原点にして頂点「アルセウス様ありがとうございます。でもいつか一発殴らせてください」 作:ゴーイングマイペース
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【実験レポート 03】中期フェーズ:第2次負荷実験(でんきタイプ)
【実験体】:個体番号 E-150(♀)
【経過報告】:
05/△χ 10:00:
拘束したE-150の肉体に、敷き詰めた大量の「かみなりのいし」を直接圧着。またケージ内にも大量に敷き詰め、前回よりもより多量の、通常のイーブイが必要とする進化エネルギーの許容量を遥かに超過している凶悪な電気エネルギーを骨肉へダイレクトに浴びせ、サンダースへの強制変異を開始。
05/△χ 10:15:
通常の必要量より遥かに過剰な進化エネルギーによる細胞組み換えの凄まじい苦痛を伴いながらも、骨格および体毛の針状化が完了。この時点で、直接圧着していた「かみなりのいし」だけは、この後の動作試験を阻害するため取り外した。
変異したE-150は、遺伝子に組み込まれた「M-01」の成分により、通常のサンダースを遥かに凌駕する異常な放電出力、そして通常のサンダースの限界値を軽々と超越した、文字通り目にも留まらぬ圧倒的な素早さ(俊敏性)による暴走を記録。
ここで極めて興味深いのは、サンダースの最大の長所である俊敏性(最高移動速度および反応速度の測定データ)が、同レベル帯のサンダースが到達し得る物理的限界値を『最初から大幅に突き抜けている』という点だ。その基礎値そのものが、まるで別種の生物であるかの如きデータを示している。
前回のシャワーズでの異常な高耐久力に続き、このサンダースでも同族を圧倒的に凌駕する俊敏性を見せるとは! やはり、通常のサンダースの長所をより強く引き出せるような形で、イーブイ状態での異常な基礎スペックが、変異後の各種ステータスにもそのまま反映・継承されているとしか考えられぬ。
05/△χ 10:30:
前回のみずタイプ実験と同様、ラボ内に新たな検証用標的を投入し、第2回バトル実験を開始。なお、前回見せた性能を鑑みて今回から一度に複数体を投入。
だがサンダースとなった被験体は、投入された標的の攻撃が完全に静止しているかのように感じられる程の超高速の見切りと身のこなしを見せ、その俊敏性で以て瞬時に間合いを詰め勝利してみせた。
さらに交戦中、サンダース本来の電気エネルギーとは異なる、細胞の深層から溢れ出る「高密度の特殊な電撃パルス」が混じったでんき技の使用を確認した。
通常のサンダースの電撃(追加効果による【麻痺】等)であれば、確率による不規則な減速・行動阻害を招くのが通常の法則である。だがこの電撃を浴びた標的は、素早さの半減に加え、確率に関わらず「100%の確実性で即座に完全な【麻痺状態】に固定」された。また接触した周囲の電気系統の駆動すら強引に遮断するほどの異常な出力を誇るなど、オレの知るでんき技の術理とは明らかに異なる。
前回のシャワーズへの変異時にも、本来備わらないはずの術理(みずタイプHP吸収わざ)を発現させたことを考えると、このE-150の遺伝子の奥底には、イーブイが学び得ないはずの『未知の技』のひな形が、変異の方向性に応じてその都度引き出されているのではないか、とすら思える異常さだ。
05/△χ 11:00:
周囲の石を急速排出し、進化エネルギーを遮断。イーブイへの退化を実施した。
肉体が元のサイズに縮む際、やはりバイタルサインに目立った過負荷や拒絶反応は見られず、極めて速やかに元の安定状態へと復帰した。
【総括】
変異(進化)の瞬間こそ激しい苦痛の脳波を観測するが、イーブイへと戻る際にはやはり一切の負荷が見られぬ。前回のみずタイプ実験のデータ、そして他149匹のデータと照らし合わせても、退化プロセスにおけるE-150の異常なほどの安定性は、既存のイーブイの範疇を完全に逸脱している。
そして相変わらずイーブイに戻った瞬間、E-150はボロボロの体でありながらもオレたちを害そうと、激しく威嚇を試みてきた。この♀は、持って生まれた驚異的な粘り強さ、そして家族を奪われたことによる我々への猛烈な復讐心だけで精神の輪郭を維持している。どれほど過酷な負荷を与えても折れることのない、底知れず興味深い意志力だ。
