダー殿に会いに行くというから、クチバを離れる前の最後の息抜きにジム戦でも観させてもらおうかと同行させてもらったんだ。そうしたら、丁度君が戦っていたというわけさ! いや、本当に素晴らしかった!」
「そうですな、刑事殿。しかし、本当なら後でポケモンセンターへと尋ねに行くつもりだったのだが……こういう偶然もあるものだな。見事だったよ、レッド君」
「い、いやあ……」
こ、こうも素直で開けっ広げに褒められると照れるな……えっへっへっへ。
「――ハッハッハー! そのくたびれたガイが言う通り、とてもエクセレントなバトルでしタ! おめでとう、レッドボーイ! ユーの強さはトゥルース! つまり本物ネー! ……ではユーの勝利の証としテ、この『オレンジバッジ』を。そしてユーのこれからに期待して、この『でんじふゆう』と『でんじほう』のわざマシンをやるヨ! 『でんじほう』は扱いがディフィカルトな技ですが、ユー達なら扱えるでショウ! 」
「はい! 今日は本当にありがとうございました!」
“しんそく”による大逆転に放心していたマチスも再起動し、俺達への称賛の言葉と共にオレンジバッジと2つのわざマシンを渡してくれた。
よし、やるか。いつものお約束! 行くぞ!
「オレンジバッジ、ゲッ――」
「――レッド君、君に頼みがあるんだが良いかな?」
「――とっ、え、はい? 俺に頼み?」
「ああ、このゼニガメのことでね」
勝利の喜びと共にいつものセリフを言おうとしたら、ハンサムさんからデジャブを感じるインターセプトを挿し込まれてしまった。あ、相変わらずタイミングが悪い……!
しょうがなく一旦そちらへと視線を向ければ、ハンサムが足元のゼニガメを優しく見つめていて……そして改めて俺へと向き直り、口を開いた。
「この子は元々、警察が保護した捨てポケモンでね。普段は控え目な割に、どうにもバトルが好きな子で……たまたま縁あって、私のポケモンになったんだ。だが私は国際警察として世界中を駆け回っている身で、余りこの子のバトルに付き合ってやれない。……しかし、君なら。サント・アンヌ号でロケット団の幹部を退け、今、これほど素晴らしいジムバトルを見せてくれた君ならば、この子の未来を花開かせてやれるはずだ! どうだい、連れて行ってはくれないだろうか?」
「えっ、それは……俺は嬉しいですけど……ゼニガメ、お前はどうだ? ハンサムさんと離れて、俺と一緒に来てくれるか?」
ゼニガメはハンサムさんの突然の言葉に「えっ!?」と驚いて、短い首を目一杯仰け反らせてハンサムさんを見上げた。
だがハンサムさんがゼニガメの目を見て優しく頷くと、一瞬だけ何かこみ上げてきた物を飲み込むような顔をした後、俺に向き合って足元へとチョコチョコ寄ってきて抱き着いた。か、かわええ……!
――ここまでされた以上、俺の答えは1つだ。
「はいっ! 喜んで! これからよろしくな、ゼニガメ!」
「ゼニッ!」
俺が手を差し出すと、ゼニガメも嬉しそうに鳴き声を発して、キュッ、と俺の手を握り返してくれた。
うおおおお、可愛い! そして嬉しい! カントー御三家が揃っちゃったよ!
どう育てようか。みずタイプの物理枠はもうクラブがいるから、この子は特殊枠として育てるか? まあどうなろうとも可愛いのでOKです! やったぜ!