良いだろう、まだまだ欲しいデータはあるのだ。その精神力がどこまで保てるかも含め、これからの実験で検証を行うこととしよう。
ボルグファイルE5-T
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5月○*日 5ページ目 10歳 クチバシティ ポケモンセンター
『傍にいることしか出来ない』
ジム戦が終わり、夜。
すっかり気落ちしてしまったリーフを、イエローと共に励ましながらポケモンセンターへと戻ってきた。
イエローは必死にリーフを励まし続けているが、リーフの反応は芳しくない。ポケモンセンターに戻ってきてフシギソウ達を回復して貰った時などは特に酷い有様で、幼馴染の俺でも見たことが無いような、今にも消え入りそうな顔をしながら何度も何度も謝っていた。
尤も、フシギソウ達は「気にしていない」と、逆にリーフを気遣ったのだけども……それが逆に罪悪感を刺激してしまったようで、ますます塞ぎ込んでしまい……と、ひたすらに悪循環だ。
俺は……正直、こういう時、女の子にどういう言葉をかけたら良いのか分からない。リーフがこうなってしまったのは、リーフの現状を軽く見ていた俺にも少なからず責任があると思うので、何かするべきだとは思ってはいるけれど……こうまでなってしまうほど傷付いた女の子と接した経験など、前世含めても無い。何から始めればいいのか、八方塞がりなのが現状だ。
もしリーフが傷付いている理由が誰かの悪意によるものなら、その誰かをぶん殴って、その後はリーフに寄り添いながら慰めて……と、やるべきことは明確だ。
けれど今回の場合、様々な原因があったとはいえ……間違っていたのはどうしようもなくリーフであり、マチスはポケモントレーナーの先達として正しい叱責をしただけだ。そしてリーフ自身もそのことをよくわかっているからこそ、ここまで苦しんでいる。
……ああ、ダメだ! 考えを纏めたいのに纏まらない。逆に弱音が出てきちまう! 苦しいのは俺じゃなくてリーフの方なのに……チックショウ!!
……結局その日は、リーフが寝付くまでの間、イエローと一緒に傍にいてあげることしか出来ないまま、1日が終わった。
5月○χ日 10歳 クチバシティ港
『ここまでの重要キャラだったとは、この海の(ry』
「おはようございます、船長さん。今日はよろしくお願いします!」
「ああ、こちらこそ。……というか、そんなに肩肘を張らなくて構わないよ。あくまで今日は私から頼んだ“お礼”なんだからね」
一夜明け、翌朝。
昨日クチバジムで船長さんとした約束を果たす為、俺はリーフ、イエローと一緒にサント・アンヌ号……ではなく、「船の上だと船酔いで【技教え】どころじゃない」ということで、サント・アンヌ号が停泊している港へとやって来ていた。「軍人やった後の第二の人生の選択肢として、よりによって船乗りを選んでんの完全にミスだろ」という言葉を“失礼だから”の一心から喉元で止めた俺を誰か褒めて欲しい。
「リーフ君、イエロー君も……改めて、しばらくぶりだね。あの時は、使い物にならなかった私を守ってくれて、本当にありがとう」
「い、いえそんな! ボクなんか、あの時はおじさん達と一緒に、ロケット団の弱い人達と戦うだけで精一杯で……そのお礼はリーフちゃんに」
「……違うよ、イエロー。……あの時、私は負けたんだから」
「り、リーフちゃん! そんなこと……!」
……一晩経っても、リーフの様子はほぼ相変わらずだ。流石に昨日ほど動揺せずに落ち着いてくれているけど、肝心な部分で暗さが晴れていない。いつもは寡黙ながら豊かなその表情も、その心境を表したかのように翳ったままだ。
俺もイエローも、今日も朝から出来るだけ傍にいるようにしている。どうにかして、早く元気になって欲しいけど……今のところ、俺達はそのための上手い手段を見つけられないでいた。
が、今日この場には俺達だけじゃなく、リーフへと前向きな……感謝の言葉を届けられる大人がいた。
「……それでも、私は君達にも強く感謝しているんだ。君達は間違いなく良く戦った。それは、実際に守ってもらった私が保証する。誰に聞かれても胸を張って言えるとも。……だから、ここは私を助けると思ってお礼を受け取ってくれないかな?」
「……はい。…………ありがとう、ございます」
(船長さん……!)
多少強引だったけど、昨日からずっと暗いままだったリーフが、初めて自分に向けた前向きに言葉を肯定してくれた……!
見れば、イエローも感激しきりの瞳で船長さんを見詰めている。勿論俺も滅茶苦茶嬉しい。
そして、そんな俺達2人に向けて、リーフには見えないようにウインクをする船長さん。 か、カッコ良い……! 本当に凄えや船長さん! ありがとうございます! 後さっき失礼な事考えちゃって本当にすみませんでした!
と、場の空気が少しだけ良い方向に緩んだあたりで、とうとう今日の本題――【技教え】の伝授を始めることになった。
俺達は船長の案内で、ボロボロのコンテナやドラム缶が置かれた港の一角へ移動。どうやらこれらを使って【技教え】の実演をしてくれるらしい。……なんだかワクワクしてきたぞ!
「さて、では始めようか。まず本来、私のやり方は普通の人間には教えられない。というより教えられない代物でね。何故かというと、普通の人間には身に付けられないからなんだ」
「普通の人間には身に付けられない……? えーと、普通っていうのはつまり、どういう風に普通だとダメなんですか?」
いきなり抽象的な話から始まったんだが。普通……ビックリ人間が蔓延るこのポケモン世界における普通ってなんだ……?
?????「www笑わせないでwwwwww」
「うむ。ではまず手本を見せよう。――出てこい、カモネギ!」
「グワッ!」
懐からモンスターボールを取り出し、カモネギを繰り出す船長。
そしてカモネギがその翼に持つネギを受け取り、コンテナへ向き直った。……え、ネギを受け取った? なんで?????
「良いかね。私の【技教え】において、人間がポケモンへと“わざ”を教える為には、まず【自分自身がその技の術理を完璧に理解し、体現しなければならない】。――見てなさい。これが――“いあいぎり”だ」
船長が講釈を終え、そして『ビッ』っと空気が鳴った。
一閃。船長がネギを振りぬいた瞬間、その前方の空間が鋭く引き裂かれ――前方に置かれていた実演用のコンテナが、綺麗な断面を残して真っ二つに両断された。
「えっ、ええええええええっ!? ネギで!? いやポケモンの持ち物ではあるけど、それでもネギで!!?」
「…………ええ……」
「……ピ、ピカ……」
イエローが驚愕の声を上げ、リーフまでもがさっきまでの憂鬱な雰囲気を一時的に忘れたかのような声を零し、ピカチュウも呆然とした表情で一声鳴いた。
それもそのはず。そう、それはまさに、目にも留まらない、完全な居合の極致――いやいやいや待て待て待って!?
「ふう。……どうだい、驚いたかい!?」
「「いやそれはもう!!!!!!!!!!」」
ど、
「そうか、それは良かった。そうでないと、話を先に進められないからね。……ではレッド君、問題だ。今君達が驚いたように、本来人間の身ではポケモンの技を再現し、身に付けることなど出来ない。しかしそれでも人間がポケモンの技の術理を習得したい場合、どうやって身に付けたら良いと思う?」
「え? え、えーっと……何度も型を練習するとか、それか波導で無理やり再現するとかですか?」
「ノーだ、レッド君。いや、君ならそれでも良いかもしれんが、私の【技教え】には当て嵌まらない。正解は――【直接、その身に喰らうのが一番早い】」
「は? えーっと、つまりどういう……?」
「うむ。ではまた実演してみせよう。――フン゛ッ!!!!!」
「ハアッ!?」
「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!?」
「チュウッ!?」
「……この人、レッドの同類だったんだ……」
ちょ、待って待って!? 今度は「ボン゛ッ!!」って! いきなり筋肉が膨れ上がって制服が弾け飛んだんだが!? 歴戦の風格を感じさせる傷だらけのムキムキボディが白日の下に晒されてるんだが!? 何なのこの人、人間ビックリ箱か何かか!!?