「話がまとまったようで良かった。……さてレッド君、私からも良いかな?」
ハンサムさんから受け取った信頼をゼニガメの手と共にかみしめていると、今度は船長さんがその丸太かと見紛うような筋骨隆々の腕を組んだ格好で声を掛けてきた。
……うん、船の上でずっとゲーゲー吐き続けてた時とのギャップが凄え。その威厳溢れる立ち姿もそうだが、あの喉の奥から無理やりに絞り出した今にも途切れてしまいそうな声と、今の重低音の効いた野太く地響きのような声の違いも相まって、脳がバグりそうである。実は別人を連れて来たんじゃないだろうなハンサムさん。
「では改めて……サント・アンヌ号ではあのポケモンマフィアを相手に戦い、撃退してくれて本当にありがとう。それでだ、私からの心ばかりのお礼として、ポケモントレーナーとしての君の助けになる、私の【技術】を君に伝授しようと思ってね。明日、サント・アンヌ号へと来てくれないか?」
「えっと、それって……?」
「オー、
俺が船長さんの言う「ある【技術】について尋ねようとしたら、今度はマチスが遮ってきた。船長さんを見て「心底面白い」とでも思っているようなニヤニヤした笑みを浮かべている。
対して船長さんは、途端にピキッっと額に青筋を立て、
「……相変わらず口の減らない男だな、
「ホワッツ? 曲がりなりにも未だバトルの場に身を置いているミーを、暇があればゲーゲーとピュークしている今のアナタが? 面白いジョークでース!」
「お前こそ面白いことを言うじゃないか。気に入った。殺すのは最後にしてやる」
「え? え?」
突然始まった筋骨逞しい大男2人の口喧嘩。
え、何? この2人知り合いなの?
「……すまないねレッド君。実はこの男とは昔馴染み……元、同じ部隊の上官と部下の関係でね。俺が大佐で……と、話が逸れた。そんなことはどうでもいいんだ。それでだね……」
(いや、どうでも良くないんですけど????? サント・アンヌ号の船長がジムリーダーの元上官????? 何、コ〇ンドー部隊でも結成してたの?????)
「レッド君、君は【技教え】と呼ばれる者達がいることを知っているかな?」
「へ、あ、はい。人間でありながら、ポケモンに“わざ”を伝授できる人達のことですよね」
色々あってそれどころじゃなかったので最近は触れていなかったが、今ちょうど俺が欲しいと思っている技術だ。もしもモノにできれば育成の幅が一気に広がるしな。
……特に、「
「知っているなら話は早いな。……実は、私は幾つかの“わざ”をポケモンに教えられる【技教え】でね。特に“いあいぎり”を教えることにかけては、右に出る者は無いと自負している。それでだ――レッド君、君さえ良ければ、私の【技教え】としての秘儀を君に伝授したい」
「えっ! 貴方が【技教え】!? というかお礼に秘儀って、い、良いんですか!?」
いやそうだ、そういえば最初はグリーンが「この船の船長が“いあいぎり”の凄腕【技教え】」って言ってて、それで【技教え】について何かヒントが貰えるかもと思ってこの人に会いに行ったんだった!
それがヒントどころか秘儀の伝授って……欲しい! 凄く教えて欲しい!!
「……あ。でも俺、確かにラムダをブッ飛ばしましたけど、代わりにサント・アンヌ号をかなり壊しちゃったんですけど……」
「ハハ。良いも何も、むしろこちらが『お礼をさせて欲しい』とお願いしている身なんだ。それに、もしロケット団の目論見が叶っていたら被害はあの程度では済まなかった。それでも気になるというのなら、修理作業を手伝ってくれたことでチャラ、と船長の私が認める。だから遠慮はしないでほしい。……尤も、明後日にはサント・アンヌ号がクチバを発つので、明日しか時間をとれないのが申し訳ないのだが……教えさせてくれる、ということでいいのかな?」
「はい!!! ぜひ!!!!!」
うおおおおおお! まさかコツを教えて貰うどころか、秘儀の伝授なんてことまでしてくれるとは! これは一気に育成の幅が広がる……! ピカチュウ達をもっともっと強くしてやれるぞ! やった!!!!!