あとリーフお前、持ち直し始めてるようなのは嬉しいけどバッチリ聞こえてるからな!? 俺こんなスーパーパンプアップしたことねーからな!?
「――フゥウウウー……、やはり“ビルドアップ”は良い。全身の筋肉が震え、喜んでいるのが感じられる。……おっと、まだ途中だったね。ではカモネギ、ネギを返すぞ。――よし! 私へと“いあいぎり”!!!!!」
「グワッ!!!!!」
続けてパンプアップした船長さんの指示により、カモネギが凄まじい速度で跳躍。そのまま船長の無防備な胸板へと、さっきコンテナを両断した船長さんと遜色ない鋭さの“いあいぎり”を、一切の手加減を感じさせない勢いで真正面から叩き込んだ。
だが、その斬撃によって船長が真っ二つのスプラッタになるようなことは無く、代わりに凄まじい衝撃音が響き渡り――そしてその音が止んだ時、そこには、カモネギのネギをその分厚い胸板で受け止めた船長が、まるで痛がる素振りすら見せずに立っていた。……いや、えええ……
「相変わらず良いキレだな、カモネギ。だが、この俺の筋肉にはまだ届かんな」
「グエーッ……」
そのムキムキマッチョの肉体には、過去の戦場で刻まれたらしい無数の古傷こそあっても、今カモネギが斬り付けたことによって出来ている筈の真新しい傷はどこにも見当たらない。どうやらその強靭過ぎる筋肉で、カモネギの“いあいぎり”を完全に無傷で防ぎ切ったらしかった。
そしてその証拠にとでもいうのか、カモネギは自分の“いあいぎり”が主人にまったく効いていないことを恥じる様子で落ち込んでいる。いや落ち込まなくていいからね? 君のご主人様がオカシイナマモノなだけだからね?????
「……さて、これで分かったかな? 私が伝えたかったことが。――つまりは【ポケモンの技をその身に受け、味わい、理解することで身に付ける】。それが私の【技教え】の神髄なのだよ。これが出来るようになって初めて、人間がポケモンへと“わざ”を教えられるようになる、というわけだ。……ふぅーっ」
「「「「…………」」」」
いや分からないっす。というか俺はカモネギが船長へ斬りかかった辺りから開いた口が塞がらなかったし、リーフは完全に動きを停止しちゃったし、イエローに至っては宇宙ニャースを背負ってるし。
ていうかどれだけ目を凝らしても波導の欠片も使ってるように見えないんだけど、この人本当に人間なの?????
「レッド君? 続けても良いかな?」
「……え、あ、ハイ!? ど、どうぞ」
本当は何も良くないけど頷いておいた。いやだってそうしないと話始まらないし。……この段になっても未だに話の流れすら掴めてないけども。逆に分かるヤツいたら教えてくれ(懇願)
「うむ。さて、私の【技教え】の仕組みを理解してもらった所で、改めて『何故私がお礼とはいえ、君に【技教え】を伝授する気になったのか』について説明しよう。……レッド君、君は波導が使えるらしいね。それも、あのサント・アンヌ号に綺麗に開いた穴を見るに、相当高度にコントロールが出来る。そうだね?」
「それは……はい。一応、ああいう芸当が出来る程度には」
「そして攻撃に使うだけではなく、その身を守る鎧へと転じることも出来る……波導とはそういうものだと聞いたことがあるのだが、これも合っているかな? 例えばそう、今のカモネギの“いあいぎり”を防いだりといったことだが」
「はい、それで合ってます」
というか、俺の常識では人間がポケモンの技を肉体で防ごう、なんて話になったら波導でも使わないとありえないです。だからこそ、波導も使っていないのにその肉体の力だけで“いあいぎり”を防いだこの人にこれだけ驚いたわけだし。
俺がそう心の中で独り言ちていることなど露知らずに、船長は俺の答えに満足そうに頷いた。
「そうか。――ならやはり君は、私の【技教え】を受け継ぐに相応しい男だというわけだ」
「え゛っ。いやあの、俺がああいうことが出来るのはあくまで波導の力を使えるからで……流石にそれ無しでポケモンの技を受けろっていうのは」
もしそんなことを言われたら恥も外聞も捨てて全力で逃げる。
「ははは、そうではないよ。つまりだね、私はこの【技教え】を実現するだけの肉体を手に入れるのに、これだけの傷痕が残ってしまうほどの時間が必要だったわけだが――波導を扱える君ならば、その時間を丸々短縮し、今すぐにでもポケモンの“わざ”の術理をその身で存分に受け、味わい、理解する。それが可能な筈だ、ということさ」
「え……それは」
それは……少なくとも、ポケモンの技をこの体で受け止めるっていうのは……うん、伝説ポケモン並の攻撃力から繰り出される攻撃とかじゃないなら、波導を使って良いなら余裕で防げるな。なんならピカチュウの電撃を受け止めたこともあるし。他にもマサラ小学校のポケモンとちょっと過激なスキンシップをしたこともあったし、じっちゃんの研究所のポケモンとは波導を使って戦ったりしたこともあったし。
……あれ、俺、船長が今見せてくれた【技教え】……試せるんじゃね?
――よし。
「船長、俺……やってみます!」
「え、ちょっとレッドさん!?」
【ポケモンの技をその身に受け、味わい、理解することで身に付ける】。
ならばここは……あれをやるしかない。
そう――伝説のスーパーマサラ人の、
「うむ! 君ならきっとできるとも!」
「船長さん!? いやあのレッドさんさっきまでボクと一緒に驚いてたくらいで!? レッドさんも流石にちょっと待って」
「ピカチュウ! 俺に“10まんボルト”!!!!!」
「……。……ピィーカァーチュゥウウウウウウウウッ!!!!!」
「いやああああああああああッ!?」
くっ、出会った頃以来に受けるこの電撃……やはり強力!!! 流石俺の相棒……!!!
だけど……やってみせるぜ! この“10まんボルト”を全身でしっかりと味わって、芯から味わい、魂で理解し……放つ!!!!!
「……あ、出た」
「おおおおお……! 素晴らしい!! やはり君こそが私の【技教え】を受け継ぎし者だったんだね!!!」
「…………。リーフちゃあああん……」
「……イエローも、早く“ここ”まで来ようね」
「えええええええ……」
か、感じる……! 全身を巡るビリビリとしたエネルギーを、掌から迸る熱を! これが【技教え】! まさか、まさか本当に俺が“10まんボルト”を使えるなんて!!!
「船長さん、本当にありがとうございます! これで俺達、もっともっと上に行くことができます! な、ピカチュウ!」
「……チュウ」
「ハッハッハ、何度も言ったようにこれは私のお礼なのだから、気にしなくて良いのだがね。だけど気に入ってくれたなら良かったよ。これで心置きなく出航することが出来るというものだ。……レッド君」
「……! はい!」
ガッ、と船長と握手を交わす。この人はお礼だなんて言うけど、とんでもない。明らかに俺の方が貰い過ぎている。ただちょっとしたアドバイスを貰うだけのつもりが、ここまでの成果を得られるなんて……分からないものだ。
そしてありがとう、サトシさん! 貴方という偉大なるスーパーマサラ人の先達がいたお陰で、俺はまた1つ、ポケモン達と進んで行くための力を手に入れることができました!
「……ふふっ」
「……え、リーフちゃん今」
その後、1日使ってピカチュウや他のポケモン達の“わざ”を浴びまくったことで【技教え】は完全に体得することが出来た。
よーし、これからこの【技教え】を使ってどんどんポケモンに“わざ”を覚えさせるぜ!!!!!