「良かったですネ、レッドボーイ。この人は普段はただの船酔いオヤジですガ、陸の上ならこの上なく勇猛な男デス。きっとユーのこれからの旅の助けになる技をティーチしてくれますヨ!」
「はい! ……それじゃあ、改めて――オレンジバッジとゼニガメ、ゲットだぜ!!!!!」
バッジとわざマシン、ゼニガメ、【技教え】の秘儀、あとついでに邪神クエストの達成など、非常に実り多いジム戦になった。
よっし、これからもっともっと頑張って、一気にポケモンリーグまで駆け上がってやるぜ!
――と、大満足のまま終われれば良かったのだが……この日は残念ながら、まだ、終わりにすることはできなかった。
5月○*日 4ページ目 10歳 クチバシティ クチバジム
『リーフの挫折』
「――ベリーベリーエクセレントなバトルだったネ。ユー達の未来が、今から楽しみでならな――ン?」
ハンサムさんと船長さんの話も終わり、改めてマチスがジム戦の余韻を噛み締めるかのように話し始めようとした、まさにその時だった。何かを感じ取ったのか、マチスが途中で言葉を止め、顔をバトルフィールドの出入口へと向ける。
どうしたんだろう、と思い俺もフィールドの外へと意識を向けてみれば、こちらへとどんどん近付いてくる2つの波導を感じ取れた。……いや、あれ? この波導は――
「――マチス、さん……! マサラタウンの、リーフ、です! ……今から、ジム戦を――!」
「待って、ダメ、リーフちゃん! お願い落ち着いて! 1度ポケモンセンターに――!」
「ってリーフ!? お前、いったい……!?」
そして出入口の扉を勢いよく開け放ってフィールドへと入ってきたのは、額や首筋にびっしょりと汗をかき、肩を大きく上下させたリーフ。更にリーフを追い掛けるようにして入ってきたイエローだった。
し、しまった。ライチュウ戦の途中あたりからバトルに夢中になり過ぎて、2人の波導のことが頭からすっぽ抜けてた……!
「り、リーフ君に、イエロー君? いったいどうしたんだい?」
「……穏やかじゃないな。何かあったのかな?」
ハンサムさんと船長さんもリーフ達に目を向けて、声色こそ違うものの、同じように訝しむ反応を見せた。きっと2人の知るいつものリーフと目の前のリーフが結び付かないんだろう。
というか俺だってそうだ。こうして改めて波導で探ってみれば、リーフ、そしてリーフのポケモン達もハッキリと疲労していることが伝わってくる。なのにそんな状態でここまで来るなんて、リーフ、まさかそこまで……!?
「……ヘイ、レッドボーイ。このガール達はユーの知り合いかナ?」
「あ……ハイ。俺と一緒にマサラタウンを旅立った幼馴染のリーフと、友達のイエローです」
「……オーケー」
俺の答えを聞いたマチスは、リーフ達の目の前まで歩み寄ると、ゆっくりと腕を組んで仁王立ちした。
そして、さっきまで俺と話していた時とは対照的に、厳しく冷徹な眼差しでリーフを見下ろす。
リーフはその視線にたじろぐが、マチスは気にせず……ゆっくりと口を開いた。
「ヘイ、ガール。ユーがさっきまでどんな無茶をしていたかハ、その激しい息切れト、ユーの腰のボールから伝わってくるポケモン達の
「……それは、もちろんジム戦を……」
「ノー、ダ。ガール。戦えないネ」
マチスはリーフに最後まで言わせず、切って捨てた。誰にも口を挟ませないその迫力に、リーフは反論が出来ない。
俺と戦い褒めてくれていた時のスポーツマンシップや、ついさっきまで船長さんに絡んでいた時の
「ユーの身にいったいどんなハードなことがあったのかは知らないサ。だけどネ、今のユーは焦りに目を曇らされ過ぎテ、自分のキャパシティを完全に見失っていル。……バトルフィールドじゃあ、そうやって己の限界を弁えないソルジャーから順番に死んでいくのサ。そしてそんな有様でミーのエレクトリックパワーを喰らえバ、ユーの心も、何よりユーを信じてついてきたポケモン達の選手生命にも、二度と元には戻らないクリティカル・ヒットを追うことになるヨ」
「あのマチスさん、リーフはこの前」
「そ、そうです! 確かにリーフちゃんは……その、今はこうなっちゃってますけど、これには事情が!」
「シャラップ。ミーは今、このガールと話していル」
「それは……でも!」
余りの滅多打ちに黙っていられず口を挟もうとしたが、一切取り合おうとしてくれないマチス。
そりゃあこの人はリーフの事情なんて知らないだろうけど、この言い方はあんまりにも……!