5月○Σ日 10歳 クチバシティ ポケモンセンター
『“そらをとぶ”を手に入れると、旅が一気に楽になる』
昨日の船長の言葉が良い意味で薬になったのか、リーフが目に見えて元気になってきている。
俺やイエローが元気づけてやれなかったのは、正直言って悔しいけど……そこはリーフが元気になってくれることが1番なので、この胸にしまっておくことにする。
船長には【技教え】のことも含めて、今後一生足を向けて寝られないな。本当にありがとうございました。
と、いうわけでこの日はイエローにリーフを任せ、2人とは別行動の日であった。
とは言っても、別に男1人だけで町に繰り出して海の幸を楽しんだ……とかそういうことではない。俺も2人も今日は1日、ポケモンセンターから外出するつもりはない。
では何をしていたのか、というと……オレンジバッジ、つまり
そしてもちろん結果は合格。学科試験に実技試験に講習と、ボリューミーかつポケモン世界特有のユニークさに溢れた試験だったが……ふっ。ユキナリのじっちゃんの研究所で散々ポケモンの背に乗せてもらって飛んでいた俺に死角は無かったぜ!!*1
……し、私有地だったから! だからセーフ!!
5月○Σ日 2ページ目 10歳 クチバシティ ポケモンセンター
『女の子は強い』
「……レッド、イエロー。……まずは、ここ最近の事……ずっと迷惑かけちゃって、ごめんなさい」
「え、リーフちゃん、そんなの気にしなくていいよ! ボクたちお友達でしょ?」
「……うん、ありがとう。……でも聞いて」
“そらをとぶ”の免許を手に入れた日の夕飯は、開口一番、リーフの謝罪から始まった。
一体どうしたのかとリーフの顔を見れば、そこには、幼馴染の俺でも見たことが無いほどの、今までで1番真剣な表情があり、イエローもそんなリーフのただならぬ様子に慌ててしまっている。
俺も、一体どうしたのかと思って思わず居住まいを正したら……リーフは、俺とイエローが想像もしていなかった宣言を口にした。
「……私、しばらくジムへの挑戦はやめる」
「えっ、リーフちゃん!?」
イエローがビックリしたという目でリーフを見るが、見られているリーフは対照的に涼しい顔をしていた。そこには昨日までのような悲愴さはもう見られず、声色にも暗さはない。
だけど、だからこそ真意が掴めない。いったいどういうつもりなんだ?
「ポケモンリーグへの挑戦をやめる、って意味じゃないよな?」
「……うん、リーグへの挑戦はやめない。けど……あの時。私に、皆の力を引き出し切ってちゃんと活かせる……レッドみたいなトレーナーとしての知識や腕があれば、あのラムダって幹部と戦った時に……フシギソウ達をあんな目に合わせることも無かった」
「いや、あの時は俺の実力だけじゃなくて、土壇場のピカチュウも凄かったっていうのも……」
「……もし私がピカチュウのトレーナーだったとしても、勝てなかったと思う。……レッドと同じくらいピカチュウと通じ合えていたとしても、きっと無理だった」
俺の問いかけにも冷静に返し、小さく首を振るリーフ。そして腰のモンスターボールへそっと視線を向けて一撫ですると、改めて俺とイエローへと強い視線を向け、再び口を開いた。
「……だから、いったん旅に集中して、落ち付いて、でもしっかりとした修行をする。もう二度とフシギソウ達をあんな目に合わせたり、自分の焦りで無茶な特訓をさせたりしない、強い心を身に付けるために。……私も、フシギソウたちと一緒に強くなって、それで、今度こそアイツに……ラムダに勝つ!」
静かな声、だけどその内側から確かに感じられる、一度折れたことでより強くなったんだろう意志。そしてその意志で見定めた、自分とポケモン達の仇へのリベンジ。
どうやらしっかりと自分を見つめ直して、そして強い決意と共にまた立ち上がってくれたらしい幼馴染へと俺は、今自分ができる最高の笑顔で頷いた。
「わかった。俺も精一杯リーフを手伝うよ」
「ボクも頑張ってお手伝いするからね!」
イエローもまた、リーフの言葉を聞いて安心できたんだろう。いつもの優しさを全開にした笑顔と一緒にリーフの手をギュッと包み込み、リーフの力になることを約束した。
「……レッド、イエロー……ありがとう」
リーフの顔が自然にほころび、俺達もまた笑顔を返す。夕飯時の食堂の喧騒が一瞬だけ遠ざかったかのように静かな、だけど心地良い空気がその場へと流れた。
ラムダがリーフへと残した傷は深かったけど、リーフはポケモン達と一緒に強くなると誓いを立て、ラムダへのリベンジを果たすという目標を胸にちゃんと立ち上がってくれた。これならもう大丈夫だろう。
よし、俺も今まで以上にリーフのトレーナー修行を支えないとな!
「しっかしさ、リーフが立ち直ってくれて良かったよ。俺、今回は何も出来なかったし……船長さんには本当に足を向けて寝られないな」
「え、レッドさん。それは」
「……いいよ、イエロー。……ねえ、レッド」
「ん?」
「……私、レッドで良かった」
※色々妄想しましたが、本文に載せると余りにテンポが悪くなったのでここに供養します。
本編には関係無いので、興味が湧かない方は読み飛ばしてください。
1.学科試験(空の環境やポケモンの生態に関する知識)
①「ポケモンリーグ本部」や「無人発電所」、「ピジョット系やオニドリル系などの鳥ポケモンが多く住む彼等の縄張り」などの、直接侵入が禁止されている「飛行禁止区域」について
②悪天候時に鳥ポケモンの翼が重くなった際の高度維持方法
③強い上昇気流が発生するルートの選定方法
④体重、翼の大きさ、スタミナに応じた最大積載量(積載可能な人間の体重・荷物のキロ数)の計算
⑤飛行前後のポケモンの健康チェック(羽のツヤ、関節の疲労、緊張度合い)
2.実技試験(トレーナーとポケモンが「人馬一体ならぬ人鳥一体」になれているか、フライトスキルが試される)
① 基本操縦とG(重力)対策
②急発進・急上昇時のトレーナーの脱落防止ポーズの維持
③乱気流を想定した、ブレのない安定したホバリング。
④緊急回避・着陸試験
・飛行中に野生の鳥ポケモンの大群が突っ込んできた際の回避制動。
・突然“しびれごな/ねむりごな”を浴びた、または“でんじは”を受けた際の
・ピンポイント着陸
・ 街の「ポケモンセンターの屋根」にある、直径数メートルの専用バードポート(羽マークのエリア)への正確なランディング。
3.免許取得後の重点飛行規則・注意事項講習(免許を維持、または実際に空を飛ぶ上で課される厳しいルール)
①高度制限
・地上の人間や、道路を走る自転車(マッハ自転車等)に接触しないよう、原則として最低高度を維持すること
②“わざ”の併用禁止
・飛行中に攻撃技を放つことは、緊急時を除いて基本的に厳禁(航空法違反およびテロ行為とみなされる)。
ただし、夜間フライト時の“フラッシュ”は例外的に認められる。
③飲酒・状態異常運転の禁止
・トレーナーの飲酒はもちろん、ポケモンが【混乱/メロメロ状態】のままでの“そらをとぶ”は一発で免許取消。
当然【瀕死状態】での飛行など一発で取り消し。というか逮捕。
④ポケモンの“そらをとぶ”適正確認
・ピカチュウ(風船付き)や、一見飛べなそうなポケモン(ドードリオ等)が“そらをとぶ”を使って人間と飛行する場合、構造上の安全性を証明する特別な「適正検査」を別途通過しなければならない
後書き
クチバシティ編、完!!!!!!!!!!
というわけで次回は11番道路からです。もしかしたら9~10番道路からイワヤマトンネルぐらいまで行くかも。
皆様、またお気を長くしてお待ち頂けますと幸いです。*1
唐突ですが問題です。下の表は何を表しているでしょうか。
答えは……またいつか。
| 65 | 75 | 70 | 65 | 85 | 75 | 435 |
| 150 | 85 | 70 | 130 | 115 | 85 | 635 |
| 85 | 85 | 70 | 130 | 115 | 150 | 635 |
①蜜柑25963様
②天ノ羽々斬様
③猿の守護者2様
題:11番道路で出現・捕獲可能な下記の新ポケモンの内、レッド君が手持ちに入れるポケモンはどれでしょう?(※アンケート機能を使用した、展開予想をお楽しみいただく為の試みです。皆様のご回答結果によって展開が変更されることは一切ございませんのでご注意ください)
-
①スリープ
-
②バリヤード
-
③ここで手持ちは増えない