「……レッド、良いよ。……マチスさん。そんなの、やってみなくちゃ……」
「――わからなイ、とでモ?」
鋭く、しかし確かな重みを持ったマチスの拒絶に、それでもと食い下がろうとするリーフ。
でもマチスはそんなリーフの言葉を、冷酷さすら感じさせるほど静かな、有無を言わせない絶対さと共に遮った。
「そんな半端なギャンブルに、自分のポケモン達の未来をベットするんじゃなイ。いいか。もう一度、ユーが分かるように言うヨ。――戦場をナメるのも大概にしなさイ。自分の都合で視界を曇らセ、ポケモン達の悲鳴を無視して突撃するような奴ハ、トレーナーを名乗る資格すらないヨ」
「……ッ!」
叫んでもいない。怒鳴ってもいない。ただ淡々とした……絶対的な拒絶。そして、言葉以上にその双眸に宿る圧倒的な意志。
そして、マチスが見せたその「大人の壁」を前に、リーフはそれ以上反論出来ずただ息を飲み、次に、自分の腰に付いている6つのモンスターボールを見て……とうとう、言葉を失ってしまった。
「……回れ右しテ、今すぐポケモンセンターに行きナ。それが今1番にユーが行くべき場所ダ。……しっかり頭を冷やして、ポケモン達のボイスに耳を傾けられるようになったら、いつでも相手をしてやるヨ」
「……わかり、ました。すみません。……失礼……します……」
「リーフ!!!」
「リーフちゃん! ――すみません、ボクも失礼します! リーフちゃん、待って!」
完全に気力を失ってしまったのか、トボトボとバトルフィールドを去って行ってしまったリーフ。
そしてイエローも、一瞬、やるせなさがこもった目で一瞬だけマチスの方を見てから、慌ててリーフの後を追いかけて行ってしまった。
「ッ! マチスさん、バトルありがとうございました! あとハンサムさんはゼニガメありがとうございました! 船長さんもごめんなさい、明日必ず行きますから! ――失礼します!!! 行こう、ピカチュウ、ゼニガメ!」
「アア、早く追いかけてあげなさイ。――
「れ、れ、レッド君! あー、えーと、ゼニガメを……とにかく頼んだよ! また会おう!」
「ああ、待っているよ。……意外としっかりジムリーダーをやっているじゃないか、少佐」
「……そうでもないですヨ、大佐」
――激闘を制し、確かな達成感と共に得たバッジ。
ポケモントレーナーとして、何より得難いものを確かに得たばかり筈なのに……俺の心に今浮かぶのは、罪悪感、そして1人の男としての無力感ばかりだった。
☆サブクエスト14:クチバシティポケモンジム ジムリーダー マチスに勝利せよ
| 達成条件 | 達成報酬 | |
|---|---|---|
| マチスに勝利 | ①ひきかえけん ×1 ②エレキブースター | |
| 手持ちを1匹も瀕死にせず勝利 | ①すごいとっくん(きんのおうかん) ×20 ②わざマシン(秘伝)「フラッシュ」 ×1 ②わざマシン(秘伝)「そらをとぶ」 ×1 | |
| マチスに認められる(わざマシンの獲得) | ①以降の通常任意報酬(すごいとっくん他)倍化 (常時×2) |
